[92]思い出の場所

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女)今日は桜井さんのお孫さんのお友達。
  今はモデルとしても活躍されている
  ♡さんが来てくれましたよー!
♡)えへへ…///
  初めまして、♡です。
  よろしくお願いします♡♡

職員さんに紹介されて
頭を下げると…

男)いんや〜〜〜〜
  可愛いお嬢ちゃんだ!!
女)天使かと思ったよ〜〜〜♡
男)天使見るにはまだ早いよw
女)あらやだ!あっはっはww

おじいちゃんもおばあちゃんもみんな…
優しい笑顔で迎えてくれて…

祖)この間、孫の結婚式でねぇ…
  彼女の歌を聴いて、心が震えたんですよ。

さくちゃんのおばあちゃんが
そう言ってくれた。

その隣では、さくちゃんと
さくちゃんのお母さんも笑ってて。

Mちゃんと海璃ちゃんと谷本さんも
奥に座りながら見守ってくれてる。

男)わしらも聴きたいよ!
女)なんでも歌えるのかい?
♡)ええと…、知ってる歌なら…。
  演奏はピアノで
  アドリブになっちゃうんですけど…
男)なんでもいいよぉ〜〜
女)聴かせておくれ♡
♡)はい♡

ピアノの前に座って音を鳴らすと
綺麗な音色。

私はやっぱりピアノが好き。

♡)じゃあ初めは…結婚式で歌った
  『あなたと』を歌います♡
男)おおおお〜〜〜!♡
女)いいよいいよ〜〜!♡

パチパチパチ!!

みんなあたたかく拍手してくれた。

今日は臣くんがいないから
一人で歌えるように少しキーを変えて…

♡)〜♪さっきまで 泣いてた 君が
  今隣で 笑ってる♪〜

目を閉じて歌うと
あの日の光景が蘇る。

臣くんと一緒に、声を重ねて…

それが会場に澄み渡っていく感覚が
すごく気持ち良かった。

♡)〜♪途切れそうな 心も 抱きしめて
  あなたの そばにいたい
  明日も そばにいたい♪〜

私が一曲歌い終えると
小さなホールは静まり返っていて…

ゆっくりと後ろを振り向くと、
大きな拍手に包まれて、身体がびっくりした。

♡)わ…っ///

パチパチパチパチ!!!!

女)いや〜〜素晴らしい!!!
男)本当に!!綺麗な声だ!!

海)♡さん…すごいです…うう…っ
M)海璃ちゃん泣いてる…w
海)だってぇぇ……

母)やっぱり素敵ねぇ、本当に…
さ)うん!♡

パチパチパチパチ!!!!

♡)……

泣いてる人も笑ってる人もいて
でも…
みんなすごく喜んでくれてるのは
表情と空気で伝わってくる。

なんだかあたたかい気持ちに
包まれてるみたいで

胸がじーんとする……

男)わしゃ松田聖子が好きなんじゃ!
  歌ってくれ!!
女)いいねぇ!!
♡)えっ…、えっと…何がいいですか?
男)赤いスイートピーもいいし…
  瑠璃色の地球もいいなぁ…
  う〜〜〜〜〜ん…
女)瑠璃色の地球だね!!
男)よし!じゃあそれだ!
♡)はい♡

さすがに歌詞は覚えてないから
タブレットで検索して
譜面台に立てた。

うん。この曲ならピアノもピッタリかも。

スゥ……ッ

♡)〜♪夜明けの来ない夜は無いさ
  あなたがポツリ言う♪〜

1番はピアノの音を少なめにして
ほとんどアカペラで歌った。

♡)〜♪泣き顔が微笑みに変わる 瞬間の涙を
  世界中の人たちに
  そっとわけてあげたい♪〜

2番から後半にかけて
音も増やしていく。

歌詞に合わせて、
光が広がっていくようなイメージで…

♡)〜♪朝陽が水平線から 光の矢を放ち
  二人を包んでゆくの
  瑠璃色の地球♪〜

………パチパチパチパチ!!!

男)いや〜〜!良かった!!♡
女)ほんと上手だねぇ!!

