［310］素直な彼女

臣）はよーっす。
Ｓ）……おは…よ。
臣）ん…？
　
　
迎えの車に乗り込んだら
Ｓさんが窺うように俺のことを見てて…
　
　
臣）なに？
Ｓ）いや…、ご機嫌…だね？
　　それ、♡ちゃんのお弁当？
臣）うん、作ってくれたw
Ｓ）ふーん…。
臣）……あ、そっか！ごめん！
　　仲直りした！
　
　
なんか変だなと思ったら、そうだよな。
　
Ｓさんとは昨日あそこで別れてるから
そりゃその後を心配するよな。
　
　
Ｓ）仲直り！？喧嘩になったの？
臣）あ、いや、ちげーな。
　　喧嘩にはなってない。
　　仲直りっつーか…
　　ちゃんとラブラブです。
Ｓ）なんだよもぉ〜〜〜
　　めっちゃ心配してたんだからー
臣）ごめんごめんw
　　……って、うおお！
　　びっくりした！岩ちゃんいたの！
Ｓ）先に乗ってましたよ。
臣）マジか。爆睡してんじゃん。
Ｓ）うん。
臣）お疲れなのかねぇ…
Ｓ）こんな話してても起きないからねw
　　はい、じゃあ行くよーー
臣）お願いしまーす。
　
　
岩ちゃんは一番後ろで寝てて
その後も俺らがいくら会話してても
まったく起きなかった。
　
　
隆）はよーっす。
　
　
次に乗り込んできたのは
寝癖ボンバーな隆二。
　
　
臣）お前…すごい頭だぞ…。
隆）うん。♧にも言われた。
臣）今日メイクないから一日それ？
隆）帽子かぶるもん。
　
　
眠そうに目をこすった隆二は
ニット帽をぼすっとかぶって目を閉じた。
　
　
臣）……。
　
　
みんな寝るの？
すぐ着きますけど？
そんなお疲れなの？
　
昨日はサマンサの仕事しか
なかったはずだけど…
　
　
さてはお前ら…
今の今までヤリまくってたんじゃ…
　
　
　
……
　
　
…
　
　
　
臣）おはようございまーす。
　
　
それからすぐ事務所に着いて、
会議室には健ちゃんとELLYが先に来てた。
　
　
リーダー二人が揃うまで待機ってことで
椅子の上でくるくるしてたら、
　
やっと目が覚めた様子の岩ちゃんが
俺の顔を見て思い出したように口を開いた。
　
　
岩）そういえば昨日あの後、どうなったの？
臣）ああ。
岩）ちゃんとヤリまくった？
臣）うん。
岩）ぶっ、ほんとにヤッたんかいw
臣）ヤれって言ったの岩ちゃんじゃん。
岩）そうだけど！w
　　で？
臣）なに？
岩）スッキリした？
臣）……した。
岩）ほら〜〜、俺の言った通りだった。
　　ああ良かったw
臣）……なんかさぁ、
　　やっぱり愛を確かめ合うのって
　　大事だよね、身体で。
岩）「身体で」ねw
　　そうだね、大事だねーー
臣）つーか俺、結局全部言っちゃった。
岩）なんて？
臣）他の男にキスされてんじゃねぇよ、って。
岩）おお！言ったんだ！！
　
　
そんな話をしてたら、
他の3人も会話に入ってきた。
　
　
隆）どーゆーこと？
健）♡ちゃん誰かにキスされたん？
Ｅ）うっそ！
　
　
俺は仕方ないから昨夜の事情を説明した。
　
　
隆）なるほどねぇ、あれでしょ、
　　臣の宿敵のハルくん。
岩）そんな覚え方？w
隆）臣より♡ちゃんと運命的なハルくん。
健）せやったなw
隆）♡ちゃんが臣なんかより
　　ずっと長く想い続けてた
　　初恋の相手、ハルくん。
Ｅ）そうだった。
臣）お前はさっきから言い方に
　　トゲがあんだよ！
　
　
隆二に肩パンチを食らわせたら
あははとか言って笑ってる。
　
　
隆）でもさぁ、海外って距離近いし
　　スキンシップ多いじゃん。
岩）うんうん。
Ｅ）口ならあれだけど、髪でしょ？
