とりあえずその寝顔をじっと見つめてみる。
…………可愛い…なぁ…。
こんな赤くなるまで飲んで。
…もしかして…俺のせいでヤケ酒した?
昨日のキス、どう思ってんの…?
怒ってんの?
ショックだったの?
♧にとっては初めてのキスだって
俺だってわかってたよ。
わかってたけど…
我慢できなかった。
いい加減な気持ちで…
したわけじゃない。
隆)ねぇ……、
「好き」だって、伝わんなかった…?
頬に少しかかる髪を
指先ですくうと…
♧が少しだけ動いた。
♧)んん……
すっぴん…だよね?
なんかいつもより幼い気がする。
肌…綺麗だなぁ……
ついついその頬を無意識に撫でてると…
♧)んん…、…っ
♧がまた動いた。
隆)ああ、ごめん。
♧)…ん…ぅ……
隆)布団で寝たら?
♧)ふ……、?
隆)ちょっと待ってて、敷いてあげる。
♧)…ふ…にゃ……
♧をそっと座布団の上に寝かせて、
押入れを開けた。
隆)…物少な…っ
ほんとに少ない。
綺麗に折りたたまれた
柔らか仕上げの良い匂いがする布団を
床におろした。
隆)ほら、こっちで寝な。
♧)ん…にゅ……
隆)……ww
完全に酔っ払いだな。
隆)ほら。
身体の下に手を入れて
抱きかかえようとすると…
♧)んぅ……///
♧が俺にぎゅーっとしがみついてきた。
隆)こら、酔っ払い///
可愛いからやめろ。
♧)むーこぉ……
隆)むーちゃんはもう帰りました。
♧)え…?
隆)俺はりゅーじ。
♧)りゅー…じ…くん…?
隆)そ!!
って言っても、わかってないだろうけど。
♧)隆二…くん……
隆)んー?
♧の顔を覗くと
バチッと目が合って…
♧)隆二…くん…///
隆)……///
え…、
俺って…認識してる…?
♧)隆二くん…、///
隆)////
そんな甘えた声で
目ぇウルウルさせて呼ぶな!///
なんか変な気持ちになりそうで、
少し距離を開けて、♧を座らせた。
♧)ねぇ……
隆)……
♧)どうして…キス…したの…?///
隆)…っ
真っ赤な顔のまま、
俺の目をじっと見つめる♧。
これ…
ちゃんと意識あるってこと…?
隆)どうして…って…
♧)ねぇ、どうして…?///
隆)……///
そんなの…
隆)わかんないの…?
♧)……
あんなに気持ち、込めたのに。
隆)ほんとにわかんないの?
♧)……///
♧はゆっくり俯いて…
♧)わかん…ないもん…///
そう呟いた。
隆)わかんないなら…いいよ。
♧)……っ
隆)もう寝な?
♧)……やだ。
隆)…っ
♧)教えて…?
隆)……///
ダメだ。
この目を見てたら、おかしくなりそう。
隆)酔ってる時に話すことじゃないから。
♧)…っ
隆)その話はまた今度。
♧)やだ…///
隆)……わがまま言わないの。
♧)酔って…ないもん…///
隆)そんな真っ赤な顔して何言ってんの。
♧)……おし…えて。
隆)…っ
♧が俺の腕にぎゅっとしがみついて…
♧)りゅ…じ…くん…///
隆)…っ
甘えた声で、俺の名前を呼んで…
♧)……
その指先で、俺の唇にゆっくりと触れて…
♧)やわ…らかい…///
優しくなぞられた瞬間…、
隆)…っ///
ドクン…ッ
身体に何か、走った気がした。
ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイ。
もう…これ以上…俺に…
♧)もう一回…キス…したいなぁ…///
隆)!?!////
これ以上…俺に…っ
♧)キ…ス……
隆)////
ダメ!!!!
無理ッッッ!!!!
ガバッ!!!!
隆)は…ぁ…っ///
俺は♧の身体をグイッとかわして
立ち上がった。
死ぬ…っ///
危なすぎる。
キスしちゃいそうだし
なんなら襲っちゃいそうだし、
自分を制御できる自信ない!!!
隆)俺、帰る!!///
こんな色気全開の酔っ払いと一緒にいたら
ほんと理性吹っ飛ぶ。
♧)…帰っちゃう…の…?///
隆)…っ///
ほら、だからそれ…、やめて。
その甘えた声も、甘えた瞳も。
隆)ほら、もう寝なさい!!
おとなしく寝なさい!///
♧の腕を引っ張りあげて
無理やり布団へ連れていった。
隆)はい、おやすみ!///
じゃあね!!
♧)……やだ…ぁっ…ぐす…っ
隆)!!???
な、泣いた!??!
