[360]夢なら覚めないで(Jさん&MちゃんSide)

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うーーん……
やっちゃったなぁ…。
 
 
反省して自分で決めたことだったのに…
Mちゃんが可愛すぎて
結局我慢出来なくなるとか…
 
俺相当ハマってんなぁ…///
 
 
そんな自分を少し笑いながら
シャワーを浴びて、服を着た。
 
 
ここまで来たら
Mちゃんもさすがに俺の気持ち
わかったんじゃないのかなぁ…
って、冗談めかして聞いてみたけど…
 
全力で否定されたしな…w
 
 
でも、もう。
そろそろちゃんと話そうかな。
 
手、出しちゃったし。
 
家のこともまだ片付いてないけど
それも込みでちゃんと話そう。
 
 
なんて考えながら
彼女のマンションの前に車を停めると、
想像していた通り。
 
Mちゃんは可愛らしい姿で出てきて、
はにかみながら助手席に乗り込んできた。
 
 
J)可愛いね…。
M)えっ!///
 
 
Mちゃんは少し黙った後…
 
 
M)さっきと比べて、ですよね…?
  先ほどはずっとすっぴんで
  失礼いたしました///
J)いや、そういう意味じゃないってw
M)えっ…
 
 
ほんとどこまでも自虐的だなーw
 
 
J)クリスマスデート仕様になってるから。
  可愛いなーって。
 
 
メイクも、髪も、服も。
 
頑張ったんだろうなぁって
その努力が可愛いんだよ。
 
 
M)なんか…変ですか!?///
  気合い入れすぎましたか?!
  でも勘違いとかしてないんで安心…っ
  …んんっ…///
 
 
彼女をこっちに向かせて…
キスで言葉を止めたら
ふわっと甘い香りがして、唇も甘かった。
 
 
J)可愛いから。
M)……は、はい…、///
 
 
もう余計なことを言わせないように
そう言ったら…
 
彼女は照れたように下を向いて…
 
 
J)じゃあ行こうか。
 
 
俺はベルトを直して
助手席のサンバイザーを下げて
バニティミラーを出してあげた。
 
でもMちゃんは不思議そうな顔をしてて。
 
 
J)リップ、ごめんね。
 
 
そう言ったら、意味を理解したのか
頬を赤く染めて
クラッチからリップを取り出した。
 
 
……ほんと可愛いなぁ…。
 
 
J)まずはケーキ取りに行こっか。
 
 
クリスマスの街並みは、
思ったほど混んではいない。
 
 
M)溶けちゃわないですか…?
J)ん?店まですぐだから
  大丈夫じゃない?
M)え?
J)冷蔵庫に入れておいてもらおうかな、と。
M)ディナーのお店のですか??
  持ち込んで大丈夫ですかね?
J)大丈夫、友達の店だからw
M)そうなんですか!!
J)うん。腕は確かだよ。期待しててw
M)わぁ…楽しみです♡♡
 
