雨の音が聞こえる…。
こんな日はいつも夢を見る。
部屋は真っ暗で…
何も見えなくて…
ママ!どこ?
パパ!どこ?
いくら呼んでも声が届かない。
必死に前に進もうとしても…
何かに足を取られて…
いや!!
いや!!!
行かないで…っ
私は気付いたら泣き叫んでいる。
行かないでっ!!!
パパぁぁぁぁ!!!!!
……
…
パ)どうした?
♡)え??パパ??
あたりがいきなり明るくなった。
パ)そんなに泣いて
怖い夢でも見たか?
パパが…私の背中を
優しくトントン叩いてくれてる。
♡)わぁ…パパだ……
パパぁ!!パパぁ!!
パ)こ~らこら、急にどうしたw
本当にお前は甘えん坊だなー?w
♡)だって…パパ♡パパ♡
抱っこしてぇ!ぎゅってしてぇ!!
パ)ほーら、おいで?
♡)わーいっ♡♡
安心する温度。
守られてるって…愛されてるって…
そう感じられるパパの膝の上が
私は大好きだった。
マ)ま~た♡はパパに甘えてw
♡)えへへー♡
パ)もう泣き止んだか?
♡)うんっ!!
パ)♡は笑ってるのが一番だよ。
パパはね、♡の笑顔が大好きなんだ。
♡)ほんとぉ?
パ)うん。パパまで嬉しい気持ちに
なれるんだよ。
♡)じゃあ♡、いっつも笑ってる~♡
パ)あはははw
パパが笑ってくれると、私も嬉しいの。
パ)いいかい?♡。
覚えておきなさい。
♡)なぁに…?
パ)これからの人生で…
♡はたくさんの人と出会っていく。
その中で…愛を知らない人や
心が荒んでいる人に出会う事だってある。
♡)すさ…んで?
パ)うーん…そうだな…
心が痛いって悲しんでる人のことかな。
♡)心が泣いてるの?
パ)そう。
♡)かわいそう!
パ)うん、そうだな…。
♡)そしたら♡がトントンってしてあげるよ!
パパがしてくれるみたいに!
パ)あはははw
ほんとにお前は優しい子だな。
パパがニッコリ微笑んだ。
パ)でもな?
そんな優しさや想いが
伝わらない相手も、きっといるんだ。
♡)……
パ)悲しい思いや辛い思いを
させられることが絶対にある。
♡)うん…。
パ)そんな時でも…
笑っていられるくらい…
強くなりなさい。
♡)笑って…?
パ)憎しみや怒りや恨みや…
そういう負の感情は、何も生み出さない。
♡)にく…しみ?
パ)うん。誰かのことを嫌だなと思ったり
人が嫌がることをしようとしたり。
♡)♡、そんなことしないよぉ?
パ)うん、そうだな。
だから…いつでも笑って…
マ)ちょっと~~!!
あんまり腑抜けた子になったら
困るんだからね!!
パ)え?
マ)学校でもしイジメられたりした時に
ヘラヘラ笑ってちゃ困るっつってんの!
パ)えっ…
マ)いいか♡!!
やられたら倍にして返せ!!
泣き寝入りとかすんなよ!!
パ)おいおいw
レイコはほんとに血の気が多いなw
マ)だって!!
この子、ほんと優しい子だから心配で…
パ)大丈夫。
優しい人間は強い。
そして…強い人間は優しい。
この子は…きっとそんな子に育つよ。
マ)…そうね。
♡)パパ……
パパの顔をじっと見上げた。
パ)笑顔はね、周りの人を
幸せにする力を持ってるんだ。
自分を幸せにしてくれる力も。
♡)……
パ)愛を知らない人に
愛を伝えてあげることだって出来る。
♡)……
パ)心が荒んでいる人を
笑顔にだって出来るかもしれない。
♡)……
パ)だから…いつでも笑っていられるような
そんな女の子になりなさい。
♡)うん♡
パ)泣きたい時はもちろん泣いていい。
でも…最後には笑っていられるように…
♡)パパは…
♡が笑ってると嬉しいんでしょ?
