〈36〉二人の答え

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♡)ぐすっ…
 
 
話してたら、また涙がこぼれてきた…。
 
 
M)痛いこと…されたんですか…?
  大丈夫ですか…?
 
 
どうしてかMちゃんも
泣きそうな顔をしてる。
 
 
♡)痛いことなんて…されてないよ…。
M)でも…、それって無理矢理、ですよね?
♡)そう…だけど…、でも…
  あんなことさせたのは…私だから…。
 
 
激しくて、荒々しくて、
……でもどこか、泣いてるような感じがした。
 
 
K)♡に乱暴したから
  合わせる顔なくて帰ってこないのかもね。
♡)えっ…?
M)そうかも…。
♡)…っ
◇)♡ちゃんは…
  ごめんなさいって、
  自分を責めて泣いてたんだとしても…
  臣さんはそれを、
  自分のことが嫌だから、
  ハルくんのことが好きだから、
  だから泣いてる、とか思ったかもだし…。
♡)…っ
M)酔ってる頭なら
  そんな風に思っちゃう可能性も
  ありますもんね…。
♡)違う…っ!違うのに…っ
K)うん。わかってるよ。
  でも、好きって言っても
  聞いてくれなかったんでしょ?
♡)…っ
K)酔ってたのもあるだろうし、
  ハルくんのことでカッとなってたから
  そんな言葉も耳に入って
  こなかったんじゃない?
M)……ですね…。
♡)……。
 
 
あの時、私の言葉は何一つ、
臣くんに届かなかった。
 
 
K)あのハルくんとのキスシーンだもんなぁ…
  嫉妬の塊の臣広だもん。
  そりゃ冷静じゃなくなるわ。
◇)でもさ、仕事だよ?
K)そうだけど…、うーん。
  タイミングが悪かったよね。
◇)ああ、それは、うん。そう思う。
  普段の臣さんならヤキモチは妬いても
  そこまで荒れなかった気がする。
K)自分の昔のクソネタで
  喧嘩っぽくなってるタイミングで
  これだったから…
  余裕なかったんだろうね。
M)でもそんなの…自業自得なのに。
  登坂さんが過去に遊んでたことは
  今更消せないし、
  それで先輩が落ち込んだり
  嫌な思いするのは、
  もう仕方ないじゃないですか。
◇)うん。
M)だからこそ…
  これからの自分の行動で
  誠意を伝えていきたいって…
  そう言ってたのに…
  自分を抑えられなくて
  先輩に乱暴なことするなんて…
♡)乱暴なことはされてないよ!
M)同じですよ!
♡)…っ
 
 
私が思わず口をつぐむと、
Kちゃんが眉を下げて言った。
 
 
K)そんな自分の決意も
  守れなくなるほどだった、って事でしょ?
♡)…っ
 
 
その言葉に、ハッとした。
 
 
K)あんだけ♡のこと大好きで
  大事にしてるんだから…
  去年♡が家出した時に
  絶対誓ったはずだよ。
  もう♡のこと泣かせない、って。
♡)…っ
 
 
「お前が悲しむようなことは
 この先絶対しないから。
 傷つけるようなことは二度としないから。」
 
 
臣くんがくれた手紙に、書いてあった言葉。
 
 
K)誓ったけど、それでも自分を…
  止められなかったんでしょ…。
♡)……。
 
 
私が…そこまでの気持ちに
臣くんをさせた、ってこと…?
 
 
K)……あんたは…ハルくんと…
  どうなりたいの…?
♡)え…?
K)前に言ってたじゃん。
  逆の立場だったら、やだって。
  臣広に初恋の幼なじみの女がいて
  愛してるとか言ってたらやだ、って。
♡)うん…。
  だからそれは…
  ハルくんとも話したって言ったでしょ?
K)うん。
  でも…「愛してる」とは言わなくても
  二人で会ったりはするんでしょ?
  それは逆だったら嫌じゃないの?
♡)…っ
 
 
逆の…立場だったら…
 
 
♡)臣くんが…言ってくれたの。
  ハルくんが私にとって
  大事な家族みたいな存在だっていうのは
  わかってる、って…。
  だから友達付き合いするのはいいけど、
  「愛してる」とかは限度を超えてるから
  やめてほしい、って。
K)……うん。
♡)私も逆だったら同じだと思う…。
K)同じ?
♡)うん。
  その女の子と臣くんが
  友達付き合いするのはいいけど…
  「愛してる」とかは嫌だから…
K)……はぁぁ……、
  そっか、そういう解釈か、なるほど…。
 
 
Kちゃんは少し困ったように頭を抱えた。
 
 
◇)もしも…、、
♡)え…?
◇)もしもだけどね?
  臣さんがハルくんとの「友達付き合い」も
  やめてほしい、って言ったら?
♡)え…っ
◇)もし臣さんがそう言ったら
  ♡ちゃんはやめれるの?
♡)…っ
 
 
友達付き合いをやめるって…
どういうこと?
 
 
M)ハルキさんと縁を切るってことですか?
◇)まぁハッキリ言うとそういうことかな。
♡)…っ
 
 
ハルくんと…縁を…切る…?
 
 
……ハルくんと…
二度と会えなくなるって…こと…?
 