♡)えへへ…ありがとうございます//

谷)なんだかこの歌は
  ♡さんのイメージそのものですね…
M)私も思いました!
海)素敵です…うう…っ
M)また泣いてる!w

男)やっぱり赤いスイートピーも
  歌ってほしいなぁ!
女)ちょっとちょっと!
  今度は私だってリクエストしたいよ!
女)そうだよそうだよ!
  演歌も聴きたい!

♡)演歌?!!

女)津軽海峡冬景色がいいねぇ!
女)おおお!さゆりだねぇ!
男)歌えるかい、♡ちゃん!!

♡)…っ

みんなの目がキラキラしてて…

♡)えっと…
  ピアノだとイメージ少し
  変わっちゃうと思いますけど…
  いいですか?
女)いいよいいよぉ!
男)歌ってくれぇ!
♡)じゃあ…歌いますね♡

知ってる演歌で良かったぁ…

歌詞はなんとなく覚えてるけど
一応検索して…

よし、っと!

これは…
ちゃんとこの世界に入り込んで
歌った方がいいよね?

思い浮かべるのは
凍えそうに寒い雪の冬景色。

好きな人ともう会えなくなって…
その寂しさや切なさが
余計に寒さと一緒に身に染みて…

♡)……

目を閉じて、深呼吸をして…

……鍵盤を、強めの力で弾いた。

♡)〜♪上野発の夜行列車 おりた時から
  青森駅は 雪の中♪〜

真っ白な銀世界が広がる。

♡)〜♪北へ帰る人の群れは 誰も無口で
  海鳴りだけを きいている♪〜

会いたくても…もう、…会えない人。

♡)〜♪さよならあなた 私は帰ります
  風の音が胸をゆする 泣けとばかりに
  ああ 津軽海峡冬景色♪〜

……ワァァァァッッ

パチパチパチパチ!!!

女)すごい!!すごいよ!!
男)大したもんだ!!

♡)…っ

谷)本当になんでも歌えるんだな…♡さんは…
M)先輩の演歌…すごい……
海)全然違う人みたいでした!
さ)♡めっちゃカッコイイ!
  色っぽかったよ!

♡)えへへ…///

それから一時間、
リクエストされて歌える曲は
全部歌って…

最後にリクエストされたのは
EXILEだった。

女)うちの孫が大好きでねぇ、EXILE。
男)うちの孫もだよ!
女)EXILEは良い曲が多いんだよ!
男)うんうん!
♡)ふふふ♡

EXILEは幅広い世代に支持されてて
改めてすごいなぁって思った。

♡)〜♪『思い出が 時間を止めた』
  今日の日を忘れるなと
  見慣れた景色 二度と並べない
  思い出の道♪〜

私が歌うと
今度はみんなで手拍子をしてくれて…

♡)〜♪道、君と歩いた今日まで
  かすかに 動くくちびる
  特別な時間をありがとう♪〜

最後がこの曲で良かった。
なんだかあたたかい気持ちになれる。

♡)〜♪「心」「勇気」「友」「笑顔」
  嬉しすぎて
  溢れ出した 涙が 止まらない♪〜

私が歌い終えると
みんな笑顔で拍手してくれてて…

♡)……っ

優しい気持ちや笑顔が繋がっていく感覚を
肌で感じた。

♡)どうもありがとうございました。

パチパチパチパチ!!

男)いや〜〜本当に良かった!!
  また来てくれよぉ〜!
女)絶対また来てちょうだい!!

たくさんの人からお礼を言われて

次に来た時のリクエスト曲も
たくさんもらって…

私が歌っただけで
こんなにたくさんの人が
笑顔になってくれることが

本当に本当に嬉しかった。

ーーー

さ)いや〜〜
  ほんっとに♡って歌上手い!!
海)素敵でした!感動しました!!
♡)えへへ…ありがとう//

施設を出て、みんなでランチ。

M)演歌にはびっくりしましたけどね。
谷)本当に!!
M)演歌っぽくないんだけど
  すごく色っぽくて…
谷)そう!色気が!!
M)歌い出しから私、鳥肌立っちゃったもん。
谷)僕もです!!
  あれだけの…演じきる力というか…
  世界に入り込める才能は…
  本当に素晴らしいです!
♡)ありがとう…ございます…//

