[109]謝らなくていい(隆二&♧Side)

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♧)眠い……

 

結局一睡も出来なくて
なのに朝になったら急に襲ってきた眠気。

 

♧)仕事…行かなきゃ…

 

支度をして自転車に乗ると
朝の生温い風が、肌にまとわりついた。

 

♧)……

 

昨夜からずっと消えない。

頭の中から消えない。

 

隆二くんの…

キ、キ…、…キ……、、

 

♧)////

 

ダメだ……

私今日、仕事になるのかな。

 

子)せんせーーっ!!
  あそぼーーっ♡
♧)はいはいw
子)せんせー!
  みつあみさせてぇっ!!
♧)三つ編み??
  出来るようになったの?
子)きのうれんしゅうしたら
  ちょこっとだけできたの!
  やらせてーー!♡
♧)はいはい、どうぞ♡
子)せんせい!えほんよんでー!
♧)はーい!

 

私の脳内が
いくら隆二くんのキ、キ…、……

それで…いっぱいでも、

子供達には関係なくて。

 

みんなお構いなしに
じゃれついてくる。

 

子)あのねぇ、ママはねぇ
  らいしゅうりゅーじにあうのっ
♧)ん?!!

 

お絵描き帳を広げながら
一人の子供がそう言った。

 

♧)りゅうじ…?

 

ダメだ。

ただでさえ私の頭の中は今、
隆二くんでいっぱいなのに…

 

子)あのねっ、しゃいたま!
  すーぱーありーなだよ!
♧)んん??
子)しゃんだいめのライブがあるの!
♧)三代目…?

 

…って、あのジョギングマンの人たち?

 

子)ママはりゅーじがだいすきなの!
♧)りゅうじ……
子)パパよりだいすきなんだってぇ!♡
♧)……えっと…
  三代目にりゅうじって人がいるの?
子)そうだよ!!
♧)どんな…人…?
子)かいてあげるねっ♡
♧)う、うん。

 

その子がお絵描き帳に書いてくれたのは…
目と鼻がかろうじて輪郭の中におさまった
人の顔。

 

子)りゅーじはおひげがあるのー!♡
♧)ヒゲ…!!

 

まさか…

 

いや、まさか、ね。

隆二は別に…珍しい名前じゃないし…

 

子)せんせいっ!
  みつあみできたよぉ!!
♧)わぁ!上手!すごいね!!
  ありがとう!!
子)うれしーい?
♧)うん、とってもうれしいな♡
子)えっへへ///

 

そうこうしてる間に
気付けばもうお昼寝の時間。

うっかり子供たちと一緒に
私まで爆睡しちゃって…

 

女)♧先生、疲れてるんですかー?w
♧)えっと…昨日寝てなくて…
女)くすくすw
  珍しいですね♡
♧)……///

 

珍しい。

だって私の人生に今まで
こんなこと、なかったもん。

 

だって…

だって…

あんな…

 

♧)////

 

ダメだ!!!

私もう、無理!!!

 

一人じゃ抱えきれない!!!

 

♧『むーこ助けてぇっ!死んじゃうっっ』

 

仕事が終わって
半泣き状態で電話をかけると

すぐに家まで飛んできてくれた
私の親友。

 

その手にしっかり、
アルコールとおつまみを大量に持って。

 

む)はい、カンパーーイ♡
♧)……うう。
む)たっぷり聞いてあげるから。
  なんなのその泣きべそはw
♧)だって……
む)今市隆二と何があったのよ。
♧)え?!!

 

なんで……

 

♧)私、隆二くんだなんて一言も…
む)はー?
  じゃあ今更瞬くんの話?
♧)今更ってなに!

 

瞬くんへの気持ちに
区切りをつけられたこと、
むーこにはまだ話してないのに!

 

む)なによ。
  じゃあ今日はあたしは
  瞬くんの話か、今市隆二の話、
  どっちかしか聞きません。
♧)えっ!!
む)どっちの話を聞いて欲しいの?
♧)……
む)……
♧)…隆二…くん……
む)ほら。
♧)……

 

むーこのいじわる……

どうしてわかるの…?

 

む)今市隆二がどうしたのよ。
  告白でもされたの?
♧)こっ!!ち、違うよっ!///
む)じゃあ何。キスでもされた?
♧)////

 

もしかして…
むーこもエスパーなの…?

