(49)キスしたくなる?

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それから賢司くんが最後のビールを飲んで
みんなでお会計を済ませると
丁度臣くんが入ってきた。
 
 
賢)おつ!!
さ)おかえりーw
臣)ただいまw
 
 
わ…わ…
臣くんだ…///
 
 
臣)よ。お疲れ。
 
 
臣くんに頭をポンッてされた。
 
 
♡)////
 
 
どうしよう…
なんか顔が見れない…///
 
 
賢)じゃあそろそろ行きますか。
さ)そだね。臣くん来たし。
賢)ごちそうさまでしたー!
店)ありがとうございましたー!
 
 
店の外に出ると、風が冷たくて。
 
お酒であたたまった身体も
一気に寒くなる。
 
 
賢)今度はゆっくり飲もうぜ。
臣)うん。落ち着いたらな。
さ)臣くんプレゼントほんとありがとね!
臣)おう。
賢)じゃあ俺ら行くわ。
さ)臣くん仕事頑張ってね!!
臣)ありがと。
賢)じゃあまたな!
臣)ん。
さ)♡もまたね!
♡)うん!!
 
 
二人は駅に向かって歩いて行った。
 
 
臣)じゃあ行きますか。
♡)えっと…
  ほんとに送ってくれるの?
臣)いや、そのために
  戻ってきたんだっつーのw
♡)あ…ありがと…///
臣)ん。行くぞ。
♡)はいっ!
 
 
わ…わ…
なんか緊張する…
 
昨日電話で普通に話したのに…
 
 
だって…
 
先週いっぱい泣いちゃってから…
臣くんにぎゅってしてもらってから
 
初めて顔合わせるんだもん///
 
 
臣)なんか大人しいな。
♡)えっ!!
臣)飲み過ぎた?
♡)全然だよ!
臣)そ?
♡)うんっ!!
臣)今日…急な仕事だったの?
♡)あ、うん!そうなの!
臣)そっか。
♡)急いで来たら…
  臣くんもういなくて寂しかった。
臣)え??///
♡)…はっ!
  あ、違う、えっと、なんでもない!///
 
 
わ、わ、私何言ってるのー!!///
 
 
臣)俺も今日会えないかと思った。
♡)…っ
臣)良かった。顔見れて。
♡)……///
 
 
ドキン…
 
ドキン…
 
 
臣)♡?
♡)え…っ、なぁに?///
臣)いや、下ばっか向いてっから。
♡)あ…ごめんなさいっ
臣)??
 
 
どうしよう…
なんか意識しちゃう…///
 
 
ドキドキ緊張しながら
必死に話題を探して…
 
 
♡)臣くんはどうだったの?今日!
臣)え??
♡)クランクイン!撮影したんだよね?
臣)ああ、したよー?
♡)包帯だらけで?
臣)そうw
  なんか…色んなことが初めてづくしで
  すげぇ新鮮だった。
♡)そうなんだ…
臣)うん。
♡)私までドキドキ…
臣)なんでだよ!w
♡)だってーー!!
 
 
臣くんの初めての映画だもんっ
 
 
臣)明日もまた撮影。
♡)朝から?
臣)うん。
  今日雨で途中までしか撮れなかったから
  明日は晴れるといいなぁ~
♡)明日は何のシーン?
臣)予定ではトオルからバイクもらうシーン。
♡)ほんとに順番バラバラなんだね!
臣)うん。
  あ、トオル役のさ、
  鈴木亮平くんってわかる?
♡)わかるよー!
臣)その人さ、俺がアパレルやってた時の
  お客さんなの。
♡)え!!鈴木さんが?!!
臣)そうw
♡)ええ!すごーい!!
 
 
そんな偶然、あるの??
 
 
臣)すごいよな。
  俺もめっちゃびっくりしたw
♡)すっごい巡り合わせだね!!
臣)うん。
♡)え、え、じゃあ
  鈴木さんに服を売ってたの?
臣)そう。
♡)えー!鈴木さんもびっくりじゃない?
臣)うん、明日ちょっと楽しみw
♡)わ~わ~!すごーい!!
臣)はははw
♡)…はっくしゅん!
臣)寒い…?
♡)ううん、大丈夫だよ!
臣)……
 