 
◇)ああああ!!
  例えばの話だから!泣かないで!!
♡)…っ
 
 
想像したら胸がぎゅっと苦しくなって
息が出来なくなった。
 
 
K)そんなこと言ったら
  ♡がこうなるって、
  臣広はわかってるんだよ…。
◇)え…?
K)だから言えない。
◇)…っ
♡)臣くんは…私とハルくんに
  縁を切って欲しいって
  思ってるってこと…?
K)わかんないよ、そんなの。
  本心は本人にしかわかんないけど、でも。
  もしそう思ってたとしても
  ♡のことが大事だから
  ♡を泣かせるようなことは言えないし
  言いたくないんじゃない?
♡)…っ
M)うーーーん……、
  切なくて深いですね…、なんか…。
♡)私は…どうしたらいいの…?
 
 
もう…わかんないよ…。
 
 
♡)私が好きなのは臣くんだよ…?
K)うん、わかってるよ…。
♡)ハルくんを大好きな気持ちは
  臣くんを大好きな気持ちとは
  また全然別なの。
K)うん。
♡)臣くんを裏切ってるとか
  臣くんにやましい気持ちを
  感じたりしながら
  ハルくんと接したことは一度もない!
K)うん、わかってる。
 
 
Kちゃんは優しく頷いて
私の頭を撫でてくれた。
 
 
♡)ぐす…っっ
 
 
どうしたら…
臣くんにわかってもらえるの…?
 
 
♡)ハルくんを大切に思う気持ちは、
  パパのことを思い出したり、
  ママや瞬を大好きって思ったりするのと
  同じように…
  私にとっては、宝物みたいな気持ちなの。
K)うん…。
M)そこまで大事な人なら…
  比べようがないですよね。
  どっちが大事か、とか、そんなの。
◇)うん、そうだね…。
♡)でも…もし…
  臣くんがそんな私を嫌なら…、
K)嫌なら…?
♡)……。
 
 
私は……、、
 
別れるの?臣くんと。
 
離れられるの…?臣くんと…。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
N)マジかぁ…。
健)そらまぁ…
  お前基本ジェラ臣やもんなぁ…
  抑え利かんくなるかぁ…。
隆)そんなん、俺でも無理かも。
E)え?
隆)だって♧が瞬くんとMV共演して
  キスシーンするみたいなことでしょ?
♧)えっ…
健)しかも、あれやろ?
  それだけやなくて…
  ドキドキした、大好きだと思った
  言われんねんで。
隆)うん、無理!
♧)あの…、隆二くん…、
  瞬くんのことは…///
岩)あ、ごめんね♧さん、
  そのことみんな知ってる…w
♧)えっ!
  わた、わたしが…っ
  瞬くんのこと…っ
岩)好きだったってことw
♧)!!!
岩)俺らは隆二さんの恋敵として
  認識してたからw
♧)そ、そっか…///
直)まぁでも…
  前に好きだった人って部分は同じでも
  ハルくんは♡ちゃんにとって
  もっと大きい存在でしょ。
隆)確かに…。
直)だから臣もここまでなっちゃってんだし。
♧)あっ!
 
 
♧さんが急に何かを
思い出したような顔をした。
 
 
♧)もしかして…
臣)え?
♧)……あ、ううん、なんでもない。
隆)え、何。気になる。
臣)なんですか?
♧)…っ、あの…、
  ウエディングドレスって…
  もしかしてその撮影だったのかな…って。
隆)ウエディングドレス…?
E)え、お嫁さん役って…
  ドレスまで着ちゃったの!?
岩)マジか!!
臣)…っ
 
 
ドレスを着るとは聞いてたけど…
それがウエディングドレスじゃなきゃいいなと
思ってた…。
 
 
「だって…ハルくんのお嫁さん役だったから」
 
 
そうか…、そうなんだ…。
ドレス…着たんだ…、ハルくんの隣で…。
 
 
N)ああああっ!
  臣がさらに落ち込んじゃった!
♧)ご、ごめんねっ
臣)いや…、
健)もう、あれや!臣ちゃん!
臣)え?
健)ハルくんにそれくらい
  許したったらええやん!
臣)え?
健)キスシーンも。結婚式?の撮影も。
臣)…っ
健)例えハルくんが♡ちゃんを好きで
  どんなにそれを望んでも
  絶対叶えられへんねんで?現実には。
E)……それも…切ないなぁ…。
健)それを現実に出来るんは
  臣だけやねんから。
臣)…っ
健)せやから…
  そんなん1回くらい
  許したったらええやん。
N)広い心で?
健)うん。
隆)まぁ…確かに…そうか…。
臣)……。
 
 
ハルくんは…
♡をどんなに想っても、どんなに望んでも、
それを叶えることは…出来ない。
 
 
………でも、それは今現在の話であって…
♡がハルくんを選んだら…叶うじゃん。
 
 
直)お前今…、♡ちゃんがハルくんを選んだら
  現実になるじゃんとか思ってるだろ。
臣)!!!
 
