臣)なんで隠す?
♡)隠して…っ、ないよっ
臣)じゃあ手ぇよけろよ。
♡)……だめ。
臣)なんで。
♡)……
臣)……
♡)……
臣)なんか…赤くなってたけど。
♡)…っ
臣)キスマークっぽかったけど…何?
♡)…っ
臣)……
♡)……
臣)なぁ…
♡)キスマークなんかじゃないもんっ!!
臣)…っ
なんで…
なんか…泣きそうになってる??
臣)ちょっと見せて。
♡)や、やだっ…
臣)手ぇよけて。
♡)やぁっっ
ぐいっ
臣)…っ
♡)…っ
これ、絶対キスマークだよな?
臣)……
♡)……
俺は泣きそうになってる♡を抱き起こした。
臣)誰?
♡)え…っ
臣)誰にされた?
♡)…っ
ダメだ…
なんか…頭がパニックで…
臣)何された??
♡)…っ
まさか…無理矢理…
臣)お前…無事なの?
♡の顔を両手で包んだ。
臣)なぁ、なんともない?
♡)大丈夫だよ…
臣)ほんとに?!
♡)うん…
臣)俺に…心配かけないようにとか…
♡)違うよ…、ほんとに大丈夫…
臣)…っ
その言葉にとりあえず安心して
もう一度抱きしめた。
♡)ごめん…ね?
臣)…っ
♡)……
臣)泣きそうなくせに
なんでお前が謝るんだよ。
♡)泣いて…ないもん…っ
臣)…っ
♡)思い出したら…
気持ち悪くなっただけ…
臣)……
赤くなってる首元…
ここに誰かがキスしたのかと思うと
冷静じゃいられない。
俺は必死に自分を抑えて
♡の頭を撫でた。
臣)誰…?
♡)……
臣)誰がこんなんつけた?
♡)…っ
臣)……
♡)……
臣)Tか?
♡)違うよっ!!!!
臣)…っ
すげぇ全力で否定してきた。
臣)じゃあ…薔薇男?
♡)違う……
臣)…この間のクソガキ?
♡)……
臣)……
♡)…(こくん)
臣)…っ
なんか…
すっっっっっげぇムカついてきた。
でも…♡が落ち込んでるから
そんな自分の感情はとりあえず後回し。
ぎゅっ……
♡)臣く…ん…
臣)……
♡)……
臣)……
ただただ♡を抱きしめるけど…
無理矢理こんなんつけたってことは…
抵抗する♡を、無理矢理どうにかしたわけで
そんな手荒な行動を想像すると
怒りしか湧いてこない。
臣)ごめん、ダメだ。
♡)えっ
臣)ぶっ殺していい?そいつ。
♡)えっ……
冷静に言ったつもりだったけど
こらえきれない怒りがにじみ出てたのか
♡が俺の顔を見て、少し怯えた。
♡)殺しちゃ…ダメ……
臣)……
♡)……
臣)ここに…、こんなんされただけ?
♡)……
臣)他には…何もされてない?
♡)うん……
臣)……
良かったと思う反面…
こんな場所に無理矢理
キスマークをつけたってだけでも
やっぱりぶっ殺したくなる衝動が
抑えられない。
こんな…細っこいのに…
男に無理矢理何かされて
怖くないわけないよな…
臣)ごめん…側にいてやれなくて。
♡)…っ
臣)怖かったな……
♡)…っ
俺がそう言うと、♡が途端に泣き出した。
♡)うわーーんっっ
臣)♡??
♡)怖かったよぉっ…
気持ち悪かったよぉっっ!!
臣)…っ
♡)もう忘れるのっっ!
考えたくないのっっ!
うわーんっっ
臣)……ごめん。
ぎゅっ……
♡)うううっ
臣)……
でも…
大丈夫って強がられるよりは
こうして本音を見せてくれた方が安心する。
俺の前では…無理して欲しくないから。
臣)……
♡)…ぐすっ…
臣)……
♡)臣くん…ありがとう…
臣)え…?
♡)いっぱい…ぎゅってしてくれて…
臣)……
♡)…ありがとう……
臣)……
こんな風に
抱きしめてやるしか出来ない自分が
もどかしい。
臣)今度そいつ、ぶん殴りに行くわ。
♡)えっ!ダメだよ!
臣)ぶっ飛ばす。
♡)ダメだってば!!
臣)なんで!
♡)臣くんがそんなことしたら
問題になっちゃうもん!!
臣)…っ
♡)ダメだよ……
臣)…っ
くそっ…
このイラつく気持ちは
どうしたらいいんだよ…
♡)私…頭突きしたよ?
臣)……
♡)……
臣)え?!!
♡)思いっきり頭突きしてやったよ!
臣)……
すげぇドヤ顔…
♡)やられっぱなしじゃないんだから!
臣)…っ
そうだった。
こいつは強いんだった。
♡)思いっきり顎に当たってね、
すっごく痛がってたよ!!
臣)よくやった!!
♡)ふふんっ!!
臣)急所も蹴ってやりゃ良かったのに。
♡)ああっ!!忘れてた!!
くぅぅぅ!!!!
すっげぇ悔しそうな顔……
臣)ぶはっw
♡)え?w
臣)いや、お前のこと見直してるw
♡)何それー!
臣)たくましいなって。
♡)褒められた♡
臣)でも…
♡)え?
臣)やっぱり俺の気がおさまらん。
♡)えっ
臣)一発ぶん殴りたい。
♡)でも…いっぱい血出てたよ?
臣)えっ!!頭突きで?!
お前そんなすげぇ頭突きしたの!?
♡)違うよ!w
臣)え?!
