[337]好きじゃない(MちゃんSide)

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J)おはよ。
M)おはっ、…よう…ございます…っ!///
 
 
まだ少し眠そうなJさんの瞳が
ゆっくり優しく私を見つめた。
 
 
M)わ、私、起きますね!///
J)……え、もう…?
M)…っ///
 
 
ガバッと起き上がると、
Jさんの大きな手に、優しく腕を掴まれた。
 
 
J)なんでMちゃんっていっつも
  朝はそんなテキパキしてるの…?w
M)え…っ
J)夜はめちゃめちゃ甘えて
  くっついてきて可愛いのに…。
M)////
J)起きるとキャラ変わってるよねw
M)////
 
 
それは…
Hの後はもうとろとろにされちゃって
ふにゃふにゃになってて…
 
本能のままに甘えちゃってるけど…
 
朝起きると、なんか我に返るんだもん。
 
 
私なんかがJさんにこんな甘やかされてて
いいのかな、って…。
 
 
このまま裸でくっついてたら
もっととろとろに溶けて
力が抜けていっちゃいそうだから…
 
だから慌てて起きて離れるんだもん…。
 
 
M)朝ごはん…っ、作ってきます!///
J)はーいw
 
 
Jさんはクスクス笑いながら
私を見送ってくれた。
 
 
M)……はぁ、///
 
 
こうしてJさんのお家に
お泊まりするようになって
もう一ヶ月になる。
 
 
泊まりに来る頻度は
週に1〜2回。
 
ううん、3回くらいかも…、///
 
 
私は泊まりに来たくても
なんだか図々しい気がして
自分からは言い出せないんだけど…
 
そんな私の心を見透かしてるかのように
Jさんはいつも絶妙なタイミングで
「今日来る?」って誘ってくれるから…
私は嬉しくて即答しちゃうんだ。
 
 
さりげない瞬間も、いつもそう。
 
Jさんは私がしたいことやしてほしいことを
すぐに気付いて、叶えてくれる。
 
 
例えば…
手を繋ぎたいなぁって思ったら
繋いでくれるし…
 
抱きしめてほしいなぁって思ったら
抱きしめてくれる。
 
 
私が考えてること、
どうしてわかっちゃうのかな///
 
 
M)……よし。
 
 
顔を洗ってメイクして、
キッチンを借りて朝ご飯の準備に
取り掛かる。
 
 
泊まりに来た時はいつもそう。
 
夜は絶対にHするし、
朝は私がご飯を作るんだ。
 
 
Jさんと過ごす夜は
毎回いつもいつも、甘くて優しくて、
とろけそうになるから。
 
何もしてないと
そのままポーッと夢の中から
抜け出せなくなりそうで…
 
だから朝はこうしてテキパキ動くの///
 
 
だって…
Jさん、本当にすごいんだもん…。
 
こんな人、初めて///
 
今までの彼氏とかセフレって
一体何だったんだろうって思っちゃう…。
 
 
M)はっ!///
 
 
思い出したりしたら
またポーッとしちゃうから
今は一旦忘れよう!!///
 
 
J)おいしそーーーー。
M)わっ!///
 
 
いきなりJさんが後ろにいて
びっくりしちゃった。
 
 
M)もう起きてきたんですか?!
J)うん。いい匂いにつられてw
M)そ、そうですか///
 
 
なんか…
後ろから包み込まれてるような
この体勢はなんでしょう?
 
近すぎるんですけど…///
 
 
J)Mちゃん毎回作ってくれるけどさぁー
M)は、はいっ!
J)そんな毎回作ってくれなくても
  大丈夫だよ?
M)…っ
 
 
もしかして…
迷惑だった?
 
