橘)すごいですね…このピアノ…
登坂さんが弾かれるんですか?
岩)なんでだよ。♡ちゃんだよ。
橘)あ、♡さんなんですね!
岩)♡ちゃんに似合う真っ白なピアノを
臣さんが誕生日にプレゼントしたんだよ。
橘)へぇ…、そうだったんですか…。
ディズニーでのダブルデートは
めちゃめちゃ楽しかったんだけど…
二次会は橘まで参加することになって。
橘)これは…見ても良いんでしょうか?
岩)ああ、いいんじゃない。
前に俺らも見せてもらったし。
橘)失礼します…。
橘は初めて来る臣さん家に興味津々みたいで
ずっとキョロキョロしてて…
今は棚に飾ってあった
二人のラブラブアルバムを見てるところ。
それを見て良からぬ想いはもう
捨ててください。お願いします。
橘)……すごく…ラブラブですね…。
岩)うん。
気付くの遅いから。
岩)今に始まった話じゃないよ。
もうずーーーっと。
昔からずーーーっとラブラブ。
橘)そう…ですか…。
……って、なんで俺が
橘の相手してんだよーーー!!
臣さんと♡ちゃんは
キッチンでイチャついてるし…
◇は…、、
ソファーに座りながら
恐る恐る窺うようにこっちを見てるw
臣)はいはい、酒持って来たよーー。
♡)みんなどれ飲むー?
あ、橘さん!
ノンアルコールカクテルあったよー!
橘)あっ、ありがとうございます…。
橘はアルバムを持ったまま
ソファーに座った。
岩)え、まだ見んの?それ。
橘)はい、まだ全部見てないので。
岩)……。
全部見るのかよ。
時間潰しにパラッと、とかじゃないんかい。
……ガチやん。
♡)あ、アルバム…、
橘)見させていただいてます。
♡)えへへ、恥ずかしい…///
◇)それ♡ちゃんの手作りだもんね!
すごいよね♡
橘)女子ってこーゆーの好きだし
得意ですよね。
私もよく作ります。
◇)へ、へぇ…。
岩)……。
なんだその私にだって出来ます的な
アピールは…。
臣)岩ちゃん俺と同じのでいい?
岩)ああ、うん。
♡)よーし、じゃあ乾杯しよー♡
◇)カンパーーイ!
橘)乾杯。
橘はノンアルコールのカシオレを
一口飲んだだけでテーブルに置いて
またアルバムをまじまじと見てる。
……なんか、怖い。
◇)んーー、美味しい。
今日はほんと楽しかったなー。
♡)うんっ♡
臣)またどっか行きたいねー。
◇)行きたーい!
橘)みなさんはいつもこうして
遊んでらっしゃるんですか?
岩)え?
橘)4人で仲良く。
岩)そう…だね。割と。
橘)そうなんですね、羨ましいです。
♡)ね、ね、橘さんは?
彼氏いるのー?♡
岩)!!!
♡ちゃんがまた無邪気な天然爆弾
ぶっこんだーーー!!
橘)彼氏はいません。
♡)じゃあ好きな人はー?♡
橘)好きな人はいます。
♡)わぁ!そうなんだぁーー♡
その好きな人は臣さんだよ。
♡ちゃん、もうやめて。
♡)ね、敬語じゃなくていいよぉー
同い年なんだし♡
普通に話そうよー♡
橘)……うん。
♡)好きな人ってどんな人なのー?♡
ぎゃーー!!
♡ちゃんやめろー!
もうやめるんだーーー!!
橘)カッコ良くて…本当に素敵な人なの///
♡)きゃーーー♡
こっちは「きゃー」じゃなくて
「ぎゃー」だよ!!
あーあ、臣さんはもう聞こえないフリして
携帯いじってるし!
橘)ずっと憧れてて…尊敬してて…
大好きなの///
♡)橘さん…可愛い…♡♡
全然可愛くねぇからーー!!
とにかく湿度高いからそいつーー!!
♡)ねぇ臣くん、ちゃんと聞いてるー?
臣)あ?恋バナとか俺興味ねぇもん。
女子で勝手にやってて。
♡)んもぅっ!
ひぃぃ…
ひぃぃ…
♡ちゃん気付いて〜〜〜!
…ってニブ子だから無理か〜〜〜!
♡)ね、ね、告白とかしないのー?♡
橘)……彼女がいるの、その人。
♡)ええっ!
君ですよ、君!!
その彼女は君ですからーー!!
