[105]初恋の終わり(♧Side)

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ついにやってきた、日曜日。

瞬くんが彼女と施設にやってくる日。

 

ありえないことに、私は寝坊した。

 

少し緊張してて
あまり眠れなかったのもあって
起きたのは10時過ぎ。

 

慌てて用意をして
自転車を必死に漕いで、施設に向かった。

 

♧)はぁっ、はぁっ、はぁっ

 

自転車を庭先に放り投げて
扉を開けると

玄関にまで聞こえてきた、彼の歌声。

 

♧)…っ

 

もう、始まってる。

 

急いで食堂へ向かうと
ちょうど曲の終わりだったのか
みんなの拍手が鳴り響いていて…

 

小学生の女の子が私に気付いて
抱きついてきた。

 

子)♧姉ちゃんっ、遅いよぉ〜
♧)ごめんね、寝坊しちゃって…っ
子)今日ね、瞬兄ちゃんが
  お姫様みたいな人、連れてきたよぉー
♧)…っ

 

その言葉に、心臓がドキッと音を立てる。

 

子)すっごく可愛いの!
♧)…っ

 

ゆっくりと顔を上げると…

 

瞬)あ、♧さん!!

♧)…っ

 

彼が笑顔で、私を見つけて…

 

子)あ!♧姉ちゃんだー!
子)遅かったじゃん!どうしたのー!
子)早く!こっちこっち!
♧)…っ

 

子供たちに手を引かれて

前の方に進むと…

 

瞬くんの隣でニッコリ微笑むのは
本当にお姫様みたいに、可愛い女の子。

 

♧)…っ

 

こんな可愛い子、見たことない。

私の人生で出会った中で、
一番可愛い女の子かもしれない。

 

本当にお姫様みたいで
私は息をするのも忘れてた。

 

瞬)♧さんやっと来てくれたから
  あれ歌おうかな。
♧)…っ
女)じゃあ私はこっちで見てようっと♡
瞬)うん、休んでてw
女)はーい♡
♧)……

 

お姫様が…
私の隣に移動してきて…

 

瞬)じゃあ、♧さん
  ちゃんと聴いててね、へへっ///
♧)…っ

 

私、なの…?

このお姫様に歌うんだよね…?

 

瞬くんはギターを構えて
メロディーを奏でると

私を見て、ニコッと笑った。

 

瞬)『君となら』って曲です。
女)え、三代目??
瞬)うん。
女)えーー!やったーー!
♧)…っ

 

瞬くんの彼女は
嬉しそうに笑って…

瞬くんはゆっくり目を閉じた。

 

♧)……

 

彼女に歌うんだとしても
私がリクエストした曲を歌ってくれるんだ。

ちゃんと聴きたい。

 

そう思って、私は目の前にいる瞬くんを
真っ直ぐに見つめた。

 

聴いたことのないその曲は
なんだかふわふわと優しいメロディーで…

 

瞬)〜♪Baby with U 何気ない
  Baby with U 今日の日が
  このまま続きますように♪〜

 

雲の上でゆらゆら揺れてるような
心地良さ。

 

瞬)〜♪I will show U 大切な
  Let me show U 君に今 誓うよ
  たとえ何があっても
  I’ll always be with U♪〜

 

歌詞は、大切な人を思うラブソング。

 

瞬)〜♪時は流れるけど
  「永遠」という言葉も
   信じられる 君となら♪〜

 

瞬くんの口からこぼれる愛の歌詞は
そんな風に愛される彼女が
羨ましくなるような

そんなあたたかさを持っていて…

 

曲が終わると、また拍手が
食堂に鳴り響いた。

 

瞬くんは彼女じゃなく、私を見て
少しはにかみながら…

 

瞬)なんか…照れますね///

 

そう言って、恥ずかしそうに笑った。

 

男)よーし、じゃあそろそろ
  お昼にしようか!
女)瞬くんと♡ちゃんも食べて行きなさい♪
瞬)え、いいんすか?やったー!
♧)……

 

♡ちゃんっていうんだ…
瞬くんの彼女。

 

♡)私も食べていいのかな…ドキドキ…
♧)…っ

 

私の顔を可愛く覗いてきて…

 

♧)はい、ぜひ良かったら。

 

私がそう言うと

 

♡)嬉しい♡わーい♡
  ありがとうございます♡
♧)////

 

すっごく可愛い笑顔で喜んでくれた。

 

この子が…瞬くんの好きな人。

 

歳は…瞬くんと同じくらいかな?
ううん、もっと年下かも。

 

瞬)♧さん!こっちこっちー!

