【127】可愛い子犬(岩ちゃんSide)

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◇『二日酔い大丈夫? 
  もう飲みすぎんなよ!👊』
岩『まだちょっと頭痛いけど大丈夫😅
  気をつけます笑』
◇『👍』
岩『◇ちゃんはお酒強いの?
  今度一緒に飲もうね🍻』
◇『次吐いたらコロス😄』
岩『もう吐かないよ!😂』
◇『👍』
 
 
そんな友達感満載のやりとりを経て
翌日。
 
 
◇『洗濯完了!』
 
 
一言だけLINEが来て、
俺はすぐに電話をかけた。
 
 
岩『もしもし?』
◇『わ!びっくりした!え、電話?』
岩『あ、ごめん、かけちゃったw』
◇『うん。』
岩『洗濯ありがと♪』
◇『うん。』
岩『今日会える?』
◇『えっ!今日!?』
岩『うん。』
◇『今日は友達と約束あるー』
岩『あ…そっか。』
 
 
そういえば昨日、
電話で話してたもんな…。
 
 
◇『岩ちゃんちのポストに入れておこうか?』
岩『えっ』
◇『家覚えてるし。』
岩『……』
 
 
そんなことされたら会えないじゃん!
 
 
岩『いいよわざわざ!』
◇『でも割と家近いし。』
岩『え!そうなの?!』
◇『うん。』
岩『でもいいよ!また連絡する!』
◇『えっ…』
 
 
ピッ。
 
 
あ、切っちゃった。
何やってんだ俺。
 
 
近いって…どこに住んでんだろ?
 
聞けば良かったのに
なんかこのままだと
ポストに入れて終わりにされそうで
思わず切っちゃった。
 
 
岩)電話下手くそかよ…。
 
 
電話越しに聞く彼女の声は
なんだかくすぐったかった。
 
 
次会える時は何しよう。
何したら喜んでくれるかな…
笑ってくれるかな…
 
そんなことを考えながら
俺は懲りもせず、翌日また電話をした。
 
 
◇『もしもし?』
岩『ういーっすw』
◇『どしたのー?』
岩『今何してる?』
◇『晩御飯作ってる。』
岩『え!何?』
◇『ビーフシチュー。』
岩『食べたいっ!!』
◇『は?w』
岩『俺も食べたい!!』
◇『……。』
岩『ダメ?』
◇『…いっぱい作ったからいいけど…、』
岩『やったぁ!!!』
◇『え、うち来るってこと?』
岩『うん。一緒に食べようよ。』
◇『……。』
 
 
もしかして…
俺を家にあげることを警戒してる?
 
 
岩『何もしないから!!』
◇『何もって??』
岩『だから…その…変なこととか…、』
◇『ああ!そんな心配してないよw』
岩『え?』
◇『友達になったんだし
  そんな風に疑ったりはしてません。』
岩『…っ』
 
 
それは喜んでいいとこなのか?
 
 
◇『来てもいいんだけど
  飲み物とかあまりないなぁって思って。』
岩『買ってく!!!』
◇『あははw お願いしまーす。』
岩『何か欲しいものある?』
◇『ううん、あたし水派だから。』
岩『あ、俺も全然水でいいけど。』
◇『あ、ほんと?じゃあ大丈夫か。』
岩『じゃあすぐ向かうー!住所送って!』
◇『はーい。』
 
 
送られてきた住所は
俺んちから本当に近くて
車で10分もかからないところだった。
 
途中ケーキ屋さんに寄ってもらって
スイーツだけ買って車に戻った。
 
 
M)今日は早く終わって良かったね。
岩)うん!!
M)まぁ明日はめちゃくちゃ早いけどw
岩)早起き頑張る!!
M)あははは、お願いしますw
  はい、着いたよーー
岩)ありがとう。
M)明日の迎えはどっち?
  ここ?岩ちゃんち?
岩)え…っ
 
 
まさか…、、
泊めてくれるわけないだろうから…
 
 
岩)俺んちでw
M)はいよー、お疲れさーん。
岩)お疲れさま!!
 
