〈9〉必死な王子様

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撮影が一旦休憩になったから
控室に戻ろうとしたら、
ELLYに呼び止められて。
 
少し話そうよみたいなことを英語で言われて
よくわからないまま
みんなのところに来ちゃった。
 
 
隆)普段も日本で仕事してるの?
♡)(コクコク)
岩)こういう仕事?
♡)(コクコク)
E)へぇ、そうなんだ。
直)日本語、わかりますか?
♡)(コクコク)
N)なんか話せる?
M)彼女はヒアリングは少しは出来るんですが
  話す方は出来ないんです、すみません。
N)あ、そうなんですね!
 
 
声色を変えたままのMちゃんにも
誰も気付かなくて、
私は笑いそうになるのを必死に堪えた。
 
 
健)彼氏いるんすか?
N)何聞いてんだよお前はw
健)いや、なんとなくw
M)彼女にはフィアンセがおります。
♡)!!??
 
 
ニッコリ笑うMちゃんに、
また笑いそうになって
私は隠れて自分の腕をつねった。
 
 
岩)フィアンセ!そうなんだー。
N)すごいね。ほんとにお姫様みたい。
E)てかさ、名前なんていうの?
隆)あ、確かに。
M)キャロラインです。
♡)!!!
 
 
キャロライン!??
どこから出てきたのキャロライン!!
 
突拍子もない名前にまた笑いそうになって、
私はまた必死に腕をつねった。
 
もう!Mちゃーーーん!ww
 
 
E)じゃあキャリーだね!
岩)キャリーかぁ。
♡)……。
 
 
臣くんだけこっちに来てくれない。
何してるのかな?
 
……あ、目が合った。
 
 
♡)……///
 
 
なんだかドキドキしちゃう。
 
 
だって騎士の臣くん、
すっごくすっごくカッコ良くて…
本当に王子様みたいなんだもん///
 
 
だからさっきからついつい
盗み見してるんだけど…、
 
 
あ、また目が合った。
 
 
♡)////
 
 
どうしよう。大好き。
今すぐ飛びつきたいくらい。
 
 
臣)そんなみんなで話しかけてたら
  疲れちゃうでしょ。
 
 
あ!来てくれたー!♡
 
 
N)お前はまたナイト気取りか!
岩)さっきセクハラしてたくせに!w
臣)してないっつの!w
隆)やっぱり♡ちゃんに言ってやろう…
臣)何をだよ!///
 
 
臣くんは少し気まずそうに私を見て、
目が合うと、照れたように視線を逸らした。
 
 
♡)////
 
 
やっぱりカッコイイ。
きゅん…♡
きゅん…♡
 
 
直)プリンセスが臣を見つめてるよw
臣)えっ!///
♡)////
臣)////
 
 
また見つめ合っちゃった…。
 
 
だってカッコイイんだもん。
ずっと見てたいんだもん。
 
 
隆)あのー、キャリーさん…
  俺も一応騎士役なんですけど…w
健)あははは!w
E)今市くん忘れられてるねw
N)キャリーも臣のこと
  気に入ったんじゃない?
臣)「も」ってなんすか!
  俺は別に…っ
♡)(じーーーっ)///
臣)////
 
 
あ、プイッと顔を逸らした臣くんが
外に出て行っちゃった。
 
 
健)何やあれ。照れ屋さんかいな。
岩)あはははw
N)感じ悪くてごめんねー。
♡)(ふるふる!)///
M)ではすみませんが、わたくし達も
  一旦、控室の方に…
E)あ、ごめんね、呼び止めちゃって!
  話してくれてありがとう!
  楽しかったよ!
♡)(ペコリ)
直)残りの撮影もよろしくお願いします。
♡)(ペコリ)
 
