[298]末っ子の野望(岩&◇Side)

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岩)ただいまーーー
◇)おかえりーー!
 
 
剛典の声が聞こえて
玄関まで急いで迎えに行った。
 
 
◇)お疲れさま♡
岩)……。
◇)ん?どうしたの?
岩)なんかすげぇ可愛いなぁと思って。
◇)は?!
 
 
いきなり何?
 
 
岩)今の可愛くて癒された///
 
 
照れながら言ってるから
冗談ではなさそう。
 
 
◇)////
 
 
変な剛典。
おかえりなんていつも言ってるのに。
 
 
◇)今日もハイローの撮影だっけ?
岩)うん。
◇)疲れたー?
岩)今日は楽しかった。
  バイクの撮影でさ、天気も良かったし
  風がすっげぇ気持ち良くて。
◇)え〜〜!いいなぁ〜〜〜
  あたしなんて毎日
  オフィスに立てこもりだもん。
岩)立てこもりw
◇)たまには外の空気吸いたくなるんだよー
  あ、お風呂あるからねー
岩)じゃあ入っちゃおうかな。
◇)行ってらっしゃい♡
 
 
剛典を見送って
あたしはまたパソコンの前に戻ってきた。
 
 
今週は三代目のBP京セラ公演。
水、木、土、日の4日間。
日曜日がファイナル。
 
♡ちゃんは撮影があるから行けないらしくて
あたしは多田さんと土日に観に行くんだけど
金曜日は有休を取って前乗りして
地元の友達と集まる予定。
 
だからその分の仕事を持ち帰ってきて
今せっせと打ち込んでいるところです!
 
 
岩)ん?仕事してんの?
◇)うん!
 
 
剛典がお風呂上がりのイイ匂いを漂わせて
後ろから覗いてきた。
 
 
◇)もう少しで終わるーー
岩)おう。頑張れ。
◇)んん〜〜
 
 
首を右に左にぐるりと回して
またパソコンとにらめっこ。
 
パソコン作業は肩凝るんだよねー
 
なんて思ってたら、
あったかい手のひらが、肩に乗った。
 
 
◇)え、え、なに?
岩)マッサージしてやるよ。
  肩凝ってんだろ?
◇)いいよいいよ!剛典も疲れてんのに!
岩)いいって。たまには甘えなさい。
◇)……ありがと///
 
 
なんだよぅ。優しいじゃん。
 
 
◇)あ、気持ちぃ〜〜〜〜
  やだ剛典、上手!
岩)はははw
◇)男の人って下手なのに。
  なんでそんな上手なの?
岩)……元彼と比べてる?
◇)……元彼…たち?
岩)全員下手だったの?w
◇)うん。全っ然気持ち良くなかった。
  でも剛典はすっごく上手。
  すっごく気持ちイイ♡
岩)……。
◇)あ、ほら…♡
  気持ちイイところすっごくわかってる♡
  んーー、上手♡
岩)……。
◇)あ、そこ…、んんん…
岩)……。
◇)はぁ、気持ちぃ…♡
  剛典の指、すっごく気持ちぃ♡
岩)……あのさぁ///
◇)あ、もっとして…♡
  そこ気持ちイイの。もっとして…、あっ
岩)コラ…///
◇)え?
岩)さっきから聞く人が聞いたら
  勘違いしそうな発言を連発するの、
  ヤメナサイ///
◇)……。
 
 
何言ってんだ???
 
 
そう言われて、今の会話を振り返ってみたら…
 
 
◇)……///
 
 
一気に恥ずかしくなった。
 
 
◇)バカじゃないの!変態!///
岩)はぁ?!
◇)なんでもエロ変換すんな!///
岩)するわ!!
◇)バカ!エッチ!変態!
岩)バカですーエッチですー変態ですーー
◇)全部認めた…。
 
