[145]心の葛藤(◇Side)

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それからあたし達は
お互いのことをたくさん話した。
 
 
優助は3人兄弟の末っ子らしくて
なんとびっくり、
東大出身であたしの後輩だった。
 
 
今は大手電気機器メーカーの
開発プロジェクトで働いてるらしくて…
すごく楽しそうに仕事の話をしてくれる姿が
なんかいいなって、思った。
 
 
あたしの話もすごく嬉しそうに聞いてくれて…
 
ランチの後に行った水族館でも
あたし達はずっと手を繋ぎながら
いろんな話をした。
 
 
土曜日だからすごく混んでて…
 
あたしが熱帯魚に見とれてる時は
優助が後ろからあたしをぎゅってしてきて。
 
 
「はぐれないように///」
 
 
そんな可愛い言い訳をして
ハグしてくる優助が
あたしは全然嫌じゃなかった。
 
 
なんでかな。
 
頭を撫でられるのも、
手を繋ぐのも、抱きしめられるのも。
 
全然嫌じゃないし、
なんだか安心するの。
 
 
優助には情けないところ
いっぱい見られてるし…
何度も助けてもらってるから…?
 
 
それとも…
 
あたしが優助に惹かれてるのかな…?
 
 
 
優)土日休みなら
  また一緒にどっか行こ♪
 
 
晩御飯も食べ終えて、帰りの車の中。
 
優助が嬉しそうにそう言った。
 
 
◇)うん、行きたい♡
 
 
あたしは素直な気持ちでそう答えた。
 
 
優助は右手でハンドルを握りながら
左手はやっぱり、あたしの手を握ってる。
 
 
外はもう真っ暗で…
 
遠くで流れるネオンが
キラキラ、綺麗。
 
 
優)今日1日…あっという間だったなぁ…
◇)ほんとだねw
 
 
ずっと一緒にいたけど
ずっと楽しくて…
 
本当にあっという間に時間が過ぎていった。
 
 
◇)なんか終わっちゃうのが勿体ないな…。
優)……
◇)……
優)ほんとに…◇もそう思ってる…?
◇)え…?
優)いや、俺は…
  ずっとそう思ってたから…///
◇)……
優)同じ気持ちなら…すごく嬉しい…///
◇)……///
 
 
あたし…
なんか思わせぶりなこと…
言っちゃったのかな…?
 
 
でも…
ほんとにそう思ったから…。
 
 
優)帰りたく…ないな…。
◇)……
 
 
帰ったら…
またあの部屋に、一人…か。
 
 
剛典との思い出が
いっぱい詰まってる、あの部屋。
 
嫌でも思い出しちゃう。
 
 
またあのベッドで、あたしは一人で眠るの…?
 
 
◇)……はぁ…。
 
 
いつになったら…
この気持ちは…軽くなるのかな…。
 
 
優)……なんの…ため息…?
◇)…っ
 
 
あたし、ため息ついた…?
 
 
◇)……
優)……
◇)…帰りたく…ないなって…。
優)……
 
 
あたしの言葉に、優助は何も言わなかった。
 
 
 
……
 
 

 
 
 
車は朝と同じ。
 
マンションの前に停まって。
 
 
でも、優助は何も言わない。
あたしの手を繋いだまま。
 
 
優)……
◇)……
 
 
「着いたよ」とか言われたら
降りなきゃいけないけど…
 
何も言われないのをいいことに、
あたしも優助の手を握ったまま。
 
 
まだ…
帰りたくない。
 
一人に…なりたくない。
 
 
静かな車内の沈黙を
先に破ったのは、優助だった。
 
 
優)……俺ん家…、来る…?
◇)え……?
 
 
その言葉に、あたしが固まると…
 
 
優)なんもしないよ。
 
 
優助は笑ってそう言った。
 
 
◇)男が言う「何もしない」は
  信用しちゃダメなやつでしょ…。
優)あはっww
  うん、その通り。
  よくわかってるね、偉い偉いw
 
 
そう言って、
年下のくせにあたしの頭を撫で撫でしてくる。
 
 
優)まぁ普通はそうだし、
  他の男に言われたら
  絶対信用しちゃダメだけど
  俺はいいよ。
◇)え…?
優)信じても大丈夫。
◇)……
優)好きな子が嫌がることは
  死んでもしないから。
◇)……
 
 
男らしく言い切るんだ…。
 
 
優)明日なんか予定あんの?
◇)……えっと…
  夜…合コン行こうか迷ってる。
優)は?!!
 
