女子たちは泣いちゃったからって
化粧直しに向かって
俺たちは適当にアルコールをもらって
広い会場の中をプラプラ。
メインスクリーンには
御三方の写真がデカデカと映し出されてて
みんなそれを写真に撮ってる。
臣)あとでインスタ載せよーっと。
俺も一枚、パシャリと撮った。
それからLDHの所属メンバーやスタッフが
続々と集まってきて
主役のEXILEメンバーが到着する頃には
もう会場は人で溢れ返っていた。
臣)お前さ、俺から離れんなよ?
♡)え?
♡はカシオレ片手にニコニコ呑気に笑ってる。
臣)ずっと俺のそばにいろって言ったの。
♡)えっ…///
なんでそこで照れる!w
♡)ずっと…、いる///
臣)…あーー、…うん///
そういう意味じゃなかったんだけど…
可愛いからいいやw
俺も全員知ってるわけじゃないから
どこで知らん男に絡まれるか
わかんねぇからな。
俺は♡の腰をグッと抱き寄せて、
HIROさんの乾杯の挨拶に耳を傾けた。
それからはもう、いつも通り。
飲めや歌えやの大宴会。
岩)あ、臣さん!写真撮ってーー♡
臣)はいはーい。
岩ちゃんにスマホを渡されて、
俺は♡から一瞬離れた。
臣)いきまーす、ハイ、チーズ!
パシャッ。
岩)ありがとーー!
臣)おう。
……って、あいつどこ行ったーー!!
臣)…っ
油断も隙もねーなオイ!
絶対迷子になるくせにーー!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♧)このケーキ美味しいね♡
♡)美味しいー♡
おかわりしちゃうー♡
ケーキバイキングのコーナーがとっても素敵で
私と♧さんはその前をウロウロ。
隆)あ、いた。
♡ちゃんと一緒だったの。
♧)うん!
♡)あ、ねぇねぇ隆二くん!
隆)ん?
♡)さっき着てたシャツ、ハピクロでしょ!?
隆)ああ、うんw
今はみんなベビネのTシャツに
着替えちゃったけど…
その前に隆二くんが着てたやーつ!
あれは絶対♧さんのデザインだと思ったんだ!
♡)もっとマジマジ見たかった…
隆)大丈夫、俺常にヘビロテしてるからw
♡)すっごくカッコ良かったよね!
隆)でっしょぉーー?w
嬉しそうに自慢げな笑みを浮かべる隆二くんが
なんだか可愛い。
♡)あれっ…
♧)ん?
♡)二人のピアス…、お揃い…?
あ、♧さんのはイヤリングだ!
♧)あ、うん…///
隆)こっちが俺のプレゼント♡
♡)わぁっ!!
なるほど!!
シャツは♧さんからのクリスマスプレゼントで
このお揃いは、隆二くんからなんだ!
♡)素敵ですね、むふふ♡
♧)ふふふ///
隆)♡ちゃんは何もらったの?臣に。
♡)ジャケットだよー!
会社で着れるやつーー!
隆)ほー、なるほど。
あいつさすがにアクセサリーは
やめたんだ。
♡)え?
隆)確か前に誰かにワンパターンだとか
突っ込まれてたからw
♡)そうなの?!
私は臣くんからだったら
なんだって嬉しいのにな。
♡)私はねっ、臣くんに…
隆)コインケースあげたんでしょ?
知ってるーーw
♡)ええっ!
隆)散々自慢されたもん、臣に。
♡)そう…ですか…///
なんだか恥ずかしい…。
M)隆二ーーーー!
隆)あ、はい!今行きます!
ごめん、行ってくるね。
♧)うん。
隆二くんは♧さんの腕を優しく叩いて
向こうに走っていった。
♡)あ!新しいケーキが増えてるーー!!
