[294]離ればなれの二人

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♡)お待たせ♡
臣)…っ
♡)えへへ、どうかな?///
 
 
くるっと回ってニコッと笑う♡。
 
 
臣)////
 
 
な、な、なんだこれは。
 
 
♡)かわいーい?♡
 
 
可愛いっていうか
綺麗っていうか
 
なんか、もう。
 
 
♡)何か言ってよぅ…
臣)////
 
 
ニヤけそうな口元を隠して
♡を抱きしめた。
 
 
臣)……すげぇイイ。
♡)ほんとっ?
臣)ん、///
♡)えへへへ♡
 
 
今日は賢司と凪ちゃんの結婚式。
 
 
丁度一週間前、
何着て行こうかって話してたら
「また臣くんとお揃いにしたいなぁ…」
なんて可愛いことを♡が呟くもんだから…
 
俺ってば用意しちゃったよね。
♡のワンピースやら何やら一式。
 
 
色はワインレッド。
 
俺のベストの色とお揃いのそれは
♡のスタイルの良さが際立つような
上品なラインで。
 
でもところどころに可愛らしさが光る
♡らしいデザイン。
 
 
主役はもちろん新郎新婦だから
目立ちすぎないように
少し控えめに選んだけど…
 
やっぱり♡が着ると
めちゃくちゃ可愛い。
めちゃくちゃ綺麗。
 
 
臣)お前……、
♡)ん…?
臣)ほんとイイ女だな?
♡)えっ!
 
 
弾かれたように顔を上げた♡を
じっと見つめたら…
 
♡は「ありがとう」って頬を染めた。
 
 
♡)髪も大丈夫かな?
臣)うん、すげぇ上手。
♡)良かった、えへへ///
 
 
俺がやってやろうか?って言ったら
◇ちゃんに新しいアレンジ教えてもらったから
今日は自分でやるーって
早起きして頑張ってた♡。
 
 
臣)ここ、いいね。可愛い。
♡)ほんと?
臣)うん。
  ここ、いいね。エロい。
♡)えっ!え、え、え?///
 
 
なんか色気を感じる耳元を
うなじにかけて指でなぞったら
♡は恥ずかしそうに肩をすくめた。
 
 
♡)臣くんは今日もカッコイイね///
臣)そう?
♡)うんっ!
 
 
俺を上から下までマジマジ見て
♡は力強く頷いた。
 
 
♡)服も…前よりお揃い感強くて
  嬉しいな♡
 
 
当たり前じゃん。
今回はちゃんと揃えたんだから。
 
 
♡)おそろいー♡おそろいー♡
 
 
子供みたいに無邪気に喜んでるのは
可愛いんだけど…
 
 
臣)はぁぁぁぁ……
♡)ん?
 
 
すげぇムラムラする。
 
♡を抱きしめて深呼吸。
 
 
♡)出発前のぎゅーだね♡
臣)……
 
 
てゆーか今必死にムラムラを抑えてます。
 
 
♡)ぎゅ、ぎゅ、ぎゅーー♡
 
 
はぁ…柔らけぇ……
すげぇ気持ちぃ。
 
 
あああ〜〜
このままファスナーおろしたい。
 
あああ〜〜
このまま太もも撫でたい。
 
あああ〜〜
このまま…
 
 
♡)臣くん?
臣)はっ
♡)どうしたのー?
臣)……いや、
 
 
エロいことばっかり考えてました。
 
なんて言えないから
じーっと見つめたら…
 
 
♡)////
 
 
もじもじ照れたように赤くなる♡。
 
 
ああ、やっぱ我慢できない。
 
 
臣)リップあとで塗り直してくれる?
♡)え?
 
