〈66〉帰国後の波乱

スポンサーリンク
スポンサーリンク

はぁ……。
 
めちゃくちゃ自己嫌悪。
 
 
なんで気付かなかった…?
 
 
完全に対象外だった…。
 
あいつは俺にとって
クソ生意気な妹みたいな存在で…
 
ただそれだけだった。
 
 
そりゃ確かに出会いはあんなんだったけど…
あんなの本気じゃないと思ってたし…
 
 
性格わりーなーとか思ったこともあったけど
 
ちゃんと素直になれば
そんなに嫌な奴でもなくて…
 
何かと絡んでるうちに
気付けば普通に話すようになってて…。
 
 
その程度だったから、まさか思わなかった。
こんなことになるなんて。
 
 
だって俺、散々話してたじゃん、♡のこと。
彼氏バカだって。
♡が好きで仕方ない、
♡しか見えてない、♡以外いらないって…
あんなに何度も言ってたのに…
 
なんでだよ?
 
なんで俺なんだよ?
 
 
好きな奴いるって言ったじゃん。
俺に相談して…俺で練習してたじゃん。
 
 
……あれも…、全部……、
俺が好きだったから…?
 
 
意味不明なあいつの行動の数々も…
今思えばあいつなりの
必死のアピールだったのかと思うと
なんだか胸が痛むし…、
 
鈍すぎる自分にもすげぇ腹が立つ。
 
 
いつも♡のこと鈍い鈍いって言いながら…
俺だって一緒じゃん…。
 
 
臣)はぁぁぁ……。
 
 
めちゃくちゃ眠かったはずなのに…
 
俺のことが好きだって泣きながら叫ぶRが
頭から消えていかなくて…
 
あまり眠れないまま、朝が来た。
 
 
マネージャーから連絡が来て、
俺は少ない荷物をまとめてロビーに向かった。
 
 
あいつはまだ部屋にいんのかな。
もうチェックアウトしたかな。
 
…って、なんか気になって…
後ろを振り返ったら、
 
 
臣)あ。
 
 
Rのマネージャーが来た。
 
 
男)おはようございます、登坂さん。
  これ、ありがとうございました。
臣)…っ
 
 
あいつに貸したジャケット。
 
あいつはいないのかな…
マネージャーだけ?
 
 
臣)仲直り…したんですか?
男)え?
臣)喧嘩したって…言ってたから…。
男)誰と誰がですか?
臣)え?
 
 
……あれ。
もしかして…嘘だったのか?
 
 
臣)ええと…、
 
 
「あいつ、大丈夫ですか?」
 
 
そう言いかけて、俺は口をつぐんだ。
 
 
大丈夫です、って言われたって…
あんなに泣いてたんだから、それは嘘だし…
 
大丈夫じゃないです、って言われたって…
俺がしてやれることは、何もない。
何もないんだ。
 
 
男)またお仕事でご一緒することがあれば
  よろしくお願いします。
臣)ああ…、はい。こちらこそ…。
 
 
マネージャーはニッコリ笑って
俺の前から去っていった。
 
 
マ)登坂さん、チェックアウトOKです。
臣)ああ、ありがと。
マ)びっくりしました、
  全然違う部屋になってたからw
臣)うん、ごめん。
マ)今の、Rさんのマネージャーですよね?
臣)うん。
マ)昨日、ご飯ご馳走になっちゃって、僕。
臣)ああ、そうだったの?!
 
 
じゃあそのお礼も言った方が良かったかな。
 
 
臣)何話したの?
マ)色々話しました!
  マネージャーとは!みたいな熱い話から
  プライベートな話まで、色々。
  最初はいきなり連れていかれて
  ビビってたんですけどw
  普通に良い人でした!
臣)ふーん…そっか。
 
 
あいつとも付き合い長くて
お兄ちゃんみたいだって言ってたし…
あの人がそばにいるなら大丈夫かな。
 
……ってなんで俺はこんなに
あいつの心配をしてんだ。
 
 
臣)……。
 
 
だって…、初めてだったから。
 
 
女に好きだって言われることなんて
腐る程あるけど…
 
あんなに泣きじゃくって、
好きだって言われたのは…初めてだった。
 
 
それに…
いつもは自分に好意がある女には
すぐに気付くんだけど…
 
あいつは全然わかんなかった。
 
言われて初めて気付いた自分の鈍さで
罪悪感も少しあって。
 
 
臣)はぁ…。
 
 
早く俺のことなんか忘れて
あいつが新しい恋愛、出来ますように…。
 
 
松)あれ、登坂くん。
臣)あ、松尾さん!
 
