[312]都合の良い約束(MちゃんSide)

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Jさんの家に行きたいって答えたら
あっさり了解なんて言われて…
 
なんだか嘘みたいで
頭も足元も、フワフワしてる。
 
 
J)ほら、行くよ。
 
 
支払いを済ませたJさんに
腰を抱かれて…
 
私はしなだれかかるように
甘えながら歩いた。
 
 
ドキドキドキ、ドキドキドキ…、
 
いつもの私だったら
ここでキスとかしちゃうけど…
 
なんか今日は…緊張して、無理///
 
 
一緒にタクシーに乗り込んで
シートの上で少し手が触れて…
 
手、繋ぎたいな…なんて
そんなこと思っちゃって…
 
そしたらJさんは優しく笑って
私の手を取ってくれた。
 
 
M)////
 
 
なんか私、どうにかなっちゃいそう。
 
 
Jさんのマンション、どんな部屋なんだろう…
 
いつ誰とどうなってもいいように
いつもお泊りセット一泊分を持ち歩いてて
本当に良かった。
 
今日はそんなに食べてないし、
お腹出てないよね?
 
……Jさんにすっぴん見せることに
なるのかな?
ううん、シャワーの後も軽くお化粧しよう。
 
…って私、泊まる気満々だけど
Jさんはそんなつもりじゃなかったら
どうしよう。
 
いや、そんなことないよね?
この時間から部屋に行くんだもん。
大人なんだし。
 
……そういう…ことだよね?
 
 
J)着いたよ。
M)!!!
 
 
頭の中であれこれグルグル考えてるうちに
着いちゃった!
 
 
M)……ここ…ですか?
J)うん。
 
 
……すごい。
三代目に負けず劣らずな
高級タワーマンション。
 
 
M)……わ、広い…。
 
 
部屋の中も綺麗だしオシャレで、
いかにもJさん!って感じ!
 
 
J)お風呂用意してきてあげるから
  好きに休んでて。
M)え…、
 
 
好きに…と言われても…。
 
 
すごいなぁ…Jさん。
あんなイケメンにこんな部屋連れて来られたら
女なんてみんな簡単に落ちちゃうだろうな。
 
あ、違うか。
もう既に落ちてるから部屋まで来てるのか。
 
 
J)どうしたの?真剣な顔して。
M)……今まで一体何人の女が
  ここで夢を見たのかなぁって…。
J)ぷっ、何それ!あはははw
 
 
え…、笑うとこですか?
 
 
J)俺、自分の家には連れてこないよ?
  ホテルとか女の子の家が多いかなー
M)え!どうしてですか?
J)んー、まぁ俺、Mちゃんの想像通り
  遊んではいるけど…w
  来るもの拒まずな感じで…
  自分から誘ったりはしないかな、
  今はもう。
M)今はもう…。
J)うん、若い頃はまた違ったけどw
  最近はそんなもんだよー。
M)……。
 
 
なるほど。
自分からいかなくても
女が寄ってきますもんね?
 
そういう女の相手をしてれば
十分ってことですね?
 
 
M)じゃあ…どうして…
J)え?
M)どうして私は連れてきてくれたんですか?
  ここに…。
J)んー、なんでだろね?なんとなく?
 
 
「なんとなく」って…
なんて曖昧な言葉。
 
 
J)ほら、お風呂できたよー
  ゆっくり入っておいで。
M)…っ
 
 
この余裕に満ちたほのぼのした空気は
一体何なの?
 
いつもだったら
男から私にがっついてくるか…
早くHしたい時は私から誘ったりするけど…
 
Jさんは掴めない!
 
 
まさか…
本当にただの「お礼」で
私をおもてなししてくれるだけの
つもりだったりして…
 
 
M)……あ、あのっ!
J)ん?
M)……H、するんですか?!
J)ぷっ、直球だねーw
M)////
 
 
だって。
 
なんか今日は上手くぶりっ子出来ないし…
 
Jさん相手だと
私のペース、乱されまくりなんだもん!
 
 
J)どっちでもいいよ?
M)え…?
 
 
どっちでも…いい…?
とは…?
 
 
J)Mちゃんがしたいならお相手するし
  そんな気ないなら、何もしないよ?
M)…っ
 
 
な、な、何それ…
私次第…ってこと?
 
