[284]新しいベッド(岩&◇Side)

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◇)剛典起きてーーー
岩)…んぅ……
◇)ほーら、起きてーーー
岩)んぅぅ……
 
 
むぎゅぅ……
 
 
◇)……///
 
 
あたしの腰にしがみついてきた。
何この子。かわい。
 
 
◇)もう起きなきゃだよ?
岩)う…ん…。
◇)んー?
 
 
頭を撫で撫ですると
またぎゅぅっとしがみついてくる。
 
 
◇)可愛いんだけど…何なのもう///
岩)もうちょっとだけ…こうさせて。
◇)……いいよ?
 
 
仕方ないなぁ。
朝から甘えんぼ剛典。
 
 
岩)この家でイチャイチャすんのも最後かぁ…
◇)そうだね。
 
 
だから昨夜は「最後記念!」とか言って
2回もHしたんだもん…///
 
 
◇)……あ、ちょっと!///
 
 
剛典の手がスカートを捲し上げて
お尻を撫でてきた。
 
 
◇)エッチ!やめてよー!
岩)やだ。俺の癒しだもん。
◇)……
岩)はぁ…この肌触り…この弾力…
  もうね、これ売れるよ。
◇)は??
岩)売ってたら俺買うもん。
◇)……
 
 
寝ぼけてるのかな…?
ばかなのかな…?
 
 
岩)ん〜〜〜
◇)ひゃっ!ちょっと!///
 
 
今度はスカートの上から
お尻にすりすりしてきた。
 
 
◇)変態!!///
岩)変態でーす…むにゃむにゃ…
◇)やめなさい///
岩)やだ。俺のだもん。
◇)は?
岩)このお尻、俺のだもん…。
◇)……///
 
 
この困った子はどうしたらいいの。
 
 
◇)わかったから。剛典のだから。
  ね、離して。
岩)俺のだから離さない。
◇)……
 
 
このわがままぼんずめ…
 
 
◇)ええ加減にせーーい!
 
 
ビシッッ!!
 
 
岩)いってぇぇ!!
◇)はよ起きろ!!
岩)ひでぇ!チョップされた!!
◇)ふん。
 
 
もうすぐ引越し業者が来る。
 
荷物は全部まとめてあるから
朝ごはんは作れないし
昨日買っておいたパンとコーヒーが
今日の朝食。
 
 
岩)あー!先食ってるー!ひどい!
◇)アホな人は知りません。
岩)俺のはーー!
◇)あるでしょ、ほら。
岩)……いただきまーす。
 
 
剛典はまだ眠たそうな目で
パンをかじりながら
部屋の中をキョロキョロ見渡してる。
 
 
岩)ほんとに最後かぁ。
◇)うん。
岩)どうですか、新生活に向けて。
◇)何が?
岩)何か一言。どうぞ。
◇)……毎日剛典と一緒に居られるの…
  すっごく楽しみ♡♡
岩)えっ…///
◇)って、今とそんな変わんないよねーー
岩)…っ、
 
 
あ、剛典の口がむぅっと尖った。
 
 
岩)今俺を弄んだだろ。
◇)弄んでないよ。
岩)……ふん。
◇)本当に楽しみだよ?
岩)え…?
◇)前にも言ったけど…
  この家でいっぱい一緒にいられたのは
  剛典がわざわざ来てくれてたからでしょ?
岩)うん…。
◇)でも一緒に暮らしたら
  それとはまた違って…
  なんていうか
  「好きな人と帰る家が一緒」って
  嬉しいよね♡
岩)…っ
 
 
ん?
なんか剛典がニヤニヤしてる。
 
 
◇)何よ。
岩)んー?
  「彼氏」じゃなくて「好きな人」って
  言われたのが
  なんか嬉しかった。
◇)……今更…何言ってんの///
岩)今更でも嬉しいもん。
 
 
「好き」なんていっぱい言ってるのに…
変な剛典っ!///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
岩)夕方には行けると思うから。
◇)うん。
岩)ごめんな、こんな日まで仕事で。
◇)大丈夫だよ。
  蓮も来てくれるし
  出来るとこまでやっとく!
岩)ありがと。
 
