【172】頬に触れた小さな手(岩ちゃんSide)

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俺がわらび餅を開けると
◇がフォークを持ってきてくれた。


岩)いただきまーす。
◇)ドキドキ…
岩)お、美味い!!
◇)やったーー!!


二人でパクパク食べながら大阪の話に。


岩)あ、あれ賞状?
◇)うんっ!!
岩)すげ〜〜〜〜
◇)チームにもらったんだけどね、
  皆があたしに持って帰っていいよって
  言ってくれたから…
  あそこに飾ってるのー♡
岩)いいじゃん♪


壁には賞状と記念写真が飾られてた。


岩)パーティーの写真とかないの?
◇)あ、見る??
岩)うん。
◇)えっとねーー


◇が俺にぴたっとくっついてきて
写真を見たいと言った自分を褒めたくなった。


◇)ここからだよー♪
岩)うわ、会場すげぇ広いじゃん!
◇)うん!!
岩)レッドカーペットかよ!!
◇)そうなの!!ほんと緊張した!!
岩)すげぇなーーーー


写真をスワイプしていくと
知らない男がスピーチしてる写真が出てきた。


◇)あっっ///


いきなり携帯を奪い返そうとしてくるから
俺は◇の手が届かないように片腕で抑えた。


岩)誰これ。
◇)そ、それはいいのっ!///
岩)……


すげぇイケメンなんだけど…
なんかどっかで…見たことあるような…


スワイプしていくと
この男の写真が10枚くらい…


◇)見ないでよぉっっ///
岩)……


まさか…


岩)これが…「憧れの人」?
◇)…っ///
岩)……


もう一回写真を戻してマジマジ見た。


岩)ふーん、同じ会社だったんだ。
◇)///
岩)イケメンですねーーー
◇)///
岩)隠し撮りですかーーー
◇)///


なんかムカムカムカ。


◇)こんな時しか
  写真撮るチャンスないんだもんっ///


お、開き直りやがったな。


岩)あれ?今度は違う男が出てきた。
◇)あっ!それは…


今度はもっと甘い感じの…
そう、ジャニーズっぽい男。


◇)それは違うー!
  多田さんに頼まれたやつー!
岩)……


多田さんって…
確か…俺のファンの??


◇)あたしじゃないもんっ//
岩)……イケメンの写真集でも作る気かよ。
◇)違うってば!w
岩)ふーーーん。
◇)この人たちはね、なんていうか…
  特別なの!
岩)は?
◇)あたしがね、勝手に
  「王族」って呼んでるんだけど…
岩)王族ー?!!
◇)そ!!
  うちの会社の美男美女!!!
  4人いるの!!
岩)……
◇)すっごい人気なんだよーーー
岩)へぇ…、美男美女ねぇ……
◇)うん!!
岩)で、お前はその一人に
  恋してるわけね?
◇)恋じゃないってば!//
岩)……


ムカムカムカ。


◇)だってね、この二人は…
岩)……
◇(内緒だよ?)


いきなり俺の耳元に手を添えて…


◇(姫さんが好きなの!)
岩)…っ


二人しかいないのに
謎に声を潜めて、耳元で喋る仕草が可愛くて

くだらないムカムカが一瞬で消えた。


岩)ぶっww
◇)内緒だからねっ!
岩)俺が誰に言うんだよw
◇)はっ!そうか!
岩)あはははw


なんなんだこいつ…
ほんと可愛いな…ww


岩)「姫さん」ってなんだよw
◇)だから!王族の一人!
岩)……
◇)仕方ないから
  剛典には全員紹介してあげる!
岩)……


なんか嬉しそうに立ち上がって
雑誌を持ってきた。


◇)あのね、王族の二人は
  すっごく可愛い人と美人な人でね、
  あたしは姫さんのファンなの!
岩)姫さん…ww
◇)ちょっと!バカにしてるでしょ!
岩)姫さんって…ww
◇)だって会社で「姫」って
  みんなに呼ばれてるんだよ?
岩)マジで?あだ名なの?w
◇)あだ名っていうか…
  周りが勝手にそう呼んでるの。
岩)へぇ……
  そんなに可愛いわけ?
◇)うん!!!


