【49】二人の優しさ

「今日は早く帰って来る。」

今朝、そう言って
臣くんは仕事に行った。


昨日からずっと
臣くんが優しくてキュンキュンする。


せっかく課長がお休みにしてくれたから
家でゆっくりしてると

夕方、Ｋちゃんから電話がきた。


Ｋ『調子どう？』
♡『うん♡もう大丈夫だよ♡』
Ｋ『今日お見舞い行くわ！』
♡『え？』
Ｋ『定時で上がれそうだし。
　　何食べたい？』
♡『え、え、作ってくれるの？』
Ｋ『うん。』
♡『なんでもいい～♡♡』
Ｋ『じゃあ適当に買ってくわ！』
♡『ありがとう♡♡』
Ｋ『じゃ、あとでね！』
♡『うん♡おつかれさまー♡』


わーい♡
Ｋちゃんはほんと優しいなぁ♡


……


ピンポーン＿＿


♡）あれ？


時計を見るとまだ18時。


ガチャッ


Ｋ）よっw
♡）え！すっごく早くない？
Ｋ）うんw
　　直帰にして出て来ちゃったw
♡）あははは♡どうぞー♡
Ｋ）ごめんね、歩かせて。
♡）ううん！
　　ずっと安静にしてたから
　　もうそんなに痛くないんだよー
　　ゆっくりなら歩ける♡
Ｋ）そ？よかった！
　　じゃあキッチン借りるよー！
♡）はーい♡
Ｋ）…って、あんた何してんの。
♡）え…見てる…
Ｋ）なんで！w
　　座ってろっつーの！！
♡）え…だって…
Ｋ）早く座れ！も～～～
♡）ソファから遠いんだもん。
　　寂しい。
Ｋ）は？？
　　じゃあそこに座ってな。
　　そこなら声聞こえんでしょ。
♡）うん♡そーする♡


私はキッチンの横の
ダイニングテーブルに座った。

対面キッチンになってるから
ここならＫちゃんが見える。


♡）Ｋちゃんありがとー♡
Ｋ）は？何が？
♡）お見舞い来てくれて♡嬉しい♡
Ｋ）あんたそんなんじゃ
　　ご飯作れないかと思って。
　　臣くんも忙しいんでしょ？
♡）あ、今日は早く帰って来るって
　　言ってたけど…
Ｋ）あ、そうなの？
　　やっさし～ね～♡
♡）うん♡♡
　　ほんとに優しいのー♡♡
　　昨日もね、全部やってくれて
　　ずっと優しくて…
Ｋ）はーいはいw
　　わーかりましたーw
♡）ほんとなのー♡♡
Ｋ）昨日も王子様みたいだったしねーw
♡）え？？


王子様？


Ｋ）今日みんなにめっちゃ聞かれたわ。
♡）え！！なんて？？
Ｋ）あの王子様みたいな人
　　なんですかってww
♡）え、え、なんで王子様なの？？
Ｋ）お姫様抱っこしてたからじゃない？
♡）え？？どゆこと？？
　　みんな見てたの？！
Ｋ）うん。エレベーターに乗るまでは
　　めっちゃ野次馬いたし。
♡）えーーーー！！！！


嘘でしょ？！


♡）臣くんてバレなかった？！
Ｋ）誰も気付いてなかったと思う。
　　なんか変装してたじゃん？
♡）うん…してたけど…
Ｋ）普通に
　　カッコイイ～とか
　　イケメン～～とかは
　　言われてたけど。
♡）え～～～！！
　　びっくりだよぉ…え～～～
Ｋ）あっはははw


ほんとにバレてないのかな…
臣くんに迷惑かかっちゃったら
どうしよう…


♡）あ！！
Ｋ）ん？
♡）そういえば…
　　私どうやって医務室に行ったの？？
Ｋ）Ｊさんが運んでくれた。
♡）え！！Ｊさん？！
Ｋ）うん。
　　あんた倒れちゃって困ってたら
　　丁度階段のぼってきてさ。
　　すごい勢いで運んでくれたよ。
♡）えーーーー


