♡)あ…これ…
♡はテーブルに置いてあった
ホットロードの台本を手に取った。
♡)ホットロードだぁ!!
臣)うん。
♡)これ…見てもいいの?
臣)いーよ?
♡)もう撮影始まるの?
臣)うん、来週から。
♡)そうなんだ!
パラパラパラ。
♡)わぁ…すごーい!漫画に忠実だね?
臣)うん。
♡)台本ってこんなんなんだぁ♡
臣)俺も初めて見たw
♡)そうだよね!
臣)セリフ以外にもト書きめっちゃあって…
覚えれっかな…俺w
♡)ほんとだ~~
でも臣くん覚えるの得意でしょ?
臣)まぁ…頑張りますけどw
♡)あはは♡
♡は笑いながら台本をマジマジ読んでる。
♡)……このお話…、
臣)ん…?
♡)…友情とか親子愛とか恋愛とか…
色んな形の愛があって…
みんなそれぞれ成長していくでしょ?
臣)うん。
♡)そんな人間の成長が
リアルに感じられるところが
私は好きなんだぁ…。
臣)……
♡)でも…一番は…
臣)……
♡)「ミホコのためなら死ねる」って
そう言ってた春山が
「和希のために生きたい」
って、考え方が変わるところ…
そこが私、一番好き。
臣)……
それは…
春山の一番の成長の部分。
♡)この人のためなら命を張れるって…
そう思うのもすごいけど…
この人のために生きたい!って
そう思えることの方が…
そう思える人がいることの方が…
もっとすごいなって思うから。
臣)うん。そうだよな。
そんな風に思える相手に
誰もが簡単に巡り会えるわけじゃないし…
♡)臣くんの春山…
すっごく楽しみだなぁ♡
♡が無邪気ににっこり笑った。
臣)だから圧かけんなっつーのw
♡)あはは、そんなんじゃないってばぁw
あ!そーだ!
ね、ね、春山のとこ読んでみて~♡
臣)え???
♡)セリフー♡♡
臣)やだよ!w
♡)なんで~!やってみてよ~~!!
臣)じゃあお前、和希やる?
♡)やるー!面白そう!やってみる!
臣)女優志望だし?w
♡)あはははw
俺は♡から台本を受け取った。
臣)んーと…じゃあここは?
♡)えっと…あ!出会いのシーン?
臣)うん。
♡)よーし、覚えた!
臣)はや!w
♡)だって和希短いもん!
臣)確かにw
♡)じゃあいいよー?
臣くんあっちから歩いて来てね♡
臣)はいはいw
言われた通り俺が距離を開けて立つと、
いきなり♡の表情が変わった。
臣)…っ
え…
これ…ガチなやつかな…
じゃあ…俺もガチで行こ。
臣)……何見てんの?
俺はゆっくり歩いて行って
♡の前にしゃがみ込んだ。
臣)いくつ?
♡)…
臣)名前は?
♡)…
臣)お前喋れないの?w
♡)…
臣)…
♡)…
臣)お前んち、家庭環境悪ぃだろ。
♡)……
臣)……
♡)お前には関係ねぇだろ。
♡がすごい眼で俺を見てそう言った。
臣)…っ
♡)……
臣)……
♡)??あれ??
次、臣くんだよ???
臣)え、あ…っ、ああ!!
♡)あはは、どうしたのー?
臣)いや……、
すげぇ眼力にびびったんですけど…。
臣)……
ちらっと顔を覗くとニコッと笑って…
ああ、いつもの♡だ。
なんだったんだ今の…
マジびびった…。
もしかして…元ヤンとか…
昔レディースだったとかじゃねぇよな…??
普段とのギャップがありすぎて…
♡)ねぇねぇ、じゃあ次、違うとこやろー♡
すっかり楽しそうな♡は
またパラパラと台本をめくってる。
♡)あ、ここはー?
臣)んー?
♡)送ってやったんだから
礼くらい言えよ、のところー♡
臣)……やだ。
♡)え!どうしてー?
臣)めっちゃこっ恥ずかしいところじゃん!