 
直己さんに心を読まれた。
 
 
直)♡ちゃんの気持ち、信じてやんないの?
臣)…っ
直)臣のことが好きだよ、あの子は。
  あんなにも。
臣)…っ
 
 
……その言葉に、胸が痛くなった。
 
 
岩)確かに…。
  ♡ちゃんは臣さんのこと大好きだよ。
  臣さんと同じくらい。
  周りが呆れるくらい。大好きだよ。
臣)…っ
隆)でもだからってハルくんの存在を
  簡単に受け入れられるわけじゃ
  ないんでしょ?
臣)……。
N)まぁ仕方ないよなーー。
  なんかハルくんって
  出木杉くんなんだもん!
岩)それはわかるw
N)すんげぇ嫌がらせして
  ♡ちゃんを奪おうとかしてくる奴なら
  遠慮せず叩きのめせるのに
  どこまでも聖人君子じゃん?
E)聖人君子!w
N)だって話聞いてるといつもそんな感じ。
隆)うんうん。
N)そんなイイ男が自分の女を好きだとか…
  受け入れたくないよw
岩)確かに…。
E)でも臣だって出木杉くんに負けてないよ!
健)せやんな。のび太じゃあるまいし。
隆)のび太ってよりは…ジャイアン?
E)ジャイアン!?スネ夫は?
健)スネ夫〜〜?
  なんかどれもしっくり来ぉへんな。
N)いや、別に臣をドラえもんのキャラに
  無理矢理当てはめなくていいから!w
E)あ、そっかw
健)お前知ってるか?
  出木杉くんの下の名前、
  「英才」って書いてひでとしやねんぞ。
隆)うっそ!知らなかった!
♧)あの…、なんか話が脱線してる…、、
隆)はっ!
♧)ごめんね、臣くん…。
臣)いや…、
 
 
なぜか♧さんに申し訳なさそうに謝られた。
 
 
岩)ドラえもんはどうでもよくて。
  このままじゃハルくんに
  ♡ちゃん持ってかれちゃうって話だよ。
臣)えっ…
岩)いつまで家出すんの?
  その間にハルくんが本気出したら?
健)うわ、それ危なっ!
N)ハルくんじゃなくても、
  他の男もいくらでもいそう、
  ♡ちゃんなら。
E)そうだ!前にもいたじゃん!
  Tだか誰だか!
N)いた!
  あの子多分ほっといたら
  すぐ男が寄ってきちゃうよ。
臣)…っ
 
 
そう言われて頭に浮かんだのは
蒼とかいうクソガキの顔だった。
 
 
直)ハルくんだろうと他の男だろうと、
  弱ってる時に優しくされると
  無意識で心許しがちだからね、人間って。
臣)…っ
 
 
俺は、どうしたらいいんだろう。
俺は…、
 
 
健)臣は結局どうしたいん?
N)そりゃー戻りたいでしょ、
  ♡ちゃんのところに。
岩)でも今戻っても同じことになりそう。
健)ハルくん問題が未解決やから?
岩)はい。
N)結局お前は♡ちゃんに
  ハルくんと縁切れって言いたいの?
直)そうじゃなきゃ許せない?
臣)…っ
 
 
そんなんじゃ…、、
 
 
臣)縁を切れとまでは思ってない…。
  そんなの♡が絶対泣くし、
  ♡が悲しむことは言いたくないし
  したくない。
N)建前じゃなくて本心は…?
臣)…っ
 
 
本心…?
 
俺の…、本心…は…、、
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
ハルくんを大切に思う気持ちは、
私にとっては、宝物みたいな気持ち。
 
 
でも、それが他の人に理解されないことは
もうわかってきた…。
 
 
臣くんとハルくん、
私にとっては比べようもない存在で
二人とも大好きで、二人とも大事だけど…
 
 
臣くんがもしそんな私を嫌で
許せないって言うなら…
 
私は臣くんと、別れるの…?
離れるの…?
 
 
………ううん。
 
そんな選択肢、私にはない、絶対に。
 
 
♡)臣くんにもし
  ハルくんともう会わないでとか
  縁を切ってほしいとか
  そんなことを言われたとしたら…、
  私は多分耐えられないと思う…。
K)……。
♡)それは実際にハルくんと
  サヨナラすることもそうだけど、
  臣くんにそんな言葉を言わせる自分が。
  許せなくなる…。
 
 
あんなに優しい臣くんに
そんなひどい言葉、言わせたくない。
 
 
♡)だって…臣くんがもし
  そんなことを言うとしたら
  私の愛が足りてないってことだと思う。
  ちゃんと伝わってないってことだと思う。
 
 
こんなにこんなに臣くんのことが大好きで
仕方ないくらい大好きで
 
こんなにいっぱいの気持ち、
ちゃんと全部伝わってたら
そんなことになるわけないもん。
 
 
♡)だから…
  もしそうなったら私が悪いの。
  でも私は絶対に諦めない…っ
  どんなに信じてもらえなくても
  ずっとずっと、伝え続けるよ。
 
 
臣くんのことだけは、諦められない。
どんなことがあっても。
 
 
ハルくんと再会して
公園で長い時間話したあの日は…
 
泣きながら、嫌だって思いながら、
それでも一度は、サヨナラを受け入れた。
そうするしかないって思った。
 
 
でも、臣くんは違う。
そうするしかなくても、絶対出来ない。
 
サヨナラなんて絶対に無理だよ。
 
臣くんのいない世界なんて
絶対に絶対に考えられない。
 
 
♡)私が好きなのは…臣くんだから…
  一緒にいたいのは…臣くんだから…
  この気持ちが臣くんに伝わるまで、
  ずっとずっと、伝え続ける…!
 
