(76)臣くんの告白

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集まってくれたみんなに
お礼を言って見送って、
俺らは最後に店を出た。
 
 
臣)タクシーでいいしょー?
♡)あ、うん!!
 
 
みんなにもらったプレゼントを抱えながら
♡と二人でタクシーに乗り込んだ。
 
 
♡の家の方が近いから
そこに向かってもらって…
 
♡の家に着いたら…
俺も一緒に降りるか、うん。
 
 
臣)……
 
 
なんか…
すげぇ色々あった一日だったな。
 
長かったような
あっという間だったような…。
 
 
……♡に…なんて言おう。
 
 
早く好きだって言いたいって
思ってたのに…
 
いざその時が近付いてくると、少し緊張。
 
 
予め考えとくのとか好きじゃないし
その時感じたままに言おうと思ってたけど
ちゃんと伝わるかな…。
 
 
でも…
 
今日一日一緒にいて
やっぱり好きだなって何回も思った。
 
ほんと…
好きなんだよなぁ……。
 
 
臣)……
 
 
ふと隣を見ると
すげぇ真剣な顔で外見たり俯いたり
なんか一人で百面相してる。
 
なんだ??
 
 
俺がそっと♡の手に触れると、
♡が飛び上がった。
 
 
♡)ほわぁっっ!!
臣)…っ
♡)な、な、なにっっ///
臣)いや、何でもない…ごめん。
♡)びっくりした…!///
 
 
そんなびっくりするか??
 
 
臣)あのさ…、
♡)な、なに??
 
 
と言いながら
なぜ俺から離れる。
 
 
臣)……
 
 
そう言えばこいつ、
朝のタクシーでもなんか変だったよな。
 
俺…すげぇ避けられてた気がする。
 
 
臣)……なんか変。
♡)えっ!!
臣)お前。
♡)…へ、変じゃないしっ!!
臣)……
 
 
やっぱり変じゃん。
 
 
♡)////
 
 
俺と目、合わさないし。
 
 
臣)……まぁいいや。
  俺さ、お前んちで一緒に降りていい?
♡)えっ!!
  ……う、うん…っ
  降りて…ください。
臣)???
 
 
何でだろうとか思ってんのかな?
 
降りてくださいってなんだ???
 
 
運)こちらでよろしいですか?
臣)ああ、はい。
 
 
♡のマンションの前に着いて、
タクシー代を払って
そのまま一緒に車を降りた。
 
 
臣)ちょっと話したいから公園行かない?
♡)こ、公園??
臣)うん、そこの。
♡)は、はいっ!!わかりました!!
臣)……
 
 
なんかきょどってんだけど…
さっきからどうした…?
 
 
臣)花火した以来だなーここ。
♡)そ、そうだねっ!!!
 
 
いつものベンチに座ったけど、
やっぱり♡の様子が変で。
 
 
臣)……
 
 
♡のほっぺに手を伸ばすと、
勢いよく逃げられた。
 
 
♡)な、なにっ///
臣)何って…
♡)~~~///
臣)なんでそんな逃げるし。
♡)だ…って…///
 
 
またベンチの端まで逃げられたんだけど。
なんで?
 
 
臣)戻ってきて。
♡)……///
臣)ここ。
♡)……///
 
 
俺が隣をトントン叩くと
♡は躊躇いがちにおずおずと戻ってきた。
 
 
臣)……
♡)////
 
 
俺がじっと見つめると、
パッと目を逸らされて。
 
 
なんだよーーーー
 
 
臣)……
 
 
つーか…
やべぇ…
 
なんか…緊張してきた…
 
 
うーーーーん……
 
 
臣)……
♡)……
 
 
よし。
言うか。
 
 
臣)あのさ…
♡)…っ!
 
 
俺がそう言いかけると、♡がぴくんと動いて。
 
なんかまた、逃げられそうな予感。
 
 
臣)大事な話したいから聞いてくれる?
♡)えっっ!!!
 
 
そう言って俺は、♡の手を握った。
 
 
♡)大事な…話?!!
臣)うん。
 
 
なんでそんな驚くし。
 
 
♡)あ、わ、私…っ、私もえっと…
  え…????
臣)どうした。
♡)あ、ううん!!
  えっと…何でもない…です!!
  聞く!!!
臣)……
♡)聞きますっ!!!
臣)うん。
 
 
なんか言いかけなかったか…?
 