……さっきから俺と◇は
バレないようにお互い足を蹴り合って
無言で酒を飲んでます。
♡)そっか…そうなんだ…。
橘)でも好きなの。
ちょ、ちょ、ちょっ…
今の「でも好きなの」は
若干、挑戦的だったけど…?!
橘)どうしたらいいと思う?
ひぃぃぃぃ!!
それを♡ちゃんに聞く橘〜〜〜!!
湿度100%〜〜〜!!
♡)うーん…、難しい…
◇ちゃんどう思うー?
◇)えっ!
おい…お前…
動揺しすぎてマスオさんみたいに
声裏返ったぞ。
◇)そうだなぁ…、はは…w
どんな彼女とどんな付き合い方をしてて
どれくらい愛し合ってるのかにもよるけど
相手がいると基本厳しいよねー。
橘)でも好きなんです。
◇)…っ
ヤバイ。
◇が押されてる。
岩)彼女と上手くいってないとか
別れる可能性ありそうな相手なら
頑張ってもいいと思うけど…
そうじゃないなら厳しいんじゃない?
ほら、例えば臣さんみたいな。
こういうどっからどう見ても
彼氏バカみたいなタイプだったら
無理だと思うよ。
◇)うんうん!
俺が出した助け船に
◇が勢いよく乗ってきた。
◇)もしもその人が臣さんみたいな
彼氏バカタイプなら
チャンスはゼロに等しいかも…!
岩)うん。
それなら好きな人の幸せを願って
身を引く方がいいかもねー。
橘)……。
◇)ね、臣さん!
もしも臣さんならどう?
臣)あ?
「あ?」って…
ほんとに聞いてなかったのかよーー!
コラーー!!
岩)だから。
♡ちゃんと付き合ってる身で
他の女子に想いを寄せられたら。
臣)は?俺が?
岩)そう。
臣)何それ。どうもしないけど。
興味ない。
◇)はは…、ほら…ね、
こういうタイプだと
難しいんじゃないかなー。
その人がどんな人かはわかんないけどw
橘)でも恋愛なんて…
いつどんなキッカケでどんなタイミングで
何が起こるかなんて、
わからないじゃないですか。
◇)…っ
引き下がらない橘に、
俺と◇は一旦黙ったんだけど…
♡)橘さんはそれくらいその人のこと
大好きなんだね!!
ニブ子な♡ちゃんは
なぜか拳を握って応援モード。
♡)想い続けるくらいいいと思う…!
誰かを好きな気持ちって
素敵なことだし!
もう君は喋るんじゃな〜〜い!!
♡)私の知ってる人もね、
相手に婚約者がいるってわかってても
それでも好きって言ってて…
臣)ん?誰?
臣さん!
携帯見ながら実は聞いてんじゃん!
♡)えっと、原くんていう
会社の人なんだけど…
臣)ああ、ふーん。
♡)でも別に相手の仲をどうこうしようとか
そんなんじゃなくて、
ただ好きなんだって。
そういう無償の気持ちなら
何も悪くないんじゃないかな、って…
岩)いやぁ…でも…、
橘の場合は…違うんじゃない?
何が起こるかわかんないとか…
完全にチャンス狙ってるじゃんw
想い続けてるだけで幸せーー
みたいなタイプではないでしょ。
橘)はい、違います。
即答かよ!!
♡)そっか…、難し…っ、!??///
何するの!!
臣)チュー。
いきなりキスされた♡ちゃんは
びっくりしてるけど…
もちろん俺たちもびっくりしてます。
何してんの臣さん。
♡)もう!急にどうして…っ、んぅっ///
またチューしたーー!!
何考えてんだよこの人ーー!!
♡)ちょっと、臣くん!///
臣)なんだよ!
♡)時と場所を考えて!!
臣)やだ。俺はしたい時にする。
♡)…っ、わがままー!///
臣)だってもう恋バナ飽きたもん。
♡)飽きたって…、
臣)好きなら好きでいいじゃん。
頑張れよ橘。
ええええ!!
応援した!?
何言ってんの臣さん?!
臣)でももし相手が俺みたいなタイプなら
どう頑張っても絶対無理だと思うけど。
橘)…っ、登坂さんみたいな…タイプならって
なんですか…?
臣)さっきから散々言ってんじゃん。
こういう彼氏バカタイプってこと。
♡)んんっ!///
臣さんはまた♡ちゃんにチューをして
ニヤッと笑った。
臣)俺みたいな彼氏バカな奴は
彼女が生き甲斐だし彼女しか見えてないし
彼女以外の女なんて心底眼中にないから。
……なるほど。
そういう牽制なわけね…。
♡)離してよぉ!///
臣)やだ。
♡)もぉ〜〜〜!!
