[86]ハルキStory ①

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大事な大事な女の子。

ずっとずっと…大切で…
一度も忘れたことなんてない。

いつも俺の心の真ん中にいる
陽だまりのような存在。

側にいるだけで

そのあたたかい優しさに…
明るい笑顔に…

心が癒されていくようだった。

大事で大事で…
何よりも守りたかったのに…

どうして俺はあの日、
何も言わずに離れてしまったんだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

母)ほんとあんたなんか産まなきゃよかった!
ハ)…っ
母)あたしの人生返してよっ!!
ハ)……

小さい頃から浴びせられた
母からの言葉。

俺が思い出せる母の記憶は
怒ってる顔と泣いてる顔だけ。

母は次第に酒に溺れ
俺に手をあげるようになった。

ハ)いたいよっ!
  やめてっ!おかあさんっ!
母)お母さんとか呼ばないでくれる!?
  あんたがいなきゃ
  あたしの人生もっと違ったのに!!
ハ)…っ

じゃあどうして産んだんだろう…
産まなきゃ良かったのに…

幼いながらに俺は
そう思うようになっていた。

父さんは寡黙な仕事人間で
ほとんど家にいることはなく

珍しく休みになった日曜日。

俺のアザを見つけて母を怒鳴りつけた。

父)なんだハルキのこの傷は!!
母)…っ
父)お前…何してるんだよ!!
母)あなたに言われたくないわよ!!
父)…っ
母)あたしのこともハルキのことも
  ほったらかしで
  仕事仕事…って…
  お金さえあればいいと思ってるの?!
父)そうじゃない!
母)ハルキなんか産まなきゃ良かった!!
  あなたと結婚なんか
  しなければ良かった!!!
父)ハルキの前でやめろっ!!
母)もういやぁぁっ!!!
ハ)……

生まれてこなきゃ…良かった。
そう思った。

俺のせいで母は毎日
酒を飲みながら不幸だ不幸だと言って
涙を流す。

全部…俺のせいだと思ってた。

それからしばらくして…

俺が6歳になる誕生日。

男)もっと金目になりそうなもん
  ねぇのかよw
母)このへん全部持って行くわ。

ハ)おかあさん…?

男)おい、なんかガキが呼んでるぞ。
母)知らないわよ。

ハ)おかあさん…?

男)ひでぇ母親だなw
母)こんな子、あたしが産んだんじゃない。
  知らない。
男)じゃあ行くか。

ハ)おかあさんっ!!

母は俺を一度も見ずに
知らない男と二人で家を出て行った。

父)ただいまーー

ハ)…っ

父)ハルキーー起きてるかーー

その日は珍しく
父さんが早く帰ってきて…

父)今日はお前の誕生日だろ、
  ケーキを買ってきたぞ。
ハ)おとうさん……
父)お母さんはどうした?
ハ)……
父)ハルキ…?
ハ)…っ

母が出て行ったことを告げると、
父さんは嘆きも悲しみもしなかった。

ただ俺を抱きしめて、

「辛い思いをさせて、ごめん」

そう言った。

でも俺は…

もう暴力を振るわれない安堵感が
どこかにあって

俺のせいで不幸だったなら
家を出て行ったら
母は幸せになれるんだろうかと

幼いながらに
どこかでそんなことを漠然と考えていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

♡)ハルくん??
  はじめまして。♡です。
  よろしくねっっ♡♡

そう言って俺の手を繋いできたのが
♡だった。

レ)越してきたばかりなんですか?
父)そうなんですよ。
レ)家も近いしよろしくお願いします♪
父)こちらこそ…
  ご迷惑をおかけすることも
  あるかもしれませんが。
レ)なーに言ってんですかw
  迷惑なことなんてないですよ!
  何かあったらいつでも言ってくださいw
父)助かります……

父さんと二人になって
新しく引っ越してきた町。

♡)ね、ね、ハルくんっ
  ♡ね、早く学校に行きたいのー
ハ)え?
♡)小学校!!
  楽しみだねっ♡♡
ハ)うん……

それからすぐに、入学式を迎えて
俺たちは毎朝一緒に登校した。

ハ)おはようございます。
レ)ほらー!ハルキ来たよ!!
♡)わーんっ!待ってハルくん〜〜!!
  ママ〜!リボン結んで〜!!
レ)はいはい!
  よし、行ってらっしゃい!
♡)行ってきまーす♡
ハ)行ってきます。