 
私はみんなに会釈をして
Mちゃんと控室に戻ってきた。
 
 
♡)ぷはーーーっ、疲れたーーーー///
 
 
ずっと緊張してたから
一気に力が抜けて、テーブルに突っ伏した。
 
 
M)見事に誰も気付きませんね!w
 
 
Mちゃんは楽しそうに笑ってる。
 
 
♡)それだけMちゃんの変装が
  完璧なんだよー。
 
 
Mちゃんは私と違って
たくさん喋ってるのに、
声色も話し方も変えてるから
誰も気付かないんだもん。
 
 
♡)てゆーかキャリーって何!もう!
  笑いそうになったよぉ!w
M)あはははw
♡)はぁ、ほんとに疲れた…///
M)いやー、でもやっぱりお似合いでしたね、
  先輩と登坂さん♡
♡)えっ…
M)並んだ時、絵になりすぎてて
  盗撮したいくらいでしたよぉー♡
♡)////
 
 
騎士の姿をしてる臣くんは
本当にカッコ良くて…
 
壁ドンされた時は
ドキドキして死んじゃうかと思った///
 
 
M)撮影終わった後、登坂さん普通に
  ヤキモチ妬いてませんでした?
  NAOTOさんにw
♡)えっ…
M)NAOTOさんから奪い返して
  先輩のことグイッて
  抱き寄せてたじゃないですかぁ♡
♡)あ、うん///
 
 
あれもすごくドキドキしたんだ。
 
 
M)登坂さん、
  プリンセスが先輩だと気付かずに
  恋しちゃったら面白いのにー♡
♡)えー!そんなの浮気だからダメー!!
M)でも、先輩ですよ?
  浮気じゃなくないですか?
♡)えっ…
 
 
難しい。どうなんだろう。
 
 
M)次は登坂さんとのハグシーンもあるし
  楽しみーー♡
  今市さんのお姫様抱っこも
  登坂さんだったらいいのにーー♡
♡)え!そんなシーンあったっけ?
M)ありますよー、ほら。
♡)……ほんとだ。
 
 
隆二くん、私をお姫様抱っこしたまま
走るのか…。
 
重たいよね、なんだか申し訳ない。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
撮影が再開されて、
プリンセスがスタジオに戻ってきた。
 
 
隆)よーし!やるぞー!!
 
 
弁当を食べ終わった隆二はやる気満々で
腕を振り回してる。
 
 
岩)お姫様抱っこかー。
健)ええなぁ、隆二。
岩)いや、地味に辛いんすよ、お姫様抱っこw
隆)え、そうなの?
岩)うん。一回だけならまだしも
  何テイクもすると、腕つりそうになるw
隆)えーー!
N)でもキャリー軽そうじゃん。
岩)それがだんだん重たくなってくるんすよ…
隆)じゃあ一発OK出すわw
臣)頑張れw
 
 
そう言って隆二を見送ったけど…
 
 
監)はい、じゃあいきまーす。
 
 
実際に撮影が始まると…
 
 
臣)……。
 
 
……なんだろ、これ。
なんかモヤモヤする。
 
 
直)いいじゃんいいじゃん。
  ナイトってより王子様みたい。
  雰囲気出てるね、隆二。
健)似合いますよねー。
臣)……。
 
 
なんだろ。
モヤモヤっつーか…ムカつく。
 
 
臣)くっつきすぎじゃね…。
 
 
思わずぼそっと呟いたら
健ちゃんがニヤニヤしながら
俺のことを小突いてきた。
 
 
健)お前、だいーーぶ前の
  ♡ちゃんとの撮影の時も
  そんな顔しとったでw
臣)えっ…
健)俺らが♡ちゃんと絡んでる時。
臣)…っ
岩)キャリーにもヤキモチ妬いてんの?
  臣さんどうしたのw
臣)…そんなんじゃ…、
 
 
ない、って言いたいのに…
 
やっぱり嫉妬なのかな、これ。
 
 
あの子が他の男とくっついてると
なんか胸がざわつくっていうか
……うん、ムカつく!
 
 
監)はいカットーー!
 
 
監督の声がかかると、
隆二はニコニコしながら
プリンセスを抱えたままこっちに来た。
 
 
隆)ねぇねぇ、このまま写真撮ってーw
臣)は!?
隆)俺、お姫様抱っこなんて
  撮影でするの初めてだしw
  記念に撮ってーーw
健)ほんなら俺撮ったるわ。
臣)…っ
 
 
何言ってんのこいつ。
 
つーかカメラ回ってないのに
いつまで抱いてんだよ。
 
 
健)ほい、チーズw
隆)健ちゃんありがとーーw
  はい、大丈夫?
 