臣)俺の愛の告白ちゃんと聞いてたー?
♡)……聞いてたょ…///
臣)俺ほんとお前じゃなきゃ勃たないから。
♡)いきなりなんの話!!///
臣)大事な話だろ!
岩)あははは、ほんと臣さんアホだねーーw
◇)あはははw
固まってる橘を横目で見つつ、
俺と◇は愛想笑い。
誰か助けてーーー
この空気どうにかしてーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
無邪気な♡ちゃんも恐ろしいけど
臣さんの牽制の仕方も恐ろしくて。
橘さんはただじーーーっと
臣さんを見つめてる。
……怖いよ、うん。
橘)♡さん、ありがとう。
私の話はもういいよ。
♡)えっ、でも…
橘)それより♡さん達の話が聞きたいな。
ええ!?
どういうこと?!
思わずあたしはまた剛典の足をコンと蹴った。
♡)私たちって…、私と臣くん…?
橘)うん、聞きたい。
♡)えっと…特に話すようなことは…///
橘)どんな風に付き合ったの?
どっちが先に好きになったの?
ひぃぃっ…
なんか根掘り葉掘り聞き出した〜〜!!
なんなの!?
二人のことを徹底的にリサーチして
付け入る隙を見つけ出して戦略を練る気!?
岩)臣さんが♡ちゃんにベタ惚れで
長〜〜い片想いを成就させたんだよね〜w
よし!いいぞ剛典!!
臣さんがいかに♡ちゃんLOVEか
少しでもわからせよう!
橘)長い…片想い…?
♡)えっと…、///
臣)んーーー
♡)わっ、何してるの///
◇)……。
臣さん…
今にも♡ちゃんを押し倒しそうな勢いで
♡ちゃんの首筋に
潜り込んでいったんですけど…
この人まさか…
橘さんへの牽制かと思いきや
それもあるのかもしれないけど
ただ単に♡ちゃんとイチャつきたい
だけなんじゃ…
橘)♡さんはどのタイミングで
登坂さんのこと好きになったの?
おおお…
めげずに突っ込んでいくーー!
♡)えっとね、あんっ、やめて///
臣)恋バナ飽きたってーーー
橘)登坂さん、お酒が空ですね。
おかわりどうぞ。
臣)えっ、……ああ、どうも。
◇)あ、あたしもおかわりしようかなー
はは…w
橘さんは謎に手際よく
おかわりを作ってくれて…
また何か質問したそうに目を光らせたその時、
♡ちゃんの携帯が音を鳴らした。
♡)あ、ハルくんだー
臣)え。
◇)ハルくん?
♡)うん!
今日楽しかったー?って。
4人で撮った写真送っちゃおーっと♡
◇)……。
♡ちゃんとハルくんは…
デートの感想を
わざわざ報告するような仲なの?
……え?
♡)あ、今日ね、本当は
ハルくんと約束してたの。
でもリスケしてもらったから…
◇)あ、なるほど、そーゆーことね!
びっくりしたー。
……実は…、、
♡ちゃんからは…
ハルくんは初恋の人で
今は友達として
英会話教えてもらったりしてるって
聞いてるんだけど…
本当はハルくんは今でも♡ちゃんが好きで
♡ちゃんに愛してる宣言までしたっていうのを
剛典から最近聞いて、びっくりしたんだよね。
そりゃーハルくんの名前が出ただけで
臣さんがこんな顔にもなるわけだ。
♡)あ、返事きたーー♡
楽しそうで良かった、って♡
臣)ふーん…。
橘)……♡さんもおかわりどうぞ。
♡)あ、ありがとう♡
♡ちゃんはにっこり笑って
橘さんにもらったグラスを
ゴクゴクと喉に流した。
♡)ほわ……、、…っ、……あれぇ…?///
ん?
♡)なん…か…、クラクラ…する…///
◇)!!!
おい橘!
お前何飲ませたんだーー!!
臣)どうした?
♡)わかん…ない、えへへ…///
臣)何飲んだのお前。
♡)わかん…ない、えへへ…///
臣)橘、何入れた?
橘)ここにあったお酒を割りましたけど…
臣)は?これ入れたの?この瓶のやつ?!
橘)はい。
たくさん並んでるお酒の瓶。
橘さんが持ってるのは
この中でもダントツで度数が高いやつ。
臣)なんでこんなん飲ませんの!
俺らでもキツイからこんなん!
橘)あれ、そうなんですか?
すみません、普通のお酒かと。
臣)大丈夫か?
