【4】誘惑対策の練習

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ー夜ー



ピンポーン。


あれ?
臣くん鍵忘れたのかな…?


玄関まで迎えに行って
ドアを開けると

健二郎くんを抱えた臣くんが立ってた。


臣)ごめん、
  今日健ちゃん泊めていい?
♡)うん、全然いいけど…どうしたの??
臣)ちょっと飲み過ぎちゃって…
健)全然飲み過ぎてへんし…!!


そう言って
臣くんに抱きついてる健二郎くんは
相当酔ってるカンジだった。


臣くんがリビングまで連れて行って
健二郎くんはそのままソファーに沈んだ。


♡)大丈夫…?


渡したお水は一気に空っぽに。


健)はぁぁ……
臣)健ちゃん大丈夫ー?
健)水飲んだら少しスッキリしたー
臣)よかった。
健)♡ちゃん、ありがとな。
♡)うん。
健)…臣はええなー。
  帰って来たら毎日こんな
  可愛い彼女がおって。
臣)何言ってんのw
健)くそー!
  俺も早く彼女見つけたるー!
臣)え!結局別れんの?
健)当ったり前や!
  あんな女もう知らんし!


私がよくわからない顔をしてると
小声で臣くんが言った。


臣(健ちゃんの彼女、
  浮気してたんだって…)
♡(えっ!!!!)
臣(だから今日はちょっとヤケ酒。
  …ごめんな。)
♡(全然いいけど…
  健二郎くん、大丈夫かな?)
臣(うーん…)


健)ちょ!そこ!!
  何コソコソしてんねん!
臣)いや、なんでもないよ。
健)はぁ…
  なんで臣はさぁー
  こんな可愛い彼女おんのにモテるん?
臣)は??何いきなり!
健)臣ばっかりモテモテなん、ずるいわー
臣)だから何それ!w
  いきなり話、変わってるし!
健)こないだも俺さー、モデルの子に
  『登坂さんの番号教えて下さい!!』
  とか言われて〜
臣)え…
健)でも最近あれやんな…
  三代目の名前売れて来てから
  そーゆー女の子多いやんな?
臣)そーゆーって?
健)好きです、抱いて下さい!
  みたいな女。
♡)…えっ!!!
臣)あー…うーん…
健)何やねん。
  俺でも結構言われんねんから
  臣ちゃんなんてめっちゃ多いやろ!
臣)…いや…うん…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


確かにそんな女はゴロゴロいるけど…
そんな話、♡にはしたことなかった。

♡の顔をおそるおそる横目で見ると


ガーン!!!

って書いてあるような顔してる。


健ちゃーん…
頼むから変なこと言い出さないでよ…


♡)そ、そ、そーゆー女の人がいたら
  ど、どーするの?


冷静を装いきれてない♡が聞いてきた。


健)可愛かったらヤっちゃう!♡
♡)えええええ!!!!
健)なーんて…まぁ、冗談やけど…
♡)お、臣くんは…?
臣)別にどーもしねぇよ。
  彼女いるって言うし…。
♡)そう言ったら諦めてくれるの…?
健)諦めません!
  そーゆー女は計算済みで
  『一晩だけでいいから』とか
  『二番目でもいいから』とか
  言うてくんねん!
臣)ちょ、健ちゃん…


マジ勘弁して…


♡)そ、そんなこと言われるの…?
臣)いや…
  言われ…たこと…ねぇかな…
健)嘘やん!!
  絶対あるって!!
♡)…っ
臣)いや、言われても断ってっから!
♡)……
臣)おい、黙んな!断るって!!


