M)わぁぁぁ♡
先輩、ステキです!!♡
こんな可愛い花嫁、見たことない!!
世界一可愛いっ♡♡
♡)ありがとう…///
いよいよやってきた、結婚式のシーン。
着替えを終えてスタジオに戻ったら…
ハ)////
黒いタキシードに身を包んだハルくんが、
私を待っていた。
♡)////
ハルくん…すごくカッコイイ…///
ハ)……♡、すごく綺麗だよ…///
♡)ハルくんも…素敵だよ…///
ハ)////
♡)////
なんかまた、照れ臭い。
監)結婚式のシーンは3カット撮ります。
新郎が跪いてプロポーズしてるところ、
二人でバージンロードを歩いてるところ、
あとは誓いのキス。
ハ)は、はい…っ///
監)じゃあまずはプロポーズのシーンから。
花嫁さんこっち来てねー。
♡)は、はい…っ///
なんか、緊張しちゃう。
監)ここでこう跪いて…、
花嫁の手の甲にキスをして、
求婚してください。
セリフはあってもなくてもどっちでも。
アドリブで任せます。
ハ)はい。
監)花嫁は、リアルなリアクションが
欲しいから…
長く付き合ってきた愛する相手に
プロポーズされたと思って
そのまま素直に表現してみて。
♡)はいっ!!
お任せって難しいな…。
私はそのまま目を閉じて、
必死にイメージした。
高校時代から付き合ってるハルくん。
高校を卒業して、大学生になって、
社会人になって。
そして今、プロポーズされるんだ。
……よしっ!
ゆっくり目を開けたら、
そこには優しく微笑むハルくんがいて…
ひだまりのようにあたたかく、
私を見つめていた。
♡)////
とくん…とくん…とくん…
監)じゃあ行きます!用意…!
3、2、……
ハルくんはゆっくりと歩いてきて
私の前まで来ると、静かに足を止めた。
さっきと同じ、ひだまりのような笑顔で
私を見つめてる。
♡)…っ
ハルくんのあたたかい手が、
そっと私の手を取った。
ハ)♡。
ハルくんはそのまま私の前に跪いて…
誓いを立てるように、
私の手に自分の額を重ねた。
ハ)愛してる。これから先、ずっと。
この命が尽きるまで。
♡)…っ
ハ)一生変わることのないこの気持ちを今、
ここに誓います。
♡)…っ
その唇が優しく、私の手の甲に、触れた。
まるでそう、誓いの証みたいに。
視界がだんだん滲んできて…
目の前がぼやける…。
ゆっくり立ち上がったハルくんの笑顔が
涙で揺れてる。
ハ)結婚して、くれますか…?
♡)…っ
ぽたぽたとこぼれ落ちていく涙。
言葉にならない代わりに、
必死に強く、頷いた。
♡)ハルくん…っ!
両手を広げたら、
しっかりと抱きとめてくれる優しい腕。
♡ハ)愛してる。
二人の言葉が、重なった。
監)はいカットーー!!
いや〜〜素晴らしい!
演技とは思えない素晴らしい臨場感!
二人ともプロだねもう!w
男)めちゃくちゃ良かったです!
男)会話は聞こえなかったけど
お二人の笑顔と涙が、本当に素敵で!
周りの拍手で、現実に戻った気がした。
♡)あ、…っ
ハルくんはそっと私の身体を離して、
優しく笑った。
ハ)OK出て、良かったね。
♡)…うん、っ
なんか、不思議な感覚。
なんだろう、これ…。
やっぱり…上手く、切り替えられない。
それから…
エキストラの人たちに祝福されながら
二人でバージンロードを歩いて…
誓いのキスは、フリでいいよって言われた。
フリでいいって言っても…
ギリギリまでは、近付くわけで…
スマートに振る舞う
落ち着いた様子のハルくんは
緊張してる私を見て、優しく笑った。
ハ)リラックスして、ほら。
♡)う、うん…///
こういう仕事は私の方が慣れてるはずなのに…
どうしてハルくんの方が余裕なのかな。
ハ)本当にはしないから大丈夫だよ。
♡)うん…、でも…
ギリギリって…余計に緊張する///
ハ)じゃあ本当にしようか?w
♡)えっ////
クスッと笑ったハルくんは
私の唇を覗きこむように、首を傾げた。
♡)からかわ…ないで///
恥ずかしくて俯いたら、
ハルくんは「ははは、ごめん」って笑って…
私の肩を、そっと撫でた。
監)じゃあ行きまーす、用意…!
