【25】「好き」じゃ足りない、愛してる

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トクン…トクン…


私が安心する、臣くんの鼓動…

安心する、臣くんのぬくもり…



こんな幸せに包まれると

…私は一瞬で…眠りに落ちちゃう。



♡)あれ…?私…また…
臣)…起きた?


目を開けると
臣くんの優しい笑顔があって


気持ち良い指先が
優しく髪を撫でてくれる…


♡)私…すごく寝ちゃった?
臣)いや…少しだよ?
♡)そっか……
臣)……大丈夫?


髪に触れる指先が
さらに優しくなる。


臣)さっき…
  激しくしすぎたかなって…
♡)……///

臣)大丈夫…だった?
♡)うん…

臣)ごめん、止めらんなかった。
♡)……うん///


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


触れ合えば触れ合うほど

好きな気持ちが溢れて
止められなくて…


俺は夢中で♡を求めた。



はぁ…

俺ほんとに余裕ねぇ。


♡は大丈夫だよと言いたそうに
優しく笑って、俺の頬に手を添えた。


♡)……//


瞳が、甘く揺れる。


♡)……
臣)……

♡)…好き…♡
臣)…っ

♡)……大好き♡♡
臣)……//


♡が素直にそう言うから…可愛くて


臣)ん…、//


ぎゅっ…


小さな身体を、さらに抱き寄せた。


ああ…

もう…


臣)なぁ…
♡)…なぁに…?


愛しくて…ずっと撫でてる。


臣)お前の髪…、気持ちいい。
♡)え?
臣)なんでこんなふわふわで
  やわらけーの?
♡)そうかな??
臣)うん。


すげぇ…気持ちイイ…


♡)…臣くんは
  なんでこんなあったかいの…?
臣)え?


俺の腕の中に…潜り込んできて…


♡)気持ち良くて溶けちゃいそう…


甘えた声で…すり寄ってきた。


♡)へへ…♡あったかーい♡
臣)お前がな…w
♡)え?私?
臣)うん。めちゃめちゃあったけぇ。
♡)ほんと?
  …もうこんなくっついてたら
  どっちの体温かわかんないね///
臣)だな……


体温だって
きっともう…一つになってる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


トクン…

トクン…


幸せだなぁ…♡


臣くんの腕の中でまた
あたたかい鼓動に、耳を寄せる。


臣)なぁ…
♡)…ん?


臣くんの指先が
私の前髪をかき分けた。


♡)なぁに?
臣)…なんか歌って?
♡)え???
臣)お前の声、聴きたい。
♡)えっ?!えっ!?
  何それ!!?


急なお願いに、戸惑う。


臣)何って…
  俺だってたまに歌うじゃん。
♡)うん。


こうやってベッドでまどろむ時間や
寝る前…、起きた時…、

私がお願いすると
臣くんはいつも歌ってくれる。


臣)だからお前も歌ってよ。
♡)え~~~なんで~~~
  やだっ//


逆にお願いされると
なんだか恥ずかしくて…


臣)なんでだよっw
  じゃあ俺ももう歌わねぇかんなーー
♡)えっ…やだ!!
臣)じゃあ歌ってよ。
  こないだ…お前の歌
  初めて聴いて、びっくりしたもん。
♡)え…?


この間って…
岩ちゃんが来た時かな?


臣)俺、お前の声
  めちゃめちゃ好きだと思う。
♡)ほんと…?
臣)うん。マジ。
♡)…あ、ありがとう///


そんな風に言ってもらえると
思わなかった。


♡)じゃ、じゃあ臣くんから歌って!
臣)なんでだよw
  俺がリクエストしてんのに!
♡)だって聴きたいもん…
臣)あ~出た出た
  そうやって甘えてくるずるいやつ。
♡)へへ♡…お願い♡
臣)…何がいーの。
♡)んっとね、んっとね…
  じゃあミスチル~!♡
臣)…の、何?
♡)え~どうしよ…え~と…
  あ!『君が好き』!
臣)どんなんだっけ?
♡)え?そのままだよ?
  き~みが~好き~♪って。
臣)……
♡)あっ!歌わせたでしょ~!//
臣)ははっw
♡)もうっ//
  ……歌ってくれないの?
臣)……


『君が好き 僕が生きるうえで
 これ以上の意味はなくたっていい』


サビを途中まで歌った臣くんは
その後の歌詞がわからなかったみたいで
LaLaLaで歌ってくれた。


ベッドで歌ってくれる時は
ファルセットの部分が多いから

普段の歌とまた違って…好き。


臣くんの声が
キレイに深く響いて

胸がキューッてなる……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡)…臣くんの声好き…
臣)……

♡)臣くんの声好き。
臣)……

♡)臣くんの…
臣)わかったっつーの!!//

♡)あははw 照れてる♡
臣)ばーか//

♡)もっと聴きたい♡
臣)は?