♡)え?「俺の女にならない?」が?
臣)そーだよ!//
♡)え~~ここの春山すっごく
カッコイイのに~~♡♡
臣)ぜってーやだ!
♡)本番ではやるのにぃ?
臣)……
お前にそんなセリフ言えるかよ!///
♡)あ~あ…この春山見たかったなぁ~~
臣)……
♡)ちえーっ
臣)わかったよ!
じゃあやってやろーじゃん!
♡)え!ほんとー??
臣)お前もちゃんとやれよ!
♡)わーい♪
臣)……
こうなったらガチでやってやる。
くっそーー
♡)はい♡
じゃあ和希がメット取ったところからね♪
臣)はいはい…
♡と少し距離を取って、後ろから話しかけた。
臣)送ってやったんだから
礼くらい言えよ。
♡)……
臣)……
♡)……
臣)うっそw
ムカついた?
…俺、女にフラれたの。
だからちょっと苛ついてんだよ。
♡)……
臣)ごめんね?
♡)……
臣)……
♡)…ミホコに?
臣)……ぶっ殺されてぇのかてめぇ。
♡)……
ふいっと横を向いた♡。
俺は後ろから肩を抱いて、顔を寄せた。
臣)お前…
♡)きゃあっ///
臣)え???
♡は俺から飛び退いて、
顔を真っ赤にしてる。
臣)え?
セリフ、合ってるよな?
♡)び、びっくりした///
臣)いや…だって…
ここ…春山がこうやって
次のセリフ言うとこでしょ?
♡)セ、セ、セリフだけじゃないの?///
臣)……
俺がいきなり肩抱いたから
こんなテンパってんの?
真っ赤になって
クッションで顔隠してるし…
なんだよこれ…w
♡)も、もう終わりっ///
臣)はぁ?
お前がやりたいって言ったくせにー?
照れてんのかな…
かわい…w
♡)お、終わりっ!!
あ、お酒おかわりください!///
なんかごまかしてるし…
臣)はいはい。
空になったグラスに酒を注いでやると
♡は一気にそれを飲み干した。
臣)おい!!大丈夫かよ!!w
♡)え??
臣)一気に飲んだから…
♡)はっ!思わず…
臣)思わずって…ww
ピロピロ♪ピロピロ♪
♡)あ…LINEだ。
臣)あ、さくちゃんじゃん。
4人のグループLINEに
さくちゃんからメールが届いた。
さ『皆さん、鍋しますよ!!🙌🎵』
臣)ははっw
唐突だな。
賢『鍋いいね👍』
♡『鍋するーー😊💕』
さ『いつ空いてんの!!』
臣『俺ちょっと今月は厳しいかも💦
でも鍋食いたい。』
♡)えっ!臣くん今月も忙しいの?
臣)うん。夜ほとんど仕事入ってるし
予定も入れちゃってるし…
午前中空いてる日とかはあんだけど。
♡)そうなんだぁ……
さ『じゃあ来月は~~?』
臣『まだわかんないけど…
でも仕事の合間に顔出せたら行くから
決めちゃっていいよー!』
さ『え~~臣くんいなきゃやだ~~』
賢『やだ~~💕』
さ『とか言ってみたり🎵』
賢『言ってみたり🎵』
臣)なんなのこの二人w
♡)あはははw
臣『ちょっとスケジュール調整して
また連絡するわ!』
さ『お願いしまーす✋』
臣)もう鍋の季節か〜〜
♡)寒くなってきたもんね。
臣)うん。
さて。
臣)何するー?
♡)え?
臣)本読みやめんでしょ?w
♡)あ…うん。
臣)映画でも観ますー?
♡)あ!観たい!!♡
臣)何がいい??
♡)なんでもいいよー!!♡
臣)うーん…じゃあ適当なやつ…
♡)わくわく♡
♡はソファーに座って
クッションを抱えながらニコニコしてる。
適当な映画を選んで観始めると…
♡)………スヤァ……
臣)ぶっ…w
開始20分。
もう寝てるんだけど、この子ww
臣)早すぎだろ…w
沖縄から帰ってきたばっかだもんな…
疲れてるか…。
臣)……よいしょ。
眠ってる♡にブランケットをかけてやって。
ピロピロ♪ピロピロ♪
臣)ん?
