〈63〉橘の襲撃(岩&◇Side)

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♧)あ、隆二くんから電話だ。
  出てもいい?
◇)もちろん!どうぞどうぞ!
♧)もしもし。
  お疲れさまー♡
  うん。うん。今ね、♡ちゃんちだよ。
  ……え、迎えに来てくれるの?
  うん、ありがとう♡
  ……え?お腹空いた?
  えっと…、
◇)余ってるご飯食べるかな??
♡)ビーフストロガノフー!
♧)聞こえた?ん?
  ええとね、なんて言ったらいいんだろ…
  ハヤシライスに似てるかなぁ…
  トマトベースだよ。
  あ、食べる?わかったw
  用意しておくねー♡
  はーい、待ってまーす♡
 
 
3人で作った夕食。
ちょっと作りすぎて余ってたから良かった。
 
 
♡)すぐ着きますか?
♧)10分くらいって言ってた。
◇)じゃあ温めちゃおっか♪
 
 
あたしは鍋にもう一度火をかけた。
 
隆二さんが食べても余りそうだな…
 
 
♧)隆二くん…足りるかな…。
◇)ええ!?
 
 
同じく鍋を覗いた♧さんがぼそっと呟いた。
 
 
♡)そっか!隆二くんは悟空だったー!
◇)あ、そっか、めっちゃ食べるんだ!
  これだけあっても足りない!?
  うそーーん!
♡)もし足りないって言われたら…
  うちの保存食たちを出そう…。
♧)保存食?
♡)常備菜いろいろあるんです♡
◇)おおお、さすが♡ちゃん!
♧)うん…きっと食べたいと思う…
  ありがとう♡ちゃん。
 
 
そうこうしてるうちに
隆二さんがやってきた。
 
 
隆)お邪魔しまーーーす。
♡)お帰りなさーい!w
隆)あはははっw
  ♡ちゃんに出迎えられちゃった。
  臣の気分w
♡)臣くんはね、真っ直ぐ手洗いうがいに
  直行します。
隆)あ、じゃあ。
  俺も洗面所借りるねー。
♡)でね、私が早くぎゅーしてほしくて
  いつもこのへんをうろちょろするの。
隆)ぶっw
♡)そしたら臣くんが
  わかったから待ちなさいw
  って笑ってるーー。
隆)ラブラブで何よりですw
♡)隆二くんたちはー?♡
隆)へ!?
♡)いつもどんな感じー?
隆)え…っ、俺…たちは…、、
  ♧がおかえりなさーいって来てくれて…
♡)来てくれて?
隆)そのまま…、うん///
♡)ただいまのチュー!?
隆)違うよ!///
  ただいまのぎゅー!
♡)ぎゅー!
隆)玄関でね、うん///
  ってなんでこんなこと言わせんの!///
♡)あはははっw
 
 
♡ちゃんにからかわれて
照れ臭そうな隆二さんが
リビングにやってきた。
 
 
◇)どうぞ…お気の済むまで
  ただいまのぎゅー、してくだされ♡
隆)しないよ人ん家で!///
♧)お帰りなさい、隆二くんw
  お仕事お疲れさま♡
隆)あ、うん…ただいま///
◇)今しないって言ったくせに
  ♧さんが可愛くて
  やっぱりしたいなーって思ったでしょ!
隆)えっ!
♡)思ったでしょー!♡
隆)……もううるさいなー!///
  じゃあする!ただいまっ!///
♧)きゃぁっ///
 
 
隆二さんが♧さんをぎゅむっと抱きしめて…
 
 
◇)むふふふ♡
♡)むふふふ♡
 
 
あたしと♡ちゃんは顔を見合わせてニヤけた。
 
 
隆)もう、なんなの!///
◇)あはははっw
♡)あ、隆二くん。
  ご飯これなんだけどね、
隆)わ、いい匂いする。
  ビーフストロンガス?だっけ?
  初めて聞いたー。
♧)ビーフストロガノフね!w
隆)ストロ…ノフ…?
♧)ロシアの牛肉料理なんだよ。
隆)ああ、だから!
  なんとかノフってロシアっぽいもんね!
◇)なんとかノフ…ww
隆)こら、何笑ってんだ◇ちゃん。
◇)いえw
 
 
隆二さんってほんと天然で可愛いなぁw
 
 
♡)他にもおかずあるんだけど食べるー?
隆)え、食べる!
 
