[295]タキシード仮面

スポンサーリンク
スポンサーリンク

臣)じゃあ二次会行きますか。
♡)うんっ、あ、でも待って。
  またいっぱい泣いちゃったから
  お化粧直してきていーい?
臣)別に崩れてないけど。
♡)念のためー!
臣)可愛いけど。
♡)……はい?///
臣)化粧に関係なく。
♡)そ、そういう問題じゃないの!///
臣)あ、そう。行ってらっしゃーい。
♡)さくちゃん、行こっ
さ)うんw
 
 
二人で足早にパウダールームに向かうと…
 
 
さ)あら、超満員。
♡)ほんとだ。
 
 
混んでるから外で待機…、してたら…
中から女の子たちの会話が聞こえてきた。
 
 
女)登坂さんマジでヤバくないですか?///
女)写真一生大事にする!!///
女)近くで見ても超絶イケメン!///
女)見上げた横顔が綺麗すぎた!!///
 
 
お、臣くんの話、してる…
 
あ、ぞろぞろと出て来た。
 
 
女)登坂さん二次会行くっぽいよ!
女)マジ?!///
 
 
あれ?
まだ中に並んでたみたい。
今度は違う女の子たちの声が聞こえてきた。
 
 
女)チャンスじゃん!///
女)あたし連絡先渡す!!///
 
 
なぬ!!!!
 
 
女)こーら、凪ちゃんに言われてるでしょ。
  はしゃいだりしないでね、って。
  登坂くんを困らせないでね、って。
女)それは言われましたけどぉ…
  アタックするなとは言われてないでーす♡
女)まったく、もう。
 
 
呆れたような年配の女性の声は
それ以上は女子たちを止めてくれず。
 
 
さ)ありゃーーw
  臣くん狙われてますなぁw
♡)むむむむ…っ
 
 
どうしよう。
臣くんのピンチだ…!
 
 
女)てかさっき一緒に歌ってた女の子
  なんだろね?
 
 
彼女です!
 
 
女)さぁ?友達じゃん?
 
 
彼女です!!!
 
 
女)可愛い子だったよね、彼女だったりして。
女)彼女だったらあんな堂々と
  一緒に歌ったりしないでしょw
女)そっか、ただの友達かw
女)ただの知り合いだよw
 
 
彼女→友達→知り合い…、、
どんどん降格してしまった…。
 
 
女)でも美男美女でお似合いだったよね…。
女)衣装もお揃いっぽくなかった?
女)たまたまでしょ、あんなん。
 
 
違うもん!
臣くんが揃えてくれたんだもんっ!
 
 
女)あの子可愛いし彼氏いるってきっと。
女)だよね〜〜〜
女)登坂くんはフリーなのかなぁ?
女)フリーだろうが彼女いようが
  なんでもいいよもう!
  こんなチャンス今日が最初で最後だよ。
女)だよね!
女)ガンガン話しかけにいっちゃお!
女)よっしゃ!!
 
 
気合いを入れた皆さんは
しっかりメイクも直して出て来られました。
 
 
♡)……。
 
 
二次会はきっと戦いだ…!
 
私がしっかり臣くんを守らなくっちゃ…!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
二次会は庭付きの一軒家みたいな店を
貸し切りで。
 
入る前に入り口で
「自己紹介カード」なるものを渡された。
 
 
臣)名前、LINEのID、電話番号、一言…、
男)はい!全部書かなくてもいいんで
  気になる人がいたらぜひ積極的に
  渡してくださいね!
女)好きな枚数お持ちくださーい!
男)たくさん配ってもいいですよー!
 
 
受付の男女はニコニコと
ゲストにカードを配ってる。
 
 
男)これさ、渡されたら絶対
  受け取る決まりらしいよw
臣)そうなの?!
男)せっかくだから俺も誰かに渡そうかなーー
臣)あれ?お前彼女は?
男)ああ、別れたよ春に。
臣)マジか!
男)てかこれなんか婚活パーティーみてぇw
男)婚活パーティーってこんなんなの?
男)いや、行ったことねぇけど
  こんな感じっぽくない?
臣)……確かに。
 
 
賢司と凪ちゃんは
二次会は完全に友達に任せてるって
言ってたけど…
 
 
♡)臣くん!
臣)ん?
 