 

瞬くんが嬉しそうに手招きしてくれて
私はなぜか瞬くんとその彼女と
3人でテーブルに座った。

なんだろう、これ。

 

♧)……

 

でも…
少し前の私なら
パニックで泣いてたかもしれないけど

そんなに心が傷ついてないのは
どうしてかな。

 

子供達がみんな
食事のトレイをテーブルに置くと
おじさんの掛け声でいただきますをした。

 

♡)わーい♡いただきまーす♡
♧)……
♡)お昼は瞬に何かおごらせようと
  思ってたんだけどなw
瞬)なんでだよ!w
♡)だってこの間は私が出したでしょー!
  次は瞬の番だもーん!
瞬)ああ、はいはいw
  じゃあ今度マックな。
♡)マックなんかやだー!
瞬)そんなこと言ったら
  山下さんに怒られるぞ!
♡)…はっ、そうか…ごめんなさい。
瞬)ははははw
♧)……

 

なんだか…
すごく仲良しなんだな。

そうだよね。
結婚するんだもんね。

 

瞬)ね、♧さん、さっきの歌、知ってた?
♧)あ、ううん、初めて聞いたけど…
  すごく素敵な曲だね…///
瞬)でしょーーw
♡)なんで瞬がドヤるの。
瞬)だってさー、
  俺、♧さんからリクエストもらって
  絶対三代目の中から
  選ぼうって思ったんだもん♪
♧)三代目…

 

さっきも言ってた。

確か…

 

♧)ジョギングマンの人たちだよね?
瞬♡)ぶっっ

 

私のその言葉に、大笑いする二人。

 

瞬)ジョギングマンて!!www
♡)あはははっっww
瞬)それこそ山下さんに怒られるよ!
♡)ほんとだ!ww
♧)……///

 

あれ?違ったっけ…?

 

瞬)ランニングマンね!
♧)…あっ、そうだった!///
♡)はーー///
  ♧さん面白い…ww
瞬)♧さんは彼氏いるんですか?
♧)?!!!!

 

え!!!!!!
今の流れでいきなりどうしてそうなるの!!

 

♧)い、い、いないです///
瞬)あ、そーなんだ。
♧)ど、ど、どうして…
瞬)いや、あんなリクエストしてくれたから
  恋でもしてるのかなーって。
♧)////

 

あなたに、恋してました。

 

♧)……

 

あれ?

 

私、今…

過去形だった?

 

♡)好きな人はいるんですか?♡
♧)……///

 

隣の彼女が
また可愛い笑顔で目を輝かせて
私の顔を覗いてきた。

 

♧)えっと…
♡)あ、いるんだーー♡
♧)////

 

すみません…
あなたの彼氏のことが好きでした。

 

♧)……

 

あれ?

また今…過去形だった?

 

瞬)♧さんさ、父ちゃんのこと
  覚えてるんだよ。
♡)えっ!!!
♧)……

 

瞬くんの言葉に
彼女の表情が一変した。

 

♡)うそ…っ
瞬)ほんと。俺もびっくりしたんだけど。
♡)覚えてるんですか?
♧)ああ、はい。
♡)…っ
♧)……

 

彼女のその表情が
その話を聞きたそうだったから

私は記憶の中のレイジさんのことを
いくつか話した。

 

瞬)それは俺も初めて聞くかも…
  なんか嬉しい♡
♧)////

 

瞬くんはそう言って無邪気に笑ってくれて…

 

♡)…ふぇ…っ

 

隣を見ると
お姫様が、泣き出してた。

 

♧)えええっ!!!

 

慌てた私はパニックになりながら、
ハンカチを差し出した。

 

♡)ありがとうございます……
  ふぇぇっ…
♧)…っ

 

なんで…この子が…

 

瞬)姉ちゃん、ほんと泣き虫になったねw
♧)…っ

 

姉ちゃん?!!!

今、姉ちゃんって言った!!???

 

瞬)あ、いい意味でね?

 

瞬くんが優しく笑うと

 

♡)だって……///

 

彼女は私のハンカチで
その綺麗な涙を拭った。

 

♡)♧さん…ありがとうございます…
♧)あ、ううん。
  えっと…、♡…ちゃん?
  は…、お姉ちゃんなの?
♡)え?
瞬)ああ、俺の姉ですよ?
  あれ?今更?
♧)!!!

 

びっくり!!!!

今更って…初耳だし!!!!

 

瞬)あ、そっか。
  最初に自己紹介したんですけど
  ♧さん、遅れてきたからw
♧)はっ!!