つーか…
そんな気合い入れられても
緊張すんだけど…
 
 
臣)……
 
 
ドキドキ…
 
 
臣)……あの、さ…
♡)……
 
 
繋いでる手まで…ドキドキしてる…。
 
 
俺は気持ちを落ち着けるために
一度大きく、息を吸った。
 
 
……よしっ!
 
 
臣)……
♡)……
臣)…もう…わかってると思うけど
  俺…お前のこと、好きだよ。
♡)……
臣)……
♡)……えっ!!!!!
臣)え…?
 
 
そんな…驚く??
 
 
ワンテンポ遅れて返事をした♡は
目を丸くしてて。
 
 
♡)え…、え…、…っ
臣)…っ
 
 
まさか…
気付いてなかったんじゃ…
 
まさかだよな?
そんなわけねぇよな?
 
 
臣)わかってた…よな?
♡)え、え、…あの…えっと…
臣)ずっと好きだったけど。
♡)え…っ
臣)……
♡)……
臣)だから…
♡)……
臣)好きだから…
  付き合って欲しいんだけど…
♡)……っ
 
 
俺の言葉に
♡は何も言わずに、俺を見つめてきた。
 
 
臣)……
 
 
俺は♡の手を握ったまま…
前のブランコに視線を移した。
 
 
臣)……ずっと…好きだった。
  多分、初めて会った日から。
♡)……っ
臣)あん時は…
  勢いで付き合ってって言っちゃって
  …ごめん。
♡)……
臣)でも…ほんとに…
  軽い気持ちとかじゃなくて
  なんつーか、
  本能的にそう思ったっていうか…
♡)……
臣)お前のこと、離したくないって思って
  ああ言った。
 
 
条件反射みたいだった。
 
 
臣)でも…俺のこと…
  まだ全然知らないしって言われて
  確かにそうだよなって思って…。
♡)……
臣)俺もお前のこと
  まだ全然知らなかったから…
  もっと知りたい、
  知っていきたいって思って…
♡)……
臣)それから色んなお前見てきてさ、
♡)……
臣)新しい一面とか知る度に…
  やっぱ好きだなって思って…
  ……何回も思って…。
♡)……
臣)すげぇ好きなの、お前のこと。
 
 
伝わるかな…
こんなに好きだって。
 
 
臣)……
 
 
もう一度♡を見ると、
♡はただ静かに俺を見つめてて…
 
重なる視線。
 
 
臣)……
 
 
好きだ。
 
お前が好きだ。
 
 
繋いでる手に…少し力が入る。
 
 
伝わってほしくて…
届いてほしくて…
 
 
臣)…お前ってさ…、
  いっつも笑ってて…
  いっつもニコニコしてて…
  お前が笑ってんの見てるだけで
  なんか俺まであったかくなる。
♡)…っ
臣)お前が泣いてた時…、
  何も出来ないのがすげぇもどかしくて…
  お前が笑うなら何でもしてやるって
  …そう思った。
 
 
屋上でお前を抱きしめた時、
ほんとにそう思ったんだ。
 
 
臣)この先も…
  お前が泣く時は
  側にいてやりたいって思ったし…
♡)…っ
臣)お前が笑ってるなら…
  隣でそれを見てたいって、そう思うし…
♡)……
臣)お前はすぐ無茶するから…
  そんな時は俺が守りたいって…
♡)……
臣)とにかく…
  お前の側にいたいってこと!
♡)…っ
 
 
そう言い切って、♡の方を見ると…
♡の目が潤んでる気がした。
 
気のせい…かな。
 
 
臣)今日もさ…、
  一日お前と一緒にいれて…
  すげぇ楽しかった。
♡)……
臣)お前といるとほんと飽きないしw
♡)……
臣)なんかさ、一緒に寝っ転がった時も
  思ったんだ。
♡)……
臣)あんな風に空眺めたりして…
  じーちゃんばーちゃんかよって
  思ったけどw
♡)……
臣)でも…いつか…、そんな風に歳取っても
  隣にいてほしいなって。
 
