[229]涙とぎゅー(隆二&♧Side)

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あ〜〜〜〜〜〜
抱きしめたい。
 
 
珍しく先に目が覚めて、
隣でスヤスヤ眠る♧の寝顔を観察中。
 
 
可愛い。
 
好き。
 
可愛い。
 
好き。
 
 
あ〜〜〜〜〜〜
抱きしめたい。
 
 
でも昨日の太もも事件が
まだリアルすぎて…
 
今抱きしめたら
そのまま襲っちゃいそうで
必死に耐えてる、今市隆二28歳。
 
 
♧)……ん、…
 
 
あ、うっすら目が開いた。
 
 
♧)……
隆)……
 
 
可愛いタレ目は
俺と視線が合うとハッと見開いた。
 
 
♧)起きて…たの…?///
隆)うん。
♧)…何…してたの…?
隆)見てた。
♧)////
 
 
ずっと見てました。
いろいろ耐えながら。
 
 
♧)見ない…で…///
隆)なんで?
♧)寝顔とか…見るの禁止…///
隆)……
 
 
あ、タオルケットをおでこまで上げて
また隠れちゃった。
 
そんなこと言われても見るけどね。
だって可愛いんだもん。
 
 
隆)ねぇ。
♧)……///
隆)なんで俺の服着てんの?
♧)!!!
 
 
パーカーの肩をツンと引っ張ると
タオルケットでガードされた。
 
 
♧)だって、着ていいって言ってたもん!///
隆)……
 
 
言ったけどさ。
いや、別に、
ダメって言ってるわけじゃなくて。
 
 
隆二くんがいなくて寂しかったからー♡
とか言ってほしいだけ。
 
 
隆)なんで下履いてないの?
♧)…っ、…暑かった…から。
隆)なんでエアコン切ってたの?
♧)…っ、…電気…もったいないから…。
隆)何それ!w
  俺が払ってんだからいいじゃん!
♧)だからだもん!
  節約しなきゃって…
隆)そんなんいいから!w
 
 
♧らしい話だけど…
真夏だよ?
 
てゆーか
節約だとか言って毎回その太もも出されたら
俺、死んじゃいます。
 
いや、俺じゃなくてリュージがね。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
せっかく節約してたのに
そんなんいいからって言われちゃった…。
 
だって私は居候の身だし…
お金何も払ってないし…
 
 
♧)隆二くんがいない時くらい
  節約させてください…
 
 
タオルケットからそっと顔を出して
申し出ると…
 
 
隆)いいって!w
  暑いんだからつけなよ。
  昨日だって汗だくだったよ?
♧)えっ!
  私…、汗臭かった?!
隆)いや、そうじゃなくて…
♧)え…?
隆)だからーー
  ありとあらゆる感じで
  俺を悩殺してくんの、
  やめてって言ってんの。
♧)悩殺?!///
 
 
いきなり話が飛んで意味不明!
 
 
隆)……こーゆーのとか。
♧)ひゃぁぁっ///
 
 
突然太ももを撫でられて
変な声を出しちゃった。
 
 
♧)////
 
 
バクバクバク…
 
 
悩殺だなんて…
そんなつもりは全くなかったけど
私、はしたない女だと思われたかな?!
 
 
♧)ごめんなさいっ!///
 
 
ガバッと起き上がって、
ベッドから飛び降りた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
あっという間に部屋を出て行っちゃった♧。
 
 
隆)……
 
 
さっき一瞬触った太もものせいで
昨日の感触がまたリアルに蘇る。
 
 
隆)はぁぁ……///
 
 
しばらくして、俺も顔を洗って。
 
 
二人で一緒に朝ごはん。
……を、食べながらも…
 
もじもじ感がまだ少し残ってて、
会話はナシ。
 
 
隆)……//
♧)……//
 
 
♧がどう思ってんのかはわかんないけど
俺はどう意識をそらしても、
やっぱり太ももが脳内でチラついて。
 
 
てゆーかこうやって見たら
俺の服、ほんとにダボダボだな…。
 
 
やっぱり女の子なんだよなぁ…
ちっちゃいよなぁ…
可愛いなぁ…
 
 
隆)なんで俺の服着てんの?
 