 
即答だーー!w
 
 
♡)これとか、これとか、
 
 
♡ちゃんが常備菜のタッパを持ってくると…
 
 
隆)え、全部食べたい。いいの?
 
 
全部かーい!!w
 
あたしと♧さんは思わず笑っちゃったw
 
 
隆)え、ダメなの?何?///
♡)ううん、いいんだよーw
  食べて食べてw
隆)俺が食いしん坊だから笑ってんの…?///
◇)あはははっw
 
 
ほんと可愛い、隆二さんw
 
 
◇)いつもこんな風に
  ♧さんの手料理をバックバク
  食べてるわけですね♡
隆)なんだよーー
  岩ちゃんだってそうじゃん。
◇)え?
隆)いっつも嬉しそうに
  ◇ちゃんのお弁当食べてるよ?
  ニヤニヤしながら。
◇)そう…ですか///
 
 
じゃあ明日も作ってあげようかな…///
 
 
♡)隆二くん、今日はなんの仕事だったのー?
隆)あ、俺はね、今日は仕事っていうか
  LIVE観に行ってた。
  JOSE JAMESの。
♡)あっ、それ臣くんも
  行きたがってたやつだーー!
隆)そうそう。
  でもあいつLA行っちゃったからさー。
♧)細いジェイムス…??
隆)ホセ・ジェイムズ!w
◇)あはははっw
 
 
ダメだこの二人、本当に面白すぎるw
 
 
♡)LIVEどうだったのー?
隆)めっちゃ良かったよー。
  歌声とスキルがすごすぎた。
♡)おおお…っ
隆)サマンサ女子は?
  今日は何してたの?
♧)バレンタイン交換会だよー♡
隆)うんうん、それで?
  なんの話してたのー?
♧)ええと…、
◇)……。
 
 
絶倫サマンサの話をしてたとは言えぬ…w
 
 
あ、そーだ。
隆二さんの反応、見てみたいかも。
 
 
◇)もしも妊娠したらって話、してました。
隆)ええ!?なんで?!
  なんでいきなりそんな話になんの!?
◇)二回中絶したっていう女の子の話から。
隆)は!?二回!?同じ相手と?!
◇)はい。
隆)何それ!最低じゃんその男!!
◇)…っ
隆)だって一回中絶させてるくせに
  反省もしないで
  また生でやったってことでしょ?
  何やってんのマジで。
  最低すぎるわほんと。
 
 
あたしと同じようなこと言うとる…。
 
 
隆)女の子も女の子じゃない?
  何も対処しないで
  彼氏に好きにさせてんの?
  命をなんだと思ってんだよ。
 
 
ですよねぇ…。
 
 
◇)で、そこから…
  もし自分が妊娠したらどうするか
  という話になったわけです。
隆)ああ、なるほど、そういうことか。
  びっくりしたー。
 
 
隆二さんはふぅっと一息ついて
水をごくごく飲み干した。
 
 
隆)サマンサ女子の答えは??
♡)中絶はしないよー。
  絶対産むー!
  って三人一致です♡
◇)そうそう。
  結婚できなくても
  一人で逞しく育ててみせるぜ!って。
隆)は?
  結婚できなくてもって何??
◇)いや、だって…
  皆さん、職業が職業ですし…
  簡単には結婚できないでしょ。
隆)だからって一人で育てるって何それ!
  そんなの選択肢にあっちゃダメでしょ!
◇)ダメなんですか??
隆)俺たちをなんだと思ってんの!!
◇)…っ
 
 
怒られちゃった…。
 
 
◇)じゃあ♧さんがもし妊娠したら
  どうするんですか…?
隆)え、そんなん…、、
  嬉しいじゃん…へへへ///
 
 
あれ、いきなりニャンちゅうになっちゃった。
 
 
隆)中絶なんか絶対させないし
  結婚するでしょ、当然。
◇)ダメって言われたら?結婚。
隆)そこをなんとかするのが男でしょ。
  俺たちそんな無責任じゃないよ。
◇)…っ
隆)岩ちゃんだって、臣だって。
  絶対同じこと言うと思う。
  好きな女、妊娠させといて…
  俺今結婚できないんで
  一人で産んで育ててください、なんて
  ありえねぇから、マジで。
◇)……。
隆)それに…、、
  生まれてくる子は俺と♧の子供なんだよ?
  そんなの…一緒に喜びたいし…
  一緒に見守りたいじゃん、いろんな瞬間。
  ……へへ、想像したらヤバイ///
♧)ふふ…っ♡
 