もう俺の言葉が聞こえてないくらい
ショックな顔してる。

この流れ嫌だな~…どーしよ…


健)隆二なんてこの間、
  断ったのに
  押し倒された言うてたで。
臣)マジ…?
♡)お、お、押し倒…!!??
  女の子が押し倒すの…?!!
健)せやで~
  最近の肉食女子は怖いんやで~。


♡がめっちゃ心配そうに
俺の顔を覗いてきた。


♡)臣くんも押し倒されたり…
臣)しねーから!w
  男の方が力あんのに
  何で押し倒されんだよ!
♡)で、でも隆二くんが…
健)隆二お人好しやからな~
  隙あったんちゃう?w
♡)す、隙…。
  …お、臣くんは…
臣)ねーから!w
  もうこの話終わりっ!!
♡)……
健)でも…ほんまにさぁ…
  こう…数ある誘惑に俺はちゃんと
  打ち勝ってきたのにさぁ…
  なんであいつ
  浮気とかしてんねんマジで!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


健二郎くんはヤケになったように
ソファーにうつ伏せになった。


♡)お水、持ってくる…?
健)んーん。
  もうええよ、ありがとう。
  もう寝る!眠い!


そう言って健二郎くんは
そのままソファで寝ちゃった。


臣)え?ほんとに寝た…??
♡)うん…寝てる…すやすや…。
臣)なんだよもう~!
  はぁ…、俺、毛布持ってくるわ。
♡)うん。


私はそのまま
グラスをキッチンに持っていって
洗い物をしてた。

してたけど…


頭の中はさっきの会話が離れない…。


臣くんがモテるのは当たり前だし…
そんなことわかってた。

わかってたつもりだったけど…


そんなおそろしい肉食女子に
毎回誘惑されてるなんて…

想像しただけでショックで…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


健ちゃんに毛布をかけて
キッチンにいる♡に目をやると
完全に心ここにあらず…ってかんじ。

あーあ…
健ちゃんのばかー
も~~~!



臣)♡……


洗い物をしてる♡を
後ろから抱きしめた。


臣)終わった?
♡)あ、う、うん…、終わったよ。
臣)もう寝る…?
♡)う、うん、そうだね…。
臣)じゃあ俺
  シャワー浴びてくっから
  一緒に寝よ?
♡)うん…、行ってらっしゃい…。



俺がシャワーから戻ると

リビングにはぐっすり眠る
健ちゃんの姿しかなかった。


あれ、♡は?


寝室をのぞきに行って見つけたのは
しゅんとした様子で
ベッドの渕にボーッと座る、♡の姿。


臣)ただいま。


俺が頭を撫でると…


♡)あっ、うん、おかえり…


見えてなかったんかい!

ってくらい心ここにあらず。


俺は脚を伸ばして隣に座った。



臣)ん。
♡)え?
臣)んっ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣くんが自分の膝の間を
ポンポンって叩いてる。

おいで、ってこと…?


臣)…早く来いよ。


臣くんに腕をぐいっと引っ張られて
膝の間に座らされて

臣くんと向かい合った。


臣)どーした。
♡)え…?
臣)なんで元気ないの。


優しく私の顔を覗き込んでくる臣くん。


♡)なんでって…
臣)…ん?


さっきの話聞いて
色々考えてたら

色々想像しちゃって
色々不安になって

頭がゴチャゴチャになって…


なんて言えないし…


臣)なんか不安あるなら
  ちゃんと言って。


そう言ってまた
私の頭を撫でてくれる臣くん。


私の気持ちはお見通しみたい…。


♡)臣くんが…
臣)うん…
♡)…色んな女の人に
  誘惑されてるの…やだ…
臣)誘惑って…w
♡)だって…誘惑でしょ…?
臣)うーん…まぁ…そうなんの?
  …でもなんもないよ?
♡)誘惑されたら…
  どんな気持ちなの…?
臣)は??気持ち??
♡)他の女の人に
  気持ち、揺らいだりする…?
臣)いや、しねぇし!w
♡)……
臣)しねぇって!
♡)……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣)…まぁ、正直俺も男だから…
  別に好きじゃない女とでも
  ヤれるよ?


