〈22〉成敗された困った人(Jさん&MちゃんSide)

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♡)工さん、どうしてさっきから
  身体がこっち向いてるんですか?
工)んー…、俺酔っちゃったみたい…。
♡)えっ…
M)……。
 
 
登坂さんが来るとわかってから、
工さんのお色気攻撃が
パワーアップしてる気がする。
 
 
あんなとろーんととろけそうな
甘い瞳で優しく見つめられたら
普通の女の子なら
コロッといっちゃうんだろうな。
 
 
工)肩貸してくれるー?
♡)ダメです!!
工)えーーっ、なんで?
♡)臣くんがお酒に酔って
  女の子の肩を借りてたら
  絶対に嫌だからです!
工)♡ちゃんの基準は全部臣くんなの?w
♡)基準ってゆーか…
  自分がされて嫌なことは
  絶対にしたくないです、相手に。
工)ふーん…。
♡)あ、ダメって言ってるのに!!
工)なんか♡ちゃんに怒られるの
  慣れてきちゃった…w
♡)重たいーー!もう!やめてください!
工)あはははw
M)……。
 
 
これは…
登坂さんが到着したら
工さん、殺されてしまう。
 
…って、それをわかってて
登坂さんが来るまでは
存分に甘えようって魂胆かな?
工さんってばー。
 
 
♡)でも私、謎が解けました!
J)ん?なんの?w
♡)工さんとお仕事した時、
  何度かJさんみたいだなーって
  思ったんです!
工)ええっ!そうだったの!?
♡)はいっ!
  Mちゃんにも言ったもんね?
  Mちゃんは同意してくれなかったけど…
M)ふふふーー
 
 
だって似てないもーん。
Jさんの方がカッコいいもーん♡
 
 
J)えー、似てる?w
♡)似てますっ!
  きっとお友達同士だから
  そんな風に感じたのかなーって、
  今わかりました♡
工)友達だからって別に似ないでしょw
  どこでそう思ったのw
♡)なんか大人っぽい雰囲気が…
  お父さんみたいだなーって♡
J)ぶっ、出た!お父さん!w
♡)え?
工)こらーー。
  お父さんはやめてって言ったじゃんw
♡)あっ…
工)「お兄さん」でしょ?
♡)はい、そうでしたw
工)ったくーー。
 
 
あ、工さんがまた嬉しそうに
先輩の頭をなでなでしてる。
 
 
♡)触らないでくださいー!
工)あ、ごめん、ついついw
 
 
工さん…クールな人かと思ったら
割とデレデレタイプなのかな…
 
それともそれだけ先輩がすごいのかな。
 
 
工)あ、今度は俺の携帯が鳴ってる。
  ……え!伊藤さんだ!!
J)え!!
工)噂をすれば…w
  出ていい?
J)うん。
工)はい、もしもし、はい、お疲れさまです。
  え、今からですか?
  ええと…今Jの家で飲んでて。
  はい、そうなんですよ。
  ……へぇ、なるほど。
  奥さん大丈夫なんですか?
  あ、里帰り?そうなんですね。
 
 
ははーん…
奥さんが里帰り中に羽伸ばして
飲み歩いてるんだなぁ?
 
 
工)え?女の子?いますけど…
  Jの彼女が。はい。
 
 
女がいるかどうか
わざわざリサーチしてくるあたり、やはり!
 
 
工)他に可愛い子?いないですよそんなんw
 
 
あー!
工さん、先輩の存在を隠したーー!w
 
 
工)え、来るんですか!?
  いないですって女の子!
  え、それでもいい?いやいや、えっと…
  いえ!迷惑とかそんなことは…、
 
 
工さんが聞こえないようにジェスチャーで
Jさんに助けを求めてる。
 
Jさんが困り笑いで頷くと、
安心したように笑った。
 
 
工)はい、Jも大歓迎だって言ってますw
  わかりました、じゃあ待ってますね。
  はい。それでは。
 
 
電話を切った後、
工さんは申し訳なさそうに手を合わせた。
 
 
工)ごめんね、急に!
M)いえ…。
 
 
私はいいけど…先輩大丈夫かな?
前に口説かれた件、
ほんとに向こうは忘れてるのかな。
 
ま、登坂さんも来るし大丈夫か。
 
 
工)てゆーかあの人すげぇ飲むし
  すげぇ食うんだよな、どうしよう。
J)ああ、料理足りないね、絶対w
M)あ、じゃあ!
  私追加で何品か作りますよー。
♡)じゃあ私も手伝うよー♡
M)ありがとうございます♡
J)いやいや、姫はお客さんだから、悪いよ。
  俺が手伝うよ。
♡)えっ
J)ん?
♡)そんなこと言って…
  キッチンでMちゃんと
  ラブラブする気ですね…?
J)あははは!w
♡)お手伝いは私がしますっ!
J)じゃあお願いw
 