1時間まるまる歌ってたから
お腹もペコペコで…

♡)ん〜〜美味しい〜〜♡

ご飯もパクパク。

パシャッ

♡)あ!また撮った!!
M)今日はどれを載せようかな〜〜♪
♡)え?どれって…
M)さっきもたくさん隠し撮りしたしぃ〜
♡)ええっ!そうなの?!
M)今日は動画にしちゃおうかな♪
  さっきの津軽海峡!
谷)いいですね!
  絶対反響ありますよ!!
♡)ええ!歌も撮ってたの?!
M)よしっ、投稿♡
♡)ああ!待って!!

Mちゃんは仕事が早すぎる。

海)わぁぁ♡
  これでいつでも♡さんの津軽海峡が
  聴ける〜〜♡
さ)海璃ちゃん、可愛いねw
  さっきもずっと泣いてたしw
海)だ、だって…感動してしまって…//
さ)こんな可愛い妹欲しかった〜〜w

そう言ってさくちゃんが
海璃ちゃんの頭を撫でた。

谷)あの…、♡さん……
♡)ん?
谷)明日の…仕事のことなんですが…
♡)ああ、レコーディングですよね?
谷)いえ、ええと…それが…
♡)??

谷本さんが話してる途中で…

M)ああああ!!!

Mちゃんが大きな声を出して
店中の注目を浴びちゃった。

♡)ちょっと、恥ずかしいよ!//
M)だって!!松浦さんが!!
♡)え?松浦さん…?
谷)…っ

Mちゃんがスマホの画面を見せてくれて…

そこには
たった今、MちゃんがUPした私の動画を
宣伝してる松浦さん。

『姫は演歌もいけるらしい笑
 今度カラオケでリクエストしてみる👍
 リノアが体調不良のため、
 明日の❀❀フェスはピンチヒッターで
 姫が出演します!よろしく!✌️』

♡)ええええ?!!!

びっくりして、谷本さんを見ると…

谷)ええと、ハイ。
  これを今言おうとしてました。

少しバツが悪そうに笑った。

♡)❀❀フェスって…
さ)割と大きいフェスだよね!
  ♡が出るの?すごいじゃん!!
M)しかも松浦さんが
  こんな宣伝しちゃったら…
さ)すごい話題になりそう…
谷)急ですみません、♡さん…
♡)リノアさんは…大丈夫なんですか?
  体調不良って…
谷)ああ、ええと…はい、大丈夫です。
  少し休めばきっと良くなるので。
♡)そうなんですね……
谷)……

出演予定者が急に出られなくなって…
その代わりが私でいいのかなって思うけど

でももう松浦さんが発表しちゃったし…

M)なんて強引な人なんだろ、もうっ
さ)いきなり今日言われて、明日でしょ?
  何歌うの?
♡)…っ
谷)好きな曲選んでください。
  持ち時間は25分なんで…
  トークも挟んで4曲くらいかな?
♡)……わかりました。

4曲も…どうしよう。

谷)あ、それで…
  ちょっと今回急なんで…
  うちのレーベルの曲でお願いします。
♡)えっ……
  わかりました。
谷)すいません。
M)今日決まったんですか?急に?
谷)ええと…はい、つい先ほど。
M)ふーーーーーーん。
谷)……
M)本当はこれを狙って
  この間、先輩の写真を755にあげた…
  とかじゃなくて?
谷)……っ
M)こんな風に告知されて
  明日先輩がフェスに出たら
  なんかもうまるでavexから
  デビューするみたいですよね。
谷)……っ
♡)でもリノアさんが出られなくなったのは
  さっき決まったことだから…
  そういうことじゃないんじゃないかな?
M)……

松浦さんには今月中に
返事することになってるけど…

そんな強引なことはしないと思う。

谷)とに…かく…、急で申し訳ないんですが…
  本日中に楽曲を決めて
  連絡をもらえますか?
♡)わかりました!