また♡の顔に
ガーン!!!!
って書いてある。


臣)ヤれるけど
  ヤリたいとも思わねーし
  そんなんで気持ち揺らいだりもしねーし。
♡)…
臣)大体俺がそんなことしたら…
  誰かさん、絶対泣くしょ。


♡はもう涙目になってた。


臣)だーかーら!
  そんなことで
  一番大事な奴泣かせるとか
  そんな意味ないくだらねぇこと
  絶対しねぇって言ってんの!
♡)……一番…大事な奴…?


俺の顔をじっと見つめてくる。


臣)…なんだよ…
♡)それって、私…?
臣)は?
♡)え…
臣)他に誰がいんのw
  言わせんなバーカ…


笑いながら♡の頭をわしゃわしゃにすると
♡がぎゅっと抱きついてきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣くん…
大好き。


臣くんがそう言ってくれて…
すごく嬉しいけど…


でもやっぱり心配で…


もやもやもや。


ってゆーか!

誘惑してくる女の人とかほんとやだ…!!
もうっ!!!!


♡)ねぇ、じゃあ練習してもいい?
臣)は?なんの??
♡)臣くんが悪い女の人に
  誘惑された時の練習…
臣)な、何それ??
♡)私が悪い女の人やるから
  臣くんちゃんと断ってね…!!
臣)え??


臣くんの手を引いて
二人でベッドから降りた。


臣)え…?立ってやんの?
♡)そう!よりリアルに、ちゃんとやるのっ。
臣)はい…


大事な練習なんだからっ!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡がわけわかんねぇこと言い出した。

でもめっちゃマジだし…


♡)登坂さん…!


ぶっ!!ww

俺は吹き出しそうなのを
必死にこらえた。


ちょ、待って、
登坂さんて何…ww


♡)私、登坂さんのこと
  ずっと…ずっと好きだったんです!


ヤバい…なんか茶番が始まった…ww

でも必死な♡が可愛いから
付き合ってやろっかな…


臣)はい。
♡)だから…その…、…えっと…
臣)なに?
♡)あの…だ…だ…、
  …抱いてください!////


ヤバいww 何これ///

普段そんなこと言わねーくせに…
襲うぞバカ。


臣)俺、彼女いるんで…すいません。
♡)そ、それでもいいんです。
  一度だけでもいいから…
臣)いいから…?
♡)だ、抱いて下さい…!!
臣)…だーめ。


いつもはもっと
キッパリバッサリ断るけど
♡が可愛すぎて
つい優しい口調になっちゃって…


するとすかさず♡が…


♡)ちょっと!なに今の!!
臣)え…?w
♡)そ、そんな優しく
  ダメって言うの?!
臣)いや…
♡)やだぁ…っ
臣)いや、違う、ごめん!
  間違えた!w
♡)間違えたってなにっ!
  もう…ちゃんとやってよぉ


泣きそうになってる。


臣)彼女いるから無理!!
♡)絶対ダメですか…?
臣)ダメです。
♡)私、彼女にバラしたりしません!
臣)いや、そーゆー問題じゃねーし…
♡)どうしても…だめ…?
臣)……
♡)一回だけ…お願い…


♡がうつむきながら
俺のトレーナーの裾を引っ張ってきた。


臣)あ~もうっ!!//


♡をベッドに押し倒した。


臣)お前ふざけんなよ、マジ…
♡)な、なに?!
臣)可愛すぎて
  襲いたくなるっつーの!
  あ~もう!//
♡)何言ってるの!??
  ひどい!!!
臣)は?
♡)臣くんは誘惑に負けるってこと?!
  うわぁん!ばかぁっ!!
臣)あのなぁ…
♡)もう知らないもん!ばかぁっ!
臣)バカバカって…
  バカはお前だっつーの!


