〈16〉ダブルデート(岩&◇Side)

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岩)臣さん、これは?w
◇)ヤバイ、もう誰かわかんない!!w
臣)髭も付けちゃう?w
岩)付けよ付けよ!w
♡)岩ちゃんもお髭どうぞ♡
◇)あははは!二人とも誰ーー!w
 
 
◇と♡ちゃんは俺たちを見て大笑いしてる。
 
 
臣さんたちとディズニーに行くって言ったら
昨日Sさんが変装アイテムを
これでもか!ってほど持ってきてくれて。
 
今日は朝から臣さん家に押しかけて、
あれこれ変装大会を繰り広げてるとこですw
 
 
♡)ね、こっちのカツラはー?
  臣くんかぶってみて♡
臣)えーー?これで良くない?
♡)なんか少し物足りないもん!
  バレたら困るでしょ!
◇)ねーねー、髭だけじゃ危なくない?
  まだ三代目臭がするもん、二人とも。
  もっとさー、思いきろうよ!
岩)じゃあホクロとかも描いちゃう?w
臣)ぶはっw
◇)描いちゃえ描いちゃえ!
♡)眉毛繋げちゃえば?
岩)それは逆に悪目立ちするでしょ!w
 
 
鏡を見ながらああでもないこうでもないって
もう既に楽しすぎる俺たち。
 
 
臣)つーかお前も変装しろよ。バレんじゃん。
♡)えっ!
◇)そうだね、ポカリで顔が売れたし、
  バレるね!危ないね!
♡)そ、そっか!どうしよう!
岩)じゃあ、ほら。
  丁度金髪のウィッグあるよ。
  どうぞ、キャリー。
♡)!!!
臣)カラコンも入れろよキャリーw
岩)あはははw
 
 
俺たちが♡ちゃんをからかってると、
◇が不思議そうに言った。
 
 
◇)キャリーって何?
 
 
しまった。
MVの話は公開になるまで
内緒にしとくつもりだったのに…!
 
 
岩)ん?俺が今名付けたの。
  これ被ってカラコンしたら
  キャリーって感じじゃない?
◇)なんじゃそりゃ!w
 
 
ふぅ、危ない危ないw
 
 
♡)コンタクト入れたいけど怖いよぅ…
◇)あ、例の撮影ってまだなの?
♡)あ、えっと…撮影はもう終わったんだけど
  その時はヘアメイクさんが
  入れてくれたから。
◇)なるほど。
♡)自分じゃ怖くて入れられないよぅ…。
  岩ちゃん、入れてぇ…。
岩)うん、いいよー。
臣)!!!
 
 
あ、臣さんが反応した。
 
 
♡)ゆっくり入れてね?優しくしてね?
  怖いからね?
岩)大丈夫だってw
  ほら、力抜いて。
♡)う、うん…っ
岩)ちゃんと奥まで入れてあげるから。
臣)は?
岩)優しくしてあげるから大丈夫。
臣)おいコラ!!!
岩)……ぷっw
臣)何が奥までだ!ふざけんな!
  ぜってぇわざと言ってんだろ!!
岩)だってーー!w
 
 
臣さんが面白すぎんだもんww
 
 
◇)臣さん…また脳内エロ変換したんだ…。
岩)毎度、お疲れさまだよねw
◇)うんw
臣)おい!聞こえてんぞコラ!
  よこせ!俺がやる!
♡)ええっ!
臣)俺が入れてやるから。
♡)それはやだって言ったでしょ!
  怖いもん!
臣)俺が優しく入れてやるから安心しろ。
♡)臣くんはやだ!
  岩ちゃんに入れてほしいのっ!
臣)こらーーー!!
  ヤメローーーー!!!!!
 