 
空港に着くと、
丁度バッタリ松尾さんに会って
声をかけられた。
 
昨夜も一瞬しか挨拶出来なかったもんな。
 
 
臣)お疲れさまです。
松)お疲れ様。
  立て続けにスターに会うなw
臣)え?
松)さっき丁度Rちゃんにも会ったから。
臣)…っ
松)大きなサングラスかけてたから
  最初わかんなかったんだけど…w
  声かけてくれて。
臣)……。
 
 
もしかして同じ便なのかな。
 
 
松)そしたら登坂くんにも会えたから。
  次々スターが来るなーってw
臣)やめてくださいよw
松)あはははw
  どうだった?グラミー賞は。
臣)めちゃくちゃ刺激になりました。
  楽しかったです。
  来れて良かった。
松)そっか。
  インスパイアされるよねー、
  あんなの見ちゃったら。
臣)はい。
松)俺もさ、尚更やってみたくなった。
  新しいプロジェクト。
臣)え?
松)今すっごく気になってる子がいて。
臣)そうなんですか?
 
 
松尾さんがそんな風に言うなんてすごいな。
 
 
松)声に一目惚れしたんだよ。
  あ、声だから一目惚れとは言わないかw
臣)一聴き惚れですか?w
松)そう、そんな感じw
  日本帰ったらすぐに声かけたくて。
臣)へぇ…
  どんな声なんですか?気になるw
松)ああ、聴く?
  音源持ってるよ。
 
 
松尾さんがiPodに繋いだイヤフォンを
片方俺にくれた。
 
 
臣)ん?女の子ですか?
松)そうだよ。
 
 
男だと思い込んでた。
 
 
臣)ん…?
 
 
え、これって…
 
 
松)めちゃくちゃイイ声してるでしょ。
臣)…っ
松)しかもこの子ね、
  これだけじゃないんだよ。
  歌によって声が全然変わるんだ。
  変幻自在の声。
  どれもほんと良くて…
  この子の声聴いてると、
  無限に歌詞が浮かんでくるw
臣)すごい…ですね…。
 
 
松尾さんにここまで言わせるなんて…
ほんとにすごいな、あいつは。
 
 
松)登坂くんは今年は?
臣)あ…、僕は、
松)今ドラマ出てるもんね。
臣)ああ、はいw
  あれはもうLDHが総力を挙げて
  やってるんで…w
松)断れなかったの?w
 
 
本当は歌だけをやりたい俺の本音は
バレバレみたい。
 
 
臣)でも企画としては
  最後にドームツアーが待ってるんで
  それが楽しみです。
松)そっかそっかw
臣)ぜひ観に来てください。
松)もちろん。行かせてもらうよ。
  ありがとう。
 
 
それから俺は松尾さんと写真を撮って
ラウンジに向かった。
 
 
昨夜の写真も♡にまだ送ってなかったな。
まとめて送っちゃえ。
 
 
ああ、早く♡に会いたい。
 
 
二日間であんなに抱いたのに。
死ぬほど抱いたのに。
 
それでもちょっと会えないだけで
こんなに会いたくなる。
 
抱きしめたくなる。
 
 
ほんと俺…、♡のことが好きすぎるんだよ…。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
『変幻自在の歌姫へ
 これから飛行機乗るよー✈️
 日付を超えて日本に帰ります。
 LA楽しかったよ。
 また一緒に来ような、絶対🌴
 帰ったらいっぱいイノシシになっていいよ。
 大歓迎🐗💕』
 
 
昨夜臣くんから来てたLINE。
 
寝る直前にぼんやり見てすぐ寝ちゃったから
起きてからもう一回見た。
 
 
写真もいっぱい送ってくれてる。
 
 


 
 
♡)変幻自在の…歌姫…?
  ……ってなんだろ…??
 
