【48】貧血で倒れた日

スポンサーリンク
スポンサーリンク

今日は臣くんとデート♡


外でご飯食べること最近なかったから
すっごく楽しみ♡


K)ちょっと、あんた
  朝からニヤけすぎなんだけど。
♡)え??
M)もしかして先輩
  今日、デートですか?
♡)えっ!なんでわかったの?
M)やっぱり♡
  だって朝からご機嫌だし~
  いつもよりちょっと可愛くしてるし♡
♡)ほんと?かわいー?♡
M)先輩はいつでも可愛いですけどね♡


今日は3人で
オムライス屋さんでランチ。

私、そんな顔に出てるのかな…
ニヤけてるつもりはないんだけど…
恥ずかしい…///


でもなんか…

朝から少しフラフラするんだよなぁ…


M)デートどこ行くんですか?
♡)イタリアンのお店だよ♡
M)え~いいな~~♡
K)どっかで待ち合わせ?
♡)あ、ううん、会社の下まで
  迎えに来てくれるって…
K)あ、車?
♡)うん。マネージャーさんにそのまま
  送ってもらうって言ってた。
M)え~私ご挨拶しようかなー♡
K)出た、ミーハーw
  やめとけ、邪魔だっつーの!
M)え~~ひどーい♡
♡)Mちゃんこないだ会ったでしょw
M)そうですけどぉ~~


それからオフィスに戻って…

午後、企画書の続きを作ってると
Kちゃんが話しかけてきた。


K)なんかあんた…顔色悪くない?
♡)え、ほんと…?
K)うん。大丈夫?
♡)大丈夫だよっ!
K)ほんと?
  また貧血とかじゃないの…?
♡)ううん!違うよ!
K)デートだからって無理すんなよ?
♡)うん。ありがと♡


そう答えたものの…
だんだん目眩もしてきて…


夕方、臣くんからLINEがきた。


臣『仕事順調だから予定通り
  19時に迎えに行けそう🚐💨』
♡『わかったよ☺️待ってるね💗』
臣『会社の下着いたら電話する👍』
♡『はーい😄💕』


そう返信して

出来上がった企画書を
会議室に運ぼうと

Kちゃんと一緒に
階段を下りようとしたその時だった。


♡)あ…っ…


ぐらりと、歪んだ視界、、


K)ちょ、♡?!♡っ!!!


遠のく意識の向こうに
Kちゃんの声が聞こえた……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


5分前に♡の会社に着いた。


臣)丁度いいや。
  Sさんありがと!
S)彼女ここで働いてんだ?
  なんかすごいビルだね。
臣)ね。ちょっと電話するわ。


プルルルル。プルルルル。


…あれ?


臣)…出ねぇな…


その後、間隔をあけて
2回かけてみたけど

♡は出ない。


時間はもう、19時20分。


臣)おっかしーな。
S)急な仕事入っちゃったとか?
臣)いやー…
  そんなことなさそうなんだけど…


もう1回かけてみると、
今度はようやく繋がって…


臣『もしもし?』
K『もしもし!あたし!K!
  臣くんでしょ?』
臣『え?あ、そうだけど…
  なんでK?どうした?』
K『ごめん勝手に出た!
  ♡さ、今日貧血で倒れたの。』
臣『え?!』


た、倒れた!??


K『今日デートだっつってたから
  もしかしてと思って携帯見てみたら
  丁度かかってきたから出ちゃった。』
臣『♡、大丈夫なの!?』
K『今ね、医務室で寝てんだけど…
  あ、あたし付き添ってるよ?
  ただ、転んだ時に
  足もくじいちゃったみたいで…』
臣『マジ…
  俺、迎えに行って大丈夫?』
K『うん、来れる?』
臣『行けるけど、その医務室って
  俺入って大丈夫なの?』
K『うん。
  課長には話しておくから大丈夫。
  じゃあセキュリティあるから
  下まで迎えに行くわ。』
臣『わり。サンキュ。』



S)彼女どうかしたの?
臣)倒れたって。
S)は?ほんとに?!
臣)うん、貧血だって。
S)ええ!大丈夫なの?
臣)今寝てるって。
  俺迎えに行ってくるわ。
  ねぇSさん、なんかない?
S)なんかって…なんかだよね?
  えーと、あるかな…


運転席を降りて
後ろの荷物を漁ってくれるSさん。


S)あ!臣!いーのあった!
  ほらっ!
臣)うそ!ウィッグあったの?
  すげー!ありがと。


俺はウィッグをつけて
黒縁メガネをかけた。

48-2

臣)わかんねーかな?
S)ウィッグで大分隠れてるからね。
  大丈夫じゃない?
  ってか似合うな、そのウィッグ!w
臣)じゃあ行ってくるわ。
  戻って来たら悪いけど
  ドア開けてもらえる?
S)りょーかい!


