(38)急な大雨

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今日は歌番組の収録。
 
 
午前中の仕事を終わらせて楽屋に行くと
みんながびっくりして俺を見た。
 
 
隆)ヒゲ!!!
岩)ないっっ!!!
臣)ああ、うん。
直)おわぁ!!なんかすげぇ新鮮!!!
N)若い!!!
健)おおおっっ!!
E)いいじゃん臣ぃ~~!!
臣)なんかそこまでリアクションされると
  照れんだけどw
N)いよいよ撮影始まるってこと?
臣)はい。
 
 
ホットロードのクランクインが来週だから
ついにヒゲを全部剃った。
 
 
隆)ヒゲなし臣とか初めて見た。
岩)そうだよね!ずっとあったもんな〜〜
E)どうどう?w
臣)なんか変な感じw
健)あははは、寂しいんやろw
臣)なんかねー。
 
 
スースーするっていうか、
まだ慣れない。
 
 
隆)でもさ、ヒゲってない方が
  女の子には好評だよね。
N)だね。
健)え!そうなんすか?
隆)なんかヒゲあると
  やっぱりチューの時嫌がられる。
岩)刺さりますもんねw
N)だから俺、前ヒゲなくした時
  めっちゃ彼女に喜ばれたw
直)そっかぁ。
  NAOTOさんもありましたもんねぇ。
E)EXILE、ヒゲ率高いですよねw
直)うん。
臣)……
 
 
確かに…
結構みんなヒゲあるな…。
 
 
隆)見てる分にはカッコイイけど
  チューすんのは嫌って言われんだよなぁ。
健)誰に?
隆)誰って…女の子。
健)どこの?
隆)どこのって…
  別にどこのでもいいじゃんw
健)そのへんでチュッチュしてんねやろ〜!
隆)そんな見境なくしてないし!w
岩)じゃあ臣さん、
  好きな子にチューしたらー?w
臣)は??
岩)ヒゲなくなったから
  いいじゃーん♪ってw
臣)するか!あほ!w
隆)したいくせに~~
岩)したいくせに~~
N)したいくせに~~
臣)もういいですって!w
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
M)あ~~ん!
  帰りたくないよぉ~~~
K)マジで沖縄最高!!!
♡)ほんと楽しかったねぇ♡♡
 
 
沖縄でのキックオフも無事終わって、
今日が最終日。
 
 
先)お土産あと何個買えばいいか
  わかんなくなっちゃった!
先)わかるw
  とりあえず旦那のは買ったけど…
K)まぁでも会社に買わなくていいから
  ラクっすよねw
先)みんなで来てるからね~w
M)先輩は例の人に買ったんですかぁ?
  お土産♡
♡)うん!買ったよー!
M)何にしたんですかー?
♡)昨日電話して聞いたら
  すっごく迷ってて最終的に
  お酒がいいってw
 
 
だから臣くんには泡盛を買ったんだー♪
 
 
M)へ~~お酒好きな人なんですねぇ。
  強いんですかー?
♡)うん、強いと思うー
K)え…酒好きなの?大丈夫?
♡)え?
K)酔って暴れたり…
♡)しないよっ!w
K)女に手ぇ出したり…
♡)しない…と思う…
K)ほんとかよ~~
♡)Kちゃんがまた心配してくれてるw
  ありがとw
 
 
臣くんはそんな酒癖悪い人じゃないもん。
 
 
ピロピロ♪ピロピロ♪
 
 
♡)あ。
 
 
水族館に向かってる途中で
臣くんからLINEが来た。
 
 
臣『今日何時に帰ってくるんだっけ?』
♡『今からみんなで水族館行くのー🐠💕
  その後、夜の飛行機で帰るから
  羽田に21時過ぎに着く予定だよ✈️』
臣『結構遅いんだなー🕘』
♡『その時間、臣くんもうお家にいる?』
臣『22時過ぎならいると思う。』
♡『ほんとー?😃
  じゃあ一瞬でいいから会えるー?』
臣『え、一瞬??』
♡『なんちゃって、臣くんの真似🙈笑』
 
 
前にそう言って、
お花をプレゼントしに来てくれたから。
 
 
♡『お土産渡しに臣くんのお家に一瞬
  寄って帰ろうかなぁって😊✨』
臣『ほんとに?今日?』
♡『うん!迷惑じゃなければ…』
臣『じゃあ駅まで迎えに行くわ!💨』
♡『え!!いいよいいよ💦
  場所わかるもん!!
  お家で待っててー!!』
臣『とりあえず羽田着いたら教えて。』
♡『はーい😊🎵』
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)……ふぅ。
 
 
一瞬と言わずに
なんならずっとうちにいてもいいんだけど。
 
泊まってくれてもいいんだけど。
 
 
なんて。
 
 
臣)はぁ…。
 
 
やっと久々に会えるーーーー
 
 
ああ、ヤバい…早く会いたい。
 
絶対迎えに行こ!!
 