バタン。

♡)ね、ね、ハルくんっ
  このリボン、かわいーい?♡
ハ)え?あ、うん!
♡)昨日パパが買ってくれたのー♡
ハ)可愛いよ。
♡)えへへー♡嬉しいなっ♡
ハ)……

♡はいつも笑顔で
元気で明るい女の子。

女)ほら、あの子でしょ?
  隣町から来た…
女)ああ。母親が男作って
  出て行ったって聞いたわよ?
女)やぁねぇ……

近所の人がそんな噂をしてるのは
いつものことで…

♡)ハルくんはママがいないの?

ある日、♡が無邪気に聞いてきた。

ハ)うん、そうだよ。
♡)…っ

俺がそう答えると
♡はポロポロ泣きだして…

ハ)なんで♡が泣くのっ!
♡)うわぁぁんっ
ハ)♡…っ
♡)寂しいよぉっ…ふぇぇっ…
ハ)……

泣きながら小さな手で
俺の手をぎゅっと握ってきたのを覚えてる。

ハ)寂しくなんかないよ、大丈夫。
♡)だって…
ハ)俺にはお父さんがいるから
  寂しくないよ。
♡)……

だって母親は
俺を産んだことを
あんなに後悔していたんだから。

………

二人になってから
父さんはなるべく早く
帰ってきてくれるようになった。

でも…
無理してるんじゃないかって
素直に喜べない自分がいた。

向かい合って食事をしていても
寡黙な父さんが喋ることはあまりなくて…

ハ)お父さん!明日はみんなで
  朝顔の種を植えるんだよ!

それでも何か話したい俺は
一生懸命に話しかけた。

ハ)お父さん!今日ね、
  テストで100点取ったよ!!
父)おお、すごいじゃないか。

父さんが喜んでくれるのが嬉しくて
毎日必死で勉強した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先)ではそろそろ次のお宅に向かおうかしら。
父)どうもありがとうございました。
先)いえいえ、お邪魔しました♡
  じゃあハルキくん、
  案内お願いしてもいいかな?
ハ)はいっ!!

家庭訪問の日。

先生の計らいで
生徒が次の生徒の家まで
先生を道案内することになっていて

俺は先生を♡の家まで送った。

ハ)じゃあ僕はこれで。
先)はい、ハルキくん、どうもありがとう♡

レ)あれ!ハルキじゃーん!
♡)ハルくんだぁ〜!♡

庭先から聞こえてきた二人の声。

レ)あ、先生!やべ!もう時間か!
  ♡!家の中に入るぞ!
♡)は〜〜いっ
  ハルくん、一緒に遊ぼ〜〜♡
ハ)えっ
♡)ね、ね、遊ぼ〜〜♡

俺は結局そのまま
先生と一緒に♡の家にお邪魔した。

先)♡ちゃんはもう本当に良い子で♡
  いつも元気で明るくて
  困ってる子も助けてあげるし
  本当に優しい子ですよ♡
レ)でしょーねーーあはははっw

♡)ね、ね、ハルくん、
  何してあそぶーー?♡

大人二人はお茶を飲みながら話してて

俺と♡は一緒に落書き帳を広げた。

レ)あ、先生おかわりいります?
先)ありがとうございます♡

レイコママが台所に向かうと
先生は俺たちを見て、にっこり笑った。

先)♡ちゃんはほんと優しいわね♡
  ハルキくんとも仲良くしてあげて♡
♡)え?
ハ)……
先)ハルキくん…
  色んなことを言う大人がいると思うけど…
  気にしちゃダメよ?
ハ)……
先)きっとお母様にはお母様の
  事情があったと思うの。
  子供を愛してない母親なんていないわ。
ハ)……