 
M)で、でも…っ
  Jさんは社内の女には手を出さないって…
J)え?あはははw
  よく知ってるねーーw
M)Jさんにフラれた女子社員たちの
  情報網です。
J)ええ?それいつの話ー?あはははw
 
 
冗談めかして笑ってるけど
その噂は本当だと思うから。
 
 
J)まぁ…うん。
  後々面倒くさいことになったら嫌だから
  社内の女の子は基本断ってるかなー
M)基本…?
J)うん。でもね、例外の皆さんには
  俺が断られるからw
M)例外?
J)ほら、姫とか、Kちゃんとか。
M)Kさん?!
  Jさん、Kさんも口説いたんですか!?
J)むかーし、一回だけねーw
  一瞬で断られたけどw
  あとはほら、◇ちゃんとかw
M)◇さん!?断られたんですか?!
J)うん。
  まぁ口説いたって感じとは違うけど…
 
 
◇さん…
あんなにJさんのファンなのに断ったんだ!
信じられない!
 
私ならいくら岩田さんと付き合ってても
絶対ヤッちゃう!
 
 
M)……私も…例外ですか?
  面倒臭くないんですか?
J)だって百戦錬磨のMちゃんが
  一回したくらいで
  俺のこと好きにならないでしょ?w
M)好きに…なられたら…
  面倒くさいってことですか?
J)うん。
  でも女の子って身体重ねたら
  絶対好きになっちゃうから、俺のこと。
  だから社内の子は基本はお断りってこと。
M)……。
 
 
そんなことサラッと言ってのけても
嫌味なくただカッコイイのは、Jさんだから。
 
そうか、そうなんだ。
女の子がみんな絶対好きになっちゃうくらい
Jさんはお上手なんだ。
 
 
J)ま、ゆっくりお風呂で休んでから
  決めたら?
  あるもの好きに使っていいから。
M)は、はい…。
 
 
そう言われてバスルームに向かって…
 
 
なんで私、こんなに緊張してるんだろう。
男の人の家に泊まるなんて慣れてるのに…。
 
 
M)はぁ、///
 
 
綺麗に身体を洗い流して
お風呂に浸かって、ほっと一息ついた。
 
 
「Mちゃんがしたいならお相手するし
 そんな気ないなら、何もしないよ?」
 
 
今夜Hするかどうかは、私次第って
言われたけど…
 
そんなの、したいに決まってる。
だってあのJさんだもん!
 
私なんか相手にしてくれなさそうな
あのJさんがそう言ってるんだよ?
 
そんなの絶対してほしい!///
 
 
でも…、、
 
 
私がしたいなら、ってことは…
Jさんはそこまでその気じゃないってこと…?
 
そうだよね、したかったらもっと…こう、
ガツガツ来るよね?
 
 
別にどっちでもいいなんて…
なんか少し、悔しい。
 
やっぱり女としては、求められたいもん。
 
 
「一回したくらいで
 俺のこと好きにならないでしょ?w」
 
 
好きになんて、ならない。
 
ならないけど…
 
どうして私、
こんなにペース乱されてるんだろう。
 
自分でもわかんないや。
 
 
M)はぁ…、
 
 
暑くなってきちゃった。
もう上がろうかな。
 
……はっ!もしかして…
この後、このお風呂にJさんが入るの!?
 
ど、ど、どうしよう?
私、汚しちゃってないよね!?
 
慌ててお風呂中をくまなくチェック。
 
 
M)……うん、大丈夫だ。
 
 
……変なの、私。
いつもと全然違う。
 
 
J)ああ、おかえり。
M)ドライヤーもお借りしました。
J)うん。じゃあ俺も入ってきていい?
M)どうぞ。
 
 
Jさんがリビングから出て行って、
ふぅ……とソファーに腰を下ろした。
 
 
高そうなソファーだなぁ。
さすがお金持ち。
 
でもJさんって実家はお金持ちだけど
別に親からお金なんて
もらってなさそうだよね?
 
お母さんともあんな感じだったし…。
 
 
別に実家とか関係なく、
Jさんは自分で稼いでお金持ちなんだろうな。
 
だって毎年全国1位の成績で
月間インセンティブも
年間表彰の賞金も
とにかく色々もらいまくってるだろうし…
 
ほんとすごいなぁ…
尊敬しちゃう。
 
 
M)はぁ…。
 
 
夜景が綺麗だなぁ…。
 
 
カーテン開けっ放しでも
人の目が気にならないって…すごいな。
 
こんな素敵なお部屋なのに
女は連れ込まないんだ。
 
Jさんっていつから彼女いないんだろう。
 
 
ずっと先輩を好きだったなら…
女遊びはしてても
彼女はずっといなかったのかな?
 
