【27】それぞれの誘惑

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ランチから戻って
研修資料の続きを作ってると
営業の人たちが何人か戻ってきた。


「戻りました~!!」
「お帰りなさーい」


T)♡、お土産~♪
♡)え?
T)新発売のお菓子だって♪
♡)え?いいよ。
T)なんで!w
  お前、チョコ好きじゃん!
♡)好きだけど…
  なんでくれるの?
  Tくん食べなよー
T)だってお前が好きそうだから
  買ってきたんだもん。
♡)えーー!なんでーー!
  もう毎回買ってこないで~!
M)あ~Tさんがまた貢いでる~~
T)いや、こんくらいで
  貢いでるって言わないでしょw
  まぁお前が欲しいって言うなら
  アクセサリーでも何でも
  プレゼントするけど?
♡)言わない!いらない!
  もう仕事したいから戻ってー!
M)ぷぷっ♡
  先輩相変わらず鬼ですね♡
T)なんだよ~


Tくんは自分の席に戻っていった。


M)先輩、本気でTさん嫌なんですか?w
♡)Tくんは同期だから仲良いけど
  たまにしつこいのは嫌ーー。
M)あ~あ、登坂さんの話してる時は
  あんなに乙女なのに
  他の男にはほんと容赦ないですね~
♡)ちょっと!!
  名前出さないでっ!///
M)あ、ごめんなさい♡♡


課)おーい、♡~!
♡)はいっ!!
課)ちょっといいか?
♡)はい!


課長にミーティングルームに
呼び出された。

なんだろう…


課)いや~おつかれ。
♡)お疲れさまです。
課)申し訳ないんだけど…
♡)…??
課)Pの教育係引き受けてくれない?
♡)え!Pくんのですか?
課)うん。ずっとKに任せてたけどさ。
  あいつ新卒で入ってきて
  そろそろ一年だろ?
  でもいつまでもあんなだし
  ちょっと教育係変えてみるのは
  どうかなーって。
♡)私ですか??
課)うん。お前の言うことなら
  あいつ聞くんじゃないかなぁ?
♡)え…
課)ま、とりあえず明日から
  やってみてよ!!
♡)わかりました。
課)あ、そーだ!
  こないだの企画すごい良かったから
  次のも頼むな!
♡)はい!ありがとうございます。


先に部屋を出る課長を見送った。

突然言い渡された、教育係。


Pくんかぁ…
私なんかで務まるのかなぁ。
ちょっと不安…


そのまま廊下を歩いていると
Jさんが向かいから歩いてきた。


J)あ!♡ちゃん。
♡)お疲れさまです。
J)お疲れ~!元気?
♡)はい。
J)今日ご飯でもどう?
♡)え、行きません。
J)先約有り?
♡)ないですけど、
  前から言ってるじゃないですか…
  私、好きな人がいるんです。
  だから行きません。
J)ははっw
  彼氏なのに「好きな人」って
  言うところが可愛いよね~~
♡)あ…
  もうからかわないでください!
  じゃあ失礼します。
J)あ、薔薇元気?
♡)元気じゃないです。
  もう枯れちゃいました!
J)あははっ!
  まぁそんなに持たないか。
  でも…あれ見ると
  俺のこと思い出したでしょ?
♡)もう!!
  私要らないって言ったのに
  Jさんがそのままいなくなるから!
J)はーいはいw
  ごめんね~♪


私の言うことなんて
全然聞いてない感じで

ニコニコ笑うJさん。


♡)あの…本っ当に私、彼氏が好きなんです。
J)うん。
♡)彼氏が大事なんです。
J)うん。


ちゃんと伝わってるのかな…


J)いい加減その彼氏が
  どんな人か教えてくれない?w
♡)え??
J)いや、なんかね~~
  イメージ湧かないっていうか…
  何してる人なのかも
  全然教えてくれないしね~~
♡)……


だって…言えないもん…


J)ほんとに付き合ってるの?
♡)本当に付き合ってます!!
J)ふーん♪まぁいいや。
  じゃ、お疲れさまー♡


もう~~~
Jさんはいつも軽いノリで
全然私の話ちゃんと聞いてくれない。


デスクに戻ると
Kちゃんが私のところまで
来てくれた。


K)ごめん、課長から聞いた?
♡)あ、うん!