 
……臣さんってほんとバカだなぁ…w
 
 
そんなこんなで、結局最後は…
 
「剛典が入れてるのいつも見てるから任せて」
 
ってことで、◇が入れてあげて
無事終了。
 
 
ディズニーまでは車で30分。
 
Sさんから命を受けた橘が
車で迎えに来てくれて
俺たちは行きの道中、
お互いをなんて呼び合うかで盛り上がった。
 
 
岩)♡ちゃんはキャリーで決まりでしょー。
◇)男二人はどうしよね。
  臣さんとかジョニーって感じ。
臣)ジョニー!?ww
岩)なんか海賊っぽいもんね。
◇)剛典はレオナルドって感じ。
臣)ぶっ!w
岩)俺まで外人設定なの?w
♡)えっと、覚えられない、もっかい言って!
臣)お前…今ここで決めても
  絶対うっかり臣くんとか呼びそう。
♡)呼ばないもん!頑張るもん!
岩)いや、♡ちゃんは危ない。
  もっと馴染みのある
  呼びやすい日本名にしよう。
◇)そっか。じゃあ名前をもじって…
  臣さんは「ヒロ」、剛典は「タカ」で
  いいんじゃない?
臣)うーん、確かにそれならバレなそう。
♡)えっと、臣くんがヒロね!
  岩ちゃんがノリね!
岩)俺、タカ!w
♡)あれ!
◇)まぁノリの方でもいいけどw
臣)ややこしい!非常にややこしい!w
♡)えっと、タカとオミ…?
臣)それそのままやんけ!w
  臣言うとるやんけ!w
岩)ぶはははっ!w
 
 
♡ちゃんの脳内がパニックみたいで、
俺たちは大爆笑。
 
……ちなみに橘はしずかーーに
無言で運転してます。
 
 
橘)……着きました。
臣)イエーイ!よっしゃー!
  行くぞーー!
岩)オーーー!
臣)橘サンキューな、帰りもよろしく!
橘)あ、は、はいっ…///
 
 
テンションが高い臣さんは
橘の肩をポンと叩いて車を降りて
 
嬉しそうに♡ちゃんと手を繋いで走り出した。
 
 
◇)ねぇ…。
岩)ん…?
◇)橘さんって…臣さんのこと好きだよねぇ。
岩)!!!
 
 
さすが!
気付いてましたか!
 
 
岩)いつわかったの?w
◇)福岡あたりから。
岩)ああ、あの時ね…w
◇)♡ちゃんのこと
  若干嫌がってるオーラ出してたし
  とにかく臣さんを見る目が
  ハートなんだもん。
岩)そうなんだよねぇ、困ったことに。
◇)臣さん気付いてんのかな。
岩)気付くよあれは嫌でもw
◇)そっか。相手にしてない感じ?
岩)うん、だって臣さんだよ。
◇)♡ちゃんしか見えてないもんね。
岩)そう、それw
 
 
橘が入る隙なんてどこにもありませーん。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
4人でやって来たのはディズニーシー!
 
ランドとシーどっちにするーって話してて、
やっぱりお酒も飲みたいし
シーの方が可愛いし、ってことで
シーに決定したのだ!
 
 
◇)むふふ…もう楽しい♡
♡)これ美味しいよー♡
臣)一口くれ!
岩)俺、あれも食べたい!
 
 
まずはファストパスをゲットして
ショーの抽選も済ませて、
今はパークの雰囲気を味わいつつ
のんびりお散歩してます♡
 
 
◇)てゆーか…
岩臣♡)ん…?
◇)ぶふっ…w
 
 
振り返れば誰だか全くわからん3人がいて
見るたび吹き出しそうになるw
 
 
◇)あーあ、ほんと♡ちゃんは可愛いなぁ。
♡)急にどうしたの?//
◇)どんな姿してても可愛い。
臣)でしょ。わかる。
岩)出た、彼氏バカ!w
 
 
今日の♡ちゃんは
金髪のウィッグに青いカラコン。
まるで異国のプリンセスみたい。
 
 
◇)あたしが男なら絶対ほっとかない。
臣)大丈夫、俺が既にほっといてないから。
岩)あははは!w
 
 
臣さんはべーっと舌を出して
♡ちゃんの肩をグイッと抱いた。
 
あたしが男だったら
この人絶対恋敵だわ、マジで。
 
 
岩)あ、なんかあそこ、撮影してるー。
◇)ん?
♡)わぁ!花嫁さんがいるー♡
臣)ほんとだ。結婚式かな?
◇)わぁ…っ
 
 
ミラコスタチャペルのテラスで
どこかの花嫁さんと花婿さんが
写真撮影してる。
 
 
♡)わぁ!鐘もなったよ!!
◇)すごーーい!!
 