 
…今までどんな女の人と遊んできたんだろう。
 
可愛くて綺麗でスタイルも良くて…
そんな人ばっかりかな?
 
必死に頑張って中の上レベルの私なんかが
相手してもらっていいのかな?
 
 
M)……はぁ、
 
 
結構飲んだのに
お酒なんて全部抜けちゃうほど
頭がハッキリしてる。
 
いっそのこともっと飲んで
べろんべろんになって
その勢いで抱かれちゃえば良かった。
 
あ、でも、そんなことしたら
Jさんとの折角の夜を
覚えてられなくなっちゃう。勿体無い。
 
 
J)あれ、寝てる?
M)!!!
J)あ、起きてたw
  ずっと座ってたの?
M)…っ
 
 
あれこれ色々考えてたら
あっという間に時間が経ってたみたい。
 
 
J)なんか飲む?
M)い、いえっ…
J)水もいらない?
M)あ、はい、じゃあ…お水ください///
J)はーい。
 
 
女を連れ込んでないと言う割に
どうしてこんなにリラックスしてるんだろう。
 
私に嘘ついただけで
本当は連れ込みまくってるとか?
 
……ううん、Jさんは
そういう嘘つく人じゃない気がする。
 
 
じゃあ…
私が単に女として見られてないだけ??
 
……むぅぅぅ。
 
 
J)はい、どうぞ。
M)ありがとうございます…。
 
 
水が入ってるだけなのに
オシャレなこのグラスは
一体いくらするんですか…?
 
 
J)で?
M)え?
J)どうするか決めたー?
M)…っ
 
 
キッチンの向かいの
備え付けのバーカウンターに
肘をつきながら、私を見てるJさん。
 
 
M)えっと…、、
 
 
私が答えかねてると、
 
 
J)じゃあ三択にしてあげようか?
 
 
そう言って、ニッコリ笑った。
 
 
J)一、する。
  二、添い寝で終わり。
  三、別々に寝る。
M)…っ
J)どれがいい?
 
 
Jさんは相変わらず余裕な感じで…
私は本当はしたいけど、
それを選ぶのがなんだか悔しい。
 
 
J)んー?
 
 
私が黙ってるとJさんはゆっくり歩いてきて
私の隣に腰をおろした。
 
私は持ってるグラスをローテーブルに置いて
Jさんを見た。
 
 
M)したい…けど…
  百戦錬磨なJさんのお相手する
  自信…、ないです。
J)あははは、百戦錬磨はMちゃんでしょw
  したいなら、する?
M)……///
 
 
ほら、
「したいなら」なんだもん。
 
 
M)三番にします…。
J)別々に寝るの?
M)……(こくん)
J)ほんとにそれでいいの?
M)……だ…って…、
  添い寝なんてしてもらったら…
  してほしくなっちゃう…///
J)…っ
 
 
添い寝だけで満たされるほど、
子供じゃないです。
 
 
J)「してほしくなっちゃう」のに
  なんで一番を選ばないの…?w
M)だって…
 
 
私はじっとJさんを見つめた。
 
 
M)したいの…私だけだもん…///
J)……。
M)Jさんにも少しくらい…
  したい、って…、ほしい、って…
  そう思ってほしいのに…
  そうじゃないから…
J)……。
M)…だったら、いいです///
 
 
なんか拗ねたような口ぶりになっちゃった。
子供みたいで恥ずかしい。
  
 
J)いつもそんな可愛いこと言ってるの?
  悪い子だねぇ…w
M)…っ///
 
 
Jさんの手が私の後頭部にまわって、
こつんとおでこを重ねられた。
 
 
J)そうやって…
  男に「欲しい」って言わせるんだ?w
M)ちが…っ///
 
 
そんなことしなくても
いつもは男の人から来てくれるもんっ…
 
 
J)そっか、じゃあしたくないんだ。
M)…ちが…っ、、
  だから…
 
 
Jさんの意地悪。
 
 
M)してほしい…けど…、我慢します///
J)……ほんと可愛いなぁw
 
 
Jさんはクスッと笑って、私の頬を撫でた。
 
一気に顔が、熱くなる。
 
 
M)Jさんこそ…!
  いつもそうやって言ってるんですか?
J)え?
M)そうやって…
  女の子から欲しいって言わせるんですか?
  可愛い、可愛い、って言って!
J)…うーん…?
  別にそう仕向けてるわけじゃないけど…
  女の子は褒める生き物でしょ?
M)……私はいりません。
J)え?
M)そーゆーの…いりません。
  本当に思ってない「可愛い」なんて…
 