 
男らしく怒ってみたり、
嬉しそうにニヤけちゃったり、
忙しい隆二さん。
 
♧さんは少し涙ぐみながら、
幸せそうに微笑んだ。
 
 
◇)隆二さん…良いパパになりそう…w
隆)なるよぉ!俺はなるよぉ〜!
♡)あははは♡
隆)岩ちゃんだってなるでしょ。
◇)えーーー。
 
 
なるかな…。
あまり想像できん。パパな剛典。
 
 
隆)でも岩ちゃんとこは
  岩ちゃんがダメダメでも
  ◇ちゃんがめちゃくちゃしっかりしてそう
  肝っ玉母さん的な感じでw
◇)あたしだって可愛いママに
  なりたいんですけど…w
♡)あはははっw
隆)岩ちゃんと子供がさ、
  一緒に悪さとかして…
  「コラー!ダメって言ったでしょー!」
  とか言ってそうだもんw
  今俺めっちゃ想像できたw
◇)……。
 
 
あたしもできちゃったよ…。
 
 
隆)臣はあれだね、
  結婚してもいつまでも♡ちゃんに
  べーったりだね、あいつ。
♡)えっ…
隆)♡ちゃんが一生懸命
  子供の面倒とか見てても
  それを拗ねながら陰で見てて…
  俺にも構ってよみたいなオーラ出すね。
♡)えーーー!w
隆)あいつは一生、♡ちゃんを
  一人占めしたいタイプでしょw
◇)確かに…w
♧)あははは♡
隆)すなわち俺が一番良いパパになる!
◇)断言した!w
♡)あははは、隆二くんずるい!w
 
 
なんて笑い合ってたら、
剛典から電話がかかってきて
撮影終わったから今から帰るよーって。
 
 
隆)岩ちゃん毎日ハイロー大変そうだね。
◇)ほんとに!
  ハイローは剛典をこき使い過ぎ!
隆)あはははw
♡)主役だもんね、仕方ないよね…。
◇)全員主役なはずなのに…。
隆)で、オイシイところは
  雨宮兄弟がもってく…w
◇)そうだ!ずるいぞ臣さん!
♡)ええっ!w
♧)あはははw
 
 
それからご飯をペロリと完食した隆二さんは
♧さんと一緒に先に帰って…
 
あたし達は…、と言うと…、、
 
 
♡)ふふ、ここならバレない♡
◇)ぷふっw
 
 
帰ってくる岩ちゃんを驚かそう!
っていう♡ちゃんの悪巧みで
二人で駐車場に潜んでますw
 
 
♡)探偵になった気分♡
◇)あはははw
  パパラッチっていつもこんなこと
  してんのかな。
♡)はっ!確かに!
  こうして帰ってくるのを
  ずっと待ってるんだもんね。
◇)ストーカーみたいなもんだよね…w
♡)ほんとだよ!ぷんぷん!
◇)あ、車来た。
  あ、でも違う人だ。
♡)ドキドキー!w
◇)……あ、また来た!
  あ、今度こそ剛典かも!
♡)あ、ほんとだ!あれは岩ちゃんだ!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
橘)登坂さんもうLAに着きましたかね。
岩)知らないよ。
橘)はぁ…。
  登坂さんが日本にいないだけで
  なんだか寂しいです。
岩)……。
 
 
だから知らねぇっつーの。
いい加減にしてくれ。
 
 
橘)着きました。
岩)お疲れ!
 
 
俺はとっとと橘と別れたくて
勢いよくドアを開けた。
 
 
岩)はぁ。
 
 
マジで疲れた。
橘といるだけで疲れが倍増する。
 
 
◇♡)わっっ!!!
岩)うわぁぁぁぁ!!!!
 