 
マネージャーに送ってもらって
車を降りたのは
綺麗なモスグリーンのマンションの前。
 
ドキドキしながらオートロックを抜けて
エレベーターに乗る。
 
 
なんだろう…
女の子の家なんてしょっちゅう行ってるのに
なんか緊張すんな…。

 
なんであっさりOKしてくれたんだろ…
 
もしかして…もしかしてだけど…
 
◇ちゃんもちょっとは…俺のこと…、、
 
 
ガチャッ
 
 
◇)お疲れさま。
岩)…っ
 

玄関のドアが開いた瞬間、
「お疲れさま」って出迎えてもらえたのが
なんかすごく嬉しくて、
 
言葉が出てこなかった。
 
 
◇)どうぞーー
岩)お邪魔…します。
 
 
エプロン姿で出てきた◇ちゃんは
そのままキッチンに戻っていった。
 
俺は勝手に手を洗ってリビングへ。
 
 
岩)洗面所借りましたーー
◇)はーい。
岩)めっちゃいい匂いする!!
◇)座っててーー今運ぶーー
岩)はい!!
 
 
キッチンをちょこまか動き回る◇ちゃんが
小動物みたいで可愛い…w
 
美味しそうな匂いに
思わず腹の音が鳴る。
 
 
◇)あっはははw
  そんなにお腹空いてたの?w
岩)聞こえた…?w
◇)うんw
 
 
なんか恥ずかしいな…
飯目的で来たみたいじゃん。
 
 
◇)はい、どうぞ♪
岩)……いただきます。
◇)あたしもいただきまーす♪
 
 
テーブルに向かい合って手を合わせる。
 
熱々のシチューを少し冷まして
口の中へ運ぶと…
 
 
岩)美味いっ!!!
◇)…っ
岩)あっつ…w
◇)ゆっくり食べなよw
  誰も取らんわいw
岩)ぶはっw
  そっか、そうする。
◇)うん。
 
 
とは言ったものの、
美味しくてついガツガツ…。
 
 
◇)どんだけ腹ペコだったの…w
岩)違うよ!美味しいから!
  このビーフシチ…ュ…
◇)へ?
岩)ビーフ…シチウ…
◇)はい??
岩)ビーフシチゥ!!!
◇)ぶっっww
岩)…っ
◇)「ビーフシチュー」って言えないの?
  あっはははww
岩)……///
 
 
大笑いされてしまった…。
 
なんか悔しいのにそれよりも
楽しそうに大笑いする◇ちゃんが可愛くて
まぁいいやって思えてしまう。
 
 
◇)「ビーフシチュー」!
岩)ビーフ…シチゥ…
◇)www
岩)もういいよ!
  ビーフシチゥ言えなくても
  人生で困んないし!
◇)まぁそうかもねw
岩)おかわりーー!!
◇)え、ほんとに?w
岩)うん!美味しい!
◇)はいはいw
 
 
2杯目のシチューを食べながら
部屋をチラッと見渡す。
 
 
彼氏いないって言ってたもんな…
いつもみたいな男の痕跡は…、、
 
…って、あーーー!!!
 
 
岩)あの腕時計、何??
◇)へ?
 
 
明らかに男物なんですけど!!
 
俺がローテーブルの上を指差すと
◇ちゃんが不思議そうに答えた。
 
 
◇)友達の忘れ物だけど。
  知ってるメーカーなの?
岩)…っ
 
 
そうじゃなくて!
 
でも今
「友達」って言った。
 
 
◇)昨日忘れてったんだーー
岩)昨日??
◇)うん。
 
 
昨日は俺を断って
女友達と遊んでたんじゃないんですか!!
 