 
きょとんとした♡に
その意味をわからせるように
 
深く深く、口付けた。
 
 
♡)…っ////
 
 
あたたかい口の中は…
キスの甘さで、熱くなっていく。
 
 
追いかけて…、逃がして…、また捕まえて。
 
 
息も忘れるくらい、夢中で♡を求めた。
 
 
♡)どう…して…こんなキス、するの…?///
 
 
ほんのり吐息を漏らして
目を潤ませてる♡に、
 
キスで我慢するはずだった俺の身体が
ドクンと鳴った気がした。
 
 
臣)……どうしよう。
♡)え…?
臣)死ぬほどしたい。
♡)え、キス…?///
臣)……の、先。
♡)////
 
 
ぎゅっと抱きしめて、もう一度深呼吸。
 
 
臣)……ダメ…?
♡)////
 
 
時間はまだある。
 
生理ももう終わったはずだから
今日が解禁日だったんだけど
夜まで待てない俺はほんと困った男だ。
 
 
臣)我慢できないかも。
♡)…っ///
臣)ほら、だって…
  俺の実家でしたのが最後じゃん?
  お前が我慢出来なくなっちゃったやつ。
♡)私が、じゃないでしょー!///
臣)えーー、じゃあ俺が?
♡)……ううん、…二人が…、///
臣)////
 
 
なんだよ。可愛いなもう。
 
 
あーーーー、思い出しちゃうじゃん…。
 
あん時すげぇ可愛かったよなぁ…
必死に我慢してる顔がすげぇ色っぽくて。
 
 
臣)もう声我慢しなくていいんだよ?
♡)あっ、
 
 
ほら、それ。
 
 
臣)な?
♡)……ん、っ///
 
 
その可愛い声が聞きたいんだよ。
 
 
♡)だ、だめ…っ///
臣)なんでだよ。
♡)髪、乱れちゃうもん…///
臣)直してやるから。
♡)お化粧だって…取れちゃうもん///
臣)うーん…
♡)夜まで待って…?
臣)…っ
♡)ね?
 
 
俺をなだめるように
可愛く小首を傾げる仕草に、
またグッと来て。
 
 
臣)////
 
 
ずるくない?これ。
 
 
臣)はぁ…。
  我慢するためにキスしたのに
  余計火ぃついた。
  キスしなきゃ良かった。
 
 
ガックリうなだれる俺のジャケットの裾を
♡がつんと引いた。
 
 
♡)私も夜まで我慢するから…、ね?///
 
 
それって…
お前もほんとは今したいってこと?
 
 
臣)////
 
 
可愛いなぁ!もう!!
なんなんだよほんと!!
 
 
臣)あああああ〜〜〜
♡)わっ、なぁに?///
 
 
彼女が可愛すぎて困ってる男の
心の叫びです。
 
 
ガバッと抱きしめられた♡は
俺のジャケットにファンデがつかないように
手でガードしてる。
 
 
臣)……夜、覚悟しとけよ。
 
 
唇に付いた♡のリップを親指で拭って
そう宣言したら、
 
 
♡)////
 
 
もう片方の手で撫でてた♡のほっぺが
また赤く、熱を持った。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
今日は綺麗に晴れて、
鮮やかな青色が空一面に広がってる。
 
もう10月なのに暑いなぁ。
 
 
♡)わぁ、すごーい!
 
 
辿り着いた迎賓館。
 
お庭は綺麗に装飾されていて
みんなウェルカムドリンクを片手に
お喋りを楽しんでる。
 
 
臣)ほら。
♡)あ、ありがとう。
 
 
私の分ももらってきてくれた臣くんから
グラスを受け取った。
 
臣くんはニコッと笑って
クイっとそれを飲み干して。
 
 
私はついついその綺麗な横顔に
見惚れてしまう。
 
 
臣)何見てんだよw
♡)はっ///
 
 
だって…
だって…
 
今日の臣くん、すごくカッコイイんだもん!!
 
いつもカッコイイんだけどね?
今日は本当に素敵なのっ!!
 
 
ビシッと決めたスーツの中は
私とお揃いのワインレッドのベスト。
 
この色、こんなに似合う人いるかなぁ…
なんて、また見惚れちゃう。
 
 
臣)だから見過ぎ!w
♡)はっ///
 
 
だって…
だって…
 
髪型もカッコイイし
ふとした表情とか仕草とか
そういう何気ない全部で
私をドキドキさせてくるんだもん。
 
 
臣)なんで口尖ってんだよw
♡)臣くんがカッコ良くてずるいなぁって///
臣)はぁ?w
 
 
臣くんはクスッと笑って
「バーカ」って私の頭をコツンと叩いた。
 
 
♡)////
 
 
はぁ、こんなのもカッコイイ。
どうしたらいいの。
 
 
美)あ!♡さん!臣さん!!
♡)あ〜!美花ちゃんっ!
臣)おお!いた!w
 
 
スーツ姿で駆け寄って来た美花ちゃんは
今日はお仕事モード。
 
 
臣)なんかデキる女っぽいじゃーんw
美)ええ?!///
♡)うん!カッコイイ!♡
美)えへへ///
 
 
照れ臭そうに笑った美花ちゃんは
晴れて良かったですね!って嬉しそう。
 
 
臣)雨だったらこのガーデンも
  台無しだもんなー
♡)そっか!
美)賢司さんと凪さんも
  こんなに晴れて喜んでました♡
♡)よかった♡
 
男)美花ーー!
  あっちの確認お願い。
 
美)はーい!今行きます!
 