 
隆二がゆっくり下ろしてやると
プリンセスはこくこくと頷いた。
 
 
隆)へへへ、ありがとねw
  身体痛くない?大丈夫?
♡)(こくこく)
隆)良かった。
 
 
ムカつく!
 
 
隆)ん…?
健)何してんねん…
臣)……。
 
 
あれ。
 
 
N)臣がまたセクハラしてる!!
E)なんでいきなりキャリー抱き寄せてんの!
臣)つーか隆二、お前こそ
  ♧さんに言ってやるからな!
隆)はぁ!?何がだよ!
臣)お姫様抱っこしてニヤけてたって!
隆)ニヤけてねーし!
臣)写真まで撮ったくせに!
隆)それはただの記念じゃん!
  キャリーと仲良くなれた記念!
臣)はぁ!?
  いつ仲良くなったんだよ!
隆)さっきみんなで話したじゃん!
  つーかお前こそ何やってんだよ!
N)お前はいつまでキャリーを抱いてんだ!
臣)…っ
 
 
俺はまたNAOTOさんに手を叩かれた。
 
 
N)キャリーに謝れ!ったく!
臣)…っ
 
 
……ほんと俺、何してんだろ。
 
だってなんか…
すげぇムカついたんだもん。
 
身体が勝手に動いたんだもん。
 
 
臣)……ごめんね…?///
♡)////
臣)////
♡)////
N)だから見つめ合うなーーー!!w
岩)もうぜぇったい♡ちゃんに言ってやろ。
隆)言ってやろ。
健)臣ちゃんが可愛い外国のプリンセスに
  メロメロやったでーって。
N)メロメロどころの話じゃねーよ!
  セクハラまでしてんだから。
岩)♡ちゃんにフラれるよ、臣さん。
臣)!!!!
 
 
それは困る!!!!!
 
……って…思った…けど…、、
 
 
♡)(じーーーっ)///
臣)////
 
 
この子が…見つめてくるから…
 
 
直)キャリー…、
  臣に聞きたいことがあるとか?
臣)えっ…
 
 
そういうこと!?
 
 
臣)えっと…なに…?
♡)…っ
臣)何か、聞きたい…?
♡)……///
 
 
俺の言葉に、彼女は照れたように俯いた。
 
 
臣)////
 
 
何この反応。
可愛すぎる。
 
 
健)なんや今の甘々な声は。
隆)ほんとだよ…。
岩)臣さん…
  ♡ちゃんに話しかける時みたいに
  優しい声になってたよ。
臣)えっ…
岩)無意識でしょ。
臣)////
 
 
だって…
どうしたらいいんだよ!!!
 
もうわかんねぇ!!///
 
 
M)キャロラインは
  登坂さんが一番タイプみたいです♡
皆)えええええ!!!!
 
 
いきなり彼女の通訳?マネージャー?
が、そんなこと言い出して…
 
 
岩)そうだったの!?
隆)だから臣ばっか見てんの?!
N)なんだよ!両思いかよ!!
直)そうだったのかー
 
 
当の本人は…
すごく恥ずかしそうに
やっぱり俺を見つめてる。
 
 
臣)////
♡)////
 
 
浮気じゃない。
浮気じゃない。
浮気じゃない。
 
俺が好きなのは♡。♡。♡だけ。
 
 
必死に自分に言い聞かせる。
 
 
M)慣れない現場で緊張してたんですけど
  皆さんが優しいので、
  キャロラインも安心したみたいです♡
E)そうだったんだー!
  全然リラックスしてよ、ね?
♡)(コクコク)///
 
 
なんだろう。
顔が可愛いだけじゃなくて、
この子の動きとか、一つ一つが
なんか気になって…
 
こんなに無性に惹かれるのは、なんで?
やっぱり魔力なのか?
 