 

む)え、ちょ、マジ?!当たり!??
♧)……///
む)うっそ!///
  あの今市隆二が
  一体どうやってキスしてきたの!!
  詳しく話して!!!
♧)…っ

 

どうしてむーこが
こんなに興奮してるんだろう…

 

♧)どうしてフルネームなの…?
  今市隆二って…
む)あ、ああ…、それは…
  まぁいいじゃない!
♧)……?
む)で?どんなキスだったわけ?
♧)どんな…って……
む)……
♧)////
む)そんな赤面するくらい
  どエロいキスだったの?///
♧)////

 

そんなの…
思い出しただけで……

 

シュゥゥゥゥ………///

 

む)ちょっと!w
  顔隠してないで話しなさいよ!w
♧)……///

 

だって、溶けちゃいそうになるんだもん。

私こんなの…初めてなの。

 

隆二くんの…キ、キ、…キス…は…

すごく優しくて

優しくて…優しくて…

柔らかくて…

 

それだけで、
「好き」って…言われてるみたいに…

本当に優しくて。

 

♧)私…、生まれて初めての
  キスだったんだよ…?
む)うん。ファーストキスおめでとう♡
♧)おめでとう…なの…?
む)だって…
  ♧がそんな泣きそうになるくらい
  甘〜いキスだったんでしょ?
♧)……///

 

思い出しただけで、
頬が熱くなって、目が潤んでくる。

キスしたら…
みんなこうなるの…?

 

♧)はぁ…、死んじゃう…///

 

心臓が、バクバクいってる。

 

隆二くんに…
抱きしめられてる時みたい。

 

私を抱きしめてくれる隆二くんは
すごく優しくて、あたたかくて…

笑った顔はいつも
ふにゃんって柔らかくて
綿あめみたいなのに…

 

私の唇をなぞる隆二くんは
全然違った。

すごく色っぽくて…
なんだか…エッチで…

 

♧)////

 

隆二くん、あんな顔…するんだ…。

 

む)あの今市隆二が
  そんな色気全開で本気出してきたら
  そりゃーノックアウトされるわ。
♧)え…?
む)いやーー、さすがだね。
♧)???
む)で、結論としては…
  今市隆二と付き合いましたー♡
  って報告でいいのかな?
♧)は?!
  違うよ!付き合ってないよ!!
む)はー?チューしたのに?
♧)…っ、だって……

 

私、逃げて来ちゃったし…

それに…

 

隆二くんに好きだとか
付き合おうだなんて…

何も言われてない。

 

♧)……どうして……

 

どうして隆二くんは私にキスしたのかな。

 

私は…
恋愛経験も免疫も全然ないから

あんなキスされたら、
もう脳内パンクしちゃうし…

キスが優しすぎて、
勝手に「好き」って言われてるみたいな
気持ちになって…

 

♧)……///

 

なんか、恥ずかしくなったきた。

私ばっかり勘違いしてたら、どうしよう。

 

む)♧はどう思ってるの?
  今市隆二のこと。
♧)…っ

 

どうって…

私は……

 

♧)初めての…なんていうか…
  特別な…人。
む)うん。
♧)私…今まで…男友達もいなかったし…
む)うん。
♧)だから…すごく特別なんだけど…
む)……
♧)自分でもよくわからない。
む)……

 

隆二くんのことは大好きだけど

瞬くんを大好きだった気持ちとは
全然違う気がするし…

それに私、
瞬くんを好きだった気持ちに
やっとけじめをつけたばっかりだし…

 

♧)混乱してきちゃった…っ
む)あはははw
  なんで泣きそうなのw
♧)なんか…
  いっぱいいっぱいで…
む)うん。
♧)……
む)でも…♧は……
  今市隆二のほっぺにキスするのも
  嫌じゃないし…
  抱きしめられるのも
  嫌じゃないんでしょ?
♧)…それ…、隆二くんにも…言われた。
む)で、昨夜キスされたのも、
  嫌じゃなかったんでしょ?
♧)……

 

だって…

あんなにあんなに、優しいキス。

 

嫌な人なんて…いるの?