 
大きな鐘の音が鳴り響いて、
あたり一帯みんなお祝いムードに包まれてる。
 
 
臣)おめでとーー!
岩)お幸せにーー!
◇)あはははw
 
 
剛典と臣さんは周りの人に混じって
テラスに向かって手を振ってる。
 
 
◇)あの二人、バレてないからって
  大胆だなw
♡)ねっw
◇)ディズニーで結婚式するってことは
  よっぽどディズニー好きなんだろうなぁ。
♡)そうだね、きっと!
◇)♡ちゃんも似合いそう♡
♡)ほんとー?w
  でも私は南の島とかがいいなぁ♡
◇)南の島!いいよね!♡
♡)青い空と海、白い砂浜♡
◇)それ最高♡
♡)自然光の下だと
  写真も綺麗に撮れるでしょ?
◇)うんうん。
♡)ゲストの人たちも綺麗に映った方が
  絶対に嬉しいと思うから
  私は屋外がいいなー♡
◇)……。
 
 
そうか。
♡ちゃんは自分の写真映りの良さじゃなくて
ゲストのことを考えてるのね。
♡ちゃんらしいや…w
 
 
♡)ね、ね、◇ちゃんは
  タキシードは何色がいーい?♡
◇)えーー!タキシード!?///
♡)うんっ♡
  私は絶対白がいいんだぁ♡
◇)おおお、白…っ
♡)うんっ!
  臣くんは黒も白もなんでも
  似合うと思うけど…
  やっぱり結婚式は白着て欲しいなぁ♡
◇)白いタキシードかぁ…
  Jさん、似合いそうだなぁ…♡♡
♡)え、Jさん?!w
◇)うん!あの長身でスラッとしたスタイル!
  まさに白タキシードを着こなすために
  生まれてきたような…
  ああっ!素敵すぎるーー!!///
♡)◇ちゃん…、、
臣)そこは岩ちゃんじゃないんかい…、、
◇)えっ!!
 
 
臣さんの声に振り向くと…
 
 
岩)……。
 
 
剛典がジト目であたしを見てた。
やっべ…。
 
 
◇)……えへっw
岩)えへっ、じゃねーわ!!
◇)いったーーい!!
 
 
デコピンされたんですけどーーー!!
 
 
♡)あっ!降りて来たよ!
◇)ほんとだ!
 
 
ヴァイオリンの生演奏っぽい音がして
振り返れば、
 
賑やかな音楽隊が
花嫁さんと花婿さんを連れて
楽しそうに行進してる。
 
 
岩)パレードこっち来る!
臣)すげぇすげぇ!
 
 
「アモーレ!アモーレ!」
 
 
ギャラリーに便乗しながら
あたし達もパレードを追いかけて。
 
 
◇)あ、ゴンドラ乗ったーーー!
 
 
豪華に装飾されてるゴンドラに乗り込んだ
花嫁さんと花婿さんに向かって
あたし達もアモーレって叫んでみたら、
二人は笑顔で手を振り返してくれた。
 
 
岩)結婚式のオプションなのかな?
◇)きっとそうだねー。
臣)俺たちも乗れんのかな、あのゴンドラ。
♡)乗りたーい!
◇)あとで乗ろう!♡
♡)うんっ!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
幸せそうなゴンドラを見送って、
またパーク内をうろうろして。
 
 
臣)あ、ファストパスそろそろじゃん!
岩)お、ほんとだ!行こ行こ!
 
 
俺たちはチキンをかじりながら
アトラクションに向かった。
 
 
◇)おおお…これはなかなかハードだぞ…w
♡)360度回転するって!
臣)すげーじゃん!
岩)よっしゃ、行くぞー!
 
 
俺は◇の手を取って、
張り切って先頭に並んだ。
 
 
臣)やべぇドキドキしてきたw
♡)楽しいーーっ♡
◇)あ、帽子取らなきゃ。
岩)え…?
 
 
『帽子や被り物などは
 飛んでいってしまいますので、
 外してくださいね〜〜。
 イヤリングも危ないので外してください。』
 
 
ほんとだ。
キャストがアナウンスしてる。
 
 
岩)被り物って…カツラもかな?
◇)あ、そっか、外さなきゃだ!
岩)ええっ!!
 
 
今ここで外したら絶対バレんじゃん!
 
 
岩)どうしよう…
 
 
後ろを見たら臣さんも♡ちゃんも
普通に乗ってるし…
 
 
岩)いけるっしょ!w
 
 
キャストの最終チェックもかいくぐって、
アトラクションが動き出した。
 
 
◇)こ、こ、こわい…っ
岩)ええ!?
  手ぇ握っててやろうか?w
◇)(こくこく!!)
岩)ぶふっw
 
 
乗りたがってたくせに
直前でビビるとか…可愛いヤツーw
 
 
……ガタン!!
 