 
玄関まで見送ってくれる◇。
 
この玄関でこんな風に見送ってもらうのも
今日が最後かと思ったら、なんだか…。
 
 
岩)◇ーー。
 
 
そっと腕を伸ばして抱き寄せた。
 
 
◇)ここで剛典に行ってらっしゃいするのも
  最後だね…。
岩)うん。
◇)ね、
岩)ん?
◇)最後のチューしよ?
岩)ふふ、いいよ。
 
 
……チュッ。
 
 
◇)……短いよぅ…///
岩)えー?w
 
 
チュッ。
 
 
◇)もっと…。
岩)んw
 
 
チュッ。
 
 
◇)……足りない///
岩)……///
 
 
朝から可愛いなぁ…
なんだよぉ…
 
本気出しちゃうぞこのやろーー
 
 
◇)ん、んんっ!///
 
 
足りないって言ったのお前だからなー
 
 
◇)んぅ!んん!///
 
 
肩をバシバシ叩かれて、仕方なく離すと…
 
 
◇)////
 
 
文句言われるかなって思ったのに
可愛く俺を見上げてる◇。
 
 
岩)もっと?
  これ以上したら仕事行けなくなるけど。
◇)……ばか///
 
 
あ、可愛く抱きついてきた。
 
 
岩)ここでこんなチューしたら
  思い出しちゃうねーー
◇)何を?
岩)何をって…、ほら…、ここで…。
◇)!!!
岩)ベッドまで我慢できなくて…
◇)いいい言わなくていいから!///
岩)思い出したー?w
◇)……(こくん)///
岩)新しい家の玄関でもしよーね♡
◇)なんで玄関指定なの!///
岩)あはははw
 
 
冗談はこれくらいにして
そろそろ行かなきゃ
マネージャーが待ってる。
 
ほんとはずっとずっとずーーっと
イチャついてたいけど。
 
 
岩)じゃ、行って来ます。
◇)行ってらっしゃい♡
 
 
最後はおでこにキスをして、ドアを閉めた。
 
 
次にただいまを言うのはもう新居なんだな。
 
 
今日は蓮が手伝いに来てくれるらしくて
桜は来ないの?って聞いたら
あの子来たら余計片付かなそうじゃんって
◇は笑ってて
俺もそうだなって思ったw
 
 
前に◇が引っ越した時は
男友達が3人来てくれて力仕事を
パパーッと片付けてくれたらしいけど…
 
今回は数いる男友達に頼まず
蓮を呼んだのは
俺への配慮なのかなー?とか思ったり。
 
 
ちなみに俺の荷物は業者に頼んだから
今日の午後には新居に入れてくれるはず。
 
 
◇との新生活、楽しみだなー。
 
あ、あと!
♡ちゃんのサプライズも。楽しみだなーw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
ピンポーン!
 
 
蓮)お姉〜〜〜!誰か来たで〜〜〜!
◇)はーーい!
 
 
剛典の荷物かな?
 
 
◇)はい。
男)〇〇引越センターです。
◇)はい、どうぞ!
 
 
って、オートロック解除ボタンはどれだ?
 
あたしもさっき来たばっかりだから
新しい家の色々にまだ全然慣れてない。
 
 
◇)あ、開いたかな?
男)はい!失礼します。
 
 
モニターをオフにして、玄関に向かう。
 
 
◇)あ、あたしの荷物邪魔やな。
  蓮〜〜!これのけて〜〜!
蓮)どこに?
◇)どこでもええよー!
蓮)あーい!
 
 
業者さんの通り道を確保して
玄関のドアを開けた。
 
 
男)失礼します。
  本日はどうぞよろしくお願いします。
◇)はい!
男)まずは養生させてもらいますね。
◇)はい、よろしくお願いします。
 
 
さて。
あたしは自分の部屋を片付けるか。
 
 
……
 
 
男)すみませーーん!
  終了しましたのでご確認お願いします!
◇)えええ?!
 