 
よくわかんないけど…
 
臣くんが帰ってきたら
思う存分イノシシになっていいという許可を
いただきました!!
 
 
♡)むふふ♡
 
 
早く帰ってこないかな、臣くん…。
早く会いたいよぅ…。
 
 
二日間、あんなにいっぱいHしたのに…。
あんなにいっぱい、満たされたのに。
 
それでもちょっと会えないだけで
こんなに会いたくなる。
 
抱きしめたくなる。
 
 
ほんと私、臣くんのことが大好きすぎるよ…。
 
 
♡)よし準備しよう!
 
 
抱っこしてたシロをモモちゃんの隣に戻した。
 
 
♡)……。
 
 
なんだろう。
この二人、前より表情が
柔らかくなった気がする。
なんか幸せそう…。
 
気のせいかな?
 
 
ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪
 
 
♡『はい、もしもし!』
◇『♡ちゃん、おはよー!』
♡『おはよう!どうしたのー?』
◇『あのね、今日剛典と時間一緒で
  うちの会社通るって言うから
  乗せてってもらうことになって。
  良かったら♡ちゃんも一緒に
  乗ってかないかなーって思って。』
♡『わぁ!ありがたい!
  お願いしたーい!』
◇『じゃあ駐車場でね♡』
♡『うん、ありがとう!♡』
 
 
◇ちゃんが連絡をくれたから
私は急いで朝の準備を済ませた。
 
 
♡)よし、じゃあ行ってきます!
 
 
臣くんはいないけど
いつもの癖で言っちゃった。
 
 
♡)あれ?
岩)あっw
 
 
エレベーターが岩ちゃん達のフロアで止まって
岩ちゃんが乗ってきた。
 
 
♡)◇ちゃんは?
岩)一緒に降りたんだけどさ、
  俺忘れ物しちゃって取りに来たのw
♡)そうだったんだ!
  へへへ、おはよw
岩)おはよw
♡)私も一緒にありがとう。
岩)うん、全然だよー。
  Sさんも喜ぶよ。
  あの人♡ちゃん大好きだからw
♡)あははは、嬉しい♡
 
 
そっか、今日のお迎えはSさんなんだ。
 
 
カシャーン。
 
 
♡)あっ!
 
 
エレベーターを降りて駐車場に出ようとしたら
ヘアクリップを落としちゃった。
 
 
岩)なんか落とした?
♡)うん、ヘアクリップ!
  どこだろー、うわーん。
岩)あ、あった!あっち!
♡)あっ
 
 
あんなところまで飛んで行っちゃったのー!
 
 
岩)はいw
♡)ありがとう!
 
 
岩ちゃんが拾ってくれて、
私はそれをバッグにつけ直した。
 
 
岩)それ、よく落とすって言ってたのに
  相変わらずバッグに付けてんの?w
♡)はっ…、そういえば…
  前にも拾ってくれたよね、岩ちゃん。
岩)そうだよw
  初めて会った時ね。
♡)懐かしいーーー!w
岩)懐かしいーーーー、じゃなくて。
  そこに付けんのやめなさいw
♡)あはははw
  だってね、ここに付けてると便利なの!
  パッと髪をまとめたい時に
  サッと取れるんだよ?
岩)でもすぐ落とすんでしょ?
♡)うん…。
岩)あかんやないかーい!w
♡)あはははっw
岩)あ、♡ちゃん。
♡)ん?
岩)動かないで、まつ毛ついてる。
♡)えー!どこー!
岩)ほっぺ。……はい、取れたよ。
♡)ありがとう!
 
◇)おーい、はよせーい!
  遅刻すんぞー!
 
♡)あ!◇ちゃん!ごめんね遅くなって!
 