 
◇)昨日久々に10人も遊びに来て
  家壊れるかと思った。
岩)じゅ、じゅうにん?!
◇)うん。
岩)それは…すごいね…、、
 
 
決して狭くないけど…
10人も入ればさすがに
ぎゅーぎゅーになっただろうことは
想像できる。
 
 
◇)昔のバイト仲間で集まったの♪
岩)へぇ…。
 
 
楽しかったんだろうな…
ニコニコ可愛く笑ってる。
 
 
岩)友達とか…
  よく遊びに来るの?
◇)10人はさすがにないけどw
岩)ああ、うんw
◇)でもよく来るよーー
岩)へぇ…。
◇)女子会もよくするしーー
  男友達だと…岩ちゃんみたいに。
岩)え?
◇)タイミング合えば飯食わせろーって
  遊びに来る。
岩)へ、へぇ……
 
 
何それ!!
 
男友達そんなにいっぱいいんの?!
つーか簡単に男を家にあげるなよ!!
 
 
ちょっとしたヤキモチと
 
今俺もしかして、ただの友達の一人ですよー
って遠回しに言われた?
っていうガッカリ感。
 
 
岩)……。
◇)多かった?残していいよ?
岩)あ、違うよ…、
◇)??
 
 
手が止まってたのはそうじゃなくて…。
 
俺は誤解されないように
スプーンを口に運んだ。
 
 
岩)じゃあ…さ…、
◇)んー?
岩)俺もまた…「飯食わせろー」って言ったら
  食べさせてくれんの?
◇)……何それw
岩)……。
◇)今みたいな可愛い顔で言うならいいよ?
岩)…っ
◇)お腹空いて拗ねてる子供みたいで
  可愛かったw
岩)…っ
 
 
なんじゃいそれは。
 
完全に子供扱いされとるがな。
 
 
岩)料理…得意なの?
◇)得意って…誰かが「美味しい」って
  評価してくれないと言えないよね。
岩)めっちゃ美味しいけど!!
◇)じゃあ得意♡
 
 
にんまり笑った顔が可愛くて。
 
 
岩)……///
 
 
何その笑顔!!
反則なんですけど!!
 
 
岩)ほんとに食べに来よ…。
◇)図々しいやつーーw
 
 
とか言いながら笑ってくれてるから
ちょっとホッとする。
 
 
◇)でも、いいよ♪
岩)え?
◇)あんなにいっぱい買ってもらって
  なんか申し訳ないなーって思ってたから。
岩)いや、悪いのは俺だし…。
◇)ありがとね♡
岩)…っ
 
 
なんか…◇ちゃんが素直で可愛い…!
何これ!!
 
 
◇)ほんとはあの後…、
  ちょっと悪かったかなぁって
  反省してたの。
岩)え???
◇)キレすぎたかなって。
岩)…っ
◇)ごめんね?
岩)いや、ほんと悪いのは俺だから!
  ……むしろ…見捨てないで送ってくれて
  ほんとにありがとう。
◇)ううん。
 
 
迷惑かけたのは反省してるけど
 
酔っ払いながらも無意識に
◇ちゃんを引き止めた一昨日の俺を
今は褒めたい気分。
 
 
◇)ごちそうさまでしたーー
岩)あ!スイーツ買ってきたよ!
◇)え??
岩)あれ??どこやったっけ??
◇)え??
 
 
確か…リビングに入ってきて…
そのまま…
 
 
岩)あ、あった!これ!w
  置きっぱなしだった!
◇)なんで!w
岩)忘れてたw
◇)あはははw
岩)食べようよ♪
  ケーキ、どっちがいい?
◇)あ……、
岩)??
 
 
好みがわかんないから
ショートケーキとティラミスを
買ってきた。
 
 
◇)どっちでも…いいよー
岩)好きな方選んでよ♪
◇)じゃあ…ショートケーキ。
岩)うん♡
 
 
それからソファーに移動して
二人でケーキに口をつけた。
 
 
◇)美味しい。
岩)ほんと?
◇)うん。
岩)良かったーー♡♡
◇)……。
 
 
少しだけニコッと笑ってくれて
それだけで俺は嬉しくなる。
 
 
◇)あ、そーだ。
 
 
ケーキを食べ終わると
◇ちゃんが何か思い出したように
立ち上がった。
 
 
◇)はい、これ。
岩)へ?
◇)一昨日のタクシー代のお釣り。
岩)…ああ!いいよ、いらないよ!w
◇)なんで!
岩)なんでって…
◇)返すよ!ありがとう。
岩)……うん。
 