 
そんで…
帰りはあいつん家まで送って行ったら
少しは話せるし…
 
よし!そうしよ!!!
 
 
隆)なんか臣がニコニコしてる。
臣)え!!
隆)ご機嫌。
臣)別に…///
隆)はいはい、どうせ♡ちゃんでしょ。
臣)…今日帰って来るんだって。
隆)どっから?
臣)沖縄。
隆)ああ!!言ってたやつ?!
  今週だったんだ!!
臣)そう。
隆)いいなぁ~~沖縄!!
  綺麗な海見てぇ~~~
臣)あ、写真送ってきてたよ。
隆)え、見して見して。
 
 
♡が送ってくれたのは
沖縄の海とか自然の写真。
 
すげぇ綺麗。
 
 
隆)うわ、すっげぇ〜〜!
臣)な~~いいよな~~
隆)綺麗だね〜〜
  いっぱい送ってくれてんじゃん。
臣)うん、俺が送ってって言った。
隆)ほんとに欲しいのは
  ♡ちゃんの写真でしょ?w
臣)はぁ?!
隆)素直に言えばいいじゃん♪
  お前の写真送れ~ってw
臣)言うかよ!w
隆)お前のエロい写真送れ~ってw
臣)どんな写真だよ!w
  それ俺変態だろが!!
隆)あはははw
  そんなん言ったら一発で嫌われそうw
臣)絶対嫌われる。
隆)だよねw
  なんかピュアだもんな~あの子w
臣)そうだよ。
 
 
でも…
エロい写真ってどんなん…
 
 
臣)……///
 
 
ちょっと見たい。
 
 
隆)今日早速会うの?
臣)ああ、なんかお土産届けてくれるって。
隆)え~~いいじゃん♪
臣)うん。
隆)ヒゲもなくなって、チューもできるし。
臣)は???
隆)頑張ってね~♪
臣)しねぇっつーの!!w
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
羽田に着いて
モノレールに乗って
臣くんにLINEするとすぐに返事が来た。
 
 
『いつもの駅の横のコンビニにいるわ~🏪』
 
 
え?え?
ほんとに迎えに来てくれるってこと?
わわわ…っ
なんか申し訳ない…。
 
 
K)じゃあね、お疲れ〜〜!
♡)お疲れさまー!
 
 
みんなと別れて、地下鉄に乗り換えて
いつもの駅を出ると…
 
 
♡)……あ。
 
 
コンビニで立ち読みしてる
マスク姿の臣くんが見えた。
 
 
……コンコン。
 
 
荷物がいっぱいだから窓ガラスを叩くと、
臣くんはすぐに気付いて出て来てくれた。
 
 
臣)おかえりーー
♡)!!!
 
 
えっ!!!えっ!!!
 
 
臣)ん?
♡)臣くんのヒゲがないっ!!!
 
 
マスクを外した臣くんのあごは
つるつるになってて…
 
 
臣)ああ、これ?w
♡)はわわわっ
臣)そんな驚く?w
♡)だ、だ、だって!びっくりしたぁ!!
臣)……どうっすか?
♡)ない方がいい!!
 
 
思わず即答した。
 
 
臣)ほんと…?
♡)うん!!
  あるのもカッコ良かったけど
  私はこっちの方が好きー!!♡♡
臣)よっしゃ。
♡)わぁわぁ!!すごーい!!
臣)いや、なんもすごくねぇしw
  ヒゲないだけだしw
♡)ふふーっ♡
 
 
なんだかすごく新鮮♡
 
 
臣)ほら、荷物貸せ。
♡)え??
 
 
そう言って臣くんは
私のキャリーケースを手に取って
もう片方の手もピラピラさせてる。
 
 
臣)そっちも。
♡)え??
臣)貸せ。
♡)いいよ!これ重いもん!
臣)重いから俺が持つんだろw
♡)えっ…
臣)ほら。
♡)あっ…
 
 
取られちゃった…。
 
 
♡)ありがとう…///
臣)ん。
 
 
やっぱり臣くんは優しいな…。
 
 
臣)行くぞ。
♡)はいっ!!
 