 
優助は勢いよくこっちを見て…
 
「行くな」って言いたそうな顔をしたけど…
その言葉を飲み込んだように見えた。
 
 
優)じゃあ…さ、こうしようよ。
◇)…え……?
優)今日は俺ん家に泊まって、
  明日も俺と一緒に過ごす。
◇)へ???
優)んで、夜になって
  合コンに行きたかったら行けばいいよ。
◇)…っ
優)でも、俺といる方が楽しかったら
  俺といて。
 
 
そう言って、繋いでる手を
さらにぎゅっと…握られた。
 
 
◇)え…、泊まる…の?
優)え?
◇)今日……
優)……そういうつもりで誘ったけど。
◇)……
 
 
あたしは…
 
もう少し一緒にいようって意味かと思った。
 
 
優)でも、何もしないっていうのはほんと。
◇)…っ
優)だから、おいでよ。
◇)……
優)…一人に…したくない。
◇)……
優)そばにいてくれたら…安心だから…。
◇)……
 
 
それは…
 
あたしが一人で…泣かないように…?
 
 
優)…って、それだけ言うと
  なんか少しずるいか。
◇)……
優)俺が、まだ一緒にいたい。
  帰したくない。
◇)…っ
優)…ってのも…ある。
◇)……//
 
 
素直に気持ちを伝えてくれるのが…
なんだか嬉しくて…
 
 
あたしも素直に頷いて、
荷物を取りに一度部屋に戻った。
 
 
一週間前の♡ちゃんの誕生会の日は
剛典の家に泊まるつもりで
お泊まりセットを用意したのに
 
今日は優助の家に泊まるために
着替えとかをバッグに詰めてて…
 
なんか…変なの。
 
 
 
◇)お待たせ…。
 
 
バッグを後ろに乗せて
また助手席に乗り込むと、
 
優助がほっとしたように
あたしのほっぺを撫でた。
 
 
◇)なぁに…?
優)ん…、戻ってこないかと思った…。
◇)なんで…?
優)気が変わって。
◇)……
優)……
◇)だって…何もしないんでしょ…?
優)しないよ…。
 
 
信じてるもん、優助のこと。
 
 
それに…
そう約束しててももし
そんな雰囲気になったりするなら
 
それはそれで、あたしは対処できる。
子供じゃないんだから。
 
 
 
……
 
 
 

 
 
 
◇)わ、綺麗だね。
優)そう?
◇)うん!
 
 
優助の部屋は思ってたよりも広めでオシャレ。
 
 
あたしが荷物を置くと
トイレとか洗面所とか、
部屋の中をいろいろ案内してくれた。
 
 
優)シャワー派?風呂派?
◇)えっと…お風呂…派。
優)じゃあ入れてくるから適当に座ってて。
◇)……(こくん)
 
 
なんか…優しいな。
 
 
ドキドキ…ドキドキ…
 
 
家の中って…やっぱりなんか、違うよね。
 
生活感、感じるし…
 
優助のテリトリー内に
一気に踏み込んじゃったような
そんな緊張感もあって…
 
なんか、落ち着かない。
 
 
優)なーにウロウロしてんのw
◇)ひあっっ!!///
 
 
後ろからいきなりハグされて
変な声が出た。
 
 
◇)な、何すんのーっ!///
優)あはは♡
◇)あははじゃなくて!///
 
 
首に絡まった優助の腕を
トントン叩いた。
 
 
優)なんか…緊張するなって思って。
◇)え…?
 
 
優助も…緊張してるの…?
 