 
あ、やっと笑った。
 
 
M)なん…ですか…?///
J)え?
M)そんな優しい顔で…
  見ないでください…///
J)えっ…
 
 
……俺、そんな顔…してた?///
 
 
J)Mちゃんが可愛いから
  ニヤけちゃうんだよね〜〜
  ごめんねーーw
M)…っ、またからかって!///
J)ほんとだってばw
M)もぉっ///
 
 
怒ってんのも可愛いなーーw
 
 
J)お、なかなか混んでるねー。
  あ、良かった。あそこ空いてる。
 
 
Tくんの妹のケーキ屋について
車を停めたら
Mちゃんが素早くシートベルトを外した。
 
 
M)私取ってきますねっ!
J)え?
M)Jさんは待っててください!
J)あ、そう?
M)はいっ!
J)じゃあお願いしまーす。
 
 
一緒に行こうかと思ったけど
トイレに行きたいのかなー?とか思って
俺はそのまま車で待機することにした。
 
 
それからしばらくすると
ケーキの山を抱えながら
こっちに歩いてくる子が見えて…
 
 
J)あ。
 
 
姫だったw
 
 
J)メリークリスマスw
 
 
窓を開けて声をかけたら
姫の返事は、挙動不審で。
 
 
♡)メ、メリークリスマスです!!///
 
 
ははーん。
さては中でMちゃんに会ったなw
 
 
J)すごい量だね、ケーキw
  登坂くんたちとパーティーだっけw
♡)はいっ!!
J)楽しんでねー♡
♡)…っ
 
 
何か言いたそうな顔をして
オロオロしてる。
ぶくくくw
 
 
♡)では、そのっ!さようなら!///
J)ぷっ、バイバーイw
 
 
姫もほんと考えてることが
顔にダダ漏れタイプだよなーーw
 
……さて。
Mちゃんはどんな顔で戻ってくるかな。
 
……あ、来た来たw
 
 
バタン。
 
 
J)おかえりーー
M)あ、あの…っ
J)ん?
M)せ、先輩に…バレてしまいました///
J)うんw
M)どうしよう…、、
 
 
そんな困り果てた顔しなくても…w
 
 
M)せっかく目撃されないように
  私一人で行ったのに…
J)え、そういう意味だったの?w
M)えっ、だって…
  会社の人たち、結構注文してたから…
J)……。
M)あっ!でも…っ、先輩天然だし…
  ただケーキ一緒に食べるだけだって
  思ってくれないかな…
J)イブに二人きりで仲良く
  ケーキ食べるだけ、ってー?w
M)は、はい…。苦しいですか…?
J)そこまで天然じゃないでしょ、姫もw
M)じゃあどうしたらいいですかっ!!
J)別にいいじゃん。
M)えっ…
J)言ったでしょ、俺。
  誰に知られても別にいいって。
M)…っ
J)ダメなの?
M)ダメですっ!!
J)…っ
M)言ったじゃないですか!
  私なんかと噂になったら、
  Jさんのっ…、!
  んん…っ、///
 
 
……さっきと同じ。
 
余計なことを言わせないように
キスで彼女の言葉を止めたら、
唇の隙間から、甘い吐息が漏れ出した。
 
 
M)////
 
 
うん、この作戦いいな。
 
 
M)だ、だから…っ
  私なんかと…っ
 
 
あれ、まだ言うの?
 
 
J)キスしてほしいの?
M)えっ///
J)それ以上喋るならまたキスするけど。
M)…っ///
 
 
自虐発言は禁止します。
 
 
J)してほしいなら、どうぞ?w
M)////
 
 
俺がクスッと笑うと
Mちゃんはまた頬を染めて俯いた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
強引にキスされてドキドキしてたら…
 
 
J)はい、どうぞw
 
 
Jさんはまたクスッと笑って
バニティミラーを出してくれた。
 
 
M)////
 
 
少しだけ崩れたリップを、
そそくさと塗り直す。
 
 
……レクサスって…
バニティミラー付いてたっけ…?
オプションだよね、きっと。
 
Jさんのことだから
女の子のために付けたんだろうなぁ…
さすがすぎる。
 
 
M)……。
 
 
今まで何人の女性がこの助手席に座って
こうしてJさんと一緒の時間を
過ごしてきたんだろう。
 
 
……はっ!
私ってばまた思考がうざい方に…!!
 
 
J)ぶふっw
M)えっ
J)また百面相してるw
M)////
 
 
また見られちゃった…。
 
 
M)あの…、
 
 
私は赤信号で止まったタイミングで
クラッチからハンカチを取り出した。
 
 
M)付いちゃって、ごめんなさい…///
 
 
Jさんの唇に手を伸ばしたら…
 
 
J)なんでごめんなさいなの?
  勝手にしたの、俺だよ?w
 
 
Jさんは余裕の表情でクスッと笑った。
 
 
J)このリップ、甘いね。
M)えっ…そうですか?///
J)うん。
M)////
 
 
なぜか拭いてあげてる間、
Jさんは目を閉じてて…
 
その表情が色っぽくて
またドキドキしちゃう私。
 
 
M)取れたと…思います///
J)ありがとうw
 
 
Jさんはそう言って
私の耳たぶを優しく撫でてくれた。
 
 
M)////
 
 
な、なんで…耳たぶなのかな?///
 
ほんと毎回予想外のことしてくるの、
心臓に悪いんでやめてください!
 