カメラが回って、
ハルくんが私の肩を優しく掴む。
♡)…っ
優しすぎてとろけそうな目をしたハルくんが…
ニッコリ笑って…
ゆっくりと傾いた顔。
そのまま…、ゆっくりと…、近付いてくる唇。
監)カットーーー!
ちょっと待ったw
どうしたの♡ちゃん、ガチガチすぎw
♡)////
自分でもわかる、固まってるのが。
監)フリだから大丈夫だよ?w
♡)は、はい…///
ハ)ほら、力抜いてw
♡)ごめんね///
ハルくんが肩をポンポンって叩いてくれて
私は大きく深呼吸をした。
ハ)そんなに目をギンギンに開けてたら
誰もキスできないよw
♡)えっ、……あ!///
私ってば緊張のあまり、
目を閉じるの、忘れてた!
♡)どこで…、閉じたら…いいのかな?///
ハ)え?
♡)////
ハ)……///
思わずじっと見つめたら、
ハルくんは困ったように目を逸らした。
ハ)普通にいつも通り…
閉じればいいんじゃない?
♡)いつもって…、
普通のキスがどんなだったか…
忘れちゃった…///
ハ)えええ!?w
どのタイミングで目を閉じるかなんて
そんなの覚えてないよ…。
ハ)じゃあ、ええと…///
♡)////
ハルくんはもう一度私と目を合わせて
向かい合ってくれた。
ハ)こう…近付くから…、、
……このへん、かな…?///
♡)////
ハルくんの顔が近くて、ドキドキする。
♡)このへん?///
ハ)うん…///
息がかかるくらい、近い。
♡)わ、わかった!
今度はちゃんとするね、ごめんね///
ハ)うん、///
ドキドキ、ドキドキ…、
どうしてか心臓がすごくうるさくて…
でもそれには気付かないフリをして
ぎゅっと目を閉じて、息を吸った。
監)はいではもう一度〜、行きまーす!
3、2、……、
ハルくんがベールを上げてくれて…
その優しい瞳を見つめたら、
時が止まった気がした。
ゆっくり近付いてくる唇に、
そっと目を閉じたら……、、、
♡ハ)!!!
柔らかい感触に、思わず目を開けちゃった。
♡ハ)えっ…///
……今、触れた…よね?
ハ)ご、ごめん!!間違えた!!
♡)…っ
ハ)俺も目、閉じてたから…
距離感つかめなくて…
寸前で止めたと思ったんだけど…
♡)…っ
ってことは…私、今…
ハルくんと…キス、しちゃったの…?
♡ハ)////
ぼーっと固まってると、
カットの声がかかった。
監)いやーー、今のすごく良かったなー。
ちょっと待ってね。
監督がスタッフさんと何か話し始めると、
ハルくんは頭を抱えて
その場にしゃがみ込んじゃった。
ハ)ほんっとにごめん!///
♡)…っ
ハ)ああ、どうしよう…ほんと、
ほんとにごめんね、♡!!///
ハルくんが…
こんなに慌ててるところ、初めてかも…
ハ)ああ、もう…っ
ハルくんがあまりに必死だから
私もドレスを持ち上げて腰を落とした。
♡)びっくり…したけど…///
ハ)ごめん!!
♡)怒って…ないよ?
そんなに謝らないで…、
だって本当に一瞬だったし…
ハ)……。
申し訳なさそうなハルくんが
ゆっくり顔を上げて…
また二人の視線が重なった。
♡ハ)////
見つめ合って固まってると、
監督から思いがけない提案をされた。
監)今の唇くっついちゃった感じ、
やっぱりすごく良かったんで…
フリじゃなくてほんとにしてもらっても
いいですか?
そんなことを言われて、
私たちは思わず、目を合わせた。
♡ハ)////
ええと…、ええと…、
本当にハルくんと…キス、するの…?
監)あ、もちろん二人が
嫌じゃなければ、だけど…
監督が困ったように笑ってる。
私たちはまた目を合わせて、固まった
♡ハ)////
……どうしよう。
ハ)♡は嫌じゃない…?大丈夫…?///
♡)う、うん…っ///
ほんとに…するのかな…?