うざかったかな。重かったかな。
 
 
J)Mちゃんの朝ご飯は美味しいから
  俺としては嬉しいんだけどさー
M)…っ
J)たまにはゆっくり寝坊したい日とかも
  あるでしょ?
M)ないです…っ!
J)ないのー?w
M)////
 
 
だって…
 
Jさんが「美味しい」って言ってくれるの、
すごく嬉しいんだもん。
 
Jさんの喜んだ顔が…見たいから…
 
 
M)これくらいしか出来ないんで…
  迷惑じゃなかったら
  させてください。
J)迷惑なわけないでしょw
  嬉しいって言ってるじゃん。
M)……///
 
 
Jさんは優しく笑って
私の頭を撫でてくれた。
 
 
こんなことでJさんが喜んでくれるなら
私、いくらでも頑張るもん///
 
 
J)じゃあいただきまーす。
M)いただきます。
 
 
二人で手を合わせると、
Jさんはその綺麗な指でクラブサンドを摘んで
パクッと口に入れた。
 
 
J)うん、美味しいw
M)////
 
 
この笑顔が、見たいんです。
 
 
J)普段なんて俺一人だったら
  朝はコーヒーくらいしか飲まないからさー
  Mちゃんが作ってくれるようになって
  健康的な暮らしになりつつあるw
M)良かったです…///
J)本当にありがとうね。
M)……(こくん)。
 
 
ありがとうは、私の方なのにな。
 
 
J)今日は?夜来る?
M)えっ…
J)あ、違うよw
  朝ご飯作って欲しくて
  言ってるんじゃないからね?w
M)あ、わかってます///
J)明日も休みだし。来るかなーって。
M)来たいです///
J)りょーかいw
 
 
最近、土日はこうして
誘ってくれることが多いんだ。
 
 
M)今日は先輩のポカリのCMの撮影だから…
J)ああ、ついに今日なんだ。
M)はいっ!もうすっごく楽しみで♡
J)あはははw
M)だから何時に終わるか
  わかんないんですけど…
J)あー、俺も今日は時間読めないなー。
 
 
Jさんは時計を見ながら
最後の一口をごくんと飲み込んで、
立ち上がった。
 
 
J)てゆーかずっと思ってたんだけど、
  鍵あげるよ。
M)え…?
J)はい。
M)…っ
 
 
目の前に置かれたのは、1枚のカードキー。
 
クラブサンドを片手に、固まる私。
 
 
J)たまに不便だったでしょ?
  好きな時に来ていいから。
M)…っ
 
 
え…?
 
 
J)聞いてる?
M)…っ
 
 
カードキーを見つめたまま、
私の思考回路がフル稼働してる。
 
 
これってつまり、合鍵でしょ?
私なんかに合鍵くれるの?なんで!?
 
彼女でもないのに…
いいの?!
 
不便だからって言ってたけど…
それだけの理由で…
私なんかに合鍵を…!??
 
恐れ多過ぎて…どうしたらいいの?!
 
 
J)Mちゃーん…
  クラブサンド冷めちゃうよー?
M)はっ!!
 
 
だ、だ、だって…
今はそれどころじゃなくて…
 
 
M)あ、あのっ…!!
J)ん?
M)いいんですか?!
J)何が?
M)こ、これ…っ
J)鍵?
M)はい。
J)なんかダメだった?
M)だって…っ
  合鍵ですよね!?
J)うん、そうだね。
M)私…っ、彼女でもなんでもないのに…
  こんなものいただいて…
  いいんですか!?
J)……。
 
 
あれ。
今度はJさんが止まっちゃった。
 
 
M)あの…あれでしたら
  お返しします…。
J)…いや、全然いいんだけど…、、
 
 
Jさんは不思議そうに首を傾げて、
笑い出した。
 
 
J)いや、うん。大丈夫。
  持ってていいよ。
M)ほんとにいいんですか?!
  私が変な女だったらどうするんですか!?
  家の鍵ですよ?!
J)ぷっ、あはははww
 
 
え、何がおかしいの?
 
