[179]言えない真実

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友達のバーで
偶然見つけた、◇ちゃんの姿。
 
 
「◇……!!」
 
 
すぐに席を立って出て行った◇ちゃんを
岩ちゃんは走って追いかけていった。
 
 
臣)……
 
 
そのすぐ後に俺と目が合ったのは、薔薇男。
 
 
なんでお前がここにいんだよ。
なんで◇ちゃんといるんだよ。
 
 
「ちなみにあたしは…Jさんが好きです♡」
  
「Jさんの方がカッコイイ。
 あたしのタイプ。」
 
 
◇ちゃん…
前にそう言ってたけど…
 
まさかほんとにこいつと
どうにかなったんじゃ…
 
 
なんて、ぐるぐる戸惑う俺の思考を無視して
 
 
J)見てよ…これw
 
 
薔薇男は笑いながら俺の隣に移動してきた。
 
 
臣)……1万円?!
J)うん。◇ちゃんが置いていった。
  こんな大金置いていかれても
  困るよねーw
臣)……
 
 
きっと金額を見もしないで
急いで置いてったんだろな…。
 
 
J)「タカノリ」って…岩田くんだったんだ…
  なるほどねぇ…。
 
 
何がなるほどなんだよ。
つーかなんで隣に来たし。
 
 
J)あ、おかわりください。
男)かしこまりました。
臣)……
 
 
なぜか並んで座ってる俺たち。
 
俺の不服そうな顔に気付いたのか、
 
 
J)いいじゃん、一杯くらい付き合ってよw
 
 
そう言って薔薇男は笑った。
 
 
J)よく来るの?この店。
臣)……友達だから。
 
 
俺がバーテンを親指で差すと、
 
 
J)ああ、そういえばそうだったね。
 
 
とか意味わかんないこと言ってる。
 
 
男)あいよ、お待たせ。
臣)さんきゅ…。
 
 
友達が作ってくれたタコライスを食べながら
俺は岩ちゃんのことが気になって。
 
 
臣)なんであの子と一緒にいたんですか。
J)んー?…まぁ…色々。
臣)……
 
 
色々ってなんだよ!
わざと含んだ言い方してんのか?この野郎。
 
 
臣)あの子には手ぇ出すなよ。
J)……
臣)…聞いてんのかよ。
J)……出したらどうなんの?w
臣)ぶっ飛ばす。
J)あはははw
 
 
冗談で言ったわけじゃないのに
笑い飛ばされて。
 
 
J)別に登坂くんの彼女じゃないでしょw
臣)なんだよ。手ぇ出す気だったのかよ。
J)さぁね〜w
臣)マジでぶっ飛ばすからな。
J)怖いな〜〜〜
  すごいね、君たちの仲間意識ってw
  ……ああ、でも違うか。
  登坂くんは自分と重ねてるだけでしょ。
臣)…っ
 
 
スバリそう言い当てられて、
何も言い返せなくなった。
 
 
J)姫みたいに泣いてたよ、彼女も。
臣)…っ
J)罪だよねぇ〜君たちって。
臣)……
 
 
やっぱり…♡は…
こいつの前で泣いたんだ。
 
そうだよな…
ハンカチ…借りてたし…。
 
 
J)人の心配よりさ、自分はどうなの?
臣)は?
J)姫とちゃんと仲良くやってるー?
臣)ご心配に及びませんけど。
 
 
ムカついて
思いきり嫌味ったらしく言い捨ててやった。
 
 
J)ははは、だろうねw
  毎日幸せそうに笑ってるもんなぁ…姫。
臣)……
 
 
そうだよ。
俺たちはラブラブなんだから。
 
 
J)姫ってさ…、生まれ持っての
  ものなのかもしれないけど…
臣)……
J)あの笑顔だけで、
  なんでも浄化しちゃうよね…。
 
 
ロックグラスの氷を見つめながら
しみじみそんなことを言い出す薔薇男。
 
 
J)なんていうか…
  この子のためなら
  生まれ変わってもいいかなぁ、とか。
臣)……
J)どんなに遊んでた男とかでも
  心が荒んでる奴とかでも…
  そう思わせる力がある気がしない?
  あの子の笑顔って。
臣)……
J)ってまぁ、俺がそうだったんだけどw
 