慌てて振り返ると、
♧が背中から抱きついてきて…
♧)りゅ…じ…くん……
隆)…っ///
ちょ、ちょ、これ以上俺に…何する気!?
♧)ふにゃ……
隆)わっ、わっ、ちょっと!汗
俺に倒れかかってきた♧を、
慌てて支えて。
必死に心を落ち着かせて
布団まで運ぶと…
♧)隆二くん…帰っちゃ…やだ…///
隆)////
もう半分くらい寝てるくせに
そんな可愛いことを言う小悪魔。
他の女だったら…
誰にでも言ってんだろとか
思うかもしれないけど…
♧がそんな女じゃないのはわかってるし
そんなこと言う相手もいないだろうし…
ほとんど意識ないくせに
ちゃんと俺の名前を呼んでくれてるところが
可愛くて…
隆)もう…、///
♧に布団をかけて、頭を撫でた。
ずるいな、ほんと…。
隆)……
さっきはマジで…
どうなるかと思った。
ほんとに危なかった。
隆)もう…飲みすぎ禁止だからな、//
そう言って離れようとすると
にょきっと伸びてきた手が
俺のシャツをぎゅっと掴んで。
隆)え…っ
♧)…スーー…、スーー……
もう寝てるくせに、
しっかり掴んでる小さな手。
隆)……
これ…、
シャツだけ置いて、中身が帰ったら
朝起きて寂しがる…?
でも…
朝起きて中身もいたら
それはそれでびっくりするだろ、絶対。
隆)…どうしよう…。
しばらく固まって、困り果てて。
それでも俺のシャツを離さない♧に
仕方なく、添い寝を決意。
添い寝って言っても…
布団からはみ出て
そのまま横になってたんだけど
隆)ちょっと寒いからやっぱり入れて。
できるだけ起こさないように
静かに布団の中に入って
できるだけくっつかないように
端の端に身体を落ち着かせたのに…
♧)りゅ……じ……く……
♧がコロンと寝返りを打って
俺の肩にすり寄ってきて…
隆)////
俺は…
頼むからこれ以上くっつかないでくれって
それだけをひたすら祈って
生殺しの夜を過ごした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんだろう…
あったかい…
すりすり…。
気持ち…いいなぁ…
すりすり…。
なんか…優しい匂いがする。
この香水…
初めてじゃない。
知ってる匂い。
どこかで…
すりすり…。
「キスしていい?」
えっ?!
「こっちに、していい…?」
えっ!!!
わ、わ、わっ…
色っぽい瞳が…
どんどん近付いてきて…
わぁぁぁっ!!///
♧)…っ!!
……あれ?
目を開けると、……
なに?これ…
むに。むに。
腕…?
♧)え……??
事態を把握できなくて…
腕からゆっくり視線を上げると…
隆)……おはよ。
掠れた声で
私を見下ろす、隆二くんがいた。
♧)!!???
なっ、なっ、な?!!
△×〇※□!??
パニックで目がチカチカしてる私に…
隆)眠れた…?
隆二くんは優しく笑って
私の前髪をひと撫でした。
♧)////
一気に熱くなる、おでこ。
頭の中に飛び交う「?」マーク。
どうして隆二くんがいるの?
どうして一緒に寝てるの?
ずっと一緒にいたの?
私がさっき無意識にすりすりしてたのは…
隆二くんの…腕!??!
♧)////
隆二くんにキスされそうになる夢を
見てたから
どこまでが夢で何が現実か
境目がわからなくて、パニックが増す。
隆)何固まってんの…w
♧)…っ
隆二くんは…
自分の肘を枕にすると、こっちを向いて…
隆)♧…?
私の名前を優しく呼んで…
隆)まだ寝ぼけてんの…?
とろけそうに甘い瞳で微笑んで、
その綺麗な指先で
私の頬を少しだけ撫でた。
♧)////
ダメ…。
ついていけない。
この現状は一体なに…?!
寝起きの男の子って…
みんなこんなにセクシーなの!?
だって…
だって…
私こんなの、生まれて初めてだもん!!
隆)聞いてる…?w
クスッと笑う隆二くんの
優しい瞳を見ていられなくて
私はおでこの上まで
布団を引っ張り上げた。
♧)…どう…して…///
隆)ん…?
♧)隆二くんが…いるの…?///
隆)……
♧)……
返ってこない返事に、
少し不安になる。
隆)酔っ払いにつかまったから。
♧)……
酔っ払い…?
あれ…
そういえば私…昨夜は…
♧)むーこ!!
むーこと飲んでた!!
隆)むーちゃんはもう帰ったよ。
♧)えっ!!
記憶が…あやふやすぎて…
♧)どう…して…
隆)んー?