 
私が手と手を擦り合わせてると、
 
臣くんは近くの自販機まで行って
お金を入れた。
 
 
……ガコン。
 
 
臣)ん。
♡)え??
臣)やる。
♡)……
 
 
目の前に差し出された、
あったかいお茶。
 
 
♡)臣くんは??
臣)俺はいい。
♡)え…えっと…ありがとう///
臣)ん。
♡)いただきます。
 
 
夜の風が冷たくて
ほんとは少し寒かった。
 
 
臣くんにもらったお茶は
すごくあったかくて…
 
一口飲んでから、両手で缶を包んで。
 
 
えへへ…あったかい♡
 
 
臣)でも俺… 
  年末までマジで休みナシw
♡)え!一日も?
臣)うん。さっき来月のスケジュールも見たら
  一日もなかったw
♡)わぁ…
 
 
ほんとに…忙しいんだ。
 
 
臣)お前も12月とかはやっぱ忙しいの?
♡)あっ!そういえば私ね?
  今日、新しいプロジェクトに立候補して…
臣)うん。
♡)私もしばらく土日返上だと思う!
臣)おお!そうなの?!
♡)うんっ!
臣)そんな大変なプロジェクト?なの?
♡)うん。
  私の実力なんかじゃ…
  全然間に合わないような仕事。
臣)でも…立候補したんだ?
♡)うん…。
 
 
大変だってわかってるけど…
 
 
♡)自分の実力以上の仕事だから
  すごく不安だけど…
  でも絶対成長できると思うから
  やってみたくて…
臣)……すげぇ前向きw
 
 
臣くんがふわっと笑った。
 
 
臣)自分の実力以上のステージってさ…
  プレッシャー半端ねぇし
  ほんと大変だと思うけど…
♡)……
臣)自分の実力相応のステージより
  2倍の速さで成長できると思う。
♡)ほんと…?
臣)うん。俺が保証するw
♡)……
 
 
2倍の…速さ…
 
 
臣)俺らが…
  俺が…そうだったから。
♡)臣くんが?
臣)うん。
♡)……
臣)俺らはさ…
  最初…実力も経験も何もないのに
  J Soul Brothersっていう
  名前だけが先行して…
  用意してもらえるステージも
  全然俺らの実力に合わないような
  でかいステージばっかりで…
♡)……
臣)それでも与えられたもんは
  こなしてかなきゃなんない。
  実力も伴ってないのに…
  そんなこと言ってらんない…
  やんなきゃなんねぇ。
♡)……
臣)無理矢理こなしていく度に
  自分の実力のなさを思い知らされる。
  そんな悔しくてやるせない思いの
  繰り返しでさ。
♡)うん…
臣)一回LIVE終わったあと…
  マジで悔しすぎて
  家帰ってきて一人で泣いたことあるw
♡)え!!臣くんが??
臣)うん。
♡)…っ
 
 
そんなことがあったんだ…
 
 
臣)しかもその後、血尿出たw
♡)ええっ!!!
臣)はははw
♡)それだけ…ストレス…っていうか…
  負担だったってこと??
臣)わかんねぇけど…
♡)……
 
 
今は笑ってるけど…絶対辛かったよね…
 
 
臣)でも…そういう悔しさがバネになったし
  ぜってぇもっと上手くなってやる、
  ぜってぇこのステージに
  見合うだけの力つけてやるって…
  がむしゃらに頑張れたし。
♡)……
臣)今もまだまだだけどさ、
  そういう経験ですげぇ成長出来たなって
  自分でも実感出来てるから…
♡)……
臣)だからお前も
  絶対成長出来ると思うよ。
♡)私も…?
臣)うん。
  自分で頑張りたいって…
  成長したいって思って、決めたんだろ?
♡)うん。
臣)だったら尚更。
  
 
臣くんはそう言って、
すごく優しい顔をして笑った。
 
 
♡)……
 
 
臣くん…前にも
絶対負けない、絶対諦めないって
何度も思ったって言ってたけど…
 
そんな悔しい思いを重ねてきたんだ。
 
 
それでも…
絶対諦めないで頑張ってきた人。
 
努力し続ける人。
 
 
笑える強さを、持ってる人。
 
 
すごいなぁ…
 
 
♡)……
 
 
臣くんの背中を見つめながら
そんなことを考えてると
 
臣くんが自販機の前でまた立ち止まった。
 
 
ガコンッ。
 
 
♡)??
臣)ん。
 
 
臣くんは私が持ってたお茶を取り上げて…
 
 
♡)え?
臣)はい。
 
 
今買った新しいお茶を渡してくれた。
 
 
♡)…あ、…あったかい。
臣)うん。
 
 
臣くんはニッコリ笑ってまた歩き出した。
 
 
♡)え…?
 
 
もしかして…
 
お茶がぬるくなってたから
またあったかいの買ってくれたの…?
 