あ…またさくちゃんだ。
個人LINE?
初めて来た…なんだろ…。
さ『臣くん最近どうよ!😃』
臣『どうよって何が?笑』
さ『♡と!!』
え…
今目の前にいますけど…
急になんだ??
臣『頑張ってますけど。色々。』
さ『そっか。
じゃああたし臣くんの味方だし
やっぱり言っとくね!!』
ん?なんだ??
さ『♡ね、最近プロポーズされたらしいよ!』
臣)はぁぁ?!!!!
思わずでかい声が出た。
♡)ん……、
臣)あ…やべ……っ
てゆーか…
プ、プロポーズってなんだよ!!
どこのどいつに…
え???
ちょっと…頭が追いつかない…
臣『誰に?』
さ『そこは詳しく聞かなかったけど
なかなかイイ男っぽいよ!!』
マジかよ……
さ『あ、ごめんごめん!💦
♡がそう言ってたんじゃなくて
話聞いてあたしが勝手に思っただけ!』
臣『いつ?』
さ『今週!!』
今週って…
さ『なんか断れなくて二人でご飯行ったら
そこでプロポーズされたんだって~~』
あの日か!!!
臣『なんて返事したの?』
さ『まだ返事してないんじゃないかな?』
臣『そうなんだ。』
返事保留にしてるってことか??
さ『っていう報告を一応ね✊
あたしは臣くん応援してるから
頑張ってね~~💕✨』
なんちゅー報告をあっけらかんと…
臣『ありがと。』
さ『うん!じゃあおやすみ~~🍀✨』
臣)はぁ……。
マジかよ…。
だって…プロポーズって…普通、
付き合ってる相手にするよな??
臣)……
付き合ってはないけど
いけると踏んで言ったとか??
それとも…そんなのお構いなしに
結婚したいと思うくらい…
こいつのこと好きとか??
つーか…
そんな風に思わせるくらいの関係の男が
いるってこと??
臣)…っ
俺は♡の寝顔に目をやった。
♡)……スー……スー……
臣)……
俺…
♡がこっちを向き始めてくれてるような
気がしてたけど…
勘違いだったのかな…。
俺のことどう思ってるか
わかんないって言ってたし…。
臣)……
さっきみたいに顔を赤らめて
恥ずかしがったり…
無邪気に可愛く笑ったり…
俺以外の男の前でもしてんのかな…。
臣)…っ
そう考えたら
一気にモヤモヤとした嫉妬と独占欲が
…胸の中を走った。
でも…
この間の電話では
その男とは二度とデートに行かないって
言ってたよな…??
他の男、家にあげたりもしないって。
あれって…建前上そう言っただけ??
俺の前で素直に答えた♡を信じたいけど…
思い返せば…
今までのって全部、
俺からのアクションな気がする…。
臣)……
あ!!でも!!
こないだ♡から…手触ってきたし!!
俺が離さないって言ったら…
嫌じゃないって…可愛く答えて…
あれ??
嫌じゃないとは言ったけど
繋ぎたいって言われたわけじゃ…ない?
そーだ。
繋ぎたいとかじゃないよって言われたのに
俺が強引に繋いだんだった…
臣)…っ
でも!
ドキドキする…って…言ってたよな?
…って、そりゃドキドキくらいするか!
手繋いでんだもんな…
別に俺が好きだからとかじゃ…
うわ…
なんかもう一気に自信なくなってきた。
だって…
プロポーズって…。
なんだよそれ!!!
臣)…あ!!
そういや!!
頭がいっぱいいっぱいだったとか
そんなこと言ってたけど…
プロポーズされたからか!!!
臣)…っ
じゃあ…
その男のことばっかり考えて
頭がいっぱいだったってことだよな…
臣)……くそっ
もうわけわかんねぇ!!!
何がどうなってんだよーーー!!!