 
柱の陰からいきなり人が飛び出してきて
俺は後ろに後ずさって転びかけた。
 
 
岩)あっぶね…、っ
  何やってんの!?
 
 
◇と♡ちゃんじゃん!
 
 
♡)へっへへーw
  岩ちゃんを驚かせようと
  隠れてたんだよーーw
◇)いっしっしw
 
 
この無邪気な二人は小学生かな…?w
 
まぁどうせ♡ちゃんが言い出して
◇が付き合ったんだろうけど…w
 
 
◇)お仕事お疲れさま。
岩)うん。ただいま。
 
 
ああ、◇の顔を見ただけで
なんかほっとするや…。
 
 
♡)へへ、ただいまのぎゅー…
  してもいいんだよ…///
岩)はい!?w
◇)あたし達は別にしないし!w
♡)え〜〜〜〜
 
 
♡ちゃんが不満そうに口を尖らせた。
 
 
岩)じゃあリクエストにお応えして
  やっとくか♡
◇)わぁっ!///
 
 
◇をぎゅーっと抱きしめたら、
後ろでバタンと車のドアが閉まる音がした。
 
 
橘)こんばんは。
岩)…っ
 
 
なんでこいつ降りてきたの!?
つーかまだいたのかよ!
 
 
◇)こんばんは…橘さん…。
♡)…っ
 
 
橘はニッコリ笑いながら
ジリジリと近付いてきた。
 
 
橘)お話があるんです、♡さん。
♡)話…?
橘)あ、用があるのは♡さんだけですので
  岩田さんと◇さんは
  どうぞお帰りください。
  お疲れさまでした。
岩)は…?
 
 
お前みたいな危険人物残して
帰れるわけねぇだろ!
 
 
♡)話って…なぁに?
 
 
♡ちゃんが一歩前に出ると
橘はニヤッと笑って携帯を取り出した。
 
 
橘)♡さんに見せたいものがあって♡
♡)…っ
 
 
橘から携帯を受け取った♡ちゃんは
その画面を見て固まった。
 
 
橘)単刀直入に言いますね。
  登坂さんと別れてくれませんか?
 
 
はぁぁ!!??怒
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
橘が♡ちゃんに何を見せたのかわかんないけど
なんでこいつこんなに自信満々なの?
 
意味わかんないんだけど!!
 
 
剛典はあたしの腰をぎゅっと抱いたままで…
 
あたし達は♡ちゃんの後ろで
二人のやりとりを息を飲んで見ていた。
 
 
橘)それを見ればわかりますよね?w
  登坂さんが本当に好きなのは
  私なんです。
 
 
はぁぁ!!??怒
 
 
橘)登坂さん、言ってました。
  本当はあなたと別れたいのに
  別れられなくて迷惑してるって。
 
 
んなわけないだろ!何言うとんねん!!
 
 
橘)あなたの愛情が重たくてしんどいって。
 
 
ふざけんなコラ!!
 
って、腹が立ちすぎて拳を握ると、
横で剛典もブチギレてるのがわかった。
 
♡ちゃんの表情は見えない。
 
 
橘)♡さんよりも私といた方が
  心が休まる、って。
  素の自分でいられるって…
  泣きながら言ってました。
♡)……。
橘)登坂さんのこと、本当に好きなら…
  登坂さんのために
  もう別れてあげてください。
  彼を解放してあげて。
♡)……。
橘)これ以上、自分勝手に
  彼を縛り付けるのは
  もうやめてあげて?
 
 
マジ何言ってんだこいつ。
ここまで頭おかしいとか…ほんと鳥肌。
 
 
♡)言いたいことはそれだけ?
橘)…っ
♡)私は臣くんと別れないよ。
  もういい?
橘)…っ
♡)お仕事お疲れさまでした。
橘)待ちなさいよっ!!
 
 
背を向けようとした♡ちゃんを
必死な形相の橘が呼び止めた。
 
 
橘)別れないって…
  あなた頭おかしいんじゃないの?!
 
 
それはお前だろ!ふざけんな!
 
 
橘)登坂さんが愛してるのは私だって
  言ってるじゃない!
  それでも別れないって
  どれだけ自分勝手な人なの!?
 