 
私と岩ちゃんは急いで車に乗り込んだ。
 
 
♡)……。
◇)ん?どうしたの?
♡)……うん、、
 
 
なんか今、誰かの視線を感じたような気が
するんだけど…
気のせいかな?
 
 
岩)……。
◇)ん?剛典もどうしたの?
岩)いや、なんか今…
  変な視線を感じたような気がして。
♡)え、岩ちゃんも?!
岩)え、♡ちゃんも!?
♡)うん、なんか…、なんとなくだけど。
◇)二人とも感じたなら黒じゃない!?
  パパラッチか?!誰だ!!
 
 
◇ちゃんは窓の外をキョロキョロと見渡した。
 
 
S)いや、パパラッチは
  入ってこれないでしょー。
  シャッターあるし、
  防犯カメラもあるし。
◇)そっか。じゃあ誰だろ。
岩)橘だったりして…
♡)えっ…
岩)だってあいつまだ鍵持ってるよね、
  Sさん。
S)うん…持ってる…ね。
◇)それほんまもんのストーカーやん!
  あ、でもまだ臣さん帰ってきてないし
  違うんじゃない?
岩)あ、そっか。
S)♡ちゃん、ごめんね、橘の件。
♡)あ、いえ!
 
 
Sさんが申し訳なさそうな顔で振り向いた。
 
 
S)とりあえず今、自宅待機にさせてて、
  今日HIROさんに処分決めてもらうから。
◇)おお…そうなんだ。
S)怖い思いさせてほんとにごめんね。
♡)大丈夫です!私はいつでも戦います!
S)いや…、♡ちゃんはそう言ってくれても…
  臣に殺されるよ、俺が…。
岩)今日メンバー会議だからさ、
  それ終わったら臣さんにも
  俺から話すから。
♡)うん…。
  でも…あの…、あまり心配させないでね。
岩)うーん…事実をそのまま伝えるけど…
  臣さんが心配しないのは無理だと思うよ。
  命の次に大事にしてる♡ちゃんだよ?
  ブチギレると思うけどなー。
S)あ、それね、訂正されたの、俺。
岩)え?
S)命の次じゃなくて、
  命より大事なんだってさ、
  臣は♡ちゃんのこと。
岩)じゃあ余計にじゃん!w
◇)橘…マジで臣さんに殺されるんじゃない?
岩)うん。
♡)でも私、何もされてないよ!
  そんな大袈裟にしないで!
 
 
髪を掴まれそうになっただけだし、
私だって投げ飛ばそうとしてたんだし…。
 
 
S)♡ちゃんに24時間ボディガード付けるとか
  言い出しそうだな…。
♡)ええっ!
岩)うん、ありえる…。
♡)大丈夫だよ、私自分でちゃんと
  戦えるもん!
岩)そうは言ってもね、
  彼氏としては心配なんだよ、ほんとに。
  俺ももし◇だったら胃が痛いもん、絶対。
◇)あたしだって大丈夫だよ、
  橘程度ならぶっ飛ばせるよ。
  ボクシングやってるし。
岩)だからー!
  そーゆー問題じゃないの!w
S)もう…なんて逞しい女子たちなんだ…w
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)ふぅ、さっぱりしたー。
 
 
帰ってきてとりあえずすぐに
シャワーだけ浴びた。
 
ホテルであまり寝れなかった分、
帰りのフライトは珍しく爆睡だった。
 
 
臣)お前らいい子にしてたかー?
  ♡寂しがってなかった?
 
 
ん…?
なんか…、なんだろ。
 
この二人、前より表情が
柔らかくなった気がする。
なんか幸せそう…。
 
ってぬいぐるみなのに何言ってんだ俺。
疲れてんのかなw
 
 
臣)よし、行ってきます。
 
 
♡はいないのにいつもの癖で言っちゃった。
 
 
今日はメンバー会議だけだから助かる。
時差ボケがまだ残ってるし
やっぱりフライト疲れもあるから。
 
 
臣)おはよー。
健)お、臣ちゃんおかえり。
N)グラミー帰りのセレブが帰ってきたぞ。
臣)なんすかそれ!w
健)お土産はーー。
臣)ない。今回買ってない。
健)ケチ!ドケチ!
臣)いや、だって、時間なかったんだもんw
 
