【167】上書きしたキスマーク

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臣)なんで隠す?
♡)隠して…っ、ないよっ
臣)じゃあ手ぇよけろよ。
♡)……だめ。
臣)なんで。
♡)……
臣)……
♡)……
臣)なんか…赤くなってたけど。
♡)…っ
臣)キスマークっぽかったけど…何?
♡)…っ
臣)……
♡)……
臣)なぁ…
♡)キスマークなんかじゃないもんっ!!
臣)…っ


なんで…
なんか…泣きそうになってる??


臣)ちょっと見せて。
♡)や、やだっ…
臣)手ぇよけて。
♡)やぁっっ

ぐいっ


臣)…っ
♡)…っ


これ、絶対キスマークだよな?


臣)……
♡)……


俺は泣きそうになってる♡を抱き起こした。


臣)誰?
♡)え…っ
臣)誰にされた?
♡)…っ


ダメだ…
なんか…頭がパニックで…


臣)何された??
♡)…っ


まさか…無理矢理…


臣)お前…無事なの?


♡の顔を両手で包んだ。


臣)なぁ、なんともない?
♡)大丈夫だよ…
臣)ほんとに?!
♡)うん…
臣)俺に…心配かけないようにとか…
♡)違うよ…、ほんとに大丈夫…
臣)…っ


その言葉にとりあえず安心して
もう一度抱きしめた。


♡)ごめん…ね?
臣)…っ
♡)……
臣)泣きそうなくせに
  なんでお前が謝るんだよ。
♡)泣いて…ないもん…っ
臣)…っ
♡)思い出したら…
  気持ち悪くなっただけ…
臣)……


赤くなってる首元…

ここに誰かがキスしたのかと思うと
冷静じゃいられない。


俺は必死に自分を抑えて
♡の頭を撫でた。


臣)誰…?
♡)……
臣)誰がこんなんつけた?
♡)…っ
臣)……
♡)……
臣)Tか?
♡)違うよっ!!!!
臣)…っ


すげぇ全力で否定してきた。


臣)じゃあ…薔薇男?
♡)違う……
臣)…この間のクソガキ?
♡)……
臣)……
♡)…(こくん)
臣)…っ


なんか…
すっっっっっげぇムカついてきた。

でも…♡が落ち込んでるから
そんな自分の感情はとりあえず後回し。


ぎゅっ……


♡)臣く…ん…
臣)……
♡)……
臣)……


ただただ♡を抱きしめるけど…

無理矢理こんなんつけたってことは…
抵抗する♡を、無理矢理どうにかしたわけで

そんな手荒な行動を想像すると
怒りしか湧いてこない。


臣)ごめん、ダメだ。
♡)えっ
臣)ぶっ殺していい?そいつ。
♡)えっ……


冷静に言ったつもりだったけど
こらえきれない怒りがにじみ出てたのか

♡が俺の顔を見て、少し怯えた。


♡)殺しちゃ…ダメ……
臣)……
♡)……
臣)ここに…、こんなんされただけ?
♡)……
臣)他には…何もされてない?
♡)うん……
臣)……


良かったと思う反面…

こんな場所に無理矢理
キスマークをつけたってだけでも
やっぱりぶっ殺したくなる衝動が
抑えられない。


こんな…細っこいのに…
男に無理矢理何かされて

怖くないわけないよな…


臣)ごめん…側にいてやれなくて。
♡)…っ

臣)怖かったな……
♡)…っ


俺がそう言うと、♡が途端に泣き出した。


♡)うわーーんっっ
臣)♡??
♡)怖かったよぉっ…
  気持ち悪かったよぉっっ!!
臣)…っ
♡)もう忘れるのっっ!
  考えたくないのっっ!
  うわーんっっ
臣)……ごめん。


ぎゅっ……


♡)うううっ
臣)……


でも…
大丈夫って強がられるよりは
こうして本音を見せてくれた方が安心する。

俺の前では…無理して欲しくないから。


臣)……
♡)…ぐすっ…
臣)……
♡)臣くん…ありがとう…
臣)え…?
♡)いっぱい…ぎゅってしてくれて…
臣)……
♡)…ありがとう……
臣)……


こんな風に
抱きしめてやるしか出来ない自分が
もどかしい。


臣)今度そいつ、ぶん殴りに行くわ。
♡)えっ!ダメだよ!
臣)ぶっ飛ばす。
♡)ダメだってば!!
臣)なんで!
♡)臣くんがそんなことしたら
  問題になっちゃうもん!!
臣)…っ
♡)ダメだよ……
臣)…っ


くそっ…
このイラつく気持ちは
どうしたらいいんだよ…


♡)私…頭突きしたよ?
臣)……
♡)……
臣)え?!!
♡)思いっきり頭突きしてやったよ!
臣)……


すげぇドヤ顔…


♡)やられっぱなしじゃないんだから!
臣)…っ


そうだった。
こいつは強いんだった。


♡)思いっきり顎に当たってね、
  すっごく痛がってたよ!!
臣)よくやった!!
♡)ふふんっ!!
臣)急所も蹴ってやりゃ良かったのに。
♡)ああっ!!忘れてた!!
  くぅぅぅ!!!!