 
仕事を頼まれて走っていった
美花ちゃんの背中を見ながら
臣くんが目を細めて言った。
 
 
臣)あの男、美花に気があるな。
♡)ええぇぇ??
 
 
急に何を言い出すのかな?!
 
 
臣)だって下の名前、呼び捨てだぞ。
  怪しくね?
♡)……それだけでぇ?
臣)うん、怪しい。
♡)臣くんの心配性がこんなところでも
  顔を覗かせてます。
臣)俺の大事な義妹だからな。
♡)あはははw
臣)てかさ、お前結局「美花ちゃん」って
  呼んでるよなw
♡)え?
臣)呼び捨てで呼んで欲しいって
  言われてたのに。
♡)はっ!そういえば!!
 
 
もうすっかり「美花ちゃん」で
定着してしまった…!
 
 
さ)♡〜〜!臣く〜〜ん!
 
♡)あっ!さくちゃん!
 
 
手を振りながら入って来たさくちゃんは
ダークブラウンのシックなワンピース。
 
 
♡)綺麗な色だね♡
さ)秋色〜って思ったけど
  今日全然暑いよねw
臣)まだ夏だよねw
さ)二人は今日もお揃い〜〜?♡
  似合いすぎでしょ!
♡)えへへ♡
  臣くんが用意してくれたのー♡
さ)めっちゃ可愛い♡
  てゆーか綺麗♡
  臣くんなんて今から舞踏会行けそうだし。
臣)舞踏会?!w
さ)こんな色、こんなオシャレに着こなせるの
  さすがですよーー♡
臣)ありがとうございます…//
 
男)広臣〜〜!
 
臣)おお!久しぶり!
 
男)元気にしてた?
臣)元気元気!w
男)いつぶりだ?
男)去年飲んだぶりじゃね?
男)そうだそうだ!
臣)あれ去年だっけ?
  やべぇ。時間経つの早ぇw
男)俺らもあっという間に30だぞw
男)あはははw
 
 
臣くんは賢司くんと共通の友達が
たくさん来て
楽しそうに話してる。
 
 
女)あ、あの…///
女)突然すみません。
♡)ん?
女)姫ちゃんですよね?///
♡)はい!
女)私たち…凪の大学時代の友人で…
女)今日姫ちゃん来るって聞いてたから
  楽しみにしてたんです///
♡)えっ!ほんとですか?
  ありがとうございます♡
  あ、じゃあ同い年ですよね?
女)はい!
女)あの、もし良かったら
  一緒に写真撮ってもらっても…
♡)もちろんです♡ えへへ♡
さ)じゃああたし撮るよ〜〜♪
女)ありがとうございます!
 
 
ガーデンでお花をバックに撮ってもらって
お友達たちはありがとうございますって
中に入っていった。
 
 
さ)大学時代の友達ってことは
  みんな看護師さんなのかねー
♡)はっ!そっか!
さ)凪ちゃんは専門学校じゃなくて
  大学だったんだね。
♡)ん?何が違うの?
さ)看護師になるには3年制と4年制が
  あるんだよ。
♡)そうなの??
さ)そうそう。
  凪ちゃんは4年制の看護大学に
  行ったんだねー。
♡)なるほど!
 
男)♡!さくちゃん!久しぶり!
 
♡)あ!みんな!
さ)おお!来た来た!
 