 
今回はグラミー賞のついでに
雑誌の撮影もしてきたし。
 
 
隆)あ、俺おとついお邪魔したよ、臣の家。
臣)へ!?
隆)サマンサ女子会してたからね、
  ご飯食べさせてもらった。
  ビーフストロ…なんだっけ。ストロノフ?
  美味しかった!
岩)ビーフストロガノフでしょ、隆二さんw
隆)ああ、それそれ!
臣)ふーん。
 
 
いいな、俺も食べたかった。
 
 
健)Rちゃんに会うたか?向こうで。
臣)へ!?なんで?!
 
 
思わず声が裏返っちゃったよ。
 
 
健)Rちゃんも行ってたやん、LA。
  インスタ載せてたし。
臣)えっ!なんの写真!?
健)センターの前で一人で。ドレス姿で。
臣)ああ、そうなんだ…。
 
 
びっくりした。
そうだよな、ツーショットは
載せたらダメって言ったし。
 
 
N)なんかお前きょどってない?
  なんかあったの?
臣)えっ…
健)告白でもされたんか?
臣)えっ!!
隆)え…。
直)え…。
E)臣…、
岩)された…の?
臣)……。
 
 
何これ…。
 
まさかみんな…知ってんの?
 
 
N)気付いてないのお前だけだったけどね。
臣)ええええっ!!
直)見てたらわかるでしょ、
  わかりやすかったもんRちゃん。
臣)…っ
N)あの子、俺のパーティー来た時だって
  俺のブランドになんて
  興味ゼロだったからねw
  お前に会いたくて来ただけだよ、アレ。
臣)…っ
健)♡ちゃんに堂々と宣戦布告
  するくらいやしなぁ。
臣)えっ、何それ!?
健)あれ、聞いてへんの?
臣)知らないよ!
健)パーティーの時。言うとったで。
  登坂さんが好きー!って。
臣)…っ
健)ほんで♡ちゃんも
  私だって好きー!って。
  バッチバチや。
隆)女の闘いってやつだね。
臣)…っ
 
 
マジかよ…
全然知らなかった。
 
だって♡も何も言わなかったし…。
 
 
…もしかして、だからかな。
 
俺がRと飲んだって言った時も…
間違って太もも触っちゃったって言った時も
 
あんな怒って泣いたの。
 
 
臣)はぁぁぁ……。
 
 
全然知らなくて♡に嫌な思いさせちゃった…。
ほんと最悪、俺…。
 
 
N)で、Rちゃん、どうしたの?
  フッたの?
臣)……普通に…伝えました。
  自分の気持ち。
健)俺は地球一の彼氏バカやー!
  ♡が好きなんやー!言うたんか?
臣)うん。
E)おおお…言ったね、臣。
N)ちょっとぐらいグラッと来なかったの?
  だってあのRちゃんだよ?
健)せやんなー。
直)知名度なら俺らより全然あるし…
  ほんとすごい人気だもんね、彼女。
N)あのおっぱいにグラッと来たろ?
  吐けよ〜〜〜w
臣)来てませんから。
健)かーーーっ!つまらんやっちゃ!
臣)俺は♡だけだもん。
健)はいはい、お決まり文句出ましたよー。
  あーあ、Rちゃんかわいそ。
  こんな彼氏バカの
  どこがええんやろ、ほんま。
  かわいそうやから飲みに誘ったろ。
E)健二郎さん…下心あるでしょw
健)アホ!下心しかないわ!
隆)弱ってる女の子につけ込む気だー!
  最低ーー!
健)つけ込むしあわよくば突っ込むわ。
N)最低!信じらんない最低発言!
  みなさん聞きました!?
直)健二郎…言葉を選びなさい。
N)でもRちゃんなら俺もヤリたい…。
  俺も一緒に行こうかな。
隆)コラーーー!!
 
 
ガチャッ。
 
 
H)ああ、もうみんな揃ってた。
  お待たせ。
皆)お疲れさまです!
 
