[198]そばにいたい(岩&◇Side)

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臣)おお…っ
  岩ちゃんすげぇ顔色良くなってる…
岩)うん。
臣)◇ちゃんのおかげ?
岩)うんw
 
 
俺が頷くと、臣さんは安心したように笑った。
 
 
今日はポッキーのCM撮影。
 
 
今朝も◇が作ってくれたご飯を食べてきたし
俺の身体はもうすっかり元気。
 
 
直)ほんとに体調良さそう。
岩)もうほんと大丈夫ですw
直)一昨日はほんとびっくりしたよ。
岩)心配かけてすみませんでした。
 
 
NAOTOさんと直己さんの前で
ぶっ倒れたから
二人ともすごく心配してくれてたみたいで。
 
 
直)病み上がりだから無理しないでね。
岩)大丈夫です!
  シェアハピダンスも
  ちゃんと覚えてますよw
臣)じゃあキレッキレで踊りますかw
岩)うんw
 
 
昨日丸一日休んでたから、すげぇ新鮮な気分。
 
 
今日これから◇は優助と会うのかって
そう思ったらやっぱり不安しかないけど、
 
俺がどうこうできる問題じゃないし…
 
 
家を出る前に
「今日もここに帰ってきていいの?」
って俺が聞いたら
 
 
「待ってるね。仕事頑張ってね。」って、
◇は笑ってくれたから。
 
 
今はしっかり仕事に集中しよう。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
仕事に向かう剛典を見送って、
あたしもすぐに、家を出た。
 
 
優助と待ち合わせしてる
駅前のカフェに向かう間、
 
少し緊張しながら
伝えたいことを一生懸命考えて。
 
 
早めに来たから10分前に着いたのに、
中ではもう、優助が待ってた。
 
 
あたしを見つけて手を振る優助は
相変わらず優しい笑顔で。
 
 
◇)待たせてごめんねっ
 
 
急いで向かいに座ると、
 
 
優)なんで。
  まだ時間前じゃんw
 
 
そう言ってあたしを見つめる瞳も
やっぱり優しい。
 
 
◇)…っ
 
 
優助のこの独特の優しい雰囲気に
あっという間に包まれて…
 
 
◇)えっと…
  コーヒー買ってくるね。
 
 
あたしは慌てて席を立った。
 
 
列に並んでる間も
何度かチラッと優助を見たけど…
 
優助は静かにコーヒーを飲みながら
穏やかな表情で外の景色を眺めてる。
 
 
…ドキン…
 
ドキン……
 
 
あたし、ちゃんと言えるかな…。
 
 
緊張する手が少し冷たくて、
真夏なのにホットコーヒーを頼んで。
 
 
両手でカップを抱えて席に戻ると、
 
「おかえり」って笑ってくれた優助は
あたしの手首に視線を移した。
 
 
優)……
◇)……
 
 
視線の先は、ブレスレット。
 
優助はしばらくそれを見つめて、
 
 
優)岩ちゃんと戻ったんだね。
 
 
静かにそう言った。
 
 
◇)…っ
 
 
あたしはまだ何も言ってないのに
ブレスレットを見ただけでそう言う優助に
少し驚いて…
 
 
でも、優助が
びっくりするくらい何でも察してくれるのは
いつものことだから…
 
今回も…そうなのかな…?
 
 
◇)えっと……
 
 
緊張が走る指先を、
熱いコーヒーカップにそっと沿わせた。
 
 
◇)…剛典…とは…
  まだちゃんと…話してなくて…
優)え…?
◇)だから…まだ…
  戻ったわけじゃ…ないんだけど…
優)……
◇)あたしの気持ちは、
  もう答えが…出たから。
優)……
 
 
ずっと見つめていたコーヒーカップから
視線を上げて、優助を見た。
 
 
◇)あたしは…
優)……
◇)剛典が好き…。
優)……
 
 
そう言ったあたしを、
優助は表情を変えずに優しく見つめてる。
 
 
◇)…剛典が…好きなの…。
 
 
もう一度言葉にしたら、
なんだか泣きそうになった。
 
 
カップをぎゅっと握りしめると、
 
 
優)泣かないで…。
 
 
優助が優しい声でそう言った。
 
 
優)……◇らしいな…。
◇)え…?
優)先に俺に言ってくれたのが。
◇)……
優)仕事忙しくて全然時間取れなくて
  ごめんね…?
◇)ううん…っ
優)◇の答えがちゃんと出て、良かった。
 