まるで好きな芸能人の話をするみたいに
嬉しそうに「王族」の話をする◇。

「姫」って呼ばれるほど可愛い子ねぇ…


◇)ほら、見て!!!
岩)……


◇が俺の前に、雑誌を開いた。


◇)これが姫さん!♡♡
岩)!!!!


え、え、えええええっっ!!!!!


◇)王族の方々はね、その美貌のあまり
  モデルを始めたのよ、先月から。
  これはその記念すべき第1号。
岩)…っ
◇)会社の人はみーーんな買いに走ったのw
岩)……


びっくりして言葉が出ない。


岩)……


はっ!!!!

そうか!!!!!


「なんかさ、今日大阪にいんの。」

「会議?だかなんだかで。」


臣さん言ってたじゃん!!

なんで俺、気付かなかったんだろ!!


岩)……


それに…
どこかで見たことあると思ったら
この男…


ーーー


E)この間って何??
  臣にケンカ売ってきた男の話??
臣)それはこいつ。
E)ええええ!!!!
N)ちょ、ちょ、ちょっと待って
  話が全然見えない!!
  説明して、誰か!!
隆)こっちの黒髪の子と写ってんのが
  臣の前で♡ちゃんに告った奴でしょ?
臣)そう。
E)で、♡ちゃんと写ってんのが
  臣にケンカ売ってきた奴?
臣)そう。
N)えーーー!!!!
  どっちもめっちゃイケメンじゃん!!!!
直)レベル高っ!!!!
N)二人とも♡ちゃんのこと好きなわけ!??


ーーー


思い出した。


◇)やっぱりいろんな芸能人見てる
  剛典から見ても
  姫さんは可愛いでしょっ♪
岩)……


◇がドヤってる。


◇)あれ?こっちの人の方がタイプとか?
岩)……


それはKちゃんですね。
いや、俺は♡ちゃんの方がタイプです。


◇)わかった!
  剛典ってば、姫さんのあまりの可愛さに
  言葉を失ってるな?にししっw
岩)……


無邪気な◇が可愛くて、また頭を撫でた。


◇)なに…//
岩)いや…ww


そうか…
この4人は会社でそんな有名なのか…


岩)お前の「憧れの人」は
  どんな男なわけ?
◇)えっ///
岩)……
◇)えっとね、ジェントルマン!!
岩)……
◇)とにかくレディーファーストだし
  困ってる女子は助けてくれるし
  ほんとに優しいの!!
岩)へぇ……
◇)でもね、こっちの王子も優しかった。
岩)ほぅ。
◇)王子とはあまり接点なかったんだけど
  この間エレベーターで偶然話したら
  話しやすくてめちゃイイ人だった。
岩)……
◇)二人ともイケメンなだけじゃなくて
  性格もいいからモテモテなんだよ。
岩)……


すげぇ高評価。
臣さん…ファイト。


◇)でもね、こんなイケメン二人から
  想いを寄せられてても
  姫さんにはちゃーんと彼氏がいるの♡
岩)えっっ
◇)ペアリングもしててね、
  ラブラブなんだよーー♡
岩)……ええと…
  ♡…っ、じゃなくて「姫さん」…
  と、お前は、話したことあんの?
◇)ふふんっ!あるのだっ!!
岩)……ww


いちいちドヤる◇が可愛いww
ほんとに♡ちゃんが大好きなんだな…


◇)姫さんとは
  たまに挨拶する程度なんだけどね。
岩)うん。
◇)姫さんの彼氏もねっ、
  すっごくカッコイイんだよ!!
岩)えっ!!知ってんの?!!
◇)は??
岩)…っ


…って、んなわけねぇか!
知ってたら俺と繋がってるの
わかるもんな…


岩)カッコイイってなんで…?
◇)あのね、姫さんのこと
  迎えにきたことがあるんだけど


臣さん!見られてんじゃん!
大丈夫かよ!!