 
それからしばらく
キラキラした街並みを走り抜けて
辿り着いたのは…
 
 
M)わぁ…っ
 
 
お店の外壁はもちろん、
駐車場まで綺麗にクリスマスの装飾が施された
素敵なレストラン。
 
 
M)イルミネーション…綺麗ですね///
J)毎年気合い入れてるらしいからw
M)すごーーい…
J)さ、行こうか。
M)は、はいっ!///
 
 
Jさんはサラリと私をエスコートしてくれて…
 
お店の入口には大きなクリスマスツリー。
 
店内もキャンドルでライトアップされてて
すごく素敵で…
 
 
J)何飲む?
M)ええと…///
 
 
目の前には、
煌びやかなクリスマスの装飾も霞むくらい
眩しい笑顔のJさん。
 
素敵すぎて、ドキドキする。
 
 
J)Mちゃんは飲んでいいよ?
M)い、いえ!!
 
 
Jさんが飲めないのに
私だけ飲むわけには…っ
 
 
コンコン。
 
 
男)失礼いたします。
J)あ、来たw
  ねーねー、このケーキ冷やしといて。
男)当店はお持ち込みは
  お断りさせていただいております。
J)ケチ!w
男)あはははw
  デザートで一緒に出す?
J)いや、これは帰ってから食べるw
  デザートは自慢のやーつ
  出してくださいよw
男)じゃあなんで先に買ってきたんだよw
J)この後、イルミネーション
  見に行くんだよ。
  ケーキ屋さん閉まっちゃうじゃん。
男)なるほど…。
 
 
二人の会話を呆然と見てると、
男性が私をじっと見てきた。
 
 
J)これね、腐れ縁の友達w
  彼女はMちゃん。
 
 
Jさんが交互に紹介してくれて…
 
 
M)あっ、あの…、初めまして!
 
 
私は慌てて頭を下げた。
 
 
男)どうもーw
 
 
支配人、ってプレートを付けたその人は
とてもエレガントな雰囲気。
 
 
J)料理長も友達なんだ。
男)そうそう。
  俺たち3人、小学校の同級生で。
M)そうなんですね!
男)あいつも後で顔出すって言ってたよ。
J)え、いいよw
  イブなんだから
  死ぬほど忙しいでしょw
男)当店はゆとりをもった予約管理を
  しておりますのでーw
J)あ、そうw
M)……。
 
 
Jさんがこんなくだけて誰かと話してるの
初めて見たかも…。
 
なんだか新鮮。
 
 
……そうだよね。
Jさんが友達と一緒にいるところなんて
今まで見たことないんだし…。
 
 
J)どうしたの?
M)あ、いえっ…
 
 
結局私だけアルコールをもらって
乾杯の後、Jさんの顔を
ポーッと見つめてたら
クスッと笑われちゃった。
 
 
M)はっ…!
 
 
てゆーか!!
 
彼女でもなんでもないくせに
お友達に紹介してもらって
良かったのかな!?
 
あの人、勘違いしたんじゃ…
どうしようっ。
 
お前いつからそんな趣味悪くなったわけ?w
とかJさんが馬鹿にされちゃったら…
 
 
J)まーた百面相してる…w
M)はっ…!
J)何考えてんのー?
M)えっと、あの、いえ…その…っ
  お料理楽しみだなー!って!
J)そっかw
M)はい!
J)……あいつら二人でさ、
  日本一美味いレストランを作る!!
  って子供の頃から言っててw
M)えっ…
J)お互い修行を積んで、
  共同出資で3年前にやっとここを
  オープンしたんだよ。
M)そうなんですか!すごい…
J)長年修行を積んだだけあって
  サービスも料理も一流だから
  あっという間に人気店になって。
M)すごいですね!
J)すごいよねーーw
 