ゴォォォォォォオオオオオ!!!
 
 
◇)ぎゃぁぁぁああああッッ!!
臣)イエーーーーイッ!!
♡)キャーーーーッ!!w
岩)うおおおおおおっっ!!
 
 
コースターがものすごいスピードで疾走して
たまに煙みたいなのも出てきて
乗客はみんな大はしゃぎ。
 
隣の◇だけはものすごい形相してるけどww
 
 
臣)キターーーー!!
♡)ひゃぁぁっっ!!
岩)うわぁぁっっ!!
 
 
これが360度回転か!
 
 
岩)すげぇぇっっww
♡)わーーーいっww
 
 
ん…?
隣がなんか静かだけど…、、
 
 
ガコンッ!
プシューーーーッ……
 
 
コースターが一気に減速して
スタート地点に戻る中、
ふと◇を見れば…
 
 
◇)……っ、、
 
 
死にそうな顔をして
俺の手を握りしめてる。
 
 
岩)ぶはっ、大丈夫?生きてる?w
 
 
◇は無言のままげっそりしてて…
ヨタヨタとコースターから這い出ると、
後ろで臣さんと♡ちゃんが同時に叫んだ。
 
 
臣♡)あーーーーっっ!!
岩)何?どうした?
臣)がっ、…タカ!!頭!!!
♡)取れてる!!
岩)え?
 
 
そう言われて自分の頭を触ってみたら…
 
 
岩)!!!
 
 
カツラがねぇ!!!
 
 
俺は咄嗟に上着を頭に被って
みんなで目を見合わせて
一目散にその場から走り去った。
 
 
◇)ま、待って…、走れ…なっ…
岩)あっ!
 
 
そっか!
こいつヤラれてんだった!
 
 
岩)来い!
 
 
フラフラの◇を抱き上げようとしたら、
上着が頭から落ちそうになって…
 
 
臣)◇ちゃん!
 
 
代わりに臣さんが◇を抱き上げてくれた。
 
 
臣)行け!
 
 
臣さんの掛け声でみんなで猛ダッシュ。
 
人目につかなそうなベンチまで来て、
やっと一息ついた。
 
 
岩)ごめんね臣さん。
◇)す、すいません…
 
 
ドサッ…
 
 
♡)臣くん…?
 
 
臣さんもベンチに寝転がっちゃった。
 
 
臣)ごめん…、実は俺もちょっと酔った…、、
♡)ええっ!
岩)なのに◇抱いて走ってくれたの!?
  ほんとごめん!
臣)いや、それは大丈夫…、、
♡)何か飲み物買ってこようか?
臣)ううん、少し休めば大丈夫。
岩)お前は?なんか飲むか?
◇)ううん、大丈夫…、少し休ませてー。
♡)よし、岩ちゃん!
  じゃなかった、タカ!
岩)ん?
♡)二人が休んでる間に
  タカの変装アイテムを買いに行こう!
臣)うん。それじゃバレるw
岩)あ、そっか!
♡)行くよ!!
岩)おう!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
急いでショップに走っていく二人を見送って
ベンチの背もたれに頭を乗せた。
 
 
◇)ううう…
臣)◇ちゃん、絶叫系ダメだったんだ…。
◇)ダメじゃない…大好き…。
臣)ええ!?w
◇)でも今回はなぜか酔っちゃった…。
臣)……俺もだわ。
  基本大好きなんだけど…
  あの360度回るとこで…
◇)あたしも…。
 
 
二人でぼーっと見上げる空は
青くてとっても綺麗。
 
 
臣)年かな…。
◇)えっ…
臣)年取ると酔いやすくなるって言わない?
◇)ガーン…
臣)あはははw
 
 
臣さんは笑いながら
いつもはないヒゲをサワサワ撫でてる。
 
 
◇)重かったでしょ…、すみません。
  ありがとうございました。
臣)全然?
  ◇ちゃん抱っこすんの初めてじゃないし。
◇)……あ、そうだった…。
 
 
前にあたしがすっ転んで膝を怪我した時、
臣さんが運んでくれたんだった。
 
 
臣)岩ちゃんに怒られるかと思ったけど
  緊急事態だったからw
◇)剛典そんなことで怒んないもん。
臣)ええ!?そうなの?
◇)臣さんだったら特に。
  なんとも思ってないと思う。
臣)そうかなぁ。
◇)Jさんだったら怒りそうだけど…
臣)それはね、間違いないw
◇)あはははw
臣)でも俺だったらやだけどなー。
◇)え?
臣)メンバーだろうが誰だろうが
  ♡に触られたくない。
  お姫様抱っこなんて絶対やだ。
◇)えーーーー。
 
 
さすが臣さん。独占欲の塊…!
 