　　気にしなくていいんじゃない？
健）まぁそうは言うても
　　臣ちゃんはちっさいから気になんねんw
臣）ちっさい言うな！w
　
　
それは自分でもわかってんだよ。
　
　
隆）いや、ちっせぇよ。
　　髪だろ？髪！
　　口にされたわけじゃあるまいし。
臣）でも…
隆）こっちなんて目の前で…
臣）え？
隆）…いや、なんでもね。
臣）なんだよ。
　
　
隆二はむすっとしてニット帽を脱いだ。
　
　
臣）てか思い出した。
　　それだけじゃなかったんだ！
岩）え？！他にもなんかされてたの！？
臣）……なんかさぁ、
岩）うん。
臣）「愛してる」って…
岩）愛してる？！
臣）毎回言われんだって。
健）はぁぁ？！！
Ｅ）どのタイミングで！？
臣）……おやすみとかの挨拶と一緒にって
　　言ってたけど…
岩）挨拶と…一緒に…、ねぇ…
健）それほんまに愛してるんちゃう。
臣）えっ…
健）♡ちゃんのこと好きなんちゃう。
Ｅ）でも彼女いるんでしょ？その人。
臣）うん。
健）ああそうか、そうやったな。
隆）Good night, I love you.
　　なんて海外じゃ普通じゃん。
　　気にしすぎだって。
臣）……そうかなぁ。
隆）ちっちぇーなー、臣は。
　
　
隆二は少し落ち着いた寝癖を
片手でわしゃわしゃしながら俺を見た。
　
　
隆）♡ちゃんが誰に愛してるって言われようと
　　一番愛してんのは自分だって
　　自信持てよ。
臣）…っ
　
　
何いきなりカッコイイこと言ってんの
コイツ。
　
　
健）♡ちゃんはどうなんやろな。
臣）え？
健）愛してるとか言われて
　　「きゅん♡」とかしてへんのかな。
　　してたら問題やん。
Ｅ）それは大問題だw
臣）……なんか…
　　慣れてないからドキドキしちゃうとか
　　言ってた。
皆）えーーー！！
健）ドキドキあかんやん！w
Ｅ）臣、それはダメだ！
臣）ダメだって…どうしろっての！
隆）臣も愛してるって言って
　　ドキドキさせれば。
健）なんやその愛してる合戦！w
岩）いやーーー、でも、うん。
　　それを臣さんに言っちゃう♡ちゃんね。
健）……それな。
岩）素直すぎ。
健）彼氏に言うたらあかんやろ。
臣）でしょ？！
　
　
だから昨日はたっぷりお仕置きしましたけど。
　
　
岩）◇もさ、Ｊってやつに
　　たまに頭ポンポンされるとか
　　嬉しそうに俺に言ってくんの！
臣）は？マジで！？
　
　
◇ちゃん、薔薇男のファンだって
言ってたもんな。
　
それダメじゃん！
岩ちゃんに言っちゃダメなやつじゃん！
　
　
岩）女ってのはさぁ〜
　　男がどんだけ小さいかわかってないよね。
　　その小ささを必死に隠して
　　どんだけ嫉妬を噛み殺してるか、
　　ほんとわかってない。
臣）わかってない！
隆）岩ちゃんはそん時どうしたの？
岩）……お仕置きした。
臣）……。
　
　
同じことしてんなぁ、おい。
　
　
健）まぁでもあれやん？
臣）ん？
健）髪にキスとか頭ポンポンとか
　　お前らのイチャイチャに比べたら
　　可愛いもんなんちゃう？
臣）は？俺らのイチャイチャって何？
健）どうせ昨日も可愛い子と
　　イチャイチャしてきたんやろ？
岩）はい？？
健）サマンサの撮影で。
臣）……ああ、そーゆーこと！
　　いや、別に大したことしてねーし。
　　あれは仕事だから話別だろ。
健）仕事や言うても実際してるんやから
　　女子はいい気はしぃひんのちゃう。
臣）…っ
　
　
そういえば♡も昨日泣いちゃったしな…。
　
　
臣）でもやっぱそれとこれとは別だ！
