(23)打ち上げ花火

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今日はみんなで
ドリフェスのリハをしてる。

 

N)こないだのエーネん時さ、
  俺らこっちから来たけど
  ヴォーカルの後ろからのが良くない?
E)あ~!そうかも!!
直)じゃあこことここ、
  立ち位置入れ替えます?
岩)そうですね。
隆)え、じゃあ俺ら…
  ここん時はどこにいたらいいっすか?
臣)ここじゃね?
  そしたら動線こうなって
  こっちから行けるし。
隆)あ!そっか!
N)そうねそうね。それでいい?
隆)はい!!
N)じゃあもう一回通してやりますか!
皆)はい!!

 

一通り練習し終わって
一旦休憩してると、
Sさんが差し入れを持ってきてくれた。

 

S)みんなお疲れ~~
  これ、MATSUさんからお土産だって~
E)わ!!美味そう!!
隆)やったぁ!あざーっす!!

 

俺もお菓子を一つもらって
壁にもたれながら休んで…

さくちゃんが送ってくれた
海の日の写真を見てると、
健ちゃんが横から覗いてきた。

 

健)何見てん?
臣)友達と海行った時の写真。
健)海行ったん?え~~な~~
臣)いーしょーー
健)楽しかった?
臣)うん。めっちゃ。
健)俺も行きたいわ~~~
臣)健ちゃんは釣りしたいんでしょ?w
健)釣りもしたいけど
  思いっきり海も入りたいわw
臣)あははw

 

岩)健二郎さん!臣さん!
  最後の1個ジャンケン!!
健)お!!行く行く!!
臣)俺はいーやーー

 

みんながラスト争奪戦をしてる中、
俺はそのまま座って
写真の続きを見てた。

 

臣)……

 

最後、車の中で結局寝ちゃって…
写真撮られたの
気付かなかったけど…

 

俺の肩に頭を乗せてる♡の頭に
俺も頭を乗せて、
仲良く寝ちゃってたんだよな…。

 

臣)……///

 

なんか…写真で見ると
恥ずかしーな…。

 

ああ~~〜
3日しか経ってないのに
もう会いたいーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日は天気がいいから
みんなで公園でお昼を食べてる。

 

先)ほんと気持ちいいよね~今日♪
先)天気めっちゃいいもんねー
M)外で食べるのも楽しいですねー♡
  ね♡先輩♡
♡)そうだねー♪
M)そういえば今日、花火あるんですよー♡
先)え?うそー!
先)どこで??
M)たしか…先輩の家の近くですよー
♡)え!ほんと??
M)小さいやつみたいですけど…
  友達が言ってました。
♡)わ~~
  ベランダから見えるといいなー♡
先)ってゆーか久々に花火したいなー
先)自分で?w
先)うんw 公園とかで。
  この歳になるともうやんなくない?
先)やらないねーw
M)線香花火とかしたいですー♡
♡)あははw
  私家に余ってる花火あるーw
先)去年のとか?
♡)あ、いえ、先々週に
  同期のみんなで海行ったんですけど
  その時のです。
先)あ!!みんなで海行ったのー?
  いいなー♪
M)あ~~私も行きたかったやつだ~~
先)あんたは同期じゃないでしょw
M)そうですけど~〜!
先)でも♡ちゃんの代は特に仲良しだよね?
  いつも集まったり
  遊んだりしてる気がするー!
♡)はい♪みんな仲良いんです。
  それにTくんがいつも
  色々企画してくれるから♪
先)あ~~Tくんね…w
先)そりゃー企画するだろうねw
先)うんうん♡
♡)???
M)先輩!今度は私と遊んでください!!
♡)え?今度?
M)土日とかー!!
♡)え?いいけど…
M)ほんとですか?!
♡)うん♡どこ行くー?
M)キャ~~♡♡
  楽しみすぎる~~~!!
先)ほんとあんたは♡ちゃん大好きねw
先)信者だからねw

 

ランチを食べ終わると
みんな芝生に寝っ転がったり
デザートを買いに行ったりして…

私は…
土曜日さくちゃんが送ってくれた写真を
見返してた。

 

♡)……

 

海ほんとに楽しかったなー♡

 

夕焼け…
すごくキレイだったし…

あ…

最後に私と臣くんが
くっついて寝てる写真が出てきた。

 

♡)……///

 

こ、これ…恥ずかしい//
もう~~さくちゃんのばかー!///

 

……なんか…

臣くんの隣にいると
安心しちゃうのかな…?

 

でも…たまにドキドキもしちゃうし…
もう自分でもよくわかんない…。

そんな友達いないんだもん。

 

気付いたらいつも…
庇ってくれたり助けてくれたりするし…
自然に…手繋いでくれたりとか…

 

♡)……///

 

わ…わ…っ
思い出すと恥ずかしいっ//

意識しちゃダメー!!