 
剛典はあたしの肩をバシッと叩いて
後ろからハグしてきた。
 
 
岩)ねぇ。
◇)ん…?
岩)今の全部、Hの時にもっかい言って///
◇)はぁ?!///
岩)……あ、やべ。
  想像しただけで…、///
 
 
耳元で剛典の声が興奮してるのがわかって
くるっと振り返ったら…
 
 
◇)////
 
 
もう!このど変態!///
 
 
岩)早くベッド行こ///
◇)行かない!///
 
 
プイッと向き直って
またキーボードを叩いた。
 
 
岩)じゃあここで待ってよっと。
◇)変態が見てたら集中できないから
  あっち行って。
岩)ひでぇなオイ!w
◇)ふん。
岩)てか珍しくない?家で仕事してんの。
◇)ああ、うん。
  今週少し忙しいんだ。
  金曜は有休だし、明日から三日間も
  夜は予定入ってるし。
岩)え、なんの?
◇)明日はお母さんで
  明後日は大学の友達の結婚祝いで
  明々後日は会社の部署飲みーー
岩)それは忙しいなw
◇)だからちょっと持ち帰ってきちゃった。
岩)明日のお母さんって何?
  東京出てきてんの?
◇)うん、たぶん。
 
 
火曜日空けといてー
としか言われてないから
遊びに来るのかなーなんて思ってたけど。
 
 
◇)そういえば詳細聞いてないや。
  どっかお店予約してるのかな?
  よし、これで終わりっと!
 
 
Enterキーをバシッと叩いて、データ保存。
 
 
◇)ふぁ〜〜、疲れた。
  ちょっとお母さんに電話してみるねー。
岩)うん。
  終わったらベッド行こうね。
◇)……頭の中、それしかないの///
岩)今はね。
  だってまだこんなだし。
◇)……一旦鎮めてください///
岩)えーー。
 
 
変態剛典にくるっと背を向けて
お母さんの番号をタップした。
 
 
プルルルル…、プルル…
 
 
母『もしもし?』
◇『あ、お母さん?今大丈夫?』
母『大丈夫やでーー
  お母さんも今電話しよう思っててん!』
◇『あ、ほんま?
  明日どうするんー?
  どっかお店予約してるん?』
母『してるしてる!
  〇〇ホテルの23Fのフランス料理のお店!
  時間は19時な。』
◇『え、ホテル?』
 
 
なんて話してたら
剛典が後ろからあたしの腰に腕を回してきた。
 
 
母『さっき連絡来てな、もしかしたら仕事で
  10分くらい遅れるかもしれへんて。』
◇『ん?お母さんが?』
母『ちゃうちゃう。相手が。』
◇『相手?なんの話?』
母『せやから、明日の相手。』
◇『は?』
母『あんな、黙っとったけど
  明日お母さんは行かんのよ。』
◇『は?』
母『あんた達、二人だけ。』
◇『は?』
 
 
あんた達って何?
二人って?
 
意味がわからんくてあたしさっきから
「は?」しか言うてへんけど。
 
 
母『今時、お見合いにそれぞれの両親も…
  なんてお堅くて嫌やろー?
  せやから二人で気軽にって
  向こうも言うてくれはって。』
◇『はぁぁぁ!!???』
 
 
あたしのあまりの大声に
剛典の腕が離れていって…
 
慌てて振り返ったら
剛典もあたしと同じ顔して驚いてる。
 
お母さんの声大きいから聞こえてるよね。
 
 
◇『お見合いって何よ!!』
母『前にも言うたやん。
  あんたのこと気に入ってくれてる人
  何人かおんでー♡ って。』
◇『あたしお見合いなんてせぇへん
  言うたやろ!!』
母『一回会うてみるだけ会うてみぃって
  言うたやろ?』
◇『なんでそうなるん?
  勝手に決めんといてよ!』
母『あんた結婚したい言うてたやん!』
◇『は?』
母『お母さんとお父さんが結婚した歳に
  あたしも結婚したいー♡
  って言うてたやろ!』
◇『…っ』
母『もうとっくに過ぎてんで!』
◇『いや…、それ子供の頃の話やん…。』
母『ええから一度会うてみ。
  むっちゃええ人やから。
  〇〇鋼鉄の息子さんやで。』
◇『ええ?!』
 
 
あんな大企業の…
嘘でしょ?!
 
 
母『明日やねんから今更断れへんで。
  ドタキャンなんか失礼やからな。』
 
 
そんなんギリギリまで隠しとった
お母さんのせいやん!!
どうしてくれるん!!
 