教育係のことだよね?


K)いや~散々教えてきたけど
  不甲斐ないっす。ごめん。
♡)え!なんで!


Kちゃんが謝ることじゃないのに。


K)だってあいつ…
  同じこと何回教えても出来ねぇし
  あ~も~~!
  でも…♡だったらまた教え方も
  違うだろうし…、悪いけど頼むわ。
♡)うん。わかった!頑張る!
K)なんかあったら言って?
♡)うん。ありがとう。


よし、私も頑張るぞー!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


仕事が一通り終わって
夜は久々に7人で飯会。


N)お疲れお疲れ~!!

皆)お疲れっすー!!

健)いやぁ~~
  仕事の後の酒は美味いな~♡
岩)間違いない♪
隆)でも…なんか…
  やたら広いね、この部屋w
直)7人入れるのがこの20人部屋しか
  なかったからねw
岩)なんか申し訳ないっすねw
E)でもお店の人たち
  快く案内してくれたよね♡
臣)うん。めっちゃカンジいい人たちだった。


と、俺たちが話してると


コンコンコン。


女)あの~すみません…
女)少しだけいいですか…?


店員さん達が入って来た。


女)本当にすみません!
  失礼なのは承知の上なんですけど…
  サイン…いただいたりなんて
  …出来ませんでしょうか?


N)あ、全然いいですよ!


女)本当ですか?!
女)キャーー!!うそみたい!!
女)うちの娘がファンでして…
女)私は私がファンですー!!


店員さん達のテンションが一気に上がった。

渡された小さい台紙を見て
NAOTOさんは苦笑い。


N)これに7人書けっかな…w
女)あ、もし無理でしたら
  全員じゃなくても…
N)あ、じゃあ俺のだけでいいですか?
  って違うか!w
女)あ…あの…登坂さんに…
N)臣かーいっ!w

臣)え!俺ですか?

女)はい!!娘がホットロード
  3回も観に行ってまして…

臣)わ、ありがとうございます。
  あの…名前入れますか?

女)い、いいんですか?!!
  わぁぁぁ!!
  じゃあ○○でお願いします。

臣)はい。

女)私は直己さんに書いて欲しいです!!
直)お、俺っすか?!!
E)直己さんいいなー♪
健)俺のは!誰かいないっすか~!
E)あっはははw


一通り頼まれたものにサインをすると
店員さん達は深々と頭をさげて
部屋を出て行った。


N)さて、仕切り直して飲みますか!
隆)そうっすね!


すると今度は
トイレから戻って来た岩ちゃんが
知らない女を4人連れて来た。


女)わ!三代目全員いるー!!
女)本当だ!すごーい!♡
健)あれ、Lちゃんやん!
L)この間はどうもー!
岩)そこで丁度会って。
健)え~!!
  こんな場所で会うん、すごいな!
L)直己さんも以前ご一緒しましたよね?
直)あ、はい!!
L)あ、モデル仲間の子たちです♡
女)どうも~~♡
女)初めまして~~
女)え~ご一緒してもいいですかー?


岩ちゃんたちが
一緒に仕事したことがあるモデル?
と、その仲間たち?

よくわかんねぇけど
普通に部屋に入ってきて
酒を頼み始めた。


N)じゃあ、改めましてかんぱーい!!
皆)かんぱーい!!!

女)みなさん今日は泊まりですかぁ?
N)あ、うん、みんな同じホテルで。
健)○○ホテルやで。
女)あ、ちかーい!
女)ほんとだね~♪
女)え、直己さん、ほんとに私のこと
  覚えてますか?
直)覚えてます!!
岩)直己さん、人覚えるの得意だから
  ほんとだと思うよw
女)良かったぁ~♡
  忘れられてるんじゃないかと
  思いました。
女)あ、健二郎さんおかわりいりますー?