 
優助はそう言って、穏やかに笑った。
 
 
優)ちゃんと岩ちゃんと話すんだよ…?
◇)…っ
優)意地張ったりしないで
  素直になるんだよ?
◇)…っ
 
 
あたしのことなんて
もう全部わかってくれてる優助に、
なんだかまた泣きそうになる。
 
 
◇)優助…っ、……ごめんね…っ
 
 
それ以上喋ったら
涙がこぼれそうで…
 
あたしはグッと、唇を噛んだ。
 
 
優)なんでごめんなの…。
  俺は◇を好きになったこと、
  後悔してないよ。
◇)…っ
 
 
そんな優しく…見つめないで…。
 
 
◇)…あた…し…っ
 
 
いっぱい…いっぱい…
助けてもらった。
 
 
心が壊れそうな時…
泣いて苦しい時…
 
優助がそばにいてくれて…
いっぱい抱きしめてくれた。
 
 
◇)あたし…優助のこと…っ
優)◇…、
◇)…っ
 
 
あたしの言葉は、優助に遮られて…
 
 
優)それ以上…言わないで。
◇)…っ
 
 
切なく揺れる優助の瞳が
まっすぐにあたしを見つめる。
 
 
優)岩ちゃんが好き?
◇)……うん…っ
優)それだけでいいんだよ…。
◇)…っ
優)だから…笑って。
◇)…っ
優)……幸せでいて。
 
 
そう言われて、気が付いた。
 
必死に堪える涙で、優助の笑顔が滲む。
 
 
あたしが優助に伝えなきゃいけないのは…
「ごめんね」じゃなくて…
 
 
◇)優助…、……ありがとう。
 
 
震える声で伝えたら、
優助は最後まで優しく笑ってくれた。
 
 
その目が少し潤んでる気がしたけど
自分の視界が滲んでるから、
よくわからなくて…
 
 
◇)本当に本当に…ありがとう。
 
 
必死に笑顔を作ったら、
優助も笑ってくれて…
 
最後にあたしの頭にそっと手を置いて、
優助は店を出て行った。
 
 
◇)…っ
 
 
遠くなる背中を
ガラス越しに見えなくなるまで見送って、
 
我慢の糸が切れたように
溢れ出した涙。
 
 
◇)…っ、ふ…ぇ…っっ
 
 
ポタポタとこぼれて、
テーブルの上に水たまりができる。
 
 
◇)…ひ…っく…っ
 
 
涙が止まらなくて、
 
優助の優しい言葉と笑顔を
何度も思い出して…。
 
 
こんなあたしを好きになってくれて
ありがとう。
 
いっぱい支えてくれてありがとう。
 
ほんとの気持ちに気付かせてくれて
ありがとう。
 
 
◇)…っ
 
 
いくらお礼を言っても足りない気がする。
 
 
あんなに優しくて穏やかな人、いないよ…。
 
 
「だから…笑って。
 ……幸せでいて。」
 
 
優助の最後の言葉…、絶対に忘れない。
 
 
本当に本当に…
 
 
◇)………ありがとう…。
 
 
握りしめてるコーヒーカップは
いつの間にか、冷たくなっていた。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
今日の分のCM撮影は無事終わって
続きはまた明日。
 
 
◇のことが気になって仕方ない俺は
すぐに帰りの車に乗り込んだ。
 
 
携帯を見ても、
◇からの連絡は何もない。
 
 
『仕事終わったよ。今から帰るね。』
 
 
一応LINEも送ってみたけど、
既読にならない。
 
 
岩)…っ
 
 
今何してるんだろう。
 
もう帰ってきてる?
 
まだ優助といるのかな。
 
 
気になって気になって、落ち着かなくて。
 
 
俺…このまま…
◇の家に帰っていいのかな…
 
 
そんな不安を抱えたまま、
到着したモスグリーンのマンション。
 
 
K)お疲れ様。
岩)ありがとう。お疲れ!
 