 
なんか必死な形相の♡が
後ろから走って来た。
 
 
♡)このカード!
  もらっちゃダメだからねっ!
臣)あ、それさぁ、
  渡されたら断れない決まりらしいよ。
♡)ええっ!!
臣)まぁ別に受け取るだけならいいんじゃん?
♡)…っ
 
 
あ、口が尖ってますよお嬢さん。
 
 
臣)もらっても別に
  連絡するわけじゃないんだからw
♡)……。
 
 
あーあ、今度は
ほっぺも膨らんでますよお嬢さん。
 
 
♡)愛想振りまいちゃダメだからね!
臣)へ?w
♡)ツン!てしてたらいいよ!
臣)それ感じ悪いじゃんw
♡)感じ悪くていいのっ!
臣)なんでだよ!w
 
 
こいつってば心配してんのかな?
 
 
臣)やきもちー?かわいw
♡)むぅぅ!!
 
 
他の女なんか眼中にないっつーの。
 
 
臣)お前こそカード渡してくる男いたら
  全員舌打ちしろよ?
♡)舌打ちぃ?!
  何それ!ひどい!
臣)ひどくていいんだよ。
♡)もぉ〜〜〜
 
 
とか話してたら
さくちゃんにパシャリと写真を撮られた。
 
 
さ)痴話喧嘩中の二人…w
臣)別に喧嘩ちゃうわ!w
 
 
男)男性ゲストのみなさんは
  一度こちらにお集まりくださーい!
  バラの花をお配りしていまーす!
 
 
臣)ん?
 
 
呼びかけられるままに
赤いバラの花を一輪、受け取った。
 
 
女)そのバラは、男性の皆さんが
  今夜一番素敵だなと思った女性に
  パーティーが終わるまでの間の
  好きなタイミングで
  プレゼントしてください。
男)それまでは胸に挿しておいてくださいねー
女)新婦に渡しちゃダメですからねー!
  新郎に怒られますよーー!
 
 
幹事の言葉にみんな笑って。
 
どうしたもんかとバラの花をじっと見た。
 
 
自己紹介カードといい、
このバラの花といい、
なんてゆーか
出会いを斡旋してるんだな、この二次会は。
 
 
面白いから
あとで凪ちゃんに渡しちゃおっかなーw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
さ)なんか男性陣がみんな
  タキシード仮面みたいw
♡)あはははw
 
 
みんな胸に赤いバラを挿しながら
自己紹介カードを書いてる。
 
 
さ)あたしら既婚者には
  不要なカードだねぇ。
♡)私、既婚者じゃないよw
さ)あ、そっか!w
  いや、なんかもう夫婦みたいじゃんw
♡)ええ?!w
さ)それくらい安泰しているというか…
  ラブラブというか…
♡)えへへへ♡
 
 
私もこのカードはいらないから
バッグにしまっちゃおうっと。
 
 
男)あの!///
♡)ん?
男)これ、もらってください!///
♡)…っ
 
 
渡されたのは、
バラの花と自己紹介カード。
 
 
♡)ええと…、
  どうもありがとうございます。
男)あの、俺も受け取ってもらえますか?///
♡)は、はいっ…
男)俺も!お願いします!///
♡)ありがとうございます…っ
 
 
次々にバラとカードを渡されて、
オロオロしてる私を
さくちゃんは楽しそうに写真に撮ってる。
 
 
さ)一輪のはずが…
  あっという間に花束にww
♡)どうしよう…っ
店)よろしければこちらどうぞ。
♡)あっ、ありがとうございます!
 
 
お店の人が可愛い袋をくれたから
バラが萎れちゃわないように
丁寧に並べて入れた。
 
 
さ)あ!賢司と凪ちゃん、来たよ!
♡)ほんとだ!
 