 
友達のことを
嬉しそうに誇らしそうに話すJさんに
なんだかキュンキュンする。
 
 
M)Jさんの子供の頃の夢は
  何だったんですか…?
J)俺ぇ?w
  俺はねぇ…、自分の家を継ぐこと以外、
  かな。
M)…っ
 
 
何かになりたい、とかじゃなくて…
それだけは絶対嫌、みたいに聞こえて
少しドキッとした。
 
 
J)もう出来上がってるものを
  引き継ぐなんて面白くないじゃん?
M)え?
J)俺は一から作りたいんだよねー。
M)…っ
 
 
なるほど。
Jさんはなかなかの野心家なのかな。
実力も大いに備わってるから
なんでも出来ちゃいそうだもんなぁ…。
 
 
J)Mちゃんの子供の頃の夢は?
M)玉の輿です。
 
 
迷わず即答した私に、
Jさんは大笑いしてる。
 
 
J)そうだそうだ、そうだったよねw
M)そうですよ?
 
 
前に話したうちの事情を思い出してくれたのか
Jさんは納得したように頷いた。
 
 
そんな話をしてるうちに
美味しいお料理も次々に運ばれてきて…
 
どれもこれも、口に入れる度に
うなりたくなるほどの美味しさで
私は感動しっぱなしだった。
 
 
M)こんな素敵なお店に連れてきてくれて…
  本当にありがとうございます///
J)いえいえw
 
 
ニコッと微笑み返してくれるJさんは
本当に素敵。
 
 
M)////
 
 
カッコイイなぁ…。
 
 
こんな素敵な人がクリスマスイブに
私なんかと一緒にいるのが
本当に信じられない。
 
 
J)どうしたの?じっと見て。
M)…カッコ良くて…見惚れてました…///
J)はい?w
 
 
なんだか、わかった気がする。
 
 
M)私、最近イケメンを見ても
  ときめかないんです。
J)ん?w
M)先輩の現場についていって
  芸能人とかいくら見ても…
  あんまりで。
J)へぇ。
M)前なら絶対に
  キャーーー!♡♡
  ってはしゃいでたのに。
J)だよねぇ。
  ミーハーだもんね、Mちゃんw
M)なのにですよ!
  この間なんてあの斎藤工に会ったのに!
J)…っ、ゴホッ!
M)……どうかしました?
 
 
Jさんは少しむせた後、
なんでもないよってニッコリ笑った。
 
 
J)斎藤工はカッコ良くなかったの?w
M)カッコイイですよ!カッコイイに
  決まってるじゃないですか、
  あの斎藤工ですよ!
J)うん…w
M)でも全くときめかなかったん
  ですよねぇ…
J)へぇ…w
M)自分でも不思議だったんですけど、
  どうしてか今わかりました!
J)え?
M)Jさんがカッコイイからです!
J)はい??w
M)Jさんがカッコ良すぎるから…
  そのへんのイケメン見ても
  まったくキュンとしないんです!
J)…っ
M)Jさんのせいですよっ!
 
 
だって、世界一カッコイイもん、この人。
 
 
J)ええと、お褒めにあずかりまして…
  光栄ですw
M)……。
 
 
はっ!
 
私…っ、何も考えずに喋ってたけど
誤解されたかな!?
 
 
M)あの、好きとかじゃ
  ないですからね!///
J)…っ
M)ただJさんがカッコイイというお話で
  深い意味はないですからね!///
J)ふーん?w
M)////
 
 
なぜだかニヤニヤされている…
私、バレバレだったらどうしよう。
 
この気持ちは、ちゃんと隠さなきゃ。
 
 
そんなことを考えながら
フルコースを最後まで堪能して…
 
途中で来てくれた料理長にも
挨拶させてもらって。
 
 
Jさん達が3人で仲良く話す姿は
本当に新鮮で…
 
Jさんのこんなプライベートな瞬間を
こんな風に見ることが出来て
嬉しいなぁ…なんて、ほっこりした///
 
 
最後は、ぜひまた二人で、
なんてお店の外までお見送りしてもらって
彼女でもなんでもない私は
やっぱり申し訳なくなって。
 
 
M)あの、すみませんでした///
 
 
車に乗り込んでそう言ったら、
Jさんは「何が?」って
私の顔を覗き込んできた。
 
 
M)あのお二人に…
  もし彼女だと勘違いされていたら
  申し訳ないな、って…
J)んー、大丈夫大丈夫w
M)え?
 