 

そうか!
私、自業自得?!!

じゃあ…
このお姫様は…
瞬くんの彼女じゃないんだ…

 

♧)……

 

どうやったらこんな赤ちゃんみたいな
お肌になるんだろう…

長いまつ毛に、ぷるぷるの唇。

彼女のどのパーツも
本当にお姫様みたいで…

 

あまりにマジマジと見すぎたのか
そんな私の視線に気付いた彼女が
こちらを向いた。

 

♧)…っ

 

ああ、そうか。
ほんとだ。

どうして気付かなかったんだろう。

 

こんなに…

 

♧)似てますね、お父さんに。
♡)…っ
♧)ふふっ、そっくり…♡
♡)……ふぇぇっっ
♧)えっ!!!

 

私の言葉に、彼女はまた泣き出して…

 

瞬)あーー、…これはきっと
  嬉しくて泣いてるんで、
  気にしないで、♧さん。
♧)……

 

瞬くんが困ったように笑って
優しくそう言ってくれた。

 

♡)泣いてごめんなさい…
♧)あ、ううん、大丈夫?
♡)はい……
♧)……

 

可愛いなぁ…

なんか…
抱きしめたくなるような
守ってあげたくなるような

そんな女の子。

 

瞬)姉ちゃん、ほらw
  早く食え。
♡)むぅっ、食べるもんっ
♧)ふふ…っw

 

なんか…
好きだな、この二人。

 

♧)瞬くんの彼女だと思った。
♡瞬)ええええ!!!
♧)ふふっw
瞬)ありえないしw
♧)だってーー
  瞬くん、すっごく優しい目で見てたし
  なんか仲良しだったから。
瞬)あーー、まぁ…
  たまにシスコンって言われるけど///
♡)えー!そうなの?
瞬)でも別に、違うし!//
  俺、ちゃんと彼女いますからね!
♧)うん、知ってるw
瞬)ちゃんと可愛い彼女!
♡)ふーーんw
瞬)何ニヤニヤしてんだよ。
♡)だって私もまだ会ったことないし。
瞬)あ、そーだ!
  今度連れてってもいい?
♡)ん?
瞬)美花さ、レイコより先に
  姉ちゃんに会いたいんだって。
♡)あ、ミカちゃんっていうんだ。
  なんで私なんだろ…
瞬)レイコに会うのは緊張するらしいw
♡)あはははw
  じゃあ今度連れておいでよ〜
瞬)うんっ♪
♧)……

 

なんか、初めて見る瞬くん。

「弟」の顔をしてる彼は
こんな感じなんだ。

なんだか見れて良かったかも。

 

それに…
「彼女」の話だって

割と平気で、驚いてる。

 

♧)さっきの歌で…
  すごく伝わったけど…
瞬)え…?
♧)彼女のこと、本当に好きなんだね…
瞬)……///

 

私の言葉に
瞬くんは恥ずかしそうに視線を逸らして

 

瞬)うん、好き、///
♧)……///

 

そう答えてくれた。

 

そっか、私…
いっつも勝手に自分で想像してたから
苦しくなってたのかな。

 

こうして直接、彼の口から聞いたら

なんだかすごくあったかくて
微笑ましい。

 

♧)結婚するんだよね?
瞬)はい、そのうち、いつか//
♧)幸せになってね…
瞬)ありがとうございます///

 

心から、そう言えた。

瞬くんに、幸せになって欲しい。

 

♡)♧さんは好きな人とどうなんですか?♡
♧)えっ…
♡)恋バナしたーい♡
♧)……///
瞬)おい、姉ちゃん。
  初対面なんだからやめなさい。
♡)えーー
  だってなんか♧さんって
  ほんわか癒し系なんだもん♡
瞬)それが何の関係があんのw
♡)だから、初めて会った気がしない♡
瞬)それ、姉ちゃんの片思いだからw
♡)えーーー!!
♧)ふふっw

 

人懐っこくて、可愛い女の子。

こーゆーところ、瞬くんと似てる。

 

男)瞬さん!ギターのコード教えて下さい!
瞬)お、約束してたもんな!よし!