 
みんなの拍手に迎えられながら
二人が入ってきて
簡単な挨拶と、乾杯。
 
 
臣くんが気になるから
さっきからチラチラ見てるんだけど
男友達と楽しそうに盛り上がってる。
 
でも!
 
女子たちが臣くんにカードを渡そうと
ずっと隙を狙ってるから、油断ならぬのだ!
 
 
男)あの、♡さん…ですよね?///
  良かったら貰ってもらえますか?
♡)あ、ありがとうございます!
男)僕もよければ…受け取ってください。
  ずっと素敵だなって、見てました///
  披露宴での歌も、本当に素晴らしくて…
♡)ほんとですか?
  ありがとうございますっ♡
男)歌声に癒されました///
 
 
臣くんとの歌を褒めてもらえて嬉しくて
少しだけお話してると…
 
 
♡)ああっ!!
 
 
臣くんが女の子に囲まれたーー!!
 
 
♡)あの、ごめんなさい!
 
 
話を切り上げて
臣くんのところへ行こうとするけど…
 
 
男)あの、バラ渡してもいいですか?///
♡)あ、えっと…
 
 
ああ!!
腕触られてる!!ベタベタされてる!!
 
 
男)♡さん、今日ずっと気になってました///
♡)えっと、すみません…
 
 
ああ!!
カード受け取ってる!!握手してる!!
 
 
男)すみません、このバラを…
 
 
うわーーん!!もう!!
臣くんのところに行かせてぇぇぇ!!!
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
女)あの、ほんとにいつでも
  気まぐれでもいいので!!///
  連絡もらえたら嬉しいです///
臣)……どうも。
 
 
ニッコリ営業スマイルで頭を下げた。
 
俺のポケットには
女性陣の自己紹介カードがどっさり。
 
 
女)登坂さん///
 
 
また来たーーー!!
 
 
女)カード、渡してもいいですか?///
臣)はい、どうも。
 
 
また笑顔を貼り付けるけど…
そろそろ解放してくれ〜〜!!
 
 
さっきから♡のことが気になって
チラチラ見てんだけど…
 
見るたびに持ってるバラの数が増えていくし
さくちゃんは面白がって
写真撮ってるっぽいし
 
ああ、もう!!
 
 
女)登坂さんって…
  今お付き合いされてる方、
  いらっしゃるんですか?///
 
 
いますよ!目の前に!!
 
 
女)どんな女性がタイプですか?///
 
 
目の前にいるあの子がタイプです!
ベタ惚れです!!
 
 
女)もし良かったら…、あの、その…
  女性からこんなこと言うの…
  恐縮なんですけど…///
 
 
あああ!
あいつまたバラ渡されてる!!
 
 
女)登坂さんのそのバラ、私に…
臣)え?
 
 
やべ。全然聞いてなかった。
 
 
臣)なんですか?
女)ですから、ええと…
  そのバラを私にくれたりしませんか?///
臣)え…っ
 
 
……ええと…、
 
これはあとで
凪ちゃんに渡そうと思ってたんですけど…
 
てのは冗談だけど…
 
 
……すげぇな。
最近の女子はなんて積極的なんだ。
 
自分からバラをよこせと言ってくるとは。
 
 
女)ダメ…ですか?///
臣)ええと…
 
 
こんなバラ、どうでもいいんだけど…
周りの女たちが
このバラにすげぇ注目してるのが
視線でわかるから…
 
あっさりこの人に渡すわけには…
 
 
……って、あいつまたバラもらってるー!
いい加減にしろーー!!
 
 
女)あのっ、立候補していいんだったら
  私もそのバラ欲しいです!///
臣)ええ?!!
女)私も!!///
臣)…っ
 
 
俺の前には
目をギラギラさせた女性が3人…と、
じーっと周りを囲んでる女性が
何人もいる。
 
 
どうすんだ、俺。
どうすんだ、このバラ。
 
 
臣)あ…っ
 
 
♡がこっちを見た。
その手にバラの花束を抱えて。
 
 
……もう、いいかな。
 
いい加減、いいよな?
 
