[303]好きな声

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男)好きなんだけど…
海)えっ!
男)付き合ってくれませんか///
海)ええと…///
 
♡)…っ
 
 
どうしよう!!
そろそろ退社時間だから
お茶のカップを洗おうと給湯室に来たら…
 
海璃ちゃんが男の人に告白されてるー!
 
 
海)ごめんなさい、
  好きな人がいるんです///
男)……そっかぁ…。
 
♡)…っ、ひゃっ!
 
 
しまった!!
物陰に隠れてたのに
カップが滑って思わず声を出しちゃった。
 
 
男)あ!姫…っ!
♡)す、すみません!覗いてたわけでは!
男)違うんだよ、ごめん!
  姫がダメだったから
  海璃ちゃんってわけじゃなくて…!
♡)え?
 
 
なんだか急に慌てた様子の男の人。
どこの部署の人だろう…?
 
 
男)あれ…、もしかして覚えてない…?
♡)え?
男)……そうだよな…。
  姫に告白する男なんて腐る程いるもんな。
  その中の一人の顔なんて
  いちいち覚えてないか…。
♡)ええっ!
 
 
前に告白してくれた人なのかな?!
明らかにガッカリされちゃって
私は慌てて謝った。
 
 
♡)ごめんなさい!
男)やっぱり覚えてないんだ…。
♡)はっ…
 
 
しまった。
 
 
♡)ええと…、ごめんなさい。
男)いや…、いいんだけどさ…
  姫は俺の中で殿堂入りしたから…
  今は海璃ちゃんを好きになったわけで…
♡)……はい。
 
 
よくわからないけど
男の人が海璃ちゃんをチラッと見ると
海璃ちゃんは気まずそうに俯いた。
 
 
海)あの…こんな私を好きになってくださって
  本当にありがとうございます!
男)でも付き合ってはくれないんだよね…?
海)はい…、ごめんなさい…。
男)ううう…。
 
T)あ、お疲れさーん。
 
♡)はっ!
 
 
なんというタイミングで
入ってきちゃったの!Tくん!
 
 
T)あ、海璃だ。
海)…っ
T)今日の飯どーするー?
海)え、えっと…///
男)え…、二人…付き合ってるの?
海)あ、いえ!!///
男)だって…今日の飯…とか…、
海)つ、付き合ってません!///
男)…っ
 
 
海璃ちゃんが全力で否定すると
男の人は
「でも俺はどっちみち振られたんだよね…」
ってがっくり肩を落として出て行った。
 
 
T)振られたって…何?
  お前告白されたの?
海)…ええ…と…///
T)好きだって言われたの?
海)……(こくん)///
T)…っ
 
 
ど、どうしよう!
なんか私がドキドキしちゃう!
 
Tくんってばどうするんだろう…。
 
 
T)……そっか。
 
 
Tくんは一言だけそう言って
自販機でコーヒーを買うと
そのまま出て行っちゃった。
 
 
海)……。
♡)……。
 
 
思わず海璃ちゃんと目を見合わせる。
 
 
海)嘘ついた方が良かったでしょうか…?
♡)うーん…、いや、いいと思う。
海)どうしよう…気まずい…。
 
 
Tくんのあのリアクションは
どんな意味だったのかな。
 
海璃ちゃんのこと、どう思ってるんだろう。
 
少しずつ特別な存在になったりは
してないのかな。
 
 
♡)今日も一緒にご飯食べるんだよね?
海)はい…。
♡)頑張って!海璃ちゃん!
海)ありがとうございます…っ
 
 
……
 

 
 
それから私とMちゃんは定時で上がって
こじんまりとした和食屋さんで晩御飯。
 
 
M)なるほど、そんなことがあったんですね。
♡)うん!
M)Tさん焦ってればいいのにな〜♪
  やべぇ!海璃モテモテじゃん!
  どうしよう!って。
♡)それが海璃ちゃんへの気持ちを
  意識するキッカケになるかもだよね!
M)ですよですよぉ♡
 
 
二人で海璃ちゃんを応援しながら
白身魚のみぞれ煮をお箸でそっとほぐした。
 
 
♡)ね、今日のお仕事は場所どこなのー?
  そういえば聞いてなかったなと思って。
M)ああ、……中目黒です。
♡)中目黒!
  LDHの近くかなぁ?
M)そうですねぇ、近いかも。
 
 
臣くんは舞台挨拶終わったかな?
もう事務所に戻ったかなぁ?
 