 
慌てて臣くんの後ろを追いかけた。
 
 
この道…
臣くんと歩くの三度目だなぁ…
 
 
♡)臣くん…
臣)んー?
♡)わざわざ迎えに来てくれてありがとう。
臣)全然。
♡)仕事で疲れてるのにごめんね?
臣)だからじゃん。
♡)え??
臣)疲れてるから癒されてぇの。
♡)えっ…
 
 
それって…
 
えっと…
 
 
臣)早く会いたかったし。
♡)……///
 
 
その言葉に、胸が少しドキッとした。
 
 
臣)水族館、どうだったー?
♡)え??
臣)今日行ったんでしょ?
♡)あ、うんっ!すっごく楽しかった!!
臣)ふーんw
♡)水槽とかすっごくおっきくてね?
  ほんとすごかったのー!♡♡
臣)良かったねーw
♡)うんっ♡♡
臣)ぷっw
♡)え…、何…?
臣)いやー?w
 
 
くすくす笑ってる臣くん。
 
 
なんかまた、子供扱いされてる気がする…。
 
 
♡)臣くんは今日は?
臣)今日は…雑誌のインタビューと
  歌番組の収録。
♡)歌番組ー?冬物語ー?
臣)そうそう。
♡)どんな衣装なのー?♡
臣)ないしょーw
♡)出たぁっ!すぐ内緒って言う~~!!
臣)あはははw
 
 
たまには教えてくれたっていいのになっ。
 
 
臣)ん…?
 
 
斜め前を歩く臣くんを
後ろからじーっと見てると
 
 
臣)どうした…?
 
 
臣くんがニコッと振り返った。
 
 
♡)なんか…ほんとに不思議だなぁって…。
臣)何が?
♡)ヒゲない臣くん。
臣)またそれかよ!w
♡)だって~~
 
 
まだ見慣れないんだもん。
 
 
臣)女子ってあんまりヒゲ好きじゃないの?
♡)うーん…、どうなんだろ…。
  あ、でも!チューする時痛いから
  やだって言うのは聞いた事あるー!
臣)あ、やっぱそうなんだ…
♡)うん。
 
 
私はヒゲある人とチューしたことないから
わかんないけど…
 
 
臣)じゃあ試してみるー?
♡)え??
 
 
試…す…?
 
 
臣)チューしやすくなったかどうか。
♡)え??
臣)……
♡)え??
臣)……
♡)え????//////
臣)ぶっww
♡)はっ!!
臣)あははははww
 
 
大笑いしだす臣くん。
 
からかわれた…///
 
 
♡)もうっ!ばかぁ!嫌いっ!!///
臣)ごめんごめんw
♡)びっくりした…///
臣)冗談だっつーのww
 
 
また臣くんに振り回されてる…
もう…っ///
 
 
 
ぽつ…、ぽつ…っ
 
 
♡)あれ…?
臣)え…、雨??
 
 
ぽつっ、ぽつっ、ぽつっ
 
 
♡)え、え、降るのかな…
臣)マジかよ…傘ねぇけど…
 
 
ザーーーーー
 
 
♡)え!!いきなり降ってきたぁ!!!
臣)走んぞ!
♡)はい!!!
 
 
雨宿り出来るようなところも全然なくて
私たちは一旦臣くんのマンションまで
猛ダッシュした。
 
 
♡)はぁ…はぁ…っ
臣)何この雨!いっきなり!!
♡)び…っくり…したぁ…、はぁ…
臣)びっしょびしょじゃん。
  ゲリラ豪雨か?
♡)ほんとすごいね?
  バケツの水みたい…
臣)お前大丈夫?
 