岩）そーだ！別だ！
　
　
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
　
　
♡）戻りましたー！
　　…あれ、誰もいない。
　
　
アポから戻ってきたら
お昼をまわってて。
　
みんなランチに出ちゃったみたい。
　
でもいいや。
今日は私、お弁当だし。
　
一人でのんびり食べよーっと。
　
　
蒼）戻りましたー。
　　あ、♡さんしかいない。
♡）おかえりなさい。
蒼）戻りました。
♡）？
蒼）戻りました。
♡）おかえりなさい。
　
　
なんで何回も言うの？
　
　
蒼）……いいですね、
　　♡さんにそう言ってもらえるの。
♡）はい？
蒼）可愛い奥さんになるんだろうなーって。
♡）……。
　
　
何言ってるんだろうと思って
スルーしたけど…
　
　
蒼）そういえば社員旅行のバス割
　　決まったんですよー。
　
　
蒼くんは話を続けてくる。
　
　
♡）ふーん。
蒼）あれ？興味ないですか？
♡）私別にどこの部署とでもいいもん。
蒼）へぇ。
　　うちは営業部と一緒になりました。
♡）あ、そうなんだ！
　　
　
じゃあきっと海璃ちゃんは喜ぶよね！
　
　
蒼）♡さんとＴさん、隣にしましょうか？
♡）は？
　
　
意味がわからない。
　
　
♡）海璃ちゃんと隣にしてあげるって
　　言ってたでしょ！
蒼）そうですけど…
　　それじゃつまんないかなーって。
♡）何それ！
蒼）じゃあ海璃とＴさんを隣にするかわりに
　　どっちか選んでくれません？
♡）は？？
蒼）僕とデートするか、僕とキスするか。
♡）は！？？！
　
　
この子何言ってるの？？？
まったく意味不明なんだけど！！
　
　
♡）キスなんかするわけないでしょ！
蒼）ほっぺでいいですよ？
♡）そういう問題じゃなくて！
蒼）キスが嫌ならデートでも。
♡）だから…っ
蒼）言うこと聞いてくれないなら
　　♡さんはＴさんの隣ってことで。
♡）なんでそうなるの！！
蒼）実行委員の権力乱用ですw
♡）意味わかんない！最低！
蒼）僕が最低だなんて
　　♡さんはとっくに知ってますよね？w
♡）…っ
　
　
むぅぅぅぅ！！！
　
　
蒼）あーあ、海璃かわいそうだなー
　　♡さんと一緒にいるＴさんを見て
　　また傷つくんだろうなー
♡）…っ
　
　
蒼くんはニヤニヤ笑いながら
片肘をついて、パソコンを開いた。
　
　
♡）海璃ちゃんと…隣にしてあげて。
蒼）嫌です。
♡）意地悪！
蒼）だったらもう一つ選択肢あげましょうか？
♡）…っ
蒼）♡さんが僕の隣の席になる。
　　これでどうですか？
　　もちろん行きも帰りもずっとですよ。
♡）…っ
　
　
どうしよう。
すっごく嫌だけど…
　
私が我慢して
海璃ちゃんが嫌な思いしないなら…
　
　
♡）……いいよ。
蒼）あははは、ありがとうございますw
　　楽しみだなぁ、♡さんの隣の席。
♡）……。
　
　
蒼くんなんて嫌いだけど…
バスで隣に座るくらい、我慢できるもん。
　
　
♡）ぷん！！
蒼）だから前にも言ったじゃないですか、
　　怒ってても可愛いだけだってw
♡）嫌い！！
蒼）ありがとうございますw
♡）なんで嫌いでありがとうございますなの！
　　嫌い！嫌い！
蒼）あははは、ほんと可愛いですね♡
♡）…っ
　
　
むきぃぃぃ！！！
　
　
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
　
　
隆）イニミニは絶対入れたい。