 
何が大丈夫なんだろ?
 
 
……はっ、そっか!
 
一緒に食事してたくらいで
私なんかがJさんの彼女に見えるわけ
ないってことか…!
 
 
M)すみません!!///
 
 
そんな危惧さえ恥ずかしい。
私馬鹿みたい///
 
 
J)なんか勘違いしてない?w
M)してません!!すみません!!
J)いや、そうじゃなくて…w
M)大丈夫です!ごめんなさい!
  私なんかがJさんの…っ
  んんっ!…っ///
 
 
急に喋れなくなったと思ったら
私の唇はまたJさんに塞がれていた。
 
 
J)さ、イルミネーション見に行こっかw
M)……ハイ、///
 
 
無言でバニティミラーを出されて…
私はさっきお化粧室で
塗り直したばかりのパールピンクを
もう一度、唇に乗せた。
 
……この流れ、もう3回目です///
 
 
M)あの…、
 
 
赤信号のタイミングで
またJさんの口を拭いてあげようと
ハンカチを出したら…
 
 
J)拭かなくていいよ、キリないしw
 
 
そう言って自分の唇を舐めるその仕草が
あまりに色っぽくて、ドキドキした。
 
 
M)キリが…ないって…///
J)え?もうさせてくんないの?キス。
M)////
 
 
まだするから、
いちいち拭かなくていいよ、ってこと?
 
 
M)……いくらでも…してください///
J)あはっw
 
 
はっ!
今の発言、また誤解を生むんじゃ…っ
 
 
M)違いますからね!
  Jさんが好きだから
  キスして欲しいとかじゃ…っ
  んんっ!///
 
 
また言葉を遮るように、キスされて。
 
 
信号が青に変わって
アクセルを踏んだJさんは…
 
 
J)ね?キリがないでしょ?
 
 
そう言って、優しく笑った。
 
 
M)////
 
 
……ドキドキして、死んじゃいそう。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
M)わぁぁ……綺麗……っ///
 
 
連れてきたのは
都心から少しだけ外れたイルミネーション。
 
 
M)光の…海みたい…///
 
 
そう、まさにそれ。
 
見渡す限りの綺麗な光が
冬の夜空に浮かんでるよう。
 
 
M)すごい…///
 
 
喜んでくれたみたいで、良かった。
 
 
J)夜はやっぱり寒いね。
 
 
そう言って彼女の手を取ったら、
彼女は嬉しそうにはにかみながら
俺に身を寄せてきた。
 
 
J)あっちまで歩こうか。
M)はいっ♡♡
 
 
イイ笑顔するなぁ…
可愛いなぁ…
 
 
M)こんなに素敵なのに…
  どうして誰もいないんですかね?
  せっかくのイブなのに…。
  まるで貸し切りみたい。
 
 
……その通り、貸し切りました。
 
 
M)ふふふ、なんか贅沢な気分ですね♡
J)そうだねーw
 
 
だってここ、21時半までなんだもん。
ディナーの後じゃ終わってるでしょ?
 