 
母『もし気に入らんかったら
  他にもまだおるからな♡』
◇『いや、せやから…』
母『とりあえず明日はちゃんと
  オシャレして行くんやでー♡』
◇『いや、ちょっ…』
母『ほなな!』
◇『…っ』
 
 
もう何も言わせてもらえんまま
電話は切れてしもた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
◇のお母さんは相変わらず元気な大声で
電話の会話は全部丸聞こえだった。
 
 
ああ、この勢い…
そうだ、桜に似てるんだ。
 
結婚式の時に一瞬挨拶した時は
◇に顔がそっくりで驚いたのに
中身は桜なのかな…。
 
 
◇)はぁぁぁぁぁ……。
 
 
電話をテーブルに置いた◇は
盛大にため息をついた。
 
 
◇)どないしよ……。
 
 
ほんまやで。
どないすんねん。
 
 
◇)もう…勘弁してよ……。
 
 
それは俺のセリフやで。
 
 
〇〇鋼鉄の息子って…
金持ちのボンボンじゃん!
 
…って、俺が言うのもアレだけど…。
 
 
向こうは◇を気に入ってるから
会いたがってんだろ?
花嫁候補に考えてるってことだろ?
 
勘弁してくれよ。
 
 
今の話の流れじゃ
ほんとドタキャンも出来なそうだし…
 
 
◇)んんんー。
 
 
あ、ぐったりした◇が
甘えるように俺に抱きついてきた。
 
 
岩)よしよし。
◇)明日…、ちゃんと断ってくるから。
岩)……。
 
 
心配だなぁ…。
二人で飯食うんだろ?
 
 
てかさ。
お母さんのあの感じじゃ
明日断ったとしても
また次のボンボン出してきそうじゃん?
 
 
岩)お母さんとお父さんって
  何歳で結婚したの?
◇)……23歳。
岩)……。
 
 
早ぇな。
そりゃ確かに過ぎてるな。
 
東大で知り合ったって言ってたから
卒業してすぐ結婚したのかな?
 
 
◇)違うの。
  同じ歳で結婚したいって言ってたのは
  子供の頃の話で…
  今は思ってないよ、そんなん。
岩)……うん。
 
 
でも結婚願望はあるし
子供は欲しいって前に言ってたもんな。
 
 
岩)……。
 
 
ツアーが終わってひと段落したら
一度話そうと思ってたけど…
 
……うん、今にしよう。
 
 
岩)ベッド行こ。
◇)へ??
岩)ベッド。
◇)え、ちょ、もうするの?!///
岩)へ?
  ああ、ちげーよ!w
 
 
タカノリだってもう鎮まったわ!
 
 
岩)大事な話。
◇)えっ…
岩)来いよ。
◇)……うん。
 
 
◇の手を取って寝室のドアを閉めた。
 
 
ベッドの上に二人で並んで座って
俺はもう一度、◇の手を握った。
 
 
岩)……俺さ、一番になりたいの。
◇)え??
岩)LDHで、一番になりたいんだよ。
 
 
◇に話すのは初めてかも。
俺の夢というか目標というか、野望。
 
◇にっていうか、
実はまだ誰にも話したことはない。
 
 
◇)一番…って?
岩)稼ぎも知名度も、全部。
◇)…っ
 
 
そんなの無謀だと笑う人もきっといるだろう。
 
でも俺は本気。
男なら一番目指してなんぼでしょ。
 
 
岩)後ろで踊ってるダンサーが
  ヴォーカルの前に出るなんて
  ヴォーカルの前に出てTVに映るなんて
  前代未聞だったのを
  HIROさんは実現したんだよ。
◇)うん…。
岩)周りに驚かれたり
  否定されたりしながらも
  そのスタイルを確立した。
  それがEXILE。
◇)うん。
岩)ダンサーはこうあるべき、とか
  ダンサーだからこれは無理、とか
  そんなのってないと思うんだよ俺。
◇)うん。
岩)だからさ、いちパフォーマーが
  グループの看板であるヴォーカルや
  長く活動してる先輩たちより
  有名になるとか稼ぐとか
  無謀だと思う人は思うと思うけど、
  俺はそんなの嫌で。
◇)うん。
岩)やったもん勝ちって言うか
  やらなきゃ始まらないって言うか…
  まずは思い描かなきゃ、
  夢なんて生まれないし叶いもしない。
◇)うん。
岩)だから最初から諦めたり
  現状満足するんじゃなくて
  俺はもっと上を目指したいんだ。
◇)うん。
 
 
俺が真面目に話してるから
◇も真剣に聞いてくれて、
相槌を打ってくれる。
 
 
◇)そっか、一番、か。
岩)そう。
 
 
表向きには「スーパースターになりたい」って
漠然とした発言しかしてないし
 
もっと個人での力を高めて
グループに還元したいとか
HIROさんの戦力になりたいとか
そう思ってるのは全部本当だけど、
 
最終的には
「一番になりたい」っていうのが
俺の野望。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
真剣な眼でゆっくりと話してくれる剛典。
 