 
臣)あ、そういえば◇ちゃん、
  前に直己さんにも抱っこされてたもんねw
◇)え?
臣)バクステで。
◇)……あ、そういえば…。
  あ。文句言ってたかも、剛典…。
臣)ほらーーーw
 
 
そっか、忘れてた。
 
 
◇)でも、ほら。
  さっきのは緊急事態だったから。
臣)うん、そういうことで許してもらおうw
◇)あ、グーフィーかぶってる!!
臣)あっ!!
 
 
戻って来た剛典は
グーフィーのキャップを被ってて
♡ちゃんはミニーの耳をつけてる。
 
 
♡)臣くんはこれー♡
臣)俺はミッキーなの?w
♡)うん、つけてつけてー♡
臣)カツラの上から?w
♡)そうだよー♡
岩)お前はねぇ、俺とお揃い。
◇)あたしもグーフィーなの!?w
岩)一緒にかぶろw
◇)……あ、あったかい。
岩)でしょ!?w
 
 
剛典は嬉しそうにあたしの頭をポンポンした。
 
 
◇)てゆーかさ、剛典のカツラ…
  結局どこ行ったんだろ。
  大丈夫なのかな?
岩)え?
◇)ディズニーって安全性とか
  すごく重視してるじゃん?
  わざわざアナウンスもしてたくらいだし…
岩)えっ…
◇)申告しに行かなくて大丈夫かな?
岩)えええっ…
臣)アトラクション止まってないし
  大丈夫じゃない?
  普通に動いてるよ、ほら。
♡)そっか、大丈夫かな。
岩)ごめんなさいでした…。
 
 
しょんぼり俯いた剛典の手を掴んで
あたしも立ち上がった。
 
 
◇)よし、じゃあ次行こーー♪
♡)行こーー♡
 
 
少し休んで気分も良くなったし
変装し直したあたし達は改めて出発。
 
 
岩)あーーーーっ!!
  火山噴火してるーーー!!
臣)うおっ!すっげぇ!!
 
 
剛典と臣さんは
火を噴いてるプロメテウス火山に
夢中でカメラを向けてる。
 
 
あたしと♡ちゃんは
そんな二人の可愛い後ろ姿を盗撮中。
 
 
♡)ミッキーとグーフィー…♡
◇)子供みたい…w
♡)ねっw
 
男)ねーねー、二人で来てんの?
 
 
ん?
 
 
男)俺らも二人なんだけどさ、
  良かったら一緒にまわんない?
 
 
はっ。ナンパか!
 
 
♡)ワタシ、ニホンゴワカラナイデス。
  ゴメンナサイ!
◇)ぶっw
 
 
♡ちゃんの片言の日本語に思わず吹き出した。
 
 
男)えーー、喋れてんじゃんw
男)全然オッケー!一緒にまわろうよw
臣)ダメデス!
岩)ボクタチイッショ二キテマス!
男)えっ…
臣)ナンパダメデス!
岩)ノー!ノー!
男)あ、すいませんでした…。
男)行こっか。
◇)ぶふっww
 
 
二人組が去って行って、
あたしはお腹を抱えて笑った。
 
 
◇)な、なんで二人まで片言…!ww
臣)♡に合わせたんだけど…w
岩)上手かったしょ?w
◇)あはははっw
 
 
もう、面白すぎるんですけどーー!ww
 
 
♡)あ、ゴンドラ乗れそうだよ!
臣)おお!ほんとだ!
岩)行こうぜ行こうぜ!
◇)うんw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
俺たちが乗り込んだゴンドラは普通のやつ。
 
やっぱりさっきのは結婚式用に
装飾されてたみたい。
 
一緒に乗ってるのは俺たちと
小さな子供がいる家族連れ。
 
幸い、全然バレてませんw
 
 
♡)すごーい!すごーい!
◇)綺麗だね〜〜!♡
 
 
女子二人は楽しそうにはしゃいでる。
 
 
臣)あれさっきの火山じゃん!
岩)うん!
子)お父さん見て見て!すごーい!
父)プロメテウス火山は
  イタリアのナポリの
  ヴェスヴィオ火山がモデルなんだよ。
岩)イタリア!
◇)ナポリ!
 
