毎日通ってた◇のマンション。
今日は一緒に帰ってきて、
一緒にエレベーターに乗ってる。
岩)……
花束を抱えて俺の前にちょこんと立ってる◇。
その頭には、俺があげた髪飾り。
先週あげた方じゃなくて、
ずっと前にあげたやつ。
岩)付けて…くれてるんだ。
思わずそっと触れると、
大きな瞳が振り向いた。
◇)あ、……うん。
……新しいのも…付けてるよ…?
岩)…うん…、ありがとう。
やっぱり嬉しくて、抱きしめたくなる。
さっきまであんなに抱きしめ合ってたのに…
なんかまだ、信じられなくて。
◇が好きって言ってくれたのは
本当かな、って。
夢じゃないよな?って…。
◇)どうぞ…。
岩)お邪魔します…。
そんなぎこちないやりとりで
部屋に入れてもらったけど…
「お邪魔します」って言うより、
「ただいま」っていうような気分。
この間は玄関までだったから
1ヶ月ぶりに入る、◇の部屋。
懐かしいような…
ドキドキするような…
不思議な感覚で。
◇)はい!手洗いうがいして!
岩)う、うん…っ
◇)あたしお風呂洗っちゃうから!
岩)…っ
◇は帰ってくるなりテキパキ動いてて…
言われた通り、手を洗おうとして
ふと気づいた。
岩)…っ
俺の歯ブラシがなくなってる。
「ただいま」なんて思ってたさっきの自分が
なんか少し悲しくなって…。
◇)よし!剛典は寝てて!
お風呂溜まったら起こすから!
岩)…っ
◇はそう言うと、
今度はキッチンでエプロンをつけて、
何やら料理を始めた。
岩)……
さっきまでの余韻なんてなく
テキパキ動く◇の姿に、
やっぱり夢だったんじゃないかって
思えてくる。
俺…
ほんとに好きだって…
言ってもらえたんだよな…?
思わず立ち尽くして、◇を見つめてると…
俺の視線に気付いたのか、◇が飛んできた。
◇)寝ててって言ったでしょ!!
岩)いや、だって…
◇)剛典は休まなきゃダメなの!!
岩)…っ
◇)お風呂溜まったらゆっくり浸かって、
ご飯食べて、すぐ寝ること!
とりあえず今もすることないんだから
横になってて!!
そう言いながら
寝室に向かって俺の背中を
グイグイ押してくる。
岩)……やだ。
◇)え…?
岩)お前の顔が見えるとこにいたい。
◇)…っ
振り返ってそう言うと、
◇は少し困った顔をして。
◇)じゃあ…ソファーで横になってて?
お風呂すぐ溜まるから。
そう言って、俺の手を引いた。
仕方なくソファーに座ったけど
寝ろって言われて…
言われた通り、横になると
◇は困った子供を寝かしつけるみたいに
俺の頭を撫でてきた。
◇)ちゃんといるからね…?
優しくそう囁いて。
岩)……
俺は子供かよって思いながら…
撫でてくれる◇の手が心地良くて…
その手を掴もうとすると、
◇が立ち上がった。
◇)じゃあご飯作ってくるね!
岩)…っ
なんだろう…
このすり抜けていく感じ。
俺は思わず起き上がった。
なんかまだ…実感がなくて…。
岩)……
それに…
俺は別に眠たいわけじゃなくて…
点滴もしたから身体も割と平気で…
むしろ、◇の足の方が心配なんだけど。
さっきから歩く度に、少し痛そうだし。
岩)……
料理手伝おうかな、って
立ち上がると…
ふと目に入ったのは、部屋の隅。
俺が◇にあげたものが
まとめて綺麗に並べられてて…
その横には、大きな白いダンボール。
岩)…っ
もしかして…
捨てようと…してた…?
置いてあるマグカップに手を伸ばすと…
◇)ああっ!!!
◇が慌てたように飛んできた。
◇)寝ててって言ったでしょ!!
……あ、っ
岩)……
◇)……
◇の視線が、俺の手元に移った。
◇)……
岩)…これ……、
◇)…っ
岩)全部…捨てるつもりだった…?