 
そんな薔薇男の話を聞きながら
俺はグラスを飲み干した。
 
 
J)登坂くんもそうなんじゃないの?
臣)……は?
J)散々遊んでたくせに
  姫に浄化されたタイプでしょw
臣)……
 
 
なんだよ…悪いかよ…。
 
 
J)一緒にいると、心が綺麗になってくとか
  思ってるでしょw
臣)文句あるか。
J)あはははw
  まぁ俺もそう思ってたんだけどさ〜
  フラれちゃったからもう仕方ないよね。
臣)……
 
 
こいつも相当遊んでんな…。
 
 
J)なーんで姫は登坂くんなんかが
  いいのかな〜〜〜
臣)は??
J)全然理解できないんだよね〜〜
臣)余計なお世話だッ!!
J)あはははw
 
 
いちいちムカつく奴だな。
 
 
J)ま、登坂くんがもしまた
  女遊びしたくなる時期が来たら
  その時は俺が姫をもらうから
  遠慮なく連絡してw
臣)しねーよ!
  そんな時期こねーよ!!
  俺はずっとあいつと一緒にいるんだから!
  一生一緒にいるんだから!!
 
 
俺がそう断言すると、
なぜか薔薇男はニヤニヤ笑ってて。
 
 
臣)…っ
 
 
わざと言わされた。
それがわかってまたムカついた。
 
くそ…っ
 
 
J)まぁせいぜい捨てられないようにね〜
臣)…っ
J)姫はこれからもっと仕事も
  増えていくだろうし…
臣)……
J)いつか二人のことが公になったり
  結婚のタイミングが来たりした時に…
  あの姫の相手がこんな男かよ〜
  とか思われないように、男磨いてね?
臣)はぁ?!
  んなこと言われなくてもわかってんだよ!
J)ほんとかなぁ〜
  姫のイメージ落とさないでよね。
臣)落とさねーよッ!!!
 
 
やっぱりムカつく、こいつ!!
 
 
ぐしゃぐしゃにかき混ぜたタコライスを
一気にかき込んでやった。
 
 
臣)ふんっ!!
 
 
…ガタガタンッ!
 
 
臣)…っ
 
 
俺が皿をドンと置いたタイミングで
隣に雪崩れ込んできた岩ちゃん。
 
 
臣)ちょ、どうした?!
岩)…っ
 
 
岩ちゃんはカウンターに突っ伏したまま
動かなくて…
 
 
岩)一番キツイのください。
 
 
そう言って、目の前に置かれたショットを
一気に飲み干した。
 
 
岩)おかわり。
臣)ちょ、何してんの!
 
 
俺が止めても、2杯目も一瞬で飲み干して。
 
 
岩)おかわり。
臣)岩ちゃん!!
岩)…っ
 
 
俺が3杯目を取り上げると、
そのまま何も言わずに
またカウンターに突っ伏した。
 
 
臣)…っ
 
 
◇ちゃんと…どうなったんだ?!
 
 
J)荒れてるねぇ……
 
 
隣では薔薇男が呑気に呟いた。
 
 
臣)岩ちゃん…、大丈夫…?
 
 
動かないその背中を軽くさすると、
しばらくして岩ちゃんが小さく呟いた。
 
 
岩)……フラ…れた。
臣)……は!!??
 
 
フラれたって…
 
 
岩)別れたいって…。
臣)…っ
岩)好きな男出来たって…。
臣)…っ
 
 
好きな男って…、優助って奴か!?
 
 
でも…
 
でも…
 
 
「◇ちゃんは岩ちゃんのところに
 戻る気がするな…。」
 
 
♡はああ言ってたのに…!!
 
 
臣)なんかの…間違いじゃねぇの…?
 
 
嘘だろ…。
 
 
岩)嘘じゃないって言われた…。
臣)…っ
岩)あいつとデートしたし、
  あいつの家にも泊まったって…。
臣)は!!??
 
 
泊まったって…
 
泊まったって…
 
そういうこと!!???
 