 
私、何言ってるんだろう…
これじゃ…
Jさんに可愛いって思ってほしいって
そう言ってるみたい。
 
 
J)思ってるよ…?
M)え…?
J)今は可愛いって思ってるから、言ってる。
M)////
 
 
ずるい…。
Jさんはいつもこうやって
女の子を落とすんだ。
 
 
あれ…?でも…、
 
Jさんは別に私としたいわけじゃなくて…
どっちでもいいと思ってる程度なのに…
私に可愛いとか言って
無駄に褒める必要あるのかな…?
 
 
M)せ、先輩ほどの人を好きだった人に
  可愛いとか言われても
  全然信じられません!
 
 
あーあ、また可愛くないこと言っちゃった。
 
 
J)なんでここで姫が出てくるの…w
M)だ…って…
J)まぁ姫は確かに可愛いけどさー、
  それだけで好きだったんじゃないよ。
M)え…?
 
 
Jさんは私の頭を優しく撫でた後、
ソファーにゆっくりともたれこんだ。
 
 
J)最初は可愛いなーってそれだけだったけど
  ほら、あの子ってほっとけないじゃん?
M)……。
J)真っ直ぐなんだけど不器用で
  頑張るんだけどおっちょこちょいで
  甘えればいいのに、強がって。
M)……。
J)そういうほっとけないところに
  ハマっていったのかなぁ〜。
M)じゃ、じゃあ…
J)ん?
M)ほっとけないキャラだったら
  海璃ちゃんもそうですよね?
J)ああ、そうだねぇ。
M)じゃあ…出会う順番違ったら
  海璃ちゃん好きになりましたか?
J)どうだろうね?
  可能性はあったんじゃないかなー
M)……。
 
 
海璃ちゃん、羨ましい。
だって私はどう間違っても
ほっとけないキャラなんかじゃないもん。
 
しっかり、ちゃっかり、してるもん。
 
 
J)話は脱線したけど…
  Mちゃんも可愛いよ?
M)だから…っ
 
 
そんな慰め、いらないもん。
 
 
J)Mちゃんってさ、
  ミーハーでイケメン大好きで
  ぶりっ子が多少クセ付いてるけど…w
  でも、悪いことじゃないと思うよ。
M)…っ
J)恋愛なんて諦めてて
  玉の輿に乗れればいいんですー
  とか言いながら、
  努力はちゃんとしてるじゃん?
M)……。
J)それに…普段は明るくて元気で
  人懐っこくて、甘え上手で。
  でも礼儀とかはしっかりしてるし、
  気配りが丁寧だったり…
  意外とマメでしょ?w
M)…っ
 
 
どうして…
 
どうしてJさんが…
先輩と同じこと、言ってくれるの…?
 
 
J)そういうところしっかりしてて
  偉いなぁって思ってるんだよ。
 
 
あの日先輩が言ってくれた言葉。
 
私のこと見ててくれてるんだって、
嬉しくなった。
 
Jさんも…
そんな風に私のこと、見ててくれてたなんて…
 
 
どうしよう。
なんか涙が出そう。
 
 
J)Mちゃん、本当は
  ちゃんと恋愛、してみたいんでしょ?
M)…っ
J)諦めたりしないで、探してみたら?
 
 
……そんなの…、今更…
 
 
M)何言ってるんですかぁ?w
  いいんですよ、私は…
J)ほら、また。
M)え…?
J)嘘ついてる顔してる。
M)…っ
 
 
Jさんはバーでそうしたように
また私の眉間を優しく指で撫でてくれた。
 
 
J)俺もさ、同じだから…わかるよ。
M)…っ
J)今まで奔放に生きてきて…
  恋愛なんてどうでもいいって
  適当にSEXしてきたけど…
M)……。
J)最近はなんか少し…
  寂しさとか虚しさとか、感じるんだよねー
M)……。
J)一生懸命誰かを好きになるって
  なんかいいなー、なんて。
M)……。
J)そう思わせてくれちゃう人が
  周りに増えたせいかなw
M)……。
 