俺の問いに、◇は唇をキュッと結んで。
◇)え…っと…
岩)……
◇)…思い…出しちゃうから…
封印してて…
岩)……
◇)捨てようと思っても…捨てられなくて…
岩)……
◇)三日前に…封印を解いたところ…。
岩)……
三日前…?
◇)ちゃんと…話すから…
剛典は今は寝てて!!
岩)…っ、はい、ごめんなさい…
そう言われたら、それ以上聞けなくて。
キッチンに戻っていく背中を見ながら
俺はまた別のものを見つけてしまった。
岩)…っ
テーブルの上に飾られてる、ガラスの花瓶。
その中には…
俺が毎日届けてた花が、
色とりどりに咲いていて。
花って…こんな持つの…?
2、3日で枯れるんだと思ってた。
そっと近付いてその香りを吸い込めば、
花瓶の横に見つけたのは
俺の手紙がまとめて入ってるクリアファイル。
岩)…っ
全部…
大事に取ってくれてる…。
その事実に、なんだか喉が締め付けられた。
◇)あ!なんでまた起きてるの!!
やべっ、見つかった。
◇)あっ!!!
飛んできた◇は、
クリアファイルを掴み取って
慌てたように背中に隠した。
◇)…っ///
隠しても…もう見ちゃったんだけど…
岩)……全部…読んでくれてたんだ。
◇)…当たり…前でしょ…っ
岩)捨てないで…取っておいてくれたの…?
◇)…捨てるわけ…ないもん…っ///
そう言って唇を噛んだ◇が可愛くて…
無性に抱きしめたくなった。
◇)もういいから座ってて!!///
てゆーか横になっててって言ったでしょ!
何ウロウロしてんの!バカっ!!///
岩)…っ
◇)あ、てゆーか!
お風呂溜まったから入ってきて!!
そう言って、◇は少しハッとした顔をして。
部屋の隅にあった白いダンボール。
その横に置いてあった紙袋から
俺の着替えと歯ブラシを持って走ってきた。
◇)はいっ!!
岩)…っ
◇)ゆっくり入ってちゃんと疲れ取ってね?
岩)……はい。
そう言われるがままに洗面所に向かって、
風呂に入ったけど…。
岩)……
俺があげたものだけじゃなくて…
俺の服やら歯ブラシも封印されてたみたい。
……そりゃそうか…。
◇はそういうところキッチリしてそうだし…
俺と距離置くって決めて
すぐに片付けたのかな…。
岩)……
「捨てようと思っても…捨てられなくて…
三日前に…封印を解いたところ…。」
俺があげたプレゼントたちは
なんとかギリギリセーフだったみたいだけど…
……捨てようとしてたってことは…
忘れようとしてたってことで。
終わりにしようとしてたってことで。
……そりゃそうだ。
俺、別れたいって言われたんだし…。
「優助が…好きなの…っ
だから剛典とは別れたいの…っ!」
思い出す、あの夜。
「あたし、優助とデートもしたし…
優助の家にも泊まったの!!」
……そう言われた。
◇は…
あいつとはどうなったんだろう。
本当に…好きだったのかな…。
じゃあ…俺を好きって言ってくれたのは…?
「もう、剛典とは戻れない。
……別れて…ください。」
あれが◇の本心かどうかは
今でもわからないけど…
そう言われたのは事実で。
岩)……
なんかどんどん、不安になってくる。
さっき…
俺のこと好きって言ってくれたけど…
あれは俺と戻ってくれるって意味なんだろうか。
もしかして…違うんじゃ…
岩)…っ
◇の「好き」は…
俺と同じ「好き」なのかな…?
俺が死ぬと思ってびっくりして
思わずそう言っただけとか…
俺が倒れたから、
心配して…同情して…、とか…。
岩)……
さっきは気持ちが通じた気がして
嬉しくて、涙が止まらなかったけど…
俺の一人よがりだったらどうしよう。
「剛典が…元気になるまで…
そばにいてもいい…?」
それって…
俺が元気になったら
また離れていくって意味じゃない?
◇が今俺といるのは義務感…?