 

高校生の男の子が
瞬くんを連れていって…

 

女)ねぇねぇ♡ちゃん、
  良かったらおばさん、
  もう一回、歌聴きたいなー♡
♡)え!ほんとですか?
  もちろんですっ♡

 

彼女は笑顔で応えた。

 

♧)♡ちゃんも…さっき歌ったの?
♡)はいっ♡
♧)……

 

なんで私、寝坊したんだろう。

 

女)瞬くんと一緒に歌ってくれてね、
  ハモりがキレイだったんだよー♡
♧)……

 

なんで私、寝坊したんだろう。

 

女)♡ちゃん、ピアノ弾けるんでしょ?
  上でもいい?
♡)あ、ピアノあるんですか?
  ぜひ♡
♧)私も行きたい!!
女)♧ちゃんも一緒に行こう♡

 

そのまま何人かの職員さんと一緒に
2階の多目的室へ。

 

♧)…っ

 

そこに置いてあるピアノを見て、
ふと思った。

 

これは、レイジさんが
私たちに買ってくれたピアノ。

それを今、♡ちゃんが弾くんだ。

 

なんか…
私、泣きそう。

 

♡)何がいいですか?♡
女)なんでも歌えるのかい?w
♡)実は今、いろいろ練習中で…
  昭和の歌をリクエストされることが
  すごく多いんで
  そのへんを練習してます///
女)へぇ!そうなのーー
男)じゃあ古い歌の方がいいのかなー
女)おばさん、ドリカムが好きなんだけど…
♡)ドリカムーー!♡
女)七夕も近いし、
  『7月7日、晴れ』なんて
  歌えるかい?
♡)大好きです♡
♧)……

 

それなら私も知ってる。
私も好き。

 

♡)じゃあ歌いますね♡
女)やったーー♡
♧)……

 

♡ちゃんはiPadで歌詞を出すと
ピアノの前に置いた。

 

♧)♡ちゃん…
♡)はいっ!
♧)……あの、ね。
♡)……??
♧)これ、レイジさんが買ってくれた
  ピアノなの。
♡)え…っ
♧)……
♡)……
♧)子供達の周りに、
  いつも音楽がありますようにって…
  そう言ってこれを寄付してくれたの。
♡)…っ

 

レイジさんの思いを伝えたくて
私がそう言うと

♡ちゃんは目を潤ませながら
にっこり笑った。

 

♡)♧さん、ありがとう…♡♡
♧)……///

 

レイジさんの想いと、♡ちゃんの笑顔を
繋げることが出来た気がして…

私の胸はじんわり、あたたかくなった。

 

♡ちゃんは、簡単にピアノを鳴らすと
深呼吸をして…

キレイな指先を、鍵盤に這わせた。

 

♧)…っ

 

♡ちゃんが紡ぐ音色は
すごく優しくて、澄んでいてキレイ。

ピアノの音もそうだし、
♡ちゃんの歌声もすごく透明感があって
聴いていて、癒される。

 

♡)〜♪あいたくて あいたくて 星に願った
  天が大きく一周しても ずっと
  あえなくても あえなくても 想い続けた
  雲が 星を隠した夜にも ずっと♪〜

 

切ない歌。

どうしてだろう。

♡ちゃんの歌を聴きながら
頭に浮かぶのは…

 

♡)〜♪思い出して 思い出して
  ただそれだけで
  明日も あなたを想う 勇気になる♪〜

 

♧)……

 

頭に浮かぶのは…

ずっと好きだった、瞬くんじゃなくて…

 

♡)〜♪あいたくて あいたくて あいたくて…♪〜

 

女)いや〜〜!!
  ありがとう!!おばさん感動した!♡♡
♡)えへへ…ありがとうございます///
男)ほんといい声してるねぇ、♡ちゃん!
♡)嬉しい♡♡
♧)……

 

私も大好きだな、♡ちゃんの声。

 

男)おーい!
  下でみんなで短冊書いてるんだよ!
  おいでーー!!
女)あら、行きましょ♪

 

下から呼ばれて、
またみんなで階段を降りた。

 

テーブルではカラフルなサインペンで
子供達が嬉しそうに願い事を書いてる。

 

子)♧姉ちゃん!♧姉ちゃん!
  七夕ってなぁに?
♧)うんとね、いろんな国で
  いろんな言い伝えがあるんだけど…
  日本では、織姫と彦星が
  一年に一回、会える日なの。
子)織姫と彦星?
♧)そう。愛し合ってる夫婦だよ。
♡)え!夫婦なの?!恋人だと思ってた…
♧)ふふっw
  そう思ってる人多いんだよね。
♡)そうなんだぁ。
子)♡ちゃん、大人のくせに知らないの?
♡)うん、知らなかった。えへへw
子)♧姉ちゃんはさ、なんでも知ってて
  いつも俺たちに
  いろいろ教えてくれるんだぜ!
♡)じゃあ私も教えてもらうー♡
子)大人なのにーー!w
♡)あははは♡