 
優)でも…せっかく一緒にいれるんだから…
  やっぱりこうしたいなって思って。
◇)……何もしないって言ったもん…///
優)えーー!ハグはノーカンでしょ!w
◇)何それ!誰が決めたのっ
優)俺…w
◇)……///
 
 
なんか…
この強引さが…剛典に似てる。
 
 
優)だって…ハグ、安心するんでしょ?
◇)……っ
優)いっぱい安心させたいもん…。
◇)……
優)よしよし…♡
◇)……///
 
 
なんか…
そんな甘やかされたら…甘えたくなる。
 
 
◇)…っ
 
 
あたしはくるっと振り返って、
優助に抱きついた。
 
 
ぎゅぅ……///
 
 
優)え、急に…どうした?!///
◇)…ぎゅー…したくなった…///
優)////
 
 
優助の腕が、少し戸惑ってるのがわかるけど…
 
でも、やっぱり優しく、抱きしめてくれる。
 
 
優)ああ…もう…ほんと可愛い…///
◇)……///
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
人のぬくもりって…
どうしてこんなに癒されるんだろう…。
 
 
優)好き……。
◇)…っ
優)好きだよ……。
◇)……
 
 
その言葉に、少し我に返った。
 
 
だって…
これじゃ…あたし…
優助の気持ちを利用して…甘えてるみたいで…
 
 
◇)…ごめ…っ
 
 
慌てて離れようとしたあたしを
優助の腕は、許してくれない。
 
 
優)いいから。
◇)…っ
 
 
あたしの心を見透かしたように、そう言うの。
 
 
優)言ったじゃん、いっぱい甘えてって。
◇)…っ
優)余計なこと、考えなくていいから…
◇)…っ
 
 
そんなに甘やかされたら…
あたしは…
 
 
◇)優助…っ…
 
 
ぎゅぅ…っ///
 
 
甘えたい衝動が、抑えられなくなる。
 
だってこんなに、気持ちいいんだもん。
 
 
「好き」って…口走りそうに…なるくらい…。
 
 
優)ああ…、ちょ…っ、っと…///
◇)え…?
優)ええと…、ああ、そうだ///
  風呂…そろそろだから…見てくる…。
◇)……うん。
 
 
洗面所に戻った優助は
「ほら、入っておいで」って
フカフカのバスタオルを渡してくれた。
 
 
あたしは優助の優しさに甘えて
お風呂でゆったりと疲れを癒す。
 
 
…って言っても今日は疲れたとかより
ほんとに楽しかったんだけど…。
 
 
◇)……
 
 
「今日は俺ん家に泊まって、
 明日も俺と一緒に過ごす。
 
 んで、夜になって
 合コンに行きたかったら行けばいいよ。
 
 でも俺といる方が楽しかったら俺といて。」
 
 
さっき、そう言われた。
 
 
優助はもちろん、
行ってほしくないんだろうけど…
 
そう言わないのは、「彼氏」じゃないから。
 
 
明日は…優助と…何するんだろう。
 
きっと…何をしても楽しい気がして…
心の中に優助がいっぱい入ってきてることに
気付く。
 
 
このまま…
剛典が消えていったら…
それはそれで、ラクなのかな。
 
 
好きな人ができたからって、別れて。
 
そしたら剛典とは終わるのかな。
 
 
◇)……
 
 
優助と付き合ったら普通に楽しいし
絶対大事にしてくれるし…
 
なのになんであたしの頭は
どこかで剛典のことを思い出すんだろう。
 
 
距離を置いてる間は…考えたくないのに…。
 
 
 
◇)お風呂、ありがとう。
優)……あ…、えっと……うん///
◇)……
 
 
あれ…
なんか…意識してる…?
 