 
もう一回、意地悪で聞いてみた。
 
 
♧)…っ////
 
 
恥ずかしそうに、
一気に真っ赤になる顔が可愛くて。
 
 
隆)ねぇねぇ、なんで?w
 
 
ついついからかっちゃう
小学生みたいな俺。
 
 
♧)隆二くんが…着てもいいって…
  言ったから…///
 
 
また同じ答え。つまんない。
 
 
隆)俺がいいよって言ったら
  なんでもすんの?
  じゃあ俺にチューしていいよ?
  はい♡
 
 
悪ふざけで目を閉じれば…
 
 
♧)もう知らないっ!
  ごちそうさまっ!///
 
 
♧はキッチンに逃げていった。
 
 
……ちえっ。
いじめすぎたかな。
 
 
俺も食べ終えて
食器をキッチンに下げると…
 
まだ俺のパーカー1枚で
ちょこちょこ動き回ってる♧がいて。
 
 
魅惑の太ももが
また俺の視界にチラチラ入る。
 
 
隆)……はぁ、///
 
 
後ろからむぎゅっと抱きしめる。
 
 
柔らかい身体。
ほんと癒される。
気持ちぃぃぃ………
 
 
♧)りゅ……じ…くん?///
 
 
♧がためらいがちに、俺の腕に触れた。
 
 
隆)ん……、
 
 
まだ離れたくなくて、
♧のうなじに鼻をくっつける。
 
 
………あ〜〜〜
 
ヤバイ。
 
また…リュージが……
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
♧)…っ
 
 
後ろから隆二くんに抱きしめられて…
 
うなじに感じる、熱い息遣い。
 
 
隆)はぁ、我慢できなくなりそ…///
 
 
ぽそっと聞こえた呟きの後、
お尻に感じた硬い感触。
 
 
♧)……!!
 
 
これは…もしかして…
 
 
♧)////
 
 
「触りたかったらいつでもご自由にどうぞ。」
 
 
昨夜の隆二くんの言葉を思い出した。
 
 
えっと…
 
ほんとに…それなのかな…?
 
 
恐る恐る、後ろに手を伸ばしてみて…
そっと手のひらで、触ってみた。
 
 
隆)!!???
 
 
……あ、硬い…。
 
えっと…えっと…
 
これが硬いということは…
 
 
さっき隆二くんが言った
「我慢できなくなりそう」は…
そういう意味…だよね?
 
 
♧)////
 
 
なんだか顔がボンッと熱くなって
慌てて手を離した。
 
 
隆)なななななんで触ったの!?///
♧)えっ
 
 
だって…
 
 
♧)いつでも…ご自由にどうぞって…
隆)……俺が言ったから?///
♧)////
 
 
あれ、冗談だったのかな?
 
はっ!!
私また、はしたない女だと思われた!?
 
 
♧)ごめんなさい!///
 
 
慌てて逃げようとしたけど…
 
ぎゅむっ!!
 
 
がっしりと捕まえられて、ジタバタ。
 
 
隆)逃がさないけど…//
♧)////
 
 
バクバクバク…
胸がうるさくて…
 
背中に感じる隆二くんの熱で、
顔の火照りが引かない。
 
 
隆)触りたかったら触っていいよ…?
♧)…っ
隆)……いや、ごめん。
  なんか今のだとただの変態みたいだな。
♧)…っ、ふはっw
隆)ぷっww
 
 
思わず二人で吹き出して。
あははって笑ったけど…
 
くるっと振り返って目と目が合うと…
 
 
♧)……///
隆)……///
 
 
なんだかまた恥ずかしくなって、
無言になった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
もじもじ感を残しつつ…
 
仕事に向かう俺を、
いつも通り見送ってくれる♧。
 
 
隆)行って…きます…//
♧)行って…らっしゃい…//
 
 
いつも通り、両手を広げると…
 
 
♧)…っ
 
 
ん…?
 