♡)もっと~♡
臣)なんでだよ!


また可愛く甘えてくるし…


臣)お前歌ってくれんじゃねーの?
♡)ぶー…
臣)ふくれてもダメだし。
♡)…何がいいの?
臣)こないだのやつがいい。
♡)こないだ…『Happiness』??
臣)うん。
♡)……


♡がチラッと俺を横目で見てきた。


臣)なんだよ。
♡)なんか恥ずかしい…

臣)俺いっつも歌ってんだろw
♡)臣くんもこんな恥ずかしいの?

臣)いや?慣れてっけど…
♡)じゃあなんかずるい!不公平だ!//

臣)なんだよそれっw
♡)ぷん。

臣)はぁ?ぷんて何!
♡)ぷん。

臣)え…歌ってくれない気?
♡)……

臣)♡ちゃん、お願いします。
♡)…っw

臣)♡ちゃ〜〜〜んっ
♡)♡ちゃんてなにっ!w

臣)♡ちゃーんww
♡)そんなの最初しか
  呼んだことないでしょ~!

臣)そうだっけ?
♡)そうだよっ!


♡が「初めて会った時。」って言って
俺のほっぺたをつんつんしてきた。


♡)2回目からは臣くん、
  呼び捨てだったもん。
臣)そうだっけ。
♡)そう。


それは不服の申し立てですか?


臣)やだった?
♡)……


♡は少し黙って…

「やじゃないけどちょっとドキドキした//」

そう言った。


臣)ふーん♪
♡)なーに//


思わずニヤける口元。


臣)懐かしいなと思ってw


出会ったばかりの
必死だった自分を思い出す。


臣)……
♡)……
臣)で?
♡)え?


大きな瞳が俺を見上げた。


臣)う~た~!
♡)あっ
臣)歌って!!
♡)……わかったよぉ、もう//


観念した♡が、やっと歌ってくれた。


『I’m always gonna be with you
 守りたいの
 世界中で一番 キミのことが 大切なの』


ダイレクトに響く、
綺麗な音色。


『大好きすぎて 上手く言えないけど
 キミがいる それだけでいい
 ‘Cos いつでも
 You are my Happiness』


ああ…俺…

本当に♡の声が…たまらなく好きだ。


臣)……
♡)終わりっ//


♡がキュッとしがみついてきた。


臣)……めっちゃイイ…
♡)いい歌だよね♡


いや…そうじゃなくて…


臣)お前の声が。
♡)え…?
臣)いや、歌もいいんだけど…
  お前の声……
♡)……//
臣)やっぱすげぇ…好きだわ。
♡)……えへへ♡// 嬉しい♡


もっと早く…聴いとけば良かった。

ほんと…どストライクなんだけど…


♡)やっぱりこれ聴くと
  ドラマが蘇るよね♡
臣)あ?ああ、うん。
  歌詞とか…ピッタリだよな?
♡)そうなの!美咲とハチ~♡
  キュンキュンだよ~♡


二人で一緒に観てた
『ディア・シスター』。


臣)お前最終回、号泣してたもな?w
♡)臣くんだって
  泣きそうになってたでしょ~!
臣)いや、だって…
  あの岩ちゃんには心打たれるっしょ。
♡)うんっ!
  あ~もう一回観たくなってきた~!
臣)はははw
  ってか…お前これ、
  歌詞全部覚えてんの?
♡)これはね、好きで何回も
  聴いてたから覚えてるー♡
臣)そーなんだ。
♡)うん。
臣)これさ…
  「You are my Happiness」ってとこ…
♡)うん?