 
急いで車を降りて、インターホンを鳴らした。
 
 
岩『ただいま…。』
◇『おかえり。』
 
 
モニター越しに交わした会話はそれだけ。
 
オートロックが開いて
すぐにエレベーターに飛び乗って。
 
 
部屋のドアを開けて、
◇の顔を見た瞬間…
 
ああ、俺…
フラれんのかなって…思った。
 
 
岩)…っ
 
 
◇の瞼は少し腫れてて…
 
 
岩)…泣いた…の…?
◇)…ううん、泣いてないよ…。
 
 
そんな嘘を残して、
リビングに戻る小さな背中。
 
胸がぎゅっと掴まれたようだった。
 
 
岩)……
 
 
どうして泣いたんだろう。
 
やっぱり優助が好きなのかな。
 
やっぱり俺とは戻れないって…
今からそう言われるんだろうか。
 
 
ぐるぐるとそんなことを考えながら
荷物を置いて…
 
ラグの上に座ってる◇の隣に、
腰をおろした。
 
 
岩)……
◇)……
 
 
なんて切り出したらいいんだろう…。
 
 
岩)……優助と…話せた?
◇)……(こくん)
岩)……
◇)……
 
 
…もう、覚悟を決めるしかない。
 
どんな答えが来たって
俺の気持ちは変わんないんだし。
 
 
岩)俺…、 ◇)あたし…、
 
 
言葉が重なって、
思わず顔を見合わせた。
 
 
岩)……いいよ。
 
 
先に喋って、って促せば
◇がゆっくり、口を開いた。
 
 
◇)……あたし…
  剛典のこと考えると…苦しくて…
  ずっと…逃げてたの…。
岩)……
◇)距離置きたいって言ったけど…
  その間も…考えたくなくて…
岩)……
◇)剛典ともし戻ったらって、
  その後のこと、
  全然イメージできなかった。
岩)…っ
◇)正直…今も全然イメージできない…。
岩)…っ
 
 
やっぱり俺…
フラれるよな、これ…。
 
 
◇)優助が…そばにいてくれて…
  すごく安心して…癒されたの…。
岩)……
◇)優助のことが好きなんだって思って…
  そばにいたいって思って…
  剛典と別れようって思った。
岩)……
 
 
◇の言葉が一つ一つ、胸に突き刺さる。
 
 
◇)だから…
  剛典にもらったものも…全部封印した。
岩)……
◇)気持ちも一緒に…閉じ込めた。
岩)……
◇)…閉じ込めたと…思ったけど…っ
岩)…っ
 
 
◇の目がみるみる潤んでいって…
 
 
◇)でも、無理だったの…っ
 
 
大きな瞳から、涙の粒がこぼれ落ちた。
 
 
◇)全然…忘れられなくて…っ
  好きな気持ち…全然消えなかった…っ
岩)…っ
 
 
◇の涙に、胸がぎゅっと苦しくなって…
俺は唇をグッと結んだ。
 
 
◇)剛典にもらったものも…
  全部…宝物だし…っ
岩)…っ
◇)剛典と一緒にいた時間も…
  やっぱり全部全部…大事なの…っ
岩)…っ
 
 
泣きながら一生懸命伝えてくれる◇に…
 
必死に堪えてる握り拳の上に、涙が落ちた。
 
 
◇)…苦しいけど…っ
  あたしは…やっぱり…剛典が好きで…
  そばに…いたい…っ
 
 
そう言ってくれた◇を、
俺は我慢できずに、ぎゅっと抱きしめた。
 
 
◇)…ふぇ…っっ
岩)…っ
 
 
いっぱい…嫌な思いさせて…
傷つけて…泣かせて…
 
それなのに…
俺を選んでくれるのかな…。
 
 
岩)……
 
 
「彼女は可愛いし良い子だし…
 別に岩田くんじゃなくても
 すぐにイイ男が見つかるよ。
 
 岩田くんは無理だと思うけどね〜」
 
 
あの夜、あの男が言った通り…
 
◇はこの先、別に俺じゃなくても
いくらでもイイ男がいると思う。
 
 
「あたしの周りに
 もしチャラ男しかいないとしたら
 それはあたしのせいだもん。
 
 自分がその程度の人間ってこと。
 
 自分が誠実でいればちゃんとそういう人が
 周りにもいるはずだって
 あたしはそう思ってるから。」
 
 
初めて会った時、
◇は俺にそう言った。
 
 
きっと…
◇が優助みたいな奴と出会ったのは
偶然なように見えて必然で…
 
逆に俺みたいな奴が◇に出会えたのは、
きっと奇跡。
 
 
俺が最低なことしてた事実はもう消えなくて…
これから先も
それで◇を苦しませるかもしれないし…
 
 
こんな仕事してるから
会いたい時に会えるわけじゃない。
 
寂しい思いだってさせるかもしれない。
 
 
あいつとどんなデートしたのか
わかんないけど…
 
俺は休みもなければ
デートにだってろくに連れてってやれない。
 
 
誰が見たって…
あいつを選んだ方が
◇は幸せになれそうなのに…
 
なのに…
 
 
岩)…ほんとに…俺でいいの…?
 