臣)……はぁ…っ
俺が一人でパニックになってると
♡はむにゃむにゃ言いながら
ソファにパタッと倒れた。
臣)……おい。
♡)ん~~~
臣)もう寝ろ、お前。
♡)ん~~~
臣)ほら。
倒れた♡の身体をゆっくり起こすと
♡は静かに目を開けた。
♡)あれぇ…
臣)もう眠いんだろ?寝ろ。
♡)あ…映画…
臣)開始20分で寝てたっつーのw
♡)わぁ…ごめんね?
臣)全然いいけど。
♡)んん…
じゃあ歯磨きしてくるーー
臣)あ、じゃあ俺も。
それから二人で歯磨きして戻ってくると
♡は目が覚めたのか、
♡)映画の続き観よー♡
ニコニコと笑ってる。
臣)はぁ?だーめ。
お前絶対また寝るもん。
♡)寝ないからぁ!!
臣)絶対嘘。
♡)え~~~!!
臣)もう今日は大人しく寝ろ。
明日起きて観りゃいいじゃん。
♡)あ!そっか!!
臣)うん。
♡)じゃあ…そうしよっかな…
臣)お、言うこと聞いた。
えらいえらい。
♡)じゃあ…ここ借りるね?
おやすみなさーい♡
臣)はい??
♡はソファーに横になって
ブランケットを身体にかけた。
臣)おい、何してんの。
♡)え??
臣)お前はあっち。
♡)え??
臣)ベッドで寝ろっつーの!
♡)え?なんで??
臣)なんでって…
こんなところで寝かせられっか!
♡)臣くんは??
臣)俺はソファーでいい。
♡)え、ダメだよ!
私ソファーでいいもん!!
臣)女こんなとこに寝かせられないから。
いいからベッド行け。
♡)だめー!!
臣)なんで!!
♡)だって!!
私の方が体小さいのに
どうして大きい臣くんが
ソファーなのー!!
臣)はい??
大小の問題??w
♡)そんなことしたら臣くん体痛くなって
疲れ取れなくって踊れなくなって…
そしたら日本全国民が…
臣)出たーーー!!
♡)えっ…
臣)お前そのネタ好きだな?w
♡)ネタじゃないもん!!w
臣)別に一晩くらいソファーで寝たって
キレキレで踊ってやるっつーの。
♡)え…、カッコイイ……
臣)なんじゃそりゃ!w
♡)だって…//
臣)つーかしばらくは踊る予定ないわい!w
♡)え~~~~
臣)え~~~~じゃなくて。
わかったらベッド行きなさい。
♡)やだっ。ここで寝る!
臣)お~ま~え~は~~
強情な奴だな~~~
♡)ぷんっ
臣)ぷんじゃねぇっつーの!
なんなんだよもう!!
臣)じゃあもういっそ一緒に寝る?
♡)え?
…って、さすがにこう言や大人しく…
♡)そっか!
え????
♡)そうすればいいのか…!
そしたら臣くんちゃんとベッドで寝る?
臣)え?え?え??
♡)じゃあそうするー!!
♡は納得したように寝室に向かって…
臣)…っ
……オイ!!
♡)私寝相良いから大丈夫だよー♡
端っこで寝るねー♡
臣)えっ…
寝相とかそういう問題じゃ…
♡)え…、ダメなの?
臣)はい??
♡)一緒に寝るの。
臣)いや…、えっと……
♡)そしたら問題解決でしょ?
臣)……
解決…なのか…?
♡)違うのー?
じゃあ私やっぱりソファーで…
臣)わかったわかった!!!
一緒に寝る!!!
♡)うん。
臣)…っ
な、なんだこの展開…
♡)臣くんのベッド広いんだねー!
臣)……ええと、はい。
♡)臣くんどっちー?
臣)は?
♡)こっちー?こっちー?
臣)どっちでも…いいけど…
♡)じゃあお先にどうぞ♡
臣)……
てゆーか…
ほんとにこの展開、何??
こいつ…誘ってんの??
襲われたいの??