◇)転ばされた姫さんを
  カッコよく颯爽と抱き上げて
  さらっていったの!///
岩)……
◇)ほんと素敵だったぁ〜〜///
岩)顔は見てないの?
◇)うん!夜だったから!
岩)ふーーん……
◇)でも見てる人いっぱいいたよー!
岩)……


臣さん…
結構危ないことしてんな…w


岩)つーか転ばされたって何?
◇)ああ、あのね、
  姫さんは可愛いしモテモテだから
  ひがんでる女どもがいんのよ。
岩)……
◇)多分そいつらの嫌がらせ。
岩)めっちゃ陰険じゃん。
◇)でしょ!!
  今度見つけたらあたしが退治してやる!!
岩)……
◇)ふんふんっ!!
岩)お前は…姫さんが大好きなんだな…w
◇)うんっ♡♡
岩)……


今度会わせてやりたいなーーw
びっくりするかな?
するよな。


はっ!!!
でも俺、♡ちゃんに話してるんだった!!


「その子も岩ちゃんが好きなんじゃないの?」


は、恥ずかしい…///



◇)だから。
  王族は「憧れの人」で
  「恋」じゃないからねっ。


パタン。


◇が雑誌を閉じた。


岩)もし言い寄られたら?
◇)ないない!!w
岩)もしも。
◇)絶対ない!!
岩)わかんないじゃん。
◇)わかるよ!!
岩)……
◇)大体、姫さんを好きになるような人が
  あたしなんか相手しませんw
岩)……


わかってねぇなぁ……


岩)お前だって可愛いっつーの…
◇)……
岩)……
◇)はぁ?!///


ワンテンポ遅れて
◇の目がまん丸になった。


◇)な、何言ってんの?///
岩)何って……
◇)あたしなんて…
  ただの庶民なんだから…//
岩)……
◇)ちんちくりんだし…
岩)……


ぐいっ


◇)ひゃっ//
岩)庶民でもちんちくりんでも
  なんでもいーの!!
◇)…っ
岩)お前は可愛いんだっつーの!!

ぎゅっ


◇)は、離せぇっ!!!///
岩)あっ


ソファーから立ち上がって
逃げやがった。


◇)近寄るの禁止っ!!///
岩)はぁ?!
◇)ああ危ない…、また剛典に
  変にされちゃうところだった//
岩)変にされちゃうって何だよ!w
◇)近寄るなってばー!!//
岩)待てこのっ
◇)やだー!!来ないでー!!
岩)…っ


なんだこの鬼ごっこは…


岩)おとなしく戻ってこい。
◇)……触んない?
岩)触る。
◇)じゃあやだっ!!///
岩)なんで!!!
◇)…っ
岩)もうあと10分しかないんだから!
◇)……あ…


◇が時計を見た。


岩)イチャイチャしたい!!
◇)…っ///
岩)戻ってきて。
◇)イチャイチャって何!!
  しないし!///
岩)する!!
◇)しない!!
岩)する!!!
◇)しない!!!
岩)…っ
◇)///


くそーーーーー


岩)じゃあ触んないからここ来て。
◇)え…っ
岩)ここ!
◇)……


◇がゆっくり俺に近付いて…


岩)触んないから。
◇)…っ


俺の前に立った。


岩)……
◇)……//
岩)触んないから…さ、チューしていい?
◇)えっ!!!
岩)……
◇)…何…それ…//
岩)……
◇)……//
岩)……
◇)触んないで…どうやって
  チュー…するの?//
岩)別に…できるじゃん。
◇)……
岩)…つーか……
◇)……
岩)触りながらチューしたら
  止まんなくなるから触んない。
◇)…っ///
岩)だから…チューしていい?
◇)///


触れたい…
抱き寄せたい…

そんな気持ちを必死に抑えて
手を後ろに組んだ。


岩)ん。
◇)……//


目を瞑れと促すと
◇がゆっくり…目を閉じた。


………チュッ…


そっとキスをすると
◇の目がゆっくり開いた。


◇)……//
岩)……//


うああああ〜〜〜
全然足りねぇ…っ!!!