 
臣)渡したい人がいるんです。
  ごめんなさい。
 
 
女性たちには笑顔で頭を下げて、
俺は胸から一輪のバラを引き抜いた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
あれは何事なのかな?!
臣くんの周りに女性がずらーっと
並んでるんだけど!!
 
臣くん争奪戦なの?!
なんか炎が見えるよ!?
 
 
私の彼氏なんだからーー!!
って今すぐ走っていって
抱きつきたいのに。
 
そんなことはもちろん出来なくて。
 
 
男)あの、♡さん///
 
 
私の前に現れた男の人の肩越しに
臣くんがこっちを見たのがわかった。
 
 
♡)あ…っ
 
 
女性たちに小さく頭を下げて、
こっちに向かってくる。
 
胸元のポケットから
バラをスッと、引き抜いて。
 
 
臣)いいですか?
 
 
臣くんの声に、
私の前にいた男性3人が
パッと後ろを振り返った。
 
 
臣)いいですか?
 
 
二度目のそれは、
紳士的なようで、少し威圧的。
 
男性たちはスーッと横に移動した。
 
 
♡)…っ
 
 
臣くんは私の前にスッと立つと
ニコッと小さく首を傾げて
私を見据えた。
 
 
臣)「今夜一番素敵だと思った女性」に。
♡)…っ
臣)受け取ってくれますか?
 
 
クスッと笑った臣くんは
なんだかすごく色っぽくて…
 
 
♡)////
 
 
バラを差し出されて固まってる私。
 
そんな私に臣くんは綺麗に微笑んで、
 
 
臣)どうぞ…。
 
 
私の髪に、そのバラを挿してくれた。
 
 
♡)////
 
 
ドキン…、ドキン…、ドキン…、
 
 
高鳴る胸の音。
 
 
周りの視線を感じながらも
目の前の臣くんから、目を逸らせなくて…
 
臣くんは空いたその手で
そのまま私の腰を抱いた。
 
 
…チュッ。
 
 
♡)!!!
 
 
ほっぺに感じたキスの感触に
驚いて臣くんを見上げると、
 
 
臣)ん?
 
 
余裕の笑みで、私を見下ろしてる。
 
 
♡)////
 
 
周りからはキャーって声が上がって…
 
 
「どういうこと!?何?!///」
 
「付き合ってるの!?///」
 
「今のって告白なの!?///」
 
「やだ!鼻血出そう!どうしよう!///」
 
「羨ましすぎる!!///」
 
 
しばらくその場は騒然としてたけど…
 
 
男)みなさんお待たせしましたー!
女)ゲーム始めますよー!
 
 
バタバタとやってきた幹事の人の呼びかけで
騒いでた人たちは
少しずつその場から移動した。
 
 
♡)あ、っ
 
 
私も行かなきゃって一歩前に出たけど、
 
 
臣)こっち。
♡)…っ
 
 
臣くんに手を引かれて、
外に連れ出された。
 
 
お庭は綺麗にライトアップされていて
洋風の可愛いチェアーが並んでる。
 
 
臣)ふぅ。
 
 
臣くんはそこへ腰を下ろすと脚を組んで、
隣をトントンと叩いた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
俺が座ったのは3人掛けくらいの白い椅子。
 
隣に来いと呼んだのに、
いっちばん端っこに座った♡。
 
 
臣)遠くね?w
♡)……///
 
 
なんだよこの距離は。
 
 
臣)こっち来いよ。
♡)……///
 
 
前にもあったよな、こんなこと。
 
 
臣)じゃあ俺がそっち行くけど。
♡)…っ
 
 
詰め寄るようにピタッとくっつくと
♡が少し口を尖らせて、俺を見た。
 
 
臣)なんだよその顔。
♡)……臣くんは、ずるい///
臣)はぁ?何が?
♡)色々ずるいっ!
 