 
そう言われて時計を見たら
まだ1時間しか経ってない。
 
 
◇)プロ…早すぎやん…
 
 
荷物の個数とかその他諸々を確認して
勝手に「岩田」ってサインしといた。
 
……あたし…結婚したら「岩田」になるのか。
なんか地味だな…。
 
あたしの名字の方がカッコイイのにな。
 
 
蓮)お姉〜〜終わったで〜〜〜
◇)は?!うっそ!!
蓮)ほんまに。
  お姉のダンボールの仕分け
  めっちゃわかりやすいねんもん。さすが。
◇)…っ
 
 
ほんまに片付いてる。
すごい。
 
 
◇)蓮…あんた…
  引越しセンターで働いたら?
蓮)なんでやねん!!w
◇)とりあえず休憩にしよか。
  お茶いれるわ。
蓮)うん。
 
 
キッチンももう全部片付いてる。
すごいな、我が弟よ。
 
 
蓮)これ、お姉がサインしたん?
◇)ん?うん。
 
 
さっきの剛典のやつ。
 
 
蓮)こーゆーの、嬉しいもん…?
◇)は?何が?
蓮)この前彼女が俺の代わりに
  荷物受け取ってくれてんけど
  「勝手にサインしちゃった、えへへ♡」
  とか言うて喜んでてん。
◇)何が嬉しいん?
蓮)奥さんになった気分、って。
◇)……。
 
 
随分乙女チックな彼女やな。
 
 
蓮)女の子ってそんなんが
  嬉しいんかなーって。
◇)うーん、世の女子はそうなんかなぁ。
蓮)お姉は?
◇)……岩田って名字、地味やから
  結婚して名前変わるの微妙やなって…
蓮)ぶっ、お姉らしいわ!w
◇)可愛げなくてすみませんね…。
蓮)あはははww
 
 
大笑いしてる蓮の前に
アールグレイのカップを置いた。
 
 
蓮)俺らにはあんなに友達やーって
  言うてたのに…
  やっぱり付き合うてんねんもんな、
  岩ちゃんと。
◇)あの時は…付き合うてへんかったもん///
蓮)でも好きやったやろ。
◇)別に!
蓮)……今は?
◇)別に!///
蓮)岩ちゃんに言うたろ。
◇)別にええもん…。
蓮)岩ちゃんの前では好き好きーって
  甘えてんねやろ。
◇)甘えてへんし!///
蓮)ほんまお姉はツンデレやわ〜〜
◇)うっさい!///
 
 
生意気な弟め〜〜〜
 
 
◇)あんたこそどうなん。
蓮)何が?
◇)さらっと言うとったけど
  いつ彼女出来てん。
蓮)ん〜最近。
◇)どんな子なん?
蓮)可愛えよ。
◇)ふーん。
蓮)……でも、なんやろなぁ…。
◇)ん?
蓮)可愛いし一緒におって楽しいんやけど…
◇)けど…?
蓮)親に紹介したい感じとはちゃうねん…。
◇)……好きやないの?
蓮)好きやねんけど…
 
 
好きで可愛くて一緒におって楽しいのに
親には紹介したくないって
何なんやろ??
 
 
蓮)お姉にはわからんかな〜〜
 
 
また生意気なこと言うとる。
 
 
蓮)そういえばおかんが
  お姉の彼氏のこと気にしとったで。
◇)へ?!なんて!?
蓮)どんな人なん?蓮知ってる?って。
◇)……
 
 
あたしに聞かんと周りから探ってるとは…
 
 
蓮)俺もよう知らん言うといたけど。
◇)うん。
蓮)お姉も岩ちゃんは親に会わせたない
  感じなん?
◇)え。そんなんとちゃうけど。
蓮)けど?
◇)まだ付き合うてそんな経ってへんし…
  すぐ結婚するわけとも違うし…
蓮)ふーん。
  おかんが会いたい言うたらどうすんの?
◇)……
 
