[297]ハピクロ始動

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臣)あ。
隆)あ。
 
 
スタジオに入って、お互いを見て。
 
 
隆)またお揃いじゃん!
 
 
隆二のデカい声に
スタッフさん達も俺らを見て、笑った。
 
 
男)お揃いか〜〜、仲良しだねw
隆)臣が真似してくるんですよねー
臣)オイw
 
 
今日もかぶっちゃったTシャツ。
 
 
臣)お前それ着すぎじゃない?
隆)お前に言われたくねぇわw
臣)今日ハピクロ始動なんでしょ?
  ♡が張り切ってたよ。
隆)あ、♡ちゃんも来るの?
  ◇ちゃんは来るって聞いたけど。
臣)撮影終わり次第向かうって言ってたよ。
隆)そうなんだ。
  撮影ってなんの?
臣)MVだって。
隆)は?また?またMV出んの?
臣)うん。そうみたい。
  なんかさ、依頼増えてるみたいで。
  西野カナ効果かなーー。
隆)あれを見て依頼してくる人が増えてんの?
臣)だと思うよ。
隆)そっかー。
  あの♡ちゃん、すげぇ可愛いしね。
臣)うん。
隆)ちなみに今日は誰の?
臣)ROYALcomfort。
隆)あ!知ってる!
臣)この間、YU-AとSonar Pocketのも
  撮ってたよ。
隆)知ってる!
  てかソナポケも?!
  ♡ちゃんすげぇじゃん!!
臣)ねー。
 
 
まぁどれも男との絡みはないみたいだから
全然いいんだけど。
 
 
隆)なぁ、写真撮ろ。
臣)は?何いきなり。
隆)モバイルに載せようかなーって。
臣)今日はレコーディングですよーって?
隆)うん。
臣)ヴォーカルは仲良くお揃いですよーって?
隆)うん。
臣)やだよ!w
隆)お揃いとは別に書かねぇよ!w
臣)でも見たらわかんじゃん!w
隆)いいじゃん別に!
臣)なんで今日なの。
隆)いや、なんとなく…。
  ハピクロ始動記念?
  臣も丁度それ着てきたし。
臣)……ふむ。
 
 
なるほど。
 
 
臣)なにこの身内にしかわかんないような
  匂わせ的なw
隆)身内以外にわかったら問題だろw
臣)そうだけどw
 
 
仕方なくツーショットを撮って
せっかくだから俺もインスタに載せたら
あっという間にコメントが集まった。
 
 
『臣隆!😍待ってました!😍』
 
『今日は臣隆レコーディングなんだ💕
 新曲かなぁ?楽しみ😆🎶』
 
『臣隆これお揃いじゃない?!😳💓
 どこの服だろ?カッコイイ!』
 
『お揃いの臣隆Tシャツめちゃオシャレ✨
 どこのブランド?欲しい!😍』
 
 
臣)早速お揃いだって騒がれてますけど。
隆)あはははw
臣)どこのブランド?って。
隆)ハピクロでーすw
臣)まさかお互い彼女の手作り着てるなんて
  誰も思わないだろな…w
隆)あははは、だろーねーw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
M)よし!行きましょ先輩!
♡)はいっ!
 
 
予定していた撮影を全て終えて
監督やスタッフの皆さんに挨拶をして
戻ってきた控え室。
 
急いで衣装から着替えて、
荷物をまとめて出発した。
 
 
♡)あ、もう◇ちゃんは着いたみたい。
  あ、♧さんがご飯作ってくれてるって!
M)やったーー♡
  ♧さんのご飯美味しいから楽しみー!
♡)ねっ♡
 
 
西野カナちゃんのMV解禁以降、
MVの出演依頼がいくつか来ていて
今日も丁度、その撮影だった。
 
 
♡)ふぅ…。
 
 
乗り込んだタクシーで
メールチェックを終えて、一息ついた。
 
 
M)お疲れさまです♡
♡)Mちゃんもお疲れさま。
  休みの日なのにありがとう。
M)だーかーらー!
♡)えっ…
M)私は先輩のマネージャーなんですから
  「休みの日なのに」とか
  そういう遠慮は一切ナシにして下さいって
  言ったじゃないですかぁー!
♡)そ、そうだけど…
 
 
私と同じようにMちゃんも
お休みがなくなっちゃうわけで…
 
そこはなんというか…申し訳なくて…
 
 
M)私は楽しんでこのお仕事してるんです!
♡)…っ、わかった…。ありがとう。
M)はい♡
 
 
Mちゃんのためにも
私もっともっと頑張らなくっちゃ!
 