今日は実家に泊まるつもりだったけど
練習しなきゃいけないし

お土産渡したらそのまま家に帰ろう。

海)あれ、♡さん…帰らないんですか?
♡)あ、うん!
  私このまま実家に行こうと思って!
海)近いんですか?
♡)うん!
谷)皆さんは都内までお送りしますよーー
さ)やったー!ラッキー!
M)じゃあ先輩、また明日。
♡)うん、ありがとう♡

みんなが乗ったワゴンをそのまま見送って、
私は実家への道を歩いた。

明日は何を歌おうかなぁ…

いろんな曲が頭の中をぐるぐるしてる。

鼻歌を歌いながら
舗道を真っ直ぐに歩いてると…

だんだん周りが懐かしい景色になっていって…

♡)……

そうか。

このへんは小学校の登下校の道だ。

毎日ハルくんと手を繋ぎながら、歩いた道。

春には道路脇に咲いてる花を探して
なんて名前かなぁ、なんて話して。

夏には白い雲を見上げながら
熱い太陽にジリジリ灼かれて…

秋には二人で紅葉やどんぐりを拾ったし
まつぼっくりには一緒に色を塗ったりした。

珍しく雪が積もった冬には
一緒に雪玉をたくさん作って…

どんな時も、一緒にいた。

どの季節にもハルくんがいて。

♡)……

ハルくんとの思い出を辿るように
懐かしい景色を眺めてると…

ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪

鳴った電話は、修ちゃんからだった。

♡『もしもし?』
修『お前今どこにいる?』
♡『今から実家に帰るところだけど…』
修『……マジか。』
♡『どうかしたの?』
修『……ハルキが…』
♡『ハルくん??』
修『ハルキが…お前に会いたいって。』
♡『……っ』

胸がドクンッて、音を立てた。

修『お前が来ても来なくても
  0時までは待ってるからって…』

0時までって…
夜中の0時ってこと?

♡『ハルくんは…っ、どこにいるの?!』
修『公園。』
♡『え…?』
修『公園って言えば、わかると思うって。』
♡『公…園…って……』

さっき通った、あの公園?

いつも一緒に遊んでた…あの場所?

♡『ハルくんが…』

私を…待ってくれてるの…?

修『お前らさ、結局クラス会でも
  全然話せなかったろ?』
♡『……うん。』
修『一回ちゃんと…会ってくれば…?』
♡『……』

ずっと気になってた、ハルくんのこと。

♡『修ちゃん、ありがとう。
  私…行ってくる!』
修『うん。わかった。』
♡『ありがとう!』

すぐに電話を切って、来た道を引き返した。

引き返して、…足を止めた。

♡)…っ

臣くんに…言った方が…いいのかな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京セラ二日目。

昨日の疲れが若干残る中、
会場に着いて着替えて。

リハを済ませて飯を食おうとしたら

健)でぇぇぇ?!!!

健ちゃんがすごい声で叫んだ。

N)どうした健二郎。
健)♡ちゃんが!!
臣)えっ……
健)明日の❀❀フェスに出るって!
隆)え?!!
臣)見して!!!

健ちゃんのスマホを奪い取ると…

臣)なんじゃこりゃ!!

松浦さんが明日のフェスに
♡が急遽出演することになったって
告知してて…

直)すごいな♡ちゃん……
N)いきなり出るんだ!
E)ピンチヒッターかぁ…カッコイイ。
岩)ほんとにピンチヒッターなのかな…
臣)え?
岩)いや……
臣)……

すげぇ急な話だよな、コレ。

あいつ…大丈夫なのかな?

心配になって、自分のスマホを手に取ると…

臣)!!!

届いてたメッセージは、
全然違う内容だった。

『無事歌い終わったよー(,,> <,,)💕✨
 これからランチしてきます🍴🎵』

そんなメッセージの後に、

『今からハルくんに会ってきても
 いいですか?』

そう入ってて。

俺の頭は一瞬フリーズした。

臣)……

今から…

ハルくんに…?