自分のせいで俺が倒れたって思ってるから…
は…っ
だって、そうだよ。
あいつ元々責任感強いし、
困ってる奴ほっとけないタイプだし…
岩)…っ
どうしよう…
なんかどんどん自信なくなってきた。
花と手紙を大事に取ってくれてたのは
本当に嬉しいけど…
いろいろ封印されてたのも事実だし…
「ちゃんと…話すから…」
さっき◇はそう言ったけど、
俺に何を話すつもりなんだろう。
俺は…
聞きたいことも、話したいことも、
たくさんある。
岩)……っ
なんか無性に◇の顔が見たくなって、
俺は急いで風呂を上がった。
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よし!おじや完成!
消化にいいものなら
お粥の方がいいかなって思ったけど
でもちゃんと栄養も摂ってほしいから
野菜をいっぱい入れた。
とにかく、剛典が休みの間に
いっぱいいっぱい休ませて
栄養あるもの食べさせて、
剛典を元気にしなくっちゃ!!!
岩)ただいま…。
◇)あっ!!
剛典が頭を拭きながら戻って来た。
◇)はい、ここ座って!!
あたしはドライヤーを持ってきて
剛典の髪を乾かしてあげた。
岩)なんでここまでしてくれんの…
◇)いいから!おとなしくしてて!!
また倒れちゃったら大変だもん!
◇)よし、乾いたかな?
洗いたてのさらさらの髪に指を通すと、
剛典が振り返って、あたしの手を掴んだ。
◇)どうしたの…?
岩)……
じっと見上げるその瞳が、
子犬みたいでなんだか可愛くて…
あたしは思わず、剛典の頭を撫でた。
◇)ちゃんと乾いたよ♡
岩)……
◇)ご飯用意するから待っててね!
岩)…待って…っ
◇)…っ
キッチンに戻ろうとしたあたしは
立ち上がった剛典に、腕を引かれた。
◇)……
振り返ると、
今度は剛典があたしをじっと見下ろしてて…
その瞳の奥が、少しだけ揺れた気がした。
◇)…っ
……何か、言いたそう…。
どうしたのかな…。
スッと伸ばした手で
剛典のほっぺを撫でると…
剛典はその手を掴んで、目を閉じた。
何か…確かめるみたいに…
あたしの手を、ほっぺに当てたまま。
◇)……
岩)……
……どうしたの…?
◇)剛…典…?
そっと名前を呼べば、
ゆっくりと目を開けて…
岩)……ごめん、なんでもない。
剛典は力なく笑った。
やっぱりまだ、体調悪いのかな?
◇)ご飯食べようっ!!
そして、早く寝て休ませなきゃっ!!
おじやをお皿に移して、
テーブルに向かい合って座って。
久しぶりのこの感じが、
懐かしいんだけど、少しぎこちなくて。
でも…
一口食べると、剛典が美味しいって
少しだけ笑ってくれたから…
◇)…っ
なんだか胸の奥がジーンと熱くなった。
岩)……お前の味…、なんかほっとする。
◇)…っ
今、目の前にいる。
あたしのご飯、食べてくれてる。
剛典が、ちゃんと生きてる。
◇)……
帰ってきてからバタバタで
それどころじゃなかったけど…
改めて、今剛典が目の前にいてくれることに
なんか感動して…
勝手にこぼれてきた涙を、慌てて拭った。
岩)え、ちょっ…!なんで泣いてんの!?
◇)…っ
だって…
岩)え、え、なんで?!どうした!?
◇)…っ
剛典が生きてるから。
そんなこと言ったら、
まだそんなこと言ってんのって
呆れられそうだから、言わない。
◇)ごめんね…。
岩)…っ
剛典と一緒にいられて、嬉しいんだよ…。
早く…元気になってね…?
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ご飯を食べながら、
◇がいきなり泣き出して。
その涙の意味がわからないから
めちゃめちゃ焦る俺。
どうしたって聞いても、
ごめんねとしか言わなくて。
岩)……
ご飯を食べ終わって、◇が片付けてくれて。
美味しかったよありがとうって言ったら
明日もいっぱい食べてねって言われた。
明日も一緒にいられるんだって…
嬉しくなって…
でも、いろいろ複雑な思いも消えなくて…
岩)……あの…さ、
洗い物をしてる◇に、横から話しかけた。
岩)…ほんとに…
明日も一緒にいてくれんの…?