この人は…何を言ってるんだろう…

理解できない俺は
ただただ、先生を見つめた。

先)ハルキくんのお母様は
  今でも絶対ハルキくんを大事に思ってる。
  それを忘れちゃダメよ?
ハ)……
♡)……

レ)おい、先公。

ダンッ

レ)好き勝手言ってんじゃねぇよ。
先)え…っ
レ)勝手なてめぇの価値観を
  子供に押し付けんなって言ってんだよ!
先)ちょっ…何ですか急にっ!
  私はハルキくんのことを思って…
レ)あぁ?
先)…っ
レ)綺麗事ばっかり並べんのが
  先公の仕事なのかよ?
先)…っ 
レ)もう帰れよ。
先)…ハルキくんのお母様はきっと…
レ)いいから帰れっつってんだよ!
  脳みそ空っぽな奴と
  話すことなんてもうねぇんだよ!
先)…っ

返す言葉もないくらいのその勢いに…

先生は半泣きで家を出て行った。

俺が慌てて♡の顔を見ると…

♡)あのね、ママたまにああやって
  プンプンするの。
ハ)え…?
♡)でもね、気にしなくていいんだよって
  パパがいつも言ってるの。
ハ)え??
♡)ママは間違ったこと言ってないからって。
  プンプンしてる時はちょっと怖いけど
  気にしなくていーんだよ♡
ハ)……
♡)(にこっ♡)

無邪気に笑う♡。

ハ)あの…、おばさん…
レ)あぁ?!誰がおばさんだぁ!?
ハ)…っ
レ)お前よくこんな美人つかまえて
  「おばさん」とか言ってくれたなぁ?
ハ)す、すみませんっ!!

玲)ただいまーー

レ)あ、おかえり。

玲)ん?どうした?
  なんだこの画はw
レ)何。
玲)レイコが子供を脅してる画w
レ)脅してねーし!!w

♡)パパーっ!パパーっ!
  おかえりなさーいっ♡♡
玲)ただいま♡
  ♡の友達が遊びに来てるのかい?
♡)うんっ!ハルくんだよー!♡
玲)ああ!君がハルキくんか!
ハ)初めまして!ハルキです。
玲)もうね、♡がいっつも
  ハルくんハルくんって…
  君の話ばっかりなんだよw
ハ)……
♡)あのね、ハルくんがママのこと
  おばさんって呼んだら
  ママがプンプンなのーーっ
玲)あっはははw
  ハルキ、おいでw
ハ)…っ

大きな手は、
俺の手から優しくクレヨンを取って

その先をじっと見つめてると…

「玲子」

落書き帳に、書かれた名前。

ハ)レイ…コ?
玲)そうそう、うちの奥さんの名前w
  だからレイコママって呼んであげてw
ハ)……//

他の友達のお母さんみたいに
「おばさん」と呼ぶには
あまりに若くて綺麗な人だったから

呼び名を教えてもらえた俺は
その時ホッとしたのを覚えてる。

玲)でね、俺は……

「玲司」

隣に並んだ、お揃いの名前。

ハ)レイ…ジ??
玲)すごいなハルキは!
  まだ一年生なのに読めるんだ!
♡)あのね、ハルくんはいっつも100点なの!
  頭いーーのっ!すごいのっ!
玲)ほんとにすごいなw
♡)ママとパパの漢字おそろいー♡
玲)そうそうw
ハ)……
レ)次おばさんなんて呼んだら
  チョップだぞー!
玲)あはははっw
ハ)……レイコ…ママ…
レ)おっ、いいね!
ハ)……玲司…パパ……
玲)おっ、うんうん!

俺がそう呼ぶと、二人とも笑顔になって。

♡)わーーいっ♡
  ハルくんのママとパパが
  増えたよーーっ♡
玲)あはははっw
ハ)……//

いつも笑いの耐えない明るい家庭。

俺は♡の家族が大好きだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

男)うえ〜〜いっっww
♡)やだぁっっ
男)ほらほら虫だぞ〜〜っww
♡)うわぁぁんっっ

♡はいつも男子に追いかけ回されて
泣いていた。

ハ)お前らいい加減にしろ!
男)げっ!ハルキだ!
男)行こうぜ行こうぜ!
男)なんだよあいつ…
  いっつも♡のこと一人占めしてさ…
男)ちょっと頭いいからって…
  ムカつくよなっ