臣)……

……

__クラス会があったあの夜。

♡を送った後、
賢司たちと飯を食ってたら…

凪ちゃんから
女子会の話をチラっと聞いたらしい賢司が

♡が二次会に行かないって言ってた理由が
俺らしいって言ってて…
やっぱりか、って。

本当はもちろん行ってほしくなかったけど…

でも折角久しぶりに友達に会えるのに
俺のせいでそんなんやだなって思って…

店の前まで迎えに行ったけど
やっぱり二次会に行けって言ったんだ。

臣『ごめん。やっぱり迎えに行けねーわ。』
♡『え、来れないの…?』
臣『うん、行けなくなった。わり。』
♡『うん、全然大丈夫だけど…』
臣『折角だしやっぱり二次会行ってこいよ。』
♡『えっ!二次会は行かないよ?
  どうして……』

パッパーーーーッ!!

窓の外から聞こえた、車のクラクション。

それは、電話の向こうからも聞こえて…

♡『どうして…嘘つくの…?』
臣『え…?』
♡『もう、切るよ?』

そのまま切れてしまった電話。

窓の外に目をやれば、
こっちに走ってくる♡が見えて…

臣)見つかっちゃった……

だっせーな俺…
何やってんだろ。

バタン!

♡は助手席に乗り込むなり、
両手を伸ばして俺に抱きついた。

臣)…っ
♡)臣くん…っ
臣)……

俺は身体を助手席に向けて
♡を抱きとめた。

♡)迎えに来てくれて…ありがとう♡
臣)……
♡)ね、帰ろ?
臣)……

でも…

臣)二次会、行かねーの?
♡)……臣くんといる♡
臣)……
♡)ね、一緒に帰ろ?

♡が笑ってそう言ってくれるから…

臣)ん、わかった。

そう答えてそのまま、エンジンをかけた。

……帰りの車の中、

臣)…ハルくんと…話せた?

一番気になってたことを聞いてみたけど…

♡)ううん、全然。
  みんなと盛り上がっちゃって
  何も話せないまま出てきちゃったw
臣)そっか……
♡)うん。

♡は笑ってそう言ったけど
信号待ちの時にふと隣を見れば…

窓の外を見る横顔は…どこか寂しげで。

臣)……

ハルくんのことを考えてるんだろうかって
嫌でもそう思ってしまう。

その日の夜は、何度も♡を抱いた。

昼間も無理矢理抱いたくせに…
なんでか俺は止まんなくて…

自分で付けた赤い跡に、また唇を重ねて。

甘い声で俺を呼ぶ♡を
隅々まで味わうように、深く抱いた。

俺だけを見て、
俺のことだけを考えてほしくて。

次の日も♡は
ハルくんの話なんて一切しなくて…
いつも通りに笑ってて。

俺はそのまま大阪に来たんだけど…

臣)……

なんで、今?

なんで、今日?

そんな素振り、全くなかったじゃん。

本当はずっと、ハルくんのこと考えてた?
ハルくんに会いたいって思ってた?

そんな風に思いたくないのに、
心がどんどんモヤモヤしていって…

『今からハルくんに会ってきても
 いいですか?』

そのLINEには返事を返せないまま、
俺は♡に電話をかけた。

もう会ってたらどうしよう。
今もし、ハルくんと二人でいたら…

てゆーか俺は電話をかけて
どうするんだろう。

会ってきてもいいかって聞かれて、
いいよって答えんの…?

本当は嫌だし…
こんなに不安でいっぱいなのに…

カッコつけていいよって言うのか?

♡『もしもし臣くん?』
臣『うん。』

繋がった電話の向こうは
戸惑ってるのがわかる、♡の声。

♡『えっと…ごめんね?リハ中だった?』
臣『いや、もう終わって飯食ってた。』
♡『そっか……』
臣『……』
♡『LIVEの日に…ごめんね?』
臣『……』
♡『あの…メール…見てくれた…?』
臣『……ん。』
♡『……』
臣『……』

流れる沈黙。

わかってる。

♡は俺の返事を待ってる。

でも……

臣『急に…なんで?どうしたの?』
♡『…わかん…ないの。』
臣『え?』
♡『修ちゃんから連絡が来て…
  ハルくんが私のこと待ってる、って…』
臣『……』
♡『クラス会でも全然話せなかったから…
  話しておいでって言われて…』
臣『……』

それでお前も、会いに行きたいんだよな?