♧)……
隆二くんはいつ来たの?
ってゆーか…
♧)どうして一緒に…寝てるの?///
それが一番…びっくりで…
隆)酔っ払いにつかまったから。
♧)…っ
また同じ回答。
え…?
酔っ払いって…
私、なんかしたの!?
そういえばさっきは…
無意識にすりすりしちゃったけど!!
隆二くん…寝てたよね?!
♧)あの…、///
隆)んー?
♧)さっき…起きて…ないよね?
隆)……
♧)……
隆)♧が可愛く俺の腕に
すりすりしてた時ー?
♧)!!!!
起きてる!!!
隆)昨日からずっとだから
可愛いなーって思ってたけど。
♧)!!!!
昨日から?!!!
私ずっとすりすりしてたの!??
自分で自分が信じられなくて
思わず布団から顔を出すと…
隆)やっと出てきた…w
♧)…っ///
また優しい笑顔につかまった。
♧)わた…し…っ、そんなに…
すりすり…してたの…?///
隆)はははw
♧)////
隆)♧は酔うと甘えんぼになんの?
♧)////
そんな…優しい目で見ないで。
♧)…ごめん…ね?///
隆)可愛いからいいよ。
♧)////
隆)ただちょっと地獄だったけど。
♧)え…?
隆)シャワー借りていい?
♧)え?
隆二くんはそう言うと
ゆっくり起き上がって…
私のおでこに優しくチュッて
キスをして…
お風呂に向かった。
♧)////
バクバク…
バクバク…
男の子って…
寝起きはみんなあんなに優しいのかな?
私は全部初めてだから、わかんない。
♧)……///
それから…
隆二くんの香りがまだ少し残る布団を
なんとなく名残惜しい気持ちで片付けた。
♧)はぁ……、
一旦落ち着こう。
ええと…つまり…
昨日隆二くんはうちに来て…
むーこにも会ってて…
私は酔っ払って覚えてなくて…
むーこは帰ったけど…
隆二くんのことは
酔っ払って私が引き止めたってことかな?
なんて迷惑な大人なんだろう…
恥ずかしい!///
私…
酔ってそんなこと…したことないのに…!!
隆)♧ーーーーっ
♧)はいっ!!///
リバーブのかかった隆二くんの声に
思わず立ち上がった。
隆)バスタオル貸してーー
♧)!!!
そっか、そうだった!!
♧)はいっ!!
急いでバスタオルを持っていくと…
隆)ありがとw
そう言って少し扉を開けて
受け取った隆二くんの
肩の筋肉がチラッと見えて…
♧)////
私は慌ててそこから離れた。
私……
あの腕に、すりすりしてたの…?///
隆)はぁ、スッキリしたーー
♧)きゃぁぁっ!///
隆)えっ……
上だけ裸のまま戻ってきた隆二くんに
思わず叫んでしまった。
♧)ふ、ふ、ふく…っ
はだ、はだ、はだ…かっ///
隆)ああ、ごめん、暑くて。
♧)////
男の人の裸、
こんな近くで…見たことない…。
固まって動けなくなった私を
隆二くんはひょいっと覗き込んで…
隆)ぶは、可愛い…w
触る?w
そう言って笑った。
♧)?!!///
触るって何!?
この人、何言ってるの!??
触るって…
触るって…
♧)////
私が意識してることは、バレバレみたい…
余計恥ずかしい///
隆)今ツアー中だから
ちゃんと鍛えてるよー?
♧)……
ん…?
♧)ツアー…中…?
隆)!!!
あれ、なんか自分で言ったのに
驚いてる。
隆)間違えた!なんでもない!!
違う違う!!!汗
♧)……??
隆)と、とにかく…鍛えてるからってこと!//
♧)……
それは…
さっきからチラチラ見てるのでわかります。
隆)……わっ♡
♧)きゃぁぁ!!///
いきなりガバッと抱きしめられて
隆二くんの生、生、生肌の感触が…っ
死んじゃうっ!!!
♧)やだっっ///
隆)え…っ
恥ずかしくて、顔から湯気が出そう…
隆)やだって…ひどくない…?
シャワー入ったから綺麗だもん。
♧)……///
綺麗だからとか
そういう問題じゃないもん!
♧)わた…しっ…、免疫ないから…
そーゆーの…やめてっ///
隆)……
ほんとに死んじゃう。
隆)さっきまですりすりしてたくせに。
♧)さっき…は…っ
裸じゃなかった…もんっ!///
隆)じゃあ服着たらいいの?
♧)え…っ
隆)服着たらまたすりすりする?
♧)…っ///
そういう問題じゃ…
♧)私…っ、ほんとに…
ちょっと今…ずっと…パニックなのっ!