Ｊさんだったんだ…


Ｋ）そーゆー時は使えるよね、あの人。
♡）明日、お礼言わなくっちゃ…
Ｋ）いや…いんじゃない？
♡）え？？だって
　　運んでくれたんでしょ？？
Ｋ）う…ん、まぁあっちにしたら役得でしょ。
♡）え？？
Ｋ）あんま関わんなってこと。


でもやっぱり…
お礼は言った方がいいよね。

Ｊさんってちょっと強引だけど
困ってる時はいつも助けてくれるし…


Ｋ）王子が怒っちゃうよー
♡）え？臣くん？
Ｋ）そ。だからＪさんなんかほっときな。
♡）？？？


ガチャッ


臣）ただいまー

♡）えっ？！！


臣くんがもう帰ってきた！！


臣）おわ！！Ｋ！！
Ｋ）お邪魔してまーすw
臣）びっくりしたー！！
♡）臣くん、早いね！！
臣）そう？もう19時過ぎだけど。
♡）え？あ！ほんとだ…
　　でも早い…
臣）早く帰って来るって言ったじゃん。
♡）そうだけど…


ほんとにこんな早く帰って来てくれた。
じーん♡♡


臣）昨日ありがとな。
Ｋ）なんもーー
臣）つーか、え？
　　飯作ってくれてんの？
Ｋ）うん、臣くんの分もあるよー。
臣）え、マジ？！
Ｋ）うん。
臣）お前できる女だなー
Ｋ）何それ！w
臣）なんか手伝う？
Ｋ）もう出来るからいーよー。
臣）あ！これ、
　　貧血にめっちゃいいやつじゃん！
Ｋ）そう。さっき調べたもん。
臣）俺も昨日調べたw
Ｋ）ほんと？w
　　だって貧血にいいのなんて
　　レバー以外知らねぇし。
臣）だよなww


えーえー
Ｋちゃんも調べてくれたんだ…

二人とも優しいよぉぉぉ泣

もう…大好き！！！！


Ｋ）冷蔵庫にあるもんも
　　勝手に使ったけど。
臣）ああ、全然いーよ。
Ｋ）つーかフルーツ大量にありすぎて
　　びびったわ。
臣）ああ、それ昨日の。
Ｋ）すごいねw
臣）なw


Ｋちゃんと臣くんが
用意してくれて

三人でテーブルに座った。


三人）いただきまーす。


♡）三人で食べるの鍋以来だね♡
臣）だなー。
♡）あ！美味しい♡♡
Ｋ）ほんと？
臣）うん、美味ぇわ！
Ｋ）良かった。
♡）あのねあのね、
　　Ｋちゃんって本当に
　　料理上手なんだよー♡♡
臣）そうなの？
Ｋ）家でやらされてたからね。
臣）あ、そっか。
　　お前、男兄弟ばっかなんだっけ。
Ｋ）そう。
♡）美味しい～～♡♡
Ｋ）……
♡）美味しいよぉ♡♡
臣）……
♡）おいし…
　　はっ！！ごめんなさい。
Ｋ）うん。
　　今つっこむ寸前だったw
臣）あはははww
Ｋ）ほんとにあんたは…w


だって美味しいんだもん…//



臣）お前今、一人暮らしだろ？
Ｋ）うん。
臣）今も料理すんの？
Ｋ）するよー
　　実家出てからもずっと
　　彼氏に作ってたし。
臣）え？！お前彼氏いんの？！
Ｋ）いるよー
臣）一緒に住んで…？
Ｋ）一緒にっていうか、留学前は
　　同じシェアハウスに住んでたの。
　　今は彼氏、アメリカに留学中だから。
臣）アメリカ！？留学？！
♡）ポールもうすぐ
　　帰ってくるんだよね♡♡
臣）は！？ポ、ポール？！！
　　外人？！！
♡）あっはははw
　　臣くん驚きすぎだよww


ずっと目が丸くなってる。


臣）だって全然知らなかったし！！
♡）Ｋちゃんは今遠距離なんだよー
Ｋ）そ。２年間留学でいないの。
♡）でも3月までだから
　　4月にはやっと帰って来るんだよね♡
Ｋ）そう。
臣）ほえ～～びっくりした～～～
♡）早く会いたいでしょ♡
Ｋ）うん…
臣）えっ！！