 
臣)…っ
 
 
そんなこと…
♡は…一言も…っ
 
 
岩)なんか…俺…ほんと無理だ…
  どうしよう……
臣)…っ
 
 
岩ちゃんの声が、掠れてる。
 
 
岩)…あいつ…さ…、
  こんな…気持ちだったのかな……
臣)え…?
岩)俺が…他の女と遊んでたって…
  知った時……。
臣)…っ
岩)…こんな…苦しかったのかな…。
 
 
その言葉に…
俺は何も言ってやれなくて、
 
ただ…岩ちゃんの背中をさすった。
 
 
岩)あんなに…俺のこと…
  好きって…言ってくれてたのに…っ
臣)……
岩)ほんとに…他の男とやったのかなとか…
臣)…っ
岩)信じられなくて…っ
  嘘だって…思いたくて…
臣)……
岩)こんな…死にたくなるような…
  苦しい思い…、
  俺…、あいつにさせたんだ…。
臣)…っ
 
 
岩ちゃんは…
自分もショックなはずなのに…
 
それと同じ思いを◇ちゃんにさせた自分を
また、責めてる。
 
 
臣)なん…で……
 
 
なんで◇ちゃん…
 
ほんとにもう…
岩ちゃんのこと…好きじゃないのかよ…。
 
 
J)一回他の男と寝ただけで
  死にたくなっちゃうの…?w
臣)…っ
 
 
寝ただけって…「だけ」じゃねぇだろ!
 
 
J)一回くらい許してあげたらー?
臣)…っ
 
 
だって…
許すも何も…
 
ほんとにもう他の男のもんになったんなら…
そんなん無理じゃね…?
 
 
もし俺なら…
 
 
J)自分なら耐えられないって顔だね…w
臣)…っ
 
 
だって…
もし俺だったら…
 
♡があの家出期間中に…
他の男とやってたりしたら…
 
………って、全然想像できない。
 
想像できないくらい、無理。
 
ほんと無理。
 
マジで死にたくなる。
 
 
J)自暴自棄になって抱かれただけ、とか…
  酔っ払った勢いで一回だけ、とか…
  そんなんかもしれないじゃん。
臣)…っ
 
 
そんなんでも…無理だろ。
 
 
J)自分は散々遊んでたくせに、勝手だね〜
臣)…っ
 
 
俺たちがそんなことを話してると
隣で突っ伏してる岩ちゃんがボソッと言った。
 
 
岩)そんな…理由じゃ…ない…。
臣)……
岩)あいつのことが好きで…
  あいつの家に泊まったって…
  そう言ってたんだ…。
臣)…っ
 
 
一夜の過ちとかじゃなくて…
ほんとに心変わりして
別の男に抱かれたんなら…
 
もう…どうしようもねぇじゃん…。
 
 
J)ふーん…、じゃあ諦めたら?
臣)は?
J)彼女が本当に違う相手を好きになって
  好きだからその相手に抱かれたって
  そう思うんなら諦めたらいいんじゃない。
臣)…っ、さっきから何なんだよ!
J)なんか岩田くんが被害者ぶってるけど…
  傷ついてるのは彼女じゃないの?って
  思ってさ。
臣)…っ
 
 
なんだよそれ…。
 
岩ちゃんだってこんなに…
 
 
J)彼女、目を真っ赤に腫らして
  サングラスかけて会社来てたんだよ。
臣)…っ
J)簡単に心変わりするような相手に
  そんな風になると思う…?
臣)……
J)…ま、他の男とやっちゃってショック〜
  って悲しんでる程度の気持ちなら、
  諦めなよ。
臣)…っ
岩)あんたに何がわかんだよっ!!
 
 
俺が言い返そうとする前に、
岩ちゃんが起き上がった。
 
 
岩)◇が言ったんだよ!
  好きな男が出来たって…!!
J)だから。
岩)…っ
J)それが彼女の本心だと思うなら
  諦めたらって言ってんの。
岩)…っ
臣)……
 
 
どういう意味だよ…。
 
 
好きな男が出来たっていうのは嘘で…
ほんとに好きなのは岩ちゃんで…
 
だから他の男とどうにかなったことくらい
大目に見ろって…そういうこと…?
 
 
J)女の子の言葉と本音なんて
  いつだって裏腹だよ。
臣)……
J)そんなこともわかってあげられないなら
  それでいいんじゃない。
岩)…っ
J)彼女は可愛いし良い子だし…
  別に岩田くんじゃなくても
  すぐにイイ男が見つかるよ。
臣)…っ
J)岩田くんは無理だと思うけどね〜w
 
 
この野郎…さっきから…っ
 
 
J)じゃあ俺はお先に。
臣)……
J)ああ、そうだ、岩田くん。
岩)…っ
J)一つ忠告するなら
  酒に逃げるのはいいけど
  登坂くんみたいにならないようにねw
臣)は?
 