パ)そうだよ。
マ)ママも嬉しいよ。
♡)わぁ!ほんとぉ?♡
マ)ほんと♡
♡が笑ってると…
♡のことを大好きな人たちは
みんな嬉しいよ♡
♡)わぁぁ♡
じゃあ♡、いつも笑ってたい♡
マ)うん。
いつもいつも、笑顔でいるよ…?
♡)♡ね、パパもママもだぁいすき♡
パ)……///
マ)あなたはなーに照れてんのよ!w
パ)いや、ほんとに可愛いなって///
マ)パパとママも、♡がだぁいすき♡
♡)えへへぇ♡
大好きって…あったかい。
パ)♡と瞬は…
パパとママの宝物だよ。
♡)パパぁ!
パ)んー?
♡)抱っこぉ!♡♡
パ)はいはいw
パパもママも…大好き。
私は…離れたくなくて…
パパにぎゅって抱きついた。
パパは…そんな私を
優しく抱きしめてくれて…
♡)ねぇパパ。
ずっとずっと側にいてね?
パ)うん。
♡)絶対いなくなったりしないでね?
パ)うん。
♡)絶対だよ?
パ)うん。
パパはいつも「うん」としか
答えてくれない。
それでも私は必死にお願いする。
♡)隣にいてね?
パ)うん。
♡)消えたりしないでね?
パ)うん。
♡)パパ…
パ)うん。
これは…夢が覚める合図。
覚めたくないのに…
まだ…
パパの笑顔を見ていたいのに…
………
……
…
目を開けると…
目の前には、臣くんの顔があった。
♡)……
………え?
♡)……
え…??
私…まだ夢を見てるのかな…?
ぼんやりした頭で
もう一度、目を閉じてみる。
そしてもう一度目を開けると、
やっぱり臣くんが目の前にいる。
♡)…っ
え???
意味がわからなくて
そのままじっと見つめてると…
臣)おは…よ…
臣くんの目がゆっくり開いて…
♡)きゃあっっ///
私は慌てて飛び起きた。
♡)え??
え??????
寝起きのぼんやりした頭で
必死に考える。
周りを見渡して、必死に思い出す。
♡)!!!
あ!!そうだ!!
私、臣くんの家にお泊まりしたんだ!!
臣)何…あたふたしてんの…
♡)え…っ、だ、だって…
私…こっちで寝てたのになんで…
臣)さっきまでここで
スヤスヤ寝てたくせに
今更慌ててんな。
♡)え…、ここって…
ここ(臣くんの腕の中)?
臣)そ。
♡)えーーー!!///
し、信じられない!!!
なんで?!!////
ほんとに!??
♡)////
私が一人でパニックになってると、
臣くんが眠たそうに目を擦りながら
起き上がった。
♡)な……なんで…っ
なんで私は臣くんの腕の中にいたの…?
臣)寝相が良い誰かさんが
コロコロ転がってきたから。
♡)え…っ!!
コロコロ…?!!
♡)どうしよう…っ
臣)何が。
♡)だって…
どうしよう…どうしよう…
あわわ…っ
臣くんの安眠を妨害しちゃった…!
臣)別に何もしてねぇっつーの。
♡)え…?
臣)手は出してませんって言ったの!
♡)…っ
なんか…ちょっと怒ってる…??
♡)えっと…違うよ?
そんな心配してるんじゃなくて…
臣)はぁぁ?!!
♡)えっ…
臣)ふざけんな。
ちょっとは心配しろっつーの!!
♡)え???
どういうこと…?
臣)お前…俺のことナメてんの?
♡)だって…臣くん…
何もしないって言ったし…
臣)あのなぁ!
♡)はいっ!
臣)「何もしない」っつーのは
「何もしたくない」んじゃなくて
したいけど我慢するっつー意味なんだよ!
わかってる?
♡)えっ…
えっと…
♡)え??////
ど、どういう意味?!!
♡)したい…って…
何を…
え?え?////
♡)なん…で…
臣)はぁ??
♡)…っ
臣)なんでって…
いい加減気付けよっ!
♡)きゃっ///
臣くんは私を思いきり抱き寄せて
そのままベッドに寝転んだ。
♡)…っ///
わ…わ…っ
臣くんに…ぎゅってされてる////
バクバクバク…ッ
ど、ど、どうしよう…!!