 
とりあえず屋根の下に避難したけど…
 
 
♡)臣くんもすごい濡れてるよぉ
臣)これ…服絞れんじゃね?
♡)ほんとだぁ!
臣)しかも止みそうにねぇし…
  つーかこんな濡れてたら風邪ひくな。
  とりあえずうち行こ。
 
 
そう言われて、私はそのまま一緒に
臣くんの部屋まで行った。
 
 
臣)とりあえず荷物ここ置くぞー?
♡)あ、うん!ありがとう!
臣)マジでぐっしょぐしょ…
 
 
そう言うと臣くんは
勢いよく上の服を全部脱いだ。
 
 
♡)わっ、わっ…///
 
 
目のやりどころに…困る…
 
 
臣)ぜってぇこれ絞れる。
♡)……///
臣)つーかお前も脱げよそれ。
  ヤバいじゃん。
♡)えっ…
臣)なんか着るもんあるかな…
  とりあえず、タオル。はい。
♡)ありがとう…//
 
 
もらったタオルで頭を拭いてると、
臣くんが寝室から服を取ってきてくれた。
 
 
臣)とりあえずこれ着て。
♡)わ、ありがとう。借りるね?
臣)つーか髪もびっしょびしょだな…
  お前シャワー入れば?
♡)え?
臣)ほんと風邪ひきそうだから。
♡)えっと…
臣)んで、服はこれに干せ。はい。
 
 
臣くんにハンガーを手渡されて
私がおろおろしてると
 
 
臣)早く行ってこいっつーの!
  風邪ひくぞ!
 
 
って怒られた。
 
 
♡)私大丈夫だよ!!
  臣くん先行ってきて!!
臣)はぁ??
♡)だって…
  臣くんが風邪ひいて
  歌えなくなったりしたら
  日本の全国民が悲しむもん!!!
臣)だからなんでこないだから
  そんな規模でけぇんだよ!w
  そんなにファンいねぇわ!!ww
♡)いるもん!!だからダメ!!
  先に…
臣)いいから行け!!
♡)わわわっ…
 
 
ピシャン!
 
 
洗面所のドアを閉められちゃった。
 
 
ど、ど、どうしよう…
 
じゃあ…とりあえず
臣くん風邪ひいちゃうから
私マッハで入ろう!!
 
 
あ…洗顔…!
 
 
ガラガラ…
 
 
臣)こらー!
♡)えっ!
臣)はよ入らんかい!
♡)あ、ごめんなさいっ!!
  あの…洗顔出そうかなって…
臣)ああ、そっか!
♡)うん。
臣)良かったな、今日持っててw
♡)うん!じゃあマッハで行ってきます!!
臣)あいよー。
 
 
わ、わ…なんか…
臣くんのおうちのシャワー借りるなんて
ドキドキする……
 
 
♡)よいしょっ
 
 
私は急いで服をハンガーに干して
大急ぎでシャワーを浴びた。
 
 
えっと…シャンプーとか
借りてもいいのかな…?
 
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
♡)戻りましたっ!!!
臣)おわっ!びびった!!
 
 
ソファーで寛いでた臣くん。
 
 
♡)シャンプーとか借りちゃった。
  ごめんね?
臣)全然いいけど。
♡)じゃあ臣くん、早く入って!!
臣)え??
♡)風邪ひくからーー!!
臣)俺は大丈夫だっつーの。
♡)ダメーー!!
 
 
そのために大急ぎで戻ってきたんだから!
 
 
臣)いや、入るけどさ…
  つーか…
♡)ん?
臣)それ…、すげぇでかいな///
♡)あ、これ??
 
 
臣くんが貸してくれたスウェットは
確かにブカブカで…
 
 
♡)これ…上おっきぃから下いらないかも…
 
 
なんか裾踏んじゃいそうなんだよね。
 
 
試しに下を脱いでみると…
 
 
♡)あ、うん。上だけでいいや。
  ありがとう♡
 
 
私は下のズボンを畳んで臣くんに渡した。
 
 
臣)な…な…っ///
♡)??
臣)~~~///
♡)はい。
臣)ダメだ!!!履け!!!
♡)え???
臣)下も履け!!!
♡)え、なんで??
臣)なんでって…///
  か、風邪ひくから!!!
♡)だっておっきぃんだもん…
  履いてても下がってきちゃうし…
臣)ダメ!履いて!!
♡)…っ
 
 
なんでだろ…
 
 
♡)……はーい…。
 
 
私はしょうがなくもう一度下を履いた。
 
 
裾が長いからくるくるっと捲り上げて。
 
 
♡)これでいい?
臣)ん!!!///
 
 
やっと頷いてくれた臣くん。
 
 
臣)じゃあ…俺も入ってくるわ。
♡)うん。
臣)まだ雨もすごいし待ってて。
♡)わかったぁ。
臣)ドライヤー使っていいから。
♡)ありがとう。
 
 
そのまま臣くんはシャワーに行って
私はドライヤーで髪を乾かした。
 
 
ほんとに…すごい雨だったなぁ…
急に降ってきてびっくりした。
 
 
キャリーケース、防水で良かったぁぁ。
 
あ、でも、お土産濡れちゃってる…
でも…瓶だから中身は無事だよね?
 