 
◇)どしたの…?
優)……いや、…すっぴんだなぁって…
◇)…っ
 
 
そう言われて
あたしは思わず顔を隠した。
 
 
◇)お風呂上がりなんだから
  当たり前でしょ…っ///
優)いや、うん…だから…
  可愛いなって思って…///
◇)……
 
 
すっぴんが可愛いわけないじゃん…
ばか……
 
 
◇)優助も入ってきたら?
優)うん…///
 
 
そう言って、自分でハッとした。
 
 
◇)え、待って!!
  あたしが入ったお風呂に優助が入るの?!
優)え…っ
◇)なんかやだ!!///
優)…っ
 
 
咄嗟にそう言ったあたしに、
優助は笑って
 
 
優)俺…そんな変態じゃないから大丈夫だよw
 
 
そう言った。
 
 
◇)え…っ
 
 
そ、そっか…。
 
別に…変なことじゃないのか…。
 
 
優)意識してんの…?
◇)…っ
優)かわい…w
◇)……///
 
 
優助はそう言って
あたしの頭をポンポンしてお風呂に向かった。
 
 
なんなの!
さっきはもじもじしてたくせに!//
 
 
◇)…っ
 
 
だって…
やっぱりどうしたって
少しは緊張するし、意識もするもん。
 
 
◇)ふぅ……。
 
 
さっきまで優助が座ってたソファー。
ばふっと腰掛けて、携帯を手に取った。
 
 
◇)……
 
 
着信もLINEも、ゼロ。
 
 
『おはよう。
 昨夜は時間くれてありがとう。』
 
 
剛典からは…
今朝来たメッセージ以降、何もない。
 
 
◇)……
 
 
別に…いいもん。
 
距離置きたいって言ったのは…あたしだし。
 
 
◇)……
 
 
剛典のことは…考えない。
 
思い出さない。
 
 
それで…いいの…。
 
 
……
 
 

 
 
 
優)ただいま。
◇)……
 
 
お風呂から戻ってきた優助の姿に
一瞬ドキッとした。
 
 
優)喉渇かない?なんか飲む?
◇)えと…、うん…//
 
 
バスタオルで頭を拭きながら
キッチンで冷蔵庫を開けてる。
 
 
なんか…やっぱり…
家の中って、日常すぎて…緊張する。
 
 
優)ビール!酎ハイ!お茶!牛乳!
  どれがいい?
◇)……お茶。
優)了解w
 
 
お酒は…さすがに…
 
 
優)はい、どうぞ。
◇)あり…がと…。
 
 
優助はあたしにグラスを渡すと
隣にドカッと座った。
 
 
優)TVつけなかったの?
 
 
そう言って、リモコンに手を伸ばして…
 
静かなリビングは
TVの音があるだけで、少し緊張がほぐれる。
 
 
優)すっぴん、全然変わんないよね。
◇)え…っ
 
 
その言葉に振り向くと、
優助はTVなんか見てなくて…
 
なんか照れたようにあたしを見てた。
 
 
◇)そんなこと…ないもん…
優)そう?
 
 
すっぴんネタはもうやめてください…
 
 
優)なんか少し幼くなるけど…可愛い。
◇)……///
 
 
横から見つめられる視線に、耐えられなくて…
 
あたしは、ソファーから下に降りた。
 
 
優)あれ。
◇)……//
 
 
聞こえないフリをして、TVを見てると…
 
 
優)じゃあ俺もこっちーー♡
◇)わぁっ!///
 
 
ソファーの座面にもたれてたあたしの背中に
後ろからずりずりと割り込んできて…
 
 
優)えい♡
◇)?!!///
 
 
なんか…
優助の長い足があたしの左右に伸びてきて…
 
後ろから抱っこされてるんですけど…
 
 
◇)え、ちょ、ちょ…っ
優)……はぁ……///
 
 
優助は…あたしのお腹に手を回してきて…
 
 
優)……好き///
 
 
そう言って、あたしの首筋に
すりすりと頬を寄せてくる。
 
 
◇)くっつき…すぎ…///
 
 
心臓が、バクバクする。
 
 
優)…なんか…DVD観る?
◇)…っ
 
 
人の話…聞いてる…?
 
 
◇)ね、近い……///
優)ん?トトロがいいって?
◇)はい?!
 
 
だから…そうじゃなくて…
距離が…///
 
 
優)ジブリならなんでも揃ってるよ。
◇)…っ
 
 
その言葉に、あたしは思わず吹き出した。
 
 
◇)なんで揃ってんのww
優)……好きだから。
◇)…可愛い…っww
優)そんな…笑う…?///
◇)だって…ww
 
 
ジブリは確かに名作だけど…!
 