 
それはちょっと面倒くさい。
 
 
◇)まだそーゆー感じやないかなー
蓮)そうなんや。
◇)うん。今そんなん言うても
  剛典も重いと思うし。
蓮)……せやな。
  今自分で想像したら重かったわ。
◇)え?
蓮)今の彼女に親に会うてくれ言われたら
  重いわ。
◇)あんた…それ男が言うたら
  なんか無責任やで。
蓮)えーーーーw
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
『蓮とあっという間に片付けたぜ‼️✌️』
 
 
仕事を終えて携帯を見たら
◇から届いてたLINE。
 
もう片付いたんだ。早いなー。
蓮にお礼に何か買ってくかなー。
ケーキとかでいいかな。
◇にはゼリーにしよっと。
 
 
……なんて考えて帰ってきたのに
新居のドアを開けたら、
そこにいたのは桜だった。
 
 
桜)げ、岩田やん。
岩)……
 
 
新居に帰ってきた第一声が
◇の可愛い「おかえり♡」じゃなくて
桜の「げ」って。
 
どーゆーことよ。
 
 
桜)岩田帰ってきたで〜〜〜
 
 
不満そうにトイレからリビングに戻る桜。
 
つーかなんで岩田呼び?
 
 
◇)おかえり!
 
 
◇は慌てたように玄関に走ってきた。
 
 
岩)……ただいま。
◇)おかえり!
  ごめん、いきなり桜来た。
岩)蓮は?
◇)飲み会あるとか言って帰っちゃった。
岩)マジか。
  ケーキ買って来たんだけど…

桜)ケーキーー!桜食べるーーー!!
 
 
リビングから聞こえてきたでっかい声。
 
 
◇)あんた何も手伝ってへんやろ!
桜)ケーキ♪ケーキ♪
◇)図々しいなーー
桜)岩田も気ぃ利くやん。
◇)なんで岩田呼びなん?!
  呼び捨てすんな!
桜)……ふん。
 
 
か、か、可愛くねぇ〜〜!!
俺をジロッと見て鼻息を鳴らす桜。
なんなんだよ!
 
 
◇)前は岩ちゃんって呼んでたやん。
 
 
そうだそうだ!
彼女にしてとか抱きついてきたくせに!
 
 
桜)岩田なんて岩田で十分やわ。
 
 
はぁ!!??
 
 
◇)年上やで!岩田「さん」やろ!
桜)岩田は岩田や!
  こんな最低男に「さん」なんか要らん!
  なんでお姉、岩田なんかにしたん!?
  男見る目ないんちゃう!?
◇)はぁ?!
桜)どこがええんよ、こんな遊び人!
岩)…っ
 
 
桜にビシッと指をさされて
ドアの前で立ち尽くす俺。
 
 
桜)あの後もな!岩田のろくでもない話なんて
  いくらでも入ってくんねんで!
◇)…っ
桜)ほんま最悪やで!
  岩田なんかがお姉の彼氏なんて
  認めへんからな!!
岩)…っ
桜)お姉はな!むっちゃ大事に育てられてん!
  お兄や桜の何倍も大事にされてんねん!
  岩田みたいな男、親も反対やで絶対!
岩)……
 
 
そう言われて返す言葉も見つからない俺の隣で
◇が言った。
 
 
◇)剛典が最低で最悪で
  クソ野郎やったことなんて
  もう知ってんねん!!
 
 
うぐっ…
 
 
◇)剛典はなぁ、ほんまに最低やってん!
  昔の剛典が今目の前にいたら
  しばき倒してやりたいほど!!
 
 
ごふっ…
 
 
◇)あんたがどんな話聞いたんか知らんけど
  もう何出てきてもびっくりせぇへんで!
  そのへんの女何十人孕ませてても
  びっくりせぇへんで!!
岩)いやいやいや…っ
 
 
さすがに口を挟んだ。
 
 
岩)それはさすがにびっくりしろよ…
◇)……せやね…。
  言うてから思ったわ。
岩)うん…。
桜)なんで岩田なん?!
  優ちゃんの方がずっとええ男やん!!
 