 
俺みたいって…なんだよ。
 
 
J)はい。
 
 
そう言って薔薇男がカウンターに置いたのは
1万円。
 
 
臣)おい、こんなに…っ
J)ああ、安心してね、
  それさっきの1万円じゃないからw
臣)…っ
J)さっきのは明日ちゃんと彼女に返すよ。
臣)そうじゃなくて…っ
  こんなにいらねぇよ!
J)じゃあお釣りは慰謝料ってことでw
臣)は…?
J)手加減しなかったから…
  相当痛かったでしょ、あの時。
  ごめんね?w
臣)…っ
 
 
あの時…って…?
 
 
意味がわからなくて
訝しげに見上げれば…
 
 
薔薇男は俺の腹を2回叩いて、
 
 
J)覚えてないならいいよw
  じゃあね〜〜
 
 
そう言って手をヒラヒラ翻して
店を出て行った。
 
 
臣)…っ
 
 
…もしかして…
 
前にここで潰れた時…
起きたら死ぬほど腹が痛かったけど…
 
 
俺、あいつに殴られた…?!
 
 
……つーか…
殴られるようなこと、なんかしたわけ?俺。
 
 
臣)……
 
 
全然意味がわかんねぇけど…
 
 
岩)はぁ…もう…わけわかんねぇ…っ
 
 
そう言って突っ伏した岩ちゃんを見て
それどころじゃないって我に返った。
 
 
あいつのことはもういいや。
 
 
臣)岩ちゃん……、
 
 
なんて声かけていいのか…
俺もわかんねぇ…。
 
 
岩)…◇…さ……、
臣)……
岩)全然…俺と…目、合わせてくれなくて…
臣)……
岩)…ずっと…、泣いてて……
臣)…っ
 
 
◇ちゃん…泣いてたの…?
 
 
岩)俺…、もう…わけわかんなくて……
臣)……
岩)…別れたくないって……
  好きだって……言ったけど……
臣)……
岩)あいつ…ずっと…泣いてて…
臣)……
岩)…もう…ダメなのかな……
 
 
岩ちゃんの心が折れてる。
 
 
……そりゃ…折れるよ…。
 
 
 
 
それから結局、岩ちゃんを家まで送って
俺もそのままタクシーで帰ってきた。
 
 
♡)臣くんお帰りなさーい♡
  早かったね?お風呂あるよー♡
 
 
♡はいつも通り、笑顔で迎えてくれて。
 
 
♡)…どうしたの…?
 
 
いつもと違う様子を察して、
俺の顔を覗き込んできた。
 
 
臣)……
 
 
俺はそのままソファーに腰を下ろして
背もたれに頭を乗せた。
 
 
♡)……
 
 
隣にちょこんと座る♡からは
風呂上がりのイイ匂い。
 
 
臣)お前…さぁ…、
♡)うん…?
臣)◇ちゃんが男の家に泊まったの、
  知ってたの…?
♡)…っ
 
 
頭を起こして、隣を見れば。
 
嘘をつくのが下手な♡は、
全部顔に出てる。
 
 
臣)…お前…知ってたんなら…言えよ…。
♡)…っ
 
 
さすがにそんなん…もう…
 
岩ちゃんに…望みねぇじゃん…
 
 
臣)◇ちゃん…
  岩ちゃんと別れたいって。
♡)え…っ
 
 
俺の言葉に、♡は目を見開いた。
 
 
♡)◇ちゃんが…そう言ったの…?
臣)うん…。
♡)…っ
 
 
お前がそんな…
悲しそうな顔…すんなよ…。
 
 
臣)だって…そりゃそうでしょ…。
♡)え…?
臣)もう他の男のもんになったのに…
  岩ちゃんと戻るとか…なくない…?
♡)…何…?それ……、
 
 
何それって…
 
 
臣)優助ん家に泊まったんでしょ?
♡)…っ
臣)岩ちゃんを忘れるためなのか…何なのか…
  知らないけど…
♡)…っ
 
 
岩ちゃんがあれだけ想ってること、
わかっていながら
他の男の手を取ったなら…
 
もうそれが、答えだろ。
 
 
♡)……ぐす…っ
臣)!!!
 
 
なんでお前が泣くんだよ!!
 
 
臣)♡…?
♡)…ふ…ぇ…っ
 
 
♡は…ぽたぽたと涙をこぼして…
 
 
臣)泣くなよ……、
 
 
頭ごと、胸の中に抱き寄せれば…
♡は俺のTシャツをぎゅっと掴んだ。
 
 
♡)だ…って…っ
臣)……
♡)◇ちゃん…何も…してないもん…っ
臣)……
 
 
……え?
 