お皿を持ったまま駆け寄ったら、
ホテルのスタッフさんに笑われちゃった。
男)どうぞたくさん召し上がってくださいw
♡)はい…///
こっちは苺チョコだー!わーい!♡
♡)ね、♧さん…っ
あれ、♧さんがいない。
……まぁいいや。
一人で食べちゃおうっと!
♡)むふふ、美味しい…♡
男)美味しそうに食べるねぇw
♡)はっ!!
誰!??
♡)ええと…、
男)どうも、お疲れさまです。
♡)お疲れさまです。
LDHの人かな??
男)お酒のお代わり持ってきましょうか?
♡)あ、いえ、大丈夫です。
男)クリームついてますよw
♡)…っ
男)あはは、こっちこっち、可愛いなぁw
男の人は笑いながら
私の口の端を拭ってくれて…
それをペロリと舐めた。
♡)……。
これは…臣くんに怒られるやつだ…!
♡)えっと、それじゃ…。
そそくさと立ち去ろうとしたら、
目の前をサッと塞がれた。
男)少し話しませんか?
♡)話しません!!
臣くんに怒られちゃうもん!
男)そんな即答しなくても…あはははw
♡)…っ
よけてくれないかな…
男)じゃあ、1分。1分でいいから。
♡)えっ…、
1分…?
……って、少し考えたけど
それでも臣くんに怒られる気がする!
♡)ダメです!失礼します!
男)待ってって…!
♡)…っ
掴まれた腕を振り払おうとしたら…
U)勇気あるねーー
登坂に殺されるよーー?w
男)えっ…
その言葉に、
男の人はすぐに手を離してくれた。
男)登坂さんの…?
U)そうだよーー。
男)すみませんでした!///
男の人はそそくさといなくなって、
私は慌ててお礼を言おうとした。
んだけど…
♡)ありがとうございました、
うしゃさん!あ、うしゃしゃん!
慌てすぎて、噛んじゃった。
U)うしゃしゃん?!
あはははっ!ww
♡)////
USAさんはお腹を抱えて大爆笑してる。
U)ヤバイ、可愛いねそれ。
今度からうしゃしゃんでいくわw
♡)やめてください///
U)子供達も喜びそうじゃない?
うしゃしゃんw
♡)ううう〜〜〜!///
そんなやりとりをしてたら
後ろから頭をポンと叩かれた。
臣)やっと見つけた…っ
♡)あ、臣くん!
U)ちゃんと見ててあげなよーー。
臣)あ、はい!すいません!
U)じゃあうしゃしゃんは行くから。
臣)えっ!?
U)じゃあね、♡ちゃんw
ぶくくくw
♡)////
USAさんは笑いながらみんなのところに
戻っていって…
臣)うしゃしゃんって何?!
臣くんはきょとんと不思議顔。
♡)なんでもないよっ!
誤魔化すように
ケーキをパクッと口に入れたら、
臣くんにほっぺをむにっとつねられた。
臣)てかお前はーー!
俺のそばにいろって言ったろ!
♡)はっ…
臣)なーにをウロチョロしてんだよ!
♡)ごめんなさい…だってケーキが…
臣)ちゃんと言いつけを守れ!
♡)……はい…。
臣くん…お父さんみたい…。
臣)変な男に声かけられなかったか?
ドキィッ…!
♡)かかかけられてないよ!
臣)お前は…、
ドキィッ…!
臣)ほんとに嘘が下手だな…?
ガーーン…!!!
臣)俺のそばから離・れ・る・な!
わかったか?
♡)……はい。
しょんぼり返事をしたら…
臣)わかればヨシ!
そう言って臣くんは
ほっぺにチュッとキスをくれた。
♡)……///
これはアメとムチってやつなのかな…?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
S)お〜〜みぃ〜〜〜
お前はまた♡ちゃんと
イチャついてたろ〜〜〜〜
臣)げ、Sさん!w
S)げ、って何だよ!w
臣)あはははw
♡)あ、Sさんだーーー♡
お疲れさまです♡
S)……はぁ、可愛い♡
臣)ちょっと!やめてくれる!