♡のほっぺを摘んだ。


臣)そんな顔真っ赤にして
  恥ずかしそうに抱いて欲しいとか
  言ってくる女いねーから!w
♡)え…?
臣)どこが悪い女なんだよ…っとにw
♡)だってわかんないんだもん…//
臣)こんな練習いらねぇから。
  もう安心しろ…
♡)ほんと…?
臣)ん。


そんな心配しなくても
俺はお前しか見えてないっつーの…


でも…


臣)なぁ…
♡)……


すごく…可愛かったから…


臣)さっきの、…もっかい言って?
♡)え?
臣)あの可愛いやつ w
♡)え…や…やだよっ!//
臣)いいじゃん!言えよ〜
♡)あれは悪い女の人だもん!
  私じゃないもん!
臣)ふーん。
  言ってくんねんだ。


♡のほっぺをぷにぷに、つつく。


臣)あーあ…
  もっかいくらい練習しとかないと
  俺、次断れるか
  自信なくなってきたなー…
♡)!!!


♡が目を大きく見開いた。

ニヤリ。


臣)ね?言って…?
♡)////


恥ずかしそうに俺を見上げながら
ちょっと怒ってる顔が可愛いw


臣)早くー
♡)~~///
  もう!臣くんずるい!


パシッと叩かれた。


そのまま目で…催促すると…
♡は少し俯いて…


♡)…だ…抱いてください…//
臣)だめー♡
♡)…一回だけでいいから、お願い…///
臣)……//


ああ…やっぱり可愛い//
たまんねぇ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡)え、臣くんっ?
臣)ほんとヤバい…
  そんなん言われたら…無理だわ//


私をぎゅっと抱きしめて
服の中に手を入れてくる臣くん。


♡)ちょ、ちょ、ちょっと!///
臣)んー?


抵抗する私にお構いなしで
色んな所にチューしてくる///


♡)何してるのぉ!だめっ!//
臣)なんでダメなの?
♡)え?
臣)お前が抱いて欲しいって
  言ったんじゃん。
♡)もう!それは違うでしょー!//
臣)いいじゃん。シたい。
  もう我慢できねーもん。
♡)だめ!!
  今日健二郎くんいるんだから!
臣)だーいじょーぶ。
  健ちゃん寝てるもん。
♡)起きちゃうでしょ!
臣)お前のエロい声で?w
♡)もう!/// バカッ!!


臣くんの胸をグイッと押して、
脱がされかけたナイトウェアを整える。


臣)えーほんとにダメなの?
♡)だめっ
臣)絶対?死んでもダメー?
♡)だめ。
臣)んだよ…けちー。
♡)ケチじゃないもん。
臣)じゃあチューは?
♡)……


拗ねたような顔で
私のほっぺを包む臣くん。

もう…ずるいよぉ…//


臣)チューならいい?
  …ってかいいだろ!
  チューくらいさせろ!


そう言うと
強引に重なる唇。


♡)ん、んっ!!///


どんどん深くなっていって…


♡)やっ、やっぱりダメッ!
  チューも禁止!
臣)なんでだよっ!
♡)だって…
臣)なに。


こんなキス…されたら…


♡)止まんなく…なっちゃうもん…//
臣)え?


ドキドキ…して…


♡)…チューだけじゃ…
  足りなくなっちゃうから…、ダメ。
臣)は~?!///
  おま…ふざけんなもう~!!!


そう言うと
ベッドに思いきり仰向けで
寝転がる臣くん。


ぼふっっ


臣)はぁぁぁ〜//
♡)……//
臣)お前ほんと反則だし!
  そんな可愛いこと言ってきて
  マジで襲えないとか何これ、拷問?
♡)…今日は普通に寝ようよぅ…
臣)あ~~もぉ~~~
♡)……//


どうしよう。

左手の甲を額に当てて天井を仰ぐ臣くんを
困ったように見てると


臣)ん!


伸びてきた、右手。


臣)寝るんだろ?
  早く来いよ。
♡)…腕枕…してくれるの??
臣)なんだよ。いらねーの?


右手が戻りかけて…


♡)や、やだ!


私はすぐに
臣くんの胸に飛び込んで
毛布をかぶった。


♡)えへへ…♡


優しく包み込んでくれる
あたたかい腕。


♡)臣くんありがと…♡♡
臣)ん!
♡)…おやすみなさい。
臣)はぁ…マジで生殺し…
  おやすみ!




ーendー

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