 
アホなこと言ってたみんなは
HIROさんが入ってきて
ビシッと座り直した。
 
 
今日はいつも通り、これからのリリースとか
いろんな打ち合わせにプラスして、
4〜5年先までの年間計画の
打ち合わせもした。
 
 
今年はハイローづくしで年末にはツアー。
来年ももう一本ツアーをして、
ソロ活動も始動させる予定。
 
で、2018年にはソロツアーもしたいし、
その次の年にはまたグループでツアーをして
2020年にはLDHのパーフェクトイヤーと
俺らの10周年が重なってるから、
もうすごいことになりそう。
 
 
話してるだけでワクワクしてくるし
みんなの目も生き生きしてる。
 
 
男)HIROさん、ちょっといいですか、
  すみません。
H)ああ、うん、みんなちょっとごめん。
 
 
HIROさんが少し抜けてる間に
俺らは明日アップする写真選び。
 
 
明日はいよいよアルバムの情報解禁日で
『BREAK OF DAWN』のMVも
公開されるから…
 
そのオフショットを載せようってことで。
 
 
N)でも折角俺らカウントダウンしてたのに
  あっさり情報解禁前にバレたよね!
E)それ!ガッカリしたー。
臣)え、そうなの?なんで?
直)CDショップで予約開始の案内
  しちゃったんだって、フライングで。
臣)ええええ!!
 
 
なんだよそれー!
 
 
健)まぁ漏れちゃったもんは
  しゃーないっすよね。
隆)うん。いいよいいよ。
  MV解禁でびっくりさせよw
  ね、俺この写真にしてもいい?
臣)へ?
 
 
なんでわざわざ俺に聞くんだ。
 
 
臣)あっ!!
 
 
隆二が見せてきたのは、
隆二がプリンセスをお姫様抱っこしてる写真。
 
 
隆)最後に撮った
  普通のツーショにしようかと思ったけど
  こっちの方がインパクトあるんだもん。
  いい?
臣)……別に…いいけど…。
岩)俺はこれにしよーっと。
E)俺はこれー。
臣)……。
 
 
なんでみんな♡とのツーショなの?
ソロ写真載せればいいじゃん。
 
 
N)やっぱ今回はプリンセスありきの
  ストーリーだからねー。
  俺もこれにしよう。
直)俺もー。
健)俺もー。
臣)……。
 
 
じゃあ俺だって…
♡と撮った写真載せちゃうもんね!!
 
 
うーん…どうしよう。
普通に肩を抱いてる写真にしようと思ったけど
それじゃ隆二のお姫様抱っこに負ける気がする。
 
 
本当に載せたいのはこっち。
 
俺が♡を抱き上げてくるってしたやつ。
ドレスがふわって広がってて綺麗だし
驚いてる♡も可愛いし。
 
 
でもさすがにファンがヤキモチ妬くかなぁ?
 
 
でもでも!
隆二なんてお姫様抱っこだし!
 
俺だってこの写真載せたっていいよな?
な!?
 
 
臣)よし。
 
 
もう決定。これにする。
でもこっちは無難にモバイルに載せよう。
 
Twitterとインスタはソロ写真にしようっと。
俺、頭イイ!
 
 
岩)HIROさん遅いっすね。
直)うん。どうしたんだろ。
N)まぁ今日の議題は全部終わったけどね。
E)じゃあ解散?
健)待ちなさいw
隆)あ、戻ってきたんじゃない?
 
 
ガチャッ。
 
 
臣)…っ
 
 
戻ってきたHIROさんは
なぜか部長と一緒で、険しい顔をしてる。
 
 
H)ごめん、ちょっといいかな?
  会議はもう終わりなんだけど…
部)ちゃんと説明してもらおうか、岩ちゃん。
岩)…っ
 
 
え、何?この雰囲気。
 
なんか部長、キレてない?
 
 
……あ、岩ちゃんが困ったように
チラッと俺を見た。
 
 
H)丁度みんなにも
  話そうと思ってたんだけど…
 
 
みんなって…?
 