それ全部揃えてる男とか…可愛すぎでしょ!w
 
 
優)じゃあナウシカにする…?
◇)あははっw
 
 
あたしがゲラゲラ笑ってると
優助はまた後ろから
あたしの首元にすりすりしてきて…
 
 
優)笑いすぎ〜〜〜〜
 
 
そう言って、あたしのほっぺにチュッと
キスをした。
 
 
◇)////
 
 
な、な、何これ…っ
 
 
優)……///
◇)……///
 
 
沈黙になるあたし達は
ギリギリ、TVの音に助けられてる。
 
 
こんな…イチャイチャしてたら…
普通に付き合ってるみたいで…
 
 
優)ヤバイ……、
  ほんとに…好き…///
◇)////
 
 
ちゅーして気持ちが溢れたのか、
優助が後ろから抱きしめてくる力を
さらに強めた。
 
 
こんなに…何回も…
可愛いとか…好きとか…連呼されたら…
 
あたしの乙女スイッチだって…
ONになっちゃう…。
 
 
でも…流されちゃ…ダメだよね…。
 
 
◇)…トトロ…観るんでしょ…?///
優)……ううん。
◇)え…?
優)ずっと…こうしてたい…
◇)……///
 
 
そう言って優助は、TVを消した。
 
 
ドキン…
 
ドキン…
 
 
一気に静かになる部屋。
 
背中にぴったりと伝わる、優助の体温。
 
 
ほっぺとほっぺが…くっついてて…
近すぎる距離に、ドキドキが止まらない。
 
 
◇)……ん…っ///
 
 
今度は…耳に…キスされて…
 
 
◇)優助…っ///
 
 
後ろを振り向くと、
熱を持った瞳であたしを見つめる優助が
そこにいた。
 
 
優)ごめん…、少し…暴走した…///
◇)……うん///
 
 
そう言いながらも…
優助の目は…あたしを射抜くように、熱い。
 
 
……チュッ…。
 
 
今度は…首筋にキスされて…
 
 
◇)…や、……だ…め…っ///
 
 
あたしを包み込んでる優助の腕を
きゅっと掴んだけど…
 
 
優)…すげぇ可愛い……///
 
 
優助はそう言って、
あたしを離してくれなくて…
 
興奮してるのがすごくわかるし、
優助の男な部分に、あたしの本能も反応する。
 
 
優)……ん、///
◇)…あ…っ…///
 
 
今度は肩に、キスされて…
 
優助の唇の感触が増えるたびに…
ドキドキが増していく。
 
 
このまま、この温もりに身を委ねたら…
どうなるんだろう。
 
 
それでもいいかも…って…
もう…どこかで少し…思ってて…
 
 
あたしを抱きしめる優助の腕から
どうしようもないくらいのあたしへの愛しさを
いっぱい感じてて…
 
それがその気持ちを後押しする。
 
 
◇)優…助…、///
優)好き……///
◇)…待って、優…助…っ
優)好きだよ、◇……///
 
 
優助は少し身体を移動させて…
 
今度は向き合うような形で
あたしを抱きしめた。
 
 
優)……好き///
◇)……///
 
 
どうしよう…
 
いっぱい…気持ちが…伝わってくる。
 
 
優)◇……、好き。
◇)……///
 
 
そう言って、
優助はあたしの顔を覗き込むように
あたしのほっぺを両手で包んだ。
 
 
優)好きだよ。
◇)////
 
 
こんな正面から…
真っ直ぐに見つめられて
そんな風に言われたら…
 
もうどうしたらいいのか、わからない。
 
 
優)何もしないって言ったのに…ごめん…。
◇)…っ
 
 
だってそれは…
 
あたしが抵抗しない時点で、無効だもん。
 
 
無理矢理、何かされてるわけじゃない。
嫌ならいつでも逃げられる。
 
それくらい、優助は優しい。
 
 
優)◇……、
◇)……
 
 
愛おしそうに…
あたしを真っ直ぐ見つめる、優助の瞳。
 
 
その視線だけで、
好きだって…伝わってくる。
 
 
あたしも真っ直ぐに見つめ返せば、
優助の手はあたしのほっぺを優しく撫でて…
 
ゆっくりと、近付いてくる、唇。
 
 
 
キス…してもいい。
 
 
そう思う気持ちのどこかで…
 
このキスを受け入れたら、終わり。
 
 
そう思う自分もいて。
 
 
◇)……
 
 
前髪がふわっと重なって…
 
息遣いを感じる距離まで、唇が近付いて…
 
 
◇)……っ
 
 
今、あたしに優しく触れるこの手も…
 
愛しさで包んでくれてる温もりも…
 
全部全部、優助なのに…
 
 
剛典じゃ…ないのに……
 
 
「好きだよ。」
 
 
蘇るのは、剛典からの、最後のキス。
 
 
泣きそうな顔で…
 
震えそうな手で…
 
 
あたしにそっと触れて、優しく口付けた。
 
 
そんな痛いくらい切ないキスが
蘇って…
 
 
__剛典のキスを、忘れたくない。
 
 
そう思う自分が…いた。
 
 
 