 
男)スタンバイお願いしまーす。
臣)あ、はい!
 
 
次は俺だ。
 
 
臣)あ、じゃあ…行こっか?
 
 
緊張してたって言うから
思わず彼女に手を差し出したら…
 
 
♡)////
 
 
彼女は恥ずかしそうに、
でも嬉しそうに…
俺の手をきゅっと掴んできた。
 
 
臣)////
 
 
その可愛い仕草に、
胸を鷲掴みされたような気持ちになって…
 
なんかもう、どうしよう。
 
 
健)やらしー!
  何手ぇ繋いでんねん!!
臣)いや、これは…///
N)セクハラだぞ!
臣)……ごめん、やだった…?
♡)(ふるふる!)
 
 
俺が離そうとしたら、
彼女は必死に首を横に振って
繋いでる手にきゅっと力を込めてきた。
 
 
臣)////
 
 
初めて繋いだような気がしないのは、なんで?
 
そしてまったく止む気配のないこのドキドキは
一体なんなんだ…!!///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣くんが手を引いてくれて、
カメラの前まで連れていってくれて。
 
王子様みたいな臣くんに、
私はドキドキ、キュンキュンして
すぐにぽーっと見とれちゃう///
 
 
監)次は魔王にさらわれかけるプリンセスを
  騎士が必死に守ろうとするシーン。
臣)はい。
監)直己に腕を掴まれるプリンセスを
  庇うように力強く抱きしめて。
臣)わかりました。
♡)(こくん)
 
 
どうしよう、遂にきちゃった
臣くんとのハグシーン。
 
ドキドキドキ…///
 
 
男)あ、そこ裏見えてます!
男)すみません!直します!
監)もう少し待ってて。
臣)あ、はい。
 
 
監督が離れていっちゃって…
臣くんと二人、セットの中に取り残された。
 
 
臣)ええと…大丈夫?
 
 
え?
 
 
臣)まだ緊張してる?
 
 
あ。
さっきMちゃんがそう言ったから
気を遣ってくれてるのかな…?
 
 
臣)大丈夫だよ。俺もいるし…
  ちゃんと出来る限りフォローするから
  安心してね?
♡)////
 
 
臣くんが優しい…
きゅん…きゅん…きゅん…///
 
 
臣)意味、伝わってるかな?
♡)(こくこく!)
臣)ああ、良かったw
 
 
そう言って笑ってくれた臣くんの笑顔に
胸を射抜かれた。
 
 
♡)////
 
 
どうしよう…
カッコイイ…///
 
 
臣)あーー、あの…さ、
  そのじっと見つめるの、癖なの?///
 
 
えっ!
 
 
臣)照れるから、やめて?///
♡)////
 
 
だって…
カッコいいから見ちゃうんだもん!
見たいんだもん!
 
 
臣)あれ、今度は伝わってないのかな///
  だから…、
♡)(じーーー)///
臣)そうやって、その…、
♡)(じーーー)///
臣)見つめるのを、……、
♡)(じーーー)///
臣)………ああ、もういいや///
 
 
あれ?
臣くんが手で顔を覆っちゃった。
 
 
臣)キャリー?
♡)…っ
 
 
私のことか!
 
 
臣)(じーーー)
♡)!??///
 
 
なんだろう!
臣くんが見つめてくる!///
 
 
臣)こんな風にさ、男を見つめたらダメだよ。
♡)…っ
臣)相手がドキドキしちゃうから。
 
 
すごく優しく、囁かれて…
 
 
♡)////
 
 
なんだかほっぺが熱くなる。
 
 
臣)って言いたかったの、///
  伝わったかな?
♡)////
臣)……ダメだ、全然伝わってねぇ///
♡)////
 
 
お仕事中なのに…
こんなに臣くんにドキドキして、どうしよう。
 
 
臣)はぁぁぁぁ…///
 
 
あれ、今度は臣くんが座り込んじゃった。
 
 
臣)用意まだかな…///
 
 
そう言われてセットの向こうを見ると
大道具さんたちがバタバタしてる。
 
 
臣)疲れてない?大丈夫?
♡)……。
 
 
臣くんがそう聞いてくれたから、
私はしゃがんで臣くんと目線を合わせた。
 
 
臣)いや、なんでしゃがむの///
♡)…っ
臣)いや、いいんだけど…、うん///
♡)(コクコク!)
臣)ん?
♡)(コクコク!)
臣)疲れたの?
♡)(ふるふる!)
臣)あ、逆?
  疲れてないよってこと?
♡)(コクコク!)
臣)はは、そっか、良かったw
♡)…っ
 
