[84]冷めない熱

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今日はいよいよクラス会。

みんなに久々に会えるのは楽しみだし
わくわくだけど

そこに少し混じる、ドキドキ。

 

M)なんか先輩、今日可愛い〜〜♡
  デートですかぁ?
♡)え、ち、違うよっ…
M)あれー?ハズれたぁ〜〜
  今まで百発百中だったのに…
♡)……//

 

どうしてだろう。
いつもと変わらないはずなのに…

 

M)あれ、先輩今日午後休ですか?
♡)あ、うん。
M)えーーさみしーーー
K)あんたは…毎日一緒にいるのに
  どんだけ♡のこと好きなのw
M)だって〜〜〜

 

今日はクラス会の飾り付けとかを
手伝って欲しいって
修ちゃんに言われたから

午後休を取って一回家に帰ることにした。

 

課)おーい。♡〜〜、K〜〜!
♡K)はい!
課)来月の福岡研修の事前課題来てるぞ。
K)げ!そんなもんあんのかよ…
課)メールで送るからちゃんとやっとけよ〜
♡)はーい!
K)めんどくさい〜〜〜

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

臣)おおお〜〜
  やっと半袖〜〜〜〜
健)今日レザーは暑いわなw
臣)うん、暑かったw

 

今日は健ちゃんと二人で
『WHAT’s IN?』の撮影。

レザーから半袖のシャツに着替えて
少し休憩。

白いハットをくるくる回しながら
お茶を飲んだ。

 

ス)外のスタンバイ、もう少しかかるんで
  待っててください。
臣健)はーい。

 

じゃあ、待ってる間…暇だし…
健ちゃんでも撮ろう。

 

健)うおっ!いきなり何やねん!!
臣)盗撮。
健)盗撮のセンス、ゼロやわ!!
  ビビった〜〜
臣)ちょっと動かないでよ。
  じっとしてて。
健)注文多いな…
  ……近っ
臣)いいから。
健)どんだけ俺のどアップ撮る気やねん。
臣)……

 

この間♡が撮ってた写真の真似だもん。
健ちゃんの目をめっちゃどアップで…

 

健)何やねんこれ!誰かわからんやん!w
臣)わかんないかな?
  ファンならわかるっしょ。
健)……
臣)あ、いいこと思いついた!
  じゃあ徐々に引きで4枚撮るわw
健)へ?w
臣)……よしっ!出来た!見て見て〜♡
健)こんなんどーするん。
臣)インスタに載せるーー
健)えー!嫌やわ!
臣)なんで!イケメンに撮れたから
  いいじゃん!
健)ほんなら臣の写真も載せぇや。
  ファンからクレーム来るわ。
  なんで健二郎だけやねんて。
臣)あはははw

 

健ちゃんがそう言うから、
俺も自撮りで撮ってみた。

 

臣)よし、こんなんでいいかな♪

 

加工して、インスタにアップ。

 

健)あ!!Rちゃんやん!!♡
臣)ん?

 

嬉しそうな健ちゃんの声に
後ろを振り向くと、

 

R)お疲れさま。
臣)……

 

久々の登場だな。

 

健)どないしたんー?♡
R)丁度近くで撮影してて。
健)あ、そうなん?
R)すぐ向かいのカフェです。
健)へ〜〜〜〜♡

 

健ちゃん、ニヤけっぱなし。
彼女に怒られるぞ。

 

臣)あ、そーいえばお前、あれどーだったの?
R)え?
臣)LIVEやるだかなんだか言ってたじゃん。
R)覚えてて…くれたの…?
臣)うん。行けなくてごめんな。
R)……//
臣)どうだった?
R)べ、別に…普通に盛り上がったし!
臣)ふーん、良かったじゃん。
R)……//
臣)……??

 

なんでふてくされてんだ?
目ぇ合わさねーし。

 

臣)おい。

 

Rのハットを掴んで、こっちに向かせると…

 

R)な、何すんのよっ!!
臣)いや、こっち見ねぇから。
R)顔近いんですけど!!///
臣)ああ、ごめん。
R)////

 

相変わらずプリプリしてるーー
変な女。

 

臣)つーかお前さぁ、〇〇の社長さんに
  俺のファンだとか言ったろ!
R)…っ
臣)やめろよ〜〜
  目ぇ付けられんじゃん。
R)別に…っ
  たまたまあんたの顔が浮かんだから…
臣)たまたまで勝手に使うなよw
  迷惑だっつってんの。
R)……
健)Rちゃん、そーゆー時は
  山下健二郎さんのファンですぅ〜〜って
  言うたらええんやで♡
R)いいです。
健)えっ…
R)じゃ、失礼します。
健)もう行くん?

