そうこうしてるうちに
健二郎くんと隆二くんが到着して。
玄関まで迎えに行ったら、
健二郎くんはもう顔が真っ赤で
すでに酔ってるみたいだった。
隆)もう、ほら健ちゃん。しっかりしてー。
健)俺はしっかりしてるっちゅーねん!
がははは!w
♡)……。
大丈夫かな。
健)あ、俺の彼女やーん♡
ただいまー♡
♡)え?
健)俺と熱愛の噂になってる姫ちゃんやーん♡
♡)……。
私が健二郎くんをサッとかわすと、
隆二くんが健二郎くんのおでこを
ぺちっと叩いた。
隆)なに♡ちゃんに触ろうとしてんの。
臣に殺されるよ。
健)ひぃぃぃっ!こっわーー!w
そのままリビングまでたどり着くと、
隆二くんは健二郎くんを床に転がした。
♧)隆二くん、お仕事お疲れさまー。
隆)へへへ、ただいま♡
うちじゃないけどw
♧)ふふっw
む)ちょっと健ちゃーーん
そんなとこに転がってたら
みんなに踏まれるよー?
健)ほんなら迎えにきてーー♡
む)はぁ?もぉ〜〜
私は健二郎くんにお水を渡して、
二人が買って来たおつまみとかを
お皿に並べた。
◇)あ、剛典からLINE来たーー。
臣さんももうすぐ終わるから
二人で一緒に帰ってくるってー。
♡)あ、ほんと?
◇)うん。
健)ほんなら先に乾杯しよーー!w
M)まだ飲むんですかぁ?
大丈夫ですか?山下さん。
健)大丈夫大丈夫、
明日大した仕事あらへんから!w
酒くれぇ〜〜〜
♡)はい。
とりあえず今いる7人で乾杯して…
健二郎くんはむーこさんにしなだれかかって
重たいって押しのけられてる。
健)♡ちゃんこっち来ぃや。
♡)やだよー、健二郎くん酔ってるもん。
健)噂の相手に冷たいやーん。
♧)まだ噂になったままなの?
ラジオで否定してたよね?
隆)それでもまだ熱愛とか言われててさ、
臣がふてくされてたもんw
♧)えっ
隆)なんで健ちゃんなんだよとか
ブツクサ言ってたよw
◇)健さんは嬉しそうだけど…w
健)こんな可愛え子と噂になって
悪い気する男はおらんやーんw
む)臣くんに殺されるよ、健ちゃんw
隆)それさっき俺も言ったw
M)あはははw
健)あっ!そーいえば!!
健二郎くんがいきなり大きな声を出すから
みんなびっくりした。
健)剛典がなぁ、今日手紙もらってたで♡
◇)へ?
健)可愛い女の子から♡
◇)ふーん…。
健)あ、怒ったやろー♡
◇)別に怒ってへんし。
健)ヤキモチやろー♡
◇)手紙一つにヤキモチ妬いてたら
キリないもん。
隆)健ちゃん、◇ちゃんに絡むのやめなさい。
健)いたっ!
あ、またおでこ叩かれてる。
む)女の子って誰ー?
健)E-girls。
む)へ?E-girls??
なーんだ、じゃあ可愛くないじゃん。
隆)ぶっw
健)むーちゃんさらっと毒吐いたな!w
荒木くんとおんなしこと言いよって!w
む)だって顔が可愛い子いないよねぇ?
◇ちゃんの方がずっと可愛いわ。
M)同感でーす。
てゆーか、E-girlsって
妹みたいなもんじゃないんですか?
恋愛どうこうとかになりえるんですか?
む)まぁ男と女だからねぇ、
ゼロではないんじゃない?
♡♧)え…っ
ゼロじゃ…ないの?
絶対にないと思ってたんだけど…
◇)いーのいーの!
剛典はね、E-girlsも全員食ったと
思っとくから!!
む)出たーーーー!w
さすが◇ちゃん!あははは!w
健)全員はさすがにないやろ!w
M)山下さんはあるんですか?身内と。
健)んー?んんーー?
♡)…っ
健二郎くんは何かを誤魔化すみたいに
横にユラユラ揺れてる。
♧)隆二くんも…あるの…?
隆)えっ!!
♧)E-girlsと…、、
隆)俺っ!?
♧)……Shizukaちゃん…とか…、、
隆)ええ!?
♧)例えばだけど…
前に一緒にお仕事してたから。
ダンスアースプロジェクト?で…
健)DANCE EARTH PARTYやろ!w
隆)違うよ!違う違う!!