 
また臣くんが優しく笑ってくれて…
キュンキュンキュン///
 
 
臣)もう少しだから頑張ろうね。
♡)(こくん)///
 
 
臣くん…優しいな…
 
いつもこんな優しいのかな?
 
 
こんな優しかったら
共演する人みんな、
臣くんにキュンキュンしちゃわないのかな…。
 
 
臣)ん?どうした…?
♡)…っ
臣)ん?
♡)////
 
 
なんだか、いつもの臣くんみたい。
 
優しく「ん?」って、
私の言うことを聞いてくれようとするの。
 
 
臣)なんだよ…w
♡)////
臣)ほんと全然喋れないんだなw
 
 
私は「ごめんなさい」のポーズをして
頭を下げた。
 
 
臣)なんで?
  謝んなくていいよ。
  なんとなくの意思疎通は出来てるしw
 
 
あ。
臣くんが優しく頭を撫でてくれた。
 
 
♡)////
 
 
またキュンキュンしちゃう。
ずるい…。
 
 
臣)あ、いや…、だから…
  そうやって見つめないでって///
♡)(じーーー)///
臣)そーゆーの流行ってんの?
  見つめ合う対決、みたいな///
♡)(こくん)
臣)ええ!そうだったの!?w
 
 
イタズラ心で頷いてみちゃった。
 
 
臣)それならそう言ってよw
  無駄にドキドキさせられたじゃんw
♡)…っ
 
 
臣くんも…
私にドキドキ…してたの…?///
 
 
……って、あれ?
喜んでいいのかな?
私は今キャロライン設定だから、
それって浮気心になるんじゃ…
 
 
「でも、先輩ですよ?
 浮気じゃなくないですか?」
 
 
うーーん…、わからない。
複雑すぎて難しい。
 
 
臣)今度は険しい顔してどーしたw
♡)…っ
臣)ん?
 
 
今度はいきなり臣くんが
私の眉間を優しく撫でてくれて…
 
 
♡)////
臣)あ、ごめん、触っちゃった!
  セクハラとかじゃないから!///
♡)……(こくん)///
 
 
なんだろう…
なんかドキドキしちゃう、やっぱり。
 
 
♡)(じーーーっ)///
 
 
臣くんは最後まで気付かないのかな。
 
 
臣)また見つめてきてーー///
  勝負か?このやろーーw
♡)(こくん)///
臣)お、マジか。わかった、よし。
 
 
こんな見つめ合い対決が流行ってるって
臣くん、本当に信じちゃったのかな?
可愛い…///
 
 
♡)(じーーーっ)///
臣)////
 
 
私が見つめる…、というか
臣くんに見とれてると、
臣くんも私から視線を逸らさなくて…
 
 
♡)(じーーーっ)///
臣)(じーーーっ)///
♡)////
臣)////
 
 
ずっと見つめ合ってたら、
大好きがあふれてきちゃった。
 
 
♡)////
 
 
臣くん…、大好き…///
 
 
臣)あ、あのさぁ…、///
♡)…っ
臣)それ、ほんと…
  男、勘違いすると思うよ…?///
 
 
え…?
 