 
剛典が日々がむしゃらに頑張ってるのは
知ってたけど…
 
行けるとこまで行きたい、とか
そんな風に漠然としか聞いたことなかったから
 
「稼ぎも知名度もLDHで一番になりたい」って
初めて具体的にハッキリ言われて
なんだかストンと胸に落ちてきた。
 
 
わかりやすい。
 
そうか、剛典は一番になりたいのか。
 
 
それを聞いたあたしは
なんだかわくわくメラメラしてきちゃった!
 
 
◇)カッコイイ!!
岩)へ?!
◇)剛典カッコイイ!!
  いいじゃん!一番取ったろ!!
  あたし応援するよ!!
岩)えっ…
◇)天下取ったろやないかーー!!
 
 
気合いを入れて拳を掲げたら
隣では剛典が肩を揺らして笑ってる。
 
 
◇)え?
岩)いや、お前ほんと最高だなって思って…w
 
 
何がおもろいねん。
 
 
◇)だってやるからにはやっぱ
  一番目指してなんぼでしょ!
岩)…っ
◇)それに剛典はさ、
  ただ口で言ってるだけじゃなくて
  その高い目標に見合った
  努力とかプラン設計、絶対してるでしょ?
岩)…っ
 
 
ほら、やっぱり。
 
ただの夢見る夢男くんでも
無謀なハッタリ男でもないんだよ。
 
剛典は夢実現に向けて
着実に一歩一歩を積み重ねてる。
 
 
◇)あたしも燃えてきた。
岩)ええ?!w
◇)応援するからねっ!!
 
 
剛典の手をガシッと握ると、
また笑ってる剛典。
 
 
◇)まずはさ、知名度で言うと…
  やっぱりATSUSHIさんだよね。
  誰でも知ってるでしょ?
岩)だねぇ…。
◇)よし!抜いたろ!
岩)ぶっw
◇)稼ぎで言うと…誰?臣さん?
岩)うちさぁ、年功序列なんだよ。
◇)はぁ?!給料が!?
岩)うん。
◇)古くさっ!今時古くさっ!
岩)…だよねぇ…w
 
 
剛典は困ったように苦笑いした。
 
 
◇)じゃあ若手がいくら稼いでも
  上に持ってかれんのね?!
岩)うーん…、まぁ…
  言い方ちょっとあれだけど
  そんな感じ。
◇)くぅぅぅ……。
  まぁでも仕方ないのか。
  下が活動できるのは上が築いてきた
  基盤があるからだもんね。
岩)よくわかってくれてますね、
  うちのシステムw
◇)でもなぁ…
  年功序列もほどほどにしてほしいけど…。
  じゃあ一番稼いでるのは誰なのよ?
  HIROさんね!?
岩)まぁそうだねw
  いや、HIROさんを抜こうとは
  俺も思ってないけど…社長だしw
◇)なんでや!抜いたろ!
岩)ぶっw
 
 
興奮してるあたしの止まらぬ勢いに
剛典はまた吹き出した。
 
 
◇)まぁHIROさんはラスボスとしてもさ、
  とりあえず臣さん抜こうぜ!
岩)おっ
◇)三代目で一番稼いでるでしょ?
岩)よくご存知ですねw
◇)CMも一番出てるし稼ぎ頭、って。
 
 
多田さんが言ってたもんね!
 
 
岩)あの人さぁ、そっち系の欲がないんだよ。
  俺が羨ましいくらい
  映画やドラマのオファーも来てんのに
  断りまくってるし…
◇)あら。
岩)CMは一番出てるから一番稼いでるけど…
◇)確かにあの人、仕事より休みが欲しそう。
  そして♡ちゃんと
  イチャイチャしたいんだよ。
岩)ははははw
◇)じゃあとりあえずは
  三代目で一番稼ぐことだね!
  そしてそこからEXILEの大御所たちを
  抜きにかかろう!
岩)ぶははっww
 
 
剛典は「ほんとお前好きだわ〜」
とか言って笑ってる。
 
 
◇)CM増やすにはどうしたらいいのかなぁ…
 
 
あたし業界のことは詳しくないけど
まぁ普通に考えて
知名度・人気度・親しみやすさ、
こういうのが大事なんだろうな。
 
 
岩)やっぱ話が来るのは
  TAKAHIROさんとか臣さんとか
  ヴォーカルが多いからね。
◇)隆二さんには来ないの?
岩)だってほら、ヒゲあるし。
◇)ヒゲ関係あるの?!
岩)あるでしょ。
 
 
はっ!
だからATSUSHIさんより
TAKAHIROさんの方がCM出てるの?
 