 
私に出来ることなんて、それしかないんだ。
 
 
◇)良かった…、そう言ってくれて…。
♡)え…?
M)先輩の目に力が戻った気がする!
K)うん。
♡)…っ
 
 
みんなが嬉しそうに笑ってる。
 
 
♡)私は、臣くんが好き。
 
 
頭の中が、クリアになった気がする。
 
 
怖くて、怯えてたけど…
どうしようって…答えを出せずにいたけど…
 
やっとわかった。
 
 
私はどうしたって臣くんのことが
大好きなんだよ。
 
だから絶対、諦めない。
 
 
♡)臣くんが帰ってきたら、
  ちゃんと話したい…、伝えたい…。
K)帰ってきて、とは言わないの?
♡)……うん、言わない。
  臣くん、一人になりたいのかも
  しれないし…
  そういう時に急かされると
  余計に気持ちがぐちゃぐちゃになるから。
K)……そっか、あんたもあん時
  そうだったもんね…。
♡)うん。
 
 
本当は今すぐ会いたい。
今すぐ帰ってきて欲しいけど…
 
臣くんのことを信じて、待ってるよ…。
 
 
◇)大丈夫、絶対帰ってくるよ。
M)そうですよ!
♡)ありがとう、みんな…。
 
 
いつも私を支えてくれて助けてくれて…
そんなみんながいるから…
一人ぼっちじゃないから…
 
だから私はいつも前を向けるんだよ。
 
 
K)てゆーかあんた明日から旅行でしょ?
  臣広このまま帰ってこなかったら
  どうすんの?!
M)あ!そーだ!旅行!!
  ……ってことは
  やっぱり帰ってきてって
  言った方がいいんじゃないですか?
♡)……ううん。
M)えっ…
 
 
もう決めたから。
 
 
♡)旅行は、一人で行くよ。
K)えええ!!!!
M)ほんとにですか!?
♡)うん。
◇)もし臣さんが今日帰ってきても!?
♡)……まだ帰って…こないと思う。
  そんな気がするんだ。
 
 
でも、ここにいたら待っちゃうから。
 
臣くん帰ってこないのかなって
ずっと一人で待ち続けて苦しくなるから。
 
 
♡)ほら、有給も取っちゃってるし…
  一人で行ってくるよ。
M)…っ
 
 
そして日本に帰ってきたら、
臣くんに一度連絡してみようかな。
 
 
それは…
家に帰ってきて、とかじゃなくて…
ただ、伝えたい。
 
私の気持ちを。
 
 
その時は…臣くん…、聞いてくれますか…?
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
岩)わっ、やべっ…
E)え?どうしたの?
岩)……臣さんが…
  今日も帰る気なさそうかもって言ったら…
  ◇が今からここに乗り込んでくるって。
N)えええ!!
岩)なんか…向こうも今、話してたみたい。
直)え?向こうって…、♡ちゃんたち?
岩)はい。KちゃんとMちゃんも。
  ♡ちゃんが衰弱しないか心配で
  3人で押し掛けたそうです。
臣)…っ
N)「衰弱」って…
  そんな心配されるほど
  ♡ちゃん弱ってるってこと?
臣)…っ
 
 
その言葉に、胸が締め付けられた。
俺のせいだ。間違いなく。
 
 
岩)あっ!!
N)えっ、今度は何!!
岩)やっぱり!!
N)だから何!
岩)男寄ってきてるよ、臣さん。
臣)えっ…
岩)♡ちゃん、ずっと何も食べてなくて…
  でも今日の昼休み、
  ヨーグルトだけ食べたんだって。
隆)それで?
岩)それは♡ちゃんのことを好きな男の子が
  買ってきて食べさせた、って。
健)出たーーーー!
N)やっぱりーーーー!
直)まぁ…あんな可愛い子が衰弱して
  何も食べれずにいたら…
  男はほっとけないんじゃない…?
E)確かに…。
臣)…っ
岩)で、夜は◇がご飯作って食べさせたって。
  とりあえず顔色は良くなったってよ。
隆)良かったじゃん!
  ◇ちゃん、ナイス!
N)お前ら…二人揃って…w
  周りに心配されて
  飯食わされてるカップルって
  どんだけだよ!w
健)ほんまやw
直)まぁそれだけ二人とも
  ぼろぼろってことでしょ。
臣)…っ
 
 
♡のことが心配で仕方ない。
 
そわそわして…
本当は今すぐそばに行きたいのに…
 
俺にはもう…そんな資格は…、、
 
 
ピンポーン。
 
 
岩)ぎゃっ!来たぁぁっ!
直)いや、なんで岩ちゃんはそんな怯えんのw
  自分の彼女でしょーがw
岩)いや、だって…w
  怒ってたらどうしようって…
  臣さん説教されないか…心配…。
臣)えっ…
 