臣）頭に入れたい。
Ｎ）頭？！いきなりイニミニ！？
岩）それすげぇカッコイイなぁw
直）いいかもね。
Ｎ）てかさ、代々木狭いから
　　スタンドマイク7本は多分並ばないよ。
Ｅ）じゃあちょっと前後させてもいいかも。
健）せやな！
　
　
リーダー二人が揃って
今日は月末に控えたドリフェスの打ち合わせ。
　
　
臣）いっぱい歌いたいなぁ。
　
　
ツアーも終わっちゃったから
またしばらくこんなLIVEみたいなのも
出来ないし。
　
　
隆）バラード何入れる？
臣）うーん。フルで歌わなくてもいいから
　　3曲くらい歌いたいな。
隆）じゃあ2番飛ばしで歌う？
臣）うーん、曲によるかも。
Ｎ）やっぱり季節的にも
　　冬のバラードじゃないっすか？♪
岩）冬物語！
Ｅ）Powder Snow！
直）ああ、でも…
　　Unfair Worldは入れなきゃ。
健）ああ、そうっすよねー
　　今年リリースだし。
Ｎ）てかR.Y.U.S.E.I.どこに入れる？
臣）うーん、いっそラスト？
Ｎ）ラスト！！
岩）それ新しいw
　
　
みんなであーだこーだ話してたら
あっという間に過ぎていく時間。
　
　
Ｎ）あとはちょっとさ、
　　スタジオでやりながら詰めよっか。
隆）そうっすね。
Ｎ）じゃあ一旦休憩。腹減ったわ。
Ｅ）俺もー。
　
　
飲み物を買いに行ったり
トイレに行ったり
一旦打ち合わせが終わったから
俺は♡が作ってくれた弁当を広げた。
　
　
臣）へへw
　
　
早く食いたかったんだ〜〜♪
　
あ、今日もメモ入れてくれてる。
　
　
『お仕事ファイトー！
　ヽ(*＾ω＾*)ﾉ』
　
　
ぷっ、可愛いイラスト付きw
　
　
臣）あ。
岩）あ。
隆）あ。
　
　
俺の向かいで隆二と岩ちゃんも
弁当を広げてる。
　
　
臣）奇遇ですなぁ。
岩）ですなぁ。
隆）みんな弁当なんだw
　
　
3人で笑って、手を合わせたところに
健ちゃんがドスドス戻ってきた。
　
　
健）なんかええ匂いする！
　　あ！弁当や！
　
　
俺は取られないようにそっと背を向けた。
　
　
健）何隠してんねん。
　
　
げ、逆効果だった。
　
　
臣）あげないから！！
健）ふん！いらんわ！
　
　
ほんとは食べたいくせに。
　
　
健）なんやねんこの部屋！
　　揃いも揃って
　　彼女の手作り弁当広げよって！
Ｎ）うわー！出たーー！
　　愛妻弁当の自慢大会〜〜！！
　
　
戻ってきたNAOTOさんも
大袈裟に驚いて見せたりして。
　
　
俺ら3人はそれを無視して
ムシャムシャムシャ。
　
　
健）ほんまムカつくわ〜〜
　　毎日毎日作ってもらいよって！
隆）毎日じゃないし！
臣）そーだよ！
　　昨日は誰も弁当じゃなかったもん。
岩）確かに。
健）ほんならなんで今日は仲良く揃って
　　弁当やねん。
岩）偶然だと思いますけど。
Ｎ）俺たちに見せつけるためだな…。
隆）違いますよ！w
健）あれやろ、サマンサ女子たちで
　　「今日はお弁当にしよ〜♡」
　　「うん♡」
　　とかやってんねやろ！
臣）知らないよw
健）こいつらの彼女、
　　「サマンサ女子」とか
　　LINEグループ作ってるんすよ。
Ｅ）サマンサ好きなの？
Ｎ）いや、サマンサメンバーの彼女だから
　　ってことでしょw
Ｅ）あ、そゆことか！w
　
　
あ〜〜〜
玉子焼き美味ぇ〜〜♡
　
どれも美味しいけどやっぱり
玉子焼きが一番好きかも♡
　
　
Ｎ）でもさぁ、こんなに彼女同士が
　　仲良いのって初めてじゃない？
隆）え？
Ｎ）ほら、飲み会とかで顔合わせたら