 
M)先輩に一つ報告があるんですよー。
♡)なぁに?
M)来月、大塚製薬とのアポが入りました♡
♡)大塚製薬?なんのアポ?
M)さぁ?
  一度先輩に会ってみたいそうですよ♡
♡)そうなの?なんだろ??
 
 
お仕事のことは
全部Mちゃんにお任せしてるから
詳細はよくわからず。
 
 
M)ごちそうさまでしたぁー!♡
♡)美味しかったねっ♡
M)それじゃ行きますか!
♡)うん!
 
 
表通りを少し歩いて
そのまま電車に乗って。
 
辿り着いた中目黒駅。
 
 
M)こっちです。
♡)そうなんだ。
 
 
方向もLDHと一緒だーー。
 
 
M)なんだかこのへんは
  ファンっぽい人たちが多いですねw
♡)そうだねw
 
 
トラステのバッグを持った子や
24の服を着た子たちがたくさんいる。
 
 
女)さっきの車、絶対臣だよ!
女)だよね?!やばーい!♡
 
 
おおお…
若い女の子たちが電柱の陰で騒いでる。
 
臣くん、目撃されたのかな??
 
 
LDHに近付くにつれて
ファンっぽい人が増えてきた。
 
 
M)出待ち多いですねーーw
♡)みんなそうなのかな?
M)絶対そうですよー。
  きっと一目でいいから
  見たいんでしょうね。
♡)ね、LDHより向こうなの?
 
 
結構歩くのかな?
 
 
M)ここです♡
♡)え?
 
 
Mちゃんが立ち止まったのは、
まさに、LDHの真ん前。
 
 
♡)え??
 
 
意味がわからなくて二度見すると…
 
 
M)さ、行きますよー!♪
 
 
Mちゃんは楽しそうに
ドアの向こうに進んでいった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
デ)やっぱりいい声してるよな〜
隆)ですよねぇ。
臣)……。
 
 
♡が来るまでの間、
♡のデモを聴きながら頷いてる二人。
 
 
あ、さっきの写真が何枚か届いてる。
 
 

 
 
どれインスタにあげよっかな〜。
 
 
隆)ねぇ、臣。聞いてる?
臣)ん?聞いてるよ?
隆)臣あんま好きじゃないの?
  この人の声。
臣)は?好きだよ。
  この人にするって。
隆)え?
臣)もう決めてるもん。
隆)そっち?!w
  あんま興味ないのかと思ったw
デ)二人ともそんな気に入ったなら
  わざわざ事前に来てもらわなくても
  正式に依頼しちゃえば良かったねw
隆)まぁまぁ、生歌も聞いてみたいしw
 
 
ほんと気付いてねんだな。
隆二びっくりするだろなーーw
 
 
デ)噂によるとさ、すごく可愛い子らしいよ。
隆)え、そうなんすか?
デ)うん。
  エーベの人がデビューすればいいのにって
  悔しがってるらしい。
隆)へぇ!すごいっすね!
臣)……。
隆)臣、可愛い子だって。
臣)聞いてるってw
 
 
インスタにあげるのは明日でいいや。
 
携帯をポイッと横において
ホットミルクに口をつけた。
 
 
隆)どうせ♡ちゃんより可愛い子は
  この世に存在しないとか
  アホなこと思ってんでしょ。
臣)アホなことじゃない。事実。
隆)ぶっw
デ)臣はそ〜〜んなに彼女にベタ惚れなの?w
隆)ひどいっすよ、ほんと。
 
 
その噂の彼女が今から来ますけどね。
 
 
___コンコン。
 
 
デ)はい、どうぞー。
女)失礼します。
  ♡さんお見えになりました。
デ)はい、どうぞー。
隆)え??
 
 
その名前に隆二は一瞬、俺を見て…
 
 
♡)!!!
 