♡)……Tくんが…
臣)えっ…
♡)Tくんが…思いっきり殴ったの。
臣)…っ
♡)……ちょうど近くにいたみたいで
すぐに来てくれて…
臣)……
♡)膝蹴りも…してた…
臣)いいぞ…もっとやれ…
♡)臣くん!w
臣)で?
♡)その子は…すっごく痛そうで
半泣きでいなくなった。
臣)撃退したんだ。
♡)うん。
臣)やるな、あいつ。
♡)……
俺がやりたかったこと、全部やってくれてた。
でも……
臣)……
♡)…なぁに?
臣)……
こいつを助けてくれたのはありがたいけど…
それって…
♡)??
臣)あのさぁ…
♡)うん?
臣)……
♡)……
すげぇカッコ悪いけど…
少しだけ嫌な予感がするから…
臣)助けてもらって
ちょっとカッコイイなとか…
♡)思ってないよ!
臣)…っ
返し早くねぇか?
臣)ちょっとでも思ってんだとしたら!
♡)…っ
臣)それ錯覚だからな!
♡)え…?
臣)ただの吊り橋効果!
♡)……
臣)そういう状況だから
勘違いするかもしれないから
一応言っとくけど…
♡)……
って…俺は必死かよ。
でも…
あいつがこいつのこと、どんだけ好きかは
嫌ってほど、わかってるから。
♡)思ってないもんっ
臣)……
♡)……
臣)少しも?
♡)……
臣)これっぽっちも?
♡)……
臣)そんな少女漫画みたいに
助けられたのに?
♡)……
臣)……
やべぇ…
♡が即答しなくなった。
ぎゅっっ…
♡)わ……
臣)…っ
慌てて抱きしめる、情けない俺。
臣)お前…もう…
今後のために急所蹴る練習しろ。
♡)えっ!!
臣)ほんとに…心配だから…
♡)……
臣)……
♡)臣くんで練習していいの?
臣)ほんとに蹴るなよ?
♡)あはははっw
臣)笑い事じゃなくw
♡)はい…w
臣)はぁ……
ほんとに…心配だなぁ……
♡)私、空手かボクシング習おうかな…
臣)お…っ
♡)体型維持にもなりそうだし…
臣)……
武道を身につけてくれると
そりゃー確かに安心だけど…
♡)ちょっと考えてみるね!!
臣)……
きっと…
♡もよっぽど嫌だったんだろうな…
そうだよな。
思い出しただけで
気持ち悪くて泣きそうになるって…
臣)……
♡)臣くん…?
殺意を覚えるこのキスマーク。
簡単には消えないし…
これを見るたび♡は嫌な気持ちになんのかな。
♡)臣くん??
臣)…っ
♡)えっ、臣くん…っ?//
チュッ……ッ
♡)え、な、何?!!//
臣)……よし。
完全に上書きしてやった。
臣)これでこれは俺のキスマーク。
♡)えっ……
臣)……
♡)…汚く…ないの?
臣)なんでだよ。
♡)だって…他の人に…こんな…
臣)お前が汚いわけないだろ、バカ。
コツン…
♡)…っ
臣)もう消したから忘れろ。
♡)…っ
臣)撮影あったらファンデで隠せ。
「俺の」キスマーク。
♡)…っ
臣)……
♡)////
ぎゅっっっ
♡が抱きついてきた。
♡)臣くん…ありがとう//
臣)……
♡)臣くん大好きっ
臣)……
♡)大好きだよぉ…///
ぎゅうぅぅっ
臣)ん……
♡)ね、臣くん……
もっと…つけて?
臣)え?
♡)いっぱい…つけてほしい//
臣)……はい??
♡)…ダメ?//
臣)……//
久々に、♡からキスマークのおねだり。
♡)ね…、…あっ
臣)いいよ?
♡)……//
そのままベッドに押し倒した。
♡)……ぁっ、ん…っ//
♡が…二度とあんなクソガキのことを
思い出さないように…
♡)は…ぁ…、っ…//
俺以外のことなんか…
考えないように…
♡)や…っ、臣く…ん…っ//
臣)ん…?
♡)はぁ…っ//
熱っぽい瞳が、俺を見つめた。
臣)つけてって言ったの、お前だよ?
♡)…っ、そうだけど…//
臣)なに…
♡)すっごく…エッチなんだもん…//
臣)だって…手加減しないって言ったじゃん。
♡)え…?
臣)行く前。
♡)…あっ……
臣)……
♡)……//
臣)ちゃんと覚悟、できてる?
♡)え…っ//
なんだかんだでもう
一週間も抱いてねぇんだから…
♡)ど、ど、どうしたらいいの?//
臣)……
♡)///
恥ずかしそうに、すぐ顔を隠す…
臣)何も…しなくていいから…
♡)えっ…、…ぁっ//
臣)いっぱい感じて……
♡)…っ///
俺のことだけ…
♡)そんな…のっ、溶けちゃう…よ…//
臣)いいよ?
♡)あ…っ、…や…だっ//
臣)ん……
♡)…はぁ…っ、んん…っ//
ほんと…可愛いな…//
ああもう…止まんねぇや…
臣)溶けていいよ……
♡)やっ、ぁ…っ、臣くん…っ//
臣)ん……
♡)…んっ、…ぁっ、…やぁ//
臣)…っ
♡)臣くんっ…///
その夜は…
身体中にキスを落として
本当に♡が溶けてしまうくらい
何度も何度も愛した。
愛した分だけ
同じくらい俺も溶けそうになって
愛しさが快感に変わって
二人の身体を柔らかく溶かしていくように
何度も何度も…ひとつになった。
ーendー
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