……まぁ確かにヒゲあると
イメージ固まっちゃうしね。
汎用性は低くなるのかな。
 
 
岩)でも隆二さんもそっち系の欲は
  あんまりないから。
◇)ヒゲ剃ってまでCM欲しいなんて
  思わなそうだよね。
岩)うん。歌命だからね。
◇)そっかぁ。
 
 
それで言うと剛典のビジュアルなんて
バッチリOKじゃん?
 
 
岩)そもそもさ、俺らなんて、
  前まではスポンサーとの会食にも
  呼ばれることなんてあんまりなくて。
◇)うん。
岩)だから先輩たちのそーゆーのに
  連れてってください!とか
  必死に食らいついて顔売ってたのよ。
◇)みんな?
岩)……いや、俺だけかな…w
◇)いいね剛典!ガッツあるよ!
岩)ぶはっw
 
 
なるほど。
要は営業と一緒だよね。
 
機会が少ないなら
その機会をどう活かすかが重要ってことよね。
 
 
◇)よし。
 
 
営業の極意なら
明日、Jさんに聞いてみちゃおう!!
  
 
◇)あ、あとさ、
  前から思ってたんだけど
  剛典はどうしてインスタとかTwitter
  やらないの?
岩)ああ、それね。
 
 
やった方が絶対いいのに!
 
 
岩)実はね、近日始める予定でして。
◇)おお!
岩)今のツアーが終わったら始めようって
  前から決めてたんだ。
◇)そうなの?
岩)うん。
  結構悩んだんだけどさ、
  ほら、俺らってモバイルあるじゃん?
◇)うん。
岩)有料コンテンツで情報出してんのに
  普通のSNSで同じように
  情報発信しちゃったら
  モバイルの価値が下がる気がして
  見てくれてる人に申し訳ないなー、とか…
  差別化できるイメージがわかなくてさ。
◇)なるほど…。
 
 
そこまで考えてたのね。
確かにそうだよね。
さすが剛典!
 
 
岩)でもそうは言ってられないっていうか
  SNSを上手く使って
  ビジネス拡大してく時代じゃん?今って。
◇)うん。
岩)だから区切りいいとこで
  始めようかなって。
◇)そっか。
 
 
要は明確な差別化が出来ればいいわけよね。
ちょっとあたしも研究しようっと!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
◇)よっし!一番取ったるでーー!!
 
 
◇が気合いを入れるようにまた拳を掲げて
俺は思わずまた吹き出した。
 
 
岩)そんなやる気になってくれてありがとw
 
 
気持ちは嬉しいけど、
わかってるかな?
 
これからもっともっと忙しくなったら
二人のこんな時間もどんどん減っちゃうこと。
 
 
岩)寂しくは…ないの?
◇)え?
岩)俺が仕事仕事ーーってなっちゃうの。
 
 
今までの彼女はみんなそうだった。
それで別れてばかりだった。
 
 
◇)寂しいってどういう?
岩)いや、だから…
  時間あまり作れなかったり…
◇)剛典は十分作ってくれてると思うけど…
岩)…っ
◇)一緒に暮らす前もそうだし、今も。
  ありがとうって思ってるよ?
岩)……。
◇)それにね、あたしも今仕事で
  ちょっと色々やってみようかなぁって
  思ってるところがあって…。
岩)そうなの?
◇)うん。
  だからあたしはあたしで頑張るし
  剛典に会えない時は
  仕事に没頭したり友達と遊んだりさ、
  寂しいとかはないから大丈夫だよ?
岩)……。
 
 
◇のこういうところが俺は好き。
 
恋愛はちゃんと大事にしてるんだけど
恋愛に依存しすぎてないところ。
 
 
友達もたくさんいて、
仕事も頑張ってて、
自分をちゃんと持ってる。
 
 
あまりに恋愛のプライオリティが高いと
それに応えてあげられないことが
ストレスになったり
彼女の存在を負担に感じちゃったりするけど…
 
こんなの、俺初めてかも。
 
 
◇がいてくれることが
いろんな意味でプラスになるって
ハッキリ自分でわかる。
 
 
◇)お互い頑張ろうぜ!!
岩)おうw
◇)剛典のこと、全力で応援するからねっ!!
岩)ありがとw
 
 
なんだろ。
なんか戦友みたいだなw
 
 
岩)……でさ、
◇)ん?
岩)本題に戻るんだけど…
◇)え?今の本題じゃないの?
岩)うーん、前置き…?
◇)え??
 
