【183】たくさんのキュン(津田さんSide)

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おかげさまで撮影は順調で

二人がサッカー観戦してるところや
一緒に晩ご飯を食べてるところも
無事、撮り終わった。


順調すぎて大分早めに進んでるから
♡ちゃんが休憩に
昼間買ったイチゴを洗って切って
みんなにふるまってくれた。


女)わぁ!本当に甘いですね!
マ)うん!これは美味しいわ♡
♡)えへへー♡良かったぁ〜♡


俺のところにも
トコトコ歩いてきた。


♡)津田さんも座ってください♡
  はい、イチゴ♡
津)僕も?w
♡)はい♡
津)ありがとうw


カメラを置いてガラス皿を受け取ると
ソファーに座るように促された。


♡)ずっと立ちっぱなしだと
  疲れちゃうから…座ってください♡


そんな可愛くお願いされたら
大人しく言うことを聞いてしまう。


♡ちゃんは本当にいつも元気で笑顔で
一緒に仕事をしていると楽しい。

っていうのは
一緒に仕事をしたことがある人間なら
誰もが思ってるはずだ。


さりげなくスタッフのことも
気遣ってくれるし

何よりやっぱり
こうして笑顔でいてくれるのが
スタッフにとっては一番ありがたい。

場も心も和む。


まだモデルとしては新人だからなのか
それともこの子がそういう性格なのか
ワガママや文句も全然言わないし…
嫌な顔だってしない。

っていうのを他のカメラマンからも
聞いたりしてる。


女)残すカットもあとちょっとですねぇ。
津)だねぇ。
女)今日の撮影はほんと楽しいなw
女)ねっ♪
女)登坂さん、なんかイメージと違ったよね。
女)わかるーー!


イチゴを頬張りながら
アシスタントがひそひそ話してる。


女)もっとクールなイメージだった。
女)うんうん。
女)でも今日の登坂さんの方が好き。
女)断然!w
女)なんか自然体でいいよね♡
女)うんうん♪
津)二人とも…くれぐれも…


一応念を押そうとした
俺の言葉を遮って


女)わかってますよ!!


強めに言われた。


女)♡さんが本当の彼女だってことは
  トップシークレット!
津)はい。
女)でもこの企画大当たりですよ。
  津田さんさすが〜♪
津)どーもw
女)見たことない登坂さんの素顔が
  こんなに満載で…
  この雑誌どれだけ売れちゃうんだろう。
女)想像するとニヤけますなぁw
女)あはははっw


確かにこれでもかってくらい
いいショットがたくさん撮れてるから…
こりゃー選別が大変だな。


津)……


二人に目をやると
仲良くイチゴを食べてる姿が可愛くて
思わずまたカメラに手を伸ばしそうになるけど

今はせっかく
♡ちゃんがくれた休憩タイムだから…
我慢、我慢。


撮影再開後は
またソファーに座ってもらって
大きなTVに洋画を流した。


♡)全然わかんない…
臣)ふはっw
津)ごめんね〜〜w
  雰囲気出るように字幕無しでw
♡)臣くんわかるの??
臣)大体ね。
♡)ほわぁ…すごいなぁ…
女)はい、どうぞ♡
  ワインと見せかけたジュースでーすw
臣)あはははw
♡)ぶどうジュース??
女)そうですよー♡
♡)ほんとにワインみたーい!


パシャッ、パシャッ


映画鑑賞シーンを撮ってると
アシスタントが声をかけてきた。


女)お風呂のお湯、たまりました〜!
津)よし、じゃあ移動しよう。


機材を風呂場へ動かして
アングル確認をしてると
二人が後ろからひょっこり覗いてた。


臣)風呂って…
♡)入るんですか…?
津)ぶはっww


双子のような動きに
思わず笑ってしまった。


津)入らないよーー
女)えっ!!!
津)え??
女)入ってくださいよ!
  登坂さんだけでも!
津)ええっ!!
  だから露出はナシだって!!
女)お風呂くらいいいじゃないですか!
女)そうですよ!!
津)ええ〜〜!!


服を脱ぎかけ程度のショットに
おさえようと思っていたのに

アシスタント二人の熱意はすごかった。


女)入ってください!!
女)全国民が見たがってます!!
臣)んなことないないw
女)ありますっ!!!
臣)…っ


あまりの勢いに
登坂くんも黙った。


津)うーーーん、じゃあ…撮る?
女)やったぁ〜!!!!
女)よっしゃ〜!!!!