Shizukaちゃんは俺じゃないよ!臣!
♡♧)え…っ
隆)あっ…!
隆二くんはそう言ったあとで
しまった、って顔をして
気まずそうにゆっくりと私を見た…。
♡)臣…くん…?
Shizukaちゃんと…、臣くん…?
健)がははは!懐かしいな、それ!w
♡)え…?
健)しかもあん時あれやんな?
臣ちゃんストレスで
一過性の早漏みたいなん
なってたやんな!w
隆)ストレス?過労じゃなかった?
あっ…!
隆二くんはまたしまった、って顔で
今度は自分の口を慌てて塞いだ。
健)せやったっけ?
まぁどっちでもええけどw
隆)…っ
健)Shizukaちゃんに乗られたら
3秒持たへんとか言うてな、
大笑いしたわー、アレ!w
隆)ちょ、ちょっと!健ちゃん!
健)誰やっけ?
女子アナの子にも
文句言われてたやんなw
隆)健ちゃん!
健)それで必死に治そうとして…
隆)健ちゃん!!
健)何やねんお前はうるさいなー!
そう言って健二郎くんは
またグラスのお酒を飲み干した。
♡)……。
……なんか…、
言葉が…出てこない…。
む)付き合ってたの?
健)へ?
む)臣くんとShizukaちゃんって子。
健)ちゃうちゃう!付き合うてへんよ!
ただのセフレ!
隆)健ちゃん!もういいって!
隆二くんが気まずそうに声を荒げて…
健二郎くんはそのまま
むーこさんの膝の上に倒れて
目を閉じちゃった…。
M)登坂さん…そんな時期があったってことは
昼間先輩が聞いた話も
ほんとっぽいですね…。
む)だねぇ…。
♡)……。
◇)ほ、ほら!あれだよ!
ね、剛典も臣さんも
E-girlsなんて食い尽くしたと思っとこ!
ねっ!
♡)……。
◇ちゃんが必死にフォローしてくれてるけど…
私は…
いくら遊んでても、
身内には手を出してないって思ってた。
隆)あー、、……すっげぇ昔の話だよ?
♡)……。
隆)ほんと昔!
♡)……。
◇)ほら、昔なんて臣さんも若かったしさ?
女なら誰でも良かったんだよ!
…って言ったらShizukaちゃんに失礼か!
でもほら、男なんて酒入ってたら特に!
女の顔なんか見てないもん!
女の身体があればそれでいいんだよ!
む)……確かに。
ヤレりゃー誰でもいいんだよねー。
♡)でも…セフレって…言ってた…。
それって…
一回だけじゃないってことだよね…?
◇)ええと、それは、ほら、ええと…
♡)もういいの、ごめん。
◇ちゃんにフォローしてもらうことじゃない。
◇)♡ちゃん…
♧)ごめんね、私が変なこと言ったから…
隆)いや、違うよ、俺がうっかり…
ほんとごめん!
♡)ううん、誰も悪くないもん。
でも…
上手く笑えない。
臣岩)ただいまーーーー!
◇)げっ!帰って来た!
♡)!!!
その声を聞いて、私は咄嗟に立ち上がって…
バタン!!!
……自分の部屋に、逃げ込んじゃった。
♡)…っ
逃げたって…どうしようもないのに…
今は臣くんの顔を見たくない、
反射的にそう思っちゃったの…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
岩)ただいまーーー♪
◇)…おか…えり。
岩)ん?
◇)……。
岩ちゃんを困ったように見上げた
◇ちゃんとむーこさんの間で
健ちゃんが酔い潰れて寝てる。
臣)あれ?♡は?
キッチンにもいない。
どこだ?
臣)ねぇ、♡は?
皆)……。
……え、何この空気。
臣)♡は?
皆)……。
なんで誰も喋んないの。
なんでみんなこんな気まずそうなの。
チラチラ顔を見合って口をつぐんでる。
臣)どうしたの?♡どこ?
◇)ええ…と…、
む)臣くん…、あのね…、
臣)何?
む)実は…、
隆)ごめん!!
臣)え?
隆二がいきなり手を合わせて
俺に頭を下げてきた。
隆)ほんっとにごめん!
口が滑った!ごめん!
臣)は?何が?
♧)違うのっ!私が余計なこと
聞いちゃったから…!
隆)違うよ、俺が悪いんだって。
♧)でも…っ
臣)なんの話??