 
◇が大きな瞳をパチクリさせて俺を見た。
 
 
岩)最近売れてきたって言っても
  やっぱり全然まだまだでさ、
  もし俺が今結婚するとか言ったら
  大ヒンシュクだと思うわけ。
  まぁ俺自身、今じゃないだろとも思うし。
◇)うん。
岩)だけど、これから着実に成長していって
  俺が本当に一番になれたらさ、
  誰にも文句言わせないくらいの
  ポジションまで辿り着けたら…
◇)うん…。
岩)……その時に、結婚したい。
◇)…っ
 
 
ちゃんと考えてんだよ、お前との未来。
 
 
岩)別に周りがどうこうって話じゃなくて
  俺自身としてもそこが
  人生の一旦の区切りというか。
◇)うん…。
岩)だから…それまで待たせちゃうけど…
  その時が来たら…
  俺と結婚してくれる?
◇)…っ、……うん。
 
 
◇はゆっくり頷いた後、
「プロポーズ?」って
少し戸惑ったように俺を見上げてきた。
 
 
岩)…っ
 
 
ほんとだ。
これ、プロポーズじゃん。
 
 
岩)いや、違う…、えっと…
 
 
プロポーズはちゃんといつかするもん。
 
そうじゃなくて…
今の気持ちを伝えておきたかったんだけど…
結果、プロポーズになっちゃった。
 
 
岩)プロポーズ予約!
◇)へ?予約?
岩)そ!
  だってお前がお見合いするとか言うから…
◇)だってそれは…っ
岩)わかってるよ!
  わかってるけど…
 
 
やっぱり不安になんじゃん。
相手はその気なわけだし…
 
 
お前だって
今すぐ結婚したいとは思ってなくたって
周りがどんどん結婚していって
子供とか生まれたりしたら
 
やっぱり私も…、ってなるかもしんないし。
 
 
岩)俺はちゃんとお前との未来を考えてるから
  それまで余所見しないで
  待ってろってこと!!
 
 
とか、勢いで偉そうに言ってみちゃったり。
 
 
◇)……ちゃんと…待ってる///
 
 
あれ…?
なにこの素直な感じ…。
 
 
◇)剛典も…余所見しちゃ
  ダメだからね…?///
岩)////
 
 
そんな可愛い上目遣いで言うなし。
 
するわけないじゃん。
お前みたいな女、そうそういないもん。
 
 
◇)予約…してくれて、ありがと///
  …嬉しかった。
岩)……///
 
 
なんか…
なんか…
 
すっげぇ可愛いんですけど…///
 
 
俺の手をキュッと握る、小さな手。
 
 
さっきまではなんかすげぇしっかりしてて
頼もしくて男らしくて
戦友みたいとか思ってたのに…
 
この小さな手を握ったら
やっぱり俺が守ってやんなきゃって思うし
甘えさせてやりたいなーとか思うし…
 
 
◇)お互い…忙しくなっても…
岩)ん…?
◇)その分、二人でいれる時は
  いっぱいイチャイチャしようね?
岩)えっ…
◇)////
岩)////
 
 
ほら、いきなりこんな風に
女の子らしく可愛い顔を見せてきたりするから
 
俺は毎回、お手上げで。
 
 
岩)なんだかなぁ〜〜〜〜
 
 
いろんな顔で俺の心を掴んで離さない
困った女。
 
 
◇)なぁに?
 