大阪から帰ってきたから
もうぎゅー解禁だよな??
 
 
隆)ん!
 
 
もう一度催促したけど、
動かない♧。
 
 
♧)ぎゅーは…しない…。
隆)…っ
 
 
はぁ??
 
昨夜してくれたじゃん!
 
てゆーかさっきだってしたじゃん!
 
 
なんで!!
 
 
あ、もしかして。
 
大阪からは帰ってきたけど
また来月、海外行きがあるから?
 
その時寂しくないようにってこと?
 
 
隆)もう…っ
 
 
♧の頭に手を乗せた。
 
 
隆)あのさ、ぎゅー禁止されたら
  俺、昨日みたいにまた爆発するよ?
  いいの?
 
 
自分で言いながら
脅しかよって心の中でつっこんで。
 
 
♧は、俺の言葉に
昨日の俺の暴走っぷりを思い出したのか、
一気に耳まで赤くなった。
 
 
隆)ほら。
 
 
もう一度手を広げると…
 
 
♧は恥ずかしそうに俺に近付いて…
そのままぽすん、と
腕の中におさまった。
 
 
隆)////
 
 
なんだこれ。可愛い。
 
 
久々に素直に来てくれて、
めっちゃ嬉しい。
 
なんかもう、抱き潰したい。
 
 
隆)行ってくるね…?//
♧)……(こくん)///
 
 
照れて俯いたままの♧のおでこに
チュッとキスをして。
 
 
俺はそのまま仕事に向かった。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
今日も外はお天気。
 
夏の強い日差しが照りつける。
 
 
お庭に水撒きをして
午前中の事務処理も全て片付けた。
 
 
男)今市くんは元気かい?
女)最近どうしてるんだい?
♧)……ええと…///
 
 
昨夜、私の太ももに
顔を埋めてました。
 
なんて、死んでも言えない。
 
 
♧)お仕事忙しいみたいで毎日頑張ってます。
女)そっかそっか〜〜〜
男)そうだよなぁ、
  やっぱり忙しいよなぁ、うんうん。
♧)……
 
 
施設の人たちは
たまにこうして隆二くんのことを
聞いてきてくれる。
 
 
男)丁度一ヶ月前だよなぁ
  今市くんがここに来たの。
女)あらやだ!もう一ヶ月も経った?
  早いわ〜〜〜
♧)……
 
 
そうか。
もう一ヶ月なんだ。
 
隆二くんが私を助け出してくれてから一ヶ月。
 
一緒に暮らすようになってから、一ヶ月。
 
 
♧)……
 
 
私に残された時間は
あとどのくらいなのかな。
 
 
でも。
 
もう決めたんだ。
 
 
離れ離れになっちゃう日が来るのは
わかってるけど
 
気持ちだけはちゃんと伝えるって。
 
 
だって…
こんなに隆二くんのことが
大好きなんだもん。
 
 
大好きっていう気持ちと
いっぱいいっぱいありがとうっていう
感謝の気持ちだけは、絶対に伝えたい。
 
 
 
♧)お先に失礼します。
男)おう!お疲れさん!
女)気をつけて帰るんだよー
♧)はーい!
 
 
仕事を終えて、まっすぐ帰宅。
 
 
隆二くんのプレゼント製作ももう終盤。
 
ずっと部屋にこもってたら
また怪しまれちゃうから
今日こそ完成させたい!
 
 
♧)よしっ!
 
 
集中してチクチクチク。
 
ああ、ミシンがあったら一瞬なのにな。
 
ううん、贅沢言っちゃダメダメ。
 
 
それにこうして一針一針…
思いを込めて縫い上げるのも、
なんだか楽しい。
 
 
♧)…はっ!
 