 

♧)愛しいって…
  伝わってくるみたいな…キスだったの…
む)うん。
♧)でも…私は…初めてだから…
  勝手にそう思っちゃったのかも…
む)……
♧)わかん…ない…。
む)「愛しい」って思いながら
  してくれたキスだったら…、嬉しい?
♧)え…っ
む)……

 

そう言われて、考えてみたら…

 

♧)////

 

また頬が焼けるように熱くなった。

 

♧)もうっ、ちょ…っと、許容オーバー!!
  無理…っ!飲むっ!///
む)あはは、飲め飲め〜w

 

新しい缶チューハイを勢い良く開けて
喉に流し込んだ。

 

なんかもう、本当にいっぱいいっぱいで。

次々開けるお酒は、
気付いたら6本目になっていた。

 

♧)だからね、瞬くんは
  彼女と結婚して幸せになってほしーの♡
む)瞬くんの話はもういいってばーー
♧)ひどいっ!聞いてよぉ!
む)最後にリクエスト歌ってもらえて
  良かったね、ハイハイ♡
♧)もぉぉ……

 

本当に素敵だったんだから。
瞬くんの歌。

 

♧)〜♪Baby with U 何気ない
  Baby with U 今日の日が♪〜
む)ねぇ、今市隆二はさぁー
♧)隆二くんの話はいいのっ!///
む)なんでよ。
♧)禁止っ!///
む)あ、携帯鳴ってるよ。
♧)…っ

 

LINEの音。

ロックを解除すると…

 

隆『今日はいる?』

 

隆二くんからだ。

 

♧)……

 

今日は…いないもん…っ///

 

ポイッ!

 

む)あ!携帯ぶん投げた!w
♧)いーのっ///
む)今市隆二じゃないの?
♧)ち…がうもん…っ
む)嘘つき。
  なんてきたの?
♧)知らない。
む)あ、また鳴ってるよ。
♧)…っ

 

……携帯を拾いに行って
画面を開くと…

 

隆『会いに行っていい?』

 

また隆二くん。

 

♧)……///

 

今日は川にはいないもんっ!

 

ポイッ!

 

む)こら!返事してあげなさい!
♧)やっ!

 

また新しく、お酒を開けた。
プシュッといい音がして、甘い匂い。

 

♧)はぁ、おいし…♡
む)酔っ払い。
♧)まだ酔ってないもんっ!
む)あんたそんな強くないでしょw
♧)酔ってないも〜〜ん!
  べびうぃーずゆぅーー♪
  君となら〜〜♪
む)はぁ、もう…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

送ったLINEはどっちも既読になったのに
返事が来ない。

 

来ないから仕方なく
いつもの差し入れを持って
いつもの場所に向かったけど、
そこに♧の姿はなかった。

 

隆)……

 

俺…、避けられてんのかな?

 

ちゃんと…話がしたくて…
昨日のこと。

 

泣かせたことは反省してるし…
怒ってるなら謝りたいんだけど…

返事も来ないし
このまま避けられ続けて
会えなかったらどうしよう。

 

そんなん、絶対やだ!!

 

隆)よし。

 

こうなったら直接電話しよう。

 

意を決して、コールして…
長いコール音のあとに聞こえたのは…

 

♧『あれぇ…間違えて出ちゃったぁ…』

 

そんな♧の声だった。

 

隆)……

 

間違えて出ちゃったって…
ひどくない?

てゆーか、何そのふにゃふにゃの声!

 

『誰よ。』

♧『わかんなぁい…ポイッ♪』

『あ!こら!!!』

 

これは…むーちゃんの声??

 

む『ちょ、もしもし??』
隆『もしもし。』
む『ああ、やっぱり隆二くんだ。』
隆『むーちゃん?』
む『うん、ごめんね。
  今…♧、酔っ払ってて。』
隆『……』

 

マジか。
だから返事来なかったのかな。

 

『隆二くんのばーーーかっっ』

 

は?!!

 

むーちゃんの後ろから聞こえた、
♧の声。

 

『ばーかばーかっ!』

 

む『ちょ、やめな、バカ!w
  ごめんね、ほんと酔っ払ってて…』
隆『……』
む『たぶん今あたしが電話してるのも
  わかってない。』
隆『……』

 

バカバカって連発されたけど…
やっぱり怒ってるってこと…?

 

『隆二くんに……会いたい…な…ぁ……』

 

隆)!!??

 

は?!!

今なんて言った!?

俺の空耳??

 

隆『今会いたいって言わなかった?俺に!』
む『言ったねぇ…w』
隆『え、え、…っ』
む『さっきから何回か言ってるけど…』
隆『えっ!!』
む『酔っ払いのたわごとだから気にし…』
隆『会いに行っていい?!』
む『はい??』
隆『今から行く!!』
む『いや、ちょっ…』

 

ピッ!