S)何がだよ!
臣)♡を変な目で見ないで。
S)癒されてただけじゃん!
臣)それもダメ。勝手に癒されないで。
S)はぁぁぁ?!!
ねぇ、おかしいんじゃない?この彼氏!
ほんとにいいの?こんな彼氏で!
独占欲、異常だよ?!
♡)あはははw
マネージャーたちが集まってるテーブルに
顔を出したら
Sさんにそっこー絡まれた。
女)あ、登坂さん!お疲れさまです///
臣)お疲れ。
出たな。
女)……あっ…
あ、♡に気付いたかな。
よし、いい機会だし紹介しとこう。
そしてとっとと
俺に色目を使うのをやめてください。
女)あの…、
臣)彼女。
女)…っ
俺が♡の背中に手を添えると、
♡はぺこっとお辞儀をした。
♡)初めまして!
女)…っ
臣)新しいマネージャー。
♡)あ、そうなんだ!
女)……橘…です。
♡)橘さん!
えと…、いつも臣くんが
お世話になってます♡
……はっ!そんなこと言うの変かな?!
臣)なんで?いいじゃん。
俺は♡を抱き寄せて、
ほっぺにキスをした。
♡)ちょっと!みんないるでしょ!///
臣)みんないたっていつもしてるじゃん。
♡)それは仲良い人たちだけで…っ
臣)マネージャーもみんな気心知れてるから
だいじょーぶ♡
♡)ああっ!///
もう一回キスしたら
♡は恥ずかしそうに俺をポカポカ叩いてきた。
橘)すごく…仲がよろしいんですね…。
臣)うん。すっげぇラブラブ。
橘)そう…ですか…。
そんな泣きそうな顔されたって
困るんですけど。
S)臣、お前いじめすぎ…。
臣)はぁ?
Sさんにこそっと耳打ちされた。
臣)あの子が仕事に専念できるように
俺なりの優しさですけど?
S)……鬼。
臣)なんでだよ!w
チラッと横目で見たら
橘は♡にニコニコ話しかけられて
タジタジしてる。
♡)橘さん、同い年だーー♡
橘)そうなんですね…。
♡)マネージャーって女の子もいるんだね!
知らなかった!
臣)もう一人いるんだけど今はいねぇや。
NAOTOさんに食われた子がね。
♡)普段の臣くんはどうですか?♡
臣)何を聞いてんだよw
橘)登坂さんは…いつも…仕事熱心で…
スタッフにもすごく優しくて…
♡)わぁ…
臣)マネージャーに聞かなくても
俺のことはお前が一番よく
わかってんだろw
俺が♡をむぎゅっと抱きしめると
♡は「離してー!」ってジタバタ暴れてる。
臣)じゃああっち行くわーー
Sさんにそう言ったら、
最後にまた言われた。
「鬼!」って。
失礼しちゃう。
それからも打ち上げは大盛り上がりで…
誰もが笑顔で楽しそうで。
酔っ払いすぎて
ステージから転がり落ちる奴とか
いきなり裸になる奴とか
そんなのも、いつものこと。
N)いやーー、今年も終わるなーー。
岩)ほんとあっという間でしたね。
直)早かったなー。
気付けば兼任メンバーもこっちに来てて
自然と集まってた三代目の7人。
N)とりあえずツアー2本完走できて
ほっとしたかなー。
健)ほんまお疲れ様でした。
E)あとは年末の生放送ラッシュだね。
隆)だね。まだまだ残ってるねw
臣)レコ大に紅白にCDTVに…。
岩)それが終わったら新年会か。
直)また飲むのか、俺たちw
N)それがLDHだから!w
臣)あはははw
やっぱりいいな、この7人は。
大好きだ。
岩)新年会も来れる?
◇)うん。
岩)じゃあ一緒に行こ♡
◇)うんw
隆)♧も一緒に行こうね。
♧)うん♡
臣)そことそこー!
イチャついてんじゃねーぞーー
皆)お前にだけは言われたくない!!