 
一針一針思いを込めてって…
なんか重い!??
 
私、ストーカーみたいじゃない?
大丈夫かな??
 
 
どうしよう。
 
作るのに一生懸命で
深く考えてなかったけど…
 
 
手編みのマフラーとまではいかなくても
こんなプレゼント、気味悪いって思われたら…
 
 
♧)……
 
 
ううん。
隆二くんはそんな人じゃない。
 
そんな風に思ったりする人じゃないよね。
 
 
だってすごく心が綺麗だもん…。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
仕事を終わらせて家に帰ると…
 
 
♧)おかえりなさい♡
隆)……
 
 
今日も俺のパーカーを着てる♧。
 
あれ?
なんでだ?
 
 
俺がいなくて寂しいから
着てたんじゃないの?
 
ただ単にそのパーカー気に入ってるだけ??
 
 
隆)今日はショーパン履いてるんだ…。
♧)あ、うんっ!
 
 
魅惑の太ももが…
今日は半分しか見えない。
 
 
隆)余計なこと言わなきゃ良かった…。
♧)え?
隆)いや、なんでも。
 
 
出てたら出てたで
すげぇ触りたくなるけど…
 
隠されたら隠されたで
余計触りたくなるって、なんだこれ。
 
俺もう、病気?
 
 
欲求不満もどこまで我慢できるか
自分でも未知数。
 
 
隆)……あ。
 
 
今日はリビングのソファーで裁縫してる。
 
 
隆)何作ってんの?
♧)子供達のお道具箱入れだよー♡
隆)……部屋で作ってたやつは?
♧)あれはもう終わったの♡
隆)ふーーん……
 
 
謎だ。
 
 
とりあえず俺は
ソファーに寝転がって
♧の膝の上にゴロンと頭を乗せた。
 
 
♧)え!?///
 
 
そのまま♧の腰に腕を回して、ぎゅーーー。
 
 
♧)何してるの?///
隆)……ただいまのぎゅー。
 
 
玄関でしなかったし。
 
 
♧)危ないよ…?///
隆)何が?
♧)針…刺さっちゃう…。
隆)刺さんない、大丈夫。
♧)……
 
 
そんなワガママな俺に、
♧は諦めて裁縫道具を横に置いた。
 
 
そーっと優しく
頭を撫でてくれる手が、気持ちいい。
 
 
隆)ねぇ…
♧)ん…?
隆)チューしていい?
 
 
そう言って顔を上に向けると…
 
 
♧)////
 
 
赤い顔をした♧と、バチッと目が合った。
 
 
隆)していい?
♧)…っ
隆)あ、間違えた。していいよ?
♧)え?
隆)♧、俺がしていいよって言ったら
  なんでもするから。
♧)!!!
 
 
俺の意地悪に、
♧のあひる口が少しだけ前に突き出た。
 
 
隆)怒ってんの…?かわい…w
♧)……///
 
 
下から手を伸ばして、
 
 
隆)ほら、していいよ…。
 
 
誘い込むように、
柔らかい頬をそっと撫でた。
 
 
♧)////
 
 
ドキン…ドキン…
 
 
素直に従う♧の唇が
上からゆっくり近付いてきて…
 
 
むにゅ…っ
 
 
隆)////
 
 
♧が身体をかがめたせいで
俺の顔に柔らかく当たる、♧のおっぱい。
 
ああ…
このまま潰されたい……
 
 
♧)この角度じゃ…できない…///
 
 
あれっ!
 
♧が身体を起こして
唇もおっぱいも離れていっちゃった!
 
 
隆)じゃあ起きるもん!!
 
 
ガバッと起き上がって
♧の顔を引き寄せた。
 
 
隆)はい!
 
 
目の前で瞳を閉じて、チューの催促。
 
 
しば〜らく待ってると、
 
 
………チュッ///
 
 
可愛いキスが、唇に触れた。
 
 
隆)……こんなんで…足りんの…?
 