 

俺は急いでキーを取って駐車場に降りた。

 

会いたいって言ってた。
俺に。

酔っ払いの戯言でもなんでもいい。
嬉しいもん。

 

俺のこと…
どう思ってんの…?

もう好きなんじゃないの?

好きになってよ。

 

焦る気持ちで車を走らせて、
すぐに辿り着いたアパート。

一軒だけ異色を放つ頑丈な扉。
チャイムを鳴らすと
開けてくれたのはむーちゃんだった。

 

隆)こんばんは…
む)こんばんは…
隆)入っていい?
む)いいけど…なんで来たの?
隆)えっ!

 

なんかまずかった?

 

む)あの子酔っ払いだから
  話になんないよ?
隆)えっ…、そんなにひどいの?
む)うん。もう寝ちゃいそうだし。
隆)えーーー

 

そう言われて中に目をやれば
クッションを抱きしめて目を閉じてる♧の姿。

 

隆)…お邪魔…しまーす。

 

そーっと歩いたけど
それでも軋む床の音に、♧が目を開けた。

 

♧)あれ……りゅーじくんだ……///

 

顔真っ赤だな…w

 

♧)ほんものみたいな人だぁ…
隆)いや、本物だからw
♧)ふふ…っ♡
隆)////

 

酔っ払ってても
笑顔の破壊力は衰えず。

 

テーブルの上には空き缶が散乱してる。

 

隆)こんなに飲んだの??
む)うん。♧が明日は休みだからって。
隆)あ、休みなんだ。
む)あたしは仕事だけどねw
隆)ああ…w
む)隆二くんも飲む?
隆)あ、ううん、俺車で来たから。
む)そっか。
隆)うん。

 

…こりゃー酔っ払うわけだ。

むーちゃんが空いた缶を片付けてくれて
俺が♧の隣に座ると…

顔を真っ赤にさせた♧が
こてんと俺の肩に頭を乗せた。

 

隆)……//
♧)ねぇ…むーこ…ぉ…
隆)俺むーちゃんじゃないよ、りゅーじ。
♧)……
隆)……
♧)べびうぃーずゆーーぅ
隆)えっ!

 

いきなり歌い出した!

 

♧)きみとならぁー
  べびうぃーずゆぅーーー
  いつまでーもーー
隆)ん?

 

これって…

 

む)まーた歌ってる、それw
  どんだけお気に入りなのw
♧)だって…
  瞬くんが…歌ってくれたんだもん♡♡
隆)……

 

目は閉じたままなのに
すごく嬉しそうに笑う♧に

なんだかモヤモヤ。

 

♧)瞬くん…素敵だったなぁ…♡
隆)……

 

それを俺の肩にもたれて言うあたり、
鬼だよね。

 

む)これ確か三代目の歌だよね?w

 

むーちゃんが少し気まずそうに
苦笑いをした。

 

隆)うん。

 

♧は気持ち良さそうに、目を閉じたまま。

 

瞬くんがどんな風に歌ったのか知らないけど…
これは俺たちの歌だし…っ

 

なんか謎の闘争心が湧いてきて…

 

隆)〜♪Baby with U 君となら
  Baby with U いつまでも
  このまま変わらずにいられる♪〜

 

俺が歌い出すと、
♧は目を覚まして
俺の肩から頭を起こした。

 

隆)〜♪I will show U この胸に
  Let me show U ただひとつ
  確かなものがあるとすれば
  そう I’m in love with U♪〜

 

俺が歌い終えると…

 

♧)…っ

 

♧は目をウルウル潤ませて
俺の腕をガッシリ掴んできて…

 

♧)…っ///
隆)?!///

 

そんな目で…見んなよ…

 

♧)隆二くん…すごい…///
隆)え…?
♧)なんかもう…
  隆二くんの…歌みたい…///

 

いや、俺の歌だし!!

 

♧)もっと聴きたい…///
隆)え、ちょ…っ

 

♧が俺の方に身を乗り出してきて…

 

♧)ね、もっと…歌って…?///
隆)…っ///

 

ちょ、ちょ、近い!!///

 

♧)ね、隆二…くん……
隆)わ、わ、わっ!!

 

ドサッ

 

隆)……

 

押し倒されました。

しかも…

 

♧)スーー…スーー…

 

寝てるし!!!!