 
その名前に、俺も◇も思わず止まった。
 
 
桜)優ちゃんの方がカッコええし優しいし
  頭もええし誠実やし
  なんであんなええ男振って
  岩田なんよ!!!
◇)……優助の方がええ男やって
  そんなんわかってる!!
 
 
ええっ!!
 
 
◇)桜の言う通り優助の方が誠実やけど…
  それでも!
  あたしは剛典が好きやの!
  もう自分で決めてん!
  今更優助の名前出すな!!
桜)…っ
 
 
姉妹のバトルに挟まれてる俺は
話題が話題なだけに、立場ナシ…。
 
 
◇)あんた何しに来たんよ。
桜)……。
◇)そんなこと言いに来たんやったら
  帰りぃや。
桜)……。
◇)今言うた通り、あたしは
  剛典と一緒にいるって決めてん。
  せやから…
桜)優ちゃんの家、教えて。
◇)……は?!
桜)優ちゃんの家、教えて!
◇)…っ
岩)ええと…
  とりあえず座ったら?
桜)岩田はうっさい!
 
 
ガーーーン!!
 
可愛く…ねぇ……ぐぬぬぬ…
 
 
そのまま二人はソファーに座って
俺は慣れないキッチンで
ケーキを皿に移して桜の前に置いた。
 
これ食ってとっとと帰ってください。
お願いします。
 
 
グサッ!!
 
 
◇)こら!いただきますは!
桜)ふんっ!
◇)人にもらったもん何も言わんと食うな!
桜)岩田やからええねん。
◇)こら!!
岩)……
 
 
なんかもう俺の扱いって…
 
 
◇)ごめんね、剛典…。
岩)いや…。
 
 
すっかり嫌われたみたいですね。
そりゃそうですよね。
自業自得ですかね。
 
桜は不満そうな顔で
ケーキにグサグサとフォークを刺して
もぐもぐ食ってる。
 
 
◇)優助の家って、なんで?
桜)行きたいから。
◇)優助に聞けばええやん。
桜)優ちゃん…桜のこと避けてるもん…。
◇)は?なんで?
桜)……
◇)あんた何かしたん?
桜)……
◇)……
桜)好きって…言うただけ。
◇岩)はぁぁ!!??
 
 
思わず俺まで声が出ちゃって
桜にギロッと睨まれた。
 
 
◇)好きって…
桜)ええやん!お姉は岩田にしたんやろ!
  今更優ちゃんに戻ってこんといてよ!!
◇)いや…わかってるけど…
  なんで優助なん…
桜)……そんなんわからん。
  気付いたら好きやってんもん…。
◇)……
桜)優ちゃん…お姉に真っ直ぐで
  一生懸命で…
  いつもお姉のことばっかり…。
◇)…っ
桜)それ見てたら…
  桜もこんな風に想われたいって…
  そう思ってんもん…。
 
 
そう話す桜は切なそうに眉を下げた。
 
 
桜)でも…好きって言うてから
  会うてくれへんようになって…
  何回も電話したら…
  桜の気持ちには応えられんから、って。
 
 
……そりゃそうだろ…。
◇を好きになるような男が
桜を好きになるとは思えない。
 
って言ったら殺されそうだけど。
 
 
桜)それでも桜がしつこくしたら…
  お姉のことがまだ好きやからって
  優ちゃんそう言うてん。
 
 
桜のその言葉に
◇が少し傷ついたような顔をして
俺は胸が騒いだ。
 
 
桜)せやかて戻ってこんといてよ!!
  一回振ったんやから
  もう優ちゃんはアカンからな!!
  お姉はアホ岩田と
  付き合うとったらええねん!
◇)……わかってる。
 
 
呼び捨ての岩田から
「アホ岩田」に降格しました…。
 
 
桜)それで…
  優ちゃん、電話にも出てくれんように
  なったから…
  家に行きたいねん。
 
 
それもうストーカーじゃねぇの?大丈夫?
 