だから特別に…、ね。
 
 
M)なんか夢の世界に来たみたい…♡
  本当に綺麗♡♡
J)そうだねーw
M)あ、Jさん見て見て!あそこっ!
J)え?
M)来て来て!♡
J)待って待ってw
 
 
俺の手を引いて走り出す彼女を
追いかけながら…
 
イルミネーションデートなんて
初めてでもないのに、
彼女の隣で心から楽しんでる自分に気が付いて
なんだか照れくさい気持ちになった。
 
 
J)ここ来たの、初めてだった?
M)はいっ!♡
 
 
彼女は満面の笑みでそう答えた後、
はっとして俺の顔を見つめてきた。
 
 
J)言っとくけど俺も初めてだからね?w
M)……。
J)なーに、その顔はw
M)Jさんは…
  初めてじゃなくても
  初めてって言ってくれる人だから…
J)ほんとに初めてだってば!w
M)ほんと…ですか…?
J)ほんと!w
M)……ふふ、良かったぁ♡♡
J)…っ
 
 
少ししょんぼりしてた顔が
また嬉しそうな笑顔に変わって…
 
やっぱり可愛いなぁなんて
思っちゃって。
 
 
彼女はそれから結局、
イルミネーションをたっぷりと満喫して
またドライブしながら家に帰るまでの間、
ずっとニコニコと幸せそうだった。
 
 
昨日…というか今朝は初めて
Mちゃんの家に泊まらせてもらったけど…
今日はいつも通り、俺の家。
 
 
帰ってから食べようって話してたケーキは
時間が遅いから
明日にしようってことになった。
 
遅い時間に食べると
お腹のお肉がどーのこーの言ってるMちゃんが
可愛くてw
 
だったら引き換え日、
明日にすれば良かったね、なんて笑いながら
ケーキを冷蔵庫にしまった。
 
 
クリスマスプレゼントどうしようかなー
って少し考えて、
外を歩いて冷えただろうから
先にお風呂に入れてあげることにした。
 
プレゼントは寝る前に渡そうかな。
 
 
J)脱がすの勿体無いけど…
  お風呂入っておいでー。
M)えっ…
J)え?
M)もったいない…ですか?///
J)うん。
 
 
だって今日すごく可愛くしてるし。
 
 
M)……頑張って…良かった///
 
 
何それ。
嬉しそうにぼそっと呟いちゃって。
可愛すぎない…?
 
 
M)Jさん先に入ってください///
  運転でお疲れでしょうから…
J)いいってw
  早く身体あっためておいで。
M)私はタフなので大丈夫です!
J)そういう問題じゃないからw
  こういうのは女の子が先。
M)でも…っ
J)そんなに言うなら一緒に入る?
M)!!!
 
 
俺の言葉にみるみる顔を赤くした彼女は
驚いたように俺を見てる。
 
 
M)Jさんでも…そういうこと…
  言うんですね…///
J)そういうことって何w
  またセクハラ発言とか言う気ー?w
M)い、いえ…っ///
  あの…っ、
  Jさんの裸を見る勇気がないので
  やめておきます///
J)どういう意味!w
  散々見てるでしょ!
M)やめてください!///
  私の裸をお見せする勇気もありません!!
J)それも散々見てるでしょ!w
M)やだっ!JさんのH!!///
J)はい!?ww
 
 
Mちゃんは恥ずかしそうに
お風呂に走って行った。
 
 
……何あれ。かわいーーー。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
結局先にお風呂をいただいて…
今日はいつも通り、
ちゃんとうっすらお化粧もして。
 
…って言っても眉毛を描いて
ほんのりチークを乗せてるだけだけど…。
 
 
M)はぁ……、///
 
 
今日はなんだか幸せすぎて、
胸がいっぱい。
 
本当に夢みたい。
 
 
こんな幸せなクリスマス、
初めてかもしれない…。
 
いつもは適当な彼氏と
適当にそれっぽく過ごすだけだったから。
 
 
本当に大好きな人と一緒に過ごせるって
こんなに幸せなことなんだなぁ…///
 
 
……あ、そうだ。
 
 
私はソファーから立ち上がって
窓の外にお月様を探した。
 
夜景はすごく綺麗だけど…
お月様は今日はいないかな…?
 
 
M)あっ!いた!!
  わぁ…満月…?///
  あ、少し欠けてるかな??
 