 

む)ぶくくくくw
隆)…むーちゃん…笑いすぎ…///
む)だって…ww

 

なんなんだよ、もう。
振り回されっぱなしかよ、俺。

 

む)歌で落とすなんてずるーいw

 

♧の身体を抱き起こして
膝の上に寝かせた俺に、

むーちゃんがからかうように言った。

 

隆)別に…そういうんじゃ…///
む)まぁいいんじゃない?
  使える武器は最大限に使わないとね♡
隆)……///

 

むーちゃんには俺の気持ちは
バレバレみたいで…

この間、初めて会った時も…

 

「♧、死ぬほど鈍いと思うけど頑張ってね♡」

 

帰り際、そう言われた。

 

む)はい、どーぞ。
隆)ありがとう…

 

出してもらったお茶を
一口飲もうとしたけど、

 

む)いきなりチューするとかやるじゃん。

 

その言葉に、吹き出しそうになって
めちゃくちゃ焦った。

 

隆)ごほっ、ごほっ!///

 

女子はなんでそう話が早いんだ?!

 

隆)えっと…///

 

さすがに恥ずかしい。

 

隆)♧…、やっぱり…怒ってた…?
む)え?
隆)……
む)……

 

今は俺の膝の上でスヤスヤ寝てるけど…

昨日は…泣いてたし…

 

隆)ちゃんと…謝りたかったんだけど…
む)なんで謝んの?
隆)えっ…
む)謝らなくていいでしょ。
隆)…っ

 

だって…
泣かせたから…

 

む)そんないい加減な気持ちで
  キスしたの?
隆)違う!!
む)……
隆)…っ
む)だったら謝る必要なくない?
隆)え…っ

 

そ、そんな…単純な話…?

 

む)下手に謝ったりしたら
  つい出来心で手ぇ出しました〜〜
  みたいに聞こえるけど。
隆)そんなんじゃないよ!!

 

慌てて即答した俺に、

 

む)わかってるよw

 

むーちゃんは大人の余裕で
笑って見せた。

 

隆)そんなこと…言ってたの…?
む)え?
隆)♧。
む)……
隆)俺が出来心でキスしたと思ってんの?
む)さぁ?
隆)…なんか…言ってた?
む)さぁ。
隆)…なんで…教えてくんないの。
む)意地悪だから。
隆)なにそれ!
む)あはははw

 

むーちゃんはべぇっと舌を出して
イタズラに笑った。

 

隆)むーちゃんは協力してくれるんだと
  思ってたのに…
む)あたしそんなこと
  一言も言ってないもん♪
隆)意地悪だ。
む)だって一生懸命な隆二くんが
  可愛いんだもんw
隆)面白がってるでしょ。
む)うん♡
隆)……

 

なんの悪びれもなく笑うから
憎めない人。

 

む)じゃああたし、そろそろ帰るから
  あとは二人でごゆっくり♡
隆)え?!!

 

置いてく気!??

 

隆)俺は…どうすれば…
む)好きにすればー?
隆)えっ!
む)置いて帰るなり、泊まっていくなり。
隆)とっ?!

 

泊まるって…!!

 

む)じゃーねん♡
隆)ちょ、ちょっと待ってよ!
む)あ、そーだ、
  今度ほんとにカラオケ行こうね♡
  さっきの歌、感動しちゃった♡
隆)それは…どーも…//

 

そう言って、
笑顔で帰って行ったむーちゃん。

 

♧)スーー…スーー……

 

膝の上では相変わらずスヤスヤ眠る♧。

 

隆)……

 

どうしよう。

 

 

ー続ー

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  1. ほのか より:

    もう、このstory読むの日課です笑
    これからも更新待ってます!

  2. のんちゃん より:

    隆二君って、また、臣くんとは違った大人の色気があって本当大人って感じ。ニャンちゅうスマイルで優しい感じだし。恋愛も、実際は、歳上のお姉さまってイメージあるけど、天然の♧ちゃんの可愛い感じも好き(^_^)このストーリーの隆二君の優しい感じ好き(^_^)今後の展開と、岩ちゃんの暗黒期が気になる(>_<)

    • マイコ より:

      臣くんと違った色気……!┣¨‡ (♡°ω°♡)┣¨‡
      そう言ってもらえて良かった(❁´ω`❁)

  3. Hamayu より:

    こんな隆二君であって欲しいな…
    そんな願望をガッツリ描いてくれてますこれからの展開が楽しみ過ぎて、ついついポチッと(笑)

    • マイコ より:

      なんと嬉しいお言葉…。゚(゚´ω`゚)゚。ありがとうございます!!
      そしてポチもありがとうございます!笑

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