 
M)今日の監督、割と若めで
  カッコ良かったですよねぇ♡
♡)ん…?
 
 
今日の監督?
そうだったっけ…?
 
そんな風に見てなかったから
あまり覚えてないや…。
 
 
M)お疲れ様でした♡
  ありがとうございました♡
  ってLINEしとこーっと♡
♡)えっ!
M)ん?
♡)連絡先交換したの??
M)はい♡
♡)…っ
 
 
なんてぬかりのないMちゃん…。
 
 
それから♧さんのお家に着くと
スパイスの良い香りが漂ってて…
 
 
♧)今日はスープカレーにしたよー♡
 
 
エプロン姿の♧さんがニッコリ笑った。
 
 
♡)スープカレー!
M)えーー!
  スープカレーって作れるんですか?!
♧)うん♡
  みんなで食べれるように
  まとめてカレーにしようかなって思って
  隆二くん、普通のカレー
  あまり好きじゃないみたいだから。
◇)さっき味見させてもらったけど
  めちゃんこ美味しいよー♡
♡)やったぁぁ♡♡
 
 
私とMちゃんはお昼はサンドイッチしか
食べてなかったから
お腹ペコペコで。
 
ちょっと早いけど夕飯にしちゃおうって
4人でいただきますって手を合わせた。
 
 
♡)んんん〜〜!♡♡
M)すごい!美味しい!!
◇)スープカレーって
  あまり食べたことないけど
  これはもう店出せるくらい美味しい!
♧)あはははw
♡)これ、野菜揚げてあるんですか??
♧)そうだよー♡
M)わぁ…手間じゃなかったですか?
  私揚げ物苦手ーー
♧)ほんとー?
  油にぽぽいってするだけだから
  簡単だよーー
◇)後片付けは面倒臭いですよね。
♧)ああ、うん、それは仕方ないw
♡)美味しいよぉーー♡
  幸せ〜〜〜♡
 
 
みんなであっという間に完食して。
 
 
いざ、パソコンの前でスタンバイ。
 
 
◇)ホームページはお昼からもう
  公開してるんだー。
♡)わ、すごーーい!♡
 
 
◇ちゃんが作ったハピクロのホームページ。
 
♧さんの手作りアイテムがたくさん並んでて
とっても可愛い!
 
 
♡)すごく見やすいね!素敵!
◇)ふふふ〜♪
♧)でも商品はまだ売れてないの。
M)公開したてですもんね。
◇)アクセス数も、まだ全然。
♧)せっかく◇ちゃんが作ってくれたのに
  ごめんね…。
◇)なに言ってんですか!
  ここからが本番ですよ!
M)そうですよ!何もせずに
  アクセスされるわけがないんです!
  さ、こっちも準備OKですよー!
  いいですか?アップしますよ?
♡)ドキドキ…
 
 
先日お願いしてTくんと一緒に撮った写真。
 
二人でiPadケースを持ってるところに
Mちゃんが紹介文を付けてくれて…
ハピクロのリンクを貼ってくれた。
 
それを今から私のサイトで公開するんだ。
 
 
♡)みんな見てくれるかなぁ…
M)当たり前じゃないですか!
  こんな美男美女がオススメするアイテム、
  みんなお買い上げしちゃいますよ!
◇)よし、行こ!!
  Mちゃんお願いします!
M)はいっ!
 