Ｋちゃんが素直に頷くと
臣くんが驚いた。


Ｋ）なに。
臣）お前…ツンデレなの？
Ｋ）は？！
臣）いや…素直でびっくりした。
♡）あはは♡
　　Ｋちゃんポール大好きだもんね♡
Ｋ）別に…///
臣）お前かわいーなーw
Ｋ）やめろっ！//
♡）あはははww


照れてるＫちゃんも可愛いなぁ♡

私も早くポールに会いたい♡
帰って来るの楽しみ～♪♪


臣）つーか…
　　俺こんな二日連続で
　　貧血対策料理食ってたら
　　血の気多くなんねぇかなw
Ｋ）あはははww
　　いいじゃん多くなってww
♡）そっか…栄養満点だよね。
Ｋ）血の気多くなって、♡襲うなよ？w
臣）襲わねーし！
Ｋ）あはははw ならいーけどw
　　一応病人だからね～？
臣）わかってるっつーの！w
♡）もうＫちゃん…///
Ｋ）だってこないだ
　　キスマークつけてたんでしょ～？

♡臣）えっ！！！！！

Ｋ）……

♡臣）……///

Ｋ）二人して黙んなよ！w
♡）え…なんで…// Ｔくん？
Ｋ）うん。
　　真っ赤になって、真っ青になってたw
　　忙しい奴ww
臣）Ｔって昨日のやつ？
Ｋ）そう。


え？


♡）昨日…って？？
Ｋ）医務室に来たんだよ。
♡）え？
臣）来たね。
♡）え！！！
　　臣くん会ったの？？
臣）うん。
♡）えーー！


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふーん。
見られたのってあいつだったんだ。

昨日もあんなリアクションだったしな。


♡）な、何話したの？？
臣）何って…別になんも。
♡）そ、そっか…
Ｋ）もうさすがに諦めんじゃない？
♡）え？
Ｋ）彼氏目の当たりにしたわけだし。
臣）とっとと諦めろっつーの。
♡）え！！
Ｋ）はははw


でも…


臣）あいつは絶対…諦めなさそうだけど。
Ｋ）ああ、Ｊさん？
臣）思い出しただけでも
　　ムッカつくわ～～
♡）え？え？？Ｊさん！！？
臣）……


あの挑戦的な目。

多分俺より年上なんだろうけど
どことなく見下してるような
あの態度。


♡）え？？なんで？？
　　なんでＪさん？？
Ｋ）Ｊさんも来たんだもん。
♡）え、臣くん話したの？？
臣）話したよ。
　　あ～～ムカつく。
♡）え？なんで？え？？
臣）勝手に触んなっつーの。
♡）え？？？
Ｋ）あはははww
　　臣くんちょーウケるww


つーか…そういえば…


臣）なんでお前、
　　「姫」とか呼ばれてんの？
♡）え！！
　　あ…わかんないけど…
　　なんかこないだのパーティーの時から
　　そうやって呼んでくるの。


えっ！


臣）パーティーって…
　　あいつも一緒だったの？！
♡）はっ！！！
　　……そう…、です…
臣）マジかよ…うわ～～


男が二人一緒なのは
なんとなくわかってたけど

それがあの二人とか…
ってゆーかあいつとか！

なんか余計ムカついてきた。
くそ～～


♡）臣くん…？


♡が可愛い顔して
俺の顔をのぞいてきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうして臣くんが
Ｊさんに怒ってるんだろう…

全然意味がわかんなくて…


だからＫちゃん、
さっきもう関わるなって言ったの？？

一体どーゆーことー？？


臣）お前、今度会ったら急所蹴ってやれ。
♡）えーーー！！なんでーー！！！


確かに蹴ろうか
迷ったことはあったけど…

なんでーー！！
臣くん一体、何話したの？？？


Ｋ）あはは！何それ！w
臣）なんかこいつ、
　　いっつも危ない目に遭ってるから。
Ｋ）だから急所蹴んの？
　　うっける！ww
　　あたしも今度その技使おう♪
♡）Ｋちゃん…ほんとに蹴りそう…
臣）ほんとにって
　　お前もなんかあった時は
　　ほんとに蹴れって！
♡）は、はいっ！！！！


