[14]もどかしい誤解

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臣)TAKAHIROさん…
  俺…マジで不能になるかも…
T)……
臣)……
T)どえええええ!!!??


TAKAHIROさんの声が、ジムに響いた。


T)ちょ、ちょ、どゆこと!??
臣)……



昨日は結局、あれこれ考えてたら
あんまり寝れなくて

今日の午前中、♡と一緒に映画を観てたら
そこで爆睡しちゃった俺。


起きた時には
映画はもう終わってて
慌てて謝ると

♡は拗ねた様子もなく
にっこり笑って

「疲れてるんだよね?寝てていいよ?♡」

って…


臣)……


そのまま膝枕してくれたけど

柔らかい太ももの感触に
俺は無駄に興奮して…

全然気持ちが休まらなかった。


触りたくて…
うずうずして…


そしたら♡がまた言ったんだ。


「ごめんね?」


って。



T)勃たなかったの?!
  昨日チャレンジしたの!?
臣)え?
T)不能になるかもって…
臣)ああ、…そうじゃなくて…
T)何!!!
臣)……


俺は昨夜のことを話した。


T)え、♡ちゃんが「シたくない」って
  ハッキリ言ったの?!
臣)いや、そうじゃないんですけど…
T)拒まれたって…
  「やだ」って言われたの?
臣)いや、なんか…
  「やぁ…っ」って。
T)え、それ、拒絶なの?
臣)えっ
T)普通の喘ぎじゃないんすか?
臣)ぶっ
T)被害妄想じゃないの?
臣)……


だって…


臣)こう、身を引かれたんですよ。
T)いや、だからさ、それも。
  普通の反応でもありえるじゃん?
臣)……


そう言われると、確かに。


臣)でも…「ごめん」って…言われたし。
T)……


あれって…そういう意味だよな?


T)そっか、謝られたのか。
臣)はい…
T)でも…考えすぎだと思うけどな〜
臣)……
T)たまたま昨日は気分じゃなかった、
  とかじゃないのー?
臣)……


今まで…そんなことなかったのに…?


T)登坂っちのことが嫌だとか
  そんなんじゃないと思うよーー
臣)……
T)だってチュッチュッしたんでしょ?
臣)はい。
T)嫌だったらキスもしないでしょ。
臣)……


確かに寝る前も…
♡からしてくれたけど…


臣)キスはできても…
  身体に触られるのは嫌、とか…
T)う〜〜〜〜ん……
臣)なんか俺、結構心折れて…
T)うん。
臣)次もし拒否られたら
  マジで不能になりそう…
T)ああ、そういう意味ね?w
臣)はぁ……
T)だからほら、そーゆー時は
  他の女で、ね。
臣)いや、ないっすから。
T)頑なだね〜〜!!w
臣)……
T)ま、今日もっかいトライしてみなよ!
臣)……


それでダメだったら…
俺ほんとに…


T)で、明日、結果聞かせて♡
臣)あ、俺明日、収録っす。
T)え!!ジム来ないの??
臣)はい。
T)え〜〜!!寂しい〜〜〜!!
臣)TAKAHIROさん、明日も来るんですか?
T)来るよ……
臣)……
T)…って、俺別に
  暇なわけじゃないからねっ!!
臣)いや、わかってますよw
T)今、憐みの目で見たでしょっ!!
臣)見てないっすから!!w


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


佐)ねぇ、♡ちゃん。
  そろそろ雑誌に名前載せたいんだけど…
♡)えっ!!


撮影終わりに、佐伯さんに呼ばれた。


佐)やっぱり未だに編集部の方にも
  ♡ちゃんの名前教えてって問い合わせ
  すごく来るのね?
♡)はい…
佐)それだけならいいんだけど…実は…
♡)……
佐)再来月号で、
  トリちゃんと♡ちゃんの企画を考えてて。
♡)えっ!!


トリちゃんと?!


♡)わぁっ!楽しみですっ!!♡♡
佐)そうでしょ♡
  私もすごく楽しみなのよw
♡)わぁ〜〜〜♡
佐)でね?
  その企画的にも、
  ♡ちゃんだけ名前がないと
  どうしてもやりにくくて…
♡)なるほど…


そっか…
そうだよね…


佐)本名が嫌なら芸名でもいいし
  ちょっと考えておいてくれない?
♡)はい、わかりました。


どうしようかな…

松浦さんにお返事するのも
来月いっぱいになってるし

色々ちゃんと考えなくっちゃ。



ーーー



撮影を終えて
Mちゃんと約束してる店に向かうと…


M)あ、先輩!来た来た〜〜!♡
♡)えっ…


Mちゃんがいるテーブルには
男の人もいて…


♡)えっ!先生?!
士)お疲れさまです…//
♡)え…っ、なんで…


あ!!そういえば!!