 
ドキドキドキ…
ドキドキドキ…
 
 
♡)あ、コメント集まってきた…。
 
 
『えーー😳何これiPadケース?
 姫のやつめっちゃ可愛い!💕』
 
『王子が持ってる方も仕事で使えそう✨』
 
『王子のやつ、彼氏にプレゼントしようかな🎁』
 
 
♡)王子…?
M)あ、知らなかったですか?
  Tさんは最近、
  「王子」って呼ばれてるんです。
♡)ええ!どうして?!
M)名前出してないからじゃないですか?
◇)♡ちゃんが「姫」だから
  姫と王子でなんだかお似合いw
  …って言ったら臣さんに殺されるかw
M)王子効果でビジネス用のデザインも
  たくさん売れるといいなーw
♧)あっ!!
◇)おっ!!
♧)す、すごい!
  アクセス、来てる!!
◇)おわっ!どんどん来てる!!
M)よーーーしっ!♡
♡)わ、わ、すごいっ!!
 
 
ハピクロのページのアクセスが
どんどん増えてきて…
 
 
皆)う、売れたーーー!!!
 
 
私と同じデザインのiPadケースが
一つ売れて…
 
 
♧)す、すごい…
  ほんとに売れちゃった…///
 
 
♧さんが信じられないって様子で
ぽかーんとしてる間に…
 
 
◇)また売れた!!
M)わ!こっちも!!!
♡)また売れたよ!!
 
 
次々に売れていく商品。
 
 
◇)ちょっと!これ売り切れるんじゃない?
♧)…う、うそ…っ
♡)すごい勢いだよ!
M)ふっふっふ♡
 
 
写真を載せてから、30分。
ハピクロの商品は、すべて完売した。
 
 
M)やったーーー!
  予想通り♡
◇)Mちゃん、売り切れなんて予想してたの?
M)当たり前じゃないですかー♡
◇)すごいよ、すごすぎるー!
♡)全部売れちゃった…
♧)……
♡)♧さん…?
♧)……
◇)♧さん、大丈夫ですか?
M)♧さーん!
♧)……はっ!!
 
 
放心状態だった♧さんは
やっと目を覚ましたように私たちを見た。
 
 
M)完売ですよ、完売!♡
♧)…っ
◇)とりあえず売り切れのお礼コメントと
  次回再開の目処も載せておきましょ!
♧)う、うんっ…!
♡)♧さん!しっかり!
♧)うん、なんだか…夢みたいで…
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)〜♪現状維持、迎合に
  明日は見えない
  Looking back 指差す
  昨日までの価値観 Let it burn down
  道無き道を拓く The frontiers♪〜
 
臣)〜♪Chase it now 現実は
  No way out
  流れる時間を追い越す様に舞う
  運命にさえ抗う Go faster♪〜
 
 
今日は『BREAK OF DAWN』の
レコーディング。
 
 
亜)サビの最後は二人のユニゾンにしない?
  その方が力強さが出る。
デ)だね、そうしよう。
臣)これ音もカッコいいけど
  歌詞もカッコよくて好き。
隆)俺も。
亜)ははは、ありがとうございますw
 
 
一通り二人で歌い終えて
音を確認して。
 
 
隆)〜♪Face it!
  No time for us to hesitate
  挑む何度でも
臣)〜♪Face it!
  Make up your mind and re-create
  終わらないサークル
隆)〜♪Turn it up Turn it up
  音の海にダイヴ
臣)〜♪Bring it on Bring it on
  過去に未練は無い
隆)〜♪Face it!
  The choice is already made
 
臣隆)〜♪迎えに行く Break of dawn♪〜
 
皆)いいね!!
 
 
みんな満足げに頷いた。
 
 
デ)お疲れ様でした。
  亜門くんもありがとうね、来てくれて。
亜)いえいえ!楽しかったです。
 
 
俺たちもお礼を伝えて頭を下げた。
 
 
臣)よーし、じゃあ帰るかーー
隆)今日も頑張ったぁ〜〜
デ)あ、そうだ!
  コラボする女性の候補の人、
  再来週スタジオ来れるって。
隆)あ、あれですよね?
  小竹さんお気に入りの。
デ)そうそう。
  まだ正式に頼むかわかんないけど
  直接歌聞かせて欲しいって言ったら
  快諾してくれて。
臣)へぇ…。
 
 
再来週…、ツアーファイナルの後か。
 
 
隆)どんな声なんだろ。楽しみ。
デ)あ、丁度音源あるよ。聞く?
隆)マジっすか?聞きたい!
臣)……。
 
 
なんだろ。
あまり興味を持てないのはきっと。
 
昨日結婚式で♡と歌ったばかりで…
♡より一緒に歌いたいと思える声の女が
この世にいるとは、思えないから。
 
 
…って、こんなこと言ってちゃダメだな。
 
でも俺…、
ほんとにあいつの声が好きなんだもん。
 
 
デ)流すよーー。
隆)はーい。
臣)……。
 
 
『〜♪愛してるっていうあなたの言葉は
 さよならよりも哀しい♪〜』
 
 
臣)!!!
 