二人して大喜び。


津)でもこのへんまで浸かってもらって
  セクシーショットにはしないよ?
女)いいですよ♪
  しなくたってセクシーになりますもん♪


なんなんだその自信はw


女)ささっ、登坂さん、脱いでください。
臣)……はーい。
女)いつもは一緒に
  入ってるかもしれませんが
  今日は一人でお願いします。
臣)ぶっww
♡)は、入ってませんっ!!///
女)あら、失礼しました…w
♡)///


赤くなった♡ちゃんに
登坂くんが口だけで
「うそつき」とからかった。

バシッッ


臣)いてーな!!w
♡)ぷいっっ//


そうかそうか、
普段は一緒に入ってるんだな。


♡)もうあっち行ってるもんっ!
臣)へーーいw

津)……ww


ほんと可愛い二人だなぁ…ww


それから登坂くんに
湯船に入ってもらうと

アシスタントの謎の自信が
間違いじゃなかったことを思い知る。

身体はほとんど見えてないのに
なんなんだこの色気は。


女)いいですいいです登坂さん!///
女)最高です!!♡
臣)なんか風呂を覗かれてる気分…w
津)あはははっw


パシャッ、パシャッ


津)うん、いいね。


濡れた髪をかき上げたり
目を閉じて天井を仰いだり

イイ男は何をしてても様になるなぁ、うん。


女)じゃあ次は
  登坂さんがタオルを忘れた設定で
  ♡さんが渡してあげてください♪
♡)はーいっ!


♡ちゃんがバスタオルを抱えて待機してると
登坂くんが湯船から上がる音がした。

パシャン…


ガラガラッ


臣)ん。


登坂くんが♡ちゃんに腕を伸ばした。


臣)ん。
♡)……//
女)……//
女)……//
臣)ん?……ん!
♡)…っ


登坂くんに3回催促されて
ようやく♡ちゃんがバスタオルを渡した。


臣)何ボケっとしてんだよw
♡)だ…って…//


いつも一緒にお風呂に入ってて
こんな光景、見慣れてるだろうに

アシスタント二人と一緒になって
照れてるところが
彼女の可愛いところなんだな、きっとw


女)はぁ…色気が…///
女)たまらんですなぁ…///
津)ぶはっww


女子をこんなオヤジにさせてしまうほど
登坂くんは確かにまぁ色っぽい。


女)次は二人で仲良く
  ドライヤーのシーンです!
女)こちらへ〜〜


♡ちゃんの髪も少し濡らしてもらって
登坂くんが♡ちゃんの髪を
拭いてあげてるショットも撮る。


臣)わしゃわしゃわしゃ〜〜
♡)ん〜〜〜っ


登坂くんにバスタオルで包まれて
きゅっと目を閉じてる♡ちゃんが可愛くて
思わず♡ちゃんを撮ってしまった。

違う違う、主役は登坂くん!!


すぐにピントをずらすと
登坂くんは登坂くんでまたイイ顔してるな〜〜


でもそんな二人の表情よりも
アシスタント二人は
上裸にバスタオルを腰に巻いてるだけという
登坂くんの身体に釘付けだった。


女)カッコ良すぎる…♡
女)筋肉ヤバい…♡
女)はぁぁぁ///
女)ぽわぁぁ///
津)ぶくくくww


それから二人は鏡の前へ。


津)そろそろ登坂くんにこれ、
  着せてあげてよw


俺がバスローブを渡すと


女)はっ!バレたか…
女)ギリギリまで裸でいてもらおうと
  思ってたのに…
津)こらこら!w


確信犯だったw


鏡の前に♡ちゃんがちょこんと座って
その後ろに登坂くんが立って
ドライヤーのスイッチを入れる。


女)登坂さん、ドライヤー、上手っ!!
女)プロみたいな手つき!!

♡)あったかくて気持ちぃ♡
臣)寝るなよーw
♡)寝ないよーw


登坂くんが慣れた手つきで
♡ちゃんの髪をふわふわに仕上げていく。

本当に美容師みたいに上手だな…


女)じゃあ次は交代で、
  ♡さんが登坂さんの髪を
  乾かしてあげてください。
♡)はいっ!!