♡)えへへぇ…大丈夫だよぉ…///
岩)いやいや、フラフラじゃんw
♡)んぅ……///
臣)おっ…
♡)むにゃぁ…///
臣)……よしよし。
こら臣さん!
♡ちゃんに甘えられて何ニヤけてんの!
ったくー!
臣)俺水持ってくるわ。
臣さんは♡ちゃんの頭を優しく撫でて
立ち上がった。
岩)お前も飲んでみる?w
◇)えっ!キツいんでしょ?やだよ!w
岩)酔っ払っても俺がちゃんと
連れて帰ってやるから♡
◇)……いらない。
岩)なんでだよ!w
だってなんかやらしい顔してるもん。
橘)私も手伝ってきます。
◇)え?
手伝うって何を?
水持ってくるのなんて手伝い要らなくない?
◇)…っ
なんか心配になって
あたしも橘さんを追ってキッチンに向かった。
……って、ああああああ!!!!
何してんのこの人!!!!
冷蔵庫を覗いてる臣さんに
いきなり後ろから抱きついたんですけど!!
臣)ん?どうした?
立って大丈夫なの?
ああああああ!!
臣さんってば♡ちゃんだと思って
超甘々な声出してるーー!!!
パタン。
臣)!!!
冷蔵庫を閉めて、
抱きついてるのが橘さんってわかって
臣さん固まっとるがな…。
臣)いや、ちょ、何してんの?!
臣さんにグイッと押しのけられた橘さんは
しれっとこう言った。
橘)あ、すみません…間違えました///
酔っちゃったのかな。
お前酒飲んでへんやんけぇぇぇ!!!
臣)いや、お前酒飲んでねぇだろ。
そう、その通り!
ナイスツッコミ!臣さん!
橘)そうですけど…
周りの人が飲んでると、
自分が飲んでなくても酔いません?
ふふw
臣)は?そんなん聞いたことねぇし。
橘)だってなんかフラフラするんです///
臣)ちょ、くっつくなって!
また抱きつこうとした橘さんを
臣さんは慌てて振り払った。
◇)……。
橘…、お前マジで怖ぇよ…。
もう呼び捨てにしちゃうよ…。
酒も飲んでないくせに
酔ったふりして抱きつくとか…
やることぶっ飛んでるよ…。
橘)登坂さん…///
臣)いや、何しにきたの?あっち行けよ。
臣さんが困ってる!
助けねば!!
◇)臣さーん、あたしもお水欲しいですー。
臣)あ、◇ちゃん。
あからさまにほっとした顔の臣さんの後ろで
橘は邪魔者を見るようにあたしを見て
そのままキッチンを出て行った。
ふぅ、やれやれ。
◇)お疲れさまです…。
臣)マジで怖ぇあいつ…。
◇)ヤバイっすね…。
臣さんが煽ったせいかも。
臣)はぁ?!
煽るも何も…
別に俺いつも通りだけど。
◇)まぁ確かに。
いつも通りイチャついてますけど…
わざとでしょ。
臣)嫌なら帰れば良くない?
◇)そうですけど!w
誘っちゃったの♡ちゃんでしょ!
臣)あいつのニブ子、ほんとどうにかして。
◇)それはあたし達も思ってますからw
なんて話しながら
ソファーに戻ろうとしたら…
◇)あれ?
真っ赤な顔で目を閉じてる♡ちゃんと…
携帯をいじってる剛典。
……橘は!?
どこ行った?!
◇)えっと、あたしトイレ行ってきまーす。
臣)はーい。
怖い。
怖いんですけど!
どこ行ったよマジで!
リビングのドアを開けて廊下に出て。
そーっとその姿を探すと…、、
……いたーーー!!
……って、寝室じゃないの?そこ…。
◇)…っ
何してんのこの人。
勝手に寝室開けて電気点けて
部屋の中じーーーっと見てるんですけど。
怖い。
怖すぎる!!
◇)あれー、トイレどこだっけーー!!
あたしがわざと大きな声を出すと
橘は一瞬ビクッと反応して、
すぐに寝室から出てきた。
◇)あ、橘さん!橘さんもトイレー?
トイレどこだったー?
…って、知ってるけどね!
同じ間取りに住んでますからね!
橘)そこじゃないですか?
◇)あ、ほんとだー!ありがとう!
橘)いえ。
そのまま橘は無言でリビングに戻って行った。
◇)……。
あいつマジで何してたの?
……臣さん、♡ちゃん、ごめん!
一応確認させて!