 
抱きしめながらそう聞いた俺の声は
情けないくらい、頼りなくて。
 
 
岩)あいつは……
◇)…優助…は…
岩)……
◇)笑って、って…
  幸せでいてって…
  そう言ってくれたの…。
岩)……
 
 
あいつは…
◇の笑顔と幸せを…願ってるんだ。
本当に…好きだから…。
 
 
◇)…剛典こそ…あたしでいいの…?
岩)え…?
 
 
予想外の質問に、理解が遅れる。
 
 
岩)何言ってんの…?
  俺は…お前が…
◇)だってあたし…っ
岩)…っ
◇)剛典とちゃんと別れたわけじゃないのに…
  優助とデートしたし
  優助の家に泊まったんだよ…。
岩)……
 
 
確かに…距離を置いてただけだけど…
あれは俺が無理矢理
繋ぎ止めてたようなもんだし…
 
 
岩)何も…してないんでしょ…?
◇)え…?
岩)あいつとは…。
◇)…っ、なんで…知ってるの…?
岩)……
◇)……
 
 
そういう関係になったんだって
思ったあの瞬間は死にたくなったけど…
 
それと同時に、
俺はこんな思いを◇にさせたんだって…
そっちの方が、死にたくなった。
 
 
それに…
もしそれが事実だったとしても
俺の気持ちは変わんなかったし…
 
 
◇)何も…してなくないよ…
岩)え…っ
◇)…気持ちが動いたのは…事実だし…
岩)…っ
 
 
そんなの…仕方ない。
 
全部俺が悪いんだ。
 
 
◇)優助に気持ちが動いて…
  剛典にひどいこといっぱい言った…。
岩)……
◇)あたし…最低だもん…。
岩)……
 
 
◇はぽろぽろ涙をこぼして、
自分を責めてるみたいで。
 
 
◇)いっぱい…傷つけて…ごめんね…っ
岩)…っ
 
 
それは俺のセリフだよ…。
 
 
………ぎゅ…っ。
 
 
俺はもう一度◇を抱きしめた。
 
 
岩)俺…もうしつこいくらい言ってるけど…
  お前が好き…。
◇)…っ
岩)お前じゃなきゃ…ダメ…。
◇)……
 
 
こんなに好きになるなんて…
思ってなかった。
 
失って、改めて痛感した。
 
 
岩)こんなの…初めてなんだよ…ほんと…
◇)……
 
 
もう二度と、離したくない。
 
 
岩)いっぱい泣かせて…
  ほんとにごめん…。
◇)……(ふるふるっ)
岩)ほんとに…ほんとにごめん…っ
◇)…ううん…っ
 
 
◇がぎゅっと…
俺の背中を掴んでくれた。
 
 
こんな俺なのに、
◇はそばにいたいって言ってくれた。
 
 
岩)…俺を選んだこと…
◇)……
岩)絶対後悔させないくらい…
  一生大事にするから…っ
◇)…っ
岩)絶対…大事にするから…
  ……だから…っ
 
 
気持ちと一緒に、涙がこぼれる。
 
 
岩)俺の隣に……、いて…。
◇)…っ
 
 
……好きなんだ…、こんなに…。
 
 
◇)…あた…し…も…っ
岩)……
◇)剛典のこと……大事に…する…っ
岩)…っ
 
 
◇が震える声で、そう言った。
 
 
◇)一緒に…いたい…っ
岩)……うん…っ
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 
ぎゅって抱きしめ合って…
 