 
え、これ…っ
 
 
『〜♪これ以上 何も言わなくていい
 だから この夜を止めてよ♪〜』
 
 
臣)…っ
 
 
間違いない!
♡の声だ…!!
 
 
隆)えーー、めっちゃイイ声っすねぇ。
デ)でしょー?
  小竹さんも気に入るわけだよ。
隆)うんうん。
デ)でさ、この人のすごいところが
  歌によって全然声変わるの。
隆)え?
デ)他のだとー、例えばこれ。
 
 
『〜♪カチューシャ 外しながら
 君がふいに振り返って♪〜』
 
 
隆)ぶっ、AKBっすか?!w
デ)そうそう。
 
 
『〜♪風の中で微笑むだけで
 なぜか何も言えなくなるよ♪〜』
 
 
隆)すげぇ。めっちゃ可愛い声になった。
デ)さっきはあんな色っぽかったのにさ。
隆)うんうん!
臣)……。
 
 
隆二はなんで気付かないんだろ。
 
…そっか、♡の歌ってるとこ聞いたのなんて
うちでアカペラでイニミニ歌った時くらいか。
 
あれともまた声が違うから…
だから気付かないのかな。
 
 
隆)ねぇ臣。いいよね、この人。
臣)……。
 
 
まさか♡だとは思わなかった。
どうしよう。
 
 
……でも。
 
めっちゃテンション上がってる自分がいる。
 
 
だって…
♡と本当に歌えたら…
一緒に歌うことが出来たら…
 
絶対にいい歌になるって
今からもうわかってるから。
 
 
臣)いい声ですね。
  この人にしましょうよ。
隆)おっ!臣も気に入った?
デ)まぁ正式に依頼するかどうかは
  本人に来てもらってから決めよう。
臣)そうですね。
 
 
絶対♡にする。
俺がもう決めた。
 
 
隆)よーし。じゃあお疲れさまでしたー。
デ)お疲れーー。
 
 
でもなんで♡は何も言ってこないんだ?
俺らから…っていうか
俺らの名前はまだ伏せてるにしても
依頼主でピンと来てもいいはず…
 
 
臣)あ。
 
 
わかった。
絶対Mちゃんだ。
Mちゃんが♡にはまだ隠してるんだ。
ははーん。
 
 
臣)どれどれ…。
 
 
♡のスケジュールを開いてみたら…
 
 
臣)あ、やっぱり。
 
 
その日は「仮REC」と書かれてるだけで
内容が書いてない。
 
 
隆)はぁ、腹減ったーー。
  …何さっきからブツブツ言ってんの。
臣)え?ああ、ごめん。
隆)考え事?
臣)いや、もう済んだ。
隆)♧どうなったんだろ。
  無事スタート出来たのかなぁ。
 
 
なんて言いながら
下りていくエレベーターの中で
スマホを開いた隆二は、
 
 
隆)えええ!!??
  う、売り切れ!!??
 
 
エレベーターのドアが開くと同時に
でっかい声で叫ぶから
警備員のおじさんがびっくりして
こっちを見た。
 
 
臣)声でけーよ!
隆)だって!売り切れだって!ハピクロ!
臣)……は?
  売り切れって…、ま、まじで!?!
隆)マジ!!すごくない?!
臣)すげぇ…!!
 
