最後の一日 〜short story〜

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臣)うわ、めっちゃ夕日キレイ!
〇)ほんとだね…!!


二人で手を繋いで辿り着いたのは
オレンジ色に染まり始めた、綺麗な海。


臣)やっぱ俺、ここ好きだわ…
〇)うん。


臣が大好きなLA。

付き合ってもう3年になるけど
何度も一緒にここを訪れた。


〇)あたしも好きだよ…
臣)……


二人の思い出が、いっぱい詰まってる。


la1


そう言って目を閉じた臣の横顔が
すごく綺麗で…切なくて…


なんだか泣きそうになるのは

どうして?


〇)臣……
臣)……
〇)……
臣)なぁに暗い顔してんだよw


そう言って臣は
あたしの頭をくしゃっと撫でた。


la2


〇)えーー?
臣)折角だしw


そう言って笑う笑顔は
すごく無邪気で、子供みたい。

あたしの大好きな、笑顔。


臣)ほら、早くw
〇)ちょっと!w


強引に手を引かれて
波打ち際まで近づくと

海の水は生温くて…


la3


〇)もうっ、濡れちゃうよw
臣)いいじゃん、ほらw


臣があたしを縦に抱き上げて
膝が浸かるくらいまで

海の中へ進んだ。


〇)臣、濡れてるw
臣)いいんだよw
〇)も〜〜〜
臣)水も温いしさ。
〇)……
臣)……


あたしは臣にしがみつきながら
シャツ越しに伝わる、臣の体温を感じてる。


臣)降ろして…いい?
〇)え…?
臣)……
〇)あたし、濡れちゃうよ…?
臣)うん。
〇)……
臣)一緒に濡れよう?
〇)……


そう言ってあたしを
海の中に降ろした臣の腕は、

そのままぎゅっと、あたしを抱きしめた。


〇)……
臣)……


波の音が、耳に優しく響く。


トクン、トクン…

二人の鼓動をかき消すように…


臣)……
〇)……


このまま…時が止まればいいのに。

このまま二人で海の中で
一つになっていたい。


「一緒に濡れよう?」


そう言った臣の言葉は

これから離れてしまう
あたし達の切なさが
どこかに滲んでいて

胸が少しだけ、苦しくなった。


臣)〇〇…
〇)……


そっと離れた身体。


あたしの真っ白なマキシワンピは
膝まで濡れて波に漂ってる。

臣のジーンズも膝まで濡れて、
色が変わってる。


臣)…二人とも…びしょ濡れ…w
〇)……


そう言って笑う笑顔も
どこかやっぱり儚げで…


〇)臣のせいだよ…
臣)うん…


そう言って臣は、
またあたしを抱きしめた。


潮の匂いに混ざって
大好きな臣の匂いが鼻腔に届く。

この匂いも…
このぬくもりも…

ずっとずっと、忘れたくない。


〇)臣……
臣)……ん、


好き。


目を見つめて心の中で呟けば
優しく重なる、唇。


〇)……
臣)……


あたたかいキスが
また、胸を締め付ける。


臣)……もう陽が落ちるな。
〇)うん……


生ぬるい海に二人で浸かりながら
遠くに沈むオレンジ色の夕日を

二人でずっと眺めていた。



あたしは明日からここで働く。
5年は日本に帰れない。

何度も臣と訪れたこの街が
二人の別れの場所になるなんて

思ってもみなかった。


臣)そろそろ戻ろっか…
〇)うん…


臣とはもう、会えなくなる。


「休みが取れたら会いに行くよ。」


臣はそう言ってくれたけど
あたしの夢を応援してくれたけど

今までみたいにはもう…
側にいられなくなるの。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣)あっという間だったな…
〇)うん……


一緒にホテルのお風呂に浸かりながら
この一週間を思い返す。


臣)楽しかった。
〇)……


臣は明日の朝には
日本に帰ってしまう。


別れの時間が刻一刻と近づいていることに
胸が苦しくなって

あたしは返事も出来なくなっていた。


臣)仕事、頑張れよ?
〇)……


後ろからあたしを
優しく包み込んで

優しく囁く、大好きな声。


臣)毎日…メールする。
〇)……
臣)電話も…するから。
〇)……


やめて…
泣いちゃいそうだから…


臣)〇〇…
〇)…っ

臣)好きだよ……
〇)……


どうしてそんなに優しく囁くの?


あたしが涙を我慢できずに
両手で顔を覆うと

臣はゆっくり立ち上がって
あたしの頭に手を置いた。


臣)先に上がってるから。
  落ち着いたら出ておいで。
〇)……


そう言って臣は
バスルームを出て行った。


〇)…っ


あたしが泣いてる時は
いつも側にいてくれるのに。

いつも抱きしめてくれるのに。

どうして行っちゃうの…?


これから離れ離れになるんだから
一人でも強くならなきゃダメって…
そういうこと…?


涙はまだ止まらないけど
臣と一瞬でも離れていたくなくて

あたしもすぐに後を追った。


バスタオルに身を包んで
バスルームの扉を開こうとした時、

あたしの目に映ったのは…


臣)…っ


肩を震わせてる、臣の後ろ姿だった。


〇)…っ


寂しいのはあたしだけじゃない。
辛いのはあたしだけじゃないのに…


ごめんね、臣…


〇)…っ


後ろから大きな背中に
そっと腕を回した。


臣)…っ
〇)……
臣)もう…出てきたの…?
〇)……


あたしは何も言わずに
ただただ、ぎゅっと、臣を抱きしめた。


臣は…
お腹にあるあたしの両手を
そっと包んだ。


臣)〇〇…
〇)……

臣)好きだよ…
〇)…っ

臣)……すげぇ好き。
〇)……


その言葉に、またぽろぽろと
涙がこぼれ出す。


そっと振り返った臣の瞳は
切なさに滲んでいて…



la4


〇)…っ
臣)朝までもう離さない。


今度は正面から力強く抱きしめられて


〇)うん、離さないで…


あたたかい臣の胸の中で
そう、返事をした。


好き。

大好き。


臣の声も…匂いも…
このぬくもりも…

その全てを、あたしに刻み込んでほしい。


ずっとずっと…
忘れたりしないように。




ーendー

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コメント

  1. KY より:

    何回読んでもウルウル(T_T)ですね(T_T)

    • マイコ より:

      いやん。゚(゚´ω`゚)゚。読み直してくれてありがとう♡♡

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