◇)うん!
岩)会社は…?
◇)明日から夏休みだよ。
岩)……
そっか、臣さん言ってたもんな。
◇)剛典が元気になるまで
ずっとそばにいるっ!!
また言われた、同じ言葉。
それは…なんで?
義務感じゃ…なくて…?
◇)てゆーか剛典は寝てってば!!
洗い物を終えた◇は、
またグイグイと俺の背中を押してきた。
◇)安静にしてて!起きてちゃダメ!
寝てっ!!
岩)…っ
そう言われても…
岩)待って。
……話、したい。
◇)え?
話したいことも聞きたいことも
たくさんあるから。
◇)話って…
岩)俺たちのこと。
◇)…っ
俺がそう言うと、◇は少し困った顔をして…
◇)今は…剛典が心配だから
先に休んでほしい。
そう言った。
◇)明日でも遅くないでしょ?
剛典がちゃんと元気になってから
話したい。
岩)…っ
それは…
俺がダメージ受ける話だから?!
岩)俺、元気だよ!今話したい!
◇)…っ、……ダメ。
早く寝て。
岩)…っ
なんで…っ
気になって寝れるわけないじゃん。
俺の背中を押してくる◇の手を掴んで、
真っ直ぐに見つめた。
岩)じゃあ一つだけ聞いていい…?
◇)……なに?
こんなこと聞くの…情けないけど…
岩)ほんとに…
俺のこと…好き…?
さっき言ってくれたのに…
不安でどうしようもない。
◇)大好きだよ…?
岩)…ほん…と…?
◇)……(こくん)
◇が頷いてくれたから、
抱きしめようとしたら…
◇)……ダメ、…ほら、早く寝て。
俺の腕をすり抜けて、
寝室に入っていった。
岩)…っ
さっきはあんなに抱きしめ合ったのに…
なんでダメなんだよ…。
◇)なんかあったら呼んでね?
岩)は…?
布団をめくって、そう言う◇。
◇)だから、喉が渇いたとか…
お腹空いたとか…
なんでもいいから!
何かあったらすぐに呼んでね!
岩)いや、意味わかんない…
お前は看護師さんかよ。
◇)あたしはソファーにいるから。
岩)なんで?一緒に寝ないの?
◇)寝ないよ。
岩)なんで?
◇)だってこのベッド、狭いもん。
剛典ちゃんと寝ないと疲れ取れないから…
岩)そんなんいいから。
俺は◇の言葉を遮った。
岩)そんなんいいから、一緒に寝て。
◇)ダメだってば!
身体ちゃんと休めないと剛典が…っ
岩)いいから!
俺は思わず、◇の肩を掴んだ。
岩)お前と一緒にいるのが
一番疲れ取れるから。
◇)…っ
岩)癒されるから。
◇)……
◇のぬくもりを確かめたい。
別に何もしないから。
抱きしめて眠るだけで…
それだけでいいから。
◇)でもあたし…まだお風呂入ってないもん。
岩)じゃあ待ってるから。
◇)…っ
岩)寝る時は絶対ここ来て。
俺の子供みたいなワガママに、
◇はわかったよって言って
風呂に向かった。
岩)……
好きだって…言ってくれてるのに…
距離を置いてた間の
空白の時間が…
◇の気持ちが…
わかんなくて。
好きだって言ってくれて嬉しい気持ちと
また失うんじゃないかっていう不安が
胸の中でグルグルしてて…
意味もわからず、泣きそうになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ほんとに…俺のこと…好き…?」
そう聞かれて、
大好きだよって答えたら
剛典に抱きしめられそうになった。
思わず逃げちゃったけど…
◇)……
話がしたいって言われて…
それは当たり前だし
あたしもちゃんと話さなきゃとは思ってる。
でも今はそれより
剛典の身体が心配だから
ちゃんと休んでほしいし…
順番的には剛典と話すよりも
優助と話す方が先じゃないかなって
思ってる自分がいて。
◇)……
剛典との答えを先に出すんじゃなくて、
まずはあたしの気持ちがハッキリした時点で
先に優助に伝えるのが筋だと思う…。
それまでは…
剛典に抱きしめられたりするのは
なんか違う気がして…
…って言っても
病院ではいっぱいいっぱいになっちゃって
ずっとしがみついてたのは
あたしなんだけど…。
◇)はぁ……。
あったかいお風呂。
剛典はちゃんと休めたかな。
浴槽の淵に頭を乗せて、深呼吸をした。
◇)……
「ほんとに…俺のこと…好き…?」
少し不安そうにそう言った剛典。
……あたしの気持ち、
信じられないのかな…?