 
ずっと一緒にいたいって、そう思った。
 
 
臣)…あのおじいさんにも言われたんだ。
♡)……
 
 
限りある時間を…
二人でいられる時間を…
笑い合える時間を…
大切に過ごしてください…って。
 
 
臣)……
 
 
俺は…
そんな時間を…
 
♡と一緒に過ごしたい。
 
 
臣)ずっと思ってたけど、
  今日改めて思って…。
♡)……
臣)やっぱり俺はお前のことがすげぇ好きで…
  お前の隣にいたい、
  お前に隣にいてほしいって…
♡)…っ
臣)……だから…
 
 
俺は真っ直ぐに♡を見た。
 
 
臣)俺と付き合って。
 
 
……♡は…
目にいっぱい涙を浮かべてる。
 
 
臣)……俺…こういう仕事だし…
  お前に迷惑かけたりもするかもしんない。
♡)……
臣)今日みたいにファンに見つかったり…
  堂々と出かけらんなかったり…
♡)……
臣)他にも…お前に嫌な思いさせること
  たくさんあるかもしれない。
♡)……
臣)お前が…傷ついたりすることも
  あるかもしれない…。
♡)……
臣)でも…、それでも…っ
♡)……
臣)俺といて良かったって、
  お前に思ってもらえるくらい…
  …絶対後悔させないくらい、
  俺、お前のこと大事にするから…っ
♡)……っ
臣)絶対大事にするから…
♡)……っ
臣)だから…俺と付き合って下さい。
 
 
……やっと言えた。
 
俺の気持ち、全部。
 
 
嘘なんか一つもない。
 
全部俺の本心で。
 
 
♡)……っ
 
 
♡は何も言わずに、
その目から大きな涙をたくさんこぼした。
 
 
臣)…っ
 
 
涙は次々にぽろぽろと溢れてきて…
 
 
臣)なんで…
♡)…っ、う…っ、……っ
 
 
なんで泣くんだ??
 
 
♡)お…み…くん…っ
臣)…うん……、
 
 
♡の涙を拭ってやるけど…
 
拭いても拭いても、溢れてくる。
 
 
♡)臣くん…っ、あり…がとう…っ
  ごめん…ね…っ
臣)……
♡)ごめ…んね…っ、…っ
臣)え……
 
 
ごめんねって何?!
 
 
それは…
 
気持ちに応えられなくてごめんってこと?
 
俺、フラれる??!
 
 
♡)……っ、…うっ…
臣)…っ
 
 
気持ちに応えられないから泣いてんのか?
そういう意味の涙!?
 
 
どうしよう…
 
俺じゃ…ダメなのか?
 
なんで……
 
 
臣)♡…
♡)ほんとに…ごめんね…っ
臣)…っ、…ごめんって…何が…
♡)私…っ
  言葉にするのが…下手だから…
  ちゃんと考えてから…話してもいい?
臣)え…?
♡)…時間もらってもいい?
臣)……っ
 
 
それは…
ちゃんと考えて断らないと
俺が傷つくからとか…
 
そういうこと?
 
 
臣)……待って。
♡)…え…?
臣)お前がどう思ってんのか聞かせて。
♡)……っ
 
 
それがわかんないと、どうしようもない。
 
 
♡)ごめん…ね…
臣)…ごめんじゃなくて…、
  お前は…俺のこと、どう思ってんの?
♡)…っ
 
 
まだ泣いてる♡の手をギュッと握ると…
 
その手をそっと、離された。
 
 
♡)…ごめんなさい…
臣)…っ
 
 
♡の手が離れて…
 
ごめんなさいって言われて…
 
 
俺はもうそれ以上、何も言えなかった。
 
 
臣)……
 
 
♡が立ち上がったから
俺も立ち上がって…
 
 
会話もないまま、
マンションの前まで一緒に歩いた。
 
 
臣)……
♡)……
 
 
どうしたら…いいんだろう。
 
 
♡)…臣くん…今日は…
  いっぱいいっぱいありがとう。
臣)え…?
 
 
俺の方を振り向いた♡が
潤んだ瞳でそう言った。
 
 
その言葉がなんか…
もう会えないみたいな感じにも聞こえて…
 
 
臣)…っ
 
 
そんなこと…ないよな?
 