車を降りて
♡の会社が入っているビルの
フロントまで走った。


何階建てなんだよ…このビル。
すげぇな…


俺がセキュリティの手前で
うろうろしていると

Kが降りて来た。


K)ごめんね!お待たせ!
  こっちこっち!


Kが入口を通してくれて
俺は一緒に医務室に向かった。


K)相変わらずかっけーな臣くん。
臣)え?
K)いや、迎えに来てとは言ったものの
  バレたらやべーかなと思ったんだけど
  それ(変装)ならわかんねーな。
臣)あ、これ?
  うん、大丈夫っしょ。


エレベーターが開いた。


臣)あいつ、大丈夫なの?
K)うーん。
  ♡さ、前にも一回、貧血で倒れてんだ。
臣)そうなの?


初耳なんですけど…


K)うん。元々低血圧だし。
臣)……
K)あと最近少し忙しかったし
  疲れも溜まってたのかも…
臣)マジか…


たしかに…最近休みの日でも
仕事してたもんな…


臣)大丈夫かな…


Kが医務室のドアを開けると
簡易ベッドで静かに眠る、♡の姿。


K)まだ寝てるわ。
臣)ん。
K)あ、あたし、♡の荷物持ってくる。
  ちょっと待ってて。


そう言うとKは部屋を出て行った。


臣)……


♡は確かに顔色が悪くて…


大丈夫かよ…
無理してたんかな…


仕事忙しそうなのに
家のことも色々やってくれてるもんな…


貧血にいい食べ物ってなんだろ。

なんか作ってやりてぇけど
レバーしか思い浮かばねぇ…


え~っと…鉄分って…

とか考えてると、部屋のドアが開いた。


K)臣くーん…
臣)ん?
K)なんかね…
  課長が挨拶したいんだって。
臣)は?!え!?


課長!??

マジかよ!

え、ど、どーしよう。


俺、全然普通の格好だけどいいのか?
こんな変装してるし…
ってかバレねぇかな?


課)突然ごめんね~


俺がオロオロしてると
Kと一緒に40代くらいの
優しそうな男性が入って来た。


K)課長です。
課)いつもお世話になってますー。
臣)は、初めまして!
  こちらこそいつも♡が
  お世話になってます!!
K)課長、こちら♡の旦那さんです。
課)えっ!!???
臣)は?!!
K)とか言ってw
課)えっ?!!
臣)いや、すみません!
  まだ結婚はしてないです。
課)び、びっくりした~!!
  そうだよね?
  ♡、まだ独身だよね?
K)あっははw
臣)お前なぁ!
課)彼氏さんでいいんだよね?
  いや~迎えにきてくれてありがとね。
  ♡、貧血で倒れちゃったみたいで。
臣)はい。
課)明日の仕事は
  振り分けておいたから
  一日ゆっくり休ませてあげて?
臣)あ、本当ですか?
  ありがとうございます!!
K)課長やっさし~♪
課)いやー、♡いつも
  頑張ってくれてるからな。
  じゃ、俺はこれで。あとはよろしく。
臣)はい!
  ありがとうございました!


課長さんはそう言うと
すぐに出て行った。


は~緊張した~


K)臣くん緊張してやんのーw
臣)あたりめーだろ!
  ってかお前、変な嘘つくなよ!
  焦るわ!
K)ああ…w
  結婚は「まだ」してないです、
  だって~♪
臣)お前なぁ!w
  しかもあの人、上司なんだろ?
  お前の態度…
K)うちの会社こんなかんじだもーん。


コンコン。


K)あれ?課長かな??