今、改めて思った。


臣)さらっと英語で歌ってるけど
  「あなたが私の幸せ」って…
  よくよく考えると…すごい意味だよな?
♡)~!!!
  そうなのっ!!!
  臣くんも思った?!!
  なんか…ね、深い…よね?
臣)うん。深い…
  究極っていうか。
♡)ねっ!ここすごく好き♡♡


そう言ってくれた♡に
もう少しおねだり。


臣)…もうちょい歌って?
  聴きたい。
♡)うん。


あれ?
今度は素直に歌ってくれた。


『誰よりもキミを守りたいの
 今日も明日もずっと 変わらないよ
 It’s never gonna change』


ああ…なんか…
染み渡る。


『大好きすぎて 上手く言えないけど
 キミがいて強くなれる
 ‘Cos いつでも You are my Happiness』


この歌詞は…


臣)2番?
♡)そだよー。
臣)やっぱいい歌だよな~
  好きだこれ。
♡)うんっ!♡


もっと聴きたい。

なんて言ったらさすがに贅沢?


♡の顔を覗いてみると
それに気付いた♡が

にっこり俺に、笑いかけてきた。


♡)この歌ね…最初は
  ドラマにピッタリだなぁって思って
  好きになったんだけど…
臣)うん。
♡)ちゃんと歌詞見るとね?
  私の気持ちにもピッタリだなって思って
  もっと大好きになったの♡
臣)え?


♡の気持ち…?


♡)大好きすぎて…
  いつも上手く言えないし
  …伝えるのが難しいんだけど…
臣)……
♡)世界中で一番大切で
  誰よりも…守りたいっていう気持ち。
  絶対ずっと変わらないよって。
臣)……


俺の頬に優しく触れながら
♡は笑顔でそう言った。


♡)えへへ♡
  ピッタリでしょ?//


無邪気にそう言う笑顔に…

俺は…


臣)刺さった。


めちゃくちゃジーンときて…


臣)ちゃんと伝わった。
  …ありがと。


そう言うと


♡)伝わったなら嬉しい♡


腕枕してる俺の腕をキュッとつかんで
♡がまた、笑った。


ああ…なんか…
愛しいな……


♡)でもね…
臣)ん…?

♡)私は臣くんが一番大切だけど
  臣くんの一番は私じゃなくていいの。

臣)え?

♡)臣くんは…仕事が一番大切。
  Love Dream,Happinessを
  一緒に伝える仲間が大切。
  Love Dream,Happinessを
  受け取ってくれる
  ファンの人たちが大切。

臣)……

♡)大切なものがたくさんある。
  守らなきゃいけないものが
  たくさんある。
  だから私は一番じゃなくていい。


真っ直ぐに俺を見て
♡はそう言った。



大切なもの…


それは一生変わらない。



Love Dream,Happinessを
伝えていくという使命。

かけがえのない仲間や…
いつも支えてくれるファンの人たち。

確かに守らなきゃいけないものは
たくさんある。



♡の事が好きなのに
こんなに好きなのに…

そんな事ないよって…
お前が何より一番大切だよって
俺はそうは言ってやれない。


胸が締めつけられるような
気持ちになった。


そんな俺の立場も
俺の気持ちも
全部わかってるみたいに

一番じゃなくていいって…♡は言った。


ひねくれてるわけでも
物分かりがいいフリをしてるわけでもなく
本心でそう言ってる。


♡がそんな風に思ってたなんて…
初めて知った。



臣)俺は…
  お前のことも大事。
♡)うん。

臣)すげぇ大事。
♡)うん。

臣)ほんとに…
♡)…うん、ありがとう♡


本当に本当に大事だって
好きなんだって

伝えたいのに上手く言えない。


そんな自分がもどかしい…


♡)臣くん…?
臣)…ん。

♡)あのね…、ほんとにね…
  この歌と同じなんだよ?
臣)……

♡)臣くんがいるから強くなれる…
  いてくれるだけで、それだけでいい。
臣)うん…

♡)臣くんのこと守りたいって思うし
  臣くんが大切にしてるものも
  一緒に守りたいって思うの。
臣)……

♡)ただ、笑っててほしい。
  ただ、幸せでいてほしい。
  それだけなの。
臣)……


そう言って微笑んだ♡の笑顔が
だんだんぼやけていった。


♡)本当に大好き。
  本当に大切。
臣)……

♡)一番じゃなくていいから
  私は臣くんの隣で
  臣くんの笑顔を守りたいの。
臣)……

♡)臣くんは私の幸せなんだよ♡
臣)…っ


ヤバい。


こんなの…泣ける。


色んな感情が一気にこみ上げてきて
心臓を掴まれたような感覚だった。


こんなこと言う女がいんのかよ…
なんでこんなに
俺なんかのこと想ってくれんだよ…


笑っててほしい
幸せにしたいって
俺だっていつも思ってる…
いつも思ってんだ。




涙に気付かれないように
俺は上を向いて顔を隠した。


でも…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡)臣くん…?