 
J)俺、Mちゃんのことは
  信用してるから大丈夫だよw
M)…っ
J)こういう関係になったからじゃなくて。
  その前からも。
M)え…?
J)なんか俺たちって、なんだかんだ
  一緒にいる時間長かったじゃん?
M)はい…。
J)Mちゃんがどんな子かは
  わかってるつもりだよ、俺。
M)え…っ
J)少なくともその鍵を悪用するような子じゃ
  ないってことくらいは。
 
 
Jさんは優しく笑って
「ごちそうさま」って私の頭をぽんぽんして
そのままお皿を下げにいった。
 
 
M)……///
 
 
なんだか胸がトクトクしてる。
 
 
M)あの…っ!!
J)ん?
M)悪用はもちろんしませんし、
  絶対落としたりもしませんから…!!
J)はいw
M)大切に取り扱わせていただきます…!!
J)お願いしますw
 
 
Jさんは可笑しそうにクスクス笑いながら
「ほんと可愛いなぁ」って
ぼそっと呟いた。
 
 
M)////
 
 
また胸が…トクトク…
 
……はっ!!
 
違う違う!ダメダメ!!
 
 
M)あの…っ!
  勘違いしたりしてないんで
  安心してくださいねっ!!
J)え?
M)Jさんのこと好きになったり
  してないですから!!
  大丈夫ですから!!
J)はーいw
 
 
ああ、やっぱりJさんは余裕の表情。
 
そして私はやっぱり
そんなJさんの前だと
上手にぶりっ子出来ないんだ。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
♡)おはようございます♡
  よろしくお願いします♡
M)よろしくお願いします。
 
 
先輩と一緒に控え室に入ると、
スタッフさんたちはみんな嬉しそうに
挨拶を返してくれて…
 
本物可愛いねーとか
姫さんが来ただけで春が来たみたいだとか
そんな声が周りから聞こえてきた。
 
 
女)早速ヘアメイクしちゃいますね。
  こちらへどうぞー。
♡)はいっ♡
 
 
先輩はメイクしてもらいながら
もらった絵コンテを何度も見てる。
 
 
映像はもちろん後で加工するんだろうけど…
 
最初はモノクロの森の中を
先輩が歩いてて…
 
先輩が零した一粒の涙が
大地に触れた瞬間、
世界が色を取り戻す、っていう流れみたい。
 
 
M)難しそうですね、今回。
♡)え?
M)最後のところ。
 
 
簡単に「泣く」とか「泣きながら笑う」とか
書いてあるけど…
 
前後の演技がなくて
いきなり涙なんて流せるのかな。
 
 
♡)だいじょーぶ!頑張るよぉー♡
M)……。
 
 
先輩はこの笑顔が可愛いのにな。
 
ポカリだから
元気ハツラツなCMかと思ったのに
思ってたのと違ったなぁ。
 
 
女)はい、完成♡
♡)ありがとうございますっ♡
 
 
今日の先輩はとってもナチュラル。
 
髪もメイクも本当に自然で
それでもこんなに可愛いのが、さすが。
 
先輩ならすっぴんだっていけちゃうもんね!
 
 
M)わ、衣装もシンプル…。
♡)ほんとだぁ!
 
 
用意されてたのは、
無地の真っ白なワンピース。
 
 
女)イメージは「森の妖精」って聞いてます。
♡)そうなんですね!
M)なるほど…。
 
 
着替え終わって花冠を頭に乗せると、
先輩は本当に妖精みたいになった。
 
 
M)可愛いですっ!!♡
♡)えへへ、ありがとう♡
男)ではこちらへどうぞー。
♡)はいっ!
 
 
そのままスタジオに移動すると、
そこはセットとは思えないような
本物みたいな森が広がってて…
 
 
♡M)すごーーい……。
 
 
思わず先輩とハモッちゃった。
 
 
♡)綺麗だねぇ!!
M)はい。
♡)全然セットに見えない!!
M)ですよね。
 
 
こんな大掛かりなセットを用意するなら
ロケで森で撮った方が早いんじゃないかなって
思うけど…
 
それはそれで大変なのかな?
 