 

臣くんはなんとも思ってないんだからー!!

 

………でも…

臣くんはあんな優しいから…
勘違いしちゃう女の子とか
いっぱいいるんじゃないかな…。

 

私は気をつけなくっちゃ!!

勘違いしない!!うん!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

19時過ぎ、事務所に戻ると
Sさんが走ってきた。

 

S)ごめん、夜の仕事来週でもいい?

臣隆)え??

S)なんか…手違いで
  データ届いてないみたいで。
  まだ時間かかりそうなんだって。

臣隆)全然いいっすけど…

S)ありがと!ごめんね!
隆)あ、じゃあこの後なんもないんだ。
臣)あ、そっか。
隆)じゃあ俺誘われてた友達の飲み
  行ってこよっかな。
S)送る?
隆)いや、タクシーで行くわ。
  大丈夫。
S)じゃあ臣送るわ。
臣)うん。
  じゃあな隆二、お疲れ。
隆)お疲れ!

 

そのまま車に乗って
Sさんに送ってもらう途中、
歩道に浴衣の女の子をちらほら見つけた。

 

臣)なんだろ?
  浴衣…今日なんかあんのかな?
S)花火大会とかー?
臣)調べてみよ……
  ……あ。
  そんな大規模なやつじゃないけど
  花火やるみたい。
S)そうなんだー
  いいねー浴衣女子~
臣)いいね~w

 

そっか…
花火か…

つーか…場所ちけーな。

うちからも見えんじゃね?

 

あ!!!

 

♡何してんだろ…

花火…

 

一緒に見たい!!!

 

S)臣、明日さ…
臣)ちょ、ごめん!!電話してもいい!?
S)え…いいけど…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

帰ってきて
ベランダを開けると
夏の生温い風が部屋に入ってきた。

 

あ…
少しだけ緑の匂いがする…

公園の隣で良かったー♡

 

そういえば…
今日花火あるんだっけ?

何時からなんだろ…

ここから見えるといいなー♡

 

あ!屋上行っちゃおうかな!
わーい!そうしよう!♡

 

ピロリロリロ♪ピロリロリロ♪

 

あれ?
電話??

 

画面を見てみると、臣くんからだった。

 

♡『もしもし?』
臣『あ、♡?』
♡『うん。』
臣『今大丈夫?家?』
♡『うん、大丈夫だよー
  ちょうど今帰ってきたとこだよー!』
臣『あ、お疲れ!』
♡『あははw ありがとー♡』
臣『あの…さ、今から会える?』
♡『え??』
臣『今日花火あんだって。』
♡『あ、うん!それね、
  今から屋上行って
  見てみようかなーって思ってたの。』
臣『え、熊さん?と??』
♡『え??熊さん???
  あ、もしかして寅さんのこと?』
臣『あ、そうだ!!寅さん!!w』
♡『あはははw
  ううん、違うよ~
  一人で行こうかなって。』
臣『俺、行ってもいい?』
♡『えっ!?』
臣『一緒に見たい!!』
♡『え!!臣くんお仕事は?』
臣『今日もう終わった!』
♡『えー!!ほんとー??
  わぁ♡じゃあ一緒に見よー♡』
臣『うん!もうあと5分くらいで着くわ。』
♡『わわわ!じゃあ下まで迎えに行くね!』
臣『うん。ありがと。』
♡『うん♡』
臣『じゃ。』
♡『はーい!』

 

ピッ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

臣)よっしゃーー!!!!
  ……あ!
  …ごめん。で、なんだっけ?
S)ぶくくくw
臣)ちょっと//
S)ごめん…ww
臣)なんか言いかけてなかった?
S)ああw
  明日さ、収録だから
  迎えに来るの臣最後だから
  10時くらいねー。って。
臣)ああ、朝?
S)うん。
臣)わかった。
S)……
臣)……
S)ゆっくり出来んねー?
臣)え?
S)迎えに行くの臣ん家でいいのー?
臣)は?
S)彼女の家の方がいいー?
臣)なっ// 俺ん家でいーし!!
  彼女じゃねーし!!//
S)ふーんw
臣)……//
S)まぁ…もし彼女んちなら連絡してねー?
臣)だからちげーって!!
S)はいはいw ほら、着いたよー。
臣)あ、ありがと!!
S)じゃあお疲れさーん
臣)お疲れっす!!!