 

健ちゃんの言葉を無視して
Rはそのまま戻っていった。

 

臣)なんだあいつ。
健)……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

♡)はぁ…にゃんこ……

 

一度家に帰ってきて、にゃんことぎゅー。

 

♡)今日…ね、クラス会なんだよ。

 

にゃんこ、聞いてくれる…?

 

♡)ハルくんが…来るの……

 

にゃんこは知らないもんね、ハルくんのこと。

 

♡)……

 

普通に話せるといいな。

今度は笑って、「久しぶり!」って…

元気に、笑って……

 

ハルくんは笑ってくれる…?

もうあんな泣き出しそうな顔…
したりしないよね…?

 

♡)ハルくん……

 

にゃんこをベッドに寝かせて
鏡の前に立った。

 

変なところ…ないよね?

髪はまとめたし、
耳には臣くんがくれたピアス。
左手にはお揃いのリング。

 

♡)よしっ!

 

少し早いけどもう行こう。
ショッピングして気分転換しようかな。

平日の夕方なんて珍しいし。

 

♡)じゃあね、にゃんこ♡
  行ってきます!

 

バタン。

ガチャッ。

 

臣)あれっ
♡)臣くん?!

 

私が自分の部屋を出たタイミングで
臣くんがリビングに入ってきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

♡)どうしたの?お仕事は??

 

目を丸くした♡が、俺に駆け寄ってきた。

 

♡)今日、健二郎くんと撮影でしょ?
臣)うん。もう終わった。
♡)わぁ!早かったね!お疲れさま!

 

本当は飲みに誘ったのに
彼女とデートだとか言うから

俺は一人で帰ってきた。

 

♡)今日はもう終わり?
臣)うん。今から友達の店に顔出して来て…
  賢司が早く終われば飯行こうかなって。
♡)そーなんだ!
臣)お前もう出んの?早くない?
♡)うん、新宿あたりで少し
  お買い物でもしようかなって♡
臣)あ、じゃあ送ってやろっか?
♡)え!ほんとー?やったー♡

 

嬉しそうに飛びついてきた♡が
なんか可愛くて、よそ行きに感じるのは

今日がクラス会だって知ってるせいかな…

 

臣)夜も終わったら迎えに行こうか?

 

深い意味はなくそう言ったけど、
言ってから後悔した。

これじゃあまるで、早く帰ってこいって
言ってるみたいじゃね?

 

♡)電車で帰ってくるから大丈夫だよ?

 

そう言って俺を見上げた♡が
やっぱりすげぇ可愛くて…

大丈夫かな。
久しぶりに会う奴らに、狙われない?

 

臣)やっぱり、迎えに行く。
♡)えっ…

 

ぎゅっと抱き寄せると
俺の腕の中で、♡はふふっと笑って…

 

♡)じゃあお願いします…ありがとう♡

 

そう言ってくれた。

 

臣)……

 

腕を緩めて顔を覗けば、
小さな耳たぶには俺があげたピアス。

左手の薬指にはいつも通り
ちゃんとペアリングが光ってる。

 

なのに、なんで。

こんなに落ち着かないんだろう。

 

♡)一次会で帰ってくるから
  22時前には終わると思うよ。
臣)え……

 

二次会行かねーの?

 

♡)終わったら電話するね。
臣)……うん。

 

なんで…行かないんだろ。

いつもの♡なら
せっかく久々に会えるからー♪
とか言って

友達に付き合うタイプなのに。

 

♡)あ、そーだ!セロテープ忘れてた!

 

♡はまたパタパタと部屋に戻っていって。

 

臣)……

 

ハルくんのこと、意識してんのかな…

それとも…
俺が心配すると思って…?

 

「普通に二次会まで出てくればいーじゃん」
って…

そう言えないのは…
やっぱりどこかで少し、不安だから。

 

♡)えへへ、修ちゃんに
  怒られるとこだったーw
臣)……

 

♡はニコニコ戻ってきて…

 

♡)今日ねっ、懐かしい写真とか壁に貼って
  いろいろ飾り付けするんだってー♪
臣)……
♡)だからセロテープ持ってきてーって
  言われたの♪
臣)……

 

無邪気に笑う♡が、可愛くて。

なんか今日…
やっぱり、可愛すぎない?