 
Jさんは笑いながら
私の頭を優しく撫でてくれて…
 
私は気付いたら、
我慢してた涙が、目からこぼれ落ちた。
 
 
J)……。
 
 
Jさんは何も言わずに
そのまま私を抱きしめてくれて…
 
なぐさめるように、励ますように、
優しく背中を叩いてくれてる。
 
 
M)…っ
 
 
私、本当は寂しかった。
 
誰かをちゃんと好きになりたい。
愛されたい。
 
そんな本当の気持ちから
目を背けて生きてきたんだ。
 
 
J)愛したいって思うのも
  愛されたいって思うのも、
  人間の本能なんだと思うよ。
M)……。
 
 
本能…、
そっか、そうなんだ。
 
いくら諦めて割り切ってても
本能なら抗えない。
 
 
M)……私、ちゃんと恋愛したい。
 
 
涙が止まった頃、
自然と口からこぼれた言葉。
 
 
J)いいんじゃない?
 
 
Jさんは優しく笑って頷いてくれた。
 
 
M)でも…どうやってしたらいいのか
  今更すぎて…わかんない…。
 
 
合コンに行けばワンナイの相手なんて
いくらでも見つかるけど…
 
本当の恋の相手なんて
どうやったら見つかるの?
 
 
J)うーん…、とりあえず…
  奔放な夜遊びは終わりにしたら?w
M)え…。
J)すぐそういう関係にならない。
  それまでのプロセスを大事にする、とか?
  ……俺が言っても説得力ないなw
M)…っ
 
 
夜遊び、禁止かぁ…。
 
 
M)Hしたくなっても…我慢ですか…?
J)え?w
M)我慢できるかなぁ…。
 
 
イケメンセンサーもお休みさせなくちゃ…
 
 
J)ぷっ、ほんと素直だね、Mちゃんw
M)え?
J)自信ないの?
M)だって…女にだって性欲はあるもん。
J)まぁ、そうだねぇw
M)どうしよう…。
 
 
イケメンと夜遊びしつつ
恋の相手探し…、なんて…
そんなどっちもはやっぱりダメかな。
 
 
J)じゃあさ、Mちゃんが
  そういう相手に出会えるまでは
  そういうことしたくなったら
  俺のとこに来なよ。
  そしたら遊ばなくて済むでしょ?
M)え?
  Jさんのところに…きて…
  どうするんですか?
J)どうとでも?
  お望みに応えますよ?
M)…っ
 
 
またそれだ。
 
 
M)添い寝してくれるんですか?
J)いいよ?
M)添い寝じゃ足りなかったら…?
J)いいよ?
M)////
 
 
何それ、変なの。
どうしてそんな優しいの?
 
 
M)私は…Jさんに甘えて…
  夜遊びをやめたとして、
J)うん?
M)でもJさんは…
  私以外の人とも遊ぶんですよね?
 
 
…って言ってから、ハッとした。
 
私今、なんか重たくてうざいこと
言ったんじゃないかな、って。
 
 
束縛されるのが嫌いなJさん相手に…
彼女でもないくせに、
まるでヤキモチみたいな…
 
 
J)うーん、わかった。じゃあいいよ?
M)え?
 
 
何が??
 
 
J)俺もMちゃんとそういう関係でいる間は、
  遊ばない。
  それでいい?
M)…っ、どう…して…
J)だって、やなんでしょ?
  俺が遊んだらw
 
 
Jさんは私を甘やかすように
私のほっぺを撫でてくれる。
 
 
M)…どう…して…
  私のためにそこまで
  してくれるんですか…?
 
 
私に都合が良すぎる話な気がする…。
こんなの、おかしい。
 
そう思って聞いたのに、
Jさんは困ったように笑って…
 
 
J)俺と似てるからかな?
 
 
そう言った。
 
 
M)似てる…?
J)うん。
  ほら、人間の本能に抗ってたけど
  抗いきれなかったとこ?w
 
 
「愛したいって思うのも
 愛されたいって思うのも、
 人間の本能なんだと思うよ。」
 
 
私がそれを叶えるために…
協力してくれるの…?
 
 
J)似てるから…ほっとけなくて。
M)…っ
 
 
Jさんの「ほっとけない子」センサーに
私は奇跡的に引っかかったみたい。
 
さっき、泣いちゃったからかな…?
 
 
M)……なんか…変なの///
J)え…?
M)Jさんと二人だと…調子が狂います。
J)……。
M)上手に…ぶりっ子できないし…
  なんでも話しちゃうし…
  心が…裸にされてくみたい…。
 
 
きっとJさんが聞き上手で
なんでも包み込んでくれるような
そんなオーラを持ってる、
大人の男の人だから。
 
 
M)ほんとに…甘えちゃって…
  いいんですか…?
J)いいよ…?
M)////
 
 
……嬉しい。
 
なんか…嘘みたい。
 
 
J)じゃあそろそろ休んだら?
  ベッドはあっちの部屋ね。
M)え…?
J)俺はソファーで寝るから。
M)え??
 