全然話が見えないんですけど。
む)♧も隆二くんも悪くないじゃん!
悪いのはここで潰れてる
酔っ払い健ちゃんだよー!
M)私もそう思います!
む)ベラベラ喋っちゃってさーーー。
M)ほんと酔ってましたもんね、
起きたら覚えてなさそう。
臣)だからなんの話??どういうこと??
なんで♡はいないの?
◇)臣さん、♡ちゃん…、、
部屋に行っちゃいました…。
臣)は?部屋?どこの?
◇)……。
◇ちゃんが気まずそうに視線をやったのは
♡の部屋。
臣)ん?自分の部屋にいんの?
何してんの?
◇)ええと…、
臣)行ってくるわ。
◇)だーーーっ!待った!待った!
ストップ!!!
臣)へ??
◇)今は行かない方が…
臣)なんで?何なの?
む)今は臣くんの顔見たくないんだと思う…。
見たくないのか、見れないのか、
どっちかわかんないけど…
臣)は!?なんでよ?!
む)健ちゃんが余計なこと言ったの。
臣)余計なことって何!!
む)臣くんとShizukaちゃんが
昔セフレだったって。
臣)……は!??
その言葉に、俺は思わず固まった。
岩)え…、なんで今更そのネタ…、、
◇)やっぱほんとなんだ…。
岩)あ、いや……、
え、でもなんで?
なんでそんな話になったの?
隆)ごめん、俺が言っちゃった…。
♧に言われて焦って。
◇)あたしが言ったの。
剛典なんてそのへんのアイドルも
そのへんのモデルも
E-girlsだって、全員食い尽くしてる!
って。
岩)なんの話だよ!w
◇)いや、元クソ野郎だから
それくらい遊んでてもおかしくないし
それくらいに思ってた方がいい、
って意味で。
岩)どんだけだよ!w
♧)それで私が…、、
隆二くんにShizukaちゃんのこと
聞いちゃって…
隆)そう、DEPで一緒に仕事したから、って。
で、俺が思わず…
それは臣だよって言っちゃったの。
ごめん。
臣)……。
む)その後が割と悲惨だったんだよ。
健ちゃんが色々喋っちゃって。
M)登坂さんが過労性?早漏だった話とか。
臣)ぶっ、ごほっ!
む)結構生々しい話を、ね。
臣)…っ
健ちゃん…、踏み潰していいかな…?
む)でも♡ちゃんが
どの部分にショックを受けたのかは
よくわからない…。
M)今は絶倫な登坂さんが
昔は早漏だったこと…?
臣)ぶっ、ごほっ!
絶倫!??
む)それは別にショックじゃなくない?
今もう治ってんならいいじゃん。
M)そっか…。
む)それで女たちに文句言われたことかなぁ…
いや、それを今でもネタにされてて
自分の耳に入ってきたことかな?
M)そうかも…。
臣)え…?
◇)あ、♡ちゃん…
今日モデル同士のランチ会で
その話聞いたらしいです。
臣さんと昔遊んだ女から。
臣)…っ
岩)なんつータイミング…。
じゃあただでさえ落ちてる時に
健二郎さんがトドメ刺したの?
◇)うん、たぶん…。
臣)……。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
♡は今、怒ってんの?泣いてんの?
臣)いつから部屋に引きこもってんの?
◇)あ、臣さん帰って来てすぐ、です。
臣)…っ
ってことは…
俺に会いたくないから、だよな…。
◇)臣さんが元クソ野郎なことは
もう乗り越えたと思ってたけど…
やっぱりショックなんだよね…。
♧)それは何回聞いてもショックだと思う。
臣)…っ
♧)それと…
相手がShizukaちゃんっていうのも
ショックなんじゃないかな…。
む)なんで?
♧)もし私だったら、だけど…
LDHの人たちって
なんか家族みたいに仲が良いから…
そんな身内の人とまで
そういう関係だったんだ…
っていうショックもある気がして。
岩)見境ない、みたいな…?
♧)……うん…。
臣)……。
Shizukaちゃんがセフレだったのは事実だし…
飲み会とかでベロベロになったら
他の子とも適当に
ヤッたりしてたけど…
身内って、イメージ悪いのかな?
♡的に…。
どうしよう。
他のもバレたらもっと嫌われるかも…。
む)臣くん…
Shizukaちゃんだけじゃないな…?
臣)えっ!!
思わず声が裏返っちゃったよ。
む)他のE-girlsも食ってるな…?