 
きっと工さんから逃げたかった先輩が
一緒にキッチンに来てくれた。
 
 
♡)ごめんね、お手伝い私で。
M)なんでですか!w
  助かります、ありがとうございます♡
♡)ほんとはJさんと
  ラブラブしたかったんだよね…
M)そんなこと言ってません!///
♡)あはははw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
どっちが先に着くかなーー
なんて思ってたら…
 
 
伊)よ!どもどもー!w
 
 
先に来たのは伊藤さんだったw
 
 
伊)すぐタクシー乗ったから
  手ぶらで来ちゃったよー!w
J)全然いいですよw
伊)ひっさしぶりー!
  相変わらず色男だねぇ!
J)いやいや、w
 
 
結構酔ってるな〜相変わらずw
 
 
伊)どもどもお邪魔しまーす!w
 
 
勢いよくリビングのドアを開けた伊藤さんは
工を見た後、キョロキョロと
あたりを見回した。
 
 
伊)おい、なんでお前しかいねぇんだよ。
  可愛い女の子はどうした!
工)いないって言ったでしょ!w
伊)Jの彼女は?いるんだろ?
工)あ、そこはちゃんと覚えてるんですねw
伊)紹介しろよぉ〜〜〜
J)はいはいw
 
 
騒がしくなった気配に気付いて
Mちゃんと姫がこっちに来てくれた。
 
 
J)彼女です。Mちゃん。
M)初めまして、Mです。
伊)君がJの彼女ぉーー?
  かっわい〜〜〜〜♡
  Jのどこがいいの?ねぇねぇw
M)ええと…///
J)あまり苛めないであげてくださいねーw
 
 
俺が間に入ると、
伊藤さんはそのまま椅子に座りかけて…
 
俺の後ろを見て、
またすぐに勢いよく立ち上がった。
 
 
伊)いるじゃん!可愛い子!!
工)あ、ええと…w
J)こちらは…
  彼女の職場の先輩で、♡ちゃんです。
伊)♡ちゃん?!名前まで可愛いっ!
  こっちおいでよ!
♡)…っ
工)まぁまぁまぁ、座りましょうよw
 
 
なんてやってる間にまた
インターホンが鳴って。
 
王子様、ご到着かなーーw
 
早く姫を助けてあげてw
 
 
J)俺出てくるね。
M)あ、はいっ!
伊)ねぇ、ほんっと可愛い///
  顔よく見せて。
工)はいはい、座るーーw
伊)ちょ、離せよーー!
  ♡ちゃんの顔見たいんだよー!
 
 
うるさいリビングを離れて
登坂くんを玄関まで迎えに行くと…
 
 
臣)…っ、こんばんは。
  急にすみません、お邪魔します…。
J)どうぞどうぞーw
 
 
彼は珍しく丁寧に挨拶をして
腰を低くして入ってきたw
 
 
臣)…めちゃくちゃいいとこ住んでますね…。
J)そーお?
  登坂くんとこと変わんないじゃん。
臣)……なんか、やってます?
  株とか…、
J)ん?w
 
 
まぁ会社の給料だけじゃ住まないよねー、
ここには。
 
 
J)資産運用なら色々してるけど。
臣)資産…運用…。
J)てゆーかごめんね、向こう騒がしくて。
  実は登坂くんの前に
  もう一人お客さんが来て。
臣)え。
 
 
リビングのドアを開けると…
 
 
伊)ねぇ!君どっかで見たことある!
  絶対ある!
  こんな可愛い子、俺忘れないもんっ!!
 
