ー夜ー
ピンポーン。
あれ?
臣くん鍵忘れたのかな…?
玄関まで迎えに行って
ドアを開けると
健二郎くんを抱えた臣くんが立ってた。
臣)ごめん、
今日健ちゃん泊めていい?
♡)うん、全然いいけど…どうしたの??
臣)ちょっと飲み過ぎちゃって…
健)全然飲み過ぎてへんし…!!
そう言って
臣くんに抱きついてる健二郎くんは
相当酔ってるカンジだった。
臣くんがリビングまで連れて行って
健二郎くんはそのままソファーに沈んだ。
♡)大丈夫…?
渡したお水は一気に空っぽに。
健)はぁぁ……
臣)健ちゃん大丈夫ー?
健)水飲んだら少しスッキリしたー
臣)よかった。
健)♡ちゃん、ありがとな。
♡)うん。
健)…臣はええなー。
帰って来たら毎日こんな
可愛い彼女がおって。
臣)何言ってんのw
健)くそー!
俺も早く彼女見つけたるー!
臣)え!結局別れんの?
健)当ったり前や!
あんな女もう知らんし!
私がよくわからない顔をしてると
小声で臣くんが言った。
臣(健ちゃんの彼女、
浮気してたんだって…)
♡(えっ!!!!)
臣(だから今日はちょっとヤケ酒。
…ごめんな。)
♡(全然いいけど…
健二郎くん、大丈夫かな?)
臣(うーん…)
健)ちょ!そこ!!
何コソコソしてんねん!
臣)いや、なんでもないよ。
健)はぁ…
なんで臣はさぁー
こんな可愛い彼女おんのにモテるん?
臣)は??何いきなり!
健)臣ばっかりモテモテなん、ずるいわー
臣)だから何それ!w
いきなり話、変わってるし!
健)こないだも俺さー、モデルの子に
『登坂さんの番号教えて下さい!!』
とか言われて〜
臣)え…
健)でも最近あれやんな…
三代目の名前売れて来てから
そーゆー女の子多いやんな?
臣)そーゆーって?
健)好きです、抱いて下さい!
みたいな女。
♡)…えっ!!!
臣)あー…うーん…
健)何やねん。
俺でも結構言われんねんから
臣ちゃんなんてめっちゃ多いやろ!
臣)…いや…うん…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
確かにそんな女はゴロゴロいるけど…
そんな話、♡にはしたことなかった。
♡の顔をおそるおそる横目で見ると
ガーン!!!
って書いてあるような顔してる。
健ちゃーん…
頼むから変なこと言い出さないでよ…
♡)そ、そ、そーゆー女の人がいたら
ど、どーするの?
冷静を装いきれてない♡が聞いてきた。
健)可愛かったらヤっちゃう!♡
♡)えええええ!!!!
健)なーんて…まぁ、冗談やけど…
♡)お、臣くんは…?
臣)別にどーもしねぇよ。
彼女いるって言うし…。
♡)そう言ったら諦めてくれるの…?
健)諦めません!
そーゆー女は計算済みで
『一晩だけでいいから』とか
『二番目でもいいから』とか
言うてくんねん!
臣)ちょ、健ちゃん…
マジ勘弁して…
♡)そ、そんなこと言われるの…?
臣)いや…
言われ…たこと…ねぇかな…
健)嘘やん!!
絶対あるって!!
♡)…っ
臣)いや、言われても断ってっから!
♡)……
臣)おい、黙んな!断るって!!
もう俺の言葉が聞こえてないくらい
ショックな顔してる。
この流れ嫌だな~…どーしよ…
健)隆二なんてこの間、
断ったのに
押し倒された言うてたで。
臣)マジ…?
♡)お、お、押し倒…!!??
女の子が押し倒すの…?!!
健)せやで~
最近の肉食女子は怖いんやで~。
♡がめっちゃ心配そうに
俺の顔を覗いてきた。
♡)臣くんも押し倒されたり…
臣)しねーから!w
男の方が力あんのに
何で押し倒されんだよ!