 
綺麗な綺麗な白い月が
ぽっかりと夜空に浮かんでる。
 
 
今日連れて行ってもらったイルミネーションで
たまたま見つけたおまじない…
というか、ジンクスというか…
 
こうして月の光を重ねて、目を閉じて。
聖夜に祈りを捧げると、
願いごとが叶うんだって。
 
 
……私の…願いごとは……、、
 
 
……Jさんのそばにいたいです。
少しでも、長く。
 
 
嘘をついてごめんなさい。
好きになって、ごめんなさい。
 
でも…
 
 
そばにいればいるほど…
惹かれて、どうしようもなくて、
 
どんどん好きになっちゃうの…。
 
 
……ずるいよね、私…。
 
本当にごめんなさい……。
 
 
わかってるから、ちゃんと。
 
 
いつか終わりが来るって
わかってるからこそ…
 
どうかこの幸せな時間を…
少しでもいいから…
少しでも長く…
 
 
J)何してるの?
M)!!!
 
 
その声に振り向いたら
お風呂から戻って来たバスローブ姿のJさんが
優しく笑って私を見つめていた。
 
 
M)……月…、を…
J)どうして泣いてるの?
M)えっ…
 
 
月を見てたんです、
そう答えようとしたのに…
 
あたたかい手に頬を拭われて、
自分が泣いていたことに初めて気付かされた。
 
 
M)泣いてないですよ、大丈夫です!w
J)……。
M)満月を見てたら…綺麗だなぁって。
  あ、満月じゃないや…
  少し欠けてるんですけど…
  でも綺麗だなぁって。
J)……月が綺麗で泣いてたの?
M)……。
 
 
Jさんの優しい声色に…
胸がぎゅっと苦しくなった。
 
 
M)……今日…楽しかったなぁ…って。
J)楽しかったなら、なんで泣くの?
M)…っ、ほんとですよね、変なの…w
J)……。
M)嬉し泣きですかね、あははw
J)……。
 
 
誤魔化すように笑ったら…
ふわりと包まれた、腕の中。
 
 
M)…っ
 
 
このぬくもりの中にいると、
あまりに心地良くて、心が甘えてしまうの。
 
……やめて、優しくしないで。
 
 
J)俺も楽しかったよ、今日。
M)…っ
 
 
そんな優しく、囁かないで。
 
 
J)……って、なんでまた泣いてるのw
M)…っ
 
 
だって…
好きが、あふれてくる…。
 
 
M)本当に…幸せ…だったから…っ
 
 
今日という日が、本当に。
 
 
朝も…、昼も…、夜も…、
幸せに満たされた一日だった。
 
 
J)幸せなのに、なんで泣くの?
M)…っ
 
 
偽物だから…です。
 
 
終わりが来ることを、わかってるから。
 
切なくて、苦しくなる。
 
 
J)俺が今日楽しかったのはね、
  Mちゃんが一日中可愛かったから。
M)え…?
J)Mちゃんの笑顔を、
  たくさん見れたから。
M)…っ
 
 
甘い甘い声で囁くJさんは
私を優しく抱きしめたまま、言葉を続けた。
 
 
J)だから嬉しかったんだよ。
M)…っ
 
 
また涙がこぼれた。
 
そんなこと、言わないで…。
 
 
M)あ、あの…っ
 
 
私は涙をはらって
Jさんの身体を両手で押し返した。
 
 
M)確かにデートは楽しかったし
  幸せな時間でしたけど…
  安心してくださいねっ!
  わかってますから!!
 
 
私は自分に言い聞かせるようにそう言った。
 
 
M)勘違いしたりとか、してない…っ、
  …ん…、…っ///
 
 
押し返したはずの身体が、目の前にあって。
 
距離がまたゼロになってる私たちは
深いキスで、繋がっていた。
 
 
J)……まだ…言いたいことある…?
M)…っ
 
 
唇を舐めて私を見下ろすJさんに、
私は無理やり話を続けた。
 
 
M)あります…っ
  何度だって言います…っ!
J)…っ
M)私はJさんのこと、好きになったり…
  絶対しな…っ、んんっ///
 
 
また勢いよく塞がれた唇は…
熱くて、甘くて、すごくずるい。
 
 
J)まだあるならどうぞ…?
M)////
 
 
ずるい。ずるい。ずるい。
 
 
M)私はJさんのこと好きじゃありません!!
  絶対好きじゃないです!
  だから安心してください!!!
 