 

バタン。

 

俺が車を降りると
♡がマンションの下で待っててくれてた。

 

♡)臣くんお疲れさまー!
臣)お疲れ。
♡)すごいね!今日は早かったんだね!
臣)うん。急に帰れることになった。
♡)わ~~すごい偶然!
臣)なw

 

マンションの玄関に入ると
前は電気が消えてた管理人室が
今日は明るかった。

 

♡)あ!寅さん!♡
  今帰りですかー?
寅)うん。今日はちょっと
  遅くなっちゃったな。
♡)お疲れさまです♡
寅)ありがとうw

 

あ、この人が寅さんか…。
すげぇ優しそうな白髪混じりのおじさん。

 

寅)おや!!
♡)え?
寅)♡ちゃんの彼氏かい??
♡)あ!違います!!
臣)……

 

はいはい、もう全力で否定されるのには
慣れましたよ~~

 

寅)びっくりしたなぁ~~
  ♡ちゃんが男の子連れて来るなんて
  初めてだから…
♡)友達ですっ!//
寅)そうかそうか…
♡)屋上行ってもいいですか?
寅)ああ、いつでもいいよ。
  好きな時に行きなさい。
  内緒だけれどねw
♡)はい♡ありがとうございます♡
寅)じゃ、私はこれで。
臣)あ…どうも。

 

寅さんは優しく笑って
俺に会釈をすると、
そのままマンションを出ていった。

 

臣)ほんとに仲良いんだなw
♡)うん♡熊さんじゃないからね!
臣)あ、はいw
  寅さんね、すんませんw
♡)あはははw
  あ!!寅さんも誘えば良かったね!!
臣)え??
♡)花火見たかったかなぁ?
臣)うーん…どうだろう…

 

っておい!
俺は二人で見たいんだっつーの!!

 

寅さんと三人で花火見るって…
どんな画だよ!ww

ほんとにこいつはもう…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

屋上の扉を開けると、
少し強い風が吹いた。

 

♡)花火何時からなんだろう…
臣)あと5分くらい。
♡)あ?ほんと?
  わぁ!じゃあほんとに
  タイミング良かったんだねー♡
臣)うん。
  てゆーか花火あんのも
  さっき知ったくらいだしな。
♡)そうなの?
臣)うん。
  そのへん、浴衣女子が
  パラパラいたから。
♡)わ!そうなんだ!
  いいなー♡浴衣着たーい♡
臣)浴衣見たーい♪
♡)あははw
  臣くん、浴衣も好きなの?
臣)だって似合いそうじゃん、お前。
♡)え…っ
臣)こっから見えっかなー
♡)……//

 

臣くんはそう言って、
柵の方まで歩いていくと空を見上げた。

 

♡)屋上だもん…見えるよ…
臣)だよな!

 

パパパパンッ!

 

♡)あっ!

 

予告の花火が打ち上がった。

 

臣)お!始まるな!
♡)うんっ!!楽しみー♡

 

臣くんの隣に並ぶと、
左手が臣くんの右手に少しだけ触れて…

私は慌てて柵の手すりに手を置いた。

 

♡)……
臣)……

 

夜の空を見上げて
花火が上がるのを待ってると…

 

♡)…っ

 

手すりに置いた私の左手に、
臣くんの右手が重なった。

 

え???

 

私が少し戸惑ってると…

臣くんはそのまま私の手を柵からおろして
手を握った。

 

♡)…っ

 

え?

え??

 

手…繋いでる……。

 

え???

 

♡)……///

 

ど、どうしよう…
何だろうこれ…///

 

だって…この間は…
足元が危なかったりとかだったけど…

今日は何もないよね??

 

なんで…
繋ぐの…??///

 

臣くんの横顔を見つめても、
臣くんは何も言わずに空を見上げてる。

 

ヒューーーーーーッ……

ドーーーンッ!!

 

臣)あ、始まった。
♡)……うん。

 

花火が…次々に打ち上がる…。

 

花火は…
すごくキレイなんだけど…

ドキドキして…
全然集中できない。

 

♡)……///

 

しばらく黙ったまま
花火を見てると…

臣くんの手が少しだけ動いた。

 

あ…

離すのかな??

 

♡)…っ

 

え…

え??

 

繋いでた手は一瞬ほどかれて、
今度は指と指がきゅっと絡んで…

 

え!!!

これ…恋人繋ぎだよね???

 

繋ぎ直した臣くんは、
そのままギュッと私の手を握った。

 

♡)////

 

え??

なんで???

どうしよう…///

 

……胸が…ドキドキうるさい。

 

なんで…??

 

今が夜で…暗くて良かった…。

絶対に私今、顔…真っ赤だもん///

 

繋いだ手から…
ドキドキが伝わっちゃいそうで…

誰か助けて……

 

♡)……///

 

こんなにドキドキしてるの…
私だけなのかな…?

 

隣の臣くんをそっと見つめると
臣くんは何も変わらずに、花火を見てて…

次々打ち上がる鮮やかな花火の色が…
臣くんの横顔を照らしてる…。

すごく、綺麗。

 

……臣くんは…今…

何…考えてるの?

 

繋いだ手はそのままで…。
花火の音だけが…響いてる。

私も夜空に視線を戻して、
花火を見つめた。

 

夜空を彩る無数の花火は…
一つ一つがとてもキレイだった。

 

 

ー続ー

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