 
もう…
橘が頭おかしすぎて怖くなってきた。
 
 
……ぎゅ。
 
 
剛典にしがみつくと、
剛典は力強くあたしの手を握ってくれた。
 
 
橘)この写真がその証拠です。
  私は登坂さんに愛されたの。
  ♡さん、登坂さんと喧嘩したでしょう?
  その日、一人じゃ寂しいから
  来て欲しいって言われて…
  私はすぐに駆けつけた。
  このマンションのゲストルームにね。
♡)……。
橘)登坂さんは私を朝まで離してくれなくて…
  夢中で私を抱いたわ。
♡)……。
橘)信じてないの…?
  じゃあどんな風に私を抱いてくれたか、
  細かく話した方がいいですか?w
 
 
自信満々に笑う橘は
陰険な女の顔をしてて、ゾッとする。
 
 
橘)何か言ったらどうなのよ!
 
 
橘が黄色い声をあげると、
♡ちゃんが静かに口を開いた。
 
 
♡)そんな作り話に一体何を言えばいいの?
橘)…っ
♡)よくそんなに次から次へと
  嘘が出てくるな、って。
橘)作り話じゃない!嘘なんかじゃない!
  この写真が証拠よ!
♡)それは橘さんが勝手に撮った写真でしょ?
橘)そうよ。
  登坂さんは私を散々抱いた後
  疲れて眠ってしまったから。
♡)臣くんはそんなことしないよ。
橘)酔ってたのよ!
  部屋中お酒だらけで、ボロボロだった!
  だから私が慰めたの!
  あなたは裏切られたのよ!認めなさいよ!
♡)臣くんは私を裏切ったりしない。
  絶対にしない。
  誰がなんと言おうと私は信じてるから。
橘)は?バカじゃないの!?w
  自分は幼馴染と浮気してるくせに!
  登坂さんを裏切ってるくせに!
♡)…っ
橘)私、全部知ってるんだから!
 
 
いきなりそんなことを言い出す橘に
びっくりした。
 
もしかして…
「ハルくん」のこと…言ってるの?
 
 
♡)私は浮気なんてしてないし
  臣くんを裏切ったことなんて一度もない。
橘)そんなの信じられない!!
♡)橘さんに信じてもらわなくてもいいよ。
  私が臣くんを信じてて
  臣くんが私を信じてる。
  それだけで十分でしょ?
橘)…っ
♡)橘さんは一体何がしたいの?
  臣くんをどうしたいの?
  臣くんとどうなりたいの?
橘)何を偉そうに…っ
  登坂さんは私と付き合いたいの!
  私たちは愛し合ってるのよ!
  あなたが邪魔なの!
♡)橘さんは臣くんが好きなの?
橘)好き!!
♡)本当に好きなら、
  どうしてこんなことするの?
橘)…っ
♡)さっき私に言ったでしょう?
  臣くんのこと、本当に好きなら…って。
  私は同じことを橘さんに言いたい。
  本当に臣くんのことを好きなら
  臣くんが困るようなことをしないで。
  迷惑かけないで。傷つけないで!!
橘)…っ
 
 
♡ちゃんの迫力に、
橘は言い返せなくなって、黙り込んだ。
 
いいぞ♡ちゃん!負けるな!!
いけいけーー!!
 
 
♡)橘さんのそれは、愛情なんかじゃない。
  ただの自分勝手で利己的な私情でしょ。
  臣くんにこれ以上何かしたら
  私、許さない。
橘)…っ
♡)臣くんを傷つけることは
  絶対に許さないから!!
橘)…っ
 
 
よく言った♡ちゃん!!
カッコイイ!!!!
 
 
橘)いい加減にしなさいよ…っ
 
 
え…?
 
 
橘)ちょっと可愛いからって…
  勘違いしてんじゃないわよ…っ
 
 
なんか…
橘の様子がおかしいんだけど…
 
 
橘)登坂さんの前から消えろって
  言ってんのよ!!
 
◇)きゃぁ!!♡ちゃん!!
 
 
橘が♡ちゃんに襲いかかろうとして
あたしは慌ててそれを止めに入った。
 
けど、剛典の方が早かった。
 
 
岩)ふざけんなよお前…。
◇)…っ
 
 
剛典の低い声が響いた。
 
 
剛典は♡ちゃんの髪を掴もうとした
橘の手を、ひねり上げてる。
 
 
岩)いい加減にすんのはお前だろ…。
  臣さんがここにいたら
  お前ぶっ殺されてるよ…?
橘)…っ、あっ…!
 