 
自分でもわからないけど
泣きながらそう言い切った私は
またJさんにキスをされて…、
 
Jさんの腕の中で
何も考えられないくらいに、
……呼吸さえも、奪われた。
 
 
J)好きじゃないの…?
M)…っ
 
 
やっと離れた唇の後、
 
私はふらつく足で、
すがりつくようにJさんの胸元を掴んだ。
 
 
J)好きじゃないの…?俺のこと…。
M)…っ
 
 
息がかかるくらい近い距離のまま
Jさんが甘いトーンで私の心を探ってくる。
 
 
M)……好きじゃ…ありません、///
 
 
顔を上げられないまま答えたら…
そのまま頬に、キスされて。
 
 
J)好きじゃ…ないの?
M)…っ///
 
 
私はドキドキしながら、ぎゅっと目を閉じた。
 
 
M)好きじゃないです!
J)……ほんと?
M)…っ///
 
 
今度は瞼にそっと優しく触れた唇。
 
その甘い感触に、また涙が出そうになる。
 
 
J)好きじゃない?俺のこと。
M)…好き…じゃ…っ、///
 
 
今度は耳にふわり、優しくキスされた。
 
 
J)ほんとに好きじゃないの…?
M)////
 
 
私が返事をしないから…
Jさんはそのまま私の耳を甘噛みしてきて…
濡れた舌の感触に、クラッとくる。
 
ダメ…、立てなくなっちゃう。
 
 
J)……おっと。
M)////
 
 
腰から崩れた私をJさんは軽々と抱き上げて。
 
 
J)大丈夫?
 
 
降ろされたのは、ベッドの上。
 
 
私はそのまま…
Jさんに見下ろされていて…
 
 
J)ほんとに…好きじゃないの?
M)…っ
 
 
繰り返される問いに…
見上げる視界が…涙で滲む。
 
 
M)好きじゃ…ないです…っ!!
 
 
そう答えた勢いで、
Jさんの胸元を強引に手繰り寄せて
噛みつくような、キスをした。
 
 
M)好きじゃないです!!
 
 
なんで私、泣いてるの…?
 
 
J)…っ
 
 
私は無理やり起き上がって、
Jさんの大きな身体を、横に押し倒した。
 
 
M)好きじゃ…ないですから!
 
 
好き。
 
どうしようもないくらい、好き。
 
 
もうわけがわからない。
 
 
Jさんのバスローブをほどいて
その素肌に、口付ける。
 
 
M)好きなんかじゃ…っ
 
 
好き。
 
好き。
 
好き。
 
 
伝えられない想いをぶつけるように
Jさんにキスを繰り返す。
 
 
M)…っ
 
 
泣きながらそんなことをしてたら
Jさんはそれを受け止めるように
私の頭を撫でてくれた。
 
 
優しく甘やかすような、そんな手つきで。
 
 
M)……このまま…、
  抱いて…ください…っ
 
 
変なの。
まるで私がJさんを襲ってるみたい。
 
 
それでもいい。
 
 
この苦しい気持ちを
全部全部溶かしてくれるくらい、
激しく強く、抱いて欲しい。
 
 
もう何も、考えられなくしてほしい。
 
 
M)お願い…、優しく…しないで…っ
 
 
壊れるくらいに、抱いて欲しいの。
 
 
泣きながらすがりついたら
いつの間にか私はJさんの腕の中にいて…
 
愛しい人の重みを感じながら…
深い深い海の底へと、沈んでいった。
 
 
 
こんな幸せ…もしも夢なら覚めないで。
 
どうかどうか、覚めないで。
 
 
 
少しでも長く、あなたのそばにいたい。
 
 
………それが私の…、願いなんです。
 
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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