♡)で、でも隆二くんが…
健)隆二お人好しやからな~
隙あったんちゃう?w
♡)す、隙…。
…お、臣くんは…
臣)ねーから!w
もうこの話終わりっ!!
♡)……
健)でも…ほんまにさぁ…
こう…数ある誘惑に俺はちゃんと
打ち勝ってきたのにさぁ…
なんであいつ
浮気とかしてんねんマジで!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
健二郎くんはヤケになったように
ソファーにうつ伏せになった。
♡)お水、持ってくる…?
健)んーん。
もうええよ、ありがとう。
もう寝る!眠い!
そう言って健二郎くんは
そのままソファで寝ちゃった。
臣)え?ほんとに寝た…??
♡)うん…寝てる…すやすや…。
臣)なんだよもう~!
はぁ…、俺、毛布持ってくるわ。
♡)うん。
私はそのまま
グラスをキッチンに持っていって
洗い物をしてた。
してたけど…
頭の中はさっきの会話が離れない…。
臣くんがモテるのは当たり前だし…
そんなことわかってた。
わかってたつもりだったけど…
そんなおそろしい肉食女子に
毎回誘惑されてるなんて…
想像しただけでショックで…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
健ちゃんに毛布をかけて
キッチンにいる♡に目をやると
完全に心ここにあらず…ってかんじ。
あーあ…
健ちゃんのばかー
も~~~!
臣)♡……
洗い物をしてる♡を
後ろから抱きしめた。
臣)終わった?
♡)あ、う、うん…、終わったよ。
臣)もう寝る…?
♡)う、うん、そうだね…。
臣)じゃあ俺
シャワー浴びてくっから
一緒に寝よ?
♡)うん…、行ってらっしゃい…。
俺がシャワーから戻ると
リビングにはぐっすり眠る
健ちゃんの姿しかなかった。
あれ、♡は?
寝室をのぞきに行って見つけたのは
しゅんとした様子で
ベッドの渕にボーッと座る、♡の姿。
臣)ただいま。
俺が頭を撫でると…
♡)あっ、うん、おかえり…
見えてなかったんかい!
ってくらい心ここにあらず。
俺は脚を伸ばして隣に座った。
臣)ん。
♡)え?
臣)んっ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
臣くんが自分の膝の間を
ポンポンって叩いてる。
おいで、ってこと…?
臣)…早く来いよ。
臣くんに腕をぐいっと引っ張られて
膝の間に座らされて
臣くんと向かい合った。
臣)どーした。
♡)え…?
臣)なんで元気ないの。
優しく私の顔を覗き込んでくる臣くん。
♡)なんでって…
臣)…ん?
さっきの話聞いて
色々考えてたら
色々想像しちゃって
色々不安になって
頭がゴチャゴチャになって…
なんて言えないし…
臣)なんか不安あるなら
ちゃんと言って。
そう言ってまた
私の頭を撫でてくれる臣くん。
私の気持ちはお見通しみたい…。
♡)臣くんが…
臣)うん…
♡)…色んな女の人に
誘惑されてるの…やだ…
臣)誘惑って…w
♡)だって…誘惑でしょ…?
臣)うーん…まぁ…そうなんの?
…でもなんもないよ?
♡)誘惑されたら…
どんな気持ちなの…?
臣)は??気持ち??
♡)他の女の人に
気持ち、揺らいだりする…?
臣)いや、しねぇし!w
♡)……
臣)しねぇって!
♡)……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
臣)…まぁ、正直俺も男だから…
別に好きじゃない女とでも
ヤれるよ?
また♡の顔に
ガーン!!!!
って書いてある。
臣)ヤれるけど
ヤリたいとも思わねーし
そんなんで気持ち揺らいだりもしねーし。
♡)…
臣)大体俺がそんなことしたら…
誰かさん、絶対泣くしょ。
♡はもう涙目になってた。
臣)だーかーら!