今日ってMちゃんが先生を
合コンに誘ってた日?!!


男)うわ、すっげぇ可愛い子来た///
男)ヤバくね?///
M)先輩♡座ってくださぁい♡
♡)え、ちょっと、Mちゃん!


これって…


♡(どーゆーこと?!合コン!?)
M(はい♡嘘ついてごめんなさい♡)
♡(ちょっとー!私帰るからね?)
M(ダメですっ!!)

ガシッッ

♡)…っ
M(先輩には彼氏がいるって
  ちゃんと言いますから♡)
♡(それでもダメ!!)
M(お願いしますよぉ〜〜!!
  今日久々の当たりなんですよ〜!!)
♡(私いなくてもいいでしょ!)
M(先輩を連れてくることが
  交換条件だったんです!)


どーゆーこと??


M(先輩は参加しなくていいですから!
  士道さんとお話してるだけで!)
♡)…っ
M(それなら知り合いと話してるだけだから
  登坂さんだって怒らないですよ!)


男)どうしたのー?座らないのー?
男)はい、ドリンクメニュー。
♡)…っ


どうしよう。
ここで帰ったら空気壊しちゃうかな…


M)先に言っておきますねー♡
  この先輩には超絶ラブラブな彼氏が
  ちゃぁんといますんでー♡
男)ええっ!!
男)そうなの?!!
男)なんだぁ……
M)今日は人数合わせで来てくれただけです♡
男)そうなんだぁ…まぁ座んなよ。
♡)…っ


帰るって言い出せなくなって
私はとりあえず一番端に座った。

向かいは先生。


そっか、先生と話してれば
合コンって感じじゃないし…

臣くんには後から説明しよう、うん。


♡)お疲れさまです。
士)はい…///


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


仕事を終えて、家に帰ってくると
♡はまだ帰ってきてなくて…

真っ暗な部屋に、また一瞬
心臓がドキッとした。


臣)……


なんでまたこんな風に
不安になるんだろう。


♡はもう帰ってきたのに。


毎日、帰ってきてくれって祈りながら
暗い部屋のドアを一人で開けてた日々が

こうしてふと頭をよぎる。


臣)はぁ……


なんか情けない。


気持ちを紛らわせるように
一人で風呂に入りながら、音楽を聴く。


しばらくすると
♡が帰ってきた音が聞こえて…


洗面所のドアが開いたのがわかった。



♡)ただいまぁーーっ!!

臣)おかえりーーー


風呂の中から返事をした。


♡)お風呂入ってるのー?

臣)うん。
  お前も入るーー?

♡)うん!あとで入るー♡

臣)……


そういう意味じゃなかったんだけど。


気分転換に風呂に入ったのに
♡が帰ってきたとなると

早く顔を見たくて
いそいそと風呂から上がった。


ガチャッ。


臣)おかえり。

♡)わっ…///


ん…?


♡)ただいま…//


俺から目を逸らす♡。

なんで…?


あれ、少し顔が赤い。


臣)酒飲んだの?
♡)あっ…
臣)どこで飲んでたのー?
♡)あの…
臣)ん…?
♡)あのね、今日…っ
  Mちゃんと…
臣)うん、飯食ってたんでしょ?
♡)あの…そのはずだったんだけど…
臣)……


なんだ??


♡)合コンだったのっ!!!
臣)……
♡)……
臣)は…??


合コンって…合コン???


♡)でもね、私、誰とも話してないよっ!!
臣)え、ちょ、待って。合コン?
♡)合コンだったんだけど
  私、先生としか話してないから!!
臣)……


意味がわからなくて
ソファーに座って一から説明させると

どうやらMちゃんが♡を騙したようで。


でも「彼氏がいる」って宣言は
してくれたみたいで…


♡)だから私は先生とずっと話してたの!


そう言ってニコッと笑う♡。


何かを隠してるわけでも
嘘をついてるわけでもないのは
無邪気な笑顔でわかるけど…


俺的には他の男共より
「ずっと話してた」先生が
気になるんですけど…


臣)先生って…俺と同い年なんだよな?
♡)うん!そうだよー!♡
臣)……
♡)ジムでしか話したことなかったけど
  いろいろ話してみたら
  すっごく良い人だったー!
臣)……
♡)えへへ♡
臣)……


こんな顔で笑ったんだろうか。


酒も入ってて
なんかふにゃふにゃしてるし

こんな可愛い女が
目の前でずっと自分と話してて
可愛く笑ってたら

普通に、惚れない?