あたしは静かに寝室のドアを開けて
電気を点けた。
◇)……。
特に変わったところはないよね。
ベッドも綺麗だし、
橘が何かした形跡もないし。
まぁあたしが見つけた時も
ただぼーっと見てるだけな感じだったけど。
寝室見て何がしたかったんだろ…。
ここで二人が愛し合ってるのかー
とか自虐的な妄想してたのかな?
……理解不能だぜ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キツい酒を飲んじゃった♡ちゃんは
もうずっとふにゃふにゃしてて
臣さんは嬉しそうにそれを甘やかしてる。
なんじゃこりゃ。
橘の後に戻ってきた◇は
なんか険しい顔で俺を見てきて
何かを訴えてるけど、よくわからん。
なんかあったのかな。
♡)えへへ…臣くんが二人に見えるぅ…///
臣)んー?
♡)臣くんが…二人ぃ…///
臣)はいはい♡
……こりゃもう解散でいいかな?
バカップルは酔っ払ってデレデレしてるし
橘は何しでかすかわかんないし
よし、帰ろう!!
岩)んーー、そろそろ時間も時間だし
帰ろっかーーー。
◇)そうだね!帰ろっか!!
食い気味で来たな…。
お前今すぐ帰りたいんだろ…。
◇)♡ちゃんも酔っちゃってるし
早く休んだ方がいいよ。
♡)んにゃぁ…?///
臣)いいから、こっち。
♡)んー♡
臣さんに顔を正面に戻された♡ちゃんは
そのまま嬉しそうに
臣さんのキスを受け入れた。
岩)はいはい、イチャイチャするなら
俺らが帰ってからにしてよねー。
臣)じゃあ早く帰って。
早くベッド行きたい。
岩)素直か!!w
◇)あはははw
じゃああたし達はこれで。
橘さん、行こっか。
橘)……私はもう少しいます。
◇)えっ?
岩)は??
……こいつ…、何言ってんの??
今の俺たちのやりとり、聞いてた?
もう少しいますって何??
もはや理解不能すぎてマジで怖い。
◇)いや、えっと…橘さん…?
橘)お二人はお帰りになって大丈夫ですよ。
◇)いやいやいや…w
岩)このままいても
この二人イチャイチャするだけだよ?w
橘も帰ろうよ。
橘)大丈夫です。私はまだいます。
はいぃぃぃ!??
岩)……。
◇)……。
ヤバイ。
日本語が通じない。
俺は思わず◇と目を見合わせた。
どうすんのこれ。
♡)んっ、んっ…、んんっ///
…ってオイ!!!!
お構いなしにおっ始める勢いかよ臣さん!!!
♡)や、…臣く…、っ…、んん、っ///
岩)コラーーー!!///
◇)あたし達が帰ってからにしろーー!!///
臣)我慢できない。♡が可愛いから。
岩)この酔っ払いがーーー!!///
臣)♡…、
♡)…ん、っ…///
臣)♡…、
♡)…あ…、っ…///
服脱がせる勢いじゃん!!
アホーーーー!!!
岩)ほら、帰るよ橘。
◇)行こう、橘さん。
橘)…っ
不満そうな顔で立ち上がろうとしない橘に
臣さんがトドメを刺した。
臣)帰れっつってんの。
♡抱きたいんだよ。邪魔。
橘)…っ///
そこまで橘に当てつけなくても…
って思ったけど…
臣さんはめちゃくちゃ冷たい目で
橘を睨んで。
その後、♡ちゃんのほっぺを包んで
今度は一転。
嬉しそうに目元をとろけさせて
またキスをした。
岩)////
見てるこっちが照れるわ!!
◇)さ、行きましょ行きましょ///
岩)とっとと帰るぞ///
橘)…っ
それから家を出てエレベーターを待ってる間、
橘は拳をぎゅっと握ってて…
なんか怖くて俺も◇も黙ってそれを
見てたんだけど…
やっと口を開いたと思ったら、
今度はポロポロと泣き始めた。
橘)ううう…っ
◇)ちょ、ちょ、どうしたの!?
橘)…っ
岩)……。
臣さんに当てられすぎて
さすがにキツかったのかな。
橘)あの二人…、今頃…っ
◇)え、あの二人って…えっと、
臣さんたちのことかな?
橘)今頃…二人で…、ぐす…っ
◇)どうして橘さんが泣くの?
どうした〜〜っ
橘)うう…っ
◇)もしかして…
橘さんの好きな人って…臣さんなの?