 
はい、まだやってましたw
 
 
臣)えっ…伊藤さん!?
J)うん、今来たとこw
臣)なんで…っ
 
 
と言いながら、その身体はもう
条件反射なのかなw
 
買ってきてくれたっぽいお土産を
何も言わずに俺に押し付けて、
すぐに姫を助けに行ったよw
 
 
伊藤さんに顔を覗き込まれてる姫の前に
スッと割って入って。
 
 
臣)伊藤さん、ご無沙汰です。
 
 
彼はそのまま姫を庇うように
後ろに隠した。
 
 
伊)え!登坂くんじゃん!どうしたの!
  なんでここにいんの!?
臣)呼んでいただいたので。
伊)うっそ、どういうこと!?
工)♡ちゃんの彼氏ですよ、臣くん。
伊)彼氏…?この子の…?
工)はい。
伊)ええええ!うっそぉぉ〜〜〜!!
  なんだよそれぇ〜〜〜
  ああもうがっかり!
工)妻子持ちが何言ってんすかw
  ほら、座ってくださいよ。
伊)え〜〜〜もぉ一気にやる気なくしたぁ〜
工)なんのやる気ですかw
M)伊藤さん、何飲まれますか?
伊)なんでもいいからお酒ぇ〜〜〜
M)わかりましたw
  登坂さんは?
臣)あ、ええと俺は…、
M)選びますか?こっちどうぞー。
臣)ああ、ありがとう。
 
 
Mちゃんに促されて
キッチンに行きかけた登坂くんは
すかさず姫の腰を抱いて
そのまま一緒に連れて行った。
 
ぶくくくw
 
 
伊)ねぇ、超絶可愛くない?あの子!
工)可愛いですよねぇ…
伊)お前も惚れたっしょ?
工)いやいや、彼氏いますからねぇw
 
 
さっきまで♡ちゃんに甘えてた工が
すっかり介抱側にまわってるw
 
 
伊)彼氏いてもいいよ。
  あんだけ可愛かったら。
  どうにかしたい。
工)いやいやいや、
  臣くんに怒られちゃいますよw
伊)頼んでもダメかな?
工)何をですかw
伊)一回だけ、って。
工)こらこらこらw
 
 
そんな二人はほっといて、
俺もキッチンへ向かった。
 
 
J)これ、登坂くんに渡された
  お土産らしきものw
臣)あっ!すいません!!
  それ、そうです、お土産ですw
J)あはははw
M)えーーー
  わざわざ買ってきてくれたんですか?
  ありがとうございます♡
♡)今ね、追加のお料理作ってたんだよー♡
臣)そうなんだ。
  急に来てごめんね。
M)いえいえ♡
  って私の家でもないんですけど…///
臣)一緒に住んでんでしょ?
J)Mちゃんの家でもあるよw
M)////
臣)あ、照れてる、かわいーーw
M)もう、あっち行っててください!///
J)あはははw
 
 
なるほど、Mちゃんはきっといつも
こんな感じでからかわれてるんだなw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
J)じゃあ登坂くんが買ってきてくれたやつ
  お皿に並べて持ってっちゃうねー。
M)あ、ありがとうございます!♡
 
 
Jさんがお料理を運んでくれて…
登坂さんはなぜか
追加のおつまみを作ってる私と先輩の後ろで
うろうろしてる。
 
 
M)どうしたんですか?
  あっち行ってていいですよ?
臣)あ、いや…、ええと…
  いまだに状況が掴めてないんだけど…w
M)ああ、そうですよね!w
  Jさんと工さんが
  昔からの友達だったみたいで…
臣)それ、マジなの?びっくりなんだけど…
M)私だってびっくりしましたよ!
♡)私だって!
臣)♡はまだしも…
  Mちゃんもサプライズされたの?w
M)そうですよ!もう!Jさんってば〜〜
  ほんと意地悪。
臣)でもそんなこと言って
  大好きなんでしょ?w
M)登坂さん!///
臣)あはははw
 
 
登坂さんは笑いながら
お肉を一つ、つまみ食いした。
 
 
臣)でもほんとビビったなーー。
  で、伊藤さんは?
M)工さんとすっごく仲良しみたいです。
臣)そうなんだ…。
  お前、大丈夫だった?
♡)うん。
臣)そっか。良かった。
M)……。
 
 
登坂さーん
伊藤さんより工さんの方が危なかったですよー
 
なんて心の中で密告してみたり。
 
 
♡)こっちの運んでくるねー
M)はーい!
 