 

♡)臣くん?♡

 

ほら…
こんなに可愛い、どうしよう。

 

♡)どうしたのー?ぼーっとして。
臣)……
♡)……
臣)……
♡)…えい…っ♡

 

チュッ♡

 

♡)臣くんがぼーっとしてるから
  チューしちゃったー♡
臣)……っ

 

グイッ

 

♡)わっ…///

 

♡の腕を引いて、強く抱きしめた。

 

ああ、俺…
ほんとだせーな。

ぶっちゃけ、やっぱり行かせたくねぇ。

 

♡)……臣くん…?//

 

ずっと、ここにいればいいのに…

 

♡)臣くん……//

 

腕の中から俺を見上げる瞳が
あまりに澄んでて、吸い込まれそうになる。

 

その柔らかい唇にキスすれば、
甘い香りに誘われて…

♡の甘さを味わうように…
舌は柔らかく絡まって…深くなる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

臣くんどうしたのかな、って
思ってたのに…

急に始まったとろけるようなキスで
もう何も考えられなくなっちゃう。

 

どうして…

こんなキス…するの…?

 

♡)………は…ぁ…//

 

ほんの少し、唇が離れて…

そっと臣くんを見上げると…

 

臣)……っ

 

目を細めて私を見つめる瞳が
すごく色っぽくて…

 

♡)……//

 

なんだか頬が、熱くなる。

 

臣)はぁ、ダメだ……、ごめん//

 

そう言って、
またきつく抱きしめられて…

「ごめん」って…
どっちの意味なんだろうって思ってたら…

 

そのままあっという間に
ソファーに押し倒されて…

そっちの「ごめん」なんだって、わかった。

 

♡)…臣…くん…っ

 

もう止められないくらい
身体中に触れる、臣くんのぬくもり。

何を言っても無駄だって
わかるくらいの激しさの中で…

 

♡)臣くん…、髪…崩れちゃう…//

 

そう言ってみたけど…

 

臣)ん、直してやるから…

 

私の言葉はキスで塞がれて…

 

♡)は…ぁ…っ、…臣くん…、
  お昼だから…明るいよ…?//

 

キスの合間に訴えても…

 

臣)お前を抱くのに昼も夜も関係ねぇよ。

 

その言葉と、瞳の熱が…
私の恥じらいも簡単に溶かしてしまう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

可愛い服も…可愛い髪も…
俺の腕の中で全部乱れて。

♡はただただ、甘い声で…
可愛く俺に…しがみつくだけ。

 

自分勝手に身体を繋げる俺でも…

 

♡)臣く…っ…、んっ……
  ……大好き…だよ…っ、///

 

♡はこうして受け入れてくれるから…

 

臣)……っ

 

僅かに感じた支配欲は
あっという間に愛しさに入れ替わる。

 

こんなに余裕がなくて…
独占欲だらけの彼氏で…ごめんな?

 

 

……

 

 

 

 

色っぽく吐き出される息は
まだ全然、整わなくて。

 

臣)ごめんな…?

 

火照った頬にキスを落とせば…
ゆっくりと瞼が開いた。

 

♡)どうして…ごめん…?
臣)…激し…かった?
♡)ううん…、

 

♡が両手を広げるから
俺はそこに身体を沈めるように

ぎゅっと、抱きしめた。

 

♡)臣くんはいつだって優しいよ…
臣)……っ
♡)大好き……♡
臣)……///

 

優しいのは俺じゃなくて、♡。

 

臣)大好きだよ……
♡)////

 

ーーーーー

 

臣)はい、完成。
♡)自分でするより可愛くなったー!♡

 

髪をアレンジし直してやると
♡は鏡の前でニコニコ喜んで。

 

♡)ありがとうっ!臣くんっ♡

 

いやいや、だって…
乱しちゃったの、俺だし…//

あれはあれでエロくて可愛いんだけどね。

 

♡)ワンピースも着替えようっと…
臣)……

 

何から何まで、すいません…ほんと//

 

クローゼットの中から
新しいワンピースを選んでる後ろ姿を
見つめながら…

なんかもうすっげぇダサい格好で
行けばいいのにとか
そんなこと懲りずに思ったりして。

 