♡)ひっく…、ふぇっ…
ハ)♡、泣かないで。
♡)虫こわいよぉ…っ
ハ)大丈夫、怖くないよ。
♡)だって…っ、ひっく…
ハ)ほら、ちゃんと見てみて、♡。
♡)…っ
ハ)この虫のどこが怖い?
♡)え…?だって…、真っ黒で…
ハ)黒いから怖いの?
♡)…っ
ハ)この虫にもお父さんとお母さんがいて
  この子が生まれてきたんだよ。
♡)えっ!!
ハ)ほら、この子とこの子は
  姉弟かもしれない。♡と瞬みたいに。
♡)ええっ!そうなの?
ハ)そうだよw
♡)わぁぁ…っ

♡は俺の手をキュッと掴みながら
地面を不思議そうに眺めてた。

♡)怖がって…ごめんね?虫さん…
ハ)はははっw
♡)そっかぁ♡家族なんだね♡
ハ)うん。
♡)教えてくれてありがとう、ハルくん♡
  ね、ね、こっちの虫さんも
  家族かなぁ?
ハ)それは友達かな?w
♡)わぁ!お友達かぁ!
  ね、ね、ハルくん!こっちはー?♡

無邪気で素直な♡。

♡が笑ってると俺まで嬉しくなった。

ーーーーー

♡)ハルくんのおうち初めてだー!
  お邪魔しまーすっ♡

珍しく父さんがいる日曜日。
♡がうちに遊びに来た。

♡)お父さん!こんにちはっ♡
父)こ、こんにちは…
♡)えへへー♡
父)……///

♡は無邪気に、父さんの膝に飛び乗って。

♡)あのねっ、ハルくんね、
  昨日もテスト100点だったんだよぉ!
父)そ、そうか…
♡)すごいでしょ?♡
父)うん。

小さな女の子をどう扱ったらいいのか
わからないといった感じで

少しオロオロしていた父さん。

♡)ね、お父さんっ
父)ええと…
  おじさんは「おじさん」じゃなくて
  「お父さん」なのかい…?w
♡)???
  うん!そうだよ!
  だってハルくんがいっつも
  「お父さん」って言ってるもんっ♡
父)……っ
♡)あのね、ハルくんはパパとママのこと、
  パパとママって呼んでくれるの!
  だから♡もお父さんって呼びたいなぁ♡
父)……
♡)そしたらね?
  パパが増えたみたいで嬉しいでしょ?
  えへへ♡
父)……///

普段からあまり喋らない父さんに
♡はいっぱい話しかけて…

♡)ねっ、お父さんっ
  お喋りするの、嫌い?
父)…っ
♡)♡はねっ、お父さん大好きだから
  いっぱいお喋りしたいよー♡
父)…嫌いじゃなくて…
  何を話したらいいのか…
♡)なんでもいいんだよー♡
  ねっ、ハルくんっ♡
ハ)え…?
♡)ハルくんもお父さんが大好きだから
  なんだっていいから
  いっぱいお喋りしたいよね?♡
ハ)…っ
♡)大好きだから
  お話してるだけで嬉しいんだよぉ♡
父)……

♡の無邪気さにやられたのか

素直さが響いたのか

父さんが前より
会話してくれるようになったのは

♡がきっかけだったと思う。

父)ハルキ、お前、♡ちゃんと誕生日が
  一緒なんだってな。
ハ)うん。
父)来週一緒にお祝いしないかって
  連絡くださったんだよ。
ハ)……
父)なるべく仕事早く終わらせて
  父さんも向かうからな!
ハ)ありがとう……

すごく、嬉しかった。

誕生日当日、俺は♡と一緒に
♡の家に帰って

瞬と3人で遊びながら
父さんが来るのを待ってた。

♡の家にはいつも何か音楽が流れていて
その音楽に合わせて
いつも誰かがご機嫌で口ずさんだりしている。

その日はレイコママがるんるんしながら
台所に立っていて

ごちそうのいい匂いが漂ってきた。

♡)ママ〜〜お腹空いてきちゃったぁ!
レ)まだ早いわい!w
♡)早く食べたいな〜〜♡
レ)パパもハルキのお父さんも
  まだ帰ってきてないでしょw
  大人しく遊んでなさい。
♡)はぁ〜〜いっ
  楽しみだねぇハルくんっ♡
ハ)うんw
♡)あ、瞬、それはダメだよー!
  お姉ちゃんの教科書だから!
瞬)えほん〜〜
♡)絵本じゃないのっ、教科書っ!