 
監)じゃあいいかな。
♡)はい!
監)この道を軽やかに真っ直ぐ歩いてきて。
♡)軽やかに…?
監)まぁ後でスローにするから良いんだけど
  少しふわふわした感じで。
♡)はい、わかりました。
 
 
それから撮影は順調に進んで…
あっという間にお昼になって。
 
少し休憩を挟んで、また撮影再開。
 
 
監)ここで一度立ち止まって、
  空を見上げて
  ゆっくり目を閉じるタイミングで
  涙を一粒流して欲しいんだ。
 
 
出た!!
いよいよ例の難関シーン!!
 
泣くだけじゃなくて、たった一粒って…
難しすぎない?!
 
 
監)まぁ無理なら目薬なりなんなりするから
  とりあえずチャレンジしてみよっかw
♡)はい!!
 
 
なんだ。そっか。そうだよね。
無理なら目薬って手があるのか。
 
 
♡)少しだけ時間もらえますか?
監)ん?いいよ?
 
 
先輩はしばらく目を閉じて
何か集中してるみたいで…
 
数分後、「大丈夫です」って言って
位置についた。
 
 
監)じゃあいきます。
  シーン7、スタート!
 
 
監督の掛け声でカメラが回って…
 
裸足で歩いてた先輩は
そっと歩みを止めるとゆっくり空を仰いだ。
 
 
M)…っ
 
 
それは、ほんの一瞬。
 
一瞬なのに、まるで時が止まったみたいに
惹きつけられた。
 
 
先輩の瞳から、一粒の涙が
まるで宝石みたいに
綺麗にキラキラと零れ落ちて…
 
 
監督も、カメラマンも、スタッフさんたちも…
スタジオにいる誰もが、
息を飲んだのがわかった。
 
 
監)…っ、カット!!
 
 
監督はカメラで映像を確認して、
感心したように息をついた。
 
 
監)ええと…じゃあ…
  このまま最後のシーンも撮っていいかな?
  泣きながら笑うところ。
♡)はい。
監)じゃあ用意して。
男)はい!
男)こっちOKです!!
 
 
それから一度カメラテストをして
すぐに本番が始まった。
 
最後のシーンは…
先輩が泣きながらポカリスエットを飲んで…
飲み終わったら涙を流したまま
綺麗に笑う、っていうシーンで。
 
 
ドキドキしながら見守ってるのは
私だけじゃない。
 
もうここにいる人みんなが、
期待の目で先輩を見てる。
 
 
M)…っ
 
 
ポカリスエットを綺麗に喉へ流した先輩は
キラキラした涙を零しながら、
ニッコリと優しく微笑んだ。
 
それはまるで、天使のような
純真無垢な透明感と清潔感。
 
 
監)はいカット!!
 
 
映像を確認した監督は
大きく手を叩いて拍手して、
それにつられて
周りの人たちも次々に拍手をした。
 
 
監)オールアップです!お疲れ様!
カ)お疲れ様です!
 
 
あっという間に終わったことに
先輩は少しきょとんとしてて…
 
でもスタッフさんから大きな花束をもらうと
一瞬で笑顔になった。
 
さっきとは違う、太陽みたいな笑顔。
 
 
♡)ありがとうございました♡
監)いやー、、…どのシーンも
  一発OKだったなぁ…。
♡)えへへ、ありがとうございます♡
カ)カメラ映えするね、君。
♡)え?
カ)いいCMになるよこれ、絶対。
監)うん。
カ)良かったらまた撮らせて。
♡)ありがとうございます♡
監)僕も良かったらまたいつか。
♡)はい!ぜひ!♡
 