 
無理矢理、手に乗せられちゃった。
 
 
◇)あとね、はい、これ。
岩)あ。
◇)ちゃんと綺麗に洗ったよーん♪
岩)うん、ありがとw
 
 
いい匂いがする自分の服を受け取って
なんか少し寂しくなる。
 
別にこれで終わりじゃないんだけど…
 
 
◇)はーあ、お腹いっぱーい…
 
 
◇ちゃんはそう言って
ソファーの背もたれに頭を乗せた。
 
 
岩)俺もお腹いっぱーい…
 
 
俺も真似をして、隣で天井を仰ぐ。
 
 
◇)帰んないの?
岩)へ??
 
 
俺は慌てて起き上がった。
 
 
岩)帰れってこと??
◇)そうじゃないけど…
  いつまでいんの?
 
 
ひ、ひでぇ!!
「いつまでいんの」とか
女の子に言われたことねーし!!
 
 
◇)お風呂入りたいんだもん。
 
 
◇ちゃんがチラッと時計を見た。
時間はまだ21時。
 
帰ってたまるか。
 
 
岩)入ってくればいいじゃん。
◇)は?
岩)どーぞ?
◇)岩ちゃんは何してんの?
岩)ここでゴロゴロ。
◇)だったら帰れよ!w
岩)なんで!!
◇)なんでって…
岩)いいじゃん、別に。
◇)いいけど…、いや、いいのか?
  なんで帰んないの?
岩)居心地いいから。
◇)あっはははw
  そうなの?じゃあ好きにすれば?
岩)……。
◇)お風呂入ってこよーっと♪
 
 
彼女はるんるんと着替えを持って
バスルームに消えていった。
 
 
ちょっと待て。
 
 
滞在許可は取れたものの…
ちょっと無防備すぎねーか?
 
男友達が遊びに来てんのに
普通に風呂入るか??
 
俺のことなんだと思ってんだ??
 
 
よくわかんないモヤモヤを
クッションと一緒に抱えながら
ゴロゴロ…ゴロゴロ…
 
 
 
 
……
 
 
 
 

 
 
 
 
バタン。
 
 
◇)あ、ほんとにまだいた。
岩)!!
 
 
「まだいた」ってなんだよ!!
 
 
◇)お水お水〜〜〜♪
  ぷはーーっっ!美味しい〜〜♡
岩)……。
◇)岩ちゃんも飲むー?
岩)うん。
 
 
カタン。
 
 
◇)はい、どーぞ♪
 
 
水を運んできてくれた◇ちゃんは
風呂上がりのイイ匂いまで運んできた。
 
 
岩)バラ…?の匂いする。
◇)お風呂上がりだからね。
岩)……。
◇)あースッキリした♪
岩)……。
◇)で、いつまでいんの?
 
 
また言われた!!!
 
 
岩)つーかさ!!
◇)なに。
岩)ちょっと…、ここ!!
◇)??
 
 
俺がソファーから下りて
下に座ると
 
◇ちゃんは俺が叩いた向かいに正座した。
 
 
◇)なに。
岩)◇ちゃんって
  いっつもそんな無防備なわけ?
◇)は?
岩)他の男友達の前でもそんなんなの?
◇)そんなん?
岩)二人で飯食ったり…風呂入ったり…
◇)ご飯は食べるけど
  お風呂入るって言ってんのに
  居座る奴は岩ちゃんくらいかな。
岩)…っ
◇)みんな普通に話し終わったら帰るし。
岩)みんなって…
  男友達どんだけいんの!
◇)どんだけって…数えたことないけど
  女友達と同じくらい?
岩)…っ
 
 
そんなにいるんかい!
 