臣くんは何も言わずに黙ったまま

左手の甲を額に当てて
顔を隠してた。


でも…

…泣いてる__



♡)臣くん…
臣)…っ
♡)なんで…泣くの?
  ……ぐすっ


私が思わず泣くと
臣くんはびっくりした顔で
私を見た。


臣)なんで泣くんだよ!
♡)だって臣くん泣いてるもん…
臣)俺が泣いてたら泣くのかよ!w
♡)だって…
  臣くんが泣いてるとなんか悲しい…
  やだぁっ、ぐすっ…ううう…
臣)だぁっ!泣くな!もうっ!


臣くんが
私の涙を拭いてくれた。


♡)なんでぇ…
  泣いてるの臣くんでしょ!
臣)…そっか。
♡)そうだよ。
臣)うん。
♡)…
臣)…
♡)…もう!// 何それっw
臣)ふはっww
♡)あははっw


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


気付いたら俺たちは
二人して泣きながら笑ってた。


臣)なんだよこれw
♡)ほんとにねw
臣)…泣くの禁止。
♡)……
臣)泣かれんの一番ツライ。
  お前が泣いてると
  心臓止まりそうになる…。
♡)私だって同じだもんっ
臣)え?
♡)臣くんが泣いてたらやだ!
  心臓ギュってなる!
臣)…うん。
♡)悲しくなる。
臣)うん。
♡)だから泣くの禁止!
臣)ふっw
♡)なにっ!
臣)いや、俺、悲しくて
  泣いてたわけじゃねーよ?
♡)えっ?
臣)感動してたんだけど…
♡)…で、でも
  涙見るだけでギュってなる…
臣)そっか、それは俺も同じだわ。
♡)……
臣)笑っててほしいよな?
♡)うん。笑ってて…ほしい。
臣)大事だから…
♡)大事だから。
臣)…ってか…
  …俺たちなんなの?w
♡)あはっw
  ほんとだ!またこのかんじ…w
臣)あほだよね?
♡)あほだねー♡
  でもいいの。
  それだけ大好きなんだもん♡


そう言ってまた♡は
嬉しそうに抱きついてきた。


いつも笑っててほしい。

その笑顔を守りたい。

そんな気持ちが溢れてきて…


愛しいような…
切ないような…

いつも♡に感じてるこの感情…


好きで好きで好きで
言葉で伝えきれない、
自分でも持て余すくらいの愛情…


こんな言葉、実際に言う奴いるのかよって
俺が使う事なんて絶対ないって

前まではそう思ってたけど


やっとわかった。


きっとこんな時に使うんだ。

伝えきれない愛しさが
溢れた時…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣)…♡?


臣くんが優しく私の名前を呼んだ。


♡)なぁに?


臣)愛してる…



初めて耳にした言葉に
時が止まって…


頭が真っ白になって

臣くんの顔を見上げると…


私のまぶたに優しくそっと
唇が触れた。


♡)えっ、えっ、えっ!!
  ??????
臣)愛してるって言ったの。
♡)えっ、えっ、えっ!!
  ??????
臣)なに。
♡)だ、だ、だって…
  は、は、初めて聞いたんだもん。
臣)……
♡)生まれて初めて聞いた…


私がそう言うと…


臣)生まれて初めて言った…


すごく優しい顔で
私のおでこを撫でる指先。


♡)ど、どしたの…?
臣)どしたのって何だよっw
♡)だって…


急だったから…
びっくりして…


臣)なんか…
  「好き」じゃ足んねぇって思ったら
  自然に出てきた…
♡)……
臣)って言わせんな、そんなこと//
♡)…っ
臣)あっ!お前!
  禁止だっつったろ!!
♡)だって……ぐす…


そんな言葉が
自然に出てくるくらい

想ってくれてるのかなって思ったら…

嬉しくて…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


臣)あ~~もう…
  二度と言わねぇかんな…//
♡)えっ!!!!
  やだっ!!ごめんなさい!!


♡は慌てたように
俺にしがみついて…


♡)泣かないっ!


ぷっw

変な顔して必死に泣くの我慢してるし…
ばーか…


臣)ん…、、


俺はもう一度、♡を抱き寄せた。


重なるぬくもりが…心地イイ…



好きな気持ちに
限界ってねぇのかなって思ってたけど

『愛』は無償で無限だって
誰かが言ってた。


限界がねぇから『愛』なんだって
やっとわかった。



ーendー

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