　　どーもー、みたいなのはあったけどさー
直）確かに。
健）プライベートで遊んだりまでは
　　なかったやんな？
Ｅ）あ、でもこことここは仲良くなかった？
臣）でも今ほどじゃないかも。
岩）うん。あの3人、仲良すぎだよねw
Ｅ）彼女たちも仲良いなんてなんかいいね！
　　ハッピーハッピー！
隆）今日もボクシングって言ってたし。
　　金曜はジャム作りするって言ってたし。
臣）あ、そうなの？初耳。
隆）ほんと仲良いなw
　
　
そう言って隆二は嬉しそうに笑った。
　
　
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
　
　
パン！パンッ！！
　
　
男）♡ちゃん今日気合い入ってるねぇ！
♡）てやっ！！！
　
　
蒼くんへのムカムカを
ボクシングで発散するんだ！！
　
　
♡）……ふぅっ、疲れたー！
　
　
タオルで汗を拭って、ポカリをごくごく。
　
　
Ｍ）ふふふ、似合いますねぇ♡
♡）え？何が？
Ｍ）ポカリが。
♡）？？
　
　
ポカリが似合って
どうしてニヤニヤするんだろう。
　
　
Ｋ）よーし、あとはジムで筋トレするかなー
♡）私もー！
男）あ、♡ちゃん！本当にありがとうね！
♡）え？
　
　
フロアを出ようとすると
トレーナーさんに呼び止められた。
　
　
男）♡ちゃんのおかげで
　　会員本当に増えたから。
♡）いえいえ！
男）助かってます！本当にありがとうw
♡）はい♡
　
　
私が紹介したわけじゃないんだけど…
私が知らないところでも、
　
♧さんがむーこさんを連れてきて
◇ちゃんが桜ちゃんを連れてきて
海璃ちゃんが美花ちゃんを連れてきて
　
女子が結構増えたみたい。
　
　
凪ちゃんやさくちゃんも
職場の人を誘って来てるみたいだし。
　
　
みんなクラスはバラバラだけど
今はもうフリーパスに変更して
自由に通ってるんだー。
　
だから誰がいつ来てるのかはわからないけど
顔を出せば誰かがいる感じ。
　
　
む）あ、♡ちゃんだー！お疲れさん。
◇）お疲れさまー！
♡）お疲れさま♡
　
　
早速むーこさんと◇ちゃん登場。
　
　
♡）あれ？二人のウエア、お揃い？
◇）そーなの！偶然！
む）これ動きやすくていーよねー！
◇）はい♪
♡）……。
　
　
……二人ともおっぱいが大きい。
いいなぁ。
　
　
む）いやぁ〜〜
　　ほんっとに♡ちゃんは
　　身体のラインが綺麗ね。
♡）ひゃっ///
　
　
お尻をポンと叩かれてびっくりした。
　
　
む）このくびれよ。素晴らしい。
　　腹筋もしっかりあるし。
♡）ありがとうございますw
　
　
よし、今日はランニングから始めようかなー
　
　
♡）あ。
Ｋ）あ。
　
　
マシンに乗ろうとしたら
♧さんが男の人に話しかけられてるところを
Ｋちゃんと目撃してしまった。
　
　
男）最近よく来てますよね。
♧）はい。
男）このへんに住んでるんですか？
♧）ええと…
男）あ、職場が近いとか？
♧）ええと…
男）僕もよく来てるんで…
　　よかったら今度、終わった後にでも…
　
　
これは！！
きっとナンパだ！！
　
大変だよ隆二くーーん！！
　
…って呼んでみても、
現れるわけないんだけど…。
　
　
♧）ごめんなさい。
男）俺、警戒されちゃってる？w
♧）あの…、
男）そんな深く考えないでさ、今度…
Ｋ）お兄さーん。
男）ん？
Ｋ）お姉さんの彼氏、すっごく怖い人だから
　　そんな距離で話してたら
　　殺されますよ。
男）ええ？！