監)ありがとう!じゃあ撮ります!
カメラ用意ー!
胸がドキドキしてて…
身体はやっぱり緊張してる。
ハ)♡。
♡)…っ
ハ)力抜いて…、
♡)あ、ごめんね///
ハ)ううん、俺こそごめん…。
♡)え…?
ハ)……今だけ、…今だけでいいから…
俺のお嫁さんになって。
♡)…っ
ハ)結婚式で、みんなに祝福されて
誓いのキスをする。
……緊張することじゃないでしょ?
♡)…っ
そっか、そうだよね…。
本当なら嬉しいことだよね。
ハ)今だけでいいから…。
ハルくんはそう言って
また優しく私の肩をさすってくれた。
ひだまりみたいなあたたかい優しさを
その瞳に宿して。
♡)////
ちゃんと、演じきろう。
大好きな大好きなハルくんと結婚する。
みんなに祝福されて、永遠の愛を誓うの。
私は今、花嫁なんだ。
ハ)♡。
目の前では愛する人が
優しく私の名前を呼んでくれる。
♡)うん。
私は気付けば緊張がほどけて
また笑顔になれていた。
監)ではいきまーす!
目を閉じて、深呼吸。
腰をかがめたら、ハルくんがゆっくりと
ベールを上げてくれる。
ハ)♡。
その優しい瞳に…優しい声に…
胸があたたかくなる。
ゆっくりと近付いてくる唇に、目を閉じたら…
二人の唇が、静かに重なった。
優しくて、柔らかくて、幸せなキス。
どれくらい経ったかな。
二人の身体が離れる頃、
私は自然と泣いていて。
ハルくんはそんな私を見て、
優しくふわりと、抱きしめてくれた。
そのあたたかい腕で、
大事なものを、包み込むように…。
ハ)愛してる。
♡)ハルくん、大好き…
私も、…愛してる…っ
ハルくんをぎゅっと抱きしめたら
また涙があふれてきた。
監)カットーーー!!
素晴らしい!!
監督が大きく拍手をしたら
その場にいたエキストラやスタッフの人たちも
みんな拍手してくれて…
ハ)♡。
ハルくんはもう一度優しく私の名前を呼んで、
私の涙をそっと拭ってくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長)じゃあ次は交代で!
登坂くんソファーに座って
Rちゃん後ろに回ってーー、そうそう。
で、後ろからお兄ちゃんに
ちょっかいかける感じでw
なんかもうすっかり兄妹設定が
定着してるんですけど…。
カメラマンの長谷川さんも
なんか楽しんじゃってるしw
臣)あ。
後ろからほっぺたつついてきやがった。
R)ほっぺやわらかい。
さっきも思ったけど。
臣)そう?
お前も柔らかいじゃん。
R)……///
臣)あ!
今度は髪の毛引っ張ってきた!
臣)何すんだコラw
R)へへへ///
長)いいねいいね、
悪戯っ子な妹感、出てるよー!
じゃあちょっと試しに
抱きついてみちゃおうか!
臣)え!?
いきなりそんなこと言われて
驚いて顔を上げたら
長谷川さんは楽しそうにニコニコ笑ってる。
長)抱きつくっていうか
じゃれつく感じで!
R)はーい///
臣)わっ!
言われた通りにRが後ろから
俺に腕を回してきた。
長)登坂くん、Rちゃんの腕掴んであげて。
ああ、そう、そんな感じー!
二人とも笑って笑って〜!
カシャッ!カシャッ!
長)よーし、OK!
今確認しちゃうねーー!
そう言われて手を離したら
Rはそのまま後ろから俺にのしかかってきた。
臣)何してんだコラ。
R)疲れた…///
臣)重いんですけど。
R)可愛い妹が甘えてんだからいいでしょ!
臣)自分で言うな!w
R)えーいっ
臣)わっ、こら!
Rが背もたれを乗り越えて
俺の背中に乗っかってきて…
臣)ちょ、おっぱい当たる!///
背中に柔らかい弾力を感じて
俺はグイッとRを押し返した。
R)何赤くなってんの。エッチ///
臣)別になってねーわ!!///
橘)いつまでもベタベタするの
やめてもらえますか!!