 
俺たちを見た♡は
目を丸くしてびっくりしてる。
 
隣を見れば隆二も同じ顔ww
 
 
♡の後ろにはニヤニヤ笑うMちゃん。
 
 
デ)どうも。今日は来てもらって
  ありがとうございます!///
臣)初めまして。よろしくお願いします。
♡)…っ
 
 
俺が笑いをこらえて挨拶すると
キョトンと口を開けっぱなしの♡w
 
 
隆)え、臣…っ
臣)隆二。
隆)…っ
 
 
何か言いたげな隆二の腕を引いて
こそっと耳打ち。
 
知らないフリしてって言ったら
隆二までキョトン顔で。
 
俺の彼女ってバレたら
話流れるかもしれないからって
説明したら…
 
俺が♡と仕事したいんだって察してくれて
戸惑い顔のまま、頷いてくれた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
デ)いやーー、顔ちっちゃいですね///
♡)ええと…、
 
 
臣くんと隆二くんが
何かヒソヒソ話をしてて…
 
私はまだびっくりしてる。
 
 
まさか三代目との仕事だなんて
これっぽっちも思ってなかった。
 
 
デ)こんな汚いスタジオですみません///
♡)あ、いえ…っ
デ)こんな可愛い子、
  こんなソファーに座らせるの
  申し訳ないな…///
臣)何言ってんすかw
デ)いや、想像以上に可愛くて
  ちょっとびっくりしてるw
 
 
ディレクターさんに促されるまま
ソファーに腰をおろして。
 
ニヤニヤ顔の臣くんとMちゃんを見て
二人はわかってたんだなって思った。
 
そして私と同じように驚いてる隆二くんは
きっと知らなかったんだ。
 
もう!
言ってくれたら良かったのに!
 
 
でも…、
正式に依頼するかわからないって
言われてたけど…
 
この仕事が臣くんとの仕事なんだってわかって
絶対やりたい!って瞬間的にそう思った。
 
 
だって…
だって…
 
お仕事で臣くんと一緒に
歌えるかもしれないってことでしょ?
 
そんなの絶対やりたいもん!!
 
 
♡)……よしっ。
 
 
さっき「初めまして」って
臣くんに言われたから…
 
そういうフリしておいた方がいいんだよね?
 
 
♡)よろしくお願いします!!
 
 
ピシッと気合いを入れて挨拶したら、
「すごく通る声だね…」って
ディレクターさんに驚かれちゃった。
 
大声すぎたかな?///
 
 
デ)ええと…じゃあ…、どうしよっか。
♡)なんでもします!
  なんでも言ってください!
デ)ええっ!
♡)なんでも!
デ)なんでも…って、///
♡)なんでもさせてください!
デ)////
隆)…なんか脳内でエロ変換してません?
臣)は?
デ)し、してないよ!///
♡)??
 
 
意味がよくわかんないけど
臣くんの目が一瞬ギロッと動いて
Mちゃんはなぜか隣で笑ってる。
 
 
デ)じゃあ…デモは聞いたんだけど…
  生で歌ってもらってもいいかな?
♡)生ですね!はい!
デ)な、生…、
♡)生でもなんでも大丈夫です!
デ)生でも…なんでも…?///
隆)またエロ変換してる!
臣)は?
デ)し、してないって!///
♡)??
 
 
よくわかんないけど
何歌ったらいいのかな?って
指示を待ってたら…
 
臣くんが外行き顔でニヤッと片眉を上げて
「俺らの歌って歌えます?」
って聞いてきた。
 
 
♡)ええと…、はい。
臣)なんでもいいから歌ってもらって
  いいですか?
♡)え…、ええと…
 
 
どうしよう。何がいいかな?
 
 
♡)『starting over』でもいいですか?
臣)どうぞ?
 
 
昨日、ファイナルの話を
◇ちゃんから聞いてから
頭の中で流れてる曲。
 
 
♡)普通に歌ってもいいんですか?
  ここで…
デ)どうぞ!
 
 
隣に座ってるからうるさくないかな?
って思ったけど…
 
正式に依頼してもらうために
しっかり歌わなくっちゃ!!
 
そう思って、深く深く、息を吸いこんだ。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)〜♪この星に生まれ…生きる
  その意味を今 もっと深く見つめたい
  夢の先に別の夢があるって
  気付かせてくれた あなたと♪〜
 
 
本人は普通に軽々歌ってるんだけど…
それはものすごい声量で。
本当によく通る。
 
深くて、澄んでて、心が洗われる歌声。
俺が大好きな。
 
 
デ)メロも歌える?
♡)あ、はい!!
 