 
思わず食いついちゃった俺たちに
お父さんはにっこり笑ってくれた。
 
 
父)このメディテレーニアンハーバーも
  イタリアがモデルになってるんですよ。
岩)そうなんだ!
ゴ)〜〜♪♫〜〜♩♪〜〜
◇)わっ!
 
 
ゴンドリエがいきなりイイ声で歌い出して
びっくりしてると、
お父さんが前方を指差した。
 
 
父)ほら、願い橋です。
  あそこの下を通る時に願い事をすると
  願いが叶うと言われてるんです。
♡)ええっ!すごーい!♡
父)あれはヴェネツィアのため息橋が
  基になっていて。
臣)ため息橋…?
父)カップルがその下を通る時にキスすると
  永遠の愛が叶うと言われてるんです。
岩)へぇ……。
ゴ)よくご存知ですね。
  さぁでは皆さん、橋の下をくぐりますよ。
  願い事を唱えてみてくださいねーー♪
 
 
そう言われて、小さな男の子は
両手をぎゅっと握り合わせた。
 
可愛いなw
 
……って、お前もかーー!!
 
隣で◇もしっかりと目を閉じてる。
可愛いヤツw
 
 
じゃあ俺もお祈りしとこーっと。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
子)あ!チューしてる!!!
 
 
え!?
 
 
岩◇)あーーー!!
 
 
子供の声に目を開けると、
目の前では臣さんが♡ちゃんに
ぶっちゅーっとしてるとこで。
 
 
岩)何やってんの!!
◇)こらーー!!
 
 
思わず二人で突っ込んだ。
 
 
臣)え、だって。
  チューしたら永遠の愛が叶うんでしょ?
◇)それはイタリア!
岩)話聞いてた?!
父)あはははw
♡)////
 
 
ったくもう。
こんなとこでまでイチャつくとは臣さんめー。
 
 
ゴ)今日はこの中にお誕生日の方がいるので
  バースデーソングをプレゼントします♪
岩)えっ!
母)あっ、ええと…///
子)お母さん!お母さんが誕生日なんだよ!
♡)わぁ、おめでとうございます♡
 
 
ほんとだ。
バッグにバースデーシールが付いてる。
 
恥ずかしそうに照れ笑いするお母さんの横で
優しく微笑むお父さん。
 
なんか素敵な家族だなぁ。
 
 
ゴ)ぜひ皆さんもご一緒に!
  〜♪Tanti auguri a te♪〜
岩)え?タンテ…?
臣)なに?アウグーリ…??
♡)タ…?アウ…?アッテ??
◇)〜♪Tanti auguri a te♪〜
岩)えっ!!
 
 
なんか一人だけ流暢な発音で
ゴンドリエと一緒に歌ってる人が
いるんですけど…!!
 
 
ゴ)〜♪Tanti auguri a te♪〜
◇)〜♪Tanti auguri a te♪〜
 
 
やべぇ。
何回聞いてもなんて言ってるかわかんねぇw
 
 
父)おめでとう。
子)おめでとうお母さん!♡
母)ありがとう///
◇)Buon compleanno!
  Buona fortuna a te!
岩)は!??
 
 
◇がなんか言ってる!全然わかんないけど!
 
 
臣)そっか、◇ちゃん…
  イタリア語出来るんだっけ…
♡)すごい!カッコいい!!///
岩)今の歌、なんて言ってたの?
◇)んっと、
  「Tanti auguri a te」は
  直訳すると
  「あなたにたくさんのおめでとう」
  みたいな感じだよ。
岩)そうなんだ!
◇)「Buon compleanno!」は
  「誕生日おめでとう」だよ。
臣)すげぇ〜〜〜〜
岩)ほんとに喋れるんだなお前…。
 
 
さすが才色兼備。
恐れ入りました。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
ゴンドラを降りてから、
またパークを食べ歩きして
アトラクションを楽しんで。
 
夕方になったらショーを見るために
ブロードウェイミュージックシアターに
向かった。
 
 
開演までまだ時間があるから
あたしは♡ちゃんと一緒にトイレ休憩。
 
 
♡)はぁ、楽しいねぇ♡
◇)うんw
♡)ショーも楽しみだなー♡
◇)ねっ!めちゃくちゃ本格的だもんね!
 