臣)…っ
橘がいきなり俺とRの間に
割り込んできた。
臣)別にベタベタなんかしてないけど。
橘)撮影はもう終わったんですから!
離れてください!
R)なんなのこの人。
臣)ちょっとおかしいマネージャー。
橘)…っ、登坂さんなんなんですか。
臣)何がだよ。
橘)Rさんにデレデレして…
臣)してねぇっつーの!
橘)♡さん以外の女は女じゃないとか
言ってたくせに…
R)…っ
橘)♡さん以外には勃たないとか
言ってたくせに!!
臣)はぁ!?///
こいつはいきなり大声で何言うんだよ!!
臣)勃ってねぇだろ!!///
変な言い方すんな!誤解される!!
橘)でも…デレデレしてました…
臣)してねぇっつーの!
なんなんだよお前は!俺の彼女か!
橘)えっ…///
R)ただのマネージャーなんでしょ?
なんか勘違いしてんじゃないの?
橘)…っ
R)登坂さんのこと好きなの?
橘)////
橘が顔を真っ赤にして黙り込んだタイミングで
Rのマネージャーがニコニコしながら
こっちにやってきた。
男)撮影お疲れさまでした。
対談引き受けてくださって
ありがとうございました、登坂さん。
臣)あ、いえ。
男)良かったらSNS用の写真も
撮らせてもらっていいですか?
臣)ああ、はい。
男)じゃあ二人並んでもらって。
臣)はーい。
男)R、どんな写真がいい?
R)どうしよう…。
とか話してる間も
橘はすげぇ顔で睨んでるし。
こいつ現場に付けんの二度とやめよう。
絶対Sさんに報告してやる。
男)じゃあ登坂さん、Rの肩組んでもらって
そっちの手でほっぺつねってやってくださいw
臣)え?ああ、はいw
言われた通りにしたら
Rが不満そうに俺を見上げてきた。
臣)なんだよ。
R)べ、別に!///
臣)今の写真、俺にも送って。
俺も載せとくわ。お仕事しなきゃ。
R)……送った!///
臣)さんきゅー。
それから長谷川さんの最終OKも出て
撮影は無事終了。
控室に戻ってきて着替えてたら、
橘がいきなり泣き出した。
橘)ぐすっ…
リ)え、なになに?どうしたの橘さん。
ヨ)何かあった?
臣)…っ
なんかすっげぇ面倒くさい雰囲気。
橘)登坂さん…
どうして私のこと、
庇ってくれないんですか…?
臣)は、はい!?
何が?!!
意味不明すぎる発言に
思わず二度見しちゃったよ!
橘)Rさんにあんなこと言われて
屈辱です…っ
臣)へ???
そんなひどいこと言われてたっけ?
お前がうざかった記憶しか
こっちにはないんですけど…
橘)Rさんのこと、好きなんですか?
臣)はぁぁぁ!??
だからなんでそうなる!!
橘)あんなベタベタして…
臣)仕事だろーが!
お前さっきから何言ってんの?
頭おかしいんじゃないの?
橘)…っ
臣)勘弁してくれよ、マジで。
なんか一気にどっと疲れがきて
俺はそのままテーブルに突っ伏した。
橘)ひどい…っ、ぐすっ…
リ)橘さん、ちょっと出ようか。
橘)うんっ…
部長の親戚だかなんだか知らねぇけど
早くクビにしてくれ誰かーーー!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡)お父さん…っ!!
父)♡ちゃん…!
撮影の途中、本当にお父さんが来てくれて
私は思わず抱きついちゃった。
♡)お父さん!会いたかった!
うわーーんっ!嬉しいよぉっ
父)♡ちゃん、ごめんね、本当に…、
♡)お父さぁんっ!
お父さんは子供にするみたいに
私の頭をよしよしって撫でてくれて…
♡)お父さん、元気だった?
父)元気だよ、すっかり老け込んだけどw
♡)そんなことないもんっ!
父)♡ちゃんはすっかり大人になったね。
♡)うんっ!
父)綺麗になった。
♡)えへへ、本当?///
懐かしい笑顔、懐かしい声。
私は涙を拭いて、
もう一度お父さんをぎゅっと抱きしめた。
「ンギャー!オギャー!」
♡)ん?