♡)じゃあ私こっちねー♡
♡は俺と反対側からベッドに入って
本当に端っこで布団をかぶった。
臣)……
少しは…距離あんな…。
♡)臣くんのベッドふかふかだぁ♡
臣)そ?
♡)うんっ♡
臣)……
つーか…
ほんとに一緒に寝んのか??!
♡)ぐっすり寝れそう♡
そうですかい!!
俺は全然寝れなそうだけどな!!
♡)なんかお泊まり会みたーい♡
臣)は??
何をのんきなこと言ってんだよ!
これのどこがお泊まり会だ!!
♡)おやすみなさーい♡
臣)……
どうしよう。
♡)臣くん…?
臣)ああ、えーと…じゃあ、電気消すぞ?
♡)あっ…
俺は一番暗いフットライトだけ残して
電気を消した。
臣)これなら大丈夫?
♡)…うん、ありがとう…。
隣の♡の声に耳を傾けながら、
俺は天井を見上げた。
臣)……
はぁ…なんだこれ…
大丈夫かな…俺…。
まぁ…
こんだけ離れてりゃなんとか…
♡)……スー……、…スー……
臣)!!!
もう寝てる!!
はやっ!!!
聞こえてきた寝息に、横を向くと…
♡はこっちを向いてスヤスヤ寝てる。
臣)……
よく寝れんな、この状況で。
マジで俺のこと
男だと思ってないんじゃ…
♡)…ん……、
え??起きてる??
……いや、寝てるか…。
♡)んん……
臣)……
なんか…動いてる…。
え?
♡)ん~~~
え!え!え!!!
臣)!!!
な、なんかコロコロ
転がって来たんですけど!!
臣)…っ
俺が自分の腕を枕にしてたら
♡は目の前まで転がってきて…
♡)んんー
臣)…っ
何が寝相良いだよ!!
ふざけんなーーー!!
……ぱしっ
ぱし…っ
臣)ん…?
手でパシパシしながら何か探してる…?
♡)んーー♡
臣)わ…っ!///
わ、わっ、ちょ…っ
もぐりこんできた!!!
何してんのこいつ!!!///
臣)…っ
俺が慌てて動こうとすると
その隙に今度は俺の腕の中に入ってきて
ぎゅっとしがみついてきて…
臣)?!!///
な、何これ!!!!!
ちょっと!!!!
え…え……////
臣)////
わ…首筋に息がかかる…っ
ちょ、これ、マジ無理!!////
♡)ん…ぅ……
ぎゅーーー
臣)…っ
こいつ…絶対俺のこと
にゃんこと間違ってる!!!
俺は抱き枕じゃねーぞ!
ふざけんなマジで!!////
臣)……
どう動いてもどっか触っちゃいそうで
俺が硬直してると、
今度は♡が俺の身体に脚を乗せてきて…
臣)////
オイッ!!////
え…つーか…
ちょっと待て…、
臣)…っ
こいつ…下履いてない?!///
少し頭を起こしてみると、
ベッドの脇に畳んで置いてある
スウェットが見えた。
何勝手に脱いでんだよ!!
いつの間に!!!!
脱ぐなっつったろーが!!///
臣)…っ
つーか…
じゃあこれ…、生脚ってこと?
臣)////
ヤ、ヤバい…
どうしよ…/////
ドクン…
ドクン…
ってか…こいつが勝手に
くっついてきたんだし…
勝手に脚乗せてきたんだし…
ちょっとくらい触っても…
臣)……
つーか…
めっちゃ触りたい。
死ぬほど触りたい。
起きねぇよな?
大丈夫だよな?
ちょっとぐらい…
俺はそーっと…
♡の太ももに手を伸ばした。
……ドクンッ
臣)…ッ////
うわ…
めっちゃやわらけぇ~~///
何これ…////
襲いてぇぇぇぇぇ~~
ああぁ~~~////
臣)……///
触ってすぐに、後悔。
俺の体は素直に反応するし…
触っちゃったら…
抑えきかねぇじゃん…
くそーーー////
♡)…スー……スー……
臣)……
♡は俺の腕の中でスヤスヤ眠ってる。
こんなん…
無理矢理チューして襲うのなんて
簡単なのに…
簡単だけど…
出来るわけねぇだろうがーーー!!!!