橘)(こく…っ)
◇)そっか…そうだったんだ…
全然気付かなくてごめんね。
岩)……。
◇が白々しい演技をしてるのを
俺は黙って見守っています…。
◇)例えば臣さんみたいな人だったら…
なんて話してたけど…
ほんとに臣さんだったんだね…、、
橘)大好きなんです…っ
◇)うん、そっか…、それは辛かったね。
橘)あんな…目の前で…、
◇)うん…、そうだよね…。
それはお前が帰れって言っても
帰んねぇからだろーー!!
◇)でもさ、臣さんは…
周りが見えなくなっちゃうくらい
♡ちゃんのことが好きで仕方ないんだよ。
橘)…っ
◇)自分でもそう言ってたし…
あの人は無理だと思うよ、橘さん…。
橘)…っ
そう、無理!諦めなさい!
◇)そんなすぐに気持ち切り替えられないかも
しれないけど…、、
泣かないで…、元気出して…、ね?
橘)……ありがとう…。
それから俺たちは先にエレベーターを降りて
涙を拭いて頭を下げる橘を見送った。
岩◇)はぁぁぁぁぁ……っ
疲れた。
二人でよろよろと家のドアを開けて、
そのままソファーにダイブした。
岩)マジで疲れた…。
◇)おう…。
岩)言葉になんねぇ…。
◇)おう…、それくらいのヤバさやんな。
岩)マジで怖くね…?
◇)てかさ、聞いてよ!!
岩)ん?
◇が勢いよく起き上がった。
◇)あの人キッチンで臣さんに
抱きついてたんだよ!!
岩)ええええええ!!
◇)しかもその言い訳が、
間違えた、酔ってた、って!!
岩)酒飲んでへんやんけ!!
◇)それな!!!
だからか。
だから臣さんはあそこまで当てつけたのか。
橘、泣いてたけど…
自業自得じゃね…?
◇)しかもその後、寝室覗いて
ガン見してたの!
岩)……は!?
何それ!怖すぎ!!
◇)ただじーっと見てただけなんだけど、
怖すぎたよほんと!!
岩)臣さん…刺されないかな…心配。
◇)私のものにならないならいっそ…!!
ってやつ!?
やめてよ!怖いわ!!
岩)だってあいつマジで言葉通じなくない?
◇)最後、帰らないで居座ろうとした時は
マジでビビったけど…
岩)……ぞっとするわーー。
なんて話してたこの時は、
俺はまだ所詮、他人事だったんだ。
まさか自分が巻き込まれる日が来るなんて
思ってもいなかったから…。
◇)どっと疲れたよーー。
お風呂入ってさっさと寝ようっと。
岩)あ、一緒に入んない?
◇)え?
岩)なんか…
いろいろ橘にぶち壊されたから
癒されたい…w
◇)あはは、確かに…w
じゃあ一緒に入ろっか♡
岩)うん!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
剛典と二人で湯船に浸かって
まったりリラックスタイム。
岩)もうさ、橘のことは忘れよーぜ…
疲れるw
◇)そうだね、忘れよう、
なかったことにしよう!w
岩)あはははw
だってさー、ディズニーはせっかく
楽しかったのに!
◇)そうだよ!めっちゃ楽しかった!
岩)だよなぁ?
◇)今日の記憶はディズニーデートまでで
終わりにしとこう。
岩)あははは、俺もーーw
あたし達は二人で笑いながら
スマホで今日の写真を振り返った。
あたしは剛典にもたれながら
剛典がスワイプしてくれる画面を眺めてる。
岩)これめっちゃ美味かった!
◇)うん!
あ、あたしこれも好きだったよ!
岩)美味しかったよね。
◇)うん!
岩)あ、これ…
俺のカツラが飛んだ後だw
◇)あはははw
岩)お揃いのグーフィー、いいじゃんw
◇)バカップルっぽい〜〜!あははは♡
こうして写真で見ると
デートを振り返れて楽しいな♡
◇)あ、マーメイドラグーンだー♡
岩)ここ君たち大興奮してたねーw
◇)ここは女子ならみんな大好きだよ!
可愛いもん!
色使いも造りも全部可愛いもん!♡
岩)うん、似合ってましたよ。
逆に俺と臣さんは浮いてたけどねw
◇)あはははw
あ、ゴンドラの写真も出てきた。
◇)このお父さんすごく詳しかったよねー♡
岩)うん。子供も可愛かったw
◇)うんうん♡
岩)お前のイタリア語にはビビったしw
◇)なんでよ?w
岩)ほんとに喋れんだなーって。
◇)少しだけだよ?
岩)なんか簡単なやつ教えてよ。
◇)えーー、なんだろ…。
buona notte、とか?
岩)ボート乗って??
◇)ちがーう!w
buona notte、だよ。
おやすみ。
岩)おやすみなんだ!