 
♡)優助くんの家に泊まったけど…
  何も…してないもん…、…っ
臣)…っ
 
 
…なんだよ…それ……
 
 
臣)何もしてないって…
♡)キスもHもしてないもん…
臣)…っ、だったら…なんで…っ!
 
 
なんで岩ちゃんにそんなこと…っ
 
 
♡)だから…悲しいの…っ
臣)…っ
 
 
♡の涙で…Tシャツが滲んでいく。
 
 
♡)岩ちゃんと…ほんとに終わりにするために
  わざと…そんな風に言ったのかなって…
臣)…っ
♡)ほんとは…違うのに…っ
 
 
……そういう…こと…?
 
 
♡)もしそうなら…
  そんな嘘…、すごく悲しいから…
臣)…ほんとに…違うの?
  ほんとに嘘なの?
♡)うん…。
臣)…っ
 
 
そんなの…
今すぐ岩ちゃんに教えてやりたい。
 
 
♡)◇ちゃんね、出来なかったんだって…。
臣)え…?
♡)岩ちゃんとのキスを…忘れたくなくて…
  優助くんと出来なかったって…
  …そう…言ってたんだよ。
臣)…っ
 
 
泣きながら♡が教えてくれた真実。
 
 
そんなの…
 
そんなの…
 
 
やっぱり岩ちゃんが好きなんじゃん!!
 
 
臣)…っ
♡)待って…!!
 
 
携帯を手に取った俺を、♡が止めた。
 
 
♡)何するの?
臣)岩ちゃんに言う。
♡)ダメだよ!
臣)なんで!!!
♡)…っ
 
 
◇ちゃんは岩ちゃんが好きなんじゃん!
優助とはやってないんじゃん!
 
 
岩ちゃんがどれだけショック受けてると
思ってんだよ!
 
 
臣)今すぐ教えてやらなきゃ…
♡)ダメだってば!
臣)…っ
 
 
なんで…
 
 
♡)◇ちゃんの気持ちは…わからないけど…
  もしわざとそう言ったんだとしたら…
  すごい勇気で言ったんだと思うの…っ
臣)……
♡)絶対苦しくて、辛くて、
  それでも頑張ってそう言ったのかも
  しれないでしょ…?
臣)…っ
 
 
確かに…そうだけど…
 
 
♡)それを、関係ない私たちが勝手に
  意味のないものにしちゃ
  ダメだと思う…。
臣)…っ
 
 
そんなこと言ったって…
 
 
♡)それに、もしかしたら本当に…
  優助くんが好きっていう答えを
  出したのかもしれないし…
臣)……
♡)私たちには、わからないよ…。
臣)……
 
 
でも…
 
 
臣)じゃあ岩ちゃんには…
  このまま誤解してろってこと?
♡)…っ
臣)◇ちゃんが他の男に取られたって
  そう思ったままでいいってこと?
♡)…よくは…ないけど…
  でもそれを◇ちゃんが
  望んでるんだとしたら…
  私たちが口を挟むのは違う気がして…
臣)…っ
 
 
なんだよそれ…
 
じゃあ◇ちゃんは…
わざと岩ちゃんにそんなこと言ったのかよ。
 
まるで…
そんな自分のこと、もう忘れてくれって
言うみたいに…
 
 
臣)…どうしても…ダメ…?
♡)……っ
臣)岩ちゃんに言っちゃ…
♡)ダメ…。
臣)…っ
 
 
俺はもうどうしようもなくて、
♡をぎゅっと抱きしめた。
 
 
女には…わかんないかもしんないけど…
 
自分の好きな女が
他の男とそうなったなんて…
男にしてみたら死にたくなるような話で…
 
 
臣)岩ちゃん死んじゃったらどうすんの…
 
 
俺の情けない声に…
 
 
♡)そんなに…?!
 
 
♡は驚いたようにそう言ったけど…
 
 
♡)でも…ダメ。
 
 
結局返ってくる返事は頑なで。
 
 
臣)俺だったら…死んじゃうもん…
♡)…っ
 
 
そう言った俺の背中を
♡は優しく撫でてくれた。
 
 
♡)もしも私が◇ちゃんだったら
  別れてるって言ったの、覚えてる?
臣)うん…。
♡)でも、◇ちゃんはあの時、
  別れてなかったでしょ?
臣)うん…。
♡)私と◇ちゃんの価値観が違うように…
  臣くんと岩ちゃんも違うと思うの。
臣)……
♡)臣くんは死んじゃうかもしれないけど…
  岩ちゃんは違う答えに
  たどり着くかもしれないでしょ…?
臣)……俺は死んでもいいの…
♡)どうして臣くんが死ぬのっ!
臣)だって…
 
 
お前に…
他の男好きになったとか…
そいつの家に泊まったとか言われたら、
 
俺、死ぬよ…?
 