臣)あれ。
突っ込んだ2カップル以外からも
一斉に突っ込まれたんですけど…
N)いい加減離してやれよ♡ちゃんを!
健)ずーっとべったり!
腰抱きっぱなし!
臣)いーの!こいつはこうでもしてないと
すぐナンパされるから!
E)♡ちゃんも…お疲れさま。
臣)哀れみの目で見ない!w
♡)あはははw
ほら、♡は笑ってる。
可愛く俺に寄り添いながら。
臣)来年もいっぱいイチャイチャしようね。
♡)な、なんの話!?///
照れてる♡のほっぺに
またチューをして。
皆)だからイチャイチャすんなーー!!
また総ツッコミを食らった。
N)いやー、しかし。
来年も忙しくなりますな。
E)そうですな!
健)ありがたいことですけどねーー
直)そうだね。
岩)ぶっ飛ばして行くぞぉーー!
隆)オーーー!
臣)よっしゃーーー!!
テンションが上がった俺たちは
肩なんか組んじゃって。
隆)三代目サイコーーー!w
岩)サイコーーー!
E)三代目大好きーーー!w
臣)大好きーーー!
なんてみんなで笑いながら
楽しく飲んでて。
こんな幸せな時間が
一瞬で凍りつくなんて、
俺たちは誰も思ってなかった。
N)あ、部長!お疲れさまです!
部)お疲れさん。盛り上がってるねw
直)はいw
部)全員揃ってるんだ!w
健)はい、丁度w
顔を赤くして
相当酔ってる感じの部長が
俺たちのテーブルにドンとジョッキを置いた。
部)なんかみんな打ち上げモードだけど
2015年はまだ終わってないからな〜〜
E)わかってますw
隆)生放送もまだたくさん残ってるし。
臣)ね。
部)それだよそれ!
隆)え?
部)レコ大、頼んだぞほんと〜〜
臣)え?
部)大賞2連覇だからな!
来年も大忙しだぞ。あはははは!w
岩)いやいや、まだ取れると
決まったわけじゃ…w
豪快に笑う部長に岩ちゃんがそう言うと、
部長はキッと俺たちを睨みつけた。
部)なーに言ってんだお前らは!
大賞は三代目なんだよ!
もう決まってんの!
臣)え…?
部長が言ってる意味がよくわからなくて
俺らが一瞬固まると…、
部)いくら払ったと思ってんだよw
1億だぞ、1億!
松浦さんも猛プッシュして
くれたんだからな!
その分、来年も働いてくれよーー
頼んだぞ!あっはっはw
部長はそう言い残して、
俺らのテーブルからいなくなった。
皆)……。
一気に沈黙に包まれる俺たち。
隆)1億って…何?
N)…っ
E)レコ大に…金払ったってこと…?
隆)……は?意味わかんねぇ…
健)松浦さんが猛プッシュしたって…
臣)どういうこと…?
岩)大賞、俺らなの…?
隆)もう決まってるって…
E)つーかぶっちゃけ…
『Unfair World』売れてないよね…。
健)だから松浦さんがプッシュしたん??
動揺を隠せない俺らとは違って
NAOTOさんと直己さんは渋い顔をしてる。
隆)どういうことなんですか?
N)うーん…、そういうことなんだと思う…。
隆)そういうことって何すか!?
直)隆二、落ち着いて。
健)今年のレコ大、金で買ったって事っすか?
N)いや、うーん…、
隆)なんだよそれ…っ
歯切れの悪いNAOTOさんに
隆二がイラついてるのがわかる。
臣)NAOTOさんと直己さんは
知ってたんですか?
N)知ってたって言うか…
ハッキリ聞いたのは今が初めてだけど。
直)俺も、うん…。
N)なんつーか…、
レコ大ってそうなんだって。昔から。
隆)は…?
N)今に始まった話じゃなくて…
昭和の頃からもうずっと
そうなってるらしいよ。
臣)そうなってる、って…?