なんか…一気に騒がしくなって
端っこで隆二と二人酒。


隆)NAOTOさんが…もう酔ってる。
臣)え…あ、ほんとだ。
隆)ペース早いな~
臣)明日大丈夫かな。
隆)ははっw 確かに。


顔むくまないといいけど…


隆)臣は早く家に帰りたいんでしょw
臣)は?……別に。


なんだよ、急に。


隆)まったまたw
臣)まだ今日出てきたばっかだっつーの。
隆)そっか。
  ♡ちゃん寂しがってた?
臣)ぜんぜん…
隆)あはっw 全然?w
臣)そ。ぜんぜん。
隆)いや~おもしれ~w


隆二がケラケラ笑ってる。


隆)でもやっぱ…
  待っててくれる人がいるってゆーか
  帰るとこがあるっていいなぁ。
臣)なんだよそれ。
隆)俺…、臣みたいに器用じゃないから
  仕事と恋愛の両立…ってゆーか
  上手くバランス取れねーもん。
臣)お前あんま彼女作んないよねー。
隆)うん。
  でも臣見てたらいいなって思うわ。
臣)彼女欲しくなった?
隆)どうだろw あははw
臣)あっちにお姉さん達いるけど。
隆)いや~ぶっちゃけ
  この間押し倒されてから
  ちょっとトラウマ…w
  肉食女子ひいちゃうんだよな…
臣)あ、それ健ちゃんに聞いた。
  マジなの?

女)あ~あ~あ~!!
  ヴォーカル二人で
  何やってるんですか~
女)そうですよぉ!
  なんか二人の世界~!!
臣)いや、別に。
女)なんか歌ってくださいよぉ!
臣)は?
女)はい♡どうぞ♡


え?
なんでマイクあんだよ?


部屋をよく見渡してみると

あ。

カラオケが付いてる。
さすが大部屋…



喋るより歌ってる方がラクだから
モデル達が入れた歌を適当に歌った。


女)キャーー♡♡さすが上手~!!
女)すごーい♡次、今市さんも♡♡


マイクを無理矢理渡され
同じように歌わされてる
隆二の歌を聞きながら

俺が携帯をいじってると

モデルが話しかけてきた。


L)登坂くんて
臣)あ?聞こえない。
L)登坂くんて!彼女いるの?
臣)います。
L)へ~そうなんだ。


俺がそのまま携帯を見てると
耳元まで近付いてきて女が言った。


L)私、もっと登坂くんの歌
  聞きたいんだけど…
  二人で抜けない?
臣)は?
L)だーかーら♡
  二人でお店出ない?
臣)出ない。


太ももを触ってきたモデルの手をよけて
俺は距離を置いた。


すると丁度♡から
電話がかかってきて

俺は部屋を出て、電話に出た。


臣『もしもし?』
♡『ガガガガ…ゴンッ…』
臣『は?もしもし?』
♡『ガシャン…ザザザ』
臣『おーい?』


なんだ?
わけわかんねぇ。


一回切ってかけ直してみると…


プルルルル。プルルルル。


♡『はい!もしもし?』
臣『あ、♡?どうした?』
♡『え?何が?』
臣『何がって、電話くれたじゃん。』
♡『え?いつ??』
臣『今。』
♡『えっ!うそっ!!
  あ!また勝手にかけちゃってた!』
臣『え?誤作動?』
♡『うん!』
臣『どうりでノイズばっかで
  変だと思った。』
♡『わーん!ごめんね?』
臣『いーよ別にw』
♡『まだお仕事中?』
臣『いや?今日はもう終わって
  今、飯食ってた。』
♡『そっか、お疲れさま♡』
臣『ん。お前は?』
♡『私、今ちょーど会社出るとこー』
臣『そっか、気をつけて帰れよ?』
♡『うん♡ありがと♡
  誤作動ごめんね?w』
臣『いいってw
  …お前の声聞けたし。』
♡『えっ』


うん、やっぱりほっとする。


♡『えへへ…//……好き♡』
臣『ん。俺も。』
♡『えっ!//』
臣『なに。』
♡『…なんでもない//』
臣『なんだよ!w』
♡『…キュン。』
臣『出た!w』
♡『出たってなに~!w
  私はいつもキュンキュン
  してるもん…///』
臣『……』
♡『はっ!!
  私会社で何言ってるんだろ!!
  ご、ごめん///
  恥ずかしい!わわわ///』


電話の向こうで
一人でわたわたしてる。


臣『ほんとおもしれぇな、お前。
  くくくっw』
♡『もうっ//
  じゃあまた寝る前にLINEするね?』
臣『ん。わかった。じゃあな?』
♡『うん。お疲れさま♡』
臣『お疲れー』




ー続ー

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