さっきあんなエロいチューしたから
こんなんじゃ全然足りません!!!


◇)……
岩)……


やっぱり…触りたい……


岩)……
◇)ねぇ…//
岩)え…?
◇)……
岩)……
◇)…剛典が…触らないなら…
岩)……
◇)あたしが…触っても…いい?//
岩)……
◇)……
岩)は?!///


今度は俺がワンテンポ遅れて反応した。

だって…

今なんつった?!!///


◇)触って…いい?///
岩)…っ///


な、何これ…っ
俺…っ、何…されんの?!

か、可愛い…ヤバい…死ぬっっ///


……ぴと。


岩)…っ
◇)……//


◇の小さな手のひらが
俺の頬に優しく触れた。

まるで…
俺が◇に、キスする時みたいに…


なで…なで…


岩)…っ///
◇)///


すげぇ可愛い顔で見上げてきて
俺の頬を撫でてる…


◇)目…閉じて…//
岩)…っ///


え、え、…それって……


岩)…っ


考えてる暇もなく

◇が少し背伸びをしたのがわかって
俺はおとなしく、目を閉じた。


…………kiss……


岩)…っ


ゆっくり目を開けようとすると
◇の左手が俺のもう片方の頬も包んだ。


…kiss……


岩)///


俺がゆっくり目を開けると
俺の頬を包んでいた◇の両手は
同時にパッと離れて…


◇)///
岩)///


こ…これは……


岩)俺のこと……
◇)…っ

岩)悩殺する気?///
◇)えっ!!

岩)……//
◇)……//


照れて真っ赤に俯く◇に、もう聞きたい。


「俺のこと…好き?」


岩)ねぇ……
◇)…っ


ピロピロ♪ピロピロ♪


岩)うあああ〜〜〜〜
◇)……//


来ました。お迎え。


岩)はぁぁ………


今来るかよ、このタイミングで。


岩)……
◇)……//


仕方なく荷物をまとめて
玄関へ向かう。


はぁ……


◇)剛典…っ
岩)……

◇)お土産…ありがとう//
岩)……

◇)すっごく…嬉しかった//
岩)……


帰りたくない…
離れたくないって思う
俺の気持ちは一緒なのに

◇の見送り方が
初期の頃とは全然違うことに気付いて

すげぇ嬉しくなる。


◇)本当に…ありがとう♡
岩)うん……
◇)……
岩)……


可愛いなぁ…ほんとに…


岩)……あっ!!
◇)え…?

岩)大事なこと忘れてた。
◇)え???

岩)キスマークつけてない。
◇)な、何それっ!///
  そんなんつけなくていいよっ!!!

岩)見えないとこならいいって
  言ったじゃん。
◇)言ってない!!!w

岩)ちえ…っ
◇)……

岩)……
◇)……

岩)ダメ…?
◇)…なんで…つけたいの?//

岩)……
◇)……

岩)俺のこと…忘れてほしくないから。
◇)…っ


見るたびに…
俺のこと…思い出して欲しいから。


岩)……
◇)…それなら…
岩)……
◇)つけなくても…大丈夫…
岩)……え?
◇)…っ
岩)……
◇)つけなくても、もう…
  剛典のことばっかり…考えてるから…//
岩)…っ
◇)///
岩)///


ドキン…

ドキン…


ああ…恋に鳴く心臓が、うるさい//


岩)じゃあ…また連絡する…
◇)うん……
岩)今日はありがと。
◇)ううん、ありがとう。
岩)……
◇)……
岩)じゃあね…
◇)うん、仕事頑張ってね。
岩)ん。
◇)……
岩)……


バタン。



次会える時は、もっとゆっくり会いたい。

もっと一緒にいて
もっと笑顔を見ていたい。

もっと触れて
その甘い匂いに溺れていたい。


だから…

今度会える時には
今度こそ聞かせて……



俺のことが…好きだって。




ーendー

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