ここにいるのは
メンバーとマネージャー陣だけだけど…、
 
 
H)まず岩ちゃんから説明してもらっても
  いいかな?
岩)はい。
 
 
HIROさんは自分の席に座って、
部長はその隣にドカッと腰掛けて
岩ちゃんを威圧するように睨んでる。
 
 
岩)一昨日、いつも通り仕事が終わって
  橘さんに送ってもらったんですけど…
  その場に僕の彼女と臣さんの彼女もいて。
H)うん。
臣)…っ
 
 
何…?
なんの話…?
 
 
岩)そこで橘さんが、
  臣さんの彼女に話があると言って…
  話をした後、掴みかかろうとしたんです。
臣)は!??
 
 
俺は思わず立ち上がった。
 
 
部)それで?
  登坂、一旦座れ。
臣)…っ
 
 
座ってられるかよ。
橘が♡に掴みかかろうとしたって
なんだよそれ!!
 
 
直)臣、一旦最後まで聞こう。座って。
臣)…っ
 
 
直己さんに宥められて、
俺は仕方なく、腰をおろした。
 
 
部)それで?早く説明しろ。
岩)…っ
部)なんでうちの可愛い姪っ子が
  謹慎処分なんて食らってるのか。
  私にわかるように説明しろ。
S)あの、謹慎処分ではないです。
  処分は今日HIROさんに
  決めてもらうつもりだったので…
  一旦、自宅待機という形で…
部)うるさい!お前は黙ってろ!
  ただのマネージャーの分際で
  何様のつもりだ!
 
 
は!?
 
 
臣)「ただのマネージャー」って何ですか。
  ここにいるのは全員、
  大事なスタッフです、仲間です。
  そういう言い方、やめてもらえますか。
直(臣…、っ)
 
 
直己さんが小声で俺を制してくるけど
さすがに黙ってられない。
 
 
部)今はそんな話をしてるんじゃない!
  謹慎処分について説明しろと言ってる!
岩)「謹慎処分」ではなくて
  「自宅待機」してもらってるだけです。
部)変わらんだろが!
S)最終決定はHIROさんに…
部)「処分」だの「最終決定」だの、
  さっきから何なんだ!
  うちの姪っ子はな、泣いてるんだよ!
  泣きながら電話してきたんだ。
  ひどく傷ついてる。
  あんなに一生懸命頑張っていたのに。
  楽しそうに働いていたのに。
  一体何がどうしたって言うんだ!!
岩)ですから先ほど説明した通り、
部)登坂の彼女に掴みかかろうとした?
  それがなんだ、
  ただの女同士の喧嘩だろう?
岩)違います、一方的にです。
  俺が止めなかったら、
  ♡ちゃんに危害を加えてました、絶対。
臣)…っ
 
 
岩ちゃんが…止めてくれたのか?
 
 
部)それだってお前のただの主観だろう!
  「掴みかかろうとした」
  「危害を加えていたかもしれない」
  証拠はどこにもない!
  岩ちゃんが言ってるだけだろ!
岩)でも…っ
  俺も◇も見てました、目の前で!
部)そんなのあてにならん!
  なんなんだお前、
  EXILEになれて人気も出てきて
  調子に乗ってるんじゃないのか?!
N)部長!
 
 
黙ってられなくて
俺が言い返そうとしたら、
その前にNAOTOさんが立ち上がった。
 
 
N)それはおかしいです。
  EXILEになれたのも人気が出たのも
  全部、岩ちゃんの努力の結果です。
  岩ちゃんはそんなことで
  調子に乗ったりしてないし
  今でも日々真摯に努力を積み重ねてます。
  それこそ今回の問題とは
  全然関係ないと思いますけど。
部)…っ
 
 
言いたかったことを、
全部NAOTOさんが言ってくれた。
 
その通りだ。
岩ちゃんを侮辱するなんて許さない。
 
 
H)部長、少し落ち着いてください。
  岩ちゃん、もう少し説明してくれる?
  橘が♡ちゃんに話があるって言ったのは?
  いきなり掴みかかろうとしたわけじゃ
  ないよね?
岩)はい…。
部)だったらとっとと説明しろ!
岩)橘は…、あることないこと言って
  ♡ちゃんに臣さんと別れるように
  迫りました。
臣)は…!?
部)あることないことってなんだ!!
岩)……嘘をついたり…作り話をして、
部)まどろっこしいな!
  ちゃんと説明しろ!
岩)……はい。
 