 
スマホの画面を覗けば
確かに全部「Sold Out」になってる。
 
 
隆)あ。LINEも来てた。
  …ふむふむ、なるほど。
臣)なになに?
隆)とりあえずお前も来いよ。
臣)へ?
隆)話は車でね。
 
 
そう言われて一緒に車に乗り込んだら
隆二は早速♧さんに電話をかけて。
 
完売した商品の発送準備にてんてこまいで
まだ♡達もいるみたいで、
今日の晩御飯は
♧さんお手製のスープカレーだから
良かったら臣くんもおいでよ、って事らしい。
 
 
臣)行く行く。食う食う。
 
 
そう返事をして
俺も携帯を開いてみれば…
 
 
臣)あ。
 
 
♡のサイトには
Tとのツーショットが載ってる。
 
 
ははーん。
これで宣伝した効果で
あっという間に売り切れたってわけだな?
 
さすが策士、Mちゃん。
 
 
『姫と王子のiPadケース欲しかったのに
 一瞬で売り切れちゃったぁ😞💧』
 
『ハピクロのポーチめっちゃ可愛い😭
 再入荷待ってます!!!🙏』
 
『ハピクロってなんなの?🍀
 姫がやってるブランドなの?
 めっちゃセンスいいんだけど!😳』
 
『お揃い持ってる姫と王子
 どこまでもお似合いすぎる😭
 なんでこれで付き合ってないの…』
 
 
臣)……。
 
 
なんだこの「王子」ってのは。
 
…Tのことだろうけど
なんで「王子」…?
 
そんなの♡の「姫」とお揃いみたいじゃん!
なんかムカつく!
 
 
「王子」だったらうちの王子だって
負けてねーぞ!
 
岩ちゃんの方がよっぽどイケメン……、、
いや。
こいつ岩ちゃんと張るくらい顔はいいもんな。
 
……くっそーー!!
なんで交際否定したのにいまだに
「お似合い」とか言われてんだよコノヤロ!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)ふはーーっ、終わったぁぁ〜〜!
◇)よっしゃーー!!
♧)みんな、本当にありがとう!!
 
 
売り切れた全商品の発送準備、無事完了!!
 
…と、同時に
家のインターホンが鳴った。
 
 
♧)あ、隆二くん帰ってきた!
♡)あっ、
 
 
そういえば今日レコーディングだよね。
臣くんももう終わったかな?
 
って、携帯をチェックしてる間に
本物の臣くんが隆二くんと一緒に入ってきた。
 
 
隆)ただいまーー
♧)お帰りなさい!
臣)ただいまーー
♡)え、お、お帰りなさい??
◇)なんで疑問系なのw
♡)だって、うちじゃないし…
M)確かに!w
 
 
臣くんは笑いながら
私の頭をポフポフしてる。
 
 
臣)お前まだいるって言うし
  美味しいスープカレーあるって言うから
  来ちゃった♡
♡)ご飯狙いかーー!
臣)へへへw
M)スープカレーほんっとに美味しいですよ♡
◇)うん!最高だったー!♡
臣)えーー楽しみ〜〜〜
 
 
それからスープカレーに夢中な
臣くんと隆二くんの隣で
私たち4人は缶チューハイを開けた。
 
 
♧)今日はみんな本当にありがとう♡
◇)お疲れさまでしたー!
M)完売を祝して!
♡)かんぱーーい!♡
 
 
みんなで頑張った達成感♡
お酒もいつもより美味しいや♡
 
 
隆)ねぇ、ほんとすごいね?
  一日で売り切れるなんて。
M)一日っていうか、30分ですよぉ!
臣)マジですげぇ。
  どうなっちゃうのハピクロ。
♧)またいっぱい作らなくっちゃ…
隆)一人じゃ追いつかなくない?
♧)あ、それはね、さっき電話が来て…
  施設の子たちが手伝ってくれるって。
隆)え?
♧)高校生の女の子たちがね、
  一緒に作りたいって言ってくれて…
隆)うちに来んの??
♧)ううん、学校のミシン借りるって。
隆)……ふーん。
♡)……。
 
 
そう言った隆二くんの顔を見て。
 
私なんとなくわかっちゃった。
隆二くんはきっと施設に
ミシンを寄付する気なんじゃないかなって。
 
 
臣)その子達も将来、
  ハピクロの社員ってこと?
♧)しゃ、社員?!
臣)そーゆーのに興味ある子たち
  なんですよね?
♧)う、うん。
  小物系よりは服作ったりとか
  そーゆー方が好きみたいだけど…
隆)じゃあハピクロも服売ればいいじゃん。
♧)ええ?!
臣)こんだけ売れたんだからいけるよね。
◇)確かに!♧さんセンスいいし!
♧)で、でも…っ
  私は一人で細々とやるつもりで…
  人を雇うとかそんな…
隆)なんで?やりたいって
  言ってくれてる子たちがいるなら
  いいじゃん。
♧)あ、もちろん手伝ってもらったら
  お礼はするつもりだったけど…
 