俺の考えすぎ?
俺、彼氏バカ?


臣)そもそも…なんでお前は
  Mちゃんに騙されたの?
♡)あ、そういえば…
  なんで嘘ついたんだろう…
  聞くの忘れちゃった…


そこ大事だろが!!

ったく…あの子は何考えてんだよ…


♡)交換条件…?とか言ってたけど…
  よくわかんないから
  また明日聞いてみるね!
臣)うん……


交換条件って…

??


♡を連れてくることが
合コンをする交換条件だったってこと?

じゃあ誰か、♡を連れてきてほしい人間が
いたわけで…

そんなの…「先生」しかいねぇじゃん。


彼氏がいるのわかってて
それでも合コンに連れてきてほしいって頼んで

狙い通り、♡を独り占めして
♡とずっと喋ってたってことか?


臣)……


え、なんかすげぇモヤモヤしてきた。
何その男。


♡)じゃあ私もお風呂入ってくるねー♡
臣)…っ


そう言って立ち上がった♡を
俺の腕は勝手に捕まえて、抱きしめてた。


♡)どうしたのっ?
臣)…っ
♡)私、くさいよー?
  お店の匂い、ついてるでしょ?
臣)……


そんなのどうでもいい。
抱きしめたい。


♡)お風呂入ってくるから
  綺麗になったらぎゅってしてー♡
臣)やだ。
♡)えっ!!
臣)もうちょっとだけ…
♡)……


後ろから抱きしめてるだけじゃ
足りなくなって

♡をこっちに向かせると


♡)わっ//
臣)え…?
♡)ちょ、もうやだっ//
臣)…っ
♡)お風呂入ってくるから!!///


♡はそう言って
俺の腕から逃げて
風呂場に走って行った。


臣)……


なんで…?
俺、しつこかった?


また「やだ」って言われた。


なんか…泣きそう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


びっくりしたよぉ///

臣くん、ずっと上半身裸なんだもん///


あんなんで正面からぎゅってされたら
ドキドキして死んじゃう!


ただでさえ…
最近、臣くん免疫が低下中なんだから…///



♡)はぁ…///



お風呂に浸かりながら
大きく息を吐いた。



今日は…
臣くん、疲れてないかな?


H…したいなぁ…


♡)……//


なんか、恥ずかしい///


私、おかしいのかな??
なんかエッチだよね!??

Hしたいなぁ、なんて…
わーーーん!!!///

ばかばかっ!
ごめんなさいっ!!


でも…


♡)////


そろそろ…臣くんが足りないんだもん。


家出から帰ってきて
やっと臣くんといっぱいぎゅむぎゅむできて

それだけですっごく満たされて、幸せだった。


幸せだったはずなのに…
昨日、あんなチューしたから

忘れてたドキドキに
一気に火がついて…


♡)////


ううん、忘れてたわけじゃない。

ずっと…
癒されるなぁっていう、安心感の方が強くて

それだけで満足してたけど…


やっぱり…
もっと触れ合いたい。


私、贅沢なのかな…///


そうだよね。
ワガママ言っちゃダメだよね…

臣くんは仕事で疲れてるのに。


昨日もあまり寝れなかったみたいだし
今朝の映画も、途中から爆睡してた。

やっぱり…
福岡のLIVEの疲れが
まだ残ってるのかなぁ…?


Hって…激しいもんね///
体力使うよね…
疲れちゃうよね…


♡)ううう///


臣くんが元気になるまで
我慢しなくっちゃ///


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡は風呂から上がってくると
すぐ俺のところに飛んできた。


♡)ぎゅーしよーー♡♡
臣)……


そう言って両手を広げるから
俺はそのまま、ほかほかの♡を抱きしめる。


♡)えへへー♡
  もうイイ匂いになったよー♡
  やっと思う存分、ぎゅーできるー♡
臣)……


俺のこと…
嫌なんじゃないの…?

どっちなのか、よくわかんなくて…


♡)ぎゅむぎゅむ♡
臣)……//


嬉しそうに
俺の胸にすり寄ってくるから

可愛くて…


♡)……
臣)…っ


♡が俺を見上げて
俺の目を、じっと見つめる。


♡)チューは…、いい…?//
臣)…っ///


え、何が…?

チューは…、って何?


何かよくわかんないけど
めちゃくちゃ可愛い…どうしよう///


♡)んーー///
臣)…っ///


え、え、目ぇ閉じてきた!