♡ちゃんがシュタッと立ち上がった。


♡)はい、臣くん座って♪
臣)はいはいw
♡)いくよ〜〜

ブォーーーーッッ


♡ちゃんがるんるん楽しそうに
登坂くんの髪にドライヤーをかける姿が
可愛らしくて微笑ましい。

登坂くんは悪戯に舌を出したり
頭を後ろに傾けて
♡ちゃんの顔を見上げたりして…


女)なんて仲良し感が満載なんでしょ//
女)ほんと…理想のカップル//


うん、本当にお似合いだよなぁ…


女)じゃあ最後はベッドです!
  移動お願いしますっ♪


アシスタントがベッドの上に
パジャマを並べた。


女)どれにしますー?
臣)え、選んでいいんですか?w
女)普段はパンツ一丁なんですもんね?
臣)ああ、はいw
  それかTシャツ着るくらい。
  パジャマなんか着ないよな?
♡)そうだね!新鮮〜〜♡
女)♡さんはいつもは?
♡)私は…こんな…ナイトウェアです。
女)ネグリジェ的な?
臣)なんかエロいやつ。
♡)ちょっとぉ!!//

バシッ!!

臣)いてっ!!w
女)そっかそっか…
  ♡さんはいつもエロいやつを…
♡)着てませんっ!!//
臣)ぶっww
♡)臣くんが変なこと言うから!!
臣)はいはい、すいません〜〜
  可愛いやつです、可愛いやつーーw
♡)そうだよっ!//


♡ちゃんがほっぺを膨らましてるw

はっ…

気付いたらまた撮ってた!


♡)黒いパジャマなんて着たことないやー


♡ちゃんが黒を手に取ると
登坂くんが取り上げた。


臣)やだやだ、なしなし。
♡)えっ?
臣)黒とか好きじゃない。
♡)えっ!
臣)なんか武装してるみたいだもん。
女)武装?!w
臣)隙がないっていうか。
  パジャマも下着も黒はなんか
  強いイメージするから嫌。
女)し、下着っ?!//
♡)ちょっと!何変なこと言ってるの〜!//
臣)ほら、白のが可愛いじゃん♡


登坂くんに渡された白いパジャマを
♡ちゃんがあてがった。


♡)あ、ちょっとピンク入ってる♡
臣)なー?お前好きだろー?
♡)うんっ♡これにするー♡
  臣くんはー?
臣)俺は…
女)お揃いにしますか?♡
臣)え……//
♡)でも臣くんは黒の方が似合いそうだな♡
臣)……


登坂くんが白と紺と黒を
それぞれあてがうと
黒の時に女子一同、声が揃った。


三人)これーーー!!♡♡

臣)…っww


うん、確かに黒が一番似合ってる。


女)本当は裸がいいんですけどねぇ…
女)上裸にベッド…最高なのになぁ…


二人が着替えてる間、
アシスタントが恨みがましく
俺に聞こえるようにボソボソ言ってるw


津)それは朝撮ったでしょw
女)ベッドではいつだって裸!!
女)そうですよ!!
津)毎回毎回あらわになってるより
  たまには包まれた魅惑を
  感じてくださいよ、姉さんたちw
女)え〜〜〜〜


ブーブー言ってた二人も
登坂くんが黒いパジャマを着て
ベッドに上がると大喜びだった。


女)そ、想像以上に似合うっ!///
女)ヤバい!大人の色気!!///
女)くぅぅぅっ♡

津)とりあえずベッドの上で
  普通に会話しててもらえるかな?
  布団には入らずに。
臣)はーい。
♡)わぁ!クッションが増えてる〜♪


♡ちゃんがベッドに乗って
クッションを抱えた。


♡)わ!すっごくふかふかだよー♡
臣)ほんと?
♡)はい♡
  臣くんにもふかふかあげる♡
臣)ん。ってほんとにふかふかだなw
♡)気持ちいいよね〜♡
臣)……
♡)……


二人が突然、顔を見合わせて笑い出した。


臣)あの時みてぇw
♡)思ったーー!w
臣)あれもほんとふかふかだったもんなー
♡)ねっ♡お部屋も素敵だったし♡
臣)スイートですからねーー
♡)うん♡
臣(また泊まりたい?)
♡)えっ
臣(スイート。)
♡)……//
臣(何赤くなってんの。)
♡(なってないもん!//)
臣(エロい事思い出してたんだろ〜〜)
♡(思い出してないっ!//)

バシッ

臣)暴れるなっw
♡)ばかーーっ!