 
先輩がいなくなった隙に、
登坂さんがずずいと近付いてきた。
 
 
臣)ねぇ、ほんとに大丈夫だった?
  ♡なんもされてない?
M)ええと…w
 
 
やっぱり心配ですよねw
 
 
M)されてましたけど、
  ビシッと断ってましたよ。
臣)ええっ!何されてたの!!
M)心配するようなことは何もないです。
  先輩、しっかりしてますから。
臣)…っ、
 
♡)何してるのー?
  これも運んでいーい?
 
臣)うおっ!びっくりした!!
  あ、おい、お前…っ
♡)ん?
臣)今日は俺のそばにいろよ?
  伊藤さんには近付かないこと。
♡)うん!
臣)あと…工さんに何されたの?
♡)えっ
臣)なんかされたの?
♡)あのね、工さん酔ってるんだよー!
  悪いお兄ちゃんみたいなの!
臣)へ?
♡)いたずらばっかりしてくるんだから!
臣)いた…ずら…?
♡)ほんとにもうっ!
臣)ちょ、待って…!
 
 
先輩は口を尖らせたまま
またお皿を持って行っちゃった。
 
 
臣)いたずらって何!?
M)さぁ?w
臣)はぁぁぁ…もぉ……
  急いで来てよかった…、マジで…。
M)あはははw
 
 
やっぱり先輩のために飛んできたんだw
 
 
臣)……あ、そうだ。
  新年会の動画、見たよ。
M)あ!
臣)いつも編集お疲れさまです。
M)いえいえ!ご視聴ありがとうございます♡
  どうでしたー?♡
臣)んー、可愛かった。
M)どっちの先輩がお好みですか?♡
臣)んー、セーラー服は
  なんかすげぇ可愛くて…
  あ、って言っても俺、別にそんな趣味
  全然ないよ!?
M)……。
臣)でも♡は単純に可愛かった。
  あ、あれだよ、彼氏の贔屓目w
M)……。
 
 
Jさんと同じこと言ってるw
 
 
臣)で、ピンク・レディーの方は…
  あれね、ダメだよ。エロすぎ///
M)えっ…
臣)あんなに脚出しちゃダメでしょ!!
  男いっぱいいるんでしょ?
  そんなとこであんな格好!
M)だって…ピンク・レディーは
  それがウリじゃないですか。
 
 
確かにあの衣装は
先輩とKさんの美脚が眩しすぎたけど…
 
 
臣)あんなん二度と着せないで!
  絶対ダメ!
M)……はーい…。
 
 
独り占めしたいんですね。
 
 
臣)今めんどくさい男、とか思ったでしょ…。
M)思ってないですよ!w
 
 
可愛いな、登坂さんw
 
 
M)登坂さんが先輩のことだーーいすきで
  先輩のことが可愛くて仕方なくって
  本当に本当に大事にしてるのは
  よくわかってますからーー♡
臣)……うん、大正解、ありがとう。
M)あはははw
 
 
それから私たちもテーブルに戻って
改めて乾杯して。
 
 
伊藤さんは先輩に触りたくて
先輩と話したくて、仕方なさそうだけど…
 
登坂さんと工さん、二人のナイトが
それを守ってる感じ。
 
 
臣)お二人仲良かったんですね、
  知らなかったです。
伊)仲良し仲良し、ちょー仲良し!w
  海猿仲間だもんな?
工)はいw
♡)え!海猿!!
工)うん、俺も出てたんだよ。
  知らなかったでしょw
♡)えええ!!
  海猿大好きなのに!!
  ……気付かなかった…。
伊)ん?今俺のこと大好きって言った?♡
工)海猿、です、海猿!w
伊)だから俺のことじゃーん♡
臣)当時どんな感じだったんですか?
  お話聞きたいです。
伊)えーーー、当時ーーー?
M)……。
 
 
登坂さんがなんだか必死だ、珍しい。
頑張れーーーw
 
 
伊)すげぇ仲良かったよ海猿チームは。
  なっ?
工)はいw
  もう伊藤さんがこんなんだから、
  最初緊張してたメンバーも
  すぐに打ち解けてw
臣)へぇ、そうなんですね!
伊)裸の付き合いだもんな!
工)サウナ行きましたもんねーーw
伊)こいつさ、すげぇんだよ!
  総合優勝したから!
臣)え?w
伊)工スティックはものすげぇんだよ!
工)ありがとうございますw
M)あはは…w
 
 
伊藤さんが下ネタぶち込んでくるから
Jさんが笑いながらも少し心配そうに
私の顔を窺ってきた。
 
大丈夫ですよー、慣れてますからw
 
でも先輩は大丈夫かな?
 