 
何この可愛いほっぺ。
ゆでたまごみたいなんだけど。
 
つついたら怒られるかな。
 
 
♡)色々…カッコ良すぎて…
  ずるいもん///
 
 
何この唇。
可愛く尖っちゃって。
 
チューしたら怒られるかな。
 
 
臣)夜だともう涼しいな。
 
 
チェアーの背もたれ越しに
♡の肩を抱いた。
 
 
♡)だからサラッとこういうこと
  しないでー!///
臣)はぁ?
 
 
こういうことって何だよ!?
 
 
臣)肩抱いただけじゃん!
♡)……ずるい///
臣)だから何が!w
♡)…ドキドキ…するもん///
臣)え?
  これでドキドキすんの?今更?
  もっとすごいこと色々してんのに?
♡)すごいことって何!///
臣)え、言っていいの?
♡)言わなくていい!///
臣)どっちだよ!w
♡)もぉっ!
 
 
あーあ、またふくれちゃった。
 
 
てか、こんなんでほんとにドキドキすんの?
 
何それ。
ちょー可愛いんだけどw
 
 
……チュッ。
 
 
♡)またチューしたぁ!///
臣)うん。
 
 
だって可愛いんだもん。
 
 
臣)ドキドキした?
♡)……ぷいっ///
臣)あーー、ぷいされたーー
♡)ぷいっ!!
 
 
もっかいチューしちゃうぞ
こんにゃろーー
 
 
♡)……「今更」って…、
臣)ん…?
♡)私はいつだって…
  臣くんにドキドキ…するもん///
臣)…っ
♡)「今更」なの…?
 
 
な、なんだよそのウルウルした目は…///
 
 
♡)臣くんはもう…
  私にドキドキしてくれないの…?
 
 
か、可愛いな…!!
その上目遣い、やめろ!///
 
 
♡)ね、ドキドキしてくれな…
臣)してるから!///
 
 
今度は俺がぷいっと顔を逸らした。
 
 
♡)え?何にしたの?
臣)…っ
 
 
何にって…
お前が可愛くて、だろ!///
 
 
♡)ねぇ、何にドキドキしたの??
臣)…っ、だぁ〜〜〜!///
 
 
グイッ!
 
 
♡の方に振り返って
その顎を持ち上げて、
 
 
♡)…っ
 
 
強引に唇と唇を重ね合わせた。
 
 
臣)俺だっていつもドキドキしてるから!
♡)…っ///
臣)お前のこと好きなんだから
  当たり前だろっ///
♡)そ、そっか…///
 
 
♡は照れ臭そうに俯いたあと、
嬉しそうに「えへへ♡」って顔を上げた。
 
その笑顔も、すげぇ可愛くて。
 
 
臣)……///
 
 
はぁ、なんだよもう。
 
 
♡)ねぇ、これ見てーー♡
臣)んー?
 
 
お嬢さんはもうすっかりご機嫌みたいです。
 
 
♡)好きな人がねっ、私にくれたのー♡
 
 
そう言って俺が挿したバラを
俺に見せつけてくる。
 
 
臣)ふーん、キザな男だねーー。
♡)カッコイイでしょ?♡
  タキシード仮面様みたいだったー♡
臣)ぶっw
 
 
懐かしいな!
 
 
臣)あそこまでキザじゃねーわw
♡)あはははw
 
 
ただ…
他の男と同じ渡し方したくなかっただけで。
 
 
♡)臣くん、女の子に囲まれてたねーー
臣)……
♡)モテモテだったねーー
臣)……
♡)いっぱいカードもらってたねーー
臣)あのさぁ!お前がそれ言う?
♡)え?
臣)そのバラの花束なんだよ!w
♡)…っ
 
 
♡は袋の中のバラを見てから
窺うように俺を見た。
 
 
♡)あの…、
臣)なに。
♡)……お花に…
臣)お花に罪はないので
  帰ったら飾ってもいいですか。
♡)!!!
臣)お前が言うことなんてお見通し。
♡)すごい!すごい臣くん!
 