赤ちゃんの泣き声がして振り返ると、
次のシーンに参加する予定の赤ちゃんが
真っ白なおくるみに包まれて
元気よく泣いてるみたい。
ハ)ほら、よしよし、大丈夫だよw
赤)んきゃっ♡
ハルくんが抱っこしてあげると
赤ちゃんはピタッと泣き止んで、
笑顔になった。
♡)あははは、可愛いっ♡
お父さん、赤ちゃんだよーー♡
父)うんw
♡)ハルくん、抱っこ上手だねっ♡
赤ちゃん笑ってるよぉ♡
ハ)うん、良かったw
父)……。
♡)あ、こっち見たーー♡
えへへ、ママ役の♡です、よろしくね♡
ハ)赤ちゃんに自己紹介してるw
♡)ほら、ハルくんも挨拶して!
ハ)ええっ!?w
パパ役のハルキです、
よろしくお願いしますw
♡)あはははっ♡
赤)んきゃっ!んきゃっ♡
♡)私にも抱っこさせて〜〜〜♡
ハ)はい、気をつけてね。
♡)うんっ!
わぁぁ…ふにゃふにゃだぁ……
可愛いなぁ…///
ハ)ね。
赤)んきゃっ!んきゃっ♡
♡)すっごく笑ってくれる子だね♡
ハ)パパとママ、気に入ってもらえたかなw
♡)あははは♡
父)……。
あれ、お父さんが眉を下げて
赤ちゃんを見てる。
♡)お父さんも抱っこする?♡
父)いや、いいよ…w
……ごめんね、そろそろ戻らないと…
♡)あっ、そっか!
父)♡ちゃんの元気な顔が見れて
良かったよ。
良かったら今度ゆっくり遊びにおいで。
♡)うんっ!♡
お父さんありがとう♡
お父さんを見送った後、
一旦赤ちゃんのミルクタイムで
椅子に座って待ってると、
Mちゃんが不思議そうに口を開いた。
M)随分仲良しなんですね、
ハルキさんのお父さんと。
♡)うんっ!
子供の時ね、いつも一緒だったし
本当のお父さんみたいに
大好きだったんだーー♡
M)へぇ…
♡)ハルくんも同じだもんね♡
ハ)うん、レイジパパとレイコママは
俺にとっても本当の両親みたいに
大切な人だよ。
♡)えへへへ♡
ス)赤ちゃんミルク飲み終わりましたー
準備お願いしまーす。
♡)はーい!
最後のシーンは、
新しく完成したマイホームで
家族3人で幸せそうに笑い合うシーン。
私が生まれたばかりの頃、
パパとママもこんな感じだったのかなぁ…
なんて思いながら、
あたたかい灯がともるリビングに移動した。
♡)あ、赤ちゃんがもう眠そう…w
ハ)お腹いっぱいになったからかな?w
♡)もう少しだけ頑張ってねーーw
赤)むにゃ…むにゃ…
♡)可愛いよぉ…///
ハ)うん、天使みたいだね。
♡)うん♡
監)今の雰囲気でバッチリなので
もう撮っちゃいまーす!
♡)えっ!
監督が上からニコニコしながら
こっちを見下ろしてる。
監)幸せそうな家族。
もう雰囲気出てるんで、
そのまま普通に話しててくださいw
そう言われて、
私たちは思わず目を見合わせて笑った。
♡)ハルくんのお仕事って、
本当に素敵だね♡
ハ)え…?
♡)こんな風に…
幸せな家族が幸せに暮らす家を
一から作り上げるんでしょ?
素敵なことだなぁって思って。
ハ)……。
♡)私もいつかこんなお家に住みたいなぁ♡
ハ)……。
ハルくんは何も言わずに
ただただ、ひだまりのような笑顔で
私に寄り添ってくれて…
私もそんなハルくんに微笑み返した。
これから先も、ハルくんの仕事が…
たくさんの人の笑顔に
繋がっていきますように…
そんな願いを込めて……。
監)はい、カットーー!
最終チェックしまーす!
それから最後のシーンも無事OKが出て
長丁場だった今日の撮影は
あっという間に終わりを迎えた。
ス)♡さん、お疲れさまでした!!
♡)わぁっ!ありがとうございます!♡♡
スタッフさんからもらった花束は、
私が好きな色合いの可愛い花束だった。
ハ)♡、今日は本当にありがとう。
♡)うんっ!