 
横でぼそっと隆二が
「やっぱりすげぇな…」って呟いた。
 
 
♡)〜♪一体何処から 聞こえるのだろう?
  誰かが僕を呼んでいる
  祈りにも似た シュプレヒコール
  悲痛に響くんだ in my heart♪〜
 
 
ああ…、やっぱりいいなぁ、♡の声。
ほんとイイ。
 
俺マジでファンだなぁ。
 
 
デ)ほ、ほんとすごいね…
  生だと格段にすごいね…。
  空気が震える。
 
 
♡が一通り歌い終えると
ディレクターが感動してて…
 
 
隆)俺、鳥肌立っちゃった…。
 
 
隆二が腕をさすってる。
 
 
臣)正式にお願いしましょうよ。
 
 
俺がそう言うと
♡がパッと目を見開いて…
窺うようにディレクターに視線を移した。
 
 
デ)うん、俺は文句なしでいいと思うし
  二人もそう思ってるなら、うん。
♡)…っ、ありがとうございます!
 
 
♡はとても嬉しそうに笑って頭を下げた。
 
…んだけど、その笑顔を見て
ぽやーんとしてるディレクター。
 
 
臣)何ぼーっとしてんすか。
デ)い、いや…、///
  笑ったらすごいなって///
臣)……。
 
 
そうですよ?
♡の笑顔の破壊力たるや…
世界中の男を虜にするんじゃないかってくらい
可愛すぎるんだから。
 
でもさっきから♡に
見惚れすぎじゃないっすか?
 
 
そこからは何を歌うかの楽曲選びになって
3人で色々歌ってみたりして…。
 
でも俺と♡は、
『あなたと』がいいって思ってるって
お互いの顔を見て、お互いわかってた。
 
 
隆)なんかどれもいいな〜〜迷っちゃう。
デ)うん。声すごく合うよね。
隆)そう!♡ちゃんの声ほんと…
デ)♡ちゃん?
  隆二なに馴れ馴れしく呼んでんの。
隆)あっ…
 
 
やべ、みたいな顔をして俺を見る隆二。
 
 
隆)すみませんでした…w
  ええと、♡さんの声が
  俺らの声にすごく馴染むから…
デ)そうなんだよねぇ。
臣)♡さんはどれがいいと思います?
♡)えっ、私は…っ
  臣…っ、とさ、登坂さん達が選んだ曲で!
 
 
ぷっw
一生懸命「登坂さん」とか呼んでんの
ちょー可愛いw
 
 
デ)他のアルバム曲とのバランス考えても
  絢香とコブクロの『あなたと』が
  いいんじゃないかなぁと俺は思うけど。
隆)うん、いいかも。
臣)じゃあ決まり。
隆)はやっ!w
デ)『あなたと』でどうかな?♡さん。
♡)いいと思います!♡
デ)////
 
 
♡の全開スマイルに
また照れた表情を浮かべるディレクター。
 
 
デ)じゃあ…色々話通しとくから
  また日程決まったら連絡します///
♡)はい!お願いします!♡
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
曲が決まって、挨拶をして立ち上がったら…
「誰にも見つかんないようにサッと帰れ」
って臣くんにこっそり言われて。
 
私とMちゃんは言われた通りに
急いでエレベーターに乗って
誰にも見られないように外に出て
また来た道を戻った。
 
 
M)先輩が登坂さんの彼女だってバレたら
  もしかしたらSTOPがかかるかもだから
  ああ言ったんですかねぇ。
♡)えっ…
M)声だけ借りたいから
  先輩の名前は出さないって言ってたけど…
  さすがに「彼女」ってバレたら
  厳しいおじさまとかはNG出すかもだし。
♡)厳しいおじさま…?誰だろ…?
M)HIROさんとか?
♡)HIROさんそんなイメージじゃないよ!w
  でも…、、彼女だとダメなのかなぁ…。
M)ファンにバレたらアウトですよね。
♡)……そっか…。
M)でもゆくゆくはいずれ交際宣言した時に
  あの時歌で共演してたからかーって
  納得するかもですね。
♡)交際宣言?!
M)はい。
♡)交際宣言するの!?
 