Kがまた
ドアまで見に行った。


K)なんだ…あんたかい。
  どーした。
P)いや、♡さん倒れたって聞いて
  大丈夫かなって…
K)大丈夫だっつーの。
  あんたは仕事してろ。
P)でも…心配で…
K)優しい彼氏が
  迎えに来てくれてるから大丈夫。
臣)あ、どうも。すみません。
P)あ、すみません!
  いつもお世話になってます!
K)この子、うちのチームの新人のP。
臣)あ、そうなんだ。どうも。
P)あ…じゃあすみません…
  僕、失礼します!
K)はーい。


Pくんとやらはペコリと頭を下げて
そのまま戻って行った。


臣)わざわざ様子見に来てくれたの?
K)さぁね~
  あいつ♡のこと大好きだから
  心配だったんじゃない?
臣)え??
K)あいつ入社してからずっと
  ♡と話す時だけ挙動不審だし。
臣)えっ
K)顔に好きですって書いてあるもん。
臣)え…


コンコン。


K)は?何?また?


Kがドアを開けると
今度は違う男が立ってた。


ジャニーズにいそうな
爽やか系のイケメン。


K)あれ?Tじゃん。
T)♡は…?


あれ…?
この声…


K)寝てるけど…
T)入っていい?


Tって男は入ってくるなり
俺を見て驚いた。


T)えっ!!!
K)♡の彼氏。
T)えっ!!!
臣)……


なんか…
すげぇショック受けた顔
してんだけど…


T)ど…どうも…
臣)お世話になってます。


…つーかこの声、やっぱり…


K)何しに来たの?
T)いや…捻挫したって聞いたから
  湿布買って来た。
K)え、マジ?
  さすが!気ぃ利くじゃん!
T)……
K)なに。
T)いや…、渡しといてもらえる?
K)うん。ありがと!
T)……
K)なに!!
T)いや…


俺をジロジロ見ながら
何か言いたそうにしてるけど
何も言わない。

なんだ??


T)じゃあ…俺行くわ。
K)うん。


そう言うと
最後まで俺の事をジロジロ見ながら
部屋を出ていった。


K)すげーあいつ。
臣)え?


Kが袋の中を覗き込んだ。


K)温湿布と冷湿布、
  両方大量に買ってる。
臣)マジで?
K)ほんとばかだなー…
  持って帰んなよ、ん。
臣)……


ほんとに大量…


臣)……あいつさ、
  こないだのパーティーにいたしょ?
K)え!いたけどなんで?!
臣)電話で声聞こえた。
K)すっげー!
  さすが臣くん、耳いんだね!!
臣)……
K)あ、なんかお見通しなカンジ?
臣)え?
K)何回も言ってんだけど、諦め悪くて。
  気にしなくていーよ。


そういう…意味だよな。


臣)なんかこれ使うの
  若干複雑なんだけど…
K)あはははww
  いーのいーの!
  湿布に罪はない!w


コンコン。


臣)…ちょ、待てよ、何人来んだよ?
K)マジで…誰だよ。


社)入るよ~いいか~い?


ドアを開けたのは
60前後のおじさんだった。


K)えっ!社長!!
臣)えっ!!!!!


しゃ、社長って!!
マジかよ!!


K)お疲れさまです!!
社)♡くんは大丈夫かいー?
  …あ、君が…?


社長が俺に気が付いた。


臣)あ、あの…
K)♡の彼氏さんです。


Kがすかさず紹介してくれた。

さすがに社長相手には
嘘付かないんだな。


社)どうもどうも、社長です。
K)「社長です。」って!ww
臣)初めまして。
  いつもお世話になっております。
社)いやいや、お世話になってるのはね、
  こちらの方なんですよ~?
臣)え?


社長がにっこり笑った。


社)♡くんはねぇ、
  本当にいつもよく頑張ってくれていて…
  いつも明るく元気でねぇ
  誰に対しても笑顔で。
臣)はい…
社)そんな♡くんからいつもみんなが
  元気をもらってるんです。
臣)…ありがとうございます。


…って、俺が礼言うのも変か?!


社)倒れてしまったとは…
  働かせすぎてしまって申し訳ないっ!
臣)いえ、そんな…!!
社)ゆっくり休ませてあげてください。
K)あ、課長が明日は
  休みにしてくれました。
社)おお!それなら良かった。
  ♡くんをよろしく頼みます。
臣)はい!すみません。
  ありがとうございます!!
社)じゃあ私はこれで…
  あ、そうだ。君、名前は…?
臣)あっ…


そうだ、自己紹介もしてなかった!