 
臣)……俺こそ…ありがとう…。
♡)ううん…
臣)……
 
 
なんか…
このまま別れたら、♡が遠くなりそうで…
 
離れたくない。
 
離したくない。
 
 
俺は思わずまた、♡の手を掴んだ。
 
 
臣)…っ
 
 
俺を見つめ返す、♡の瞳。
 
 
臣)俺の気持ち…ちゃんと伝わった?
♡)……
臣)……
♡)…うん。
 
 
うんって言われたら…、もう何も言えない。
 
 
♡)…おやすみなさい。
 
 
小さくそう呟いた♡に、
 
 
臣)おや…すみ…。
 
 
ただそう返事するしか出来なくて。
 
 
俺はそっと、…♡の手を離した。
 
 
臣)……
 
 
ぺこっと頭を下げてマンションに入っていく
♡の背中を見つめながら…
しばらくその場に立ち尽くして。
 
 
それからまたいつもの道を歩き始めたけど…
 
 
臣)……
 
 
……ダメだ、よくわかんねぇ。
 
 
…俺、フラれんのかな…?
 
 
ごめんって…
そういうことだよな?
 
 
臣)……
 
 
俺の気持ち…
ほんとにちゃんと伝わったのかな。
 
 
……逆に…
 
伝わりすぎた?
 
 
臣)…っ
 
 
なんか…
プロポーズみたいなこと
言っちゃった気がするし…
 
俺の気持ちが重くて、引いたとか…?
 
 
私あなたのこと
そこまで好きじゃありませんよー的な?!
 
 
臣)……
 
 
それとも…
俺が仕事の話したから…
 
色々想像したら、
やっぱり嫌になったとか…?
 
 
臣)…っ
 
 
わかんねぇっ!!
 
 
……はっ!!!
 
もしかして…
 
 
俺が今日虫にビビりすぎて
こんな男、嫌だとか思われた?!!
 
 
どうしよう…っ
 
でも無理なもんは無理だし…!!!
 
 
それか……
 
 
臣)!!!
 
 
俺が調子乗って
広臣って呼ばせすぎて…
 
こんな変態いやーーっ!!
とか思われた?!!
 
 
臣)……
 
 
他に思い当たること……、
 
 
…あ。
 
 
そう言えばあいつ…、
朝から態度変だった。
 
 
ぎくしゃくっていうか
俺のこと避けてるカンジで…
 
 
臣)…っ
 
 
もしかして…
今日のデートも、ほんとは困ってたとか…?
 
 
誕生日だから断れなかったけど
勘違いしないでねー私違うんですー的な!?
 
 
臣)……
 
 
「時間もらってもいい?」って…
どれくらいなんだろ…。
 
 
今日一日ってこと?
じゃあ明日返事するってこと?
 
それとも…
一週間とか…、一ヶ月とか…???
 
 
時間もらって何を考えるんだ?!
 
 
だって…俺のこと好きなら
何も考える必要ないわけで…
 
考えなきゃいけないってことは、
断る理由だよな…?
 
 
俺、やっぱりまたフラれんの?!
 
 
臣)…っ
 
 
あいつ…泣いてた。
すげぇ泣いてた。
 
 
俺が…泣かせたんだよな…。
 
 
うあ~~~~!!!
 
ダメだ。
 
もう頭から離れねぇ!!!!!
 
 
ダメならダメでそう言ってくれりゃあ
また次の方法考えれんのに
 
保留って一番困る!!!
 
 
あいつが何考えてんのか
全然わかんねぇ!!!
 
 
臣)はぁ…っ
 
 
モヤモヤしたまま家に帰って来ると、
朝飾った花がリビングを明るくしてた。
 
 
臣)……
 
 
オレンジ色の花。
 
 
優しくてあったかい
太陽みたいなイメージって
そう言われたけど…
 
 
俺にとってはあいつが
太陽みたいなもんなんだ。
 
 
一緒にいるだけで…
 
心があったかくなって、
気付いたら俺も笑顔になれてる。
 
 
側にいたい。
 
ずっと…。
 
 
こんな女…あいつしかいない。
 
 
臣)はぁ…
 
 
俺…、絶対諦めねぇっ。
 
 
 
 
 
ーendー

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