 
桜)ストーカーやと思ってるやろ!岩田!
岩)…っ
 
 
怖ぇ!心読まれた!
 
 
桜)桜は…優ちゃんの心の傷が癒えるまで
  大人しく待つなんて出来ひん!
  桜がお姉のことなんか忘れさせたる!
◇)……
桜)せやから…直接会いたいのに…
  全然会えへんから…
  優ちゃんの家、行きたいねん。
◇)……
桜)お姉、優ちゃんち泊まったんやろ?
  場所知ってるやろ?教えてや。
 
 
「泊まった」
 
その言葉に…やっぱりモヤモヤはする。
 
 
◇)あたしが場所教えるんは…
  なんか違う気がするから…。
桜)…っ
◇)優助の会社の人に聞いたら?
  合コンしたんやろ?
桜)……お姉のケチ!!
◇)…っ
桜)教えてくれてもええやん!!
  ケチケチ!ドケチ!!
 
 
そう言って、でっかい口を開けて
最後のケーキを飲み込んだ桜は
そのままバッグを持って立ち上がった。
 
 
桜)帰る!!
 
 
ほっ!
やっと帰るのか、台風娘!
 
 
桜)ばーーーか!!
 
 
桜は俺を見てあっかんべーをして
部屋を出て行った。
 
 
岩)……
 
 
そんなんされたの…
小学生ぶり…?
 
いや、今時小学生でも
あっかんべーなんてしなくね?!
 
 
◇)ごめん…
  何かと失礼で。
岩)いや…、うん。
 
 
◇はため息をついて
ケーキの皿を片付けにキッチンに向かった。
 
 
岩)……
 
 
「お姉のことがまだ好きやからって
 優ちゃんそう言うてん。」
 
 
……そうだよな。
 
だってまだ、2ヶ月も経ってないし…。
 
 
岩)……
 
 
◇は…どうなんだろ…。
 
やっぱりあんなこと言われたら
ちょっとは気になるよな…。
 
だって…
 
 
「優助が…好きなの…っ
 だから剛典とは別れたいの…っ!」
 
 
一度はそう言われたくらいなんだから。
 
 
岩)……
 
 
あ、思い出したら
また少し凹んでる自分がいる。
 
 
「優助の方がええ男やって
 そんなんわかってる!!」
 
 
そういえばさっき勢いで
そんなことまで言われたよな!?
 
 
岩)……
 
 
ガーン…。
 
 
……いや、確かにさ…
優助の方がクリーンだと思うよ?
 
でも…
 
あんなハッキリ断言されると…
そりゃ凹むよ…。
 
 
……はぁ。
 
 
岩)……
 
 
いつか…
 
「優助の方がいい男だけど剛典を選んだ」
 
じゃなくて
 
「剛典が一番いい男だから剛典を選んだ」
 
って言わせたい。
 
 
そのためには
もっと男を磨かなきゃいけないんだな…。
 
 
◇に認めてもらえるくらい。
周りにも認めてもらえるくらい。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
「岩ちゃんが好き?」
 
「笑って。……幸せでいて。」
 
 
最後に別れたあの日の優助が蘇る。
 
 
あたし、後悔なんてしてない。
 
剛典と別れて優助と一緒にいる未来を
一度は選ぼうとしたけど…
 
でも。
 
やっぱり剛典が好きだったから。
 
 
優助の方がいい男なのなんてわかってる。
 
それでもあたしは剛典が好きなんだもん。
 
バカでもいい。
見る目なくてもいい。
 
それでいつか後悔する日が来ても、
後悔しない。
 
って、日本語変だけど。
 
 
あたしは剛典を信じたいし
これからも一緒にいたいんだもん。
 
 
◇)はぁ……。
 
 
桜…
優助のこと本気なのかな。
 
剛典のことはめっちゃ嫌ってるけど…
どうしよう。
 
だっていつかは義妹になるのに…
 
 
……はっ。
 
何言ってんだあたしは。
 
べ、別に結婚するって
今から決まってるわけじゃないし…
 
 
岩)お前のはゼリー買って来たんだよ。
◇)ん?
 