臣)失礼しました!
  登坂広臣です!
社)登坂くん…ね。登坂くん…。
  ♡くんにフルーツをたくさん
  送っておいたから
  良かったら食べさせてあげてください。
臣)え?!
  ありがとうございます!!
社)うんうん。
  じゃ、失礼するよ。


俺が深く頭を下げると
社長さんは静かに出て行った。


K)安心して。
  社長、三代目ってわかってないから。
臣)え、ああ!
  俺何も考えないで名乗ってた…
K)あははw
臣)あの人がお祭り好きの社長さん?
K)そう。
  お祭り好きだし、すごい太っ腹だから
  なんかあるごとに色々してくれるの。
臣)フルーツたくさんって…すげーな…


なんかHIROさんみてぇだな。


臣)ってか社長自ら
  わざわざ来てくれるとか…
K)だって社長すぐ上のフロアにいんだもん。
  多分、課長に話聞いて
  彼氏の顔見たくて来たんだよw
臣)え…
K)♡のことめっちゃ可愛がってるし。
臣)そうなんだ…


俺、品定めされたってこと?

大丈夫だったかな…


K)ってか♡、全然起きねーな…


コンコン、コンコン…


またノックの音が聞こえた。


臣)え、嘘だろ…
K)今度は誰だよ?も~


ほんと何人来んだよ…


Kがドアを開けると
今度は背の高い男が立ってた。

また男だし!


K)あ、Jさん。
J)どーも。
K)どうしたんすか?
J)姫、その後どうかなって。
K)まだ寝てますけど。


Jって…
Jってたしか…

♡に言い寄ってきてる
ボンボンの名前じゃなかったっけ?


女子会でそんな話、してたような…


J)お邪魔します。


入ってくるなり俺を見つけて
上から下までジロジロ見てきた。

でも、他の男とは違う。

かなり挑戦的な視線を飛ばしてきた。


背がめちゃめちゃ高くて…
直己さんぐらいあんじゃねーか…


そして…、俺の予想だと

多分こいつが、薔薇の男。


J)どうも。
  営業部のJといいます。
臣)どうも初めまして。
K)♡が倒れて…
  Jさんが運んでくれたの。


げ、マジかよ…


臣)お手数おかけしました。
J)いえいえ、全然♡
臣)……
J)……


なんなんだよ。


臣)……
J)何かお手伝いしましょうか。
臣)あ、結構です。
  もう連れて帰るんで。
J)……
臣)……


だからお前もとっとと帰れ。


J)……
臣)……
J)君、何歳?


は?


臣)27ですけど…
J)ふーん、27ねぇ…
臣)…


なんだよ文句あんのかよ。

さっきからイラつく視線
ぶつけてきやがって…


J)……
臣)……
K)ちょっと!
  こんなとこで
  火花散らさないでもらえます?!
J)……
K)ご覧の通り、
  彼氏が迎えに来てくれてるんで。
  もう大丈夫ですから帰ってください。
J)相変わらず冷たいねぇ♪
K)もう…
  「何もしない」んですよね?
J)姫にはそう言ったけどね。
K)しつこいと嫌われますよ?
J)いいよ。
  俺、長期戦でいくつもりだから♪
臣)は?

48-1

俺が睨んでも、怯むどころか
また返って来る、挑戦的な視線。
 

長期戦てなんだよ。


つーか「姫」ってなんなんだっつーの!


K)はいはい、もう終わり!
  出てってください!
J)はいはいw じゃあまた。


Kがドアをピシャンと閉めた。


臣K)じゃあまたじゃねーよ。


俺らは思わずハモった。


臣)ぶははっ
  お前、相変わらずだなw
K)だって。


ほんといけ好かない男だったな。


臣)つーかこいつ…全然起きねぇな。
K)うん。
臣)もう連れて帰っていい?
K)そうだね。


俺はベッドから♡を抱きかかえて
立ち上がった。


♡はまだ目を覚まさない。


K)よし、じゃあ行こ。


Kがドアを開けると
そこには20人以上、人が集まってて…


K)は?何あんた達…!