 
バイト仲間も続々集合。
 
 
さ)久しぶりでもなくない?
男)そっか、さくちゃんの結婚式以来だw
女)そうだ!w
♡)結婚式続きだねー♡
男)めでたいなーw
 
 
なんて話してたら、
今度はまた女子のグループが入って来て
何人かが臣くんを見つけて飛び上がった。
 
 
「ヤバい!ほんとにいる!///」
「本物だよね!?///」
 
 
ひそひそはしゃいでる女子たちの目が、
ハートになってます…。
 
 
さ)臣くん、注目を集めてますねぇw
♡)むむむ…
さ)まぁあんだけカッコイイし仕方ないかw
♡)今日の臣くん、ずるいよね?!
さ)ずるいの?w
♡)だって…カッコ良すぎるもん…///
さ)♡も可愛すぎるから大丈夫♡
♡)何が大丈夫なの?!
さ)お似合いってことー♡
♡)……///
 
 
「ね、ね、話しかけに行っちゃう?!///」
「うっそ!緊張する!無理!///」
「でもこんなチャンスなくない!?」
 
 
さ)おおお…
  積極的な女子たちだねぇw
 
 
さくちゃんはウェルカムドリンクを片手に
カウンターにもたれながら
女子たちを観察してる。
 
 
美)では皆さま、チャペルの方へ
  ご移動お願いいたします。
  まずはご親族の方からこちらへどうぞ。
 
 
美花ちゃん!ナイスタイミング!
 
女子たちが臣くんに話しかける前に
みんな移動し始めた。
 
ふぅ、危ない危ない。
 
 
あ。
こっちを振り向いた臣くんが
私がさくちゃんといるのを確認して頷いて
そのままお友達と先に行っちゃった。
 
……しょぼん。
 
 
さ)よし、♡行くぞ!
♡)うん!!
 
 
しっかり写真を撮れるように
通路側の席をゲット!!
 
 
さ)あたし写真撮るわ!
♡)じゃあ私は動画頑張る!
 
 
役割分担を済ませて
ドキドキ、その時を待っていると…
 
司会の人が挨拶をして
やっと来た、新郎新婦の入場…!!
 
 
さくちゃんの時はお父さんと入場だったけど
凪ちゃんと賢司くんは
二人で一緒に入場のタイプ。
 
みんなの拍手に迎えられながら
笑顔で歩いて来る二人を、しっかり撮影!!
 
 
♡)凪ちゃん…綺麗だよぉぉぉ…
さ)ヤバい…美しすぎる…
 
 
感動してなんだか泣きそう…っ。
 
 
前まで進んだ二人は
ゆっくりとこっちを向いて…
 
司会者の開式宣言が終わると、
顔を見合わせて二人優しく頷いた。
 
 
賢)本日は皆さまに見守られ、
  結婚できることをとても嬉しく思います。
凪)私たち二人は、
  ここに結婚の誓いをいたします。
 
♡)人前式なんだね!
さ)うん!
 
賢)いつも感謝の気持ちを忘れません。
凪)笑顔の絶えない明るい家庭を築きます。
賢)どんな時もお互いを信じ支え合います。
凪)喧嘩をしても
  ごめんなさいを言葉にします。
賢)お互いの両親と友人を大切にします。
凪)今日の日の感謝を一生忘れません。
賢)これらの誓いを心に刻み、
  これからは夫婦として力を合わせ
  生きていくことを、ここに誓います。
 
 
…っ、もうダメ…。
涙が止まらないよ…っ。
 
 
♡)ぐすっ…
 
 
穏やかな口調で
幸せそうに誓いの言葉を読み上げる二人は
本当に本当に素敵で。
 
 
列席者が証人になった後は
指輪の交換と誓いのキス。
 
私は涙で視界が滲みながらも
必死に動画を撮り続けた。
 
 
最後は結婚誓約書にサインをして
フラワーシャワーの中、二人は退場した。
 
 
臣)泣いてると思ったw
 
 
チャペルから順に外に出る中、
臣くんが笑いながら私の肩を叩いてきた。
 
 
臣)ほんと泣き虫w
♡)だって!!
 
 
すっごく感動な式だったもん…っ
 
 
臣)あれ、人前式っていうんでしょ?
♡)うんっ
臣)いいよね。
♡)うんっ
臣)俺たちもあれにする?
♡)えっ
 
 
臣くんはにこっと笑って
私の手を取った。
 
 
♡)み、見られちゃうよ!///
 
 
こんなとこで手を繋ぐなんて…
 
 
臣)いいじゃん別に。
 
 
慌てて周りをキョロキョロしたけど
もうみんなガーデンに行っちゃって
残ってるのは私たちだけだった。
 
 
チュッ。
 
 
♡)!!!
 