 
好きで好きで仕方ないって言ってんだよ。
 
 
◇)……あっ…、
 
 
その唇をキスで塞いで、
握り合わせた手に力を込めたら
 
そのまま斜めに倒れていく、二人の身体。
 
 
◇)ん…、っ///
 
 
ゆっくり…ゆっくり…、
 
次第に、深く、甘く、絡み合う。
 
 
そんなキスを繰り返してるうちに
◇の瞳はとろんと溶け出していて。
 
 
◇)剛典…、///
 
 
同じようにとろんとした甘い声で、俺を呼ぶ。
 
 
岩)気持ちいい…?
◇)……(こくん)///
 
 
素直じゃん…
すげぇ可愛い。
 
 
岩)……俺も。
 
 
そう言って、また唇を重ね合わせた。
 
 
キスに溺れていく。
 
気持ち良くて、気持ち良くて。
 
 
そのまま◇の身体を味わうように
ゆるやかに動き出す俺の手と指。
 
 
岩)なぁ…。
◇)……はぁ///
 
 
キスのさなか、
俺の呼びかけに
色っぽい瞳がうるうると俺を見た。
 
 
岩)さっきの、言ってよ…。
◇)…ん、っ…、…あ///
岩)ほら…。
◇)…っ、んん///
 
 
この甘い声に、欲情が高まって仕方ない。
 
 
◇)さっきの…って…?///
岩)忘れたの?
◇)あっ…、や…ぁっ///
 
 
ああ、可愛い。たまんない。
 
 
岩)元彼はみんな下手で
  全然気持ち良くなかったんでしょ?w
◇)…っ
 
 
やっとさっきの話を思い出したような顔。
 
 
岩)でも俺は…?
◇)////
 
 
あ、ちょっと悔しそうに唇を噛んでる。
かわい…w
 
 
岩)ねぇ、俺は…?
◇)あ、あっ…
岩)言ってよ。
◇)……んん、っ///
岩)「剛典はすっごく上手。
   すっごく気持ちイイ♡」
  ……でしょ?
◇)////
 
 
あ、怒ってる怒ってる。
かわいーー……w
 
 
「気持ちイイところすっごくわかってる♡
 んーー、上手♡」
 
 
言ってくんないかなぁ…あれ。
 
 
岩)ほら…、ここ…、
◇)んんん…っ///
 
 
ああああ〜〜
……めっちゃ気持ち良さそう。
 
この顔見てるだけで、俺ヤバイ///
 
 
岩)ね、言ってよ。
◇)……はぁ、…はぁ…///
 
 
「はぁ、気持ちぃ…♡
 剛典の指、すっごく気持ちぃ♡」
 
 
あんな可愛く言ってくれたじゃん。
 
 
岩)俺の指が…?
◇)…っ///
岩)ねぇ、どうなの?
◇)////
 
 
……あ。
顔真っ赤にしてプイってしちゃった。
 
 
岩)言わないならしてやんないよ?
◇)…っ
 
 
ピタッと動きを止めると
◇が少し涙目で俺を見た。
 
 
ああああああ〜〜〜
可愛すぎる///
 
もっといじめたいのに、俺もほんとヤバイ。
 
 
「あ、もっとして…♡
 そこ気持ちイイの。もっとして…、あっ」
 
 
マッサージしてやった時みたいに
素直に言ってくれたらいいのに。
 
 
◇)……やめ…ないで…///
岩)ん?どこ?…ここ?
◇)……(ふるふる)///
岩)教えてくんなきゃわかんないなぁ…w
◇)////
 
 
わざと意地悪すると
もどかしそうに身をよじる◇。
 
 
岩)ほら、言えって…。
◇)……いじわる…///
岩)そうだよ?
 
 
お前がこんな可愛いからじゃん。
 
……ほら、ここだろ…?
 
 
◇)…っ、あっ!……っ///
 
 
もう知り尽くしてんだよ、お前の身体。
 
 
◇)んんっ、や…ぁっ!剛典…っ///
 
 
◇が手を伸ばしてきたから
ぎゅっと抱きしめてやると…
 
 
◇)……気持ち…いい…///
 
 
そんな甘い声が、耳元で溶けた。
 
 
岩)////
 
 
今言うとか、ずるくね?
 
 
◇)……もっと…、して…?///
岩)////
 
 
耳をくすぐる甘い囁きに
ゾクゾクと興奮が湧き上がる。
 
 
◇)あたし、…もう…ダメ……
  剛…典…、…おね…がい…///
 
 
そう、欲しがって。
 
 
もっと、もっと、俺のこと。
 
 
◇)あっ…、あっ…、あ…ぁっ!///
 
 
可愛いこの身体、全身で、欲しがってよ。
 
 
◇)剛典…っ!///
 
 
俺も、俺の身体全部で…
 
俺じゃなきゃダメなくらいまで、
 
とことんお前のこと、愛してやるから。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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