◇)……っ、ごめん…っ
 
 
唇が重なる直前で、思いきり下を向いた。
 
 
優)…っ
◇)…ごめ…ん……
 
 
このままキスして…
優助の気持ちに応えたいって
そう思う自分もいるのに…
 
剛典のキスを忘れたくないって
そう思う自分もいて…
 
 
もう自分で自分が、わからない。
 
 
優)…俺こそ…ごめん…。
 
 
優助はそう言ってふわりと優しく
あたしを抱きしめてくれた。
 
 
優)ごめん…な…。
◇)……(ふるふるっ)
 
 
ごめんは…あたしなのに…
 
 
優)ごめん…
  でも…、…好きだよ…。
◇)……っ
 
 
優助の気持ちが…
優しく心に沁みてくる。
 
 
優助のこと…
好きになれたら…いいのにな……。
 
 
 
……
 
 

 
 
 
優)……よっし、じゃあ…
  トトロ観るか!w
◇)……うん。
 
 
しばらくすると、
優助が背中をぽんぽんって叩いてくれて…
 
もう一度TVをつけて、
映画を再生してくれた。
 
 
優)ん、おいで…。
◇)……
 
 
さっきと同じように
ソファーにもたれながら、
 
あたしを後ろから包み込むように
抱っこする優助。
 
 
とくん…
 
とくん…
 
 
優助の膝の間で
優助の腕にすっぽり包まれてるあたしは
そのぬくもりが気持ち良くて…
 
 
トトロを見ながら、
 
気付けばうとうと…夢の中だった。
 
 
 
 
 
ーendー

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  1. のんちゃん より:

    マイコさんごめんなさい。ペルーじゃなかった!(◎_◎;)恥ずかしい(>_<)ストーリーで何だかペルーってなかったっけ?

    • マイコ より:

      ペルーは♡ちゃんが見た夢だったかな?確か…
      (作者もうろ覚えw)

  2. a__ichin.y より:

    あかん…
    岩ちゃんとより戻ってほしいと思ってるけど、実際に優助みたいな存在おったら流されてまいそう…
    ◇ちゃんめっちゃしんどいね:(´◦ω◦`):
    どうなる◇ちゃんと岩ちゃん…
    隆二ストーリーも気になるし、臣くんも早く読みたいし、もーえらい事(笑)
    ほんま毎回どっぷり感情移入(笑)

    • マイコ より:

      そうでしょそうでしょ流されるでしょ〜〜(❁´ω`❁)いっひっひ♪
      臣隆はイチャイチャの予定しかないから問題はやっぱり岩田かな…
      頑張れ岩田。゚(゚^ω^゚)゚。

  3. ユキ より:

    優助君とうとう◇ちゃんに好きだよって告白しましたね
    このまま彼氏になっちゃうのかな?読んでる私も気になりましたね(*^^*)マイコさんは臣君がポメラニアンになったらお世話しますか?

    • マイコ より:

      はい????。゚(゚^∀^゚)゚。
      犬アレルギーなのでお断りしますw

  4. 明日花 より:

    もう、優助何なんだよー。◇ちゃんの後輩だったのか。何か岩ちゃんと似てるのかもしれないけど岩ちゃんの方が好きw
    お願いだから好きにならないで~。

  5. ココ より:

    さゆれさん。ホントに同感です❗
    ◇ちゃんだから、岩ちゃんも 真っ直ぐになったのに…
    そうですね、今の◇ちゃんは私もちょっと違う気がします!
    出来るなら、二人で◇ちゃんに 違うだろ‼と話させて欲しいですね(笑)
    距離を置くって、賢い◇ちゃんなら違う方向性で
    自分の気持ちと向き合うのかと思いました。
    うぅ(涙)

    • マイコ より:

      お二人さん、盛り上がってますなぁ(❁´ω`❁)にひひ♪
      どうもありがとうございます笑
      この三角関係はまだまだあっちこっち行ってぎゃふんになりますからよろしくです(❁´ω`❁)ふぉふぉふぉふぉw

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