 
とか話してる間に、
♧さんが◇ちゃんを連れてきて…
 
 
◇)こんなところにいたか…。
 
 
俺を見つけた◇ちゃんが
ずーーーんと俺を鋭く見据えた。
 
 
岩)ほ、ほら…、怖い…っ
直)う、うん…っ
 
 
◇ちゃんはなんでこんな全員揃ってんだよ
みたいな顔で俺たちを見て、
真っ直ぐに俺の前に座った。
 
 
◇)帰んないんですか?今日も。
臣)…っ
◇)なんで?
臣)……。
 
 
なんで…って、
合わせる顔が…なさすぎて…
 
 
岩)臣さん、♡ちゃんに合わせる顔が
  ないんだと思うよ…。
臣)…っ
 
 
岩ちゃんが俺の気持ちを代弁してくれた。
 
 
◇)そのことなら、♡ちゃんは臣さんを
  怒ってもいないし、責めてもいない。
  ♡ちゃんは自分を責めてるの。
臣)……は…?
◇)自分が悪い、
  自分が臣さんにあんなことをさせた、って
  ずっと自分を責めてる。
臣)…っ
 
 
なん…で…?
 
あんなの…どう考えたって
俺が悪いじゃん。
100%俺が悪いじゃん。
 
嫌がって泣いてる♡を無理矢理抱いたんだぞ?
俺のこと嫌いになってもいいくらいなのに…
なのに…なんで…
 
 
隆)臣を責めないで自分を責めてるんだ…。
直)♡ちゃんはそういう子なんだよ…。
臣)…っ
 
 
♡はそういう子。
そう言われれば確かにそうだ。
 
誰かのせいにしたり、しない。
自分を責めるんだ、あいつは。
 
 
今までだってそうだった。
 
俺が悪いのに、自分を責めて…
ごめんねって泣くんだ、いつも。
 
 
臣)…っ
 
 
そんなことを思い出したら
余計に胸が痛んで、苦しくなった。
 
 
健)でもこっちはまだハルくん問題も
  残ってんねんなー。
◇)ハルくん問題って何!
  キスシーンは仕事なんだから
  仕方ないでしょ!
  自分だってMVで
  女とイチャコラするくせに!
N)こらこら、言い方…w
隆)キスシーンだけならまだしもさ、
  ドキドキしたとか
  大好きだと思ったとか言われたら…
◇)それくらいなんだっての!!
隆)ええっ!
◇)そんなこと言ったらあたしなんて
  毎日Jさんにドキドキしてるし
  好きだって思ってるわ!
岩)こら!!お前は彼氏の俺に
  ちょっとは遠慮しろ!w
◇)そんなJさんと
  キスシーンなんてあった日にゃ
  ドキドキするなって方が無理だもん!!
  絶対ときめく!!
岩)こらーーー!!!
直)はははは、まぁまぁ、岩ちゃん…w
岩)……あとでぜってぇお仕置き…。
 
 
直己さんに宥められた岩ちゃんが
ぼそっとそう言った。
 
 
E)でもキスシーンは確かに仕方なくても
  二人でドライブ行ったのは
  俺だったらやだなぁ。
隆)わかる。俺も絶対やだ!
◇)それだって!!
  ハルくんがドライブ連れてったのは
  ♡ちゃんが「帰りたくない」って
  言ったからでしょ?
  ♡ちゃんがそんなこと言ったのは
  誰のせいなの!?
E)えっ…
◇)臣さんがE-girlsにまで
  手を出してたせいでしょうが!
臣)…っ
 
 
わかってる。
だから何も言えないんだよ俺は。
 
 
隆)あ、そっか、そういう流れでドライブ…、
  なるほど…。
岩)前日のアレがそんなに尾を引いてたか…。
健)……臣…、ごめん…。
臣)いや、それはもういいんだけどさ…。
 
 
そうだよ。
二人でドライブさせることになったのも
元はと言えば俺のせいで、自業自得。
 
キスシーンの話だって…
自分の心にゆとりがある時なら
許せたかもしれない。
 
でも、前の夜のことがあったせいで…
俺は勝手に不安になってて…
勝手な被害妄想で、冷静さを失った。
 
……全部全部、俺が撒いた種だ。
 
 
◇)それに臣さんだって
  Rちゃんと二人で飲んでたんでしょ!?
皆)えっ!そうなの?!
 
 
みんなが驚いたように俺を見た。
 
 
健)そんなん聞いてへんで。
臣)いや、別に言う必要もないかと…
◇)やましいこと何もなかったんですか?
臣)あるわけないじゃん!
◇)ほんとに!?
臣)…っ
 
 
◇ちゃんの気迫に、自分の記憶を辿ってみた。
 
 
臣)……あ。
◇)ほら!!なんかあった!!
隆)え、なんかあったの?臣。
臣)いや、「なんか」っていうか…
◇)吐きなさい。
臣)…っ
 
 
◇ちゃんが…怖い…。
 
 
N)誘惑された!?
臣)いや、それはないけど…
直)告白でも…された?
臣)いや、それもないけど…
健)ほんまにか?
臣)ないよ。あいつ好きな人いるって。
皆)……。
 
 
あれ?
なんでみんな黙んの…?
 