 
控え室に戻ってきて着替えると、
先輩はお花を貰えたことにニッコリご機嫌。
 
 
♡)いつもは臣くんが持って帰ってくるのを
  貰ってたけど
  今日は自分で貰えたー♡
M)良かったですねw
♡)うんっ♡
 
 
こんなに無邪気で可愛いのに…
カメラが回ると別人みたいに
演技スイッチが入るんだもんなぁ…。
 
本当にすごい。
 
あんな難しい演技を
さらっとやってのけるなんて。
 
 
♡)はっ!!
M)ん?どうしたんですか?
♡)はわわわ!!///
 
 
携帯を見てた先輩が
いきなり叫び出した。
 
 
♡)臣くんがカッコイイよぉ!///
M)……はい?w
♡)見て、これ!!///
M)…っ
 
 
見せられた写真は…
なんだろう?何かの撮影かな?
 
 

 

 

 
 
♡)今日ね、隆二くんと雑誌の撮影って
  言ってたんだけど…
  こんなカッコイイなんて聞いてないよぉ!
  ずるいっ!!///
M)ぷっ…w
 
 
こんな大喜びしてる先輩、
登坂さんに見せてあげたいw
 
 
M)前髪下ろしてるんですね、珍しい。
♡)すっごくすっごくカッコ良くない!?///
M)そうですねw
♡)はうううう…///
M)あはははw
 
 
先輩は本当に登坂さんが大好き。
 
こんなに素直に自分の気持ちを表現出来たら
きっと可愛いんだろうなぁ…。
 
 
M)じゃあそろそろ行きますか。
♡)うんっ♡
 
 
先輩が一発OKばかりだったから
予定より早めに終わったみたいで。
 
一応Jさんに連絡しておこうかな。
 
 
『撮影あっという間に終わりました😊
 これから帰ります。』
 
 
ピロリロリロ♪ ピロリロリロ♪
 
 
M)わっ///
 
 
LINEした瞬間に電話がかかってきた。
 
 
M『はい!もしもし!///』
 
 
私は先輩に背を向けて
こっそり電話に出た。
 
 
J『終わったんだ?お疲れさまー』
M『はい。』
J『俺も早めに終わったんだよねー』
M『あ、ほんとですか?』
J『うん。これから帰るところ。』
M『じゃあ同じくらいですね。』
J『うん。晩御飯はー?』
M『食べてないです。』
J『じゃあ何か作ろうか?』
M『えっ!!J…っ』
 
 
Jさんがですか?
って言いかけて、慌てて口を塞いだ。
 
 
J『ああ、まだ姫といるの?w』
M『はい///』
J『良かったら俺が作るよーー
  いつも作ってもらってるお礼に。』
M『…っ///』
 
 
Jさんの手料理だなんて…
そんなの贅沢すぎて…///
 
 
J『あ、それともどこか食べに行く?
  外の方がいい?』
M『いえっ!!
  おうちがいいです!///』
J『りょーかいw
  じゃあ駅で待ち合わせて
  一緒に買い物して帰ろっか。』
M『はいっ!///』
 