 
薄く目を開けて見下ろせば…
 
 
♧)…足りない…から…
  隆二くんから…して…///
 
 
そんな可愛いセリフに…
 
 
隆)////
 
 
隆二もリュージも大興奮。
 
 
♧に当たっちゃわないかな、って…
一瞬視線を落とすと、
♧の視線もついてきて…
 
 
♧)あ…っ、///
 
 
リュージが元気になってることがバレた。
 
 
♧)えっと…あの…///
隆)あのさぁ!///
  ♧が気付いてなかっただけで
  毎回こうだからね!
♧)えっ!!??
隆)♧とイチャイチャしてたら
  すぐにこうなんの!///
 
 
開き直って打ち明けたら…
 
 
♧)イチャイチャ…?///
 
 
♧は恥ずかしそうに俺を見た。
 
 
隆)イチャイチャじゃん。
♧)……///
隆)こんなくっついたりチューしたり…
  イチャイチャ以外のなんなの。
♧)そ…っか…///
 
 
俯きかけたその顔に、手を添えて。
 
 
隆)足りないんでしょ…?
  続き…、しよ…?
 
 
ゆっくりと唇を近付けると…
 
 
グイッ!!
 
 
両手で押し返された。
 
 
隆)は??
♧)りゅ…っ、じ…くんっ
  お風呂入ってきたら!?///
隆)へ??
 
 
急になんで!
チューの続きは!!
 
 
隆)足りないって言ったの♧じゃ…
♧)足りた!!///
  すっごく足りたから!お風呂どうぞ!///
隆)…っ
♧)……///
 
 
顔を真っ赤にしながら拒否られた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
びっくりした…
 
 
♧)////
 
 
バクバクバク…
 
うるさく音を立てる心臓に、手を当てる。
 
 
隆二くんがお風呂に入ってる隙に
気持ちを落ち着かせなくちゃ…///
 
 
♧)……はぁ///
 
 
「……こんなんで…足りんの…?」
 
「足りないんでしょ…?
 続き…、しよ…?」
 
 
隆二くんのキスのお誘いは…
すごくエッチで…
 
なんていうか、色気がすごい。
 
 
可愛く甘えてくる時は
子供みたいに無邪気なのに…
 
そういうスイッチが入ると
突然色気を纏った男の人の顔になる。
 
 
♧)////
 
 
……ああ、ダメだ。
 
 
触れたり…
キスしたり…
 
こんなことを繰り返してたら
「好き」があふれ出しちゃう。
爆発しちゃう。
 
 
……私、どうしたらいいの…?
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
俺が風呂から上がると、
♧は俺と顔を合わせるのを避けるように
入れ替わりで風呂場に逃げていった。
 
 
はーあ、あとで絶対またチューしよ。
 
 
隆)……よし。
 
 
来月録る予定の曲でも
聴きこんどくか。
 
 
自分の部屋に入って音を用意してると、
携帯が鳴った。
 
 
隆『もしもし?』
男『オレオレ〜〜!』
隆『久しぶり!』
 
 
かけてきたのは地元の友達。
 
なんか後ろが騒がしいな。
 
 
隆『どうした?』
男『お前さぁ、今彼女いんの?』
隆『……いない…けど…』
男『お!いないって!』
 
 
って友達が言った後ろで
きゃーー♡
って女の子の声がした。
 
 
男『お前のめっっっちゃファンだっていう
  可愛い子がいてさ〜〜』
隆『……』
男『今一緒に飲んでんだけど。』
隆『……』
男『どう?』
隆『どうって……』
男『ほんと可愛いよ、いい子だし。』
隆『あーー、俺今好きな子いるから。』
男『へ?』
隆『振り向かせて付き合おうと
  今必死なわけ。』
男『お前が?あはははw』
隆『いや、笑い事じゃなくてw』
 
 
この酔っぱらいめ。
 
 
男『お前が片思いしてんのか〜〜w』
隆『片思いっていうか…』
 
 
ついこの間までは
両思いだと思ってたんですけど…
 
てゆーか今でもたぶん
両思いだと思うんですけど…
 
 
男『ま、いいじゃん、そっちはそっちで。』
隆『は?』
男『こっちの子とも付き合えば?w』
隆『はぁ?!』
 
 
何言ってんだコイツは!
 