きつく、きつく…
抱きしめ合って。
 
 
あたしも泣いてるし…
剛典も泣いてる。
 
 
ごめんねとありがとうで胸がいっぱいで…
 
好きと愛しいが、あふれてくる。
 
 
お互いの感触を確かめ合うように
ずっと抱きしめ合ってたら
 
お互いの温度が心地良くて…
 
もう一つになっちゃうくらい
安心するぬくもり。
 
 
岩)やっと…ぎゅってできた…。
 
 
剛典がポツリとそんなことを言うから
あたしは抱きしめてる腕に
またぎゅっと、力を込めた。
 
 
◇)剛典…大好き…。
岩)……俺も大好き…。
 
 
言葉にしたら、また愛しくなる。
 
 
岩)今日からまた…
  いっぱいぎゅってしていいの…?
◇)…っ
 
 
その質問が…なんだか可愛くて…
胸がきゅぅぅって、鳴った気がした。
 
 
◇)いっぱいぎゅってする…。
岩)……うん、///
 
 
本当に…大好き…。
 
 
剛典の顔が見たくなって、
そっと離れて視線を上げたら…
 
 
岩)……///
◇)……///
 
 
目と目が合って、
なんだか照れ臭くなった。
 
 
……ぽすっ///
 
 
誤魔化すみたいに
剛典の胸に顔を埋めたら、
 
大きな手のひらが優しく頭を撫でてくれる。
 
 
どうしよう…
なんか…
 
すごく…好き…。
 
 
岩)どうしよう…
◇)え…?
岩)なんか…すげぇ好き…、///
◇)////
 
 
同じ気持ちを言葉にされて…
嬉しくて、顔が熱くなった。
 
 
◇)……大好きだよ、剛典…。
岩)うん…。
 
 
もう一度顔を上げたら、
剛典がまっすぐにあたしを見つめてて…
 
 
ぽすんっ…///
 
 
あたしはまた、剛典の胸に顔を埋めた。
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
愛しさで胸がいっぱいになる。
 