健)金で買うってことっすか?
N)うん。誰かかしらが、ね。
岩)じゃあ去年もそうだったんですか?
臣)…っ
岩ちゃんの言葉に
みんながまた固まった。
去年、2014年のレコ大。
俺らは『R.Y.U.S.E.I.』で…
大賞をもらったけど…
隆)は…?あれも金で買ったってこと…?
1億で…?
N)いや、金額は知らないけど…
まぁ多少の金は動いてると思うよ。
隆)なんだよそれ…っ
臣)つーか1億って…、、
なんだよその大金。
臣)……俺たちの力で…
取れたんだと…思ってた…。
貰うにはまだ実力が追いついてないことも
十分わかってたけど…
それはこれからの努力で返していこうって
みんなで決意を新たにしたのに…
健)俺らの努力が認められたわけと
ちゃうんかったんやな…
E)なんも…知らなかったな…
健)なんも知らんと喜んでたよな俺ら…
隆)そうだよ…!
臣)…っ
みんなで泣きながら喜んだあの夜は
昨日のことのように思い出せる。
岩)マジか…。
E)なんか…、ね…?
岩)うん…。
一気に重たい空気が張り詰める。
隆)信じらんねぇ…
いらねーよそんなん…。
臣)隆二…!
隆)金で買ったって何だよ?
そんなん意味ねぇじゃん!
E)うん。なんか汚い。
岩)ほんと…芸能界って感じ…w
隆二は怒ってて
ELLYはがっかりした表情で…
岩ちゃんは嘲笑うように俯いた。
健)でももう決まってんねやろ?
今年も俺らに。
隆)だからそんなんいらねぇって!
臣)隆二…!
隆)なんだよ!お前は平気なわけ?
金で貰った賞で普通に歌えんの?
1億で買ってもらいましたー!って?!
臣)隆二…!
みんな酒も入ってるからか、
どんどんやさぐれていく。
臣)平気で歌えるかとか…
そういう話じゃないんじゃない?
なんていうか、
俺も酒が入ってるせいで
上手く言葉が出てこないけど…。
岩)でも恥ずかしいよね。
金で買ってもらった賞なんて…。
E)俺たちが頼んだわけでもないのに…
健)誰の判断なんですかね?
N)うーん…、
隆)HIROさんは知ってんのかな…
直)知らないわけないと思うよ…。
隆)…っ
直己さんの言葉に
隆二が絶望的な顔をした。
E)なんかもう辞退したいなーー
3日後のレコ大。
岩)……気持ちはわかる。
健)まぁそう言うても
どうにもならんやろーけど…。
N)俺たちは去年と一緒だよ。
ちゃんと全力でパフォーマンスしよう。
隆)は…?
N)TVで観てくれてるファンの人たちは
芸能界のそんな裏事情は
誰も知らないんだからさ。
直)うん。ファンの人たちはみんな
純粋な気持ちで
俺たちを応援してくれてるんだよ。
隆)…っ
そう言われて隆二は何も言えなくなって…
臣)……。
俺は言いたいことが上手く言葉にならなくて
頭の中でもごもごしてて、
♡)……。
♧)……。
女子たちも気まずそうにしてる中、
岩)はぁぁ……。
岩ちゃんがため息をついたその時だった。
◇)なんでみんな暗くなってんの!?
◇ちゃんの声が
重たい空気を真っ二つに割くように
後ろから飛んできた。
◇)なんで剛典はため息ついてんの?!
岩)いや、だって…
◇)なんで辞退する必要があるの!
金で買った賞ならいらないって
そんなこと言ったって思ったって、
仕方ないでしょ!
E)…っ
◇)綺麗か汚いかなんて今更だよ。
芸能界ってそーゆー場所でしょ?
それをわかってて
みんなそこで戦ってんでしょ!?
岩)…っ
◇)毎年誰かがお金で買ってる賞を
今年はLDHが買っただけでしょ?