 
隆『付き合えるわけねぇだろ!
  俺の立場わかってんの?!』
 
 
今必死だって言っただろが!
ったく。
 
 
男『だってさーー
  その恋は見込みあるわけ?』
隆『……もうすぐ引っ越すの。』
男『え?』
隆『誕生日の前の日に。』
男『んーと、9月1日?』
隆『そ!9月1日に。
  新しい家に連れていって
  驚かせる予定なんだよ。』
男『へぇ〜〜〜〜〜』
 
 
その時に告白すんだから!!
 
 
隆『ま、そゆことだから。じゃーな。』
男『おう、じゃあ頑張れw』
隆『おう。』
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
どうしよう。
 
聞いてしまった。
 
 
お風呂から上がってきたら
隆二くんがいなくて。
 
 
自分の部屋にいるのかな?って
近付いたら…
 
中から聞こえてきた言葉。
 
 
「付き合えるわけねぇだろ!
 俺の立場わかってんの?!」
 
 
もしかして…
私のことかな…って思って…
 
 
「そ!9月1日に。
 新しい家に連れていって
 驚かせる予定なんだよ。」
 
 
その後の会話で
間違いなく私のことだってわかった。
 
 
♧)……
 
 
付き合えるわけ…ないんだ…
やっぱり。
 
 
そうだよね、
隆二くんの立場を考えたら…
 
 
♧)……
 
 
突きつけられた現実に、
涙が静かにこぼれ落ちた。
 
 
私とは…付き合えるわけなくて…
私がここを出て行くのは…9月1日みたい。
 
 
楽しみにしてた隆二くんとのデート。
 
でもその日は…
デートじゃなくて、
私の新しいおうちに行くんだ…。
 
驚かせる予定って言ってたから…
当日いきなり連れて行かれるのかな…?
 
 
どうしよう。
私…泣いちゃったらどうしよう。
 
 
誕生日まで一緒にいたかった。
隆二くんの誕生日を…
一緒にお祝いしたかった。
 
せめて、せめてその日までは…
そう思ってたけど。
 
 
お別れの日は…9月1日みたい。
 
 
♧)ふ…ぇ…っっ
 
 
嫌だ…。
 
嫌だよ…。
 
 
急に突きつけられた、タイムリミット。
 
 
私の家なんて
ずっと見つからなければいいのにって
思ってたのに…
 
もう見つかっちゃった。
 
 
サヨナラの日は…
もうすぐ目の前まで来てる。
 
 
♧)ぐすっ……、うう…っ
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
隆)……ふぅ。
 
 
曲を聴いてたら
もうあっという間にこんな時間。
 
 
♧は何してるかな…
 
 
隆)……あれ?
 
 
リビングに出ても姿がない。
 
あ、また部屋にいる。
 
 
ドアをノックしようとしたその時、
中から聞こえてきたのは…
 
 
♧)ふ…ぇ……っ
 
隆)!!!
 
 
♧の泣き声だった。
 
 
隆)どうした?!!
 
 
ガチャッ!!
 
 
勢いよくドアを開けると、
びっくりしたまんまるの瞳が俺を見た。
 
 
♧)ひっく…っ
隆)なんで泣いてんの!!
 
 
俺は慌てて♧の側まで駆け寄った。
 
 
♧)勝手に…入ってこないで…っ
隆)…っ
 
 
だって…
泣いてたから…
 
 
隆)どうした?
♧)……(ふるふる)
隆)何があった?
♧)……(ふるふる)
 
 
俺がいくら聞いても
♧は首を横に振るだけで。
 
 
隆)……
 
 
なんで一人で泣いてたんだろう。
 
泣くようなことが何かあったのか?
 