それからご飯を食べ終わって
私がキッチンまで行こうとすると


臣Ｋ）座ってろ！！


二人に怒られた。


Ｋ）またハモったしw
臣）俺洗うよ。
Ｋ）いーよ、あたしやる。
臣）いいって。
Ｋ）パパーッとやっちゃうから
　　臣くんは♡見てて。
臣）え？
Ｋ）ちょっと目ぇ離すとすぐ無茶するから。
臣）え…っておい！お前何してんの！
♡）え…？テーブル拭こうかなって。
臣）いいっつーの！だ～もう！！


私はまた臣くんに担がれて
ソファに座らされた。


臣）お前ほんと言うこと聞かねぇな～？
♡）え、え、今日大人しくしてたよ？
臣）ほんとかよ。
♡）ほんとー！！
　　だからもう足もそんな
　　痛くないんだからー！！
臣）……


あ、疑いの目。


♡）ほんと！！
臣）ほんとに？
♡）うんっ！！
臣）ならいいけど…
　　ちゃんと座ってろよ？


そう言うと臣くんは
キッチンに戻って行った。


Ｋ）あれ？どうした？
臣）手伝う。
Ｋ）え、もう終わるし。
臣）ほんとだ！はやっ！！！！
　　お前何者…
Ｋ）はははw
臣）そっか、お前仕事も
　　めっちゃ出来んだっけ？
　　すげーな。
Ｋ）あたしせっかちだから
　　何でも早いだけー。
臣）さんきゅー。
Ｋ）うん。
　　あ、そーだ、臣くん番号教えて。
臣）え？
Ｋ）今回みたいな事あったら
　　臣くんの連絡先知らないと
　　不便だなーって。
臣）あ、だな。
　　じゃあはい、これ。
Ｋ）ありがと。
　　つーかこれ…
　　あたしが携帯落としたりとかしたら
　　臣くんの番号流出して大事件になる？
臣）え？
Ｋ）バレないようにハゲって入れとくわ。
臣）なんでだよ！！www
　　ハゲてねーわ！！
　　もっと他にあんだろ！
　　てか普通に入れろよ！w
Ｋ）だってあの子がいつも
　　そーゆーの気にしてるし。
臣）え？
Ｋ）わかった。
　　じゃあわかんないように
　　逆さまにしとくわ。
　　臣広って入れとく。
臣）誰だよそれ！w
Ｋ）あははっいいじゃん！ww
臣）いいけどさ…
Ｋ）♡～？
　　じゃああたしそろそろ帰るね～？
♡）えっ！！！やだ！！！
　　待って！！！
臣）あ～！！待て！！！


私が立ち上がろうとすると
また臣くんが飛んで来てくれて…


臣くんに支えてもらって
Ｋちゃんのところまで歩いた。


♡）もう帰っちゃうの？
Ｋ）うん、明日も仕事だしね。
　　ってかあんたは明日行けそう？
♡）うん♡大丈夫！
　　ちゃんと行くよー！
Ｋ）じゃあ明日、会社でね？
♡）うん…寂しい…。
Ｋ）なんでだよ！
　　臣広いんだろが！w
臣）おい！それ定着させんな！w
Ｋ）あっははw
　　じゃあね～！
♡）Ｋちゃん、気をつけてね？
　　今日はありがとう！！
Ｋ）うん。じゃ！


バタン。


♡）帰っちゃった…。
　　寂しい…。
臣）お前は…
　　毎日会社で会ってんだろ？w
♡）そうだけど…
臣）俺には素直に寂しいって
　　言わねぇくせに…
♡）え？
臣）別にー？


臣くんが口を尖らせた。


♡）ねぇ、臣広ってなぁに？？
臣）ああ、あいつが勝手につけた名前w
♡）何それ～～ww
臣）でもあいつ、
　　わざわざ来てくれたんだな？
　　ほんといい奴だな～
♡）うん♡♡大好き♡♡
　　そしてやっぱり
　　臣くんにそっくり♡♡
臣）うん、それは俺も度々感じてる。
♡）ほんと？あははは♡♡
　　二人ともだーいすき♡♡


臣くんにぎゅっと抱きつくと
優しくぎゅって、包んでくれた。


二人とも…
ほんとにいつもありがとう♡♡




ーendー