 
キスの感触に、思わずほっぺをおさえると…
 
 
臣)楽しみだな。
 
 
臣くんは綺麗な笑顔でそう言って
優しく私を見つめた。
 
 
♡)////
 
 
私たちの結婚式が楽しみ、ってこと?
 
……キュン///
 
 
美)あっ…
臣♡)あっ…
美)ガーデンへ…ご移動お願いしますって
  言いに来たんですけど…
  お二人でしたか///
臣)すいませんw
 
 
美花ちゃんにチュー見られちゃった!
恥ずかしい!///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
ガーデンに移動して
新郎新婦と一緒に集合写真を撮って。
 
青空の下で幸せそうに笑い合う二人は
本当、絵になる。
 
 
初めて来たけど…
いい場所だな、ここ。
 
 
臣)ふぅ…。
 
 
♡は挙式で泣きすぎたからって
さくちゃんと一緒に化粧直しに行って
俺はソファーでちょっと一息。
 
 
男)凪さんマジで綺麗すぎる…
男)お前泣きそうになってんじゃん!w
 
 
ん…?
 
 
男)泣きそうにもなるよそりゃ…
男)お前ずっと好きだったもんなぁw
男)今の病院来て一目惚れだったもん…。
男)〇〇さんもさ、
  凪さん結婚するって聞いて
  玉砕覚悟で告ったらしいよ…
男)は?!マジで!?
男)お前も気持ちくらい伝えれば
  良かったのに…
男)もう遅いよ…。
 
 
ふむふむ…、なるほど。
凪ちゃんってばモテてんじゃん。
 
まぁ普通に可愛いしいい子だもんなぁ。
 
 
男)あんな綺麗な花嫁姿見れたら
  もうなんか、吹っ切れるよ…。
男)だよなぁ…
  めちゃくちゃ綺麗だもんなぁ。
 
 
うん。
今日の凪ちゃんは本当に綺麗。
キラキラしてる。
 
賢司も自慢だろうなぁ、あんな嫁さん。
 
 
女)あ、あのぅ…///
臣)ん?
 
 
男たちの話に聞き耳を立ててたら
目の前にいきなり女が立ってた。
 
 
女)登坂さん…ですよね?///
臣)はい。
女)いつも…応援してます///
臣)え?
女)あの、その…、ファンです、三代目の///
臣)ああ!ありがとうございます。
 
 
俺も立ち上がって手を差し出すと
女の子は驚いたように目を見開いた。
 
 
女)あ、あ、握手?!///
 
 
あれ?
ファンだって言ってくれたから
手、出したんだけど…
 
違った?
 
 
女)恐れ多くて握れません!///
臣)ぶっw
 
 
パニックになって顔をゴシゴシしてる。
おもしれーーw
 
 
臣)化粧取れるよw
女)はっ!///
臣)はい。
 
 
俺がもう一度手を出すと、
今度は震えながらゆっくり
その手を握ってくれた。
 
 
女)ありがとうございます…
  死にそう///
臣)あはははw
  凪ちゃんの職場の子?
女)あ、いえ!
  私は学生時代の後輩です!///
臣)そうなんだー。
  顔真っ赤だけど大丈夫?w
女)こ、こ、これは登坂さんのせいです///
臣)ああ、ごめん、
  じゃあ俺あっち行くわ。
女)あああああ!!
臣)ぶっw
 
 
残念そうに叫ぶ彼女にまた吹き出した。
おもしれーーw
 
 
臣)三代目の誰のファン?
女)え?
  だ、だから…登坂さんの…///
臣)またまた〜〜w
女)えっ
臣)ファンですーーって言いながら
  実は違うメンバーが好きだったり
  よくあるんだよw
女)私は本当に登坂さんです!///
臣)ああ、そうw
  ありがとうw
 
 
拳を握りしめて力強く答える彼女に
また吹き出しそうになった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)!!!
 
 
大変!!
パウダールームから戻って来たら
臣くんが女の子と楽しそうに話してる!!
 
 
さ)お、旦那浮気してまっせーw
♡)むぅぅ!!
 