なんかよくわからないけど
パジャマ姿でじゃれ合ってるのが可愛いから
俺はシャッターを切りまくる。

微笑ましいなぁ♡


♡)ね、ね、パジャマ新鮮だね//
臣)うん。でも普段はいらないかな。
♡)え?
臣)お前のいつものやつの方が好き。
♡)そう?
臣(うん。脱がしやすいし♡)
♡)!!!

バシッ

臣)暴力反対!!!
♡)ばかーーっ!///


登坂くんにクッションをぶつけて
そんな♡ちゃんの両手を
登坂くんが抑えて

二人の手が絡み合った。


女)可愛いなぁ…//
女)うんうん♡


パシャッ、パシャッ


♡)臣くん…前髪ふわふわだね。
臣)んー?


登坂くんが前髪を見上げて指でつまむと
♡ちゃんが前髪をふわっと撫でた。


♡)ふふっ♡かわい〜♡
臣)……//


パシャパシャッ


女)はっ、いかんいかん!見とれてた!//
女)あっ、ほんとだね!次いかないと…
女)じゃあ♡さんにはこれ…
  登坂さんは寝転がりながら
  携帯いじっててもらえますか?
臣)自分の携帯でいいんすか?
女)はい。


二人とも布団に入って
♡ちゃんは座りながら読書。
登坂くんは横になって携帯をさわってる。


女)そのままちょっと会話してください〜


お、いいな…

登坂くんを見る♡ちゃんの目が
すごく優しくて

♡ちゃんを見上げる登坂くんの目も
すごく優しくて


パシャパシャッ


女)じゃあ最後になりますーー
  ♡さんも横になって
  ベッドの中で見つめ合ってください〜
女)お互いの顔を見ながら
  普通に会話しててください〜


ベッドの中で見つめ合うって…
ちょっと間違えたら雰囲気壊れそうなのに

この二人はさすがだった。


登坂くんは自分の腕を枕にして
♡ちゃんの方を向いてる。

♡ちゃんは登坂くんを少し見上げる感じで…

お互いに見つめ合ってるんだけど
いやらしい感じじゃなくて
なんだかあったかい雰囲気を醸し出す。


この二人はあえて触れ合ったり
イチャついたりしなくても
不思議とラブラブ感が出るんだよなぁ…

俺が撮りたいのはまさにこれ。

その視線から…表情から…
あたたかい愛情がにじみ出て…
相手を大事に想う気持ちが伝わってくる、
そんな優しい空間。


パシャッ、パシャッ


シャッターを切っていると
アシスタントがねだるような声で
近付いてきた。


女)津田さぁん……
  やっぱりタッチ禁止ですか…?
津)……
女)頭なでなで…だけでも…!!
津)……
女)どうか…!!
津)……いいよw
女)やったーーー!!
女)登坂さーん!
  ♡さんの頭を撫でてあげてください〜♡


アシスタントが大喜びで声をかけると
登坂くんの手が優しく
♡ちゃんの頭に触れた。


津)……


大切なものに触れるみたいに…
優しく触れる大きな手。


何か話してるけど俺には聞こえない。


ずっと優しく髪を撫でる登坂くんに
♡ちゃんが少し恥ずかしそうに俯くと

登坂くんはそのまま
♡ちゃんの額に自分の額をそっと合わせた。


……こつん…


女)かっっ!!かわっ…いい!///
女)きゃぁぁっっ///


一気に近付いた二人の距離に
アシスタントが大興奮。

登坂くんがそのまま
♡ちゃんの頬を撫でると
小さくキャーキャー言いながら
二人でバシバシ叩き合ってた。


女)たまらんですっ!///
女)映画のワンシーンみたい!///
津)……


エロ無し!露出ナシ!接触ナシ!

最初にそうは言ったものの

こんな劇的シーンを
撮り逃すわけにはいかない。


だって…
俺が言ってた「接触」とは全然違うし!
エロくもないし!!


ただただ二人が可愛くて…
そうだ、これはきっと
女子がよく言う「キュン」だ!!