心臓止まっちゃう!!/////
え…
でも…
私この状態で昨日寝てたってこと???
ほんとに!!?
♡)////
信じられない///
恥ずかしいよぉ!!
もう私のばかぁーっ!!////
♡)…臣…くん…
臣)うるせぇ…。黙ってろ…。
♡)……///
なんだろう…これ…。
言葉は乱暴なのに…
私に触れる手はすごく優しくて…
ドクン…
ドクン…
臣くんにぎゅってされてて
心臓は壊れそうなくらいうるさくて、
わけがわかんない…///
臣)お前……
♡)…え?
臣)俺とおんなじ匂いする…
臣くんは掠れた声でそう言うと
おでこをコツンとぶつけてきた。
♡)え…え…え…っ///
か、顔が近い///
臣)髪…、
臣くんの声が…すごく近くで響く…///
♡)シャンプー…///
…借りたからかな?
臣)うん…。
♡)////
しばらく私が硬直してると…
臣くんが少しだけ動いて。
右手を私の背中に…
左手を私の頭の後ろに添えて
またぎゅっと抱きしめた。
すごく大事なものを抱きしめるみたいに…
優しく…ぎゅって…。
♡)……
……いい加減気付けって
言われた…。
言葉なんかなくてもわかる。
優しく抱きしめられてるこの腕から
伝わって…くる…。
……臣くん、私のことが好きなんだ。
とくん…
とくん…
♡)……
今まで…
もしかしてそうなのかなって思っても
違うかもしれないって…そんな風に思って
その繰り返しだったけど…
今度はちゃんとわかる。
好きだって伝わる
この腕の中のぬくもりに…
どこか懐かしい感覚を覚えた。
居心地が良くて…
甘えたくなっちゃう…
こんなあたたかさ…。
♡)……
私が目を閉じると
しばらくして
私を抱きしめる臣くんの力が
少し緩んで…
そっと離れて臣くんの顔を見上げると…
臣くんは静かに眠ってた。
♡)……
やっぱり…
私が寝相悪かったから
臣くん昨日眠れなかったのかな…?
離れてたのに…
こんな転がってきちゃうなんて…
私のばかっ!///
……臣くん、ごめんね…?
♡)…っ
あ、そうだ!
朝ご飯…何か作ろうかな!
起きたら…臣くん食べてくれるかな?
♡)……
臣くんを起こさないように…
そっと起き上がろうとすると
臣)ん……、
臣くんが動いた。
起こしちゃったかな!?
ごめんなさいっっ!!
臣)…どこ…行くの…
♡)あ…ごめんね??
起きようかな…って…
臣)ここにいろ…
♡)え?
ぐいっ
♡)わっ!///
臣くんに腕を掴まれて…
…ぽすん。
♡)////
臣くんの腕の中に
また戻って来ちゃった。
わわわ…///
……ドキン…ドキン…
♡)……
ここにいろ…って…////
ドキドキしすぎて
死んじゃいそう……///
頭ごと抱きかかえられて…
臣くんの首元に顔がうずまる。
触れてる肌から
体温が伝わってきて…
♡)////
もうほんとに死んじゃう!!
助けて!!
ドキドキして心臓止まっちゃうよ!///
♡)…っ
臣くん…寝ぼけてるのかな?
なんか…イイ匂いがする…///
臣くんの…匂い…。
また動いたら起こしちゃいそうだから…
しばらく大人しくしてよう。
♡)……
トクン…
トクン…
臣くんは…
いつから私のことが好きなんだろう…
いつから…想ってくれてるんだろう…
臣くんの胸の音を聞きながら
そんなことを考える。
私の…どこを好きになってくれたんだろう…
全然わかんないや…。
私なんて…
不器用だし…おっちょこちょいだし…
臣くんにもいつも心配かけてばっかりで…
臣くんの周りにはきっと…
もっと大人な女性とか
キレイな人とかいっぱいいるはずなのに…
ピピピピピッ、ピピピピピッ
♡)きゃっ!
急に鳴った、アラームの音。
ピピピピピッ、ピピピピピッ
♡)わっ、わっ、止めなきゃ…!汗
臣くんの携帯かな??
どこにあるの!?
ー続ー
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