隆)……
♧)こんなの…生まれて…初めてで…
隆)……
頭がついていかない。
♧)そんな裸なんか…見たことないし…っ
隆)そんな裸って…w
♧)男の人がうちに泊まったのなんて
今まで一度もないし…っ
隆)……
♧)誰かと一緒に寝たのなんて…
人生でむーこだけだもんっ!!
隆)……
♧)朝起きて…
男の人が…目の前にいるなんて…
そんなの…
初めてすぎて…
♧)……///
それ以上、私が喋れなくなると…
隆二くんはようやくTシャツを着てくれて…
隆)俺だって初めてだよ。
そう言った。
♧)……え?
初めてって…
隆)こんな風に添い寝したのは
初めてってこと。
♧)……
よく…意味がわからないけど…
隆)昨日のこと、何も覚えてないの?
♧)…っ
私をじっと見つめる、隆二くんの瞳。
向かい合って座ってる私との距離を
詰めてきて…
♧)…っ!
私の唇に、指先でスッと触れた。
とっさに、またキスされるのかと思って
一気に暴れ出す心臓。
♧)////
隆二くんは…
私の唇を見つめたまま…
隆)こうして…
キスしてって言ったの、覚えてないの?
そう言った。
♧)……
キス…して…?
……こうしてって…
え…?
言ってる意味が全然わからなくて
思考が止まる。
隆)俺とキスしたい、って…。
♧)……
え…?
♧)……///
私が…そんなこと言ったの…?
♧)…わた…し…昨日は…
ほんとに酔ってて…
隆)酔っ払いーーー
♧)……///
どうしよう。
いつも酔っ払って
男の人にそんなこと言ってる女だと思われたら
すごく嫌。
♧)初めてだからっ!!
隆)え…?
♧)私…、そんな風に…酔ったことないし…っ
信じてくれないかもしれないけど…
♧)昨日は…っ
隆)わかってるよ。
♧)…っ
またふわっと、抱きしめられた。
隆)全部、初めてなんでしょ?
♧)……///
優しい声。
♧)……(こくん)
隆)全部俺が、初めてなんでしょ?
♧)……(こくん)///
隆)はぁ、もう…///
♧)////
ダメな私を許してくれるみたいに
隆二くんの手が頭を優しく撫でてくれる。
隆)俺、さ…、
その時だった。
ピロピロ♪ピロピロ♪
隆二くんの携帯が鳴って…
隆)ああ…迎え来たんだ…やべ。
迎え…?
って、なに??
隆)今日仕事ちょっと早いんだ。ごめん。
♧)……
仕事で…
お迎えが来るの?
隆)あと…
今週、結構夜の仕事多くて…
川に行けないと思う。
♧)…っ
その言葉が、どうしてだろう。
なんだかすごく寂しくて…
隆)あーー、そんな顔しないで///
またぎゅっと、抱きしめられた。
隆)そんな顔されたら、期待する///
♧)////
私…
「寂しい」って…顔に出てたの…?
隆)LINEも電話もするから。
♧)……///
隆)…じゃあ…行くね。
♧)……(こくん)
なんか…
帰ってほしくない。
私…覚えてないけど…
昨夜もこんな気持ちで引き止めたの…?
隆)それじゃ…。
♧)……うん。
玄関で靴を履いた隆二くんは
私をじっと見て…
隆)……やっぱり…
もう一回抱きしめてもいい?///
少し照れたように、そう言った。
♧)////
その言葉が嬉しくて、
私は隆二くんの胸に飛び込んだ。
隆)わっ、びっくりした!
♧)……///
ぎゅぅぅぅ。
隆)え、ちょ…っと…、なに…///
♧)……///
隆)……///
♧)……///
隆)そんな可愛いこと…しないで///
♧)////
だって…
だって…
隆)ああ…もう…、、
すっげぇ離したくないけど…
♧)……っ
隆)…行って…きます。
♧)……うん。
隆二くんからそっと離れると…
チュッ。
ほっぺに触れたキス。
♧)////
びっくりして、隆二くんを見つめると…
隆)んーーー、こっちも!///
チュッ!!
もう片方のほっぺにも、キスされた。
♧)////
ドキドキ…ドキドキ…
隆)じゃあ行ってきます///
♧)行って…らっしゃい…///
……バタン。
そのまま…
隆二くんの足音が遠ざかっていくのを
聞きながら…
私はしばらくそこから動けなくて…
♧)……///
ほっぺに触れた、唇の感触とか…
抱きしめられたあたたかさとか…
隆二くんの優しくて甘い声とか…
全部全部、一人で反芻しながら
我に返った。
♧)仕事!!!!
ー続ー
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キュンキュン♡キュンキュン♡キュンキューン♡、、、以上♡笑