男)いや…♡さんが倒れたって聞いて…
女)ってゆーか彼氏さん来てるんでしょ?
男)♡さん、大丈夫ですか~?
女)すいません…
  ♡さんの彼氏さん見たくて…


K)あんた達は野次馬かー!!
  帰れー!!


Kが大きな声を出すと
人だかりは一応道を開けてくれた。


女)え~お姫様抱っことか超ヤバい~!
女)ってか彼氏めっちゃカッコ良くない?
女)背高~い!!♡


やべぇ…
なんかすげぇ見られてんだけど…


K)早くエレベーター乗っちゃお。
臣)うん。
K)野次馬多くてごめんね。
臣)バレて…ねぇかな?
K)多分大丈夫だと思うけど…


エレベーターに乗り込んで一息つくと
♡が目を覚ました。


♡)ん…、、
臣)……
♡)あ…れ…、臣くん…?
臣)ん。
♡)あれ…?ここ…どこ…?
臣)会社。
♡)…え?どうして…、えっ
臣)いーから大人しくしてろ…


エレベーターを降りてビルを出て
真っ直ぐ車に向かうと

俺に気付いたSさんが
ドアを開けてくれた。


S)大丈夫だった?
臣)うん、ありがと。
K)臣くん、はい、荷物。
臣)あ、わり、さんきゅ。
K)お大事にね。
♡)えっ、Kちゃん、えっ
臣)K、ほんとありがとな。じゃ!


車のドアを閉めると
Kはビルに戻って行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡)え?私…、え??
臣)貧血で倒れたんだろ?
♡)うん…
臣)あ、ごめんSさん、出して?
S)はいよ。
臣)あ、どっかスーパー寄れる?
S)おけー!


え??え??
どゆこと??


私…たしか、階段で倒れて…


気付いたら医務室にいて
足、捻挫しちゃってて…


それで…そのあと少し
休ませてもらってたんだけど…


え?え??臣くん??


ってゆーか臣くん、なんでこんな
Ginaの時みたいな臣くんなの??


48


私がパニックでオロオロしてると…


臣)お前が倒れて医務室にいるって
  Kに教えてもらったから
  迎えに行ったの。
♡)え!!臣くん、
  医務室まで来てくれたの?!
臣)ん。
♡)えっ、えっ、うそ…
臣)落ち着けw
  足も挫いたんだろ?
♡)あ、うん…そう…
  私寝ちゃってたんだ…
臣)少しは良くなった?


臣くんが心配そうに顔を覗いてきた。


♡)…うん…、大丈夫…
臣)まだ顔色わりーな。
  明日は一日、ゆっくり休めってさ。
♡)え??
臣)課長さんが言ってた。
♡)か、課長?!!
  えっ!!なんで…!!
臣)お前がいつも頑張ってるからって。
♡)そ、そうじゃなくてっ!!
  課長と話したの?!
臣)うん、挨拶に来てくれた。
♡)えー!!えー!!!!
臣)少し落ち着けっての!w


私の知らない間に…
びっくり!!


♡)臣くんって、バレなかったの?!
臣)だってこんなカッコだし…
  課長さん、三代目知らないんじゃん?
♡)え~え~~うそー!!!
  あと…何話したの??
臣)何って別に…それくらい。
♡)えーっ えーっ!
臣)あと社長も来たよ。


♡S)えええ!!!!


思わずSさんとハモった。


臣)なんだよ!w
S)社長って…社長って…!
♡)社長とも話したのー?!!
  ってゆーかなんで社長来たのー!??
臣)お前のこと、心配してたよ。
  あと…、フルーツ送ってくれたって。
♡)フルーツ????
臣)うん。家に。

♡S)えええ!!!!

臣)何回ハモんだよ!w


臣くんが笑った。


S)か、彼女、何者なの?!
臣)はっはは!確かにw
♡)え~え~~!!
  お礼言わなくっちゃ!!
臣)うん。
♡)え~え~~
臣)…でもあれな。
♡)え?
臣)お前の会社、
  変な会社だと思ってたけど
  みんな良い人だな。
♡)うん…
  課長も社長もみんな良い人だよー。
臣)社長とか…
  なんか安西先生みたいじゃね?
♡)安西先生??
臣)スラムダンクの。
♡)ああ!あははは♡
  似てるかも!♡
臣)だろー?w
♡)でもタプタプしちゃダメだよw
臣)せんわ!w


S)スーパー着いたよー

臣)あ、ありがと!
  じゃあちょっと待ってて。

S)はーい。


そう言うと臣くんは
中に走って行った。


♡)あの…なんか…すみません。
S)いーえー、なんもだよー。
  それより大丈夫?
♡)あ、はい…。
S)残念だったね、今日。
♡)え?
S)イタリアン…


あ~〜っ!!