他にはー?
◇)うーん、mi piaci、とか。
岩)ミピア…??
◇)好きだよ、って意味。
岩)おお!それってティアモじゃないの?
◇)ti amo、は愛してるだよ。
岩)あ、そっか!ちゃんと違うんだ!
剛典は楽しくなったのか
もっともっとってイタリア語に興味津々。
◇)じゃあねー、
Sentirsi bene.
岩)シンテルシ…??
◇)気持ちいいって意味だよー。
岩)おおっ!
◇)お風呂が気持ちいいねー、みたいな。
岩)エッチが気持ちいいねー、みたいな?
◇)は?
岩)使えるね、大事だわ。
◇)何言うとんねん///
もう、次!写真見よ!
岩)携帯持って。
◇)ん?
岩)腕疲れた。携帯持って。スワイプして。
◇)ほーい。?
あたしの膝に手乗せてんのに
疲れたのかな?
ま、いいや。
……って、携帯を受け取って
画面をスワイプし始めたら…
◇)!!!
……そういう魂胆か…
このエロ助め…!!
岩)んー?どうしたー?次ー、次ー、
◇)次ー、次ー、じゃないよ!
何してんだこの手は!///
岩)あ。
お湯の中で悪さしてる手を
ぎゅっと掴み上げた。
◇)痴漢です!この人痴漢です!!
岩)違います!僕はやっていません!!
◇)嘘です!間違いなく私の胸を触りました!
岩)誤解です!違うんです!!
◇)…って、今度はこっちの手かぁぁ!!
もう片方の手も捕まえてやった!
◇)痴漢です!この人やっぱり痴漢です!
岩)そうです!痴漢です!
◇)えっ…
岩)ムラムラして我慢出来ませんでした!
痴漢したのは僕です!!
◇)認めるパターンかいな!
あはははっw
岩)こんなエロい身体とくっついてたら
我慢する方が無理です!!
◇)エロい身体て何やねんコラ///
岩)……。
◇)……あ、ちょっと!///
剛典の手はお湯の中に逃げて、
また悪さをしようと隙を狙ってる。
◇)もう、写真途中だよ、…んっ///
岩)……いい声…。
◇)…っ///
なんで急にそんな声のトーンを落として
耳元で喋るの?///
◇)あ、っや、だ…っ///
岩)……ん、…可愛い…。
◇)////
あかん。
これはあかん。
あかんやつや。
◇)ダメ!!!
岩)なんで…?
◇)////
耳元でそんな色っぽい声出さないでよ!
ずるい!///
岩)触りたい…。
◇)////
岩)な…?
◇)////
……あ、ダメって…言ってるのに…、
◇)…ん、……、や…、ぁっ///
岩)◇…、
◇)…だ…め、ぇ///
思わず力が抜けそうになって、
あたしは必死に抵抗した。
◇)お風呂でしたらのぼせちゃうもん…///
岩)……。
◇)ちゃんとベッドで、しよ…?///
岩)……ん、わかった。
背中で頷いた剛典は
あたしの耳をパクッと咥えて…
岩)ベッドでとことんしような♡
そう言った。
◇)////
とことんって…何ですか…?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほんとは風呂で襲っちゃいたかったけど
ダメだって言われて、我慢して。
待てない俺はもうすぐにベッドにダイブ。
◇)こらー!///
頭ちゃんと拭いたの!?
岩)拭いた拭いた♡
◇)あたし…ドライヤーしてくるからね///
岩)えーー、もういいじゃん!
早く来いよぉー!
◇)髪傷むからダメ…。
岩)ちえっ
仕方なく俺は一人、ベッドの上で
大の字になってやった。
岩)……あ、そーだ。
待ってる間、暇だから…
イタリア語勉強しちゃおーっと。
スマホの翻訳機能を使って…、
岩)ええと…、
「I love you」は「Ti amo」だろー?
「I need you」は…、
「ho bisogno di te」ね。
「I want you」は…、
「voglio te」か。
岩)voglio te…、voglio te…、
よし、覚えたぞ!
◇)ただいまー。
岩)おかえり!♡
◇)……。
岩)ん?どうした?
髪を乾かして寝室に戻ってきた◇が
ドアのとこで止まってる。
◇)なんか今の剛典、
忠犬ハチ公みたいだった…。
岩)誰がだオイw
◇)あはははw
確かに嬉しくて
尻尾振ってたかもしんないけど!
岩)早くおいでおいでー♡
◇)んーー、
もぞもぞとベッドに入ってきた◇を
ぎゅーっと抱きしめた。
岩)へっへっへ♡
◇)ちょっと、何その笑い。
岩)え。
◇)エロさが前面に押し出てる!