 
岩ちゃんは、はぁと小さく息を吐いて
話し始めた。
 
 
岩)登坂さんが好きなのは自分だ、
  私たちは愛し合ってる。
  登坂さんは本当はあなたと別れたがって
  迷惑している。
  だから別れろ、と言ってました。
臣)はぁ!?っざけんな!!
直)臣!
臣)…っ
 
 
直己さんに腕を掴まれて、
俺はまた座らされた。
 
 
隆)何それ…妄想なの…?
E)ヤバくない…?
健)こっわ……
直)それで…♡ちゃんは…?
岩)♡ちゃんは…当たり前だけど
  橘の話は全然信じてなくて…
  臣さんのこと信じてる、って。
臣)…っ
岩)で、♡ちゃんがまったく臆さずに
  毅然とした態度だったから…
  それに逆上した橘が…
  臣さんの前から消えろ!って言って
  ♡ちゃんに掴みかかろうとしたんだよ。
臣)…っ
 
 
想像したら、ゾッとした。
 
もし岩ちゃんがいなかったら…?
もし橘が凶器とか持ってたら…?
 
そしたら♡はどうなってた?
 
そんなこと考えたら、気が気じゃない。
 
 
部)登坂、どうなんだ。
臣)は…?
部)本当に好きなのは、誰なんだ。
  彼女と別れたいのか?
臣)は!?
 
 
何言ってんだこの人!!
 
 
臣)俺は彼女が好きです。
  死んでも別れません!
部)だったらなんで!
  うちの姪っ子を期待させるようなことを
  言ったんだ!!
臣)は…?
部)お前が何か上手いことでも言ったんだろ!
  だからあの子はそれを信じて
  そんなことを言ったんだ。
  かわいそうに…!お前にそそのかされて!
臣)いや、俺は何も…、
 
 
マジで何言ってんのこの人。
 
 
部)お前が散々女遊びしてることなんて
  知ってるんだよ!
  ゴシップだって
  どれだけもみ消してやったと思ってる!
臣)…っ
直)部長、臣は変わりました。
  変わったんです。
  今は彼女を大事にしてるし…
部)そんなの信用できるか!
  うちの可愛い姪っ子をたぶらかして!
臣)そんなことしてません!
部)うるさい!
H)部長。
部)登坂、お前が…っ
H)部長!!
部)…っ
H)落ち着いてください。
  一度みんなと話したいので
  外してもらえますか?
部)どうして私が…っ
  お前ら、口裏合わせる気だろ!
岩)そんなことしません。
H)部長。あとで僕からご報告しますので
  一旦外してください。
部)……っく、
 
 
バタン!!
 
 
HIROさんの圧に負けて、
部長はすごい形相で出て行った。
 
 
 
 
 
 
ー続ー

コメントを残す

  1. ゆー より:

    とりあえず橘しばいていいですか?^_^笑笑
    ほんまにリアルすぎてこのブログ三代目仲間にむちゃ勝手にひろめてます(^^)笑
    次も楽しみにしてます^^

    • マイコ より:

      えええええええええ(´⊙ω⊙`)ほんまにですか!?!?
      嬉しすぎます!!神っっ!!。゚(゚´ω`゚)゚。
      ありがとうございます!感謝〜〜〜〜!!♡♡

  2. ひな より:

    この部長むかつきます(`・ω・´)
    橘さん早くクビになってほしい!!笑
    どんどん自分の性格が悪くなってるような、、、笑
    2人なら乗り越えられるって信じてます^ – ^
    更新ありがとうございます♡

    • マイコ より:

      部長にも橘にもまだまだ暴走してもらう予定です。゚(゚^∀^゚)゚。
      お許しを〜〜〜ww

スポンサーリンク
スポンサーリンク