そんな顔してる。
臣)…っ
む)男は窮地に立たされると
なんでも顔に出るからねぇ…。
M)勉強になります、むーこ姉さん!
臣)…っ
だって…
俺ほんとクソ野郎だったし…
正直、酒が入ってる時なんて
女なら誰でもいいっつーか…
相手が誰かなんて認識してない時もあるし
女の身体さえ目の前にあれば
もうそれでいいっていうか…
臣)はぁぁぁぁ……。
マジでクソだったな、俺…。
今じゃ考えられない。
隆)また♡ちゃん…
出てっちゃったらどうしよう…。
岩)縁起でもないこと言わないでよ隆二さん。
隆)あ、ごめん…。
臣)…っ
あんな地獄を味わうのは、
もう二度とごめんだ。
絶対に嫌だ。
む)また、って…
家出したことあるの?♡ちゃん…
隆)……うん、それが原因で…。
む)臣くんの昔の女遊びが?
隆)うん…。
む)……。
岩)でもちゃんと和解して
戻って来てくれたんだよね?
◇)……「和解」とは…
少し違うかも…。
岩)え?
◇)嫌でショックっていう気持ちよりも
臣さんを好きな気持ちが勝っただけ
っていうか…。
過去に囚われるよりも
二人で未来を見て頑張ろうって
そう思おうとしてる感じだったよ、
あの時。
M)そうですよね…。
過去を全部許して
受け入れたわけじゃないから
そこに対しての嫌悪感は
ゼロにはなってないと思います…。
♧)…それは…、仕方ないよね…。
む)そっか、なるほど…。
じゃあやっぱりそういう話が
耳に入るたびに
♡ちゃんは悲しいし嫌な気持ちに
なっちゃうわけか…。
岩)はぁ……、
せめて健二郎さんが
余計なことを言わなければ…、、
む)それな…。
臣)……。
どうしよう。
さっきから頭の中が、そればっか。
謝りに行った方がいいのかな…。
……でも、足が固まってて動かない。
「最低……」
「気持ち…悪い…」
臣)…っ
「触ん…ないで…っ」
「今は…臣くんの顔…見たくない。」
あの時言われた言葉たちが、一瞬で蘇る。
「もう…一緒にいたくないっ」
そう言って♡は
泣きながら家を飛び出したんだ。
隆)ちょ、臣…、顔色悪いよ、大丈夫?
臣)…っ
岩)思い出しちゃったの?
家出された時のこと。
臣)……うん…。
岩)気持ちはすげぇわかるけど…。
岩ちゃんは心配そうに
俺の背中を上下にさすった。
♧)私…、様子見てくるね…。
◇)あ、あたしも…っ。
♧さんと◇ちゃんはためらいがちに
♡の部屋のドアを小さくノックして…
そのまま中に入っていった。
岩)なんとか上手くフォローしてくれ〜〜
岩ちゃんが祈るようにそう言った。
む)とりあえず…座ったら…?
臣くん、固まりっぱなし。
臣)あ、……、はい。
M)飲みますか?
臣)あ、……いや。
Mちゃんが酒を渡してくれたけど、
とても飲む気分にはなれなくて、断った。
む)うーん…、
あたしもMちゃんも…ほら。
奔放に遊んできた方じゃない?
M)そうですね…w
む)だから…なかなか…
ピュアな女の子の気持ちは
理解し難い部分もあるけど…
M)うーん…
む)きっと、あれかもね。
実際に相手の顔がわかっちゃうと
余計に嫌だったりするかもね…。
M)あ、それはありますね。
特定の誰かってわかっちゃうと
なんか想像しちゃうし…
む)うんうん。
むーこさんとMちゃんは
酒を飲みながらそんなことを話してる。
臣)……。
ゆっくりと息を吐いて。
水を飲みにキッチンに向かったら…
昨日二人で作ったグラスが
寂しげに二つ、静かに並んでた。
臣)…っ
♡、あんなに喜んでくれてたのに…
今朝まではあんなに嬉しそうに
笑ってたのに…
俺が過去にしてきた馬鹿なことのせいで
またその心を傷つけるんだ。
臣)はぁぁぁ……。
もう自分が嫌になって…
にゃんこのグラスを手に、
俺はその場に一人、しゃがみ込んだ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部屋に入ってきた♧さんと◇ちゃんは…
私の隣に座って、
何も言わずに背中をさすってくれてる。
♡)……。
なんかもう、嫌だな…。
……こんな自分が。
そう思ったら、涙がぽろっとこぼれてきた。
♧)♡ちゃん…っ
♡)…っ
◇)♡ちゃん…、
♡)…っ
もう、やだよ…。
♡)臣くんの顔、見たくないの…っ
♧)うん…、
♡)そう思っちゃう自分もやなの…っ
◇)うん…、
♡)ふえっ…
大好きなのに。
大好きなのに。
……考えたくない。
私はまたそうやって逃げるのかな。
◇)♡ちゃんは自分を責めがちだけど…
そんな必要ないよ。
♡)え…?