臣)……っ
ああヤりたい。
くそーーーーーーーー
なんでこんなやわらけぇんだよ…///
つーかなんでくっついてくんだよ!!
なんで勝手に脱いでんだよ!!
安心しきってんじゃねぇよ!!
あ~~~も~~~///
ダメだ。
落ち着け、俺。
今触った太ももは忘れろ。
触ってない…触ってない…
あ~~神様。
今だけ俺から性欲を奪い取ってください。
頼みます。
ほんとに!!!!
臣)……
よし、無になろう。
無!無!
考えんな!
何も考えんな!!
今俺は無の境地!!!
♡)ん……、
臣)!!!
だぁ~~!!!!
声を出すな、声をーー!!////
折角の俺の精神統一が~~!!!!
……いや、違う!
焦んな俺!!
俺は今悟りを開いてんだっつーの!!
ぜってぇ耐えてやるし!!
臣)…っ
例えお前が…
太ももで誘惑してこようが…
チューしてこようが…
おっぱい出してこようが…
ぜってぇ…
臣)……
…って、耐えれるわけねぇだろうが!!
何だよそれ!!///
俺はなんちゅー妄想をしてんだよ!!
ああ、もうっ!!///
♡)……スー……スー……
臣)……
こんな俺の葛藤なんて知りもしないで
ぐっすりか…。
はぁぁ……
つーかもう何これほんと。
拷問?
神様、俺なんかした?
臣)……
……したか。
え、これ天罰?
未遂だったのに?
朝までこの拷問状態で
一睡もするなと???
臣)……はぁ…。
死ぬ……。
……
…
でも…
やっぱりあんなの…
俺にとっては何の意味もなくても
♡が知ったら絶対嫌がるようなことだよな。
嫌われるか…軽蔑されるか…
ヤんなくて良かった…マジで。
もしヤってたら…
こんな風にこいつの顔見る時に
絶対罪悪感、感じてたよな。
はぁ……。
臣)……
俺はそっと、♡の頬に触れた。
柔らかい体温を、手のひらに感じる。
臣)……
もういいよ、俺。
お前だけでいいから…
だから早く…
俺のこと好きんなれ…。
………ぎゅ…っ。
腕の中にいる♡を、そっと抱きしめた。
好きだ。
ほんとにこいつが…好きだ。
♡)ぐすっ…
え?!!
♡)う…っ
え!?
何だ?!!!
臣)…っ
泣いてる?!!
うそ!!
俺が太もも触ったから?!!
わ、わ、ごめんなさい!!
うそ!起きてた??!
臣)…っ
混乱しながら♡の顔を覗くと…
……あ、寝てるままだ…。
♡)……
臣)……
しばらく見つめてると、
♡の目尻から涙が静かに滲んで…
こめかみへ流れていった。
臣)…っ
なんで泣いてんだよ…。
その涙を見て、
一気に冷静になる自分がいて。
そっと親指で♡の涙を拭いてやった。
♡)…ぐすっ
臣)……
まだ…泣いてる。
泣くなよ…。
俺は♡を腕の中に抱き寄せて、
背中を優しくたたいた。
トン…トン…
臣)……
さっきまでアホな事しか
考えてなかった俺って…
なんか…一気に色々吹き飛んだわ。
トン…トン…
……怖い夢でも…見てんのかな。
トン…トン…
♡)パ…パ……
え???
臣)……
あ…寝てる…
寝言か…。
……今、パパって言った??
お父さんの夢…見てんのか??
なんで泣きながら…
臣)……
お父さんって確か…
お母さんとすげぇラブラブだって
言ってたっけ。
理想の夫婦だって…。
トン…トン…
どんな人なんだろ…
臣)……
トン…トン…
♡の背中でリズムを奏でながら…
俺は♡が少しでも早く泣き止むように
優しく抱きしめて、
……ゆっくりと目を閉じた。
ーendー
コメントを残す