 
嬉しい。
どうしよう。顔がニヤけちゃう。
 
 
J『じゃあねー。』
M『はい!』
 
ピッ。
 
 
電話を終えてそーっと振り向くと…
 
 
♡)……。
M)……。
 
 
先輩が私をじーっと見てた。
 
Jさんの声は聞こえてないはずだから
バレてないと思うけど…
 
 
M)えっと…、お待たせしました。
  行きましょうか。
♡)デート…?
M)えっ!
♡)これから。
M)…っ、デートじゃ…ないです!!
♡)……そっかぁ。
 
 
それから駅まで一緒に歩いたけど
先輩はそれ以上は何も聞いてこなかった。
 
 
隠してるわけじゃないけど…
Jさんとのことは誰にも話してない。
 
今までの私だったら
恋愛ネタは結構オープンに周りに話してたけど
相手はJさんだし…
言えるわけ…ないよ。
 
 
それから先輩と別れて、
一旦自分の家に寄って着替えを取って
また電車に乗って。
 
改札を出て階段を降りると、
Jさんが私を待っててくれてた。
 
 
J)お疲れさまw
M)お待たせしましたっ!
J)俺も今着いたとこだよー
 
 
優しく笑ったJさんは
「じゃあ行こうか」って
私の背中をポンと叩いてくれた。
 
 
J)何食べたい?
M)えっ!えっと…、、
  なんでも…いいです。
J)それ一番困るやつーーw
M)え、だって…//
  Jさんの手料理食べれるなんて…
  それだけで贅沢だから…
J)いや、「手料理」ってほどじゃないよ!
  ハードル上げないでw
M)でも…
J)大したもの作れないよー?w
M)それでも…嬉しいです///
J)……。
 
 
あれ?
 
返事がなくなったから
そっと顔を見上げたら…、
 
 
J)可愛いねぇ、ほんと。
M)////
 
 
優しい笑顔が目の前にあって
思わず顔が熱くなった。
 
 
それからスーパーに着くと
明日も休みだし飲んじゃう?って話になって
お酒を少し選んで。
 
パスタでいい?って聞かれて頷いたら
Jさんはテキパキと材料を
カゴに放り込んだ。
 
 
J)よし、帰ろ。
M)はいっ!
  あ、私も持ちます!
J)いいよいいよw
M)…っ
 
 
Jさんは二つの買い物袋を両手で持って
私はその半歩後ろをついていった。
 
 
J)ん?どうしたの?
M)え?
J)静かだから。
M)……。
 
 
この間も今日みたいだったなぁって
思い出してました。
 
先輩のおうちでみんなで鍋をした日。
お酒が足りなくなって
Jさんと二人で買いに行った夜。
 
 
今みたいにJさんが
袋を二つとも持ってくれてて…
 
 
J)……ああw
M)え…?
J)じゃあ…一個持ってくれる?w
M)////
 
 
私、何も言ってないのに
Jさんも思い出してくれたのかな?
 
 
私が袋を一つ受け取ると…
 
 
J)はい。
M)////
 
 
空いた片手を私に差し出してくれて…
私は遠慮気味にその手を握った。
 
 
J)寒くなってきたねー。
M)はい…///
 
 
また、気付いてくれた。
 
手、繋ぎたいなぁって…思ってたの。
 
どうしてJさんはいつも
なんでもわかっちゃうのかな。
 
 
それから家に着くと
Jさんはとっても手際よく
パスタを作ってくれて。
 
野菜たっぷりの具だくさんパスタ。
 
買ってきたお酒で乾杯して
一口、口に運ぶと…
 
 
M)美味しい〜〜〜〜♡♡
 
 
思わずほっぺに手を当てた。
 
 
J)ちょっと味濃いかなぁ?大丈夫?
M)全然丁度いいです!美味しいです♡
J)それは良かったw
M)ふふ、ありがとうございます♡
  ほんとに美味しい〜〜♡
 
 
やっぱりJさんほどの男の人だと
料理まで出来ちゃうんだな…
素敵だなぁ…。
 
 
ピロリロリロ♪ ピロリロリロ♪
 
 
J)あ、ごめん。電話だ。
M)どうぞどうぞ出てください!
 
 
Jさんは手でごめんねって合図をして
窓際まで歩いていった。
 
 
J)もしもし?
  …あーー、……うん。
  え、これから?w
  んー、無理。
  ははは、ごめんねーw
 
 
こ、これは…
きっと女の人からだ…!!
 
 
J)明日?明日も無理だよー。
  うん。うん。
  いや…、俺今そーゆーのお休み中w
  ごめんねー?
 
 
この間も実は同じようなことがあって…
 
女の人からのお誘いっぽい電話を
Jさん、断ってたんだよね…。
 
 
J)え?うん。うん…、なんでって…
  本命?ははは、どーだろーねーw
 
 
本命とかじゃないですよ!
Jさんは今、私ととんでもない約束を
してしまっているせいで
遊べないだけなんです!
 