可愛い!!

ああああ〜〜〜////



チュッ…


♡)……
臣)……



軽く触れたキスの後に、
交わる視線。


♡の腕が…
俺の首にするりと巻きついて…


誘われるように、腰を抱いた。


♡)ん…、、

臣)…っ


こんなに身体を密着させて
キスを始めれば

もう止まらなくなりそうで…


ためらうように
唇だけのキスを続けてると


♡の柔らかい舌が
俺の唇に、小さく触れた。


臣)////


「もっと」って…催促されたみたいで…


ドクン…ッ


身体が一気に、熱くなった。



♡のそれを合図に
キスは次第に、昨日みたいな
深いキスに変わっていく。



♡)…ん…っ、…ぅ//
臣)…っ



触れる舌も唇も、
その全部が柔らかくて…気持ち良くて

夢中になるほど、息が上がってくる。



♡)…は…ぁっ//



もう…抱き上げて…
このままベッドに連れていきたい。


いいのかな…

触っても…



熱く絡み合うキスに
我慢の限界になった身体が


♡を欲しがってる。



臣)♡……



息継ぎと同時に、唇が離れた瞬間だった。


♡)もう…ダメだ…//
臣)え…?


♡の唇が、そう呟いた。



♡)もう…ダメ///
臣)…っ
♡)ごめんね…?///
臣)……


ごめんって…
何が…?

これ以上はごめんって、そういう意味?



♡)もう、寝よっか///



そう言って♡は
そそくさとベッドに向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



これ以上キスしたら、
我慢できなくなっちゃう…

臣くんが欲しくて…
おかしくなっちゃいそう…


♡)ううう///


恥ずかしい。


臣くんが疲れてるのはわかってたから
チューするだけのつもりだったのに


少しチューしたら
なんかもう…物足りなくなって

昨日みたいなチューが…したくなって…


もっと、って
無意識に求めたら

臣くんはそれに応えてくれて
キスはどんどん深くなった。


気持ち良くて…
何も考えられなくなって…


いつもだったら
このままHするのになって…

頭のどこかで期待したけど

臣くんは全然触ってくれないから

やっぱり疲れてるんだって…


これ以上キスしたら
私が我慢できなくなっちゃうから

途中で逃げてきちゃった。


♡)はぁ…///



私、臣くんのことが
大好きすぎるのかな…


今更だけど。

ずっとずっと大好きだけど。


こんなに触れたいって、
触れてほしいって…

物足りない気持ちになるなんて


臣くんが…足りないよぉ……



キィッ…


♡)あ…っ


バタン。



臣くんが寝室のドアを閉めた。



臣)ん…、、
♡)…っ


臣くんは後ろから私の頭をポンポンして
そのままベッドに入った。


臣)何してんの…寝ないの?
♡)あ、うん…//
臣)何ボーッと立ってんのw
♡)……//



臣くんに促されて、私もベッドに入ったけど

さっきのキスの余韻がまだ残ってて

臣くんの匂いに、ドキドキしちゃう。



臣)ん…、来ないの…?
♡)…っ


今くっついたら…
またキスしたくなっちゃう…


臣)……
♡)……


でも…やっぱりくっつきたい!!


ぎゅむぅっ///


臣)ははは、来た来たw
♡)ううう…///


臣くん…好き…

大好き。


♡)……


私ばっかり好きで…


♡)ごめんね…?
臣)…っ
♡)……


臣くんに…触りたいよぅ…


♡)ううう///
臣)……
♡)おやすみなさい…///
臣)……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


♡に「ごめんね」って言われる度に
胸が痛くなる。


応えられないから
「ごめんね」って言ってるんだろうけど

でも…それでもこうして
ぎゅってくっついてくるし

キスだってしてくる。


俺は…

♡が好きだし

抱きたくておかしくなりそうだし


でも、
「ごめん」って言われたら
無理矢理になんてできない。

♡が嫌がることなんて
絶対したくないし…


臣)……


♡は…なんで俺が嫌なんだろう。


俺のことが嫌いだとか
そういうんじゃないと思う。

普通に笑ってくれるし
Hを拒否られる以外は
別に全部、今まで通りだし…


Hだけが…嫌なのかな…


あ、でも…違うか。

さっきは…ハグだけでも
「もうやだ!」って…逃げられたし…


臣)…っ


ダメだ。

ほんと泣きそうだし…
♡がわかんない。



ふと腕の中の♡を覗けば
長いまつ毛を伏せて、スヤスヤ眠ってる。



臣)……



俺、どうしたらいいんだろ…




ーendー

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