 
臣)俺のこと好きなのかな、とか…
 
 
だって好きだもん///
 
 
♡)(じーーーっ)///
臣)こら、今度はわざとやってるだろ///
 
 
大好き、大好き、大好き。
 
 
臣)////
 
 
臣くんが照れてる…
可愛い…きゅん…///
 
 
こんな見つめ合ってたら、
キス…、したくなっちゃう…///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
いよいよ俺はヤバイかもしれない。
 
 
臣)////
♡)////
 
 
彼女と見つめ合い対決をしてたはずが…
気付けばその視線に
まんまとヤラれちゃって。
 
 
だって…
俺のこと好きなんじゃないかって
錯覚するくらい可愛く見てくるんだもん///
 
 
臣)あの…、さ///
♡)////
 
 
もうなんなら
キスしてほしそうなんですけど!?
俺の気のせいか!?あ?!
 
 
臣)もうやめようか、このゲーム///
 
 
って言ってんのに…
 
 
♡)(じーーーっ)///
 
 
ほら、これ!!
 
可愛く目を潤ませて
キスしてほしそうに見つめてきて!!
 
これも全部俺の願望か?!あ!?
 
 
臣)////
 
 
もう、勘弁してくれ…!!
 
 
監)もう少しかかるわーー
  二人ともごめんね、待ってて。
臣)あ、はい!!
 
 
マジかよ。
もう早く離れたいんだけど、この子と。
 
じゃないと俺…、
 
 
……クイッ。
 
 
臣)ん?
♡)……(にこっ)///
臣)!??///
 
 
袖口を引かれて振り向いたら、
可愛く笑いかけてきたーー!!
 
 
そんでもって
また色っぽく見つめてるーー!!
 
 
臣)////
 
 
俺、絶対誘惑されてるよな、これ…。
 
 
臣)……キス…されたいの…?
♡)!!!
 
 
って、俺は何言ってんだーー!!
 
って思ったけど…
 
 
♡)////
 
 
え…?///
 
 
♡)……(こくん)///
 
 
はぁぁぁ!??///
 
何を頷いちゃってんだよこのお姫様はーー!!
 
 
臣)いや、冗談だから!///
 
 
って俺も冗談で何言ってんだよ!!
アホか!!///
 
 
クイッ。
 
 
臣)え…っ
 
 
彼女がまた俺の服を小さく引いてきた。
 
 
♡)////
臣)////
 
 
完全に、キス待ちなんですけど…///
 
 
臣)あのさ、冗談だから///
♡)(ふるふる)///
臣)えっ…
 
 
クイッ!
 
 
臣)////
 
 
キスをねだるように
俺を引っ張ってくるんだけど…///
 
 
♡)////
 
 
……可愛い…。
 
めっちゃキスしたい。
死ぬほどキスしたい。
 
どうしよう。
俺もうおかしいよ…。
 
 
臣)ダメだから///
♡)(ふるふる)///
臣)ダメ!ダメなの!///
 
 
キスなんかできるわけねーだろ!!
 
 
臣)俺、彼女いるから!
♡)…っ
臣)彼女って…、わかるかな?
  My honey! My lover!
  My sweetheart!
♡)////
 
 
いや、なんで君が照れるねん///
てか照れてるのも可愛いな///
 
って、そうじゃなーーーい!!
 
 
臣)////
♡)////
 
 
キス…しちゃう…?
いや、ダメだろ。
 
でも誰にも見えないし…
いや、ダメだろ。
 
こんなに可愛いし…
いや、ダメだろ。
 
めっちゃしてほしそうだし…
いや、ダメだろ。
 
 
チュッ!!
 
 
臣)!!???
♡)////
 
 
勝手にされたぁぁあああああ!!!!
 