♡)そうだった!!
  どうしようっ…お店…!!
S)あ、大丈夫大丈夫。
  ちゃんとキャンセルの電話
  しといたよー。
♡)えっ!!
  なんか…何から何まで
  本当にすみません…


申し訳ない…


S)はははw
  全然気にしないでー。
♡)臣くんにも…悪いことしちゃったな…


折角のデートだったのに…


S)仕事、忙しいのー?
♡)えっ?
  あ…はい…、最近少し忙しくて。
S)そっか…
  なのにいつも臣のこと
  支えてくれてありがとうね。
♡)え…?
S)いつも臣から…話聞いてるからさ。
  ほんとにありがとう。
♡)そんな…私全然…っ


ガラガラッ!


臣)ごめん。お待たせ!


臣くんが戻ってきた。


S)あとは家で大丈夫ー?
臣)うん、お願い。
S)はーい。


マンションに着くと臣くんが
私をお姫様抱っこで運んでくれて

Sさんが家のドアを開けてくれた。


臣)Sさん、ほんとありがと!!
S)うん、じゃあまた明日!
臣)お疲れさまです。
S)お疲れ~お大事にね~
♡)ありがとうございました!!


臣くんは私をリビングまで運んで
ソファにおろした。


臣)ほんとだいじょーぶ?
♡)うん、ごめんね?
臣)え?
♡)だって…今日の約束…
臣)いーよそんなん。
  いつでも行けんだろ。


臣くんが優しく笑った。


臣)飯作るから休んでろ。
♡)えっ!!
臣)なに
♡)臣くんが…作るの?!
臣)そーだけど…
♡)えっ、うそ…
臣)なんだよ…
  俺、作ったことあんじゃん。
♡)そうだけど…
臣)普通に作れるけど。
♡)そうだけど…
臣)魔界飯にはしねーから
  安心しろ!w
♡)も~~~!!


そう言うと臣くんは
私の頭をポンポンして
キッチンに向かった。


♡)はぁ……


私はソファーに座りながら
色々想像する。


臣くんが…
会社まで迎えに来てくれて…

ってゆーか
会社に入ったんだよね??
えーえー!信じられない…

誰にも見つからなかったのかな…


変装してたけど
私から見たら全然臣くんだし…!!


ってゆーか…
最初に起きた時
Kちゃんしかいなかったけど
私どうやって医務室に行ったんだろ…

あまり記憶ないし
気付いたらエレベーターの中で
臣くんに抱っこされてたし…


ってゆーか…臣くんが
課長や社長と普通に会話したとか

やっぱり信じられない~~!!

ドキドキドキ…


とか一人であれこれ考えてると
ピンポンが鳴った。


臣)おわ!!すげぇ!!


荷物を受け取った臣くんが
リビングに戻ってきた。


♡)え!!何これ!!
臣)こんな大量に来ると
  思わなかった。
♡)すごーい!!


社長からたっくさんの
美味しそうなフルーツが届いた。


臣)安西先生…やるな。
♡)あはははwww
臣)お前ほんと愛されてんなーw
♡)社長はみんなに優しいんだよ♡
臣)でもお前、
  可愛がってもらってんでしょ?
♡)なんかね…
  孫に似てるって言われた事ある。
臣)孫!!!wwww
♡)私とね、同じ名前なんだって。
臣)え?安西先生の孫が?
♡)そう。
臣)すげーな、マジか。
♡)てゆーか…
  安西先生で定着させるのやめてw
臣)はははっ
  だってすげぇ似てたもんww


それからしばらくすると
キッチンからいい匂いがしてきた。


臣)よし、できた。


私が立ち上がろうとすると
臣くんが飛んできて…


臣)おいっ!!!
♡)え??
臣)歩けねぇだろ!
♡)え…ちょっとなら大丈夫だよ?
臣)無理すんな!!