 
洗い物を終えて手を拭いたら
後ろからふわりと抱きしめられた。
 
 
◇)あたしのも買って来てくれたの?
岩)うん。お前と蓮に。
  引っ越し頑張ってくれたから
  ありがとうって。
◇)……なのに桜が食べちゃってごめん…。
岩)いや、それはいいんだけどさ…w
 
 
あたしの肩に顎を乗せてる剛典は
少し元気がないような声。
 
 
岩)俺すっげぇ嫌われたなぁ…w
◇)…っ、ごめんね、桜失礼で…
岩)いやいや、俺が悪いし…。
◇)……
岩)頑張って名誉挽回するわ。
 
 
そう言った剛典は
「だって将来、義妹になるんだし」
って困ったように笑った。
 
 
◇)…っ
岩)あ、これ。
  代わりにサインしてくれたの?
◇)あ、うん。
 
 
カウンターに置いてた
引っ越し業者の領収書。
 
 
岩)「岩田」だって。
  奥さんみたいw
◇)……///
 
 
ちょっとだけ嬉しそうに笑う剛典に
不覚にもキュンとしちゃった。
 
岩田が地味だなんて言ってごめんなさい…。
 
 
別に結婚するわけじゃないなんて
さっき思ったけど…
 
剛典の未来図には当たり前のように
あたしとの結婚があるんだなぁって
なんとなく感じて。
 
 
……ぎゅ。
 
 
岩)お?どうした?
◇)……好き///
 
 
胸がキュッてなった。
 
 
岩)なんだよ急に…///
 
 
だって。好きなんだもん。
 
 
岩)お前ってほんと字キレイだよね〜
◇)え?
岩)前にメモくれた時とかも思ったけど…
  達筆だなぁ〜って。
  学校の先生みたいw
◇)なにそれーw
岩)◇らしいよ。
◇)え?
岩)その人が書く文字ってさ、
  その人を表すって言うじゃん?
  ◇の書く字は綺麗でしなやかで
  凛としてる。
◇)…っ
 
 
そんな風に言われたの、初めて。
 
 
岩)好きだよ、俺。
◇)……///
 
 
あれ、なんでこんなドキドキするのかな。
 
 
◇)あたしの字が…?
岩)字も、お前も。
 
 
そう言ってギュッと抱きしめられて…
 
 
◇)……///
 
 
あれ、なんか大好きがこみ上げてきちゃう。
 
 
◇)あのね、部屋ももう片付いたんだよっ!
 
 
このままギュッてされてたら
あたしの甘えんぼ欲が爆発しちゃいそうだから
慌てて剛典から離れた。
 
 
岩)俺の部屋はー?
◇)剛典の部屋のダンボールは開けてないけど
  家具はちゃんと配置してくれたよー
岩)あ、ほんとだー!
  お前の部屋は?
◇)こんな感じです♪
岩)お、いいねいいね〜〜〜!
 
 
お互いの部屋を順に見て
最後は一番奥の寝室。
 
 
岩)おおお〜〜!!
 
 
今回新しく買った大きなベッド。
 
シーツも綺麗にセットしておいたら
剛典は嬉しそうにそこに飛び乗った。
 
 
岩)いいじゃんいいじゃん!広い広い!w
 
 
あたしのベッドは今まで通り
あたしの部屋にあるけど
剛典はリサイクルに出したみたい。
 
 
岩)今までのシングルと全然違ぇぞw
  ほら、来いよ。
 
 
そう言われて隣に寝転がると…
二人で寝てるのに、まだスペースがある。
 
 
◇)広い……
岩)だろー?w
◇)これならぶつかんないね。
岩)ぶつかんなくても
  俺はお前をぎゅってして寝るけど。
◇)……///
 
 
そんなドヤって言うなし///
 
 
岩)今日は初夜だから一緒に寝ようなー♡
◇)初夜って何///
岩)言っとかないとお前
  自分の部屋で寝るとか言いそうだし。
◇)……言わないもん…。
  剛典がいる時は…一緒に寝たいもん。
 