◇)嫌なもんは嫌なんだもん!
しょーがないじゃん!
♡)…っ
◇)しかも今回は身内でさ、
名前まで出ちゃって。
嫌悪感とか感じるのも仕方ないよ。
♧)うん、そう思う…。
私でも、嫌な気持ちになったと思う…。
♡)…っ
でも…
私が臣くんを避けたら…
臣くんが傷ついちゃう…。
♡)……過去の話だって…わかってるの…。
◇)うん…。
♡)わかってるのに…
やっぱりやだなって思う自分が
どうしても…いて…
♧)うん。
♡)嫌なら考えなければいいのに…
考えちゃうし…
◇)うん、仕方ないよ。
♧)うん、そうだよね。
何を聞いても平気になりたい。
♡)◇ちゃんみたいに…強くなりたい…。
◇)いやいや…、あたしだって…
ネタでああ言ってるだけで
実際はめちゃくちゃ嫌だよ?w
♡)えっ…
◇)嫌に決まってんじゃん!
ほんと気持ち悪っ!最悪!最低!
何やってたのあいつ!バッカじゃないの!
って思うけどさ、今でも。
♡)…っ
◇)でもそこは♡ちゃんと一緒っていうか…
過去を軽蔑しても、
それはやっぱり「過去」だし。
「今」の剛典を好きになっちゃったから
一緒に「未来」を作っていくしか
ないよなーって。
♡)…っ
◇)♡ちゃんが教えてくれたから
あたしもそう思えたんだよ、あの時。
♡)…っ
そう…だよね…。
◇ちゃんも…いっぱい泣いたもんね…。
◇)まぁそう決意したってさ、
またそういう話が耳に入ってくれば
ふざけんなよこのヤローー!!
とはなるわけだけどw
そこまで人間出来てないしね。
♡)…っ
◇)でもこっちが腹を立てたり
悲しく思うのと同じように
向こうは反省の気持ちを抱くと思うんだ。
その度に。
♡)…っ
◇)それでおあいこっていうか…
バランス取れてるのかな、って。
私が悲しくなる分、臣くんも悲しくなって…
同じってことなのかな、二人とも。
◇)だから今は臣さんの顔見たくないなら
それはそれでいいと思うよ。
♡ちゃんが無理することじゃないから。
♡)…っ
◇)絶対にまた、臣さんを好きって気持ちが
いっぱいになって、
顔が見たくなって、
抱きしめたくなるから。
それまでは無視してやればいーさ!
♧)あははは、◇ちゃん…w
でも私もそう思う。
無理して笑ったりする必要は
ないと思うな。
♡)……。
♧)大丈夫。
一度は乗り越えられたことなら
また乗り越えられるよ。
それくらい二人が想い合ってることは
ちゃんと私たちもわかってるから。
♡)♧…さん…っ
そう言われて、また涙があふれてきた。
私はいつもこうして
周りの人たちの言葉や想いに、助けられてる。
♡)……ありがとう。
……コンコン。
◇)……あ、剛典…。
♧)隆二くん……。
♡)……。
岩ちゃんと隆二くんが
ゆっくり開けたドアから
すごく心配そうにこっちを見てる。
岩)今日はもう…帰ろっか…?
隆)って話してたんだけど…、
◇)あ、そっか…、そうだね。
♧)帰ろうか…。
二人は気まずそうに立ち上がって…
リビングに戻る?って
視線で聞いてきたけど、私は首を横に振った。
◇)そっか、じゃあ…
あたし達は今日はこれで帰るね?
♡)うん、ごめんね、ありがとう。
♧)無理しないでね、♡ちゃん。
夜中でも何時でもメールも電話もしてね!