 
演奏もそうだし、
本場のミュージシャンやタップダンサーの
歌や踊りが見れるから
あたしもすっごく楽しみ♪
 
 
子)ね、ママ、ミッキーに会えるんだよね?
母)ふふ、そうよー♡
子)ドキドキしてきた!
母)楽しみね♡
子)うんっ!!
 
 
こんな小さな子まで目を輝かせてる。
ミッキーはやっぱりすごいぜ。
 
 
父)明日の今頃は北海道かーー。
母)ふふ、そうねw
父)もう少しこっちにいたいなぁw
母)あったかいもんね。
 
 
なぬ!
今日割と寒いですけど?!
道民にとってはあったかいのか!
 
 
父)まぁ飛行機が無事に飛べばいいけど。
母)雪が心配だわ。
子)大丈夫だよ!
  ミッキーに会えたらきっと晴れるもん!
父)ははははw
 
 
……そっか。
はるばる飛行機に乗って
ミッキーに会いに来たんだね…。
 
 
女)あたし今日で今年3回目よぉ〜〜
女)あらやだ、すごぉーーいw
女)年パスは使えるだけ使わなくっちゃね〜
  ほほほほw
 
 
おお…
こっちはディズニーマニアのおばさんかしら。
 
 
ドンッ
 
 
女)あらちょっと!ちゃんと周りを見てよね!
◇)……。
 
 
そっちがぶつかってきたんだろが。
 
……って、こんなおばさん相手に
キレちゃいけない。
 
 
◇)ごめんなさい、気をつけますー♡
女)ほんとにもうっ!
 
 
あーあ、あんなおばさんにだけは
なりたくないなー。
 
 
♡)はぁ、いよいよだねっ!
◇)うん!
♡)ドキドキするー♡
◇)わくわくー♡
 
 
席について幕が開けるのを
今か今かと待ってたら、
剛典と臣さんがクスッと笑った。
 
 
岩)俺らのLIVE始まる時も
  そんな感じなの?w
◇)へ?
臣)ドキドキするーー♡ とか言って
  心待ちにしてくれてんのかなー、とw
◇)うーん、……初めて見た時は。
岩)今はもう見飽きたってか!w
◇)そうは言ってないけど!w
臣)お前ももう見飽きたんだろ…。
♡)えー!そんなことないよ!
  何回見てもカッコイイもんっ♡
臣)……そーお?
♡)うんっ♡
臣)そっか、へへへw
 
 
なるほど。
こうやって可愛く返せばいいのね。
 
 
◇)何回見てもカッコイイよ♡
岩)はいはいw
 
 
あれ。ダメだったw
 
 
◇)わっ!!
 
 
そうこうしてるうちに
会場内が真っ暗になって…
 
いざステージが始まるともう、
みんな夢中でそのパフォーマンスに
見とれてる。
 
 
ミッキーがドラムを叩くところは
一番の盛り上がりで。
 
 
子)ミッキーーー!///
 
 
あ、さっきの子だ。
思わず叫んじゃったのかな、可愛い…w
 
 
女)ミッキー!こっち見てぇ!♡♡
 
 
はぁ!?
あ、あれさっきのおばさんじゃん!
 
うわ…、なんかうちわブンブン振ってる…。
 
こんな静かなシーンで
完全にマナー違反でしょ…。
 
 
あ、またミッキーが踊り出した。
さっきの子供に指差してあげてるーー!!
 
その家族ははるばる北海道から
来てるんだよぉぉぉ〜〜
ありがとうミッキーー!!
 
って思わずあたしがお礼言いたい気分。
 
 
女)ミッキー!キャーー♡
 
 
……あのおばさんはガン無視されてるけどね。
 
年パス持ってるとか言ってたけど
非常識な人だなー。
 
 
♡)はぁぁぁ…感動しちゃった…///
臣)お前、涙目じゃん!!w
♡)だって…すごかったんだもん…///
臣)すぐ泣くーーー!w
岩)すげぇ迫力だったなー。
◇)ね!見応えあったー!楽しかった!
 