 
♡)ふぅ……
 
 
髪を乾かし終わって
私はソファーに座りながら
キョロキョロ周りを見渡した。
 
 
二回目の臣くんのおうち。
こんなんだったっけ…?
 
なんか…前より広く感じるなぁ…
 
 
あ!ピアノ弾きたい!!
 
借りても…いいかな…
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
俺がシャワーから上がると
リビングからピアノの音が聞こえてきて…
 
 
俺がリビングのドアを開けたことにも気付かず
♡は楽しそうにニコニコしながら
小さな音でピアノを弾いてた。
 
 
臣)たーだいまっ
♡)わ、びっくりした!お帰りなさい!
臣)何弾いてんの?
♡)あ、ごめんね?勝手に借りちゃった!
臣)全然いいけど。あと僅かの命だし。
  弾いてやってよw
♡)あ!そっか!いつあげちゃうの??
臣)来週。
♡)そっかぁ…
臣)なんか飲むー?
  つっても何もないけど。
  水とお茶とオレンジジュースくらい。
♡)お茶欲しいな。
臣)おけー
 
 
俺がキッチンに向かうと
後ろからついてきた♡が声をあげた。
 
 
♡)きゃあっっっ
臣)おわぁっ!!
 
 
後ろから♡に激突されて
振り向いたらそのまま体勢を崩して
俺は♡に押し倒された。
 
 
臣)いって…
♡)わ、わ、ごめんっ!!!
臣)…っ
 
 
てゆーか…
 
胸当たってる!///
 
 
臣)…っ///
 
 
慌てて起き上がろうとした♡は
何かに滑って
また俺の上に降ってきた。
 
 
♡)きゃあっ!
臣)おわっっ!///
 
 
俺が抱き止めると
今度は♡の唇が俺の鎖骨に触れて…
 
 
臣)…っ///
 
 
その柔らかい感触に、
心臓がバクバク暴れ出す。
 
 
♡)いたぁいっ
臣)////
♡)ごめんね…?
臣)…大丈夫?
♡)足元、踏んじゃった…。
臣)あ…。
 
 
捲った裾が落ちてきて踏ん付けたのか。
 
 
♡)やっぱりこれ、脱いでもいい?
臣)~~ダメ!!///
 
 
俺は♡を立たせてその前にしゃがんで
♡が履いてるスウェットの裾を
必死に折り上げた。
 
 
臣)これで大丈夫だろ!
♡)……
臣)……
♡)脱ぐ…
臣)なよ?
♡)……はい…。
臣)……
 
 
なんか変な顔してるし。
 
 
つーかお前は危機感ねぇのかよ!!
 
下履いてなかったら
めちゃくちゃエロいんだっつーの!!///
 
 
そんな脚出されてうろうろされる
俺の身にもなれ!!
 
ほんっとに…///
 
 
臣)はい、お茶。
♡)ありがとう♡
  ……あ!そーだ!お土産!!
臣)え?
♡)あのね…
 
 
ガサゴソ。
 
 
♡)さっきの雨で
  箱とかぐしょぐしょなんだけど…
  もう開けちゃっていい?
臣)うん。
♡)はい、泡盛ー♡
臣)おお!!
 
 
すげぇ綺麗な瓶が出てきた。
 
 
♡)これね、泡盛なんだけど…
 
 
プツッ…!
 
 
♡が話してる途中で、
部屋の電気が全部消えて
いきなり真っ暗になった。
 
 
♡)きゃああああ!!
臣)うわ、停電??
♡)やだ!やだ!やだ!!!!
臣)大丈夫?
♡)いやぁ!!!!
 