 
きょとんとしてる私に
Jさんは意地悪く笑って…
 
「だって三番なんでしょ?」って。
 
 
M)…っ
J)今日は素直になれた日なら、
  素直になる?
M)……///
J)どうするの…?
M)////
 
 
やっぱりJさんは
選択権を私に委ねてきて
これっぽっちも私を欲しがってくれないけど…
 
でもさっきの約束が
これ以上ないくらい、贅沢で…
 
素直に甘えたくなってる私がいる。
 
 
Jさんが欲しがってくれなくても
それより何より、私が欲しい。
 
この優しい腕に、抱かれたい。
 
 
M)選び直しても…いいですか?///
J)いいよ?w
 
 
クスッと笑ったJさんに
今度は私から、抱きついた。
 
 
M)一番が、いいです///
J)ファイナルアンサー?w
M)……(こくん)///
 
 
素直に頷いた私を
Jさんはやっぱり余裕の表情で
優しく見つめて…
 
そのまま私を抱き上げて、
寝室まで連れていってくれた。
 
 
そこから先は、
ふわふわ夢見心地で…
ハッキリとした記憶がない。
 
 
ぼんやりとした感覚で…
 
最初から最後まで
Jさんがリードしてくれたこと。
 
散々夜遊びしてた私なんて
これっぽっちも太刀打ちできなかったこと。
 
覚えてるのは、それくらい。
 
 
こんなの…
誰だって好きになっちゃうよ…。
 
いつもこんな風に…
とろけそうなくらい、甘く、優しく…
女の人を抱くの…?
 
 
そんな意識も、あっという間に飛ばされて。
 
 
最後に一つだけ覚えてるのは、
いつもは私を「Mちゃん」って呼ぶJさんが…
 
最後の最後に、
私の名前を呼び捨てで呼んでくれたこと。
 
 
愛おしそうに呼ばれたその名前に、
なんだか涙が出そうだったんだ。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
それから目が覚めたのは…
柔らかい光が差し込む、
朝になってからだった。
 
 
M)……。
 
 
どうしよう。
本当にJさんとしちゃった。
信じられない。
 
夢…じゃ、ないよね?
 
 
何か…朝ごはんとか作った方がいいのかな?
でもそんな出しゃばった真似したら
うざいかな?
 
どうしたらいいんだろう。
 
 
ふと隣を見れば、綺麗な寝顔。
 
本当に…夢…、じゃないよ…ね?
 
 
J)……どうしたの…w
M)!!!
 
 
Jさんが目を閉じたまま、口を開いた。
 
 
J)そんなに見つめられたら穴が空きますよー
M)…っ、寝てるのに…わかるんですか?
J)うん、感じるよ?視線。
M)////
 
 
なんか、恥ずかしい。
 
 
M)……夢じゃ…ないんだなぁって…
  見てました。
 
 
私の言葉に、Jさんはゆっくりと
薄目を開けて…
 
はっ!もしかして私、今重たい発言した?!
うざい?!
 
って、内心一人でオロオロしてると…
 
優しい手がスッと頬に伸びてきた。
 
 
J)そんな可愛いこと言って
  いつも男を喜ばせてるの?w
M)ち、ちがっ…
  計算とかじゃなくて…
J)あーあ、俺Mちゃんに転がされるなぁ〜w
M)だからそうじゃなくて!///
 
 
全然転がされてなんてくれないくせに、
そんなこと言って、笑ってる。
 
 
M)あの…、
J)ん…?
M)昨夜の…約束…、覚えてます?
J)約束?
M)はい。
 
 
私にばっかり都合の良い、
とんでもないあの約束です。
 
もしかしたら
その場の雰囲気に流されただけ、とか
私が泣いてたから
勢いで言っちゃっただけ、とか
 
そんなんだったらどうしようって思って。
 
 
M)あの、取り消したいなら…
  遠慮なく…言ってください…。
J)どんな約束だったっけー?
M)えっ…
 
 
やっぱり覚えてないのかな?
 