 
♡)……///
 
 
臣くん…優しすぎるよぉ…///
 
 
♡)臣くんっ!
 
 
私はすぐにその背中を追いかけた。
 
 
♡)ありがとうっ!
臣)何がー?
♡)お茶…っ!
臣)別に? 
  俺も飲みたくなっただけだし。
♡)……っ
 
 
嘘つき…///
 
 
それに、そっちはもうぬるくなった
飲みかけのお茶だもん…
 
 
♡)……ありがとう///
 
 
臣くんの優しさが…
手の中のお茶みたいにポカポカあたたかい。
 
 
♡)私、新しい仕事頑張る!!
臣)うん。
♡)絶対頑張る!!
臣)うんw
 
 
成長できると思うよって、
臣くんが言ってくれて嬉しかった。
 
 
♡)臣くんありがとう♡
臣)何が?
♡)色々…♡
臣)何だよそれw
♡)えへへ…///
 
 
だって…
臣くんと一緒にいると
なんでも頑張れる気がしてきちゃうんだもん!
 
 
 
臣)あ、そーいやさ、聞いた?賢司の話。
♡)あ!聞いたっ!!
臣)すげーよなーー
♡)うん!!
臣)めでたいよなーー
♡)うん!!
臣)いいよなーー
♡)うん…
 
 
いいよな…って…
羨ましいのかな…?
 
 
臣)やっと振り向いてくれた時って
  どんな気持ちなんだろ…
♡)え??
臣)いや…賢司さ…
  ずっと好きだったじゃん?
♡)うん。
臣)……
♡)……
 
 
えっと…えっと…//
 
 
臣)あいつ…なんて言ったんだろ。
♡)え?
臣)え?
♡)聞いてないんだっけ?
臣)うん。聞いたの?
♡)うん!
臣)え、教えてよ!
♡)もうすっごくドキドキしちゃった!!
臣)そうなの?!
♡)うん!だってね?…はっ…
臣)だって?
♡)えっと…
臣)なに?
♡)やっぱり内緒//
臣)なんで!
  教えてよ!気になるわ!w
♡)だって…恥ずかしいもん///
臣)何が!w 賢司の話だろ?
♡)そうだけど…
臣)何?あいつそんな
  恥ずかしいことしたの?w
♡)うん///
臣)おーしーえーて~~~
♡)えっと…
臣)……
♡)えっと…//
臣)……
♡)…お前が好きだー!!って言って…
臣)おおお!!
♡)す、す、好きだから
  キ、キ、キスしたいって言って…
臣)えっ!!!
♡)……///
臣)賢司が?!
♡)うん。
臣)それで?!!
♡)嫌ならよけろって言ったんだって///
臣)うおいっ!!それで?!
♡)よけなかったから、そのまましたって…
  うわーん!!恥ずかしい~!///
 
 
話してる私の顔が熱くなってきちゃった…///
 
 
臣)すげぇなあいつ!!w
  俺まで恥ずかしいわ!!w
♡)聞いててキュンキュンしちゃったもん///
臣)キュンキュン?
♡)うん///
臣)確かに。やべーなそれ…。
♡)ね…///
臣)よけなかったってことは
  キスしていいってことでしょ?
  そんなんもう一回じゃ止まんねぇな。
♡)え!!
臣)キス。
♡)あ…、もっかいしたって言ってた///
臣)やっぱりw
♡)ふぁ~~恥ずかしいっ///
臣)つーかよくあいつそんなこと話したなw
♡)すっごい照れてたよw
臣)でしょうねw
♡)うん。
臣)うあ~~~
  でもいいなぁ~~マジで。
♡)え?
臣)くっそ~~~ 
  なんだよそれぇ~~~
 
 
いいなぁ…って…
臣くんも…したいってこと??
 
キス…
 
 
ってそういう意味じゃないか!!
 
わわわ…っ///
 
 
好きな子と付き合えたのが
いいなぁってこと…?
 
えっと…それはつまり…
 
 
わわわ…っ///
 
 
わ~~~ん!!!
やっぱりダメ!!!
 
ドキドキして変に意識しちゃう!!!
 
 
臣)あ、またあっという間だった。
♡)あ…、
 
 
最後の曲がり角を曲がって
私のマンションが見えた。
 
 
臣)なんであいつの話聞いて
  キュンキュンしなきゃなんねぇんだよ。
  くそー。
♡)あはははw
  でもキュンキュンしちゃうよね♡
臣)お前は何にキュンキュンしたわけ?
♡)え??……え…っと…
 
 
え、え、何に??…って何?///
 
 
♡)だって…
  好きだから…キスしたい
  なんて言われたら…
臣)……
♡)ドキドキ…するでしょ?///
臣)…キスしたくなんの?
♡)え??
臣)そう言われたら。
♡)そう…言われたら…?
 