　　彼氏と来てたの！？ごめん！
♧）あ、いや…
男）ええと、ごめんね？
　
　
男の人はそそくさと去っていった。
　
　
♧）Ｋちゃん、ありがとう。
Ｋ）いいえー。しつこい男でしたねー。
♡）すっごく…怖い人…、
　
　
あんなに優しくて
可愛いにゃんちゅうな隆二くんが…
　
　
Ｋ）だって隆二も嫉妬深そうだもん。
♡）え？ほんと？
Ｋ）うん。
　　てかさ、嫉妬深くない男なんていないよ。
　　男はみーんなヤキモチ妬き！
♡）……。
　
　
Ｋちゃん、悟りを開いたのかな。
　
　
それから私たちは
ランニングマシンで汗を流して
その後に体幹トレーニングをして
着替えに向かった。
　
　
♡）ふぅ、疲れたねーー
Ｋ）いい汗かいたー！
♡）あ、Ｍちゃん、先戻ってたんだー
Ｋ）もうシャワー浴びたんだ？
Ｍ）ふっふっふ♡
♡）ん？
Ｍ）イケメンとLINE交換しちゃいましたー♡
Ｋ）イケメンなんていた？
Ｍ）♧さんをナンパしてた人の後輩です。
♡）ええ！
　
　
そんなとこまで見てたとは
さすがＭちゃん…。
　
　
Ｍ）この後、飲みに行くんですー♡
Ｋ）話が早いなw
♡）二人で行くの？
Ｍ）はい♡
　
　
なんて話してたら、
◇ちゃんと♧さんとむーこさんも戻ってきた。
　
　
む）あらあら、やだやだーー♡
♡）え？
む）こんなに愛されちゃって、♡ちゃん♡
♡）え？……ひゃっ///
　
　
背中をツツーッとなぞられて振り向いたけど
なんのことかわからなくて…
　
　
♧）……わ、すごい…///
◇）♡ちゃん…///
Ｋ）出たー！
Ｍ）登坂さんたら…また…
♡）え？！
　
　
慌てて鏡を見ると…
　
　
♡）////
　
　
何これぇぇぇ！！
全然気付かなかった！
　
どうしてこんないっぱい付いてるの！！
　
　
む）もしかして…
　　臣くんって毎回こういうタイプ？♡
♡）…違います…///
　　これは久しぶりです///
む）あらら♡
　　じゃあ付けたくなるような何かが
　　あったのね♡
♡）え？
む）独占欲をかきたてられるような何か♡
♡）……。
　
　
そう言われて思い出す、昨夜のこと。
　
　
「他の男にドキドキしてんじゃねぇよ。
　それ浮気だからな。」
　
　
もしかして…
ハルくんのことかな？
　
それでこんなにいっぱい、付けたのかな？
　
　
♡）////
　
　
……顔が熱い。
　
　
Ｋ）ほら、やっぱり男は
　　ヤキモチ妬きなんだよ。
◇）何それw
♧）Ｋちゃん、さっきも言ってたw
む）ね、ね、ちなみにこーゆー時、
　　臣くんってどんな感じなの？♡
♡）えっ///
む）オラオラな感じ？♡
♡）…っ
　
　
臣くんは…
　
　
「この後、どうして欲しい？
　……言えよ。」
　
「じゃあ感じさせてやるよ。」
　
　
♡）////
　
　
また顔がシューシューしてきた。
　
　
♡）…最近…、臣くん…、
む）うん？
♡）なんか…広斗モードなんです///
Ｋ）広斗モード？！
◇）何それ！
Ｋ）よくもまぁ群れやがって！って？
◇）Ｋちゃん、それちょっと違うw
Ｍ）広斗みたいに俺様ってことですか？
♡）////
Ｍ）きゃーー♡
　　やっぱりそうなんだー♡
む）俺様でオラオラなのね？♡
♡）強引ていうか…///
む）いやーん！いいねいいねそーゆーの！♡
　
　
話してたら恥ずかしくなってきちゃった///
　
　
♧）♡ちゃんは…そういう方が好きなの？
　　広斗モードな臣くん///
♡）えっ///
　　えっと…、えっと…、私は…
　　どんな臣くんも、大好き///