 
J)言ってみてよ。
M)……///
  私…が、ちゃんと恋愛できる…まで…
J)うん?
M)夜遊びしない代わりに、
  Jさんが私の相手をしてくれて…
J)うん。
M)Jさんはその間、
  他の人と遊ばない、…っていう
  約束です///
 
 
改めて言ってみると、
やっぱりとんでもない!
 
 
M)あの、ごめんなさい、ほんとに…
J)取り消したいの?
M)え…っ
J)Mちゃんが取り消したいならいいよ?
M)…っ
 
 
まただ。
そうやって、私に決めさせる。
 
 
M)取り消し…ません///
J)はは、りょーかいw
 
 
ほんとに…いいの…?
 
 
J)不合格になったかと思ったよw
M)え…?
J)不合格だったから
  約束、取り消したいのかなーって。
M)不合格…?って…
J)だってMちゃん、
  Hの相性は大事なんですよぉ〜〜
  とか熱弁してなかった?前にw
M)!!!
J)だからそれで不合格に
  なったのかなー、なんてw
M)////
 
 
そんなわけないって、わかってるくせに…
……意地悪。
 
 
J)合格で大丈夫ですかー?
M)…っ///
J)どうなの?
M)そんなの…言わなくても…っ
J)自信ないから、わかんなくて。
M)////
 
 
もう、本当に意地悪!!
 
私のこと、こんなにしておいて…
良くなかったわけがないのに…!!
 
 
自信たっぷりな顔で
私をからかってくるJさんは、
本当に意地悪。
 
 
J)可愛いなぁ…w
M)え…?
 
 
Jさんはクスクス笑って…
愛おしそうに私の髪に手を伸ばす。
 
 
M)あ…の…、///
  勘違いしそうになるから…
  やめてください///
J)何が?
M)…っ
 
 
その、目とか、仕草とか…
愛しさと間違えそうなものを
私に向けるの、やめてください。
 
 
M)あの…Jさん、…いつも…なんですか?
J)何が?
M)……その、///
  昨夜…みたいな…、
J)ん?何?
  昨夜の感想なら遠慮せずどうぞ?
M)////
 
 
もうっ!!
 
 
M)あんな風に!
  すっごく愛されてるって
  女の子が勘違いしちゃいそうな
  優しい抱き方、するの!
  いつもなんですか?!
 
 
勢い付けて私が聞くと…
 
 
J)……さぁ、どうだろうね?w
 
 
Jさんはクスッと笑って
はぐらかした。
 
 
M)…っ
 
 
……やっぱりJさんは掴めない。ずるい。
 
 
J)そんな風に感じたんだ…?w
M)////
 
 
だから…
こうやって愛おしそうに触れるの、
やめてください///
 
 
M)勘違いしちゃいそうだっただけで
  してませんから!大丈夫ですから!
J)…っ
M)普通の女の子だったら
  勘違いするだろうなーって…
  好きになっちゃうだろうなーって…
  そう思っただけなんで!
J)……。
M)私はJさんのこと
  好きになったりしてないので
  安心してください!
J)……。
 
 
自分に言い聞かせるためにもそう言ったのに…
Jさんはゆっくり起き上がると
私をまっすぐに見つめて…
 
 
J)どうだと思う?
 
 
色気たっぷりに
そんなことを、聞いてきた。
 
 
M)どう…って…?
J)いつも俺があんな風だと…思う?
M)……そん…なの、知りませんよ!///
J)あははは、そうだよねぇw
 
 
もう、何なの!
変なJさん!///
 
 
J)じゃあそろそろ起きよっか。
M)あ…、
 
 
起き上がってベッドを降りたJさんに
なんだか少し寂しくなって
つい、声を漏らしたら…
 
 
J)ん?もう少しくっついてたかった?
 
 
優しくそう聞かれて…
 
 
M)……(こくん)///
 
 
思わず素直に頷いた。
 
 
J)やっぱり俺転がされてるなぁ〜w
M)え?
J)甘え上手だよねぇ、Mちゃん。
M)…っ
 
 
転がされてるなんて、嘘ばっかり。
全然余裕で私をからかって遊んでるくせに。
 
 
M)Jさんは甘やかし上手ですよね///
J)そう?w
 
 
こんな優しく抱きしめてくれるくせに…
そんなとぼけた返事。
 
 
J)…自分でもよく…わかんないんだよなぁ…
 
 
ん?
Jさんが苦笑い?でぼそっと呟いたその一言は
聞き取れなかった。
 
 
それから二人で朝の準備をして…
私が何か朝ごはん作りますか?って聞いたら
 
Jさんは予想外に喜んでくれて…
 
 
冷蔵庫の中身を少し拝借して
簡単な朝ごはんを用意したら
Mちゃんは偉いねぇって褒められたりして。
 
 
同じ服で出社したくないから
一度家に帰るために
先に部屋を出ることにした。
 
 
M)ええと…お邪魔しました///
J)またいつでもどうぞw
M)えっ…
J)あれ、そういう約束でしょ?w
M)……///
J)やっぱり取り消す?w
M)……(ふるふる)///
J)あはははw
 