わかってる。

声を聞けばわかる。

臣『……』
♡『……』
臣『……行ってこいよ。』
♡『いいの?』

聞き返すなよ。
決心が鈍るから……

臣『なんでw
  俺がダメって言うと思った?』
♡『……っ』
臣『この間話せなかったって言ってたし…
  ちゃんと話してこいよ。
  せっかく待ってくれてんだろ…?』
♡『うん……』
臣『気をつけて行ってこいよ?』
♡『うん、わかった。』
臣『……』
♡『臣くん、ありがとう!!』

そのまま電話は切れて。

臣)はぁぁぁぁぁ………

身体の奥から吐き出すようなため息と一緒に
俺はテーブルに突っ伏した。

隆)どうしたの臣。
臣)……
E)なんかあった?
臣)……
健)今の♡ちゃんやろ?
臣)……
岩)明日のこと話したの?
臣)……

ああ、そんなん忘れてたわ。

今は松浦さんよりハルくん。
フェスのことなんてどうでもいい。

♡だってきっと今は
ハルくんのことで頭がいっぱいなんだ。

俺はバカみたいにカッコつけて
会ってこいって言っちゃったし。

臣)はぁぁぁぁぁ………

気になって仕方ない。

改めて♡に会いたいってことは…
ハルくんはハルくんなりに
♡に伝えたいことがあるんだろうし…

もしそれが、愛の告白とかだったら
どうしよう。

てゆーかそれ以外あんのかな。

わざわざ呼び出して話するって
告白しかなくね?

ハルくんに好きだって言われたら…
♡はどうすんだろ……

臣)……なんか…一気に腹痛くなってきた。
直)えええ!
E)本番前なのに大丈夫?
臣)……大丈夫。

こんなんで歌えなくなったら
くそダセーだろ。

ステージは完璧にこなしてやる!!!

ー続ー

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コメント

  1. のんちゃん より:

    臣くんの行ってこいよに切なくなった。臣くん辛いのに、よく行ってこいよって、臣くんカッコ良い臣くんと、こんな生活してみたいなぁ〜(*^_^*)きっと幸せだろうなぁ〜ライブも、完璧にこなしてやるって、臣くん男らしいよ。ハル君と、♡ちゃんって思っちゃったけど、やっぱり、♡ちゃん大好きな臣くんと幸せになってほしいなぁ。続きが楽しみです。♡ちゃんと、ハル君のハグなんて臣くん知ってしまったら・・・どうなるの臣くん(>_<)

    • マイコ より:

      臣くん…
      今は必死に男のプライドと根性で乗り切ろうとしてるけど…
      果たして乗り切れるかな?(❁´ω`❁) ←悪い作者w
      だってだって〜〜
      苦しんでる臣くんってなんかいいよね、えへへw
      そんなに♡ちゃんのこと好きなのー?もうもう!みたいな。
      はい、ドS作者です。

  2. a__ichin.y より:

    今我慢出来ずTwitterのSTORY読んできた!!
    イヤや
    どーなるんー
    辛いー
    しんどいー
    家出から帰ってきてからのストーリー読み返してて、ホコホコしてたからしんどさ100倍(笑)

    • マイコ より:

      あら!Twitter来ちゃいましたか!ありがとうございます!笑
      このターンはヤキモキしますよねぇ…(o´д`o)
      全部すっ飛ばして解決したところを早くお届けしたいですが…
      みなさんにはしばら〜くヤキモキしてもらうことになりそうです…(❁´ω`❁)てへっ

  3. とりちゃん より:

    いつも見てます!初めてのコメントです 。
    もうドキドキで 、いつもキュンキュンですっ
    臣くん好きになってから何度いろんな妄想したことか…
    なんか 、こんな生活したいなってのが現れって感じで 、
    続きが気になるばかりです
    楽しみに待ってますね!

    • マイコ より:

      初コメありがとうございます(๑^ ^๑)♡
      いつも読んでくださって嬉しいです。
      引き続きどうぞよろしくお願いします(❁´ω`❁)むふふ

  4. 岩田夜空☆岩田剛典大好き♥❤ より:

    臣くんカッコ良すぎ❤最後の、ステ-ジは完璧にこなしてやるってw
    臣くんに抱きつくとかヤバイ私も抱きつきた~い

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