ハルくんもお疲れ様でした♡
ハ)外、まだ雨がひどいから…
良かったら送っていくよ。
♡)えっ、ほんと?
ハ)Mちゃんも、どうかな?
M)あ、ありがとうございます!!
ハ)じゃあ着替えたらそのまま待ってて。
♡)うん、ありがとう♡
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リ)すんません、余計泣かせちゃいました。
臣)えっ!!
橘と出てったリンちゃんとヨッシーが
困り顔で戻ってきた。
リ)橘さん、なんかちょっと頭おかしいんで
話してたらつい説教になっちゃって。
そうなんだよ!
あいつおかしいんだよ!
ヨ)登坂さんの彼女でもないのに
マネージャーとは思えないような
言動が多々あるので、
私からも言ったんですが…
逆ギレしていなくなってしまいました…
ごめんなさい。
臣)えっ…どこ行ったんだろ。
あんな奴、野に放って大丈夫!?
リ)登坂さん、良かったら
うちらの車で送りますよ。
ヨ)橘さん、戻ってこないかもしれないんで…
良かったら乗ってください。
臣)いや、ええと…
コンコン。
長)あ、登坂くんまだいた、良かったw
良かったらこの後、一杯どう?
長谷川さんがドアから覗いてニカッと笑った。
長)まだ外雨ひどいしさ、
このビルの地下のお店、
すごく美味しくて個室もあるから。
臣)あっ、ほんとですか?
長)Rちゃんも来れるって。
臣)じゃあ僕も行きます。
長)OK、待ってるねー。
臣)はい。
俺はリンちゃんとヨッシーにお礼を言って
そのまま地下の店までエレベーターで降りた。
『橘、発狂の末に逃亡。』
Sさんにもちろん報告して。
長)あ、登坂くん、こっちこっちー!
店の奥の個室では
長谷川さんとRがもう先に乾杯してた。
長)ほんとは早く帰って
今日のデータ整理したかったんだけどさー
この雨でしょー?
先にお腹空いちゃってw
臣)あはははw
長)ダメ元でRちゃんと登坂くん誘ったら
二人とも優しいから
OKしてくれるんだもんw
R)あ、登坂さんのビール来ましたよ。
臣)さんきゅー。
長)ではでは、本日はお疲れ様でしたw
かんぱーい!
臣R)乾杯。
……ああ、仕事の後のビールは美味いな。
R)登坂さんとの写真、
すごい反響なんだけど。
臣)え、うっそ。
R)登坂さんのインスタの方もすごいよ。
そう言われて開いてみると…
さっき載せたツーショットが
あっという間に拡散されてる。
『何この写真!!😳なんの撮影なの!?
臣がRの肩抱いてる!!!』
『Rのほっぺつねってる臣くん
カッコ良すぎて鼻血出る😭💕』
『臣ちゃんとR可愛すぎない!?
なんなんこの二人!お似合い!!😍✨』
『CなんかよりRの方が
よっぽど臣とお似合いだよ!
この二人可愛い💗』
『臣くんとRちゃん
仲の良い兄妹みたいで微笑ましい😊
雑誌発売楽しみだなー!絶対買う!』
臣)ほんとだ…、すごい。
長)じゃあ雑誌も売り切れ間違いなしだなーw
R)あはははw
長)ほんとね、今日は撮ってて楽しかった。
美男美女はやっぱり画になるよね〜〜w
長谷川さんはご機嫌でビールを飲み干した。
R)最近忙しそうですよね、長谷川さん。
長)うん、でも最近はもう
国内の撮影に絞ってるから
前よりはラクだよー。
臣)そうなんですね。
長)それにこの間ね、久々に
腕が鳴るような撮影があってさー。
臣)へぇ!
長)めちゃくちゃ楽しかったなー。
R)なんの撮影だったんですか?
長)普通に雑誌の撮影だったんだけど…
被写体の子がすごく良くて!
R)へぇ…
長)あんなに次から次へと
撮りたくなったのは
ほんと久々だったなー。
臣)有名なモデルさんとかですか?