 
剛典が橘から携帯を取り上げた。
 
 
岩)ふーん。
  酔って潰れてる臣さんの横で
  勝手に裸になって
  ツーショット撮ったんだ?
橘)…っ
岩)それが切り札になるとでも思った?
  どんだけ単細胞なの、お前。
橘)…っ
岩)ペラペラとありもしないこと…。
橘)私は登坂さんに抱かれたんです!
岩)まだ言ってんの?
  お前マジで頭おかしいよ…?
 
 
剛典はそのまま橘をドンと突き飛ばした。
 
 
岩)♡ちゃんに二度と近寄るな。
  今日のこと、全部臣さんに言うから。
橘)待って…!
  ……ひどいっ…
  岩田さんと◇さんは…私の味方でしょう?
◇)はぁぁ!??
 
 
ついにあたしも声を出しちゃった。
 
 
橘)二人とも…私の気持ち知ってるくせに…っ
◇)だから何なの?
  何言ってんのさっきから。
  ほんとに橘さん、頭おかしいよ?
橘)…っ
◇)橘さんが臣さんを好きなこと
  知ってるからって
  どうしてあたし達が自分の味方だとか
  思うわけ?
橘)…っ
◇)こんな自分勝手に
  二人の仲を邪魔しようとしてる
  橘さんのことなんて、
  応援するわけないでしょ!?
橘)…っ
◇)♡ちゃんに何しようとしたわけ?
  自分の思い通りにならないからって
  暴力振るおうとするなんて最低!
  ♡ちゃんに何かしたら…
  あたしがあんたぶっ飛ばすよ!!!
 
 
あたしがそこまで言い終えると、
剛典が橘に携帯を投げつけた。
 
 
岩)とっとと帰れ。
橘)…っ、登坂さんには…
  言わないで…ください…っ
 
 
はぁ!?
この期に及んで何言ってんのこいつ!
 
 
岩)聞こえなかった?
  帰れって言ってんの。
橘)…っ
 
 
最後の剛典はあたしでもゾッとするくらい
めちゃくちゃ怖かった。
 
これ以上何か言ったら、殺されそうな。
 
 
……バタン!
 
 
橘が半泣きで帰って行って、
あたし達はようやく息をついた。
 
 
岩)大丈夫だった?♡ちゃん。
♡)うん。ありがとう…岩ちゃん。
◇)剛典早かった!ありがとう!
岩)つーかお前はなに間に入ろうと
  してんだよ!危ないだろ!
◇)だって…♡ちゃんのピンチだもん。
岩)だからって危ないマネすんな!
◇)身体が勝手に動いてて…
岩)はぁ…、もう〜〜。
 
 
剛典は困った顔であたしの頭を
わしゃわしゃ撫でた。
 
 
◇)だって♡ちゃんに何かあったら
  臣さん発狂するよ!
岩)俺がいるだろが!
  俺の目の前でそんなこと
  させるわけねぇだろ。
 
 
あら…剛典ってばカッコイイ…。
 
 
岩)それに…お前になんかあったら
  俺が発狂するわ。
  マジで橘ぶっ殺すぞ。
◇)…っ
 
 
剛典ってば…コブラモードだ。
 
 
♡)二人ともありがとう、ごめんね!
  橘さんが掴みかかってきそうになった時、
  どこを掴んで投げ飛ばそうか
  見極めてたの。
◇岩)へ!?
♡)護身術でもやってるから!
  何かされる前に、動きを封じようと…
◇)ぶっ…w
岩)♡ちゃん…逞しすぎるでしょ…w
♡)だって!自分の身は自分で守らないと!
  臣くんが心配しちゃうもん!
◇)あはははっw
岩)もう、なんなんだよぉ〜〜w
 