 
♡が異様に怯えてるから…
 
俺は暗闇の中で♡の手を掴んだ。
 
 
臣)大丈夫か?
♡)だめ!!やだ!!
臣)え??
♡)暗いのダメなの!!!
  やだ!!助けて!!!
臣)…っ
 
 
♡が息切れしながら
泣きそうな声でそんなことを言うから…
 
俺は慌てて携帯を手繰り寄せて
ライトをつけた。
 
 
♡)はぁ、はぁ、はぁ…
臣)え、泣いてんの…?
♡)はぁ、はぁ、はぁ…
臣)……
 
 
♡は何も答えずに
俺の腕をぎゅうっと強く掴んでる。
 
 
♡)怖い…っ
 
 
俺が♡の背中をさすると
小さな身体は震えてて…
 
 
臣)大丈夫だから。
 
 
なんで…停電くらいで
こんなに怯えるんだろ……
 
 
臣)大丈夫。
 
 
俺は何度も繰り返し、♡の背中をさすった。
 
 
 
しばらくすると
マンションの予備電力が作動して
部屋に電気が戻って。
 
 
臣)ほ、ついた。
♡)……
 
 
♡は少し落ち着いたのか
慌てて涙のあとを拭った。
 
 
臣)大丈夫?
♡)……うん。
 
 
力のない返事。
 
 
臣)暗いのダメなの?
♡)うん…。
 
 
知らなかった。
 
 
臣)寝る時とかどうしてんの?
♡)少しだけ…明かりつけてる。
臣)そうなんだ…。
♡)うん…。
 
 
なんでそんなに暗いのダメなんだろ…
 
苦手ってレベルじゃない気がする。
 
 
♡)も…、大丈夫…。
 
 
全然大丈夫じゃなさそうで…
そっと顔を覗くと、♡は少しだけ笑った。
 
 
♡)大丈夫…だよ…
臣)ほんとに?
♡)うん…ありがとう。
臣)……
 
 
それ以上何も言えなくて、
俺は♡の頭を撫でた。
 
 
 
臣)あ…この辺一帯停電だって。
  多分お前のとこも。
♡)え…っ
 
 
iPhoneで調べた画面を♡にも見せた。
 
 
♡)いつ復旧するんだろ…
臣)この雨だからねーー
  さっき雷もすごかったし。
  多分それで停電したんじゃねぇかな。
♡)え…どうしよう…
臣)もう泊まってけば?
♡)え?
臣)服だって乾かねぇだろうし。
 
 
こんな雨の中、帰れねぇだろ。
 
 
♡)…え…っと…
臣)……
 
 
なんか…変な心配してたりすんのかな?
どうなんだろ…
 
 
臣)なんもしねぇから安心しろ。
 
 
そう言って♡の頭をポンと叩くと
 
♡はハッとしてから
顔を赤くしてうつむいた。
 
 
♡)……//
臣)……
 
 
えーと…
 
お前が変なカッコで
うろうろしなかったらの話だからな?///
 
頼むぞほんと…
 
 
♡)ほんとに…いいの?
臣)何が?
♡)泊めてもらって。
臣)うん。
 
 
♡は遠慮がちに俺を見上げた。
 
 
臣)だって…こんな雨の中無理矢理帰って
  結局停電してて入れませんでしたじゃ
  大変じゃん。
♡)そっか…
臣)明日休みだろ?
♡)うん。
臣)だったら泊まってけよ。
 
 
丁度いいじゃん。
 
 
♡)ありがとう…
  えっと臣くんは?明日。
臣)明日は俺昼から。
♡)そっか!
臣)うん。だから全然気にすんな。
♡)ありがとう…
  じゃあ…泊めてください///
臣)うん。
 
 
そんなもじもじしながら…
泊めてください…って…
赤い顔で言われたら…なんか…
 
 
臣)……///
 
 
ああ、ダメだダメだ!
脳内変換すんな俺!
 
 
えーと…えーと…
 
 
臣)あ、そーだ!泡盛!!
♡)あっ!!
臣)なんか言いかけてたよな?
♡)うん!えっと…
  これね?泡盛の中でも
  すっごく飲みやすいんだってーって。
臣)そうなんだ!
♡)お店の人が言ってたよ♡
臣)じゃあ飲んじゃう?
♡)え、今?
臣)うん。一緒に飲まない?
♡)じゃあちょっとだけー♡
臣)よっし。
 
 
俺はグラスを2つ持ってきて
酒を注いだ。
 
 
臣)じゃあ、はい。
♡)ありがとー♡
臣)いや、俺がありがとうw
  買ってきてくれて。
 
 
こんなん重たかっただろうに…
 
 
♡)ううん♡じゃあ乾杯♡
臣)……うん!うまいっ!
♡)あ、ほんとに飲みやすい。
臣)な!
 
 
なんか口当たりが爽やか。
 
 
臣)マジでさんきゅ~~
♡)えへへ♡良かった♡
 
 
あ、笑ってる。
やっといつもの♡に戻ったかも…。
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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