長)ううん、全然新人の子。
でもすごく引き込まれた。
笑顔の破壊力がすごくてさー。
撮ってるうちに気付けばこっちも
笑っちゃってんの。
カメラ構えながらw
臣)あははは、すごいですねw
長)姫ちゃんって子。知ってるかな?
臣)!!!
長)あの子はまだまだ伸びると思うなー。
R)長谷川さんがそこまで褒めるなんて
なんか妬いちゃうーw
長)ええ?!w
R)あたしとどっちが魅力的ですか?♡
長)うわーー!すごい質問だなそれ!
ずるいよRちゃん!
R)あはははw
なんて話してたら、
長谷川さんの携帯に着信が入って…
「仕事入った!ごめん!あとは二人で!」
なんて言って、あっという間に
いなくなっちゃった長谷川さん。
臣)……。
R)……。
俺たち二人だけ残されても…
どーすんだこれ。
R)ねぇ!
臣)うおっ…なんだよいきなり。
Rが大きな声で呼びかけてきた。
R)「登坂さん」て呼ぶの嫌なんだけど!
臣)はぁ?急に何の話だよ。
R)なんかよそよそしすぎて嫌なの!
臣)「さん」付けんのが?
じゃあ勝手に呼び捨てすれば?
R)登坂って?
臣)ぶっw
R)そんなの変でしょ!
臣)お前には似合ってるけどw
R)何よそれ!もう!///
臣)あはははw
まぁ確かにこんな生意気なのに
「登坂さん」って
少し違和感あるよな。
臣)好きに呼べばいいじゃん。
R)ほんと…?
臣)うん。
R)じゃあ…下の名前で呼びたい。
臣)どうぞ?
R)広臣!!
臣)また呼び捨てかよ!!w
R)……っていうのは嘘だけど…
じゃあ…、……臣、さん…///
臣)うん。
R)////
臣)何。
R)いい…の?///
臣)何が?
R)臣さん、て…呼んで///
臣)好きに呼べって言ってんじゃん。
R)////
俺がそう言ったら
Rはニヤニヤしてる口元を隠すように
頬杖をついた。
R)臣さん///
臣)なんだよw
R)…なんか…照れるんだもん…///
臣)は?
R)……臣さん、///
Rはもじもじしながら
嬉しそうに何度も俺を呼ぶ。
臣)なんだよ、可愛いなw
R)えっ!?///
もじもじの仕方が少しだけ
♡に似てたから。
R)か、可愛い…って言った…?///
臣)うん。ダメなの?
R)…っ///
Rは急にゆでだこみたいに赤くなって
そのままテーブルの上に沈んだ。
臣)どうした。
可愛いなんて言われ慣れてんだろw
いつも自信満々なくせに。
R)////
臣)おーーい?もしもーし?
R)////
耳まで真っ赤なんですけどw
R)録音…しとけば良かった…///
臣)ん?なんて?
R)なんでもない!///
Rは真っ赤な顔のまま
勢いよく起き上がった。
R)好き!…な人が…、いるの!///
臣)はい??
今度はいきなり何の話や。
R)大好き…なの///
臣)お前は女子特有だな。
R)え?
臣)話がさっきからいきなりぶっ飛ぶとこw
R)…っ///
臣)まぁ慣れてるけど。
♡もいっつもそうだしw
臣)で?好きな人がどうしたって?
R)片想いなんだけど…
どうしたら…いいと思う…?///
臣)どうって…、何?付き合いたいの?
R)うん…、///
臣)じゃあ告白とかすれば?
R)告…白…、
臣)気持ち伝えなきゃ始まんなくない?
R)そう…だけど…
臣)あ、あれ?
男から言わせたいタイプとか?
R)べ、別に…そんなんじゃ…///
臣)じゃあ言えばいいじゃん、好きだって。
R)////
何をもじもじしてんだ。
いつものこいつらしくねーな。
R)じゃあ、練習してもいい?///
臣)は!?
R)告白の、練習。
臣)俺で?!
R)うん…。
臣)……まぁいいけど。
つーか女優ならそんなの
お手のもんなんじゃないの?
R)演技とプライベートは別だもん!!
臣)はいはい、じゃあどうぞ。
練習付き合いますよw
R)…っ
俺がじーーっと見てると、
Rはもじもじしながら深呼吸をして
真っ直ぐに俺を見つめてきた。
R)……好き、///
臣)……。
R)////
臣)……。
R)な、何か反応してよ!///
臣)え?ただの練習台なのに?