 
岩)◇…、大好きだよ…。
◇)……うん。
 
 
ゆっくり顔を上げたら…
また視線がぶつかって。
 
 
ぽすんっ…///
 
 
あたしはまた、剛典に抱きついた。
 
 
岩)…さっきから…何それ…///
◇)え…?///
岩)その繰り返し…、なんなの///
◇)////
 
 
だって…
 
 
顔が見たいけど…
見たら照れ臭くて…
 
 
岩)ちゃんと…顔見せて…。
◇)…っ
 
 
剛典は…
大きな両手であたしのほっぺを包んで
あたしを上に向かせた。
 
 
岩)……///
◇)……///
 
 
見つめ合ってたら…
目が潤んできて…
 
頬がどんどん、熱くなる。
 
 
岩)……好き。
◇)////
 
 
さっきまで同じように
照れ臭そうにしてた剛典が…
 
急に真面目なトーンになって…
 
吸い込まれそうな瞳が、近付いてくる。
 
 
顔の角度が傾いて…
 
唇が…近付いてきて…
 
 
◇)…っ///
 
 
あたしは思わず目を閉じて、下を向いた。
 
 
岩)…っ
 
 
ドキドキドキ…
 
ドキドキドキ…
 
 
なんか、心臓がおかしい。
 
 
岩)こっち向いて…。
◇)…っ
 
 
また剛典の手が
あたしを上に向かせるけど…
 
 
◇)ま、ま、待って…///
 
 
あたしは剛典の手を掴んだ。
 
 
◇)えっと…///
岩)チューしたい……
◇)////
 
 
ストレートな言葉と、
熱っぽい剛典の瞳。
 
 
◇)あた…しも…したいけど…
  今…は、ちょっと…無理…///
岩)……なんで…?
◇)……///
 
 
なんか…
心臓がバクバクしすぎてて…
 
 
岩)こっち…見て…。
◇)…っ
 
 
剛典の指先が
俯いたあたしの頬を、優しく撫でた。
 
 
◇)ま、待って…っ、無理…!///
 
 
なんか…ダメ。
 
今キスしたら…あたし…っ
 
 
岩)……好きだよ、◇…。
 
 
ふわっと一瞬触れた唇は、
すごく優しくて。
 
 
◇)…っ
 
 
………ほら、やっぱり。
 
涙が出てくる。
 
 
岩)なんで…泣くの……
◇)…ふ…ぇ…っ
 
 
剛典のキスは…
好きって言われてるみたいなんだもん…。
 
 
岩)好きだよ…。
◇)…っ
 
 
あたしの涙を指先で優しく拭いながら
また触れた唇。
 
 
優しくそっと…重なって…
 
柔らかく…食べられるみたいに…
 
甘く…包まれる…。
 
 
愛しいって…伝わるみたいな…
甘い甘い…キス…。
 
 
頬を包んでくれてる手のひらに
そっと自分の手を重ねて
もう少しだけ、顔を上げたら…
 
 
剛典の唇は…
もっと柔らかく、あたしを食んで…
 
キスの温度が…上がっていく…。
 
 
何度触れても、優しくて、甘い。
 
 
剛典の手が…頬から頭の後ろに回って…
キスが深くなる気配がして…
 
これ以上されたらおかしくなりそうって、
目をぎゅっと瞑ったら、
 
それはそんな合図じゃなくて。
 
 
剛典の手はそのままあたしを抱え込むように
ぎゅっと抱きしめてくれた。
 
 
◇)……///
 
 
ドキン…
 
ドキン…
 
 
剛典の背中に腕を回すと…
耳元で剛典が…熱い吐息を漏らした。
 
 
岩)はぁ……、///
  なんか…おかしくなりそう…
◇)……え…?///
岩)…愛しくて…ヤバい…、///
◇)////
 
 
そんなの…あたしも一緒だもん…。
 
 
だから今は…キスはダメって…
待って、って…言ったのに…
 
 
◇)……剛…典…っ///
岩)ん…?///
 
 
めいっぱいぎゅっと、
剛典の身体を抱きしめた。
 
 
◇)……本当に…大好き。
岩)……ん、///
 
 
あたし達は
もうそれ以上、キスは出来なくて…
 
その代わりに何度も抱きしめ合って、
好きって囁いて。
 
 
ベッドに入ってからも、
一つになっちゃうくらいピタッと寄り添って
 
お互いの体温を感じながら
幸せを噛み締めながら
 
 
甘い眠りに落ちていった。
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. さゆがん より:

    旅行に行ってる間に
    なんて素敵な展開に♡♡♡
    眠たいけど展開気になって開いたら
    見事期待通りの結末‹‹\( ´▽`)/››~♪
    がんちゃんにこんな大事に扱われたら幸せすぎます、、(◇ちゃんに浄化された後の(笑))

    • マイコ より:

      浄化された後の…限定…。゚(゚^∀^゚)゚。笑
      旅行おかえりなさーい♡

  2. のんちゃん より:

    本当に岩ちゃん良かった。
    優助くんも本当に良い人だったなぁ〜
    優助くんも幸せになって欲しい。
    岩ちゃんもう絶対に、◇ちゃんの事、悲しませないでね。どんな事があっても2人で乗り越えてね。本当にマイコさんのストーリー凄過ぎる。そこらへんの月9よりよっぽど凄い!臣くんストーリー待ち通しい(^ω^)

    • マイコ より:

      またここから新たに二人で頑張ってほしい(♥´꒳`*)(*´꒳`♥)
      臣くんは隆二祭りの後に登場するよ\\\(۶•̀ᴗ•́)۶////
      また色々あるけど…(´>∀<`)ゝ

  3. ゆきんこ より:

    こんばんは~。
    剛典、やっとやっと戻れて良かったです(^^)
    私まで幸せです♡

    優助、良い人!!優助も幸せになってね~(^^♪

    • マイコ より:

      そんな優助には必ずいつか幸せが訪れるはず…!!\\\(۶•̀ᴗ•́)۶////

  4. ☆SHIORI☆ より:

    岩ちゃんと◇ちゃん元に戻って、
    よかったーーー(✌’ω’✌)
    これからも、仲良い岩ちゃんと◇ちゃんが見たいからーー(笑)
    優助、めっちゃいい人ーーーwww

    • マイコ より:

      剛典と◇ちゃんを幸せに導いてくれて…優助ありがとう。゚(゚^ω^゚)゚。

  5. ヒロマロン より:

    おはようございます!

    岩ちゃん◇ちゃん戻ってくれて、朝からほんとーーーにハッピーな気分♡♡♡
    マイコさんありがとうございます❣❣❣
    お礼を言いたい(笑)
    岩ちゃん◇ちゃんのサイドストーリーが大好きなもんで♡♡♡
    優助がいいやつすぎて切ないけど、良い人と出会ってほしい♡

    これからも楽しみにしてますね❢❢

    • マイコ より:

      ほんと優助が切ないのはごめん。゚(゚´ω`゚)゚。私が謝っとく!笑
      その分も剛典と◇ちゃんはしっかり幸せになってくれ〜〜〜!!

  6. Morning sea より:

    やっとよりもどったー!!!長かったよー岩ちゃんの暗黒期
    マイコさんのstory全く矛盾してる所がなくて読みやすい!
    ドラマの脚本家だったら絶対絶対ドラマ見ます!爆笑
    優助の方に行った時はもう終わったなって思ったけどそっから岩ちゃんに気持ちが戻ったのはびっくりしました!!次も楽しみにしてます♡

    • マイコ より:

      ぬおおおお。゚(゚´ω`゚)゚。ありがとうっっ!!♡♡
      私も優助に行った時は剛典オワタって思ったけど、なんとか持ちこたえたみたい。゚(゚^∀^゚)゚。
      これからの二人も見守ってやってくださいまし♡

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