 
そうだ、♡ちゃんは逞しいんだった。
守られるばっかりの女の子じゃない。
 
 
◇)もう、♡ちゃん大好き…w
♡)えへへ、ぎゅーー♡
岩)じゃあ俺もぎゅーーw
 
 
抱き合ってるあたし達を
まとめて剛典がぎゅーしてきたw
 
 
◇)♡ちゃん、今日臣さんいないんでしょ?
  一人で怖くない?
  うち泊まりに来る?
♡)大丈夫だよっ!
◇)寝る前でも怖くなったら電話してね!
♡)えへへ、ありがとう。
  ◇ちゃん優しい♡
岩)臣さんと上には俺から話しとくから。
♡)あ、臣くんは…っ
岩)ん?
♡)向こうで心配させたくないから
  帰ってきてからでもいーい?
岩)……うん。
 
 
こんな時でも
臣さんのことを一番に考える♡ちゃんに
剛典は少し呆れたように笑って頷いた。
 
 
 
 
岩)……はぁ、疲れた…。
◇)うん…。
 
 
家に帰ってきて、
二人でドサッとソファーにダイブした。
 
 
岩)マジであいつエイリアンだわーーー
◇)うん。日本語通じなすぎなとこね。
岩)それ!
  ……いや、エイリアンにも失礼だな。
◇)あっ!
岩)ん?
◇)手洗いうがーーいっ!!
 
 
そう言って、ふと思い出した。
隆二さんが言ってた「肝っ玉母ちゃん」。
 
 
◇)えと…、手洗いうがいしようね♡
岩)え、なんで言い直したのw
◇)可愛く言ってみようかと…
岩)ぶっ、意味わかんねぇw
 
 
笑いながら洗面所に向かう剛典を追いかけて
あたしも手洗いうがい。
 
 
岩)はぁ…、癒して…。
◇)わっ///
 
 
タオルで手を拭き終えると、
剛典がドサッと抱きついてきた。
 
 
岩)あいつにエナジー吸い取られた…。
◇)おそるべしエイリアン…。
岩)だからエイリアンに失礼だって。
◇)あはははw
 
 
剛典を半分背負いながら
二人でよいしょよいしょって
ソファーまで戻ってきた。
 
 
岩)♡ちゃん…俺たちいなかったら
  本当に橘のこと投げ飛ばしてたのかな…
  かっけぇな…。
◇)ね、さすがだよ。
岩)しかもさ…、
  橘にあんなこと言われて
  嫌な思いさせられてんの自分なのに…
  自分のことはそっちのけで
  臣さんのことばっかり考えてんだもん…。
◇)ね。いつでも臣さん第一なんだよ…。
  ♡ちゃんてそういう子だよね…。
岩)愛だねぇ…。
◇)だねぇ…。
 
 
ってあたしらは
どこのじいちゃんばあちゃんだw
 
 
岩)じゃあ俺ちょっと報告するわ。
◇)あ、そっか、そうだね。
 
 
剛典が電話をかけてる横で、
あたしも携帯をバッグから出したら…
 
 
『臣さんとワンチャン決めてきます!!✨』
 
 
◇)はぁ!?
 
 
Rちゃんから来てたLINEを思わず二度見。
 
 
◇)……はぁ…、もぉぉ……。
 
 
どうしてあの二人の周りはこう
せわしないの??
 
 
やっと仲直りしたばっかりなんだから…
そっとしておいてあげてよぉぉ!!
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. さっちゃん より:

    橘の襲撃、、、♡ちゃんかっこいい♡
    一難去ってまた一難、、、。
    Rちゃーーん。゚(゚´ω`゚)゚。
    でも、今の臣君と♡ちゃんは最強だから誰にもワンチャンはないはず(*´꒳`*)

  2. ひさぼー より:

    橘爆弾炸裂!!
    あんだけ、臣くんに拒否られてるのに気付かないし。しかも、あんな写真まで撮ってるとか怖すぎです。
    ♡ちゃんが無事で良かった~。

    • マイコ より:

      ♡ちゃんに何かあったら本当に臣くん発狂してましたね。゚(゚^∀^゚)゚。

  3. ひな より:

    Rちゃぁぁんm(__)m純粋な恋心っていうのはわかるんですけどやめてぇぇ!!っていうか臣くんが悪いですよ!!早く気づいてお願いだから!
    ハラハラドキドキ(*´-`)
    更新ありがとうございます♡

    • マイコ より:

      Rに関しては臣くん鈍男ですからねぇ。゚(゚^∀^゚)゚。

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