R)…っ、何かあるでしょ!///
臣)だってそいつがなんて返事するか
わかんねぇもん。
R)じゃあ…
「好き」の練習だけいっぱいしとく!
臣)おう。
俺は焼き鳥をかじってビールを飲んだ。
R)好き///
なんか野菜も食いたいかも。
R)好き///
その前にビールおかわりしようかな。
R)好き!///
ねぇ!聞いてる!?
臣)あ?
R)何そのやっつけな感じ!
臣)だって練習台だろー?
そんなんぬいぐるみ相手にやっとけよ。
R)ひっどい!///
臣)俺ビール頼むけどお前は?
R)もう…っ
俺が注文を終えると、
Rはふて腐れた顔で頬杖をついた。
R)少しは…ドキドキ…した?
臣)ん?何に??
R)あたしの告白!!///
臣)ドキドキって、俺が?
R)うん…///
臣)なんで俺がドキドキすんだよw
ただの練習相手だぞ。
するわけねーだろ。
R)…っ
臣)ま、本番は頑張れよ。
R)ばーか!!!
臣)はぁ!?
R)バカ!アホ!
臣)お前…、練習に付き合わせといて
なんだよそれw
R)知らない!!!!
臣)……ほんと変な奴…。
ほら、焼き鳥食え。
R)!!!
尖ってる口に焼き鳥を突っ込んだら、
Rは黙ってもぐもくしてる。
臣)美味いだろ?
R)……うん///
臣)ふはっw
お前、食ってる顔面白ぇなw
R)えっ…
臣)リスみてぇ、あははは、可愛いw
R)////
面白くてもう一本突っ込んだら、
Rは大人しくもぐもぐ食べてる。
R)……ねぇ、もっかい言って///
臣)は?何を??
R)可愛い、って。
臣)は???
R)言ってくれたでしょ、今。
臣)いや、言ったけど…
別にそういう意味じゃ…
小動物みたいって意味だけど。
R)どういう意味でもいいから
もっかい言ってよ!
臣)可愛い。
R)////
無理矢理言わせといて、
真っ赤になってるんですけど。
臣)何なんだよw
R)べ、別に。
臣)可愛い。
R)////
臣)可愛いなー、お前。
R)////
臣)ほんと可愛い。
R)////
ゆでだこみたいで面白くなってきた。
臣)可愛い、うん。可愛い。
R)遊んでるでしょ!///
臣)うんww
R)もぉ!///
臣)言えって言ったのお前だろ!w
R)////
臣)可愛いよ。
R)////
Rはまたそのままテーブルに沈んでいった。
臣)変な奴w
生意気だったり、素直だったり、
どっちなんだよw
R)……あたし、告白するとしたら…
もっと相手をドキドキさせたい。
臣)ふーん。
R)ちゃんと聞いてよ!
臣)聞いてるって。
R)どんな風に伝えたら、効果的かな?
臣)えーー、知らねーよそんなん。
R)ちゃんと考えてよ!
臣)めんどくせ…。
R)今なんかボソッと言ったでしょ!
臣)あ、聞こえた?w
R)もぉっ!!
Rはほっぺをパンパンに膨らませて
怒ってる。
臣)じーっと、相手の目、見つめてみれば?
R)えっ…
臣)なんだっけ、うろ覚えだけど…
5秒?7秒?…10秒だっけな。
見つめ合うと、恋に落ちるだか
意識するだかって言わない?
R)何それ…うろ覚えすぎる。
臣)あはははw
R)効果…あるのかな?
臣)だからやってみろって、そいつにw
R)////
臣)……。
R)////
臣)……オイ。
お前また俺で練習してんだろ。
R)////
臣)おーいw
しょうがねぇ、付き合ってやるか。
臣)……。
R)…っ///
じーっと視線を返してやったら
Rはそのままずるずると
またテーブルに沈んでいった。
R)ダメだ…これ…///
臣)あ?なんて?
R)////
臣)ちゃんと練習になった?
本番出来そう?
R)今が本番なんだってば…///
臣)あ??
突っ伏したまま
モゴモゴ喋ってっから
何言ってんのか聞こえねぇ。
臣)もっかいやるか?
R)もういい!///
ー続ー
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