何が悪いの?
健)…っ
◇)松浦さんも猛プッシュして
くれたんでしょ?
1億は誰が出したのか知んないけど
そうやって三代目の努力を認めてくれて
三代目に大賞を取らせたいって
動いてくれてる人たちが
少なからずいるってことでしょ?!
隆)…っ
◇)だったらその気持ちに応えたって
別にいいじゃん!
三代目が大賞を取ったら
ファンだって家族だって皆喜ぶんだよ!
それでいいじゃん!
岩)だけどそれは…俺らの実力じゃ…
◇)実力で取れたんじゃないって思うなら
大賞に見合うようなグループに
なれるように頑張ればいいの!
さっきのおっさんも言ってたじゃん!
今年と同じように来年もまた
皆で頑張ればいいんだよ!
臣)……。
なんていうか…、うん。
俺が言いたかったことを
◇ちゃんが言ってくれた感じ。
裏金で買った賞なんて汚い、って
そう思っちゃう気持ちもわかるけど…
俺らが生きてる世界は
どう抗ったって、そういう世界で。
だったらその中で、
俺らは俺らに出来る精一杯で
周りの人やファンの人たちに
恩返ししていくしかないんだよなぁ…って。
♡)う、うんっ!私もそう思う…!
臣)…っ
♡)金額は確かにちょっと
びっくりしちゃうけど…
でも、それくらい今年の三代目は
すっごくすっごく頑張ったもん!!
♧)うん!!
♡)今月いっぱい賞だってもらってるし…
♧)初めてのドームツアーだって
完走したし…!!
◇)そうだよ!!
♡)どんな裏事情があったとしても、
三代目がレコ大取ること、
私は恥ずかしいなんて思わない!!
♧)私も…!
もっと胸を張ってほしいな…。
みんながすごくすごく頑張ってること、
私たち、いつも見てるもん…!!
♡)うん!!
臣)…っ
♡の言葉に、なんだか俺は泣きそうになった。
いつも側にいて支えてくれてる♡が
そう言ってくれるなら
それが何よりの答えだと思えるから。
……彼女たちがこんな必死に
一生懸命言ってくれてるのに
いつまでも腐ってたら男らしくないよな。
ってのは、お互いの目を見ればわかる。
俺たちは気を取り直して、
もう一度肩を組み直した。
N)よっしゃーー!三代目ーーー!!
このままぶっ飛ばしてくぞーー!
皆)オーーーッ!!
岩)裏金がなんだってんだーー!!
見てろよコノヤローーー!!
皆)オーーーッ!!
隆)とことんやってやろーじゃん!!
覚えとけコノヤローーー!!
皆)オーーーッ!!
直)7人の結束を深めて
年末まで走りきるぞーーー!!
皆)オーーーッ!!
臣)何があったって
三代目は最高だーーー!!
皆)オーーーッ!!
E)三代目Big Love!!
俺たちは負けねぇぞーーー!!
皆)オーーーッ!!
健)来年もやったんでーーー!!
行くぞーーー!!
皆)……。
健)……あれ。
皆)ぶはははっ!ww
健)ちょ、ひどない?
今はアカン!今それやったらアカン!
皆)あはははは!w
お決まりの健ちゃんイジメでみんなは大爆笑。
うん、そうだよ。
俺たちはこうでなくっちゃ。
どんなことがあっても
7人で笑い合って、7人で力を合わせて
乗り越えていくんだ。
家族みたいなこのメンバーと一緒なら
大丈夫だって、自信が持てるから。
それに俺には無敵の女神もついてるし。
♡)ん?なぁに?
臣)んーん、ありがとな。
その柔らかい頬にキスをすれば、
♡は嬉しそうに微笑んだ。
うん、大丈夫だ。
この時の俺たちは、そう思っていた。
まさか2016年が
俺たちの想像をはるかに超えて
厳しい年になることなんて、
誰一人、全く想像すら出来ずに……。
ーendー
コメントを残す