 
……はぁ、もうw
 
 
臣)綺麗な花束ですねーー
♡)……
臣)モテモテでしたねーー
♡)……
臣)いっぱいカードももら…
♡)あのねぇ!
  いっぱいお花もらったって
  私が嬉しいのはこのバラだけなんだから!
臣)…っ
♡)タキシード仮面が
  私の髪に挿してくれた
  このバラだけなんだから!
臣)タキシード仮面言うな!w
♡)いたっw
 
 
二人でクスクス笑い合って、
そっと手を繋いだ。
 
 
♡)……臣くん…?
臣)ん…?
 
 
繋ぎ合わせた手から
そっと視線を上げた♡は
そのまま真っ直ぐに俺を見つめた。
 
 
臣)どうした…?
♡)////
 
 
何も言わずにただじっと見てるから
またキスしたくなっちゃうじゃん。
 
 
臣)なんだよ…w
♡)……なんでも…ない///
 
 
あ、また俯いた。
 
 
♡の伏せた瞳に光が当たって…
まつ毛がキラキラ光ってる。
 
綺麗な横顔だなぁ……。
 
 
♡)……臣くん…?
臣)ん…?
 
 
またこっち向いた。
 
……その可愛い目で見んの
やめてくんないかなぁ///
 
 
♡)その優しい目で見るの、やめて///
臣)……は??
♡)ドキドキしちゃうから///
臣)……///
 
 
ドキドキしてんのは
こっちなんですけど。
 
 
♡)臣くん…大好き、///
 
 
俯いたまま呟いた♡は…
ゆっくりと顔を上げて…
 
 
♡)大好きだよ///
 
 
今度は俺の目を見て、
もう一度そう言った。
 
 
臣)////
 
 
可愛いなぁ…
たまんねぇなぁ…
大好きだなぁ…
 
もうめちゃくちゃに抱きしめてぇなぁ…
 
 
臣)そうやってじーっと見んのやめて///
♡)どうして…?
臣)……キスしたくなるから。
♡)……して…ほしいもん。
臣)へ?
♡)してほしいから…だもん…///
臣)…っ
♡)////
臣)////
 
 
どうやら俺は罠にかかったみたいだ。
 
 
愛しい彼女の、甘い甘い誘惑に
誘われるがままに…
 
引き寄せられるように、唇を合わせた。
 
 
柔らかいその感触に、離れられなくなって。
 
もっと欲しくなって、
ゆっくりと繰り返すキス。
 
 
♡の耳たぶに触れてた手を
そのまま後ろに回して…
 
愛しさのままに、キスを深めたら。
 
 
しばらくして、
♡がそっと俺の胸を押した。
 
 
♡)……はぁ、…///
 
 
見つめ合う視線には、夜の熱が宿ってる。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)こんなところで…、こんなキス、ダメ……
 
 
深くなっていくキスに…
頬の火照りを感じて、そう言ったのに。
 
 
臣)……嘘つき…。
 
 
唇の上で甘く囁いた臣くんは…
 
 
臣)ほんとはもっとして欲しいくせに…。
 
 
そう言って、クスッと笑った。
 
 
♡)////
 
 
触れられてる首筋に、
臣くんの手のひらから熱を移されて…。
 
このままこのぬくもりに、
溶かされてしまいたくなる…。
 
 
♡)だから…だよ…?
臣)え…?
♡)もっとして欲しくなるから…
  もう、ダメなの…、///
臣)…っ
 
 
そう言って見つめたら、
臣くんは「はぁ…、」ってため息をついて
私を抱きしめた。
 
 
臣)なんでお前ってそんな可愛いの?///
♡)え?///
臣)あーーーーー、もう帰ろっか///
♡)ダメだよぅ…
臣)だってシたいもん。
♡)……///
臣)お前だってそうでしょ?
♡)////
 