 

♡ちゃんの無邪気な笑顔に
子供達も嬉しそうに寄ってくる。

 

♧)♡ちゃんってお仕事は何してるの?
♡)私は普段は会社員です。
♧)そうなんだ!
♡)はい♡

 

会社員なのかぁ…

保育士とか…
すごく向いてると思うんだけどなぁ。

 

子)♧姉ちゃん!
  七夕に雨が降ったら
  織姫と彦星が会えないってほんと?
♧)うーん、日本ではそう言われてるけど…
  七夕に降る雨は
  やっと会えた二人の嬉し涙だって
  言われてる国もあるんだよーー
子♡)そうなんだ!!

 

女の子と♡ちゃんの声がハモって、
二人は顔を見合わせて笑った。

 

♡)じゃあ嬉し涙ってことにしようね♡
子)うんっ♡
♧)ふふっ♡

 

短冊に、私は何を書こう。

今の願い事は、なんだろう…。

 

子)♧姉ちゃんも
  離れてて会えない人、いるのー?
♧)え…?
子)会いたい人、いる?
♧)……

 

そう言われて
一番に頭に浮かぶのは…

今日は札幌にいる、隆二くん。

 

♡)ふふふ♡好きな人だぁ♡
♧)////

 

違います。
好きな人は今日会えてます//

 

でも…

どうしてだろう。

いつも瞬くんのことを
一番に聞いてほしいって思うのは
むーこなのに…

私はさっきから、
隆二くんに会いたいって思ってる。

 

子)♡ちゃんはー?
♡)え…?
子)会いたい人、いるのー?
♡)……

 

その質問に、黙ってしまった♡ちゃん。

 

♡ちゃんがさっき歌ってくれたドリカムは
すごく心がこもってて…

もしかしたら本当に
会いたくても会えない人がいるのかなって
私は感じた。

 

♡)会えなくてもね、空は繋がってるんだよ。
子)え…?
♡)空はずーっと繋がってるから、
  見上げる空は、会えない人とも
  繋がってるの。
子)…死んじゃった人は…?
♡)繋がってるよ。
子)……そっか♡
♡)うん♡
♧)……

 

そう言って窓の外を見上げる
♡ちゃんの横顔は
どこか少し、切なげだった。

 

子供たちは短冊が全部なくなるまで
願い事をびっしり書いて

笹の葉はカラフルに彩られた。

 

瞬くんが書いた短冊は男らしくて、

「世界平和!!」
の、一言。

 

「みんなが健康で笑顔で平和に幸せに暮らせますように。」

♡ちゃんが書いた短冊は
私と同じ内容だった。

 

♡)♧さんっ!
♧)なぁに?
♡)もし良かったら…
  またパパの話、聞かせてくださいねっ♡
♧)うん、もちろん♡
♡)えへへ♡
♧)ふふっ♡

 

♡ちゃんは…
なんだかこっちまでつられて
笑顔になっちゃうような
可愛い可愛い女の子。

 

瞬)♧さん、今日は
  ありがとうございました!
♧)うん。
瞬)また来月!!
♧)うん、待ってるね♡
瞬)へへっ

 

瞬くんは…
いつもその明るさで私に元気をくれる
眩しい眩しい男の子。

 

私はこの二人が大好き。

 

子)瞬兄ちゃんまた来てねーー!
瞬)おう!またなーー!
子)ありがとう〜〜!

 

みんなで二人を見送った。

 

なんだか今日は

瞬くんと♡ちゃんに
あたたかい気持ちをいっぱいもらって

一歩前に進める勇気を
もらえたような気がする。

 

隆二くん…

聞いてほしいな。

 

どうしてこんなに
会いたいって思うんだろう。

 

早く会いたい。

早く話したい。

 

少し前に進めた、私の気持ち。

 

隆二くんに話したら…
隆二くんはなんて言ってくれる…?

 

 

ーendー

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  1. 花日 より:

    色んな事が繋がって、わぁぁあってなって、涙が止まらなかったです。
    このStoryは、マイコさんの妄想ですっておっしゃってたけど
    こんな素敵な素晴らしい妄想を
    文章にして、教えてくれて(?)ありがとうございます。すごく幸せな気持ちになれます。ただの妄想とは思えない、ほんとに素敵な物語です!!!

    • マイコ より:

      そう言ってもらえて嬉しいです。゚(゚´ω`゚)゚。じーーーん♡
      どうもありがとうございます!!!

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