 
必死に首を振った私の頭を
Jさんはまた優しく撫でてくれた。
 
 
M)えっと…じゃあ、
J)はーい、気をつけてね。
M)……。
J)……。
 
 
ほんの少し、離れがたくて
Jさんをじっと見つめたら…
 
 
J)ん、おいで…w
 
 
Jさんはクスッと笑って
私を抱きしめてくれて…
 
頭に小さく、キスをくれた。
 
 
M)////
 
 
恥ずかしくなった私は
そのまま「お邪魔しました!」って
慌てて玄関を出たけど…
 
……なんでJさんってば
あんなに甘々なんだろう///
 
 
M)はぁ…、
 
 
エレベーターを一気に降りて外に出ると
風は少し冷たいけど
あたたかい朝日がまぶしくて、目を細めた。
 
 
なんだろう、不思議。
 
昨日の朝とは、全然違う気分。
 
寂しさも、虚しさも、感じない。
 
それどころかすごく幸せで
満ち足りた気分。
 
 
……それはきっと
Jさんがあんなに優しくしてくれて
あんなに甘やかしてくれたからだ。
 
 
M)////
 
 
思い出しただけで、どうにかなりそう。
 
Jさんって本当にすごい。
 
 
でも、大丈夫!
好きになったりしてないから!!
 
 
好きじゃない。
 
好きじゃない。
 
好きじゃない!!
 
 
大丈夫!!
 
 
私は何度も心の中でそう唱えて
自分の家へと帰った。
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. あーちゃん より:

    マイコさん
    やっとコメント書けました
    4月から引っ越しや職場の持ち場移動やらで…
    この二人のことリクエストしたこともあったくらい見たくて見たくて

    もう、嬉しすぎて!
    思い残す事はない、と思ってましたが
    なんとまだまだマイコさんの頭には続きの構想が‼
    これはなんとしても生き延びねば(笑)
    いつも楽しいストーリーありがとうございます。

    • マイコ より:

      お忙しかったんですね!毎日お疲れさまです!!(っ≧ω≦)っ
      そうですよ、この二人はまだまだその後がありますよ、むふふふ(ฅ¯ω¯ฅ )
      しっかり見届けてやってください♡笑

  2. さゆれ より:

    この2人の話、今ダントツで続きを見たいお話です!!
    Jさんの事気になってなかったのに、Mちゃん同様にもっと知りたいなと思ってしまった!
    それにしてもMちゃんが可愛すぎる!

    • マイコ より:

      この二人の話、私も今ダントツで続き書きたいです!w
      でもまだそこまで辿り着かず、うずうずしてます。゚(゚^∀^゚)゚。笑

  3. きよママ より:

    私このカップル好きカモ(*^.^*)
    愛し、愛されたいと思うのは本能。
    本当にそう思います。

    • マイコ より:

      いやん(///∇///)ウレシス〜〜♡♡
      この二人はまだまだ登場しますので見守ってあげてくださいまし♡♡

  4. さゆがん より:

    Mちゃんサイド新しい!
    理想と現実、需要と供給って
    なんでこうも一致しないのかと
    私も日々なやんでます(´-д-)-3
    だんだん自分を押し殺しちゃうし
    いろんなモヤモヤがジレンマになってくるし
    愛したいし愛されたいが強くなってくる。。

    • マイコ より:

      そこは永遠に一致せんのですよなぁ(´д`)
      妥協点を見つけることが一番!
      Mちゃんも自然体で愛し愛される日が来ますように…☆

  5. (。・д・。)/ より:

    Jさんの反応が(なんやMちゃんに気あるんかいアンタ)って思っちゃう時がある。Jさんに転がされてるMちゃんの方が普段より可愛いよー

  6. HIROOMIYUKI より:

    あたしは頑張って中の下位だけど、Mちゃんの気持ちが凄い分かる( •́ •̀ )置かれてる状況とかビンゴすぎて朝からで泣きそうになった

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