律儀に約束を守ってくれてるんです…!
 
 
J)いつまで?さぁねーー
  とにかく今はごめんねー。
  それじゃ。
 
 
電話を切ったJさんは
何事もなかったかのように
テーブルに戻ってきた。
 
 
M)……。
 
 
「私との約束のせいですみません」
とか言うのも、なんか変かな?
 
「私との約束のためにありがとうございます」
も、なんか違う気がするし…
 
 
J)Mちゃん、明日の予定は?
M)え?
J)明日。
M)明日は…、何もないです。
J)珍しいね。
M)先輩は明日、
  瞬くんと施設訪問だけなので。
  私は特には。
  お買い物でも行こうかなって
  思ってたくらいです。
J)じゃあ一緒に行く?
M)えっ…
J)一緒に出かけない?
M)…っ
 
 
え、え、それって…
一体どういうこと?!
 
Jさんと二人で…お出かけ…?
二人っきりで…!?
 
だって…さっきの電話の人には
「明日?明日も無理だよー。」
とか断ってたのに…!!
 
なのに私と出かけてくれるの!?
 
一体どういうこと?!
 
 
M)出かけるって…どこに…
J)どこでも。
  Mちゃんの買い物に付き合ってもいいし
  あ、俺も冬物見ようかなー
M)…っ
 
 
何それ何それ何それ。
 
なんかそれって…まるで…
デ、デ、デートみたい…
 
…って、違う違う!!
デートなんかじゃない!!
 
 
M)大丈夫ですから!!
J)え?何が?
M)勘違いしてませんから!!
J)はい?w
M)デートだとか思ってませんから!!
 
 
私は慌てて弁解して、
お酒を一気に飲み干した。
 
 
J)まぁ…
  なんでもいいけど…w
  じゃあそーゆーことで。
M)…はい…っ。
 
 
ドキドキしながらパスタを食べ終えて
フワフワしながらお酒もたくさん飲んで。
 
 
Jさんと二人でお買い物…、、
 
Jさんと私なんかが並んで歩いて大丈夫かな…
 
お買い物ってどこ行くんだろう…
 
てゆーか私の買い物に付き合わせるなんて
申し訳なさすぎる…、、
 
 
とかあれこれ考えてたら、
ちょっと長風呂になっちゃって。
 
 
J)顔真っ赤だよ、大丈夫?w
M)////
 
 
お風呂から上がってきた私を見て
Jさんが心配そうに笑った。
 
 
M)少し…入りすぎちゃいました…///
J)だねー、お酒も入ってたのに。
 
 
あ、頭を撫でてくれる手が
少し冷たくて気持ちいい…。
 
 
……こてん。
 
 
J)んー、大丈夫…?
 
 
優しく響く低い声が、鼓膜に心地良くて…。
 
 
M)……(ふるふる)///
 
 
このまま、もたれてたい。
甘えたい。
 
 
M)Jさん…、///
J)んー?
 
 
どうしてそんな優しく返事してくれるの…。
 
 
J)そんな甘えた声出してどーしたのw
M)////
 
 
だって、甘えてるんだもん。
 
 
J)……ん。
M)////
 
 
ほら、やっぱり。
私の考えてることなんてお見通しなんだ。
 
抱きしめてほしいなって思ってたら
こんなに優しく抱きしめてくれるんだもん…。
 
 
M)Jさん…///
J)……。
 
 
Jさんの手も声も、ぬくもりも…。
 
そのどれもが優しくて、気持ち良くて。
 
 
気付けばいつの間にか、フワフワ夢の中。
 
 
最後に「おやすみ」って
とっておきの甘い声が
耳元で囁いてくれた気がしたんだ。
 
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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  1. (。・д・。)/ より:

    Mちゃーーーん!もう絶対好きや~~んw自分に言い聞かせてる感あるし。そしてJさんも気になりはじめてるんだろうな~で、好きになっちゃうかも!?

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