 
♡)スティック…?
伊)そう!もうさ、ほんとすげぇの!
  工のスティックがさ!
♡)工さん、ドラムやってるの??
臣)ぶっw
 
 
私の心配を上回る天然ぶりだったーー!!
さすが先輩〜〜〜!!
 
 
臣)そうそう、ドラムのねw
 
 
登坂さんは笑いながら話を合わせてあげて
先輩の頭を優しく撫でてる。
 
 
♡)そっかぁ、工さんはすごいスティックを
  使ってるんだぁ。
  どんなのかなぁ。
J)ぶふっw
 
 
さすがにJさんも吹き出しちゃった!!w
 
 
工)どんなのか試してみたい?w
臣)!!!
J)こらこらw
伊)♡ちゃん、なんなら俺のスティックも…
♡)ええっ!
  伊藤さんもドラムやってるんですか?!
工)プーーーッw
♡)え?
 
 
先輩の天然ぶりに、男性陣は大爆笑。
うん、これはこれでいいやw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
すごい。
Mちゃんと姫が作ってくれた
追加のおつまみたちも
すごい勢いでなくなっていってる。
 
伊藤さんめちゃくちゃ食べるもんなー。
工もそれに付き合ってたら6kg太ったって
前に言ってたっけw
 
 
伊)てゆーか♡ちゃんの可愛い顔が見えない!
  お前邪魔!
工)ひどっw
伊)登坂くんもさー、
  隠さなくたっていいじゃん。
  別に取って食いやしないよ。
  可愛いから見たいだけー。
臣)いやいや、別にこいつ見ても
  何も出ませんからw
伊)それでも見たいの!抱きたい!!
工)こらーー!w
  いきなり本音ぶちまけない!w
伊)登坂くん、お願い。
臣)はは、勘弁してくださいw
 
 
うーん、芸能界の縮図を見ているようだ。
 
 
登坂くんなんてまるで…
上の会食に無理やり連れて行かれた
うちの新人営業マンみたいになってるしw
 
 
そうだよねぇ…
伊藤さん、EXILEのATSUSHIとも仲良いし…
彼的には逆らえないよねぇ…。
 
 
臣)そういえば、テラフォーマーズの公開、
  楽しみですよね!
伊)え?
臣)もうすぐじゃないですか。
伊)ああ、そうだね。
 
 
必死に仕事の話にすり替えたーーw
 
 
臣)主題歌担当させていただいて
  ありがとうございました。光栄です。
伊)ああ、あれね!聞いたよ!
  すげぇかっけぇじゃん!!
臣)ありがとうございますw
伊)俺が三代目に歌って欲しいって
  言ったんだもん!
  今や飛ぶ鳥落とす勢いでしょ、三代目は!
臣)いえいえw
伊)あの歌いつ出るの?
臣)あ、アルバムに収録予定で…
  3月末に発売予定です。
伊)そうなんだ!楽しみだな〜〜
臣)ぜひ送らせてください。
伊)よろしくーー♪
  ……でさ、♡ちゃん見えないんだって。
  席替わろうよ。
臣)いやいやいやw
伊)てゆーかさ、俺絶対会ったこと
  あると思う、♡ちゃん!
  どこだっけ…、覚えてない?
♡)ええと…、
伊)うーん、うーん…
♡)あの、……パーティーで一度。
伊)パーティー?
♡)はい、去年…。
伊)あああ!わかった!!
  わかんないけどわかったーー!!
工)どっちやねん!w
伊)わかった、わかった、
  いたよ♡ちゃん、可愛かったもん!
  ほらー、こっちおいでー♡
工)はいはい、ダメですよーw
伊)なんだよお前、邪魔すんなよー!
臣)Mちゃんはどうなの、新婚生活は。
M)えっ!?///
 
 
今度はいきなりMちゃんに振ってきたーーw
 
 
M)新婚て…///
臣)やっぱり綺麗になったよ、Mちゃん。
M)そう…ですか…///
♡)うん!可愛いっ♡♡
J)引っ越したらまたぜひ遊びに来てよw
♡)行きたいですーー!♪
臣)え、引っ越すんすか!?
J)うん。二人で心機一転ね。
臣)えーー、十分いいとこなのに、ここ。
伊)Jはさ、これ持ってるから、これ。
 