 
足早に近くまで近付いてみたら…
 
 
♡)……。
 
 
悪い子じゃなさそう。
 
 
さ)ん?行かないの?
  あたしの彼氏よ!!って行かないの?
♡)そういう感じじゃないもん。
さ)……まぁ確かに。
 
 
「女」を全面に出して色気を振りまいて
臣くんに近付いてくる女の人は
見ただけでわかる。女の勘。
 
でもあの子は普通にいい子そう。
 
 
男)あのーー、///
♡)ん?
男)新婦のご友人ですか?
♡)はい。
男)俺たち新郎の会社の同僚で…
さ)賢司の?
男)はい!
男)さっきすげぇ泣いてましたよねw
♡)えっ、私ですか?
男)うん。
  泣きながら必死にカメラ構えててw
♡)見られてましたか///
  恥ずかしい。
男)可愛いなって。
♡)え?
男)可愛いなって思って…見てました。
♡)……。
 
 
男の人がニコッと笑ったところで
後ろから腕を引かれた。
 
 
臣)会場開いたよ。行くぞ。
♡)あっ、…それじゃ。
男)はい。
 
 
男の人たちにペコッと頭を下げて
臣くんとさくちゃんと会場に入った。
 
 
さ)ええと、あたし達の席は…
  あ、臣くんとは別なんだね。
臣♡)えっ!!
 
 
そう言われて席次表を見てみると…
 
 
♡)ほんとだ!
 
 
私とさくちゃんはバイトメンバーのテーブルで
臣くんは賢司くんのお友達と一緒だ。
 
 
♡)臣くんと離れちゃった…。
臣)ぷっw
♡)どうして笑うの!
臣)いや、子供みたいに
  しょんぼりしてるから…w
♡)子供じゃないもんっ!
臣)はいはいw
♡)むぅぅぅ…。
臣)俺がいなくて寂しいだろうけど
  いい子にしてるんだよーー♡
♡)子供扱いしないでってばー!
臣)あはははw
 
 
臣くんはいたずらに舌を出して
自分のテーブルに向かった。
 
 
さ)凪ちゃん何色のドレスかな〜♪
♡)水色ー!
さ)水色?
♡)うん!人魚みたいなキラキラな!
さ)似合いそぉ〜〜♡
♡)でもピンクも似合いそう…
さ)うんうん♡
男)てかさ、もう白じゃなくなるの?
さ)たぶん着替えてくるでしょー
男)俺いっつも思うんだけど
  ウエディングドレスの時間短くね?w
男)俺も思う!
  なんか勿体ねぇよな!もっと見てたい。
さ)女子としてはいろんな衣装着たいのよ〜〜
♡)そうだよーー♡
男)なるほどねぇw
 
 
それからバイトのみんなと
久々の近況話で盛り上がってたら
会場の照明がふっと消えて…
 
2階に現れた新郎新婦が
スポットライトを浴びながら
ゆっくりと階段を降りてきた。
 
 
♡)素敵!♡♡
さ)♡の予想当たりじゃん!
♡)うんっ!♡♡
 
 
凪ちゃんのドレスは
南の島を思わせるような色鮮やかなブルー。
 
髪飾りは黄色やオレンジでカラフルで
人魚姫みたいに綺麗♡♡
 
 
二人が高砂に辿り着いたら、
上司のスピーチとかは一切なくて
二人の挨拶のあとにみんなで乾杯。
 
 
さ)堅苦しくなくていいね♡
♡)ねっ♡
 
 
それからみんなで写真を撮りに行ったり
しばしの歓談タイム……、、
 
って思ってたら!!
 
 
臣くんのところに女の子がーー!!
 
……あ、一緒に写真撮ってる。
 
ああ!
また違う女の子が来たーー!!
 
 
♡)…っ
 
 
むむむむむ。
 
 
男)彼氏相変わらずカッコイイねぇw
♡)えっ…
男)モテモテやんw
男)やっぱあそこまでイケメンだと
  勝手に女が寄ってくるんだなぁ…
♡)むぅ…
女)さくちゃんの結婚式の時は
  ♡が隣に座ってたから
  声かけに行く人いなかったもんね。
さ)今日はあっち完全に男テーブルだしねw
♡)むぅ…
 
 
あ、また違う女の子が来て…
握手して…写真撮ってる…。
 
みんな、なんなのもうっ!
新郎新婦と写真撮ればいいのに〜〜!!
 
 
男)あの…、すみません///
♡)え?
 