 
自分の部屋で寝るのは
剛典が仕事で遅い時とかいない時だけ。
 
その方が剛典も
帰って来た時に気を遣わないで
ゆっくり休めると思うから。
 
 
岩)もっかい言って♡
◇)は?
岩)今の。
◇)剛典がいる時は…一緒に寝たいもん…
岩)そっかそっかー♡
 
 
剛典がごろんと寝返りしてきて
嬉しそうにあたしを抱きしめた。
 
 
岩)俺と一緒に寝たいのかぁ♡
  可愛いなぁ♡
◇)……///
 
 
こんな風に抱きしめられたら…
さっき我慢した甘えんぼ欲がムズムズムズ…
 
 
ぎゅむぅぅぅ!
 
 
岩)お!甘えてきたーー♡
◇)……///
岩)んーー♡
◇)////
 
 
剛典は嬉しそうに
あたしの頭を撫でてくれるから
もっと甘えたくなっちゃう…。
 
 
◇)好き///
岩)うん♡
◇)大好き///
岩)うん♡
 
 
あったかい剛典のぬくもり。
幸せだなぁって感じる温度。
 
もう、ずっとこうしてたい。
 
 
◇)新しいお家、嬉しい///
岩)うん、俺も♡
◇)剛典、大好き///
岩)うん、俺も♡
 
 
剛典の首元に顔を埋めて
ぎゅーーーってしがみついてたら…
 
 
岩)◇。
 
 
剛典が優しくあたしを呼んで
ゆっくり起き上がった。
 
 
岩)夜まで我慢できないわ///
◇)え?
岩)だってなんかお前
  すっげぇ可愛いんだもん///
◇)////
 
 
ドキン…ドキン…
 
熱い瞳に見つめられて、頬が熱を持つ。
 
 
岩)いい…?
 
 
その頬を滑る剛典の指先も、もう熱い。
 
 
いいって言ってないのに
なめらかに脱がされていく服と
肌に落ちてくる唇。
 
 
◇)あ、…剛典…、っ///
 
 
肩をぐっと掴むと
剛典はTシャツをバサッと脱ぎ捨てて…
 
 
岩)お前だってもう我慢できないしょ?
 
 
あたしを見下ろして色っぽく微笑んだ。
 
 
◇)////
 
 
なんか、ずるい。
 
勝手にあたしの身体をこんなに火照らせて。
 
 
◇)っ、あ…っ、……んっ///
 
 
こんな風にされたら
あたしだって…
 
 
◇)剛典……、///
 
 
熱い素肌に抱きついて、耳元に唇を寄せた。
 
 
◇)……もう、…ちょうだい?///
岩)////
 
 
一つになりたくて、仕方ないの。
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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  1. ゅぅまま より:

    はじめましてー♡
    桜の岩田呼び笑いました(ಡωಡ) ニヤニヤ

    わがままぼんずってかいてある所って
    わがままぼうずですか??
    修正箇所かもと思って聞いてみました
    ( ´艸`)

    • マイコ より:

      はじめましてヽ(*^ω^*)ノ
      桜の快進撃?は、まだまだ続きますw

      ぼんずはぼんずですよぉーヾ(≧∇≦)ノ”

  2. hitomi より:

    マイコさん、こんにちは(^^)
    久々に感じる岩ちゃん&◇ちゃんストーリー
    大爆笑で見させてもらいました!
    臣くん推しなので、基本的に臣くん&♡ちゃん推しですが、隆二くん&♧ちゃんも岩ちゃん&◇ちゃんもみんな好きです(*^-^*)
    また次の更新も楽しみにしています
    (*´∀`)♪

    • マイコ より:

      hitomiさんヽ(*^ω^*)ノ
      確かに久々でしたねこの二人w
      また近々登場させますw

  3. 臣すき より:

    桜恐るべし。笑

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