 
当然のように頷くMちゃんに少し驚いて
二回も聞いちゃった。
 
 
M)いつかはするんじゃないですか?
  遅くても結婚する時には。
♡)…っ、そっか…そうだよね。
 
 
臣くんと結婚する時…、、
 
そうだよね、その時には
ファンの人たちに報告するんだよね…。
 
私と結婚する、って。
 
 
♡)…っ
 
 
想像したらなんかドキドキしちゃう。
 
 
♡)臣くんの結婚相手として
  少しでも認めてもらえるように
  頑張らなくっちゃ。
M)何言ってるんですかぁ〜〜
♡)え?
M)先輩は今のままで十分ですっ!
♡)ええっ…
M)むしろ登坂さんには勿体無いくらい。
♡)ええ?!
M)私の個人的感想なので…
  登坂さんには内緒ですよ?w
 
 
そう言ってMちゃんは少しイタズラに笑った。
 
 
M)まぁもちろん登坂さんは
  カッコ良くて歌も上手くて人気もあって
  色気が抜群にあって
  イイ男なのは間違いないんですけど…
♡)そうだよ!私にとっては
  世界一の彼氏だよっ!!
 
 
そう言った私を
Mちゃんはじーっと見つめて…
 
 
M)本当に可愛いなぁ、先輩は。
 
 
ふぅっと息を吐いてそう言った。
 
 
M)私が男だったら絶対付き合いたい。
♡)え!私と?!
M)そうですよぉ。ずるいなぁ、登坂さん。
 
 
Mちゃんが私を大好きなのは知ってたけど
そんな風にも思ってくれてたとは…
 
 
M)とにかく!
  先輩は今のままでも
  十分素晴らしい女性なんです!
♡)ありがとう…///
M)それに…相手がどんなにイイ女だろうと
  交際とか結婚とかになったら
  叩くファンは叩くんですよ。
♡)…っ
M)登坂さんのファン全員が
  先輩を認めてくれるなんて
  そんなのありえないですから
  そんな目標は持たなくて大丈夫です!
♡)……そっかぁ…。
 
 
どんなに頑張っても
やっぱりそれは難しいのかな…。
 
 
でも…
「なんであんな女と結婚するんだ!」
って言われるより…
 
全員は無理でも、少しでも多くの人に
「おめでとう」って言ってもらいたい。
 
 
♡)私、頑張る!!
 
 
そう宣言すると、
「だ〜か〜ら〜〜」ってMちゃんは
困り笑いを浮かべた。
  
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
デ)いや〜〜
  ほんと可愛い子だったね///
 
 
♡が帰ってからもご機嫌のディレクター。
 
 
臣)そんなにタイプだったんですか?
 
 
なんてしれっと聞いてみたり。
 
 
デ)いやぁ、タイプとかって話じゃなくない?
  あの可愛さはもうさぁ!
  誰でもハマるでしょ!
  あの子がタイプじゃない男なんて
  いないと思うけどなーー
臣)……。
デ)絶対みんな好きになるよ。
臣)……。
デ)可愛いだけじゃないんだよ。
  オーラっていうか纏ってる雰囲気が
  ふんわり優しくてピュアで癒されるし
  あの子が笑うとつられてこっちも、さ。
臣)……。
 
 
それはよく言われます。
そんなに褒めてもらって
ありがとうございます。
 
 
デ)よし!曲も決まったことだし…
  これ録り終わったらカバーアルバムは
  全曲終了だね!
隆)あ、そっか。
臣)そうだった。
 
 
本当はリクエストが多かった
B’zとかサザンも歌いたかったし
他にも歌いたいアーティストは
たくさんいたんだけど…
 
曲を決めきれなかったり
許可が下りなかったり
オリジナルのインパクトが強すぎるやつは
やめた方がいいって言われたりで。
 
 
臣)結局全部で何曲になったんだっけ?
隆)12曲だってー。
臣)そっか。
 
 
まぁ妥当な曲数かな。
 
メインアルバムもあとは
『Born in the EXILE』を録ったら
完成だし。
 
 
臣)楽しみだな。
隆)うん。
 
 
 
……
 
 

 
 