 
少し急な展開に、♧さんは戸惑ってるみたい。
 
 
♡)♧さんはどうして
  保育士になったんですか?
♧)えっ…。……ええと…、
  子供たちのために何かしたくて…
♡)だったら!
♧)え?
♡)ハピクロもいいと思う!
♧)え?
♡)ね!◇ちゃん!
◇)ん?
♡)◇ちゃんが桜ちゃんに
  教えてあげてたでしょ?
  目的と手段の話!
◇)…ああ!
♡)♧さんの目的が
  子供たちのために
  何かしてあげたいってことなら
  「保育士」はその手段の一つであって、
  それが「ハピクロ」になったって
  いいと思うの!
臣)なーるほど…。
♡)子供たちの未来を広げてあげるというか…
  ハピクロでそういう機会や場所を
  与えてあげるのも
  子供たちのためになるでしょ?
隆)なるなる!!
♧)そ、そっか……
 
 
♧さんは目をパチクリさせた後、
「考えてみるね」って言ってくれた。
 
 
♡)なんだか嬉しいな♡
♧)え…?
♡)可能性が広がっていくのって
  わくわくしちゃう♡
◇)うーーん…。
♡)ん?どうしたの?
◇)実はあたしもちょっと考えててさー。
♡)なになに?
◇)自分で仕事しようかなって。
臣)今の会社辞めるってこと?
◇)……はい。
  まだ検討段階なんですけど。
  剛典にも言ってないし…
  てゆーかまだ誰にも言ってないw
隆)おお…っ
  一番に聞いちゃった…。
M)自分で会社立ち上げるんですか?
◇)うーん、それか個人でやろうかなって。
♡)すごい!
 
 
◇ちゃんならなんでも出来ちゃいそう!
 
 
◇)♡ちゃんと♧さんのホームページ作ったの
  楽しくって。
♡)うん。
◇)元々前から思ってたんだけど、
  ホームページないお店とか施設とかって
  まだまだ多いじゃない?
M)多いですね。
◇)ホームページあったとしても
  なんじゃこりゃ!ってくらい
  見にくかったり。
臣)ああ、あるねぇ!そーゆーの!
◇)そーゆーとこに介入していって
  ちゃんとした情報を
  見やすくわかりやすく提供して
  企業側にも利用者側にも
  喜んでもらいたいなぁって。
隆)なんかすげぇ…。
◇)すごくないです…w
  ほんとは…、下心もあるし…。
臣)下心??
◇)下心っていうか…
  やっぱり会社勤めだと
  時間に融通利かないし…
  有給も取りたい時に取れるとも
  限らないし…。
♡)岩ちゃんの…ため?
◇)ため、っていうか…
  剛典あんだけ忙しいのに
  いつもあたしのために
  時間作ってくれたりするから
  あたしももっと何か出来ないかなって
  思ってて…。
♡)……。
 
 
私と一緒だ…。
 
私も臣くんとの時間をもっと大事にしたくて
会社を辞めるって決めたし…。
 
 
◇)剛典にはまだ言わないでねっ!
♡)はい!!
隆)そっかぁ…
  会社勤めじゃなければ
  時間も作りやすくなるのかぁ…。
♧)……。
隆)あ、違うよ!違うからね?
♧)え?
隆)俺との時間増やすために
  保育士やめろとか
  ハピクロやれとか言ってんじゃなくて!
♧)うん。
隆)♧は保育士さん似合ってるし
  すっげぇ良い保育士さんだと思うし
  やりたいなら全然続けていいから!
♧)うん。
 