 
伊藤さんがお金のマークを作って
ニヤニヤ笑ってる。
 
 
J)みなさんほどじゃないですよーw
工)嘘つけ!w
J)あはははーw
伊)まぁでもJにも
  こんな可愛い彼女が出来たわけだし
  あとはお前だけじゃん。
工)ドキーー。
伊)でもお前結構やらかすもんなー、
  俺と一緒でw
工)あはははw
臣)そうなんですか?
伊)そうそう。
  俺らの違いはね、線引きするとしたら、
  こう!
J)え?w
 
 
伊藤さんが自分と工の前に
手で線を引いた。
 
 
伊)好き勝手に女遊びするのは同じでも、
  俺らはやらかし組、
  Jはね、ほんとやらかさない。
  なんでもそつなくこなすし
  女の子にもマメで優しいし!
工)紳士なんですよねー、こいつ。
  やってることゲスいのに。
J)コラコラw
臣)工さんもそんな感じしますけど…
工)俺はね、全然ダメ!w
伊)そうだよ!こいつなんてただのドMだし
  彼女の誕生日忘れて
  俺と飲みに行っちゃうような奴だよ?
 
♡M)ええっ…
 
工)あれはほんとやらかしましたねぇ…w
伊)ね?そんなの女子的にはNGでしょ?
工)あれはもう伊藤さんのせいで
  フラれたとしか…
伊)俺のせいにすんな!w
工)あはははw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
伊藤さんは豪快に笑いながら
隙あらば先輩の顔を覗こうと身を乗り出して
 
壁になってる登坂さんを邪魔そうに見た。
 
 
伊)登坂くんはどうなの。
臣)え?
伊)Jタイプかな〜〜
  なんかマメそうだよね、遊び相手にも。
臣)いや、ええと…
伊)♡ちゃんに隠れて遊んでんでしょー?w
臣)遊んでないです。
伊)またまたぁ〜〜〜〜w
  LDHがそんな真面目なわけがないんだよ!
  女に関してはw
工)あはははw
伊)ぜぇぇったい遊んでる!
  浮気してる!
  女大好きだろお前!噂入ってくるんだぞ!
臣)いやいや…、
伊)♡ちゃんの前だからカッコつけてんだろ!
臣)ほんとにしてません。
  そういう時もありましたけど…
  今は全くです。
伊)え…、なんで…?
臣)昔のことも反省してるし。
伊)え、だからなんで!?
臣)馬鹿なことしてたなぁ…って。
伊)若い時なんて遊んでなんぼでしょ。
臣)うーん…、その時はそうでも
  そのせいで未来の大切な人を傷つけたり
  嫌な思いさせることになるなら
  しなきゃ良かったなぁって…。
伊)…っ
臣)後悔しても仕方ないんですけど…
  でもその分。
  過去は変えられないから
  自分のこれからで
  誠意を伝えていきたいと思ってます。
伊)真面目か…っ!!!
工)あはははw
M)……。
 
 
そっか…、
先輩に家出されて、
登坂さんはそんな風に改心したんだ。
 
 
……あ。
先輩が登坂さんの服を掴んで
優しく微笑んで…
 
登坂さんもそれに応えるように
微笑み返した。
 
 
うん、この二人はこれでいいんだよね…。
色々乗り越えてきて、
今こうして二人で笑い合えるんだろうな。
 
 
私も…まだ日は浅いけど…
 
これから先、Jさんと一緒に
色んなことを乗り越えながら
絆を深めていけたらいいなぁ…。
 
 
なんて思いながら綺麗な横顔を
ふと見上げたら…
 
 
J)ん?
 
 
Jさんがすごく優しく見つめてくれて…
 
 
M)////
 
 
それだけで、ドキドキきゅんきゅんしちゃう。
 
はぁ…、本当に大好き…///
 
 
伊)こらそこー!
  イチャイチャ見つめ合わない!
J)あはははw
工)いいじゃないですか、
  カップルなんだからw
  そもそも今日はJの彼女を
  紹介してもらいに来たんですから。
伊)ああ、そっか。
  じゃあそこはヨシ!イチャイチャOK!
  登坂ぁぁぁ!!
臣)はいっ!!
伊)お前はダメ!!
  ♡ちゃんを俺に返せ。
臣)いやいや、w
工)もともと伊藤さんのじゃないですから!
伊)うるさい!
M)あはははー…
 
 
それからも、伊藤さんはガンガン飲んで…
 
もともと酔っ払ってたのに
さらに手に負えない状態になってきて。
 
 
工さんが必死にフォローするんだけど
絡まれてる登坂さんも先輩も、
明らかに困ってる。
 
もう。
綺麗にお酒飲めない大人って
カッコ悪いなぁ。
 
 
伊)♡ちゃん可愛いっ!
  お願いだから一回だけ俺と浮気しよう!
臣)いや、ほんと勘弁してください。
伊)じゃあお前飲めよこの野郎!
臣)いただきます!
 