そりゃそうだよね…。
「優助が…好きなの…っ
だから剛典とは別れたいの…っ!」
「あたし、優助とデートもしたし…
優助の家にも泊まったの!!」
あたし、あんなこと言ったんだもん。
きっと剛典は
あたしと優助がそういう関係になったって
思ってるだろうし…
何もしてないよとか…
今更すぎて、言い訳がましくて
言いたくない。
気持ちが動いたのは事実だし。
あたし…
ひどいこと、いっぱい言ったし、
いっぱい傷つけた。
それなのに…
どうして剛典は
あたしのこと好きって言ってくれるんだろう。
距離を置いてた間の、空白の時間。
あたしの気持ちを
ちゃんと全部話して…
もし剛典が離れていくなら仕方ない。
それでもあたしは剛典が好きだもん…。
そんなことを考えながら
気付けば長風呂になってて…
少しのぼせながらリビングに戻って
冷たい水を飲み干した。
寝る準備を済ませて寝室を覗くと、
剛典はもう眠ってて。
◇)……
やっぱり、疲れてたよね。
過労で倒れたんだもん。
毎日忙しいのに…
毎日お花届けてくれて…
「無理なんかしてないっ!」
剛典はそう言ってたけど…
やっぱりあたしは、罪悪感を拭えない。
剛典が大変な時にこんなことさせて…
あたし…彼女失格だよ…。
◇)…っ
……でも…、
その分も…これからは
ずっとそばにいるから…
剛典のこと支えたいから…っ
あたし…
剛典の隣にいてもいい…?
本当に本当に…ごめんね…?
こぼれてくる涙を拭いて、
やっぱり剛典にはゆっくり休んで欲しいから
あたしはソファーで寝ようって思った。
でも。
岩)……◇…、
眠ってる剛典が
寝言であたしの名前を呼んで…
そっと手を握ると、
眠ったままあたしの手をぎゅっと
握り返すから…
「寝る時は絶対ここ来て。」
さっきの言葉を思い出した。
◇)……
「お前と一緒にいるのが一番疲れ取れるから。
癒されるから。」
そう言ってくれた。
ためらう気持ちもあったけど、
剛典を起こさないように
そっとベッドに入ると、
あたしの手を握ってた剛典の手は
条件反射みたいにあたしの背中に回って…
あっという間に、
剛典の腕の中に抱きしめられた。
◇)…っ
起きたのかな?って思ったけど…
剛典の寝息はそのままで。
抱きしめられたまま
剛典の胸に耳を寄せれば
聞こえてくる、トクン、トクンっていう
胸の音。
あたしを包み込むような
剛典のぬくもりに…
愛しい気持ちと泣きたい気持ちが
同時に込み上げてくる。
………好き。
剛典が好き…。
◇)……ぐす…っ
どうしてだろう…
すごく不思議だけど…
あたしが帰ってくる場所は
ここだったんだって…
そう思うくらい、安心するぬくもり。
剛典の匂い。
………剛典…大好きだよ…。
大きな身体に身を委ねながら
心の中で何度もそう呟いて、
あたしはゆっくりと…眠りに落ちた。
ーendー
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もどかしい、、、。隆二と♧ちゃんのもどかしさはキュンキュンが詰まってるけど、この二人はお互いまだ本音で全部話してないし、まだまだラブラブになるのは先かな、、、。でもとりあえず元に戻ったし、それだけでも良しとしないといけないのかな(><)
それだけでもヨシとしておいてください。゚(゚^∀^゚)゚。
ラブラブは…まだまだ先ぃ〜〜( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)ふんふふ〜〜んw