♡)これにするーーー

 

ようやく決まったみたいだから
後ろから脱がすのを手伝ってやれば、

案外スルスルと簡単に脱げて
床に落ちていったワンピース。

 

♡)わわわっ!何するの!エッチ!///

 

いきなり下着だけになって
慌てたようにワンピースを拾う♡だけど

全然いろいろと隠せてない。

 

臣)……

 

あああ〜〜〜

このまま目の前のホック外して
ベッドに押し倒してぇ…///

 

♡)…っ

 

そんな俺の下心を知らずに
鏡を見て固まってる♡。

 

臣)あ……、

 

やべ。
…って思ったけど、思ったところで遅い。

♡の白い肌に無数に咲いてる赤い印。

 

♡)こん…なに…、付けたの…?///

 

そう、みたいですね…

夢中だったから覚えてない///

 

でも明らかに独占欲の現れなソレに、
さすがに自分でも少し照れる。

 

でも一応見えるとこには付けてないはず…

 

臣)文句あんの…?

 

誤魔化すように強気になれば、

 

♡)……えっち///

 

全然怒ってない、可愛い上目遣い。

 

臣)////

 

ずるいなーーーー、もう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

臣くんにこんなにキスマークを付けられたのは
久しぶりで…

 

俺の!!
…って言われてるみたいで、

なんだか嬉しい…

 

♡)えへへ…///

 

駐車場まで一緒に降りて
乗り込んだ助手席。

隣を見ると…

 

臣)何ニヤニヤしてんの。

 

そう言われて、慌てて口元を隠した。

 

エンジンがかかって、
シートベルトを締めて。

しばらく動き出さないから、

 

♡)臣くん…?

 

もう一度隣に目をやると…

 

臣)……

 

臣くんが真っ直ぐに私のことを見つめてて、

 

♡)……///

 

色っぽいその視線にまたドキッとして、
思わず下を向いた。

 

ドキドキ…ドキドキ…

 

どうして…
そんな目で、私のこと…見るの…?

 

臣)…♡……?

 

ドキッ。

 

低い声で、優しく名前を呼ばれて…

視線をゆっくり臣くんの足元に移して
目線を上げると…

シートベルトを外す音と同時に、塞がれた唇。

 

♡)ん…、……っ//

 

それは軽いキスなんかじゃなくて…

 

さっきみたいに、深くて…

その甘さに浮かされそうになっちゃうような…

 

♡)ん…っ、ふ…、…ッ///

 

どうして…
こんなキス、するの…?

 

臣)は…ぁ…っ

 

……ようやく絡んだ視線。

 

臣くんは私の肩を抱いたまま。

 

臣)なんで…んな顔…すんの…?//
♡)……///

 

二人の唇から、こぼれる吐息。

 

♡)臣くんが…こんなキス…、するから…
臣)……っ
♡)んん…っ!//

 

臣くんのキスに、また溶かされて…

その手のひらは…
スカートの裾から太ももを撫でてくる。

 

♡)んんっ!

 

ダメだよ、って言うように
臣くんの肩を叩くけど…

 

臣)ちょっとだけだから…

 

耳元でそんな風に囁かれて…

 

♡)…っ///

 

……頬も耳も、熱くなる。

 

臣くんがどうしてこんなに
私を求めてくるのかわからないけど…

ドキドキ、クラクラして…

 

また甘い熱に飲み込まれそうな私たちを
止めてくれたのは、

外から戻ってきた車だった。

 

臣)……っ

 

臣くんは我に返ったように手を止めて、
私をぎゅってして…

 

臣)はぁ……///

 

深いため息を吐いた。

 

♡)////

 

ドキン、ドキン、、

私の胸はまだうるさい。

 

臣くんはシートベルトを締め直すと
ハンドルに手をかけて…

私をチラッと横目で見て、

 

臣)着くまでに、その色気、消せ//

 

そう言って、サングラスをかけた。

 

♡)……///

 

色気って…なんだろう。

そう言う臣くんの方が…色気まみれなのに…

 

臣)ああ、あと…
  グロス、塗り直しとけ。

 

そう言って
自分の唇を舐めてみせた臣くんの舌が、
なんか生々しくて……

 

♡)////

 

さっき臣くんに抱かれた熱も…

今、火照らされた熱も…

どっちも冷めていかない。

 

こんなに私のことドキドキさせて…
どうするの?

 

 

ー続ー

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