 
◇)何その顔。
岩)二人っきりは良くないと思う。
◇)何が?
岩)家の中で。
◇)はい?
岩)危ないじゃん。
◇)何が?
岩)なんかされたらどーすんの?
◇)誰に?
岩)男友達に!
◇)されるか!
岩)わかんないじゃん!
◇)わかるわ!
岩)…っ
◇)男友達とそんなことに
  なるわけないじゃん。
岩)……。
 
 
なんでそんな言い切れるんだよ。
 
 
◇)普通に仕事の話したり…
  恋愛の話したり…
  貸してた漫画返してもらって
  そのついでにご飯食べてったり…
  そんなんだよ?
岩)……。
◇)岩ちゃんは女友達と
  そーゆーことになるわけ?
岩)え…?
◇)だからそーゆー発想に
  なるんじゃないの?
岩)…っ
 
 
そう…なのかな…。
 
 
だって…なんつーか…
 
男女の友情なんて成立すんのかよって思うし
友達のフリしてたって
下心ある男だって絶対いると思うし…、、
 
 
岩)女友達とかあんまりいないからわかんね。
◇)へ?いないの?
岩)うん。
◇)じゃああたしは何?
岩)え?
◇)なんで友達になったの??
 
 
は、しまった。
 
 
岩)……面白そうだから。
 
 
苦し紛れにそう答えると、
 
 
◇)何やねんそれ!!w
 
 
なぜか関西弁で笑われた。
 
 
◇)ま、いーやw
  じゃあ岩ちゃんのこと何か教えてよ♪
 
 
ソファーにばふっともたれた◇ちゃんから
またバラのイイ香り…。
 
 
◇)せっかく友達になったんだし!
岩)……何かってどんなこと?
◇)なんでも♪
  仕事のこととか!
岩)仕事?
◇)うん!あたしとは縁遠い仕事だし
  興味あるー!
岩)◇ちゃんは何してんの?
◇)岩ちゃんが先ーー♪
岩)……。
 
 
クッションを抱えながら
無邪気にコロコロ笑う彼女は
なんだか子犬みたいだ。
 
 
亜麻色の長い髪を
くるくる人差し指に巻きつけて
俺が喋るのを待ってる。
 
 
岩)三代目のことどれくらい知ってる?
◇)どれくらいだろ…。
  友達がたまにカッコイイって言ってるのと…
  あとは…、
岩)うん。
◇)会社のね?向かいのおばさんが
  ものすごくファンで、
  岩ちゃん岩ちゃんって言ってる。
岩)おおお!!
  おばさま、ありがとうございます♡
◇)だからそのおこぼれ情報程度。
岩)どれくらいこぼれてくれてんだろw
◇)わかんないw
  だからイチから話して〜♪
  ほい!
 
 
隣をトントン叩かれ、
俺もソファーに座った。
 
 
どこから話していいのかわからず…
 
三代目の大まかな説明や
普段の活動内容を話すと
すごく楽しそうに聞いてくれるから。
 
俺はそのまま写真を見せながら
メンバーも一人ずつ紹介した。
 
 
◇)楽しそうだねー♡
岩)うん、ほんと仲良いんだ♪
◇)岩ちゃんは末っ子なのか。
岩)グループではね。
◇)家族は?
岩)ああ、兄弟でも下だわw
◇)おおお!!うらやましー!!
岩)え?
◇)あたし長女やから下ってうらやましー
岩)長女なの?
◇)うん。弟と妹がいるー。
岩)俺は兄貴がいる。
◇)下の子はいつもおいしいとこ
  持っていくんよね〜〜
  憎いなっ!
 
 
ビシッ
 
 
岩)いてっw
◇)甘えるのも上手やしさ〜〜
岩)そうなのかな。
◇)うん。
岩)◇ちゃんは甘えるの下手なの?
◇)…だって「お姉ちゃん」は
  甘える人がおらんやん。
岩)……。
 
 
そういうもんなのかな…。
 
 
岩)じゃあ…彼氏に甘えればいいじゃん。
◇)甘えさせてくれる彼氏ならね。
岩)……。
 
 
彼女に甘えさせない彼氏なんか…いるか?
 