 
臣)でも俺、飲み過ぎて眠くなって
  寝ちゃってさ。
  起きたら膝枕されてて、
  それを♡と間違えて抱きついちゃった。
隆)えっ!
臣)で、♡と間違えてたから
  太ももまで触っちゃって…
健)どええ!?このどエロ臣が!!
臣)♡だと思ってたんだってば!!
岩)良かったね、それ以上してなくて。
臣)触ったらすぐ気付いたもん。
  触り心地、違ぇから。
N)そういう問題!?w
健)Rちゃん、どないしてたん?
臣)よく覚えてないけど…キレてたかな?
  俺そのまま放置して帰ってきたし。
N)触り逃げ…!!
健)お前はなんちゅー……
臣)そんな大袈裟な…。
隆)てゆーかお前…
  他の女に抱きついて
  他の女の太もも触っといて…
  ドライブしただけの♡ちゃん
  責めれなくね?
臣)いや、だから!責めてないし!
隆)それは今、でしょ?
  その時は責めたっていうか
  それにも腹立ったんでしょ?
臣)……。
 
 
だから…
全部俺が悪いんだってば。
 
 
N)でも♡ちゃんにとってのハルくんと
  臣にとってのRちゃんじゃ
  重みが全然違うからなぁ。
岩)確かに。比較しにくい。
◇)でも♡ちゃんだって嘘つこうと思えば
  簡単につけるのに、
  正直に言ったんだよ、ドライブしたって。
  臣さんも正直に言えば?
  ♡ちゃんと間違えてRちゃんに抱きついて
  太もも触っちゃいました、って!
臣)…っ
 
 
それは…さすがに怒られる気がする…。
 
 
◇)♡ちゃん、言ってたの。
  臣さんを裏切ってるとか
  臣さんにやましい気持ちを感じながら
  ハルくんと接したことは一度もないって。
臣)…っ
◇)♡ちゃんはハルくんが大好きだし
  大切な存在ではあるけど…
  それ以上に大好きでそれ以上に大切なのが
  臣さんなんだよ。
臣)……。
◇)その気持ち、
  信じてあげられないんですか?
臣)……。
 
 
NOって意味じゃないけど…
俺はすぐには答えられなくて…
 
 
そしたらNAOTOさんが
さっきの続きを話し始めた。
 
 
N)ハルくんと縁を切れとまでは
  思ってない、って…
  臣、言ったけどさ。
健)ああ、せやせや。
  ほんでそれが建前なんか本心なんか、って
  聞いてたんやった。
臣)…っ
 
 
そう言われて
俺はもう一度自分の胸に聞いてみた。
 
……でも、
 
 
臣)それが本心だよ。
 
 
答えは変わらなかった。
 
 
臣)ハルくんと縁切って欲しいなんて
  思ってない。
 
 
ハルくんは♡にとって
家族みたいに大事な存在だって…
 
わかってるし、わかりたいから。
 
 
臣)ハルくんが本気出して
  動いてきたらどうしようっていう不安とか
  ♡が無邪気にハルくんを慕ってて
  なんだよチキショーみたいな嫉妬とか
  そういうのは少なからずあるけど…
  それは全部俺の問題だから。
 
 
俺の器の大きさみたいなもんなんだよな…。
 
 
臣)毎日こんだけ♡に愛してもらってて
  そばにいてもらえる俺が
  そのありがたみや幸せを通り越して
  ハルくんと縁切れとか言って
  ♡を傷つけるのは、絶対ありえない。
 
 
そんな自分勝手な言動で
♡を泣かせたくない、絶対に。
 
 
臣)俺が♡のこと…
  好きで好きで仕方なくて…
  何より大事で、本当に大事で…。
  そう思ってるのと同じくらい
  あいつも俺を想ってくれてるって…
  本当はちゃんとわかってるんだよ、俺も。
 
 
あんなに毎日伝えてもらってて…
届いてないわけがない。
 
ちゃんとわかってる。
 
 
臣)でも、勝手に不安になったり
  余裕なくなったりして…
  それも全部、自分が悪くて
  自業自得なんだけど…
 
 
こんな自分、本当に嫌になるけど…
それでも。
 
 
臣)俺はやっぱり…
  ♡には笑っててほしい…。
 
 
散々泣かせた俺が
何言ってんだよって思うけど…
 
でも、本当はいつもそう思ってる。
願ってる。
 
 
♡を泣かせたくない。
♡には笑っていてほしい。
 
幸せにしたい。
 
 
心からそう思ってるんだ。
 
 
臣)ハルくんにドキドキしたっていいよ。
  ◇ちゃんも言ってたけど…
  俺以外の男に一切ドキドキするなって方が
  無茶な話かもしんないし…。
健)ええん…か…?
臣)まぁ俺は♡以外の女には
  なんも感じないから…
  そこは惚れたもん負けっていうか…w
岩)臣さん…、
臣)でもさ、それ以上に俺が♡を
  ドキドキさせればいいんでしょ?
  男磨けばいいんでしょ?
隆)臣…、、
臣)俺がちゃんと…
  あいつに愛してもらえるような男で
  居続けたら…
  あいつはハルくんのところに
  行ったりしない。
E)うん…。
臣)ハルくんのこと大事に想ってて
  いいんだよ。
  そんな♡も丸ごと受け止められるくらい
  大きな男に俺はなりたい。
 
 
俺がそう言うと、
NAOTOさんと直己さんが
眉を下げて俺を見た。
 
 
N)やっと顔がスッキリしたな、お前…。
直)目に力が戻った気がする。
臣)え…?
 