 
…したく…なる…??
 
は!!そう言えば!!
 
この間…Jさんに言われた気がする!!
 
 
言われたからって…
キスしたく…
 
 
♡)ならない!!
臣)え??
♡)全然ならなかったもん!!
臣)はい??
♡)やだぁっ!!
臣)え…っ
♡)…っ
 
 
はっ…
 
 
臣)お前…言われたの?
♡)…っ
臣)誰かに。
♡)え、え… 
  い、言われて…ないっ、もん…
臣)出た。
♡)え??
臣)嘘ついてるとすーぐわかる。
  下手くそ!
♡)えっ、えっ、へたくそって…!!
臣)わかりやすいんだよ!ばーか!!
 
 
ばかって言われた…!!
 
 
臣)どこのどいつに
  んなこと言われてんだよ!
♡)…っ
臣)好きだからキスしたいとか!
♡)言われてないってば!
 
 
そう言って誤魔化したけど…
 
 
臣)プロポーズの男かよ。
♡)えっ!!!
 
 
そう言われて、びっくりした。
 
 
♡)何で…知ってるの!?!
臣)さくちゃんに聞いたし。
♡)えっ!!!
 
 
どうして…っ
 
 
臣)くそ…
♡)…っ
臣)そんな男と二人になんなよ…
  無理矢理されたらどーすんだよ!
♡)無理矢理はしないって言ってたもん!
臣)え?
♡)あ…っ
 
 
しまった。
 
 
臣)じゃあやっぱり
  したいって言われたんじゃん。
♡)…えっと…
臣)くっそー
  なんだよそいつ。
  すげぇムカついてきた…
 
 
あわわ…っ
 
 
♡)…っ、やだもん!!
臣)は?
♡)やだって言ったし
  二度と二人にならないもん!!
臣)…っ
♡)「好きだからキスしたい」
  なんて言われても
  絶対やだもん!!
 
 
だから…
そんな顔、しないで…。
 
 
臣)さっきは…
  ドキドキするって言ったじゃん。
♡)え??
臣)そう言われたら。
♡)…っ
 
 
えっと…
 
だって…
 
 
♡)…それは…
  好きな人に言われたらって
  意味だもん///
 
 
Jさんは違うもん…。
 
 
臣)……
♡)……
 
 
あれ…?
私…なんか変なこと言ったかな…
 
臣くんが…
私をじっと見てる…。
 
 
臣)俺が…言ったら…
♡)え…?
臣)やなの?
 
 
………え?
 
 
♡)……
 
 
そう言った臣くんをじっと見つめてたら…
 
私の頬にそっと触れた、
臣くんの手のひら。
 
 
♡)…っ
 
 
え…、え…、…っ
 
 
ドキン…
 
ドキン…
 
 
♡)…っ///
 
 
心臓がおかしくなっちゃう!!
 
 
♡)や、やだぁっ!!!!
 
 
ドンッ!!
 
 
臣)え…っ
♡)絶対やだぁっ!!////
 
 
私は臣くんを突き飛ばして
そのままダッシュでマンションまで走った。
 
 
♡)…っ///
 
 
わ、わ、わ…
 
何今の…っ
 
わ~~~~!!!////
 
 
ほっぺ、触られた!!
 
 
♡)…っ
 
 
え、え、キスしたいって意味??///
 
 
え??え???
 
 
♡)////
 
 
もうわかんないっ!!
 
やだぁっ!!////
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
臣)……
 
 
また…逃げられたんですけど…
何これ…
 
 
つーか…
絶対やだって言われたんですけど…
 
 
ちょっと触っただけで…
別に無理矢理キスしようと
したわけでもねぇのに…
 
 
そりゃしたいけど!!!
 
あわよくばしようとしたけど!!!
 
 
でも…ちょっと触っただけで
あのリアクション…。
 
 
俺にキスされんのは
絶対嫌なのかよ…。
 
 
臣)……
 
 
ショックすぎて
しばらく放心しながら
帰り道を歩いてると、
 
半分くらい折り返したところで
電話が鳴った。
 
 
臣)あ…、
 
 
♡からだ。
 
 
臣『もしもし。』
♡『…もしもし。』
臣『……』
♡『臣くん…ごめんなさい。』
臣『え??』
 
 
急に何?
ごめんなさいって??
 