すっげぇ悔しそうな顔……


臣)ぶはっw
♡)え?w
臣)いや、お前のこと見直してるw
♡)何それー!
臣)たくましいなって。
♡)褒められた♡
臣)でも…
♡)え?
臣)やっぱり俺の気がおさまらん。
♡)えっ
臣)一発ぶん殴りたい。
♡)でも…いっぱい血出てたよ?
臣)えっ!!頭突きで?!
  お前そんなすげぇ頭突きしたの!?
♡)違うよ!w
臣)え?!
♡)……Tくんが…
臣)えっ…
♡)Tくんが…思いっきり殴ったの。
臣)…っ
♡)……ちょうど近くにいたみたいで
  すぐに来てくれて…
臣)……
♡)膝蹴りも…してた…
臣)いいぞ…もっとやれ…
♡)臣くん!w
臣)で?
♡)その子は…すっごく痛そうで
  半泣きでいなくなった。
臣)撃退したんだ。
♡)うん。
臣)やるな、あいつ。
♡)……


俺がやりたかったこと、全部やってくれてた。

でも……


臣)……
♡)…なぁに?
臣)……


こいつを助けてくれたのはありがたいけど…
それって…


♡)??
臣)あのさぁ…
♡)うん?
臣)……
♡)……


すげぇカッコ悪いけど…
少しだけ嫌な予感がするから…


臣)助けてもらって
  ちょっとカッコイイなとか…
♡)思ってないよ!
臣)…っ


返し早くねぇか?


臣)ちょっとでも思ってんだとしたら!
♡)…っ
臣)それ錯覚だからな!
♡)え…?
臣)ただの吊り橋効果!
♡)……
臣)そういう状況だから
  勘違いするかもしれないから
  一応言っとくけど…
♡)……


って…俺は必死かよ。

でも…
あいつがこいつのこと、どんだけ好きかは
嫌ってほど、わかってるから。


♡)思ってないもんっ
臣)……
♡)……
臣)少しも?
♡)……
臣)これっぽっちも?
♡)……
臣)そんな少女漫画みたいに
  助けられたのに?
♡)……
臣)……


やべぇ…
♡が即答しなくなった。


ぎゅっっ…


♡)わ……
臣)…っ


慌てて抱きしめる、情けない俺。


臣)お前…もう…
  今後のために急所蹴る練習しろ。
♡)えっ!!
臣)ほんとに…心配だから…
♡)……
臣)……
♡)臣くんで練習していいの?
臣)ほんとに蹴るなよ?
♡)あはははっw
臣)笑い事じゃなくw
♡)はい…w
臣)はぁ……


ほんとに…心配だなぁ……


♡)私、空手かボクシング習おうかな…
臣)お…っ
♡)体型維持にもなりそうだし…
臣)……


武道を身につけてくれると
そりゃー確かに安心だけど…


♡)ちょっと考えてみるね!!
臣)……


きっと…
♡もよっぽど嫌だったんだろうな…


そうだよな。

思い出しただけで
気持ち悪くて泣きそうになるって…


臣)……
♡)臣くん…?


殺意を覚えるこのキスマーク。

簡単には消えないし…
これを見るたび♡は嫌な気持ちになんのかな。


♡)臣くん??
臣)…っ
♡)えっ、臣くん…っ?//


チュッ……ッ


♡)え、な、何?!!//
臣)……よし。


完全に上書きしてやった。


臣)これでこれは俺のキスマーク。
♡)えっ……
臣)……
♡)…汚く…ないの?
臣)なんでだよ。
♡)だって…他の人に…こんな…
臣)お前が汚いわけないだろ、バカ。


コツン…


♡)…っ
臣)もう消したから忘れろ。
♡)…っ
臣)撮影あったらファンデで隠せ。
  「俺の」キスマーク。
♡)…っ
臣)……
♡)////


ぎゅっっっ


♡が抱きついてきた。


♡)臣くん…ありがとう//
臣)……
♡)臣くん大好きっ
臣)……
♡)大好きだよぉ…///


ぎゅうぅぅっ


臣)ん……
♡)ね、臣くん……
  もっと…つけて?
臣)え?
♡)いっぱい…つけてほしい//
臣)……はい??
♡)…ダメ?//
臣)……//


久々に、♡からキスマークのおねだり。


♡)ね…、…あっ
臣)いいよ?
♡)……//


そのままベッドに押し倒した。


♡)……ぁっ、ん…っ//


♡が…二度とあんなクソガキのことを
思い出さないように…


♡)は…ぁ…、っ…//


俺以外のことなんか…
考えないように…


♡)や…っ、臣く…ん…っ//
臣)ん…?
♡)はぁ…っ//


熱っぽい瞳が、俺を見つめた。


臣)つけてって言ったの、お前だよ?
♡)…っ、そうだけど…//

臣)なに…
♡)すっごく…エッチなんだもん…//

臣)だって…手加減しないって言ったじゃん。
♡)え…?

臣)行く前。
♡)…あっ……

臣)……
♡)……//

臣)ちゃんと覚悟、できてる?
♡)え…っ//


なんだかんだでもう
一週間も抱いてねぇんだから…


♡)ど、ど、どうしたらいいの?//
臣)……
♡)///


恥ずかしそうに、すぐ顔を隠す…


臣)何も…しなくていいから…
♡)えっ…、…ぁっ//

臣)いっぱい感じて……
♡)…っ///


俺のことだけ…


♡)そんな…のっ、溶けちゃう…よ…//
臣)いいよ?

♡)あ…っ、…や…だっ//
臣)ん……

♡)…はぁ…っ、んん…っ//



ほんと…可愛いな…//
ああもう…止まんねぇや…



臣)溶けていいよ……
♡)やっ、ぁ…っ、臣くん…っ//

臣)ん……
♡)…んっ、…ぁっ、…やぁ//

臣)…っ
♡)臣くんっ…///



その夜は…

身体中にキスを落として


本当に♡が溶けてしまうくらい
何度も何度も愛した。


愛した分だけ
同じくらい俺も溶けそうになって


愛しさが快感に変わって
二人の身体を柔らかく溶かしていくように


何度も何度も…ひとつになった。




ーendー

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