 
みんなも安心したように笑ってる。
 
 
隆)じゃあもう答えは出たんだ。
臣)…っ
 
 
俺の答え。
 
それは…
 
 
やっぱり♡のことは絶対に諦められない。
どんなことがあっても。
 
 
あんなことをしておいて
俺にはもう、そんな資格はないのかも
しれないけど…
 
それでも。
 
 
離れたくない。
そばにいたい。
 
 
♡のいない世界なんて
絶対に絶対に考えられないから。
 
 
臣)俺…、♡を愛してる。
◇)……えと…、
  それは…あたしにじゃなくて
  ♡ちゃんに言ってあげてください///
岩)あははは、そうだよw
 
 
♡を愛してる。
 
俺にそれ以外、何もないんだ。
 
 
♡が今は俺の顔を見たくないんだとしても
俺はずっと、伝え続けるよ。
 
それ以外、出来ることなんてないから…。
 
 
N)じゃあ、ほら。
  家出はこれで終わりじゃん?
  帰れよ、自分ち。
E)♡ちゃんが待ってるよ!
 
 
ELLYが嬉しそうにバシッと
俺の背中を叩いた。
 
 
臣)……ん、ありがとう…。
  俺…、帰るよ。
 
 
♡に会いたい、今すぐに。
 
 
◇)明日からの旅行も!
臣)ん…?
 
 
明日から…の、…旅行…?
 
 
臣)ああああ!!!
 
 
そうだった!
明日からだった!!
 
 
健)ほんなら今から家に帰って!
  仲直りして!
  明日からはラブラブ旅行!
  これで完璧やん!
隆)いいね!いいプランだよそれ!
 
 
みんなうんうん頷いて、笑ってる。
 
 
臣)◇ちゃん、ありがとう。
  みんなも…ありがとう。
N)ほんと世話の焼けるカップルだなーーw
健)ほんまやでw
直)でもみんなそれだけ二人のことが
  大好きなんだよ。
臣)…っ
直)だからこうして人が集まる。
  臣の周りにも、♡ちゃんの周りにも。
◇)そうですね。
  二人とも愛されてるなーーw
臣)……ありがとう///
 
 
ほんと俺たちは人に恵まれてると思う。
感謝しなくちゃ。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)あのね、明日から旅行に行ってくるの。
  臣くんもまだ帰ってこないと思うから
  にゃんこたちだけになっちゃうけど…
  ちゃんとお留守番して待っててね♡
 
 
仲良く2匹並んでる
白にゃんことピンクにゃんこの頭を撫でた。
 
 
♡)キャリーケース玄関に出してくるね。
 
 
もう既に重たい。
 
臣くんがいたら荷物詰めすぎって
怒られちゃうやつだ…。
 
 
♡)よいしょ…、よいしょ…、
 
 
ガチャッ
 
 
♡)!!!
 
 
玄関から聞こえた音に、
身体がビクッと飛び上がった。
 
 
♡)…っ
 
 
ドア…、開いた…?
 
 
キャリーケースからそっと手を離して
恐る恐る、リビングのドアを開けたら…
 
 
♡)…っ
 
 
玄関に、臣くんがいた。
 
 
♡)…っ
臣)…っ
 
 
目が合って。
 
 
でも、言葉が出てこない。
 
 
帰ってきて…くれたの…?
 
 
「おかえりなさい」って言いたいけど…
帰ってきたんじゃないのかもしれない…。
 
ただ荷物を取りに来ただけ、とか…。
 
 
……だって…
 
「ただいま」も言わないし…
臣くん、何も言わないもん。
 
 
♡)…っ
 
 
私は沈黙に耐えられなくなって、
開けたドアはそのままに、
一人リビングに戻ってきた。
 
 
ドキドキ…ドキドキ…
 
……なんか、怖い。どうしよう。
 
 
臣)……♡。
♡)!!!
 
 
後ろから名前を呼ばれて
また身体がビクッてなった。
 
 
振り返ったら…
リビングに入ってきた臣くんは
どこか切なげな表情で私を見つめていた。
 
 
やっぱり…
帰ってきてくれたわけじゃ…ないのかな…。
 
 
臣)荷造り…終わったの?
♡)えっ…
 
 
あ、臣くんがキャリーケースを見てる。
 
 
♡)……うん…、終わったよ…。
臣)明日…、
♡)……。
臣)Sさんが迎えに来てくれるから。
♡)え…?
臣)え…?
 
 
聞き返した私に、
臣くんも少し不思議そうな顔をしてる。
 
 
♡)Sさん…って…
臣)空港まで送ってくれるから。
♡)え…?
  臣くんも…行くの…?
臣)え…っ
 
 
一緒に、行ってくれるの?
 