◇）出たーーー！
♡）えっ
◇）それ前にも言ってたよね！
　　もうどんだけ臣さんのこと好きなのぉ〜w
　
　
◇ちゃんがからかうように
肘でつんつんしてきた。
　
　
む）「どんな臣くんも大好き♡」かぁ〜♡
♡）……（こくん）///
　
　
恥ずかしながら私が頷くと、
隣でＭちゃんがぼそっと
「いいなぁ…」って言ったのが聞こえた。
　
　
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
　
　
ドリフェスのリハを終えて家に帰ると
風呂上がりの♡がイイ匂いをさせて
出迎えてくれた。
　
　
♡）おかえりなさい♡
　　お疲れさまー♡
臣）うん。
♡）お風呂あるよー♡
臣）一緒に入る？
♡）……私、お風呂上がりだよ？
　　見たらわかるでしょ？
臣）わかった上で言ってる。
♡）今日は入んないよ！
臣）ちえーっ
♡）そーだ！そういえば！！
臣）ん？
　
　
洗面所で手洗いうがいをしてると
鏡に映ってる♡が
後ろでほっぺを膨らませてる。
　
　
臣）どうした？可愛い顔して。
♡）可愛くないよ！怒ってるの！
臣）お前は怒ってても可愛いんだよw
♡）……。
　
　
あれ？
何か思い出してるような顔。
　
　
♡）はっ、それはいいんだ、今は！
臣）ん？
♡）臣くん！！
臣）はい？
♡）また…付けたでしょ、いっぱい！///
臣）ん？
♡）は、恥ずかしいんだから！///
　
　
……ああ。
昨夜のあれですか？
　
　
臣）何が恥ずかしいの？
♡）えっ…
臣）俺と愛し合うことが
　　恥ずかしいわけ？
♡）えっ…
臣）お前は俺と恥ずかしいことをしてんの？
♡）えっ…
　
　
ぐいぐいと近付いて顔を覗き込めば
♡は簡単に黙り込む。
　
　
♡）そうじゃ…ないけど…
臣）そうだよな？
♡）…っ
臣）身体で愛を確かめ合うのって
　　素晴らしいことだと思うんだよな〜、俺。
♡）それは…そう…だけど…
臣）その証が身体に残ってて、
　　何が不満なんですか？お姫さま。
♡）…っ
臣）ん？
♡）////
　
　
あっさり反論できなくなってやんの。
可愛いヤツーーーw
　
　
臣）不満ならもう俺とＨしない？
♡）えっ…
臣）しばらくやめとこっか。
♡）えっ！
　
　
……ぶくくくw
　
何この悲しそうな顔〜〜〜！
ちょー可愛いんですけど！
　
素直すぎない？
　
　
臣）じゃあしばらくやめとこうな。
　　怒られちゃったし。
　　自粛するわ。
♡）…やっ、
　
　
リビングに行こうとする俺を
♡が必死に追いかけてきた。
　
　
♡）……や、だ///
　
　
俺の服をぎゅっと掴んで、
可愛い上目遣い。
　
　
臣）何がやなの？
♡）////
　
　
ああ〜〜〜
ほんと可愛い。
　
なんでこう苛めたくなっちゃうんだろ。
可愛すぎる。
　
　
♡）……やめない///
臣）何を？
♡）臣くんと…Ｈ、するの…///
臣）////
　
　
可愛いぃぃぃ……
　
　
臣）したいの？
♡）////
臣）ちゃんと言えよ。
♡）……した…い///
臣）よくできましたー♡
　
　
♡をひょいと抱き上げると、
「今すぐじゃないよ！///」
ってジタバタ暴れられた。
　
　
臣）なんだよ、したいって言ったじゃん。
♡）だからそれは
　　今って意味じゃないもん！///
臣）じゃあ後でしような？
♡）……///
臣）な？
♡）……（こくん）///
　
　
あああ〜〜可愛い。
ほんと素直///
　
　
臣）弁当ありがとな、めっちゃ美味かった。