 
それから家に帰ると
♡が嬉しそうに走って来た。
 
 
♡)臣くん!おかえりなさーい!♡
臣)ただいま♡
 
 
びっくりしたねーって♡は興奮しながら
手を洗ってる俺の後ろにべったり。
 
 
臣)お前いつ気付いたの?w
♡)あのね、ビルに入って、
  それでもMちゃん何も言ってくれなくて、
  LDHの誰かなのかな?ってドキドキしてて
  ドアを開けたら臣くんがいた!!
臣)わはははw
 
 
タオルで手を拭き終えて
くるっと振り返ったら…
 
 
♡)ね、ね、一緒にお風呂入ろぉー♡
臣)えっ♡
 
 
何その嬉しいお誘いは…
 
 
♡)話したいこといっぱいあるんだもんっ!
  ねっ?♡
臣)う、うん///
 
 
俺が断るわけないじゃん。
やったぜ。
 
 
というわけでそのままポポポイと脱いで
シャワーを浴びて。
 
二人でお風呂で、まったりタイム。
 
 
臣)はぁぁぁ〜〜いい湯だぁ〜〜♡
♡)臣くんおじさんみたい♡
臣)はぁぁぁ〜〜いいおっぱいだぁ♡
♡)それはセクハラです…。
臣)なんでだよ!
 
 
後ろから♡のおっぱいをもみもみもみ…。
 
 
でも♡はそんなの無視して
今日の話ばっかり楽しそうにしてる。
 
 
♡)臣くんと一緒に仕事できるなんて
  思ってもみなかったから
  本当に楽しみだなぁ♡
臣)だねー♡
♡)だって一緒に歌えるんだよぉ?
臣)うんw
♡)本当に本当に嬉しいんだぁ〜♡
 
 
可愛いなぁ。
俺だって嬉しいですよ?
 
 
♡)臣くんと一緒に歌うの
  すっごく気持ちいいんだもん♡
臣)俺もー♡
  お前の声ほんと好きなんだよねぇ。
♡)えっ
臣)ん?
♡)ほんと…?
臣)ほんとだよ?
  俺お前のファンだもん。
♡)……///
 
 
あ、なんかもじもじしてる。かわい。
 
 
臣)何照れてんのw
♡)だって…///
  私も臣くんの声大好きだよ?
臣)そりゃどーもw
♡)ほんとだよぉ?
  臣くんの歌声ほんとに大好きなんだから!
臣)俺が好きなの、
  お前の歌声だけじゃないもん。
♡)え?……あ、んっ///
臣)こっちの声の方が好き♡
♡)ばか!えっち!///
 
 
ぺちっと手を叩かれたから
そのまま悪さ開始。
 
 
♡)あ、ちょっと、何してるの!///
臣)もっと聞きたくなっちゃった。
♡)ダメだってば!
臣)ダメじゃない。
♡)…んっ、…あ、っ///
臣)ほら♡
 
 
この声が好きなんだよ。
可愛くてたまんない。
 
 
臣)一緒にお風呂入ろうって言ったの
  お前だよ?
♡)…そう…だけど…、あっ、ん///
 
 
俺にこんなことされんのなんて
予想できたろ?
 
 
♡)……はぁ…、臣…くん、…///
 
 
火照った顔。
 
潤んだ身体。
 
 
振り向きざまに
色っぽいため息をこぼして
俺を見つめる熱っぽい瞳。
 
 
臣)……いい?
♡)……(こくん)///
 
 
簡単に俺に流されちゃう可愛い奴。
 
 
この先一生、俺以外は聞くことができない
お前の一番可愛い声。
 
 
………たっぷり聞かせてよ。
 
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. より:

    毎回さゆがんさんとまいこさんのやりとりがおもしろい

  2. (。・д・。)/ より:

    隆二くんと姫©の反応面白いw
    「あなたと」またやるんですね!臣くんオンリーでいいから実際に聴いてみたい

  3. KY より:

    ディレクターさんにはいつわかっちゃうんだろか…身内だしこじれないといいけど…その前に言うか!♡ちゃんの歌声聞いてみたい!(^^)

    • マイコ より:

      バレない限り言うつもりのない臣くんなのであった(ฅ¯ω¯ฅ )

  4. さゆがん より:

    もうこの中の臣くん
    最近男優でしかない。゚(゚´ω`゚)゚。笑笑

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