それから夕方になって
玲司パパが帰ってきて

父さんからは連絡がなくて…

玲)お父さん、仕事忙しいのかな?
ハ)……

いつも無理して急いで帰ってきて
夜も部屋で仕事をしてるのは知ってた。

ハ)僕のせいで…お父さんはいつも…
玲)ん?
ハ)僕のご飯を…
  用意しないと…いけないから…
玲)……

だからいつも…
無理して帰ってくるんだって
そう思ってた。

玲)よーし、二人ともそこに座って♡
ハ)え…?
♡)なぁにー?

玲司パパが俺たち二人を並べて
ギターを持ってきた。

♡)わぁい♡ギターだー♡
瞬)ギター♡ギター♡

瞬も嬉しそうに走ってきて…

玲)〜♪Happy birthday to you♪〜

ハ)……っ

玲司パパがたまにギターを弾いてるのは
知ってたけど

この時初めて、
自分に弾いてもらえた嬉しさは

今でも忘れない。

レ)あー!何フライングしてんの!!
玲)歌うくらいいいじゃん!w
レ)も〜〜〜!!w
玲)〜♪Happy birthday
     dear my precious
      Happy birthday to you♪〜

♡)きゃはぁっ♡
  わぁい♡ありがとうっ♡
瞬)えいっ
玲)お前はまだ弾けないだろw
瞬)えいえいっ
ハ)……

瞬がギターのコードに指をかけて
音を鳴らすのを楽しんでいて…

玲司パパの歌声は
心をあったかく、ほぐしてくれたみたいだった。

レ)ハルキ!お父さんから電話きたよー!
  もう少しかかるから
  先に始めててってさー!
玲)そうか、じゃあそうしようか。
  ハルキももうお腹減ったろ?w
ハ)…(こくん)
♡)じゃあもうケーキ食べてもいいの?♡
レ)こーら、ケーキは最後でしょw
♡)え〜〜〜!!!

それからみんなで
レイコママが作ってくれたごちそうを食べて

手作りのバースデーケーキに
ロウソクを立てて
もう一度、ハッピーバースデーを歌った。

♡)ハルくん、せーのっ♡

二人でロウソクの火を吹き消して…

玲)♡、ハルキ、誕生日おめでとう。
♡)ありがとうっっ♡

♡が玲司パパの膝の上に飛び乗った。

♡)パパーーー♡
玲)♡はパパとママの宝物だよ。
♡)えへへ♡
玲)生まれてきてくれて
  本当にありがとう。
♡)うんっ♡♡

ハ)……

幸せな家族。
あたたかくて…優しくて…

レ)はいっ、プレゼントだよーー♡
♡)わぁぁいっ♡♡
レ)ほら、ハルキ!
ハ)……え?
レ)ハルキも♡
ハ)…っ

手渡された、色違いの箱。

♡)わぁっ♡
  ハルくんとお揃いかなぁ?
玲)どうだろうね、開けてごらん?w
♡)うんっっ♡♡
  …わぁ!パズルだぁ!あ、オモチャもー!
レ)あんたが「楽しいもの」とか
  漠然としたもん頼むからw
♡)楽しそう!やったぁ〜♡
  ね、ね、ハルくんっ!
  これ一緒にやろうねーーっ♡
ハ)……
♡)ハルくんも開けてみて〜〜っ
ハ)……
♡)ハル…くん…?
ハ)…っ