臣くんが肩を貸してくれて
私は椅子に座った。


テーブルには
美味しそうなご飯が並んでて…


♡)な、何これ♡♡すごい♡♡
臣)味はわかんねぇけど
  貧血に良い食材、めっちゃ使った。
♡)わーっ!見たことないのある。
臣)うん。俺も今日初めて買ったw
♡)これ、貧血にいいの?
臣)って調べたら載ってたけど。
♡)え!わざわざ調べてくれたの??
臣)だって俺そんなん知らねぇし…


えーえーえー!!
臣くんが優しすぎて泣きそう。

感動だよぅ…


臣)じーーん。
♡)えっ!!
臣)って顔、してるから。
♡)バレてる…
臣)お前なんでも顔に出るもんw
♡)えっ!!
臣)ま、いーやw  食お。
♡)うん♡♡
  いただきまーす♡♡


パクッと一口。


♡)わ♡♡美味しい!!
臣)ほんと?よかった。
♡)すごいおいしい~~♡♡
臣)うん。
♡)おいしいよ~♡♡
臣)……
♡)おいし…あっ
  黙って食べます…//
臣)あっははw
  お前もわかってきたじゃんw
♡)だって…
臣)別にいんだけどさw
♡)え?
臣)お前が美味そうに食ってんの
  嫌いじゃないし。
♡)…へへ♡


ご飯を食べ終わると
臣くんが食器を全部片付けてくれた。


♡)臣くん作ってくれたから、私洗う!
臣)は??
  いいっつーの!!
  お前はこっち!!


私は臣くんに片手で担がれて
またソファーに座らされた。


臣)大人しくしてろ!
♡)はい……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


洗い物を終わらせて
ソファーで待ってる♡の隣に座った。


♡)ありがとう。
臣)え?
♡)色々してくれて…
臣)…んなんいいし。
  つーか…
  お前いっつもありがと。
  仕事で疲れてる時とか…
  無理しなくていいからな?
♡)え??
臣)いや、色々やってくれてんじゃん
  いっつも…
♡)無理してないよ??


いつもそう言ってくれるけど…


臣)…今日も
  疲れたまってたんじゃねぇの?
♡)ちがうよ!
  今日は生理と重なって
  ちょっと貧血になっちゃっただけ…
臣)そうなの?
♡)そう!だから全然無理してない!


目をまんまるくして
俺の腕を掴む♡の頭を撫でた。


臣)いや…
  無理させてたんだったら
  悪かったなと思ったから…
♡)無理じゃないんだってばぁ!!


♡が抱きついてきた。


♡)ん~~~~
臣)わかったわかったw
♡)ん~~~~
臣)わかったからw


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣くんにすりすり攻撃をしてると
ほっぺをむにって摘まれた。


臣)でもさ…、お前…
♡)……?
臣)普段からあんまり俺に…
  甘えたりしないじゃん?


え??


♡)すっごく甘えてる気でいたけど…
臣)いや、そうじゃなくてw
  弱音とか…あんま吐かねーし
  いつも笑ってんじゃん?
♡)うん?
臣)だから…


あ…、また…撫で撫でされた。


臣)たまには俺のことも
  頼ってほしいなって…
♡)え…


髪に触れる、優しい指先。


♡)だって…
  臣くんと一緒にいたら
  楽しいから笑っちゃうし
  何でも頑張れる気になるんだもん!!
臣)ふははっww
  そうなん…?
♡)そう!!


臣くんが側にいてくれたら
無敵なんだからっ!


臣)まぁ…俺も…
  お前が元気だとなんか楽しいけどw
♡)え?
臣)…だから早く治せよ?
♡)うん…


臣くんが優しく笑って
ほっぺを挟んできた。


♡)臣くん…
臣)んー?
♡)////


好き。


♡)治ったら…
  もう一回、デートしてくれる?
臣)そんなんいつでもするっつーのw
♡)えへへ…//


良かった♡


♡)今日はごめんね?
  ほんとにありがと♡♡


そう言って臣くんの顔を見ると

何も言わずに笑って
もう一回頭を撫でてくれた。



臣くん、大好き♡♡




ーendー

コメントを残す

スポンサーリンク
スポンサーリンク