 
♡)私は今こうして
  臣くんのそばにいるでしょ…?
臣)うん……
 
 
ぎゅっ…
 
 
♡)臣くんのこと、好きなんだよ…?
臣)うん……
 
 
ぎゅっ…
 
 
♡の気持ちごと、抱きしめるみたいに
何度も…ぎゅってして…
 
 
♡のぬくもりが…
俺の心を優しく溶かして…
包み込んでくれるような心地良さ…。
 
 
「あの笑顔だけで、
 なんでも浄化しちゃうよね…。」
 
 
ふと、あいつの言葉を思い出して…
 
 
臣)♡……、
♡)なぁに…?
臣)…笑って…?
 
 
俺がそうねだれば…
 
 
♡)ふふっ、どうしたの…?
 
 
♡は優しく笑って、俺の頬を包んでくれた。
 
 
臣)…っ
 
 
ぎゅっ…。
 
 
……俺の…宝物…。
 
 
 
♡を腕の中にぎゅっと閉じ込めたまま…
 
 
そういえば俺も…
かなり飲んだんだっけって…
 
眠りに落ちる意識の中で、
そんなことを思い出してた。
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. ちえ より:

    Jさんは臣岩と同じで遊び人だったけど、2人より何枚も上手ですね~(^^)同じような過去があるからこそ、男2人の気持ちも分かるし、女の子の心理もよーく分かってらっしゃる✨さすがです!けっこう重要な所で、心を動かすようなアドバイスをしてくれますよね~(*´ω`*)

    • マイコ より:

      Jさんには敵わない臣岩であった…。゚(゚^ω^゚)゚。
      全然素直に聞けてないし…w

  2. さゆれ より:

    Jさんがかっこよすぎる!臣君、岩ちゃんからしたら、なんだ?この腹立つ野郎!くらいにしか思えないんだろうけど、Jさんそれとなく色々教えてくれてるのにな。
    それに気付けるのはいつになる事やら、、、。とりあえず酒に逃げるのはやめよう!

    • マイコ より:

      Jさんの前だとお子ちゃま状態な臣岩コンビ。゚(゚^ω^゚)゚。

  3. a -chan より:

    初コメします。
    昔から三代目ファンで最近この妄想小説見つけてハマっちゃいました♡
    岩ちゃん♢ちゃんストーリーが大好きです♡もぉ悲しいし切ないしもどかしくてこんなに?ってほど泣けちゃいます(T . T)
    でも岩ちゃんがした事ってよりもぉ♢ちゃんの気持ちぐちゃぐちゃですよね!? 2人はまだ好きなんだから…どーにか戻って欲しいです(ToT) 別れるなんて絶対嫌ー(TT)
    ホント実写化か本にして欲しいです♡

    • マイコ より:

      初コメありがとうございますヽ(*^ω^*)ノ♡♡
      見つけてもらえて嬉しいです〜〜〜!
      ◇ちゃんはまだ気持ちの整理がつかず完全に迷子状態ですが……どうか見守ってやってください〜〜。゚(゚´ω`゚)゚。

  4. ☆SHIORI☆ より:

    岩ちゃんと◇ちゃん、別れるん?
    絶対、嫌やーーー(泣)
    もう、号泣やわーーー
    めっちゃ岩ちゃん、かわいそう。
    死にそうやん
    臣は、ちょっと彼氏バカがヤバイww

    • マイコ より:

      この人は永遠に彼氏バカです…。゚(゚^ω^゚)゚。
      今日は酔っ払いだから許してあげて…ww

  5. 明日花 より:

    こんなに泣きそうな気持ちになるのはヤバいです.。マイコさんはめっっっちゃ文章力があって尊敬しちゃいます。
    やっぱり忘れられない気持ちはまだあるんですね。

  6. なつ より:

    ♢ちゃんと岩ちゃん戻ってほしー
    ♢ちゃん岩ちゃんのことまだ好きなんですよね??
    別れないでほしいなぁ

    • マイコ より:

      まだ好きなのかなぁ…どうかなぁ…。゚(゚´ω`゚)゚。

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