 
必死でそう言う隆二くんに
♧さんは「わかってるよ」って
優しく微笑んだ。
 
 
臣)でも♧さんは裁縫も好きで得意で
  ハピクロも軌道に乗るなら
  そういう道もあるよねって…
  そういう可能性の話でしょ?
隆)そうそう。
臣)俺らの仕事ってやっぱり
  時間のすれ違いは多くなっちゃうけど
  一緒に暮らせてるだけでありがたいし…。
♡)ありがたい…?
臣)うん。
  話せなくてもさ、少なくとも帰ってきたら
  お前の寝顔は見れるじゃん?
♡)うん。
臣)お前がいる場所に帰ってこれるって
  なんかほっとするんだよ。
♡)……///
 
 
臣くんがすごく優しい目で
そんなこと言うから
胸がキュンとしちゃった。
 
 
臣)男ってそーゆーのあると思う。
隆)うん。
臣)岩ちゃんも。
◇)……前に…言われた。
臣)あ、ほんと?
隆)へーーー
  岩ちゃんってそういうこと言うんだー。
◇)ええと…///
臣)どんな感じで言うの?
  俺も気になるw
◇)それは秘密!///
臣)えーー!ケチーーー!w
♡)あはははw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
帰り際、Mちゃんにこっそり確認したら
やっぱり俺らとの仕事だってことは
♡には伏せてるらしく。
 
 
M)よろしくお願いしますね♡
 
 
って、にっこり微笑まれた。
 
 
そんなやりとりを離れたところから見てた♡は
何の話してたの?って
帰りの車の中、ずっとしつこくて。
 
 
臣)なんでもないって!
♡)だって臣くんニヤニヤしてたもん!
臣)俺はもともとそーゆー顔なの。
♡)元々にやけ顔?!
臣)そ!
♡)……。
臣)そんな彼氏やだ?
♡)……ううん、好き。
臣)ぷっw
 
 
可愛い奴w
 
 
臣)それにしてもほんと良かったな、
  ハピクロ。
♡)うんっ!
臣)サイトに載ってた商品も見たけどさ、
  すげぇセンスいいよね、♧さん。
♡)うんっ!
臣)そういえばさっきさ、
  施設の子たちが手伝ってくれるって話に
  なったじゃん?
♡)うん?
臣)あれは隆二のやつ、
  ミシン寄付すると思わない?
♡)それ!!それね!!私も思ったーー!!
臣)あ、ほんと?
♡)絶対そうすると思う!
  私の勘!
臣)だよねーー
♡)隆二くん見てて気付いたんだよ!
  ね、私にぶ子じゃないよ!!
臣)え…。
♡)ちゃんと見てるでしょぉー
  ふっふっふw
臣)……。
 
 
どうやら鈍子は「鈍子」という汚名を
返上したいらしい。
 
 
……
 
 

 
 
♡)えいっ♡
臣)ん?
 
 
帰ってきて手を洗ってたら
♡が後ろから抱きついてきた。
 
 
♡)で、なんの話してたのー?
臣)ぶっ、しつけぇw
 
 
思わず吹き出して振り返ったら…
 
 
♡)教えて?♡
 
 
あーあ、そんなおねだり顔しちゃって。
悪い子ですねーー。
 
 
臣)鈍子じゃないって言うなら
  当ててみれば?
♡)えええ!!
臣)さてなんの話、してたでしょーー
♡)むぅぅ……
 
 
♡は難しい顔をしたまま俺についてきた。
 
 
♡)ニブ子じゃなかったら気付くの?
臣)うん。
 
 
なんて嘘。
絶対気付くわけないw
 
 
♡)臣くんがニヤニヤしてたから…
臣)してたから…?
♡)エッチな話!
臣)なんで俺がMちゃんとエロバナすんだよw
♡)はずれぇ?
臣)…あ、…んーー、当たり。
♡)当たりぃ!?
  