 
岩)◇ちゃんってさ、いつから彼氏…
◇)あ〜おもしろかった〜♪
  今度からTVとかで三代目見るの
  楽しくなりそう♪
岩)……。
◇)またいろんな話聞かせてね!
岩)……。
 
 
遮られたのか、たまたまなのか、
わかんないけど…、、
 
 
岩)◇ちゃんのことも教えてよ。
◇)仕事の話?
岩)なんでもいーよ?
◇)うーん…。
 
 
そこからは
◇ちゃんが話してくれる番になって。
 
 
彼女の職業はSEらしくて
仕事の内容は説明してくれたけど
難しくてよくわからなかった。
 
でもすごくやり甲斐があるらしくて
毎日楽しいらしい。
 
 
たまに徹夜で
朝までかかることもあるらしいけど
それでも楽しいとニコニコ笑った。
 
 
何かに一生懸命な子っていいなーとか
ぼんやり思いながら
その笑顔を見てるだけでなんだか和んだ。
 
 
◇)何笑ってんの??
岩)いや…八重歯可愛いなーってw
◇)!!!
 
 
俺の言葉で
◇ちゃんは慌てたように
自分の口を押さえて…、
 
 
岩)なんで…、
◇)コンプレックスなの!
岩)八重歯が?
 
 
コクコクと頷いた。
 
 
岩)なんで?可愛いじゃんw
◇)だって…子供っぽいでしょ…。
岩)そうかなぁ…。
 
 
子供っぽいなんて思ったことないけど…
◇ちゃんはおっぱいだって大きいし…。
 
 
◇)ちょっと!!
岩)えっ
◇)今おっぱい見たでしょ!!
岩)あ…バレた?w
◇)変態!!!//
岩)なんでおっぱい見ただけで変態なんだよ!
◇)エッチ!!!
岩)…っ
 
 
なんか…可愛い…。
 
いつもだったら適当なこと言って
このまま襲っちゃうんだけどなぁ…。
 
 
岩)とりあえず…。
◇)わっ…、
 
 
俺は◇ちゃんの手を外した。
 
 
岩)可愛いんだから隠さなくてよろしい。
◇)……//
岩)八重歯ってさ、
  女子の憧れなんじゃないの?
◇)そんなん…聞いたことないし…。
岩)あえて八重歯にする子もいるって
  聞いたことあるけど…
◇)あたしは…やなんだもん…
岩)別に子供っぽくないし可愛いから
  隠さなくていいよ。
◇)……//
岩)ほら、にぃーーーっ
◇)…っ
岩)にぃーーーっ
◇)……に…ぃ…っ
岩)うん、可愛いw
◇)////
 
 
あ、はにかんで俯いちゃった。
 
 
◇)そんな風に言われたの…初めて…。
岩)え…?
◇)……ずっと…やだったけど…
  やじゃなくなった…かも…、
岩)…っ
◇)…ありがとっ///
 
 
顔を上げた◇ちゃんは
悔しそうな嬉しそうな
なんともいえない表情で笑った。
 
 
ああ…もう…
可愛いなぁ!!くそー!///
 
 
目がクリクリしてて…ほんと…
 
 
岩)犬みたい…w
◇)は??
岩)なんかクリクリ…コロコロしてて…
  ◇ちゃんて子犬みたいだよねw
◇)…っ
 
 
あれ?
俺なんかマズイこと言った??
 