 
そっと窺うように顔を覗かれて…
何も言えずに俯いたら…
 
 
臣)はぁ、ほんとかわい…///
♡)////
 
 
何も答えてないのに、
「YES」って、伝わっちゃったみたい。
 
 
臣)……そろそろ戻ろっか///
♡)……(こくん)///
 
 
私たちの熱を冷ましてくれるみたいに
涼しい夜風が吹き抜けたけど…
 
 
手を繋いで、お店の中に戻る直前、
臣くんがふと振り返って。
 
誰にも見えないように
短く優しいキスを、唇にくれたから。
 
 
ドキドキドキ…、
 
胸の音はやっぱりおさまらない。
 
 
♡)私、顔赤くないかな…?
臣)んーー?…ちょっと赤いw
♡)戻るの恥ずかしい…///
臣)Hなことしてましたーって顔してるw
♡)ええっ!
  ますます戻れない!///
臣)はははっ、うそうそw
♡)臣くん、手!
臣)ん?
♡)手、繋いだままだよっ
臣)いいじゃん。
♡)えっ…
 
 
離してくれるどころか
ぐいっと引き寄せられて
 
繋いだ手と手はそのままで。
 
 
「登坂くん戻ってきた!」
 
「ええ!!手繋いでるんだけど!///」
 
「やっぱり彼女なの!?どういうこと?!」
 
「今付き合ったとか!?///」
 
 
女の子たちの声が聞こえるけど
臣くんは全然お構いなしで
賢司くんと凪ちゃんのところに向かった。
 
 
賢)あーー!お前ら!
  どこにいたんだよー!
  ゲーム終わっちゃったじゃん!
臣)ごめんごめんw
凪)ね、さっきも思ったんだけど
  今日の二人の衣装はお揃いなの?
♡)うん!
凪)やっぱりそうだよね?素敵!♡
♡)えへへ、ありがとう♡
 
さ)あ、タキシード仮面戻ってきてるー!
 
 
ほろ酔いのさくちゃんが
ニコニコしながらこっちに来た。
 
 
さ)タキシード仮面の動画、送っといたよ♡
♡)え?
 
 
そう言われて携帯を取り出した。
 
 
臣)動画って何?
さ)だから、タキシード仮面の。
♡)あっ!
 
 
LINEを開いて動画を再生したら…
それは臣くんが私に
バラを渡してくれてるところの動画だった。
 
 
『「今夜一番素敵だと思った女性」に。
 受け取ってくれますか?』
 
 
♡)////
 
 
臣くん…王子様みたい…///
 
 
賢)何それ何それ!見せて!!w
凪)私も見たい!!
臣)なんでこんなもん撮ってんだよ!
  さくちゃん!///
さ)へっへっへw
  もうね、臣くんがバラを抜いて
  こっちに来た瞬間、
  こりゃー来たぞ、と。
  これを撮らんでどうする、と。
臣)恥ずかしいから!やめて!///
さ)もう送っちゃったもんね〜〜w
 
 
『「今夜一番素敵だと思った女性」に。
 受け取ってくれますか?』
 
 
賢)何これ!!どこの貴族!!w
凪)広臣くんカッコイイ!///
臣)ちょ、もう再生しなくていいから!///
さ)あはははw
♡)////
 
 
臣くんは赤くなって照れてるけど…
この動画は大事に保存しておこうっと///
 
 
 
 
 
 
ー続ー

コメントを残す

  1. きよママ より:

    タキシード仮面めっちゃ世代だわ❤
    歳がバレちゃう(ノ´∀`*)

    • マイコ より:

      大丈夫!セーラームーンは再放送やらなんやらでなんだかんだ幅広いから!Σd(>∀<*)笑

  2. さゆがん より:

    今回の臣くん激甘キュンキュン(⌯˃̶᷄ ⁻̫ ˂̶᷄⌯)♡
    セーラームーンリアルタイムじゃないから
    タキシード仮面のキザさがわからないです(笑)
    斎藤工みたいな感じかな←

    • マイコ より:

      斎藤工ってキザなの?。゚(゚^∀^゚)゚。ww
      タキシード仮面は…うーん、例えるなら誰だろう…。
      うーん…うーん…

  3. *** より:

    キャーーー!を通り越してギャーーー!なんですけど!臣くんのバラを渡すところもう心臓が爆発しそう
    ほんまに最高です!

スポンサーリンク
スポンサーリンク