そんなことで
一番大事な奴泣かせるとか
そんな意味ないくだらねぇこと
絶対しねぇって言ってんの!
♡)……一番…大事な奴…?
俺の顔をじっと見つめてくる。
臣)…なんだよ…
♡)それって、私…?
臣)は?
♡)え…
臣)他に誰がいんのw
言わせんなバーカ…
笑いながら♡の頭をわしゃわしゃにすると
♡がぎゅっと抱きついてきた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
臣くん…
大好き。
臣くんがそう言ってくれて…
すごく嬉しいけど…
でもやっぱり心配で…
もやもやもや。
ってゆーか!
誘惑してくる女の人とかほんとやだ…!!
もうっ!!!!
♡)ねぇ、じゃあ練習してもいい?
臣)は?なんの??
♡)臣くんが悪い女の人に
誘惑された時の練習…
臣)な、何それ??
♡)私が悪い女の人やるから
臣くんちゃんと断ってね…!!
臣)え??
臣くんの手を引いて
二人でベッドから降りた。
臣)え…?立ってやんの?
♡)そう!よりリアルに、ちゃんとやるのっ。
臣)はい…
大事な練習なんだからっ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡がわけわかんねぇこと言い出した。
でもめっちゃマジだし…
♡)登坂さん…!
ぶっ!!ww
俺は吹き出しそうなのを
必死にこらえた。
ちょ、待って、
登坂さんて何…ww
♡)私、登坂さんのこと
ずっと…ずっと好きだったんです!
ヤバい…なんか茶番が始まった…ww
でも必死な♡が可愛いから
付き合ってやろっかな…
臣)はい。
♡)だから…その…、…えっと…
臣)なに?
♡)あの…だ…だ…、
…抱いてください!////
ヤバいww 何これ///
普段そんなこと言わねーくせに…
襲うぞバカ。
臣)俺、彼女いるんで…すいません。
♡)そ、それでもいいんです。
一度だけでもいいから…
臣)いいから…?
♡)だ、抱いて下さい…!!
臣)…だーめ。
いつもはもっと
キッパリバッサリ断るけど
♡が可愛すぎて
つい優しい口調になっちゃって…
するとすかさず♡が…
♡)ちょっと!なに今の!!
臣)え…?w
♡)そ、そんな優しく
ダメって言うの?!
臣)いや…
♡)やだぁ…っ
臣)いや、違う、ごめん!
間違えた!w
♡)間違えたってなにっ!
もう…ちゃんとやってよぉ
泣きそうになってる。
臣)彼女いるから無理!!
♡)絶対ダメですか…?
臣)ダメです。
♡)私、彼女にバラしたりしません!
臣)いや、そーゆー問題じゃねーし…
♡)どうしても…だめ…?
臣)……
♡)一回だけ…お願い…
♡がうつむきながら
俺のトレーナーの裾を引っ張ってきた。
臣)あ~もうっ!!//
♡をベッドに押し倒した。
臣)お前ふざけんなよ、マジ…
♡)な、なに?!
臣)可愛すぎて
襲いたくなるっつーの!
あ~もう!//
♡)何言ってるの!??
ひどい!!!
臣)は?
♡)臣くんは誘惑に負けるってこと?!
うわぁん!ばかぁっ!!
臣)あのなぁ…
♡)もう知らないもん!ばかぁっ!
臣)バカバカって…
バカはお前だっつーの!
♡のほっぺを摘んだ。
臣)そんな顔真っ赤にして
恥ずかしそうに抱いて欲しいとか
言ってくる女いねーから!w
♡)え…?
臣)どこが悪い女なんだよ…っとにw
♡)だってわかんないんだもん…//
臣)こんな練習いらねぇから。
もう安心しろ…
♡)ほんと…?
臣)ん。
そんな心配しなくても
俺はお前しか見えてないっつーの…
でも…
臣)なぁ…
♡)……
すごく…可愛かったから…
臣)さっきの、…もっかい言って?