♡)ありがとうございます。
またパタンと閉じたドア。
むーこさんが大きな声で
健二郎くんを必死に起こしてるのが
ドアの向こうから聞こえてくる。
♡)……。
みんな帰っちゃったら
臣くんと二人になっちゃう。
でも…、
まだ会いたくない。
顔、見たくない。
だって…
どんな顔したらいいのかわかんない。
何を話したらいいのかわかんない。
今日は私、ここで寝よう。
それからリビングが静かになるのを待って
私は一人でこそこそとシャワーだけ浴びて
すぐに自分の部屋に戻ってきた。
♡)はぁぁぁ…。
臣くんいなかった。良かった。
自分の部屋にいるのかな?
……私が出てこないこと、
変に思ってるかな…?
みんなから聞いたかな、きっと…。
もういいや。考えたくない。
明日は大事な撮影だし、今日はもう寝よう!
私はにゃんこ2匹をぎゅむっと抱きしめて
無理矢理に固く目を閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡の部屋の電気が消えてる。
いつの間にかシャワーは浴びたみたいだけど
結局、最終的に部屋から出てきては
くれなかった。
臣)……。
どうしよう…
どうしよう…
そればかり考えながら、
無心でリビングの片付けをして…
気付いたらキッチンまでピカピカにしてた。
何やってんだ俺…。
臣)はぁぁ……。
ほんとどうしよう。
謝った方が…いいのかな?
でも謝るって何を?
Shizukaちゃんとセフレでしたごめんなさい、
って?
E-girlsにも手を出してました、
女なら誰でもいいクソ野郎でした、って?
臣)はぁぁ……。
嫌われる気しかしないよ、そんなん。
また家出したらどうしよう。
そう思ったら、怖くて何も出来ない。
触らぬ神に祟りなしって言うし…
下手に動かない方がいいのかな、俺からは。
明日にはいつも通りになってたりして…。
♡が笑っておはようって起こしてくれて
一緒に朝ご飯食べよー♡
なんて…
……ことにはならないよな、絶対……。
臣)はぁぁ……。
……何回目だろ、ため息…。
ため息しか出てこねぇよ、マジで…。
臣)はぁぁ……。
俺はそのままいつも二人で寝てるベッドに
一人寂しく身を投げて、目を閉じた。
……こんな状態で…
♡は明日、ハルくんに会うわけで。
どうしよう…。
落ち込んでる♡をハルくんが優しく慰めて…
そんな男最低だ、やめておけ、
みたいな流れになって…
俺なら絶対にそんな思いはさせない、
傷つけたりしない、
俺の方が♡を幸せにできる!
とかなんとか言い出しちゃったら…
臣)…っ
ありえる。
大いにありえる。
♡だって弱ってるから
誰かに甘えたくなるかもしれないし…
それがハルくんなら、尚更。
「もう家には帰りたくないの…。
臣くんの顔なんて見たくない…。」
「だったらうちにおいで、♡…。
今夜は俺と一緒にいよう。」
なんてことになったらどうすんだよ!!
「もう臣くんのこと…考えたくない…
つらいの…苦しいの…」
「考えなくていいよ、もう。
俺が忘れさせてあげる…、おいで…。」
「ハルくんでいっぱいにして…
臣くんのことなんて…忘れさせて…。」
ああああああああっ!!!!
ダメだ!
脳内の二人が勝手に俺を捨てて
浮気し始めてる!!!
「♡、愛してるよ…
誰よりも愛してる…。」
「ハルくん…私も…、愛してる…。」
臣)!!!
ダメだ!!
悪い妄想が止まらない!!!
………やめろ。
♡を誰よりも愛してんのは俺だ。
♡が愛してるのも俺だ!
そう必死に言い聞かせるけど…
「恋愛なんて…
いつどんなキッカケでどんなタイミングで
何が起こるかなんて、
わからないじゃないですか。」
なんでこんな時に橘の言葉が
浮かぶんだよ〜〜〜!!
ふざけんな橘てめぇこの野郎!!
臣)…っ
俺のピンチは、ハルくんにとっては
チャンスなわけで…
こんなキッカケで
もしかしたらハルくんが動き出すことだって
あるかもしれない。
♡を奪われる可能性は
いつだって、ゼロじゃない。
ゼロじゃないんだ。
ーendー
コメントを残す
健ちゃ〜ん〜
♡ちゃんが落ちてる時にさらに
失言してくれちゃって…
(#^ω^)ピキピキ
臣くんがまた苦しんでるし
.˚‧º·(°இωஇ°)‧º·˚.
あああ(」゚ロ゚)」
暗黒期思い出す…(´இ﹏இ`)
再び暗黒期突入…?
その通り!(っ≧ω≦)っ突入でござる〜〜!w
でも今回はプチ暗黒期ですよ、プチ!w