 
さっきからこんなことの繰り返しで
登坂さん、もう何杯飲まされてるのか
わかんない。
 
大丈夫かな…。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
伊)あーやばい、トイレ!漏れる!
J)それは困りますw
  廊下出て右です。
伊)さんきゅ!!
 
 
伊藤さんがトイレに行った隙に、
登坂くんがゆっくりと立ち上がった。
 
 
臣)すいません、水もらってもいいですか?
J)ああ、うん。おいでよ。
臣)すいません…。
 
 
工はもうテーブルに突っ伏して寝ちゃってて…
いつもなら伊藤さんに
叩き起こされるところだろうけど…
 
伊藤さんの今のターゲットは
登坂くんだから…w
 
 
キッチンまで行って
グラスにミネラルウォーターを注いで
手渡すと、
 
登坂くんはそれを一気に飲み干した。
 
 
J)大丈夫?
臣)はい、大丈夫です。
J)強いねぇ…。
 
 
こんだけ飲んでも平気なら…
 
姫に家出されて潰れてたあの夜は
一体どんだけ飲んだんだ。
 
 
臣)う…っ
J)大丈夫?!
臣)あ、はい、すいません…。
J)……。
 
 
やっぱり結構きてる…?w
 
 
J)体育会系だからねぇ、伊藤さん。
臣)それは慣れてるんで、うちもそうだし…w
J)ああ、そうかw
  こんな風に飲まされるの?
臣)日常茶飯事です。
J)こわーーw
臣)まぁいつもは人数いるんで
  分散されますけど…
J)今日は集中攻撃だから大変だね…w
臣)はい…w
 
 
おかわりの水を注いであげたら
登坂くんはそれも半分くらい飲み干した。
 
 
J)なんか不思議だな、
  登坂くんとこんな普通に話してんのw
  俺に敬語だしw
臣)いや、だって…
  工さんの親友とか言われたら…
  ずるいっすよw
J)あはははw
臣)まぁでも今は別に…、あれだし…。
 
 
恋敵じゃなくなったし、ってことかな?
 
 
臣)Mちゃんとラブラブみたいで…
J)そうなんだよねーw
臣)付き合ったって聞いた時は
  びっくりしましたけどw
J)あ、ほんと?w
臣)でも、良かったです。
J)安心した?
臣)いや、安心っていうか…
  そっちよりも…
  Mちゃんがほんとに可愛くなったし
  幸せそうだから…
  なんか良かったなぁって。
 
 
登坂くんはそう言って
穏やかに笑ってくれた。
 
 
臣)またぜひうちにも遊びに来てくださいよ。
J)ありがとう。
 
 
そんな言葉が聞ける日が来るとはねーー。
 
 
臣)俺的にはTと海璃ちゃんをいじりたい。
J)こらこらw
臣)あはははw
 
 
なんて話してたら、
Mちゃんの大きな声が聞こえてきた。
 
 
M)ちょっと!伊藤さん!!
 
 
その声に慌てて振り返ったら、
登坂くんはもう一瞬でそこに駆けつけてた。
 
彼は…姫のことになると忍者なのかな?w
 
 
J)わぁ…っ
 
 
どうやら…
トイレから戻ってきた伊藤さんが
何かやらかしたのか、
姫にぶっ飛ばされたみたい。
 
 
伊)いったぁぁぁ……
  ちょ、♡ちゃん…、、
  見かけによらず凶暴すぎるよ…w
♡)いい加減にしてください!
 