 
ショーを見終えて外に出ると
もう空が暗くなり始めてた。
 
 
岩)すげーおばちゃんいたよね…w
臣)うるせーのいたなーw
♡)静かなシーンで叫んでたね。
臣)どこにでもいるんだなあーゆーの。
♡)え?
岩)俺らのLIVEでもいるもんねw
  バラードの溜めで叫ぶ奴とか。
臣)いるいる。
岩)ネームタオル頭上でぶんぶんする奴とか。
臣)俺そーゆーのガン無視。
岩)俺もw
◇)でも子供には優しいもんね。
  ミッキーも一緒だw
♡)子供指差してあげてたもんね♡
◇)うん。
 
 
それから一通りパークを楽しんだら、
帰りはまた橘さんが迎えに来てくれて。
 
興奮冷めやらぬあたし達は
車の中でもワイワイワイ。
 
 
臣)いやーー、岩ちゃんのカツラ
  ぶっ飛んだ時はびっくりしたーーw
♡)戻ってきたら頭ないんだもん!
岩)俺が一番びっくりしたよ!
◇)あはははw
♡)でもグーフィー可愛いからいっか♡
  ◇ちゃんとお揃いだしね♡
岩)お揃いお揃いーー♡
 
 
剛典がふざけて
あたしにほっぺをくっつけてきた。
 
 
臣)俺たちもお揃いだもんねー♡
♡)ミッキーとミニーだもんねー♡
臣)んーー♡
 
 
チュッ♡
 
 
♡)どうして…チューするの///
臣)お揃いだから。
♡)おかしいでしょ!もう!///
 
 
前でイチャイチャする二人を見ながら
いつもなら
「出たよバカップルーw」
とか笑えるところだけど…
 
なんとなく今は
橘さんの反応が気になるあたし達…。
 
 
……うん、無言で運転してます。
絶対気付いてるはずなんだけどね…。
 
 
臣)てかさー、
  夜はまだまだこれからな時間じゃね?
岩)ほんとだ。
臣)飲み足りない。
♡)じゃあ帰ったら飲もうー♡
岩)いいね。臣さんち行っていい?
臣)いいよーどうぞー。
◇)じゃあお邪魔しまーすw
 
 
なんて話してたら…
♡ちゃんが爆弾を落としてしまった。
 
 
♡)あ、橘さんは?
臣)は?
♡)橘さんも良かったら一緒に飲もうよー♡
 
 
その言葉に固まるあたし達3人。
 
そうよね。
ど天然で鈍い♡ちゃんが
橘さんの悪しきオーラに
気付けるわけがないのよね…。
 
 
臣)何言ってんのお前。
  橘は運転してんだから
  飲めるわけねーだろw
♡)あっ!そっか!
  えーー、残念だなぁ…。
  なんか送り迎えだけしてもらって
  申し訳ない…。
臣)それがマネージャーの仕事だからいーの。
♡)でも一緒に飲みたかったなぁ…。
 
 
いいから!
もうやめて♡ちゃん!
 
って、心の中で思ったその時だった。
 
ずっと無言だった橘さんが、
ついに口を開いた。
 
 
橘)お酒は飲めませんが…
  ご迷惑じゃなければ
  ぜひ私も参加させてください。
 
 
どええええええ!!??
 
 
思わずあたしと剛典は目を見合わせた。
 
 
岩)いやいや、酒飲めなかったら
  つまんないでしょ、逆に悪いよw
◇)うん、そうだよね…w
  またの機会にお誘いした方が…
橘)大丈夫です。
 
 
こっちが大丈夫じゃねぇんだよぉぉ!!
 
空気読んで引いてくれ〜〜!!
 
 
臣)いいよ来なくて。真っ直ぐ帰れよ。
 
 
うおおお!
臣さんがズバッと言ったーー!!
 
 
橘)でも折角♡さんが誘ってくださったので。
 
 
ぎゃー!
まだ引き下がらないーーー!!
 
 
♡)ごめんね、橘さん…
  迷惑じゃなぁい?
橘)全然です。
  お誘いいただけて嬉しいです。
 
 
こっちは迷惑です〜〜〜!!
 
 
♡)えへへ、良かったー♡
  じゃあ来て来てーー♡
橘)はい、ありがとうございます。
 
 
◇岩臣)……。
 
 
無邪気とは時に恐ろしいものである…。
 
一体どうなっちゃうのよ、この後。
 
 
臣さんは眉間をつまんでため息ついて
♡ちゃんにもたれちゃったけど…
♡ちゃんはニコニコ笑ってる。
 
 
あたしと剛典はまた目を見合わせて
静かに頷いた。
 
 
どうか何事もなく、
平和に過ごせますように…。
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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