俺、告白もしてないのに
まさかフラれんの?!
 
 
♡『臣くん…折角送ってくれたのに…』
臣『……』
♡『お茶も…買ってくれたのに…』
臣『……』
♡『なのに…』
 
 
好きじゃないとか
もう会いたくないとか…
まさか言われる??
 
どうしよう!!
 
 
♡『…逃げたりして…ごめんね?』
 
 
え…?
 
 
♡『突き飛ばしたりして…
  ごめんなさい…』
臣『……』
♡『怒ってる…?』
 
 
いやいや、怒るとかじゃなくて
普通に傷ついたけど…
 
 
♡『ごめんね?』
臣『……』
♡『ほんとに…ごめんね?』
臣『…ん。』
 
 
そんなに謝られても…
なんか虚しい…。
 
 
♡『それから…プロポーズの人だけど…』
臣『……っ』
♡『私、なんとも思ってないから!!』
臣『……』
 
 
ほんとに…?
 
 
♡『ちゃんと断ろうと思ってるし
  キスだって…されたら絶対やだって思ったし
  もう二人になったり…ほんとにしない!!』
臣『……』
♡『だからその人のことは忘れて!!』
 
 
忘れてって…
無茶な注文だな…オイ…
 
 
♡『それから…
  さっき…
  絶対やだって言っちゃって…』
 
 
傷をえぐりますか…お嬢さん…
 
 
♡『…ごめんね?』
臣『……』
 
 
そんな何回も謝らないで…
 
 
♡『嫌なんかじゃないから…』
臣『え?』
 
 
なんだって?!
 
 
♡『なんか…えっと…
  いっぱいいっぱいで…
  思わず逃げちゃったけど…///
  えっと…』
臣『嫌じゃないって…
  俺が…?キスが?』
♡『え???』
 
 
俺の質問に、♡は一瞬止まって。
 
 
♡『あっ!え…っ!わっ!!///』
臣『どっち?』
♡『わ、わかんないっ!!やだっ///』
臣『え…っ』
 
 
結局嫌なの!?
どゆこと?!!
 
 
♡『えっと!それ…だけ!謝りたくて…
  ごめんなさい!!!
  それじゃあおやすみなさい!////』
 
 
ピッ。
 
 
え!!切られた!!!
 
 
臣)…っ
 
 
なんだよ今の…
言い逃げかよ!
 
 
臣)……
 
 
謝るために…
嫌じゃないって言うために
わざわざ電話してきたのかな…
 
 
でも、最後はやだって言われたし…
 
どっちやねん…!!
 
 
臣)…っ
 
 
ちょっと…落ち着こう、うん。
 
 
よし!
 
一番都合のいい解釈してみよ!!
 
 
ええと…
あいつは俺のことが好きで…
 
だからプロポーズ男のことも
俺に誤解されたくなくて
必死で言い訳して…
 
ほんとは俺にキスされても
嫌じゃないのに
恥ずかしくてついつい逃げ出した…とか。
 
 
臣)……///
 
 
って都合良すぎだろ!
アホか俺!!!///
 
 
臣)…っ
 
 
そんな勝手な解釈なんて…
簡単によみがえる
さっきの「絶対やだ」と
突き飛ばされた感覚で
一瞬で打ち消される…。
 
 
じゃあ…最悪の場合は…?
 
 
臣)……
 
 
俺のことなんか好きでもなけりゃ
気にもなってなくて…
 
むしろ気になってんのは
プロポーズの男で…
 
でもあいつ優しいから
俺にはそんなこと言えなくて
いつも俺への対応に困ってて
 
でもキスされそうになったら
思わず本音が出て…
ほんとは触られるだけでも嫌だったとか…
 
 
って……
 
 
めちゃめちゃ凹むし!!!
何だよそれ!!!
 
 
臣)…っ
 
 
自分で勝手に想像しといて…
そんなん耐えらんねーし…。
 
 
ああ…もう…
全然わかんねぇ……
 
 
臣)……はぁ…。
 
 
可愛く会いたいって言ったかと思えば
会いたくないって言ってみたり…
 
 
絶対やだって人のこと突き飛ばしといて
「嫌なんかじゃない」って言ってみたり…
 
 
どっちなんだよもう!!
 
 
 
俺そんな…
鋼の心臓じゃねぇんだぞ、ほんと…。
 
 
あいつ…俺を振り回す天才だな。
 
 
 
 
 
ーendー

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