 
あーあ、姫怒っちゃってる。
何やったんだか。
 
 
♡)これ!!
伊)…っ
 
 
姫は伊藤さんの携帯を
伊藤さんの目の前に見せつけた。
 
 
♡)この待ち受け、
  奥さんとお子さんでしょう!?
伊)…っ
♡)大事な人に顔向けできないようなことは
  しない!言わない!
  じゃないと自分の大切な気持ち、
  相手に伝わらなくなりますよ!!
伊)…っ
♡)もしここに奥さんとお子さんがいても
  同じこと言うんですか?するんですか?
伊)…っ、…ごめん…なさい…。
 
 
助けに行った登坂くんも
姫の勢いに、入る隙がなくて
その場に立ち尽くしてる。
 
 
M)伊藤さん、いきなり先輩に抱きついて
  おっぱい触ったんですよ…。
J)はぁぁ!?
 
 
こっそりMちゃんが俺に教えてくれた。
 
 
M)それで先輩に足払いされて、
  すっ転んだんです。
J)……たくましいね、姫。
M)護身術習ってましたしね…。
J)なんかごめんね、今日は色々…。
M)いえ、全然ですw
 
 
結局伊藤さんはそのまま
床に転がった状態で
いびきをかいて寝ちゃって。
 
工はなんとか抱き起こして、
ソファーに寝かせた。
 
 
♡)なんか…すいませんでした…。
J)あはは、なんで姫が謝るのw
♡)だって…一番先輩な人なのに…
  私、あんなことしちゃった…。
J)一番先輩な人らしからぬことを
  したせいだよw
  起きたら忘れてるってw
臣)すみません、お邪魔しました。
  ありがとうございました。
J)こちらこそ。
臣)Mちゃんもまたね。
M)はいっ!ありがとうございます!
♡)お邪魔しました、おやすみなさい。
J)おやすみー。
 
 
申し訳なさそうな姫を抱き寄せて
優しく背中を叩いた登坂くん。
 
そんな二人を見送って、
俺たちはリビングへ戻ってきた。
 
 
M)ふぅ…、どうしましょう。
J)この二人はこのままでいいんじゃない?w
M)じゃあテーブルの上、
  片付けちゃいますね。
J)うん、一緒にやろう。
M)いいですよ、休んでてください!
J)なんでw
  一緒にやろうよ。
  もう、すーぐMちゃんは
  なんでもやってくれようとするんだからー
M)……///
J)料理美味しかったよ、全部。
  ありがとうね。
M)はい…///
 
 
頭をポンポンしたら
Mちゃんは嬉しそうに頬を染めて…
 
そんな表情を見てまた
可愛いなぁ…なんて思っちゃう俺。
 
 
M)それにしても先輩…
  カッコ良かったなぁ…。
J)ねーw
M)あの言葉、刺さりました、私。
J)大事な人に顔向けできないようなことは
  しない!言わない!…ってやつ?w
M)はい。ほんとにそうだなぁって思って。
  男の人なんて特に、
  彼女や奥さんが見てなかったら
  その間に悪さしてやろうって人、
  多いじゃないですか。
J)うんうん。
M)それは見られてないって
  思うからであって…
  もし自分の大事な人が
  いつも自分を見てる、って思ってたら
  きっとそんなこと出来ないよなぁって
  思うんです。
J)そうだよねぇ。
M)でもそういう罪悪感とはまた別のところで
  「自分が不誠実だと大切な人に
   気持ちが伝わらなくなる」
  って考えるところも
  先輩らしいなぁって…。
J)うん。
M)先輩はいつも誠実で、凛としてて、
  カッコイイ…。
J)芯がブレないよねぇ、あの子は。
M)はい。だからいつも思うんです。
  私もあんな風になりたいなって。
J)Mちゃんは姫のファンだからねーw
M)ファンっていうか信者ですよ、もう。
J)あはははw
 
 
Mちゃんは食器を片付けながら
床で寝転がってる伊藤さんに
ふと視線を落とした。
 
 
M)この人も…生まれ変わっちゃったりして。
J)え?w
M)先輩の言葉が刺さって、
  改心したり。……しないかなぁ?w
J)あははは、どうだろうねぇw
  ぐでんぐでんだったし
  起きたら忘れてる気がするけど。
M)えーーー、もぉ〜〜〜。
J)ははははw
 
 
でも、遊び人な登坂くんを
生まれ変わらせたくらいだし…
 
うちの彼女もこんなに厚く
信仰してるくらいだし…w
 
姫の力を持ってすれば、ありえるのかな?
 
 
なんて思ってた俺が、
 
伊藤さんがすっかり生まれ変わって
イクメンになったという噂を耳にするのは
そう遠くない未来だった。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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