 
あ、さっき少し話した人だ。
 
 
男)写真…いいですか?///
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
男)すげぇな。
  入れ替わり立ち替わり女が来るぞw
男)さすがですねぇ登坂さんw
臣)はぁ…。
 
 
やっと料理が食える。
 
ファンですとか言われて
こんなめでたい場だし
断るのもなーって思って応えてたら
 
次から次に握手やら写真やら…、疲れた。
 
 
前は♡が隣にいたし
声かけて来る女なんていなかったけど…、
 
って、オイ!!
 
なんじゃありゃ!!
 
 
男)お前の彼女も同じ目に遭ってるぞw
男)次から次へと写真頼まれてるw
臣)…っ
 
 
おいコラ野郎ども!!
♡の薬指が見えねぇのか!!
 
 
男)なんかあの子ってさ、アレだよね。
  ナンパで言うと…
  この子ならイケんだろ、
  って隙があるタイプでもなくて、
  恐れ多くて声かけれません、
  っていう高嶺の花タイプでもなくてさ。
  なんていうんだろ。
  ダメ元なのはわかってるけど
  少しでもいいから会話したい!
  っていう感じw
男)わかる!w
  二言三言交わせるだけでありがたい!!
  って感じw
男)そうそう!
臣)それ結局、高嶺の花じゃねぇの?
男)違うってーー
  そういう近寄りがたい感じとか
  お高くとまってる感じじゃなくてさー
男)そうそう。あの子の場合はなんつーか
  自分の目を見て話してくれるだけで
  嬉しくなっちゃうんだよ男は。
臣)……。
 
 
友達たちの分析を聞きながら
笑顔で写真対応してる♡を観察中。
 
 
臣)ようはとにかく俺の彼女が
  可愛くて可愛くて
  どうしようもないって事でしょ?
男)……。
男)……。
 
 
あれ。
何このみんなの冷ややかな視線。
 
 
男)なんであの子臣なんかがいいんだろ。
男)こんなど変態。
臣)オイ!誰がど変態だ!w
男)あんな可愛いのにな。
男)あんな可愛いのにこのど変態に
  色々されちゃってんだよ…。
男)あああああ〜〜!!
男)嘆かわしい!!
臣)オイw
 
 
とか話してたら…
 
 
臣)…っ
 
 
ちょっと酔っぱらい気味な男が
♡のところに来て…
 
馴れ馴れしく肩を抱いて
写真を頼んでるから
思わず立ち上がろうとしたら…
 
♡はちゃんと自分でその手をよけてた。
 
 
……しっかりしてるなぁ、俺の彼女。
 
 
男)臣はいつ結婚すんの?
男)やっぱ事務所的にさせてもらえないの?
臣)え、する気満々だけど。
男)満々なのかよ!w
男)普通にしたい時に出来んの?
臣)うーん…、まぁ。
 
 
出来ないよな、多分。
でもするけど。
 
 
臣)30くらいでしたいなぁ。
男)もうちょっとじゃん!
臣)うん。
 
 
言霊。言霊。
言っとけば叶いそうだし。
 
 
……それにしても。
 
♡と写真を撮ってもらった奴らが
もうデレデレニヤニヤなのが気に入らん。
 
幸せそうに鼻の下伸ばしちゃってよォ!
 
 
女)あのぉ…///
臣)ん?
女)写真…一緒に撮ってもらっても…///
臣)いいですよ♡
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♡)はぁ…。
 
 
やっとお料理食べれる。
 
…と、思ったら!!
 
また臣くんが女の子と写真撮ってるーー!!
むぅぅぅ!!!
 
 
女)ぷぷぷw
男)お前可愛いなぁ?
  ヤキモチが顔に出てるぞw
♡)だって…。
女)さっき登坂くんも同じような顔してたよw
♡)えっ…。
 
 
臣くん、こっち見てたの…?
 
 
女)♡は結婚の予定ないの?
男)登坂さんって結婚させてもらえるのかねw
女)事務所的に?
男)そうそう。
さ)ダメって言われてもしそうw
女)♡もそろそろしたいなーって思う?
♡)うーん…、いつかはしたいけど
  今じゃないかなぁ…。
男)へぇ。そうなんだ。
 
 
じゃあいつなんだろう?
って自分でも思うけど…
 
今は十分幸せで毎日楽しいし…。
 
 
美)♡さん、そろそろ…。
♡)あ、はい!!
 