♡）あ、うん♡
臣）今日さ、隆二と岩ちゃんも弁当で。
♡）そうだったんだ！
臣）もう健ちゃんがうるさいうるさいw
♡）なんて？
臣）自分は作ってくれる彼女がいないから。
♡）あ、そっか…
　　健二郎くんの分も作ろうか？
臣）はぁ？！なんでだよ！
　　絶対いらねーし！
♡）え、だって…
臣）いーの！俺の分だけでいーの！
　
　
弁当箱を洗ってくれてる♡を
後ろからむぎゅっと抱きしめた。
　
　
♡）臣くん、明日はなんのお仕事だっけ。
臣）明日もドリフェスのリハ。
♡）じゃあ健二郎くん一緒だよね？
臣）だーかーらー！
　　作んなくていいから！絶対！
♡）…っ
　
　
♡の耳をカプッとかじると
♡は困ったように笑って振り向いた。
　
　
♡）健二郎くん…かわいそうじゃなぁい？
臣）かわいそうじゃない！全然！
♡）そっか、じゃあいっか。
　
　
あっさり見捨てられた健ちゃん。
これでよし。
　
　
それから俺もゆっくり風呂に入って
映画なんか観ちゃったりして。
　
　
臣）やべ、遅くなっちゃった。
　
　
急いであがってリビングに戻ると、
ソファーでうとうとしてる♡。
　
　
臣）まだ寝るなよー！
♡）…んにゃ…、、眠たい…。
臣）よし、じゃあベッド行こ！
　
　
♡を抱っこして、寝室に向かった。
　
　
臣）お前は明日は会社だけ？
♡）ううん、夜アポ入ってるー。
　
　
あ、声がもう眠そう。
しまった。映画なんて観なきゃ良かった。
　
　
臣）アポ？
♡）うん、…大塚製薬の。
臣）大塚製薬！？
　　何それ！初耳！
♡）…うん、私もよく…わかんない…。
臣）あああ！まだ寝るなー！
　
　
目が閉じかけてる♡をベッドに寝かせて、
慌てて抱きしめた。
　
　
臣）Ｈしよ！！
♡）え…？
臣）え、じゃねぇよ！
　　しよって言ったじゃん！
♡）……あ、ごめんね。
　　さっき生理になっちゃったの…。
臣）えええ！？？
　
　
……そう言われてみれば…
確かにそんな時期ですね？
　
　
臣）マジ？
♡）うん…。
　
　
あああ〜〜！！
目が閉じちゃったぁぁ！！
　
　
♡）おやすみ…なさい…。
臣）……。
　
　
眠り姫は…夢の中へ旅立ちました。
　
　
……ガーン。
やる気満々だったから…すげぇショック。
　
　
「……や、だ///」
　
「……やめない///
　臣くんと…Ｈ、するの…///」
　
　
せっかくあんな可愛く言ってくれてたのに…。
　
　
臣）…っ
　
　
出来ないってわかったら
余計に可愛い♡ばっかり思い出しちゃう。
　
　
「……手加減…しないで///」
　
「臣くん、大好き…///」
　
　
ああああ〜〜〜
ダメだダメだ、思い出すな〜〜〜
　
　
「臣くんとＨしたい///」
　
「私が好きなのは…臣くんだもん///」
　
　
臣）////
　
　
ダメだ。
最近の可愛い♡が走馬灯のように
頭の中に……、、
　
　
「優しい臣くんも、意地悪な臣くんも
　どんな臣くんでも全部大好きなのっ///」
　
「どうしてこんなに大好きなの…？///」
　
　
……可愛かったよなぁ///
　
　
どうしよう。
ムラムラがおさまんない。
　
　
「…臣くんのこと…、感じたい///
　…身体の…中で、///」
　
　
臣）////
　
　
ダメだ！！
可愛い♡が次から次へと…
　
　
誰か助けてくれ！！
　
♡欲がMAXすぎる！！
　
　
あああああ〜〜〜〜！！
　
　
……また俺の苦しい一週間が始まった。
　
　
　
　
　
　
ーendー