 
……まさか…
 
 
隆)あいつか!?
♧)……え…?
 
 
もしかして!!
 
最近♧の様子が少し変だったのも
全部あいつか!?
 
 
隆)あいつがまた何かしてきたのか!?
 
 
あの野郎…ッ
 
 
♧)あいつ…って…?
隆)隣に住んでたあいつだよ!
♧)え…っ
隆)くそ…ッ!
  ぶっ殺してやる!!
 
 
許せねぇ!!!
 
 
♧)違うよ!!!
隆)…っ、……え?
 
 
♧が慌てたように俺の腕を掴んだ。
 
 
♧)あの人には何もされてないよ!
隆)え…?
 
 
ほんとに…?
あの変態野郎のせいで
泣いてんじゃないの?
 
 
隆)ほんとのこと言って。
 
 
返答次第によっちゃ
マジでぶっ殺す、あいつ。
 
 
♧)ほんとに違う!!
隆)……
 
 
嘘はついてなさそう。
 
あれ…?
 
でもじゃあなんで泣いてんだ…?
 
 
♧)なんでもないの…
  ほんとに気にしないで?
隆)…っ
 
 
♧は無理して笑うけど…
その笑顔がなんだか痛々しい。
 
 
♧)心配かけてごめんね?へへ……
隆)……
 
 
もしかしたら
仕事で何か嫌なこととかあったのかな?
 
 
隆)俺で良ければなんでも話してね…?
♧)……うん、…ありがとう…。
 
 
♧の頭をポンポンと撫でて
寝室に連れて行った。
 
 
隆)ほら、おいで。
 
 
少しでも元気になれるように
ぎゅってしてあげたくて。
 
俺が腕を伸ばすと、
♧はまっすぐに俺の胸に飛び込んできた。
 
 
ぎゅぅぅぅぅ…
 
 
隆)……///
 
 
あれ…?
 
もしかして…
また甘えモードONになってる…?
 
 
この間まで毎日俺にしがみついてたけど
その時みたいに、
すげぇぎゅってしてくる。
 
 
隆)////
 
 
ドキドキドキ…
ドキドキドキ…
 
 
別に…
下心とかじゃなくて…
 
さっきまではほんとに
♧が少しでも元気になれるようにって
思ってただけだったんだけど…
 
 
こんなにくっつかれると…
 
♧の身体の柔らかさが
ダイレクトに伝わって…
 
 
ドキドキ、ムラムラ、してきちゃう。
 
 
隆)♧…?///
 
 
さっきのキスの続き…
してもいいですか…?
 
こんな時に不謹慎かな…?
 
 
隆)♧……、
 
 
もう一度名前を呼ぶと…
 
 
♧)隆二くん…///
 
 
ぎゅぅぅぅぅ…っ
 
 
♧が可愛くまたしがみついてくるから…
 
 
隆)……はぁ、///
 
 
今日はもうチューはいいや…。
 
ぎゅーだけで大満足です///
 
 
♧を優しく包み込むように抱きしめて、
なんとか目を閉じた。
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. みー より:

    もどかしい程すれ違うけど付き合うまでに苦労すればする程結ばれた時の幸せが人一倍ですょね!楽しみです(。・ω・。)

    • マイコ より:

      そう!苦労すればするほど!した分だけ!
      私も楽しみです(❁´ω`❁)むふふ

  2. さゆがん より:

    アンジャッシュ並みのズレ具合。゚(゚´ω`゚)゚。
    なんでそーなるかな
    リュージタッチしちゃう♧ちゃんの勇気に
    笑っちゃいました笑笑

    • マイコ より:

      なかなかツワモノだよね、♧ちゃん。゚(゚^∀^゚)゚。ww

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