岩)だって今からエロいことするもん!
◇)……もぉ///
あ、今の「もぉ」、可愛かった…。
岩)ほら…。
◇)////
もう一回ぎゅっと抱きしめて
頭を撫でたら…
◇は嬉しそうに俺にしがみついてきた。
◇)剛典…、大好き…///
キタキタキターーーー!!
◇)大好きだよぅ…///
来ました、◇のデレタイム!!
あーー可愛い。マジ可愛い。
岩)大好きなの…?
◇)うん///
岩)エロさが前面に出てても?w
◇)……好き///
可愛い〜〜〜〜!!
もうすっかり甘えんぼモード!
いいよいいよー!♡
岩)じゃあ、……しよっか♡
◇)……(こくん)///
恥じらうように頷いて。
ほんと可愛いんだけど。
◇)……あ、っ…///
すぐ脱がせるんだから
着なくても良かったのに…。
◇)……や、……ん、///
でもやっぱり脱がされる時の
恥ずかしそうな◇がたまんないから
これはこれでいっか♡
◇)……は…ぁ、///
悩ましげに息を吐いて
うつ伏せになったその背中に
夢中で唇を落としていく…。
◇)や、…っ、や…っ…、///
敏感に感じてるのが可愛くて…
後ろからきゅっと…指と指を絡ませた。
岩)Voglio te.
◇)えっ…
岩)Ho bisogno di te.
◇)…っ
岩)Ti amo.
◇)え、ちょっ///
◇は驚いたように振り返って
潤んだ瞳で俺を見た。
◇)なんで…、、ほんとは喋れるの!?///
岩)さぁ?w
俺のイタリア語、ちゃんと通じたみたいw
岩)今度はこっち。
◇)あっ、///
◇の身体を仰向けにして、
その柔らかい肌に顔を埋める。
唇と手のひらだけじゃ、全然足りない。
◇の柔らかな肌を堪能するのに、
これだけじゃ足りないんだ。
そう思うくらい、もっと触りたい。
愛したい。
◇)ん、んっ、///
……ああ、もう…。
岩)Così carino.
◇)////
可愛くて仕方ないんだ。
岩)Sono pazzo di te.
◇)////
夢中なんだよ、お前に…。
岩)Sentimi di più.
◇)……あ、っ、///
もっと感じて。
岩)Più nudo.
◇)んんん!///
もっとさらけだして。
◇)…っ、どう…して…、///
岩)ん…?
◇)そんな…エッチな言葉ばっかり
覚えてるの…///
岩)さぁ?w
息が上がって…
潤んだ瞳からは涙がこぼれそうになってる。
岩)そんなに気持ちいいの…?w
◇)////
泣きそうになるくらい…
俺のこと、感じてんの?
◇)Ti amo troppo.
岩)え…?
◇)Ti amo troppo e sto impazzendo.
岩)え、何…?
なんかすげぇ色っぽく
俺を見つめてきて…
でもなんて言ってんのかわかんねぇ…///
俺のイタズラへの逆襲かな?
◇)Per favore dammi ora.
岩)…っ
◇)Ti voglio e non posso più aspettare.
岩)……///
言葉はわからないけど、
伝わるものがあって。
だって…
◇の目が言ってる、俺が欲しいって。
◇の身体が叫んでる、
欲しくて我慢できないって。
岩)◇……、
◇をぎゅっと深く抱きしめて…
甘い熱に包まれた瞬間、
……俺は思わず息を止めた。
岩)………はぁ…、っ///
そのままゆっくり…、
次第に止められなくなって…、
……夢中で溺れる。◇の身体に。
何度抱いてもこうだ。
◇は俺を惑わせて、狂わせる…。
岩)……◇、っ……もう…ヤバイ///
◇)……(こくん)///
そんなやりとりを
何度繰り返したかわからない。
とことん愛し合って、満足しきって。
心地良い倦怠感に包まれて
眠気に襲われる頃、
◇が俺にぴったり寄り添って可愛く呟いた。
◇)Ti voglio bene sempre.
岩)……ふふ、w
……俺さ、イタリア語わかるように
なっちゃったかも。
だって…
お前の顔を見ればわかるんだもん。
伝えたい気持ちは
ちゃんと伝わってくる。
岩)俺もだよ。
そう答えたら、嬉しそうにはにかんで。
……ああ、もう…ほんと可愛いな。
岩)Buona notte.
◇)ふふ、おやすみ…♡
ーendー
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