 
美花ちゃんに声をかけられて
静かに立ち上がった。
 
 
さ)ほら、臣くんの彼女はあたしじゃー!
  って見せつけておいでw
女)あはははw
 
 
さくちゃんはそう言うけど…
これはちゃんとお祝いの気持ちで歌いたい。
 
賢司くんと凪ちゃんのために。
 
 
臣)いよいよですねー
 
 
臣くんがニッと笑って私の横に並んだ。
 
 
♡)心込めて歌おうね♡
臣)ん。
 
 
少しのドキドキと、わくわく。
 
 
美)それでは次に、新郎新婦のご友人から
  歌のプレゼントです。
 
 
美花ちゃんのアナウンスに
場内の視線は臣くんに集まってザワザワザワ。
 
 
「え、あの二人が一緒に歌うの?え?」
 
「登坂くんだけじゃないの?
 あの女の子誰??」
 
「なんか衣装お揃いじゃない?
 どういうこと?」
 
 
美)会場内の皆さまには、
  撮影・録音・録画などの行為は
  ご遠慮くださいますよう、
  お願い申し上げます。
  この場限りの特別なひとときを
  どうぞお楽しみくださいませ。
 
 
ピアノの前に座った私は
鍵盤にそっと手を乗せて、
背筋を伸ばした。
 
 
向かいには臣くん。
目が合うと優しく頷いてくれた。
 
 
その奥には賢司くんと凪ちゃん。
 
視線を送ると
二人ともニッコリ微笑んでくれて。
 
 
スゥッと深呼吸。
 
 
私たちの気持ちが、二人に届きますように♡
 
 
♡)〜♪池の水が鏡みたいに
  空の蒼の色を真似てる♪〜
 
 
ああ…。
迎賓館の天井が高くて
声が広く響く。気持ちいい。
 
 
♡臣)〜♪誰かを通して 何かを通して
   想いは繋がっていくのでしょう
   遠くにいるあなたに
   今言えるのはそれだけ♪〜
 
 
やっぱり臣くんと声を重ねるのは
とても心地いい。
 
 
優しく撫でるように
柔らかく抱きしめるように
 
お互いの声が、音色になって折り重なる。
 
 
♡臣)〜♪悲しい昨日が 涙の向こうで
   いつか微笑みに変わったら
   人を好きに もっと好きになれるから
   頑張らなくてもいいよ♪〜
 
 
一曲最後まで歌い終えると、
会場は一瞬静まり返って…
 
その後、大きな拍手に包まれた。
 
 
♡)…っ
 
 
高砂の方を見ると、
賢司くんと凪ちゃんは笑顔で
喜んでくれてるのがわかった。
 
 
スカートの裾をはらって、立ち上がって。
 
臣くんと二人で並んで、一礼した。
 
 
♡)えへへ、大成功だね♡
臣)だな♡
 
 
それから席に戻ると
ちょうどデザートが運ばれて来て
二人のプロフィールムービーが流れた。
 
 
最後は恒例の、両親への手紙。
 
また涙でずびずびになって
ずっとハンカチが離せなかった。
 
 
『それでは皆さん、
 入り口で新郎新婦がお待ちです。
 どうぞ順にご退場くださいませ。』
 
 
みんなが席を立つ中、
美花ちゃんが駆け寄って来てくれた。
 
 
美)歌、本当に素敵でした!///
♡)えへへ、ありがとう♡
美)スタッフもみんな見惚れちゃってて…
  感動したって言ってました!
♡)嬉しい♡
 
臣)あ、美花がサボってるーーw
 
美)はっ!臣さん!///
  違うんです!美花はさっきの感動を
  どうしても伝えたくて!!
臣)いや〜〜緊張したわ〜〜
美)嘘ばっかり!
  堂々と歌ってたじゃないですか!///
臣)ははははw
 
 
それから、
せっかくだからってことで
美花ちゃんと3人で写真を撮ってもらって、
 
 
『働く美花ちゃん、素敵だったよー😊💕✨』
 
 
瞬にLINEしておいた。
 
 
 
 
 
 
ー続ー

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  1. (。・д・。)/ より:

    披露宴の席が離れたっていうことだったんや~びっくりしたよ~平和でよかった
    マイコさんストーリーの更新ありがとうございます!無理のない程度に頑張ってください!

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