 
臣)…っ
 
 
どどどどどうしよう。
 
必死に闘ってた俺の理性が
ガラガラと崩れ去った。
 
 
と同時に、とてつもない罪悪感。
 
俺は一瞬で絶望に包まれた。
 
 
どうしよう。
キスしちゃった。
 
最悪。マジで終わってる俺。
 
 
……なんか泣きそうになってきた。
 
 
♡)…っ
 
 
♡…ごめん…
キスしちゃった…。
 
最低だ俺、ほんと最低だ。
もう死にたい。
 
 
いくらこの子が可愛いからって
いくら誘惑されたからって…
 
絶対しちゃダメだったのに…
 
何やってんだマジで。
 
 
臣)はぁぁぁぁ……
 
 
俺は膝から崩れるように
地面に額をつけた。
 
 
もう♡に合わせる顔がない。
フラれる、絶対。
 
 
♡)…っ、
臣)触んないで。
 
 
心配そうに俺の肩に触れた彼女の手を
思わず振り払っちゃった。
 
 
臣)あ、ごめん…。
 
 
どうしよう、傷つけたかな。
 
 
臣)……ごめん…、ほんと俺…
  ごめん。
 
 
きっとこの子、俺が好きなんだよな…。
 
 
臣)さっきも言ったけど…
  大事な彼女がいるんだ。
♡)……。
臣)ほんと大事で…何より大事で…
 
 
言いながら泣きそうになってきた。
 
だったらなんで俺、この子とキスしたんだよ。
 
 
臣)…っ
 
 
罪悪感に押し潰されそうで
言葉に詰まったら、
 
 
臣)!!??
 
 
彼女がぎゅっと俺を抱きしめてきた。
 
 
臣)いや、だから!!ダメだから!!
  俺は彼女のこと愛してんの!!
  彼女じゃなきゃ…っ
 
 
あれ…?
 
 
臣)…っ
 
 
この感触……。
 
この匂い……。
 
 
………あれ?
 
 
臣)キャリー…?
 
 
俺に抱きついてる彼女の柔らかな身体を
思わず俺も、抱き返した。
 
だって…これは…、
 
 
臣)……♡…?
 
 
間違えるわけがない。
好きな女の感触を。
 
 
臣)♡…なの…?
♡)////
 
 
俺の問いかけに、彼女は目を輝かせて
嬉しそうに微笑んだ。
 
 
臣)え?何?どういうこと?///
♡)……ぎゅ///
臣)いやいや!は!?///
♡)♡だよ…、///
臣)!!!
 
 
やっと喋ったと思ったら
彼女の声は俺が大好きな
いつも聞き慣れてる可愛い声だった。
 
 
臣)どういう…こと?
♡)えへへ///
 
 
ちょっと待てよ。
意味がわかんねぇ。
 
マジで脳内カオス!!!
完全なるパニック!!!
 
 
♡)ごめんね…?
臣)…っ
 
 
マジで…♡なの…?
 
 
……ほんとだ。
なんで気付かなかったんだろう。
 
よく見たら、
目の形も、鼻の形も、唇だって。
 
全部、全部、♡じゃん!!!
 
 
臣)…っ
 
 
目の色が青いだけで…
髪がブロンドなだけで…
 
あとは全部♡じゃん!!!
 
 
臣)ふざけんなよお前…///
♡)えへへ///
 
 
やっと脳が追いついてきた。
現状を理解した。
 
 
臣)…っ
 
 
ってことは。
 
 
こいつが♡ってことは…
さっきキスしてきたのも♡で…
 
俺は…浮気したわけじゃ…
 
 
臣)ああああああ〜〜〜〜っ
 
 
良かったぁぁぁぁぁああああ!!!
 
 
力が抜けた俺は
またその場に崩れ落ちた。
 
 
♡)どうしたの?
臣)どうしたのじゃねぇよ!お前なぁ!///
♡)ん?
臣)俺は…っ
  他の女とキスしちゃったって思って…
  もうお前にフラれるって思って…
♡)あははは♡
臣)笑い事じゃねぇ!!///
 
 
ほんとに死ぬかと思ったのに。
 
 
臣)はぁ……、///
 
 
一気に気が抜けた。
もうなんなんだよほんと…。
 
 
俺、どんだけ♡が大事なの…。
 
マジで絶望したし
マジで泣きそうだったのに…。
 
 
♡)どうしてわかったの…?
臣)…っ
 
 
小声で小首をかしげる可愛い仕草が
なんかムカつく。
 
 
ビシッ!
 
 
♡)いったぁーーーい!
  なんでデコピンするのぉ!!
臣)うるせぇ!
 
 
人の気も知らねぇで!!
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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  1. ポメ より:

    臣くん偉い! 頑張った(笑)
    大好きな人には
    本能で感じ取っちゃうんだね^^

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