絶対に女子の胸を
甘く切なくさせるであろう
「キュン」の瞬間を、たくさん撮り納めて

この日の撮影は無事、終わった。


津)はぁ〜〜1日長かったね!w
女)あっという間でしたね〜〜!!
女)ほんと早かった!!
♡)ありがとうございましたぁっ♡
臣)お疲れさまでした。
津)いや〜〜ほんと今日は楽しかったよ。
♡)私も楽しかったですっ♡
  津田さんとのお仕事は
  なんだか安心します♡
津)え、ほんと?なんか嬉しいなw
♡)えへへ♡


可愛いなぁ…w

ああ、そういえば…
ZZが♡ちゃんを狙ってたっけ。

変なカメラマンも多いからかな…


♡)津田さんに撮られてると
  パパに撮られてるみたい♡
津)ええっ!!お父さん?!w


そりゃー俺も
結構なオヤジですけど…
お父さんって…!w

でも…そんな可愛く嬉しそうに言われたら…
もうなんでもいいです、はい//


臣)♡のお父さんも
  カメラマンだったんですよ。
津)えっ!!そうなの?!
♡)はい♡


ああ、そういうことか!
……でも、「だった」って…?


津)なんていう人?
♡)「玲司」です。
津)レイジ?
  …レイジ…って…、えええっ!!!
♡)ご存知…ですか?
津)知ってるよ!!!


レイジさんに憧れてる人は
すごく多かった。

本当に才能がある人で…
レイジさんが撮った写真は
どれも素晴らしくて…


津)……


ああ、だから…「だった」なのか。


津)レイジさんにはお世話になりました。
♡)ええっ!そうなんですか?!
津)そうか…レイジさんの
  娘さんだったんだね。
♡)……


ああ、言われてみれば…
瞳がそっくりだ。


それを知った今、
「パパに撮られてるみたい♡」は
何よりの褒め言葉だ。


津)ありがとう♡

ぽんぽん♡

♡)えへへ//


無邪気に笑う♡ちゃんが
なおさら愛しく感じた。


津)これからも…よろしくね。
♡)はいっ!!
臣)僕も今日は楽しかったです。
  ありがとうございました。
津)いや〜〜登坂くん、ほんとありがとう。
  良い写真がいっぱい撮れたよ。
臣)なんかリラックスして撮影できましたw
津)うん、それは伝わってきた!w
臣)あはははw


二人を見送って

俺はそのまま事務所に戻って
データを一通り確認した。


津)ふぅ……


予想通り。
どれもこれも良い写真ばかりで
選びきれないな、こりゃ。


15ページももらえて喜んでたけど
それでも今は足りない気分。
もう二人の写真集にしたいくらいだな。


…って俺はなんでこんなに
♡ちゃんも撮ってるんだろうw

あの子の眩しい笑顔は
ついついシャッターを切りたくなる。


津)お蔵入りするのは勿体ないなぁ…


でもやっぱり…
今回の主役はこの可愛い登坂くんだから。

ほんといい顔してる…。


津)……


こんな「登坂広臣」…
誰も見た事ないだろうな。

そう、♡ちゃんしか。


それを世に出してしまうのは
♡ちゃんにはちょっと申し訳ないけど…

全国のファンはきっと
大喜びするって…確信できるから。


津)ふぅ……



俺は休憩がてら
デスクの隣の書棚から
レイジさんの写真集を引き抜いた。

パラ…パラ……


色んな空…色んな景色…
色んな笑顔…

レイジさんの写真は
そのどれもがあたたかい。


津)……


カメラを始めたばかりの頃、
何が撮りたいのかわからなくなった俺は
友達に誘われて
レイジさんの写真展に行った。


それが初めての出会いで。


その写真の美しさやあたたかさに
心打たれて…

どこの誰かもわからない俺と
気さくに話してくれるその人柄に惹かれて…


最後にお礼を告げて
レイジさんを見送る俺の足元に

ひらりと滑り落ちた、一枚の写真。


津)レイジさん!!
レ)??
津)写真、落としましたよ!
レ)ああ!!


写真に写っていたのは
綺麗な女性と小さな女の子。


レ)すみません、恥ずかしいな//
津)ご家族の写真ですか?
レ)はい…//
  これだけはいつも持ち歩いてるんです。


そう言って照れくさそうに笑った顔は
今日見た♡ちゃんの笑顔と
本当によく似ていた。


津)懐かしいな……


ああ、レイジさん…

写真で見たあんなに小さかった女の子は
とても良い子に育ちましたよ。


明るくて元気で素直で
頑張り屋さんで…

誰からも愛されるような
太陽みたいな女の子。


津)……


俺はまた
パソコンに目を移した。

登坂くんと一緒に
楽しそうに幸せそうに笑い合う♡ちゃん。

こんな笑顔を…
レイジさんにも見せてあげたかったな。


津)いや……


きっと見てるよな。

あの人が大好きだった、空の上から…




ーendー

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