気付いたら…涙がこぼれてた。

♡)ハルくん?!どうしたの!?
ハ)…っ
レ)……
玲)……

ぽんっ

玲)ハルキ。誕生日おめでとう。

玲司パパが♡を抱き上げて
隣に座って…

頭に乗った大きな手のひらが…
優しくて…

ハ)…っ

慌てて涙を飲み込むと、
今度はレイコママに抱きしめられた。

レ)そうやって我慢すんな。
  泣きたかったら泣け…
ハ)…っ

そう言われて、一気に涙がこぼれて
自分でもわけがわからなかった。

♡)ハルくんっ…ハルくん…っ

小さな手が俺の手を握って…

顔を上げると、♡も泣いてて。

ハ)なん…で…っ
♡)どうして泣くのぉっ
  ハルくんっ…うわぁぁん…っ
玲)よしよし……

玲司パパが
♡と俺の頭を、優しく撫でてくれた。

レ)ハルキ……
ハ)…っ
レ)……
ハ)誕生日…って…
  よく…わからないんです。
レ)……

だって…
俺は生まれて来ない方が良くて
俺のせいで母親は不幸になって

1年前の誕生日に…
あの人は出て行った。

ハ)おめでとうって…
  何なのか…わからなくて…

どうして涙がこぼれるのかも…
わからなかった。

玲)ハルキ。
  おめでとうっていうのは…
  今日まで元気に生きてきてくれて
  ありがとうっていう意味だよ。
ハ)…っ
玲)ハルキが毎日元気で笑って
  生まれてから7年が経った。
  その節目をお祝いしてるんだよ。
  生まれてきてくれて、ありがとうって。
ハ)……
玲)……
ハ)だって…僕は……

そんな言葉…
誰にも言われたことない。

レ)ハルキ。
ハ)……
レ)子供を捨てる親も愛せない親も
  普通にいる。
ハ)…っ
レ)子供は親を選べない。
ハ)……
レ)でも…親の愛がなくたって…
  愛はたくさんあるよ。
ハ)…っ
レ)あたしや玲司だって
  ハルキのこと愛してる。
ハ)…っ
レ)♡や瞬だって。
ハ)……
レ)生きていく中で
  自分が生まれてきた意味だって
  思える相手にちゃんと巡り会えるから…
ハ)……
レ)生まれてこなきゃ良かったなんて…
  絶対に思わないで。

ぎゅっ…

ハ)…っ

抱きしめられた、優しい腕の中。

やっぱり涙が止まらなくて…

♡)ハルくん…っ
ハ)…っ
♡)♡は…ハルくんが大事だよ。
ハ)……

♡は泣きながら俺の手を握った。

♡)ハルくんといつも一緒で楽しいし…
  誕生日も一緒で嬉しいし…
  ハルくんともっともっと
  一緒にいたいよっ…
ハ)…♡……
♡)パパが教えてくれたから…
  ハルくんに言うねっ
ハ)……
♡)ハルくん、誕生日おめでとう♡
ハ)……
♡)生まれてきてくれて…ありがとう♡
ハ)…っ

泣きながら笑って
そんな言葉を初めて俺にくれた♡は

陽だまりみたいに
あたたかくて優しくて…

レ)えーいっ!
  泣き虫二人、まとめてこうだ〜〜!!

ぎゅーーーーっっ

玲)よーしっ!!ぎゅ〜〜っ!!!

♡)きゃはははっ♡
ハ)…っ

あったかい家族。

初めて…
生まれてきて良かったんだって…

そう思えた。

ピンポーン!ピンポンピンポーン!!

レ)あ!お父さんじゃない?ハルキ!
ハ)!!!!

走って玄関まで迎えに行くと

息を切らせた父さんが、
プレゼントを抱えて立っていた。

父)遅くなってごめんなハルキ!!
  誕生日おめ…っ

どんっっ

父)…っ
ハ)……っ

抱きついた俺を、
父さんは優しく抱き上げてくれて。

父)本当にごめんな、ハルキ。
  せっかくの誕生日なのに遅くなって。
ハ)……(ふるふるっ)

♡)お父さーーんっ!♡

どんっっ

父)おおっ!♡ちゃん!
  誕生日おめでとう!!
♡)ありがとうっ♡
  ね、ね、お父さん、
  ハルくんと♡ね、7歳になったよ!
父)うんw
♡)ね、お父さんも…
  ハルくんが生まれてきて
  ありがとうでしょ?
父)え?
♡)誕生日は…生まれてきてくれて
  ありがとうの日なんだよっ!
父)……
ハ)……