 
臣)そのつもり…だったけど…
♡)…っ
 
 
その言葉に、涙が出そうになって
グッと堪えた。
 
 
だって…
帰ってきてくれないと思ってた。
 
旅行ももう、
一緒に行ってくれないと思ってた。
 
一人ぼっちで行くんだ、って…
そう思ってたから…
 
嬉しくて。
 
 
♡)……あり…がとう。
 
 
涙を堪えてるせいで、
そう言うのが精一杯だった。
 
 
臣)……。
 
 
臣くんは…
どこか困ったような、苦しそうな、
そんな顔をしてる。
 
 
「浮気して帰ってきたお前の顔なんか
 見たくねぇよ。」
 
 
そう言った時と、同じ顔かもしれない…。
 
 
♡)…っ
 
 
もしかして…
旅行だから仕方なく帰ってきてくれた
だけなのかな…。
 
 
本当はまだ…帰ってきたくなかったのかな…。
 
本当は旅行も…行きたくないんじゃないのかな。
 
 
そんなことを考え出したら、
胸がぎゅっと苦しくなって…
 
 
♡)じゃあ…おやすみなさい…。
 
 
臣くんの顔も見れずに、
私は自分の部屋に戻った。
 
 
……パタン。
 
 
♡)…っ
 
 
……苦しい…。
 
 
♡)……ぐす…っ
 
 
会いたかった臣くんが
そこにいるのに…
 
やっぱりもう…
元には戻れないのかな…?
 
 
だって臣くんの表情は…
あの夜のままだった。
 
 
やっぱりもう嫌われちゃったのかな…。
 
私のことなんてもう要らないのかな…。
 
 
♡)…ひっ…く…っ
 
 
臣くんのことが大好き。
その気持ちをちゃんと伝えよう。
伝え続けよう、って…
 
そう思ったのに。
決めてたのに。
 
 
みんなからもらった勇気も
あっけなく消えていっちゃった…。
 
 
こんな自分が、情けない。
 
 
臣くんの顔を見たら…
いっきに自信がなくなって…
泣きそうになって…
 
どうして私はこんなに意気地なしなんだろう…。
 
 
♡)ぐす…っ
 
 
みんな…ごめんね…。
 
こんな私で…ごめんね…。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡の部屋にそっと近付いたら…
中から聞こえてきたのは、♡の泣き声で…。
 
 
臣)…っ
 
 
胸が締め付けられるように苦しくなった。
 
 
♡は…
俺に「おかえり」って…
言ってくれなかった。
 
俺を見た瞬間、固まってて…
 
 
その後だって、
俺が名前を呼んだだけで、
ビクッて怯えてて…。
 
 
……俺が怖いんだろうか。
 
 
旅行だって…
 
 
「え…?臣くんも…行くの…?」
 
 
そう言って、泣きそうになってた。
 
 
嫌なのかな、俺と行くの…。
 
 
でも荷造りはしてたから…
一人で行こうとしてた?
 
それか…、まさか…、
ハルくんと…、、
 
 
臣)…っ
 
 
いや、それはない。
 
俺とこんな状況だからって
俺の代わりにハルくんと二人で旅行行くなんて
まさかそんなこと…、、
 
………ほんとに…ないかな?
 
 
臣)…っ
 
 
俺…、帰ってこない方が…良かった?
 
 
だって…
ほら、まだ泣いてる。
 
 
なんで…?
なんで泣いてんの…?
 
 
俺の顔見たら、あの夜のこと思い出して
怖くなったとか、嫌悪感を抱いた、とか…
 
そういうことなのかな。
 
 
もう俺のこと、無理なのかな。
 
 
どうしよう。
どうしたらいいんだろう…。
 
 
♡のことが大好きで、♡のことが大事で…
俺はそれを伝えるしか出来ない、って…
 
諦めないで伝え続けよう、って…
 
そう思ったのに。
決めてたのに。
 
 
みんなからもらった勇気も
あっけなく消えていったよ…。
 
 
こんな自分が、情けない。
 
 
♡の顔を見たら…
いっきに自信がなくなって…
 
……なんか俺まで泣きそうだ。
 
 
臣)…っ
 
 
どうしたら…
 
どうしたら♡と元に戻れるんだろう…。
 
 
結局俺は♡に何も言えないまま…
ギュッと拳を握り締めて。
 
ただただ、その場に立ち尽くすだけだった…。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. のあ より:

    初コメントです!もどかしくてたまりませんね……旅行楽しめるかな?

  2. ひさぼー より:

    連日更新ありがとうございます。
    2人とも、もう少しの勇気があれば
    すぐ仲直りできるのに(>_<)
    とてももどかしいです。
    言葉にしないと伝わらない時もあるんだよ~!
    それにしても、2人共いい仲間をもって幸せだね。みんなの気持ちを無駄にしないためにも、早くラブラブになって‼️

    • マイコ より:

      ほんとあと少しなのにーー!。゚(゚´ω`゚)゚。ちゃんと言葉にして〜〜!!

  3. せいこ より:

    いつも更新を楽しみにしています!

    やっと、前向きになってくれて良かった。
    読んでて苦しかった〜(´×ω×`)

    二人がどんな風にラブラブになっていくのか楽しみ♡

    • マイコ より:

      せいこさん♡
      もじもじな二人をどうぞ見届けてやってください(❁´ω`❁)笑

  4. さっちゃん より:

    連日更新ありがとうございます(´༎ຶོρ༎ຶོ`)すごくすごくドキドキソワソワもどかしい気持ちです!!
    早く仲直りして、いつもの二人に一刻も早く戻ってほしいと願うばかりです(;ω;)あと、もう少しですよね?!

    • マイコ より:

      あともう少し…、なはず!!。゚(゚^∀^゚)゚。待っていてください!ww

  5. ひな より:

    早くラブラブになってぇ!!
    でも希望あるから頑張って読む(*^^*)
    次も楽しみにしてます!!

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