 
◇)誰が犬だっ!!
岩)えっ
◇)子供っぽいって言われるより
  失礼だしっ!!
岩)いや、可愛いって褒めてんだけど…w
◇)全然褒めてないしっ!!
  チビだから馬鹿にしてんでしょ!!
岩)違うって!w
◇)……。
 
 
あーあ…、ふくれちゃった…。
 
 
岩)何cmなの?
◇)……155。
 
 
ボソッと答えたその回答が
予想的中で一瞬喜んだけど
 
睨まれてすぐに真顔に戻した。
 
 
岩)別にそこまで小さくないじゃん。
◇)チビだもん。
岩)……。
◇)ちんちくりんだもん。
岩)……ぶっw
◇)なんで笑うの!
岩)だって…w
 
 
ふてくされてる顔がまた可愛いw
 
 
岩)子犬みたいって言ったけど
  別に悪口じゃなくて…w
  155だってちゃんと女の子でしょ。
 
 
ポンポン。
 
 
◇)またポンポンした!!
岩)えっっ
◇)このやろーー!!
岩)あ!!ダメなんだっけ!!
◇)チャラ男めーーー!!
岩)ごめん!!わざとじゃない!!
◇)がるる…
岩)ぶっww
 
 
やっぱり子犬かもw
 
 
岩)よしよしw
◇)ポンポンすんなっっ!!
岩)はいはいw
◇)もう帰れ!チャラ男!!
岩)はいはいw
 
 
時計はもう23時半。
 
 
岩)……。
 
 
帰りたくないなぁ…。
 
 
◇)何してんの。
岩)考えごと。
◇)……何の?
岩)どうしたら泊めてくれるかなぁって。
◇)は??
岩)……。
◇)泊まるって、うちに??
岩)うん。
◇)なんで??
岩)……。
 
 
なんでだろ。

別に手を出すつもりなわけじゃなく、 
まだまだ話してたいだけなんだけど。
 
 
◇)わかった!!
岩)え?
◇)岩ちゃんち、アレ出たんでしょ?!
岩)……はい?
◇)あたしも前に出た時、
  友達の家に避難したもん!!
岩)へ??
◇)岩ちゃんち汚かったし
  出そうだもんね…。
岩)何が?
 
 
彼女は口に出すのも
恐ろしいといったような表情で
意を決したように、口を開いた。
 
 
◇)ゴキブリ。
 
 
……。
 
 
岩)はぁ!!???
 
 
思わず俺が大きな声を出したから
◇ちゃんはきょとんとしてる。
 
 
◇)え…、違うの?
岩)ちげーし!!w
◇)へ……
 
 
まだ一緒にいたいって暗に匂わせて
ゴキブリと勘違いされたのなんて
人生初だわ!!
 
 
岩)あったまきた。
◇)えっ
岩)家ピッカピカに掃除してやる。
◇)何それ…
岩)だから今度遊びに来て。
◇)やだ。
岩)えっ…
◇)ゴキブリ出る家なんて行きたくない。
岩)出ないっつーの!!w
◇)じゃあなんでうちに泊まりたいの?
岩)え……、
 
 
そうだ、その問題でした。
 
 
岩)なんでって…、、
◇)……。
岩)……。
◇)居心地…いいから?
岩)……うん、そう。
◇)そんなにこのソファー気に入ったの?
岩)え?
◇)これ、いいでしょ♪
  奮発して買ったんだから〜♪
 
 
俺の本音をよそに、自慢げなドヤ顔。
 
 
岩)ぶっww
◇)えっ…
岩)ま、いいや、うんw
  今日は帰ります。
◇)うん。
 
 
当然だろって顔されたw
 
 
◇)気をつけてねー
岩)うん、ご馳走様でした。
  ほんと美味しかった。
◇)料理「得意」だからね♪
 
 
俺が与えた称号にニヤッと笑う彼女。
 
 
俺を見上げる子犬みたいな瞳が
やっぱり可愛くて…
 
頭を撫でたくなるのを、我慢…我慢…。
 
 
岩)ほんとありがと。
  お邪魔しました。
◇)うん、おやすみー♪
 
 
バタン。
 
 
最後にチューでもしたかったけど
そんなん出来るのは
まだまだ先になりそうな予感。
 
 
とりあえずは俺を
男として見てください。
 
 
返してもらった服を
俺がわざと置いてきたことに
 
彼女が気付くのは、いつだろう。
 
 
 
 
 
 
 
ーendー

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