 
♡は驚いたように目を丸くして俺を見た。
 
 
臣)あんねぇ、昨日の話してた。
♡)昨日の??
臣)うん。だからニヤけてた。
♡)昨日のって何?
臣)俺の可愛い彼女がぁーー
♡)?
臣)すっげぇ可愛い下着つけてぇーー
♡)!!!
臣)俺を可愛く誘惑してきたって話ぃーー
♡)ちょ、え?!わ、えっ、
  そんな話をMちゃんにしたの?!///
 
 
一気に顔を真っ赤にしてテンパってる♡。
かわいw
 
 
♡)どうしてそんな話するの!!///
臣)冗談だってw
♡)ほんと…?
  ほんとに冗談…?
臣)ほんとに言って欲しいなら言うけど。
  今から電話して。
♡)ばかばかーー!!///
  ダメに決まってるでしょ!!
臣)あはははw
 
 
恥ずかしそうにほっぺを膨らませる♡を
縦に抱き上げて、リビングに戻った。
 
 
♡)それで?
  ほんとは何の話してたの?
臣)そのうちわかるってw
♡)えーーーー
臣)そんなのもういいからさ、
  イチャイチャしよーよ♡
♡)…っ
 
 
♡の口を塞ぐように、
ぎゅむっと腕の中に閉じ込めた。
 
 
♡)イチャイチャ…?
臣)うん♡
♡)……するーー♡
臣)ぷはっw
 
 
単純だな。ほんと可愛い奴w
 
 
♡)臣くん大好き♡
臣)じゃあその大好きな臣くんと
  お風呂入ろっか♡
♡)えっ!……入んない…。
臣)えっ!先にHしたいって?!
  しょーがないなぁーー♡
♡)そんなこと言ってない!///
臣)じゃあやっぱりお風呂?
♡)先に入っていいよ?
臣)えっ!一緒に入って
  お風呂でHしたいって?!
  しょーがないなぁーー♡
♡)そんなこと言ってないってば!///
 
 
♡は「もぉ!」って怒りながら
可愛くほっぺを膨らませてる。
 
 
臣)で?
♡)え?
臣)結局どーすんの。
♡)何が?
臣)今ここでHすんのかお風呂ですんのか。
♡)どうしてその二択なの!///
臣)あれ?違った?
♡)違うでしょ!///
臣)あはははw
 
 
♡は唇を尖らせたまま俺に抱きついてきた。
 
 
♡)私が今したいって言ったら
  ほんとに今するの??
臣)するよ?
  俺はリクエストには応える男です。
  お前限定で。
♡)今日はエッチな下着、着てないよ?
臣)いいよ?
  俺はいつでもその気になれる男です。
  お前限定で。
♡)……もぉ///
 
 
そのまま♡を持ち上げたら
♡は「わっ」って慌てて俺の肩を掴んだ。
 
 
臣)お前はわかってないねぇ。
  俺はお前ならなんでもいいの。
  なんでも好きなの。
  着てるものなんて関係ないの。
 
 
そりゃ昨日アレを着てくれたのは
死ぬほど嬉しかったし
可愛くてエロくて最高だったけど。
 
あんなのは所詮オプションで。
 
 
臣)俺はこの中身が好きなんです。
♡)中身って…///
 
 
呆れたような困ったような顔をしてる♡を
床にすとんとおろして
またむぎゅっと抱きしめた。
 
 
臣)あーーーー、なんか……
  やっぱ今したい。かも。
♡)……///
臣)お前が早く選ばないからーー
♡)////
 
 
顔を覗こうとしたら
♡はそれを阻止するように俺にしがみついた。
 
 
♡)臣くんはわかってないなぁ///
臣)お?
♡)私は臣くんならなんでもいいの。
  なんでも好きなの。
臣)お?お?
 
 
なんだなんだ?
俺の真似してきたぞ?
 
 
♡)だから…、///
臣)ん?
♡)////
臣)…っ
 
 
な、なんだよその可愛い視線攻撃は…////
 
 
♡)ね、///
臣)////
 
 
え?え?
可愛く服の裾掴んできたけど…
 
 
♡)……い、ま、でしょ…?
臣)////
♡)臣くんが言ったんだよ…?///
臣)////
 
 
可愛いOKを貰えましたので…
登坂広臣、全力で始めさせていただきます!!
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. (。・д・。)/ より:

    ハピクロ凄い!30分で完売って!
    臣くんもよかったですね~雑誌だけじゃなくて歌でもラブラブな彼女と一緒に仕事するなんて。

  2. きよママ より:

    ハピクロ万歳っっ♪ヽ(´▽`)/
    子供達に未来を☆
    頑張れ~~d=(^o^)=b

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