♡)え?
臣)あの可愛いやつ w
♡)え…や…やだよっ!//
臣)いいじゃん!言えよ〜
♡)あれは悪い女の人だもん!
私じゃないもん!
臣)ふーん。
言ってくんねんだ。
♡のほっぺをぷにぷに、つつく。
臣)あーあ…
もっかいくらい練習しとかないと
俺、次断れるか
自信なくなってきたなー…
♡)!!!
♡が目を大きく見開いた。
ニヤリ。
臣)ね?言って…?
♡)////
恥ずかしそうに俺を見上げながら
ちょっと怒ってる顔が可愛いw
臣)早くー
♡)~~///
もう!臣くんずるい!
パシッと叩かれた。
そのまま目で…催促すると…
♡は少し俯いて…
♡)…だ…抱いてください…//
臣)だめー♡
♡)…一回だけでいいから、お願い…///
臣)……//
ああ…やっぱり可愛い//
たまんねぇ…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
♡)え、臣くんっ?
臣)ほんとヤバい…
そんなん言われたら…無理だわ//
私をぎゅっと抱きしめて
服の中に手を入れてくる臣くん。
♡)ちょ、ちょ、ちょっと!///
臣)んー?
抵抗する私にお構いなしで
色んな所にチューしてくる///
♡)何してるのぉ!だめっ!//
臣)なんでダメなの?
♡)え?
臣)お前が抱いて欲しいって
言ったんじゃん。
♡)もう!それは違うでしょー!//
臣)いいじゃん。シたい。
もう我慢できねーもん。
♡)だめ!!
今日健二郎くんいるんだから!
臣)だーいじょーぶ。
健ちゃん寝てるもん。
♡)起きちゃうでしょ!
臣)お前のエロい声で?w
♡)もう!/// バカッ!!
臣くんの胸をグイッと押して、
脱がされかけたナイトウェアを整える。
臣)えーほんとにダメなの?
♡)だめっ
臣)絶対?死んでもダメー?
♡)だめ。
臣)んだよ…けちー。
♡)ケチじゃないもん。
臣)じゃあチューは?
♡)……
拗ねたような顔で
私のほっぺを包む臣くん。
もう…ずるいよぉ…//
臣)チューならいい?
…ってかいいだろ!
チューくらいさせろ!
そう言うと
強引に重なる唇。
♡)ん、んっ!!///
どんどん深くなっていって…
♡)やっ、やっぱりダメッ!
チューも禁止!
臣)なんでだよっ!
♡)だって…
臣)なに。
こんなキス…されたら…
♡)止まんなく…なっちゃうもん…//
臣)え?
ドキドキ…して…
♡)…チューだけじゃ…
足りなくなっちゃうから…、ダメ。
臣)は~?!///
おま…ふざけんなもう~!!!
そう言うと
ベッドに思いきり仰向けで
寝転がる臣くん。
ぼふっっ
臣)はぁぁぁ〜//
♡)……//
臣)お前ほんと反則だし!
そんな可愛いこと言ってきて
マジで襲えないとか何これ、拷問?
♡)…今日は普通に寝ようよぅ…
臣)あ~~もぉ~~~
♡)……//
どうしよう。
左手の甲を額に当てて天井を仰ぐ臣くんを
困ったように見てると
臣)ん!
伸びてきた、右手。
臣)寝るんだろ?
早く来いよ。
♡)…腕枕…してくれるの??
臣)なんだよ。いらねーの?
右手が戻りかけて…
♡)や、やだ!
私はすぐに
臣くんの胸に飛び込んで
毛布をかぶった。
♡)えへへ…♡
優しく包み込んでくれる
あたたかい腕。
♡)臣くんありがと…♡♡
臣)ん!
♡)…おやすみなさい。
臣)はぁ…マジで生殺し…
おやすみ!
ーendー
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