父さんは俺をおろして、
同じ目線にゆっくりしゃがんで

ゴツゴツした手が
俺の頬を包んだ。

父)そうだな、ハルキ…
ハ)……
父)いつも…寂しい思いをさせてごめんな。
ハ)…っ
父)ハルキは父さんの宝物だ。
ハ)…っ
父)生まれてきてくれて…ありがとう。
ハ)…っっ

初めて…父さんからもらった言葉。

ハ)ふっ…、うっ…うう…っ
父)ハルキ、誕生日おめでとう。
ハ)おとうさぁぁんっっ……

涙があふれて止まらなかった。

それからみんなでケーキを食べて

父さんが俺と♡に
買ってきてくれたプレゼントは
算数のドリルで

それを見て固まった♡を見て
玲司パパとレイコママは大笑いしていた。

もし良かったら
ハルキも夕食はこれからはうちで一緒に、
というレイコママの申し出に

夕食の時くらいは
ハルキと二人で話をする時間にしたいんです
と、丁重に断った父さんを見て

俺のせいで、と考えるのはやめることにした。

折角の父さんの気持ちに
申し訳ない気がしたし

ただ純粋に…その気持ちが嬉しかった。

こんなに笑って楽しくて
幸せだって思えた誕生日を…

俺は幼いながらに、一生忘れないと
強く思った。

ー続ー

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コメント

  1. ERINA より:

    やっとゆっくり読めた!!
    ハルくんやっぱスーパーハイスペックだよ~。゚(゚´ω`゚)゚。
    読んでてハルくんは、愛されない悲しみも、愛される幸せも両方知ってるから、素敵な子に育ったんだなってすっごい伝わってきた!!
    だいたい愛を知らない子は親と同じ道歩んじゃいがちだからね…
    ハルくんパパはまじめすぎるんだろうなぁ…
    だからあんなクズ女に捕まっちまったんだ(`ε´*)

    あと♡ちゃんファミリーが言うまでもなく理想の家族すぎて。゚(゚´ω`゚)゚。
    ハルくんにパパとママが増えたってとこが好きすぎる。゚(゚´ω`゚)゚。

    • マイコ より:

      そうそう、そうなのよ。゚(゚´ω`゚)゚。
      親と同じ道を歩みがちなところを♡ちゃんファミリーの愛の力で変えたかったの。

  2. 外山咲良 より:

    おかえりなさいですゆ
    ハルキのお話がこんなにも感動的な話だったとは。
    次も楽しみにしています。

  3. レイラ より:

    素敵な愛のおはなしありがとうございます。ほろほろっと涙が溢れてしまいました。もう何周したかわからないくらい、
    マイコさんのお話がどれもとっても素敵で大好きなので、これからの展開、どきどきですが、ずっと楽しみにしています。

    • マイコ より:

      レイラさん(இдஇ; )どうもありがとうございます…!!
      このStoryは全体を通して大きなテーマが2〜3つあるので、ゆっくり伝えていけたらと思っております。
      どうぞ最後までおつきあいくださいましっっ

  4. 岩田夜空☆岩田剛典大好き♥❤ より:

    感動してつい泣いてしまいました私このストーリー好きです!小説で泣いたの初めてでやばかったです。続き早くみたいです!待ってます

    • マイコ より:

      おおお。゚(゚´ω`゚)゚。どうもありがとうございます!!

  5. のんちゃん より:

    マイコさんおかえりなさい(^_^)ハルキ君は、♡ちゃん家族からいっぱい愛を貰ったんだね〜。また♡ちゃんと、臣くんストーリーとは違ったほっこりした気持ちになりました。なんだろ凄いあったかい愛情を、♡ちゃん家族からいっぱい貰ったんだよね〜ハルキ君。臣くんストーリー心待ちをしてます。更新ありがとうございます

    • マイコ より:

      のんちゃんありがとう(❁´ω`❁)
      臣くんはしばら〜〜くお休みだから申し訳ないけど…
      しかもお休み明けしばらくしょぼん臣